説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法及び制御プログラム

【課題】インクジェットプリンタにおいて、少なくとも1つのインクカートリッジでインクエンドが発生している場合に、残っているインクでの強制的な印刷が可能なページ数を増やすこと。
【解決手段】インクカートリッジ10のインク残量がゼロになったことが検知された状態において画像形成出力を実行する場合、インクカートリッジ10のインク残量がゼロになっている色以外のインクにより画像形成出力が実行されるように、且つ、通常状態の画像形成出力におけるインク消費量よりもインク消費量が少なくなるように記録ヘッド34を駆動制御するための情報を生成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法及び制御プログラムに関し、特に、インクジェット式の画像形成装置におけるインク残量に応じた制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような画像処理装置のうち、電子化された情報の出力に用いられるプリンタの一態様として、インクジェット方式を採用したプリンタ(以降、インクジェットプリンタとする)がある。インクジェットプリンタは、インクを吐出するノズルを含む記録ヘッドが搭載され、記録ヘッド内のインク液室に圧力を加えて記録媒体である用紙に対してインクを吐出することにより、画像形成を実行する。
【0004】
また、インクジェットプリンタにおいては、上述した記録ヘッドの内の液室にインクを供給するためのインクカートリッジが搭載される。そして、インク切れの際、ユーザがこのインクカートリッジを交換することにより、インクが補充される。
【0005】
インクジェットプリンタにおいては、インクカートリッジ内のインクが無くなるインクエンドが発生した場合において、インクエンドとなったのがカラーの場合であれば、ユーザの指示や事前に設定に基づいてモノクロによる印刷を行う強制印刷機能を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したインクエンドとは、インクカートリッジ内のインクが無くなった状態であり、記録ヘッド内のインク液室にはまだインクが残っている状態である。そして、記録ヘッド内のインク液室からもインクが無くなった場合、記録ヘッドの不具合を防ぐため、上述した強制印刷も不可能な状態となる。これは、記録ヘッド内のインク液室が空の状態でインクの吐出が実行されると、記録ヘッドに気泡が混入して以降の動作に支障が生じるからである。
【0007】
他方、インクジェットプリンタにおいては、ヘッドのクリーニングが定期的に実行される。ヘッドのクリーニングにおいては、ノズルからインクを吐出させることによりクリーニングを行うものもあり、この場合少量のインクを消費する。そして、この状態維持吐出は全色のヘッドのノズルにおいて行われるため、インクカートリッジ内のインクが無くっている色のノズルからも実行され、その結果記録ヘッド内のインク液室からもインクが消費され続け、その結果上述したような強制印刷も不可能な状態となる。
【0008】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、インクジェットプリンタにおいて、少なくとも1つのインクカートリッジでインクエンドが発生している場合に、残っているインクでの強制的な印刷が可能なページ数を増やすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、複数色のインクを吐出して画像形成出力を行うインクジェット方式の画像形成装置であって、用紙に対してインクを吐出するインクジェット記録ヘッドと、前記インクジェット記録ヘッドにおいてインクが充填されるヘッドタンクと、前記ヘッドタンクにインクを供給するインク供給部と、前記インク供給部内のインク残量がゼロになったことを検知するインクエンド検知部と、前記インクジェット記録ヘッドを駆動するヘッド駆動部と、前記ヘッド駆動部を制御して画像形成出力の実行を制御する画像形成制御部とを含み、前記画像形成制御部は、前記インク供給部内のインク残量がゼロになったことが検知された状態において画像形成出力を実行する場合、前記インク供給部内のインク残量がゼロになっている色以外のインクにより画像形成出力が実行されるように、画像形成出力するべき画像の情報に基づいて前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成し、その際、全色のインク供給部が前記ヘッドタンクにインクを供給することが可能な場合の画像形成出力におけるインク消費量よりもインク消費量が少なくなるように前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の態様は、用紙に対してインクを吐出する複数のインクジェット記録ヘッドにより複数色のインクを吐出して画像形成出力を行うインクジェット方式の画像形成装置の制御方法であって、前記インクジェット記録ヘッドにおいてインクが充填されるヘッドタンクにインクを供給するインク供給部内のインク残量がゼロになったことを検知し、前記インク供給部内のインク残量がゼロになったことが検知された状態において画像形成出力を実行する場合、前記インク供給部内のインク残量がゼロになっている色以外のインクにより画像形成出力が実行されるように、画像形成出力するべき画像の情報に基づいて前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成し、その際、全色のインク供給部が前記ヘッドタンクにインクを供給することが可能な場合の画像形成出力におけるインク消費量よりもインク消費量が少なくなるように前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の更に他の態様は、用紙に対してインクを吐出する複数のインクジェット記録ヘッドにより複数色のインクを吐出して画像形成出力を行うインクジェット方式の画像形成装置の制御プログラムであって、前記インクジェット記録ヘッドにおいてインクが充填されるヘッドタンクにインクを供給するインク供給部内のインク残量がゼロになったことを検知するステップと、前記インク供給部内のインク残量がゼロになったことが検知された状態において画像形成出力を実行するステップと、前記インク供給部内のインク残量がゼロになっている色以外のインクにより画像形成出力が実行されるように、画像形成出力するべき画像の情報に基づいて前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成するステップと、前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成する際、全色のインク供給部が前記ヘッドタンクにインクを供給することが可能な場合の画像形成出力におけるインク消費量よりもインク消費量が少なくなるように前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成するステップとを画像形成装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、インクジェットプリンタにおいて、少なくとも1つのインクカートリッジでインクエンドが発生している場合に、残っているインクでの強制的な印刷が可能なページ数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す上面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置の画像形成出力に係る制御構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置における第1のインクエンド検知時の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置における表示部の表示例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置における強制印刷の設定画面を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るインク減量モノクロ印刷の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係るインク減量モノクロ印刷の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態に係るインク減量モノクロ印刷の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置における表示部の表示例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る画像形成装置における強制印刷の設定画面を示す図である。
【図14】本発明の実施形態に係る間引き処理の態様を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係る画像形成装置における表示部の表示例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係る画像形成装置における強制印刷の設定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成装置であるインクジェットプリンタにおいて、1つのインクカートリッジの残量がゼロになりインクエンドとなった場合の制御について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す斜視図である。図1においては、説明のため、装置の一部を透過させて破線により示している。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置は、装置本体1と、装置本体1に装着された用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に着脱自由に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3とを備えている。
【0016】
装置本体1の全面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、装置本体1の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装着するためのカートリッジ装着部4を有し、このカートリッジ装着部4の上面は操作ボタンや表示器などを設ける操作/表示部5としている。このカートリッジ装着部4には、色の異なる記録液(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数のインクカートリッジ10k、10c、10m、10y(以降、総じてインクカートリッジ10とする)が挿入されている。
【0017】
インクカートリッジ10k、10c、10m、10yは、インク情報が格納されたIDチップを備え、装置本体1の側面側から後方側に向かって挿入可能な構成となっている。カートリッジ装着部4の全面側には、インクカートリッジ10を着脱するときに開くカバー(カートリッジカバー)6が開閉可能に設けられている。図1においては、このカバー6が透過して示されている。
【0018】
操作/表示部5には、各色のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yの残量がニアエンド及びエンドになったことを表示するための各色の残量表示部11k、11c、11m、11yが配置されている。さらに、この操作/表示部5には、電源ボタン12、用紙送り/印刷再開ボタン13、キャンセルボタン14も配置されている。
【0019】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置内部の機構を示す側面図であり、図3は、本実施形態に係る画像形成装置内部の機構を示す上面図である。図3に示すように、装置全体のフレーム21を構成する左右の側板21A、21Bに横架されたガイド部材であるガイドロット31とステー32とが、キャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持する。キャリッジ33は、図示しない主走査モータによって図3における矢印方向(キャリッジ走査方向:主走査方向)に移動走査される。
【0020】
キャリッジ33には、インク滴を吐出するための液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドから成る複数の記録ヘッド34が、複数のノズルを主走査方向に沿って配列して、そのインク滴吐出方向を下方に向けて装着されている。記録ヘッド34は、イエロー(Y)の液滴を吐出する記録ヘッド34y、シアン(C)の液滴を吐出する記録ヘッド34c、マゼンタ(M)の液滴を吐出する記録ヘッド34m、ブラック(Bk)の液滴を吐出する記録ヘッド34kとで構成されている。
【0021】
なお、記録ヘッドは以下、「記録ヘッド34」というときは色を区別しないものとする。なお、ヘッド構成はこの例に限られるものではなく、一つまたは複数の色の液滴を吐出する一つまたは複数のノズル列を有する記録ヘッドを一つまたは複数用いて構成することができる。
【0022】
記録ヘッド34を構成する液滴吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0023】
またキャリッジ33には、記録ヘッド34に各色のインクを供給するための各色のヘッドタンク35y、35m、35c、35k(以降、総じてヘッドタンク35とする)が搭載されている。このヘッドタンク35には、各色のインク供給チューブ37を介して、前述した各色のインクカートリッジ10からインクが補充供給される。即ち、インクカートリッジ10がインク供給部として機能する。
【0024】
ここで、インクカートリッジ10は、カートリッジ装着部4に収納され、このカートリッジ装着部4には、図3に示すようにインクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット23が付設されている。また、インクカートリッジ装着部4からヘッドタンク35に至るまでのインク供給チューブ37は、這いまわしの途中でフレーム21を構成する後板21Cに本体側ホルダ25を用いて固定保持され、さらに、キャリッジ33上でも固定リブ26を用いて固定されている。
【0025】
一方、図2に示すように、給紙トレイ2の底板(用紙積載部)41上に積載された用紙42を供給するための給送手段である給紙部として、底板から用紙42を1枚ずつ分離給送する給紙コロ43と、給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0026】
この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えると共に、給紙された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0027】
搬送ベルト51は無端状ベルトであり、搬送ローラ57とテンションローラ58との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成されている。この搬送ベルト51は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った層(中抵抗層、アース層)とを有している。
【0028】
この搬送ベルト51の表面を帯電させるため、帯電手段として帯電ローラ56が設けられている。帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回転に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に所定の押圧力がかけられている。なお、搬送ローラ52はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト51の中抵抗層(裏層)と接触配置され接地している。また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド34による印写領域に対してガイド部材61が配置されている。このガイド部材61は、上面が搬送ベルト51を支持する2つのローラ(搬送ローラ52とテンションローラ58)の接線よりも記録ヘッド34側に突出させることで搬送ベルト51の高精度な平面性を維持するようにしている。
【0029】
装置本体1の背面部には、図2に示すように、両面給紙ユニット81が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット81は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度先端加圧コロ55と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面給紙ユニット81の上面には、手差し給紙部82が設けられている。
【0030】
図3に示すように、キャリッジの主走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構91が配置されている。この維持回復機構91には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャッピングするためのキャップ部材92a、92b、92c、92d(以降、総じてキャップ92とする)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード93と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる状態維持吐出を行うときの液滴を受ける吐出受け94が含まれる。ここでは、キャップ92aを吸引及び保湿用キャップとし、他のキャップ92b〜9dは保湿用キャップとしている。
【0031】
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる状態維持吐出を行うときの液滴を受ける状態維持吐出受け98が配置され、この状態維持吐出受け98には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口99が設けられている。
【0032】
このように構成されたインクジェット記録装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内される。ガイド45で案内された用紙42は、搬送ベルト51とカウンタローラ52との間に挟まれてさらに搬送され、先端を搬送ガイド53で案内されて先端加圧コロ55で搬送ベルト51に押し付けられる。
【0033】
用紙42が搬送ベルト51に押し付けられる際、図示しない制御部によってACバイアス供給部から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給紙されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0034】
用紙42が搬送ベルト51に吸着されて搬送される際、キャリッジ33が移動しながら画像信号に応じて記録ヘッド34が駆動されることにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分の画像を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に達した信号を受けることにより、画像形成装置は、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0035】
また、印字(記録)待機中の場合、キャリッジ33は維持回復機構91側に移動され、キャップ92で記録ヘッド34がキャッピングされる。これにより、ノズルが湿潤状態に保たれ、インク乾燥による吐出不良を防ぐことができる。また、キャップ92で記録ヘッド34をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(以降、「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という)、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作が実行される。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する状態維持吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持することができる。
【0036】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の制御構成について図4を参照して説明する。図4に示すように、本実施形態に係る画像形成装置の制御部100は、用紙の搬送動作及び記録ヘッドの移動動作に関する制御を司る手段を兼ね、装置全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)101、CPU101が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM(Read Only Memory)102、画像データ等を一時格納する役割の揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)103、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性記憶媒体であるNVRAM(Non−Volatile RAM)104、メモリと、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC105とを備えている。
【0037】
また、制御部100は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのホストI/F106、キャリッジ33の記録ヘッド34を駆動するための駆動波形を生成するとともに、記録ヘッド34の圧力発生手段を選択駆動させる画像データ及びそれに伴う各種データをヘッドドライバ112に出力するヘッド制御部107、主走査モータ113を駆動するための主走査モータ駆動部108と、副走査モータ113を駆動するための副走査モータ駆動部109、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部110、リニアエンコーダ115、ホイールエンコーダ116からの検出パルス、及びその他の各種センサからの検知信号を入力するためのI/O111などを備えている。
【0038】
また、制御部100には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル117、時刻を取得するためのリアルタイムクロック(RTC)118、外部記憶装置119が接続されている。
【0039】
ここで、制御部100は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホストのプリンタドライバが生成した印刷データ等をケーブル或いはネットを介してホストI/F106で受信する。また、ホストPCのターミナルからの命令もホストI/F106で受ける。
【0040】
そして、制御部100のCPU101は、ホストI/F106に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC105に必要な画像処理、データの並び替え処理等を実行させてヘッド制御部107に転送する。ヘッド制御部107から所要のタイミングでヘッドドライバ112に画像データや駆動波形を出力する。
【0041】
なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM102にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしても良い。ここでは、プリンタドライバで行うようにしている。
【0042】
ヘッド制御部107の駆動波形生成部は、ROM102に格納されてCPUで読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び増幅器等で構成され、1つの駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形をヘッドドライバ112に対して出力する。
【0043】
ヘッドドライバ112は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいてヘッド制御部107の駆動波形生成部から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド34の圧力発生手段に対して印加することで記録ヘッド34を駆動する。
【0044】
なお、このヘッドドライバ112は、例えば、クロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動パルスを選択的に記録ヘッド34の圧力発生手段に印加する。
【0045】
次に、本実施形態に係る制御部100によるインクエンドの検知制御態様について図5を参照して説明する。図5に示すように、制御部100は、インクエンドの検知制御及び画像形成出力に関する構成として、第1のインクエンド検知部201、第2のインクエンド検知部202画像形成制御部203及びエンジン駆動部204を含む。
【0046】
図5に示す構成は、主として、RAM103にロードされたプログラムに従ってCPU101が演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部によって実現される。その他、図4に示すヘッド制御部107、主走査モータ駆動部108、副走査モータ駆動部109等が上記ソフトウェア制御部と連動することにより、図5に示す構成が実現される。
【0047】
エンジン駆動部204による駆動制御により記録ヘッド34が各インクを吐出することで、記録媒体上に画像形成が実行される。この場合、エンジン駆動部204がヘッド駆動部として機能する。画像形成をすることで、インクカートリッジ10およびヘッドタンク35内のインクが消費される。
【0048】
第1のインクエンド検知部201は、各インクカートリッジ10k、10c、10m、10yのインクエンド(以降、第1のインクエンドとする)を検知する。また、第2のインクエンド検知部202は、各ヘッドタンク35k、35c、35m、35yのインクエンド(以降、第2のインクエンドとする)を検知する。
【0049】
第1のインクエンド検知部201及び第2のインクエンド検知部202は、夫々のインクエンドの検知結果を画像形成制御部203に通知する。または、逆に画像形成制御部203が、第1のインクエンド検知部201及び第2のインクエンド検知部202による検知結果を取得するようにしても良い。エンジン駆動部204は、記録ヘッド34や用紙搬送制御(図示しない)を行うものとする。
【0050】
尚、第2のインクエンド検知部202は、第1のインクエンド検知部201によって第1のインクエンドが検知されている状態において、第1のインクエンドが検知されている色の記録ヘッド34が空吐出、即ち、ヘッドタンク35のインク残量がゼロであるにも関わらず吐出を試みたことを検知することにより、
第2のインクエンドを検知する。
【0051】
尚、第1のインクエンドが検知されているか否かは、第1のインクエンド検知により画像形成制御部203若しくは第2のインクエンド毛に部202に設定されるフラグを参照することにより認識することができる。
【0052】
また、第2のインクエンド検知部202は、ヘッドタンク35に充填可能なインク量に応じた値(以降、インク充填量とする)を記憶しており、第1のインクエンドが検知された後、記録ヘッド34からのインク吐出の実行に応じて上記充填量を減算していく。そして、第2のインクエンド検知部202は、上述したように記録ヘッド34の空吐出を検知した場合、上記減算結果を参照し、ヘッドタンク35が本当に空になっており、第2のインクエンドに至っているのか、まだヘッドタンク35内にインクが残っているのかを確認することができる。
【0053】
この他、インクエンドを表示する表示部205や機器の操作制御を行う操作部206等が設けられている。表示部205及び操作部206は、図4に示す操作パネル117によって実現される。第1のインクエンド検知部201によって、インクカートリッジ10k、10c、10m、10yいずれかのインクエンドが検知されると、画像形成制御部203は、印刷中のJOBまたは印刷中のページの記録が終わった時点で、表示部205を制御してインクエンドを利用者に通知する。
【0054】
このような構成の画像形成装置において、本実施形態に係る要旨は、第1のインクエンド検知部201によってインクカートリッジ10k、10c、10m、10yいずれかのインクエンドが検知された場合の制御に関する。以下、本実施形態に係る画像形成装置の制御について説明する。
【0055】
図6は本実施形態に係る画像形成装置の第1のインクエンド検知後の動作を示すフローチャートである。図6においては、インクカートリッジ10c、10m、10yのいずれか、即ちカラーのインクがインクエンドとなった場合において、モノクロによる強制印刷を行う場合を例として説明する。
【0056】
図6に示すように、画像形成制御部203が第1のインクエンド検知部201の機能に従ってカラーインクの第1のインクエンドを検知した状態で印刷ジョブを受信すると(S601)、画像形成制御部203は、強制印刷要求の有無を確認する(S602)。S602においては、表示部205に図7(a)のような確認画面を表示させてユーザの応答を待つ場合や、予めユーザによって指定された設定に従う場合がある。
【0057】
S602の判断の結果、強制印刷要求がなければ(S602/NO)、そのまま処理を終了する。他方、強制印刷要求がある場合(S602/YES)、次に、画像形成制御部203は、強制印刷においてインクを減量して印刷を行うインク減量指示の有無を確認する(S603)。S603においても、S602と同様に、表示部205に図7(b)のような確認画面を表示させてユーザの応答を待つ場合や、予めユーザによって指定された設定に従う場合がある。
【0058】
S603の判断の結果、インク減量指示がある場合(S603/YES)、画像形成制御部203は、消費されるインクが減量されるように処理を行ってモノクロ印刷を実行制御し(S604)、処理を終了する。S603の判断の結果、インク減量指示がなければ(S603/NO)、画像形成制御部203は、通常のモノクロ印刷を行い(S605)、処理を終了する。
【0059】
このように、本実施形態に係る画像形成装置においては、カラーのインクで第1のインクエンドが発生している場合において、インクエンドが発生していないブラックのインクによるモノクロ印刷を行う。その際、本実施形態に係る画像形成装置は、印刷において用いられるインク量が少なくなるように画像処理を行った上で印刷を行うインク減量印刷が可能である。
【0060】
インク減量印刷を行うことにより、モノクロ印刷における黒のインクの消費量が低減されるため、インクカートリッジが交換されないままの状態において、強制印刷によりモノクロ印刷が可能な回数が多くなる。その結果、緊急な印刷が発生した場合に、対応不可能となる可能性を低減することができる。
【0061】
また、インクジェットプリンタにおいては、上述したように状態維持吐出受け94、98に対して増粘した記録液を排出する状態維持吐出が必要である。これは、使用されたインク量に応じた頻度で実行されるため、インクの消費量が多ければそれだけ状態維持吐出が実行される頻度も高くなり、結果的に第1のインクエンドが発生しているインクがヘッドタンク35からもなくなり、第2のインクエンドとなるまでの期間が短くなる。
【0062】
第2のインクエンドが発生すると、ヘッドタンクへの気泡の混入を防ぐため、画像形成出力が完全に禁止される。その結果、緊急な印刷が発生した場合に対応が不可能となってしまう。これに対して、本実施形態に係る画像形成装置においては、インク減量印刷を用いることにより、第1のインクエンドが発生している間の強制印刷において消費されるインク量を低減するため、状態維持吐出の実行頻度を下げることができ、第1のインクエンドが発生しているインクが第2のインクエンドとなるまでの期間を延ばすことが可能となる。その結果、緊急な印刷が発生した場合に、対応不可能となる可能性を低減することができる。
【0063】
次に、図6のS604におけるインク減量モノクロ印刷の詳細について説明する。画像形成制御部203は、インク減量モノクロ印刷の一態様として、例えばA3の原稿をA4に縮小して印刷する等、縮小印刷を行うことにより消費されるインク量を低減することが可能である。そのような場合の動作について、以下に説明する。
【0064】
図9は、S604における処理を示すフローチャートである。図9に示すように、画像形成制御部203は、インク減量モノクロ印刷を行う場合、まず、印刷するべき画像情報の原稿のサイズがA3サイズであるか否か確認する(S901)。原稿がA3サイズであった場(S901/YES)合、画像系制御部203は、A3からA4への原稿の縮小処理を行い(S902)、エンジン駆動部204を制御して印刷を実行する(S903)。
【0065】
他方、原稿がA3サイズではなかった場合(S901/NO)、次に画像形成制御部203は、印刷するべき画像情報の原稿のサイズがB4サイズであるか否か確認する(S904)。原稿がB4サイズであった場合(S904/YES)、画像系制御部203は、B4からA4への原稿の縮小処理を行い(S905)、エンジン駆動部204を制御して印刷を実行する(S903)。また、原稿がA4サイズでもなければ(S904/NO)、原稿サイズのまま印刷を実行する(S903)
【0066】
このような処理により、A3サイズまたはB4サイズがA4サイズに縮小され、インク消費量が低減された印刷出力が実行される。S902、S905における縮小処理は、RAM103にロードされた専用のプログラムに従って演算を行うCPU101や、ASIC105に含まれる専用の画像処理エンジンによって実行される。
【0067】
尚、図9においては、原稿サイズがA3、B4いずれかである場合に、A4サイズに縮小する場合を例として説明した。換言すると、図9の例は、出力対象の画像サイズに基づいて縮小率を決定する例である。これは、例えば画像形成装置が出力可能な最大の要旨サイズがA3であり、最も小さい用紙サイズがA4である場合に特に有効である。この他、複数のページを1ページに集約する集約印刷を用いて、A4サイズよりも更に小さいサイズへの縮小を行っても良い。
【0068】
図10は、S604の他の形態における処理を示すフローチャートである。図10の例においては、用紙サイズを指定した縮小処理ではなく、縮小率を指定した縮小処理を行う。図10に示すように、画像形成制御部203は、インク減量モノクロ印刷を行う場合、まず、縮小率の指定が71%であるか否か確認する(S1001)。
【0069】
縮小率の指定が71%であった場合(S1001/YES)、画像形成制御部203は、原稿の画像情報を71%に縮小する処理を行い(S1002)、エンジン駆動部204を制御して印刷を実行する(S1003)。他方、縮小率の指定が71%でなかった場合(S1001/NO)、次に、画像形成制御部203は、縮小率の指定が82%であるか否か確認する(S1004)。
【0070】
縮小率の指定が82%であった場合(S1001/YES)、画像形成制御部203は、原稿の画像情報を82%に縮小する処理を行い(S105)、エンジン駆動部204を制御して印刷を実行する(S1003)。他方、縮小率の指定が82%でなかった場合(S1004/NO)、画像形成制御部203は、原稿の画像情報を87%に縮小する処理を行い(S1006)、エンジン駆動部204を制御して印刷を実行する(S1003)。
【0071】
上記71%の縮小率は、A3サイズをA4サイズにする縮小率であり、82%の縮小率は、B4サイズをA4サイズにする縮小率であり、87%の縮小率は、AサイズをB4サイズにする縮小率である。このような処理によっても、上述した効果と同様の効果を得ることが可能となる。
【0072】
尚、図10の例においては、71%、82%及び87%の縮小率を例として説明したが、他の縮小率を用いることも可能である。また、上述したような用紙サイズの変更に対応した縮小率ではなく、ユーザが自由に設定した縮小率を用いることも可能である。
【0073】
図11は、S604の更に他の形態における処理を示すフローチャートである。図11の例においては、主走査方向と副走査方向とで夫々異なる縮小率の設定が可能である。図11に示すように、画像形成制御部203は、インク減量モノクロ印刷を行う場合、まず、主走査方向の縮小設定があるか否か確認する(S1101)。
【0074】
S1101の判断の結果、主走査方向の縮小設定があれば(S1101/YES)、画像形成制御部203は、設定値により主走査方向の縮小処理を行う(S1102)。主走査方向の縮小設定がなければ(S1101/NO)、画像形成制御部203は、初期値により主走査方向の縮小処理を行う(S1103)。
【0075】
S1102、S1103いずれかの処理の後、次に画像形成制御部203は、副走査方向の縮小設定があるか否か確認する(S1104)。S1104の判断の結果、副走査方向の縮小設定があれば(S1104/YES)、画像形成制御部203は、設定値により副走査方向の縮小処理を行う(S1105)。副走査方向の縮小設定がなければ(S1104/NO)、画像形成制御部203は、初期値により副走査方向の縮小処理を行う(S1106)。
【0076】
S1105、S1106いずれかの処理が完了すると、画像形成制御部203はそのまま処理を終了する。図11に示すような処理によっても、このような処理によっても、上述した効果と同様の効果を得ることが可能となる。
【0077】
このように、図9〜図11の例によれば、出力する用紙を変更するか否かに関わらず、画像を縮小処理することにより、同一の画像を印刷する場合であっても、消費されるインク量を低減することが可能となる。
【0078】
縮小率については、表示部205に図12(a)、(b)に示すような画面を表示することにより、インク減量モノクロ印刷を行う際にユーザに指定させるようにしても良いし、図13に示すような設定画面において予め設定された縮小設定を用いるようにしても良い。
【0079】
また、簡易な縮小処理として、印刷出力するべき画像を構成する画素を主走査方向のライン毎に処理し、数ライン毎にラインを間引くことにより副走査方向のみ縮小する方法がある。図14は、このようなライン間引きによる縮小処理の一態様を示す図である。図14に示すような間引き処理により、画像形成制御部203の処理負荷を低減して縮小処理を実現することができる。
【0080】
図14に示すようなライン間引きによる縮小処理においては、ライン間引き量、即ちラインを間引く頻度を設定することにより縮小率を設定することができる。のライン間引き量については、表示部205に図15(a)、(b)に示すような画面を表示することにより、インク減量モノクロ印刷を行う際にユーザに指定させるようにしても良いし、図16に示すような設定画面において予め設定された値を用いるようにしても良い。尚、図15(a)、図16において、“1/4”という表示は、4ラインに1ラインの頻度でラインを間引くことを示す。
【0081】
また、画像サイズを縮小することによりインク消費量を低減する場合の他、画像の濃度を下げることによってインク消費量を低減することも可能である。このような場合、画像形成制御部203は、S902やS1002のような縮小処理に代えて、出力対象の画像を構成する画素の濃度を低くする濃度調整処理を行う。この濃度調整処理としては、各画素が多階調で表現された画像において、各画素の濃度を全体的に下げる方法や、各画素が有色/無色の二値で表現された画像において、有色画素を間引く方法などを用いることができる。
【0082】
このような制御、即ち、インク減量モノクロ印刷を行うインクジェット方式の画像形成装置において、上述したような効果を得るためには、画像形成出力において消費されるインクが低減されたことにより状態維持吐出の実行頻度が低減されることが必要である。これは、状態維持吐出の実行がインク消費量に応じて決定されていれば、上述したような制御によって自動的に達成される効果である。
【0083】
他方、状態維持吐出の実行が画像形成出力や印刷ジョブの回数に応じて決定されている場合や、所定の期間経過毎に状態維持吐出が実行されるような場合、上述したような制御のみでは効果を得ることができない。このような場合、第1のインクエンドが検知された後、インクカートリッジが交換されるまでは、通常の状態、即ち第1のインクエンドが検知されてない状態よりも状態維持吐出の実行頻度が下がるような制御を行う必要がある。
【0084】
具体的には、状態維持吐出の実行が画像形成出力や印刷ジョブの回数に応じて決定されている場合であれば、通常の状態において状態維持吐出の実行トリガとなる画像形成出力や印刷ジョブの回数よりも多い回数毎に状態維持吐出を実行することにより実現可能である。また、所定の期間経過毎に状態維持吐出が実行されるような場合であれば、通常の状態において状態維持吐出の実行トリガとなる経過期間よりも長い期間毎に状態維持吐出を実行することにより実現可能である。
【0085】
尚、上記実施形態においては、カラーのインクについて第1のインクエンドが検知された場合において、黒のインクによりモノクロ印刷を行う場合を例として説明した。しかしながらこれは一例であり、上記実施形態の趣旨は、少なくとも1色について第1のインクエンドが検知された場合において、第1のインクエンドが検知されていない色、即ち、インクカートリッジ10内のインク残量がゼロになっている色以外のインクにより画像形成出力が実行されるように、エンジン駆動部204を制御するための情報を生成することにある。
【0086】
そして、その際には、画像形成装置の通常の状態、即ち、全色のインクカートリッジ10がヘッドタンク35にインクを供給することが可能な場合の画像形成出力におけるインク消費量よりも、インク消費量が少なくなるように、上記エンジン駆動部204を制御するための情報を生成することによって、上記実施形態の効果が達成される。
【0087】
また、画像形成制御部203は、記録ヘッド34の状態、特にインクの吐出性能を良好に保つために記録ヘッド34にインクを吐出させる状態維持吐出制御を行う機能を有する。そして、第1のインクエンドが検知された場合には、第1のインクエンドが検知されていない場合よりも低い頻度で、状態維持吐出が実行されるように制御することにより、状態維持吐出によって、インクカートリッジ10のみならずヘッドタンク35内のインク残量までもがゼロになってしまい、画像形成出力が完全に禁止されてしまうタイミングを遅らせることが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1 装置本体
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
4 カートリッジ装着部
5 表示部
6 カバー
10、10k、10c、10m、10y インクカートリッジ
11、11k、11c、11m、11y 残量表示部
12 電源ボタン
13 印刷再開ボタン
14 キャンセルボタン
21 フレーム
21A、21B 側板
21C 後板
23 供給ポンプユニット
25 本体側ホルダ
26 固定リブ
31 ガイドロット
32 ステー
33 キャリッジ
34、34k、34c、34m、34y 記録ヘッド
35、35k、35c、35m、34y ヘッドタンク
37 インク供給チューブ
41 底板
42 用紙
43 給紙コロ
44 分離パッド
45 ガイド
46 カウンタローラ
47 搬送ガイド部材
48 部材
49 先端加圧コロ
51 搬送ベルト
52 搬送ローラ
52 カウンタローラ
53 搬送ガイド
55 先端加圧コロ
56 帯電ローラ
57 搬送ローラ
58 テンションローラ
61 ガイド部材
81 両面給紙ユニット
82 給紙部
91 維持回復機構
92、92a、92b、92c、92d キャップ
93 ワイパーブレード
94 吐出受け
99 開口
100 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 NVRAM
105 ASIC
106 ホストI/F
107 エンジン制御部
108 主走査モータ駆動部
109 副走査モータ駆動部
110 ACバイアス供給部
111 I/O
112 ヘッドドライバ
113 主走査モータ
114 副走査モータ
115 リニアンコーダ
116 ホイールエンコーダ
117 操作パネル
118 RTC
119 外部記憶装置
201 第1のインクエンド検知部
202 第2のインクエンド検知部
203 画像形成制御部
204 エンジン駆動部
205 表示部
206 操作部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【特許文献1】特開2001−71541号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色のインクを吐出して画像形成出力を行うインクジェット方式の画像形成装置であって、
用紙に対してインクを吐出するインクジェット記録ヘッドと、
前記インクジェット記録ヘッドにおいてインクが充填されるヘッドタンクと、
前記ヘッドタンクにインクを供給するインク供給部と、
前記インク供給部内のインク残量がゼロになったことを検知するインクエンド検知部と、
前記インクジェット記録ヘッドを駆動するヘッド駆動部と、
前記ヘッド駆動部を制御して画像形成出力の実行を制御する画像形成制御部とを含み、
前記画像形成制御部は、
前記インク供給部内のインク残量がゼロになったことが検知された状態において画像形成出力を実行する場合、前記インク供給部内のインク残量がゼロになっている色以外のインクにより画像形成出力が実行されるように、画像形成出力するべき画像の情報に基づいて前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成し、
その際、全色のインク供給部が前記ヘッドタンクにインクを供給することが可能な場合の画像形成出力におけるインク消費量よりもインク消費量が少なくなるように前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成制御部は、
前記インクジェット記録ヘッドの状態を良好に保つために前記インクジェット記録ヘッドにインクを吐出させる状態維持吐出制御を行い、
前記インク供給部内のインク残量がゼロになったことが検知された場合、全色のインク供給部が前記ヘッドタンクにインクを供給することが可能な場合よりも低い実行頻度で前記状態維持吐出制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成制御部は、出力対象の画像を縮小することにより、インク消費量が少なくなるように前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成制御部は、前記出力対象の画像サイズに基づいて前記出力対象の画像を縮小する縮小率を決定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成制御部は、前記出力対象の画像サイズを前記画像形成装置において出力可能な最小の用紙サイズに縮小するための縮小率を、前記出力対象の画像を縮小する縮小率として決定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成制御部は、前記出力対象の画像の主走査方向及び副走査方向の夫々について、設定された縮小率に従って縮小することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成制御部は、前記出力対象の画像を構成する画素の主走査方向のラインを、定められたライン数毎に間引くことにより、インク消費量が少なくなるように前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成制御部は、前記画像形成出力によって形成される画像の濃度を下げることによって前記インク消費量が少なくなるように前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
用紙に対してインクを吐出する複数のインクジェット記録ヘッドにより複数色のインクを吐出して画像形成出力を行うインクジェット方式の画像形成装置の制御方法であって、
前記インクジェット記録ヘッドにおいてインクが充填されるヘッドタンクにインクを供給するインク供給部内のインク残量がゼロになったことを検知し、
前記インク供給部内のインク残量がゼロになったことが検知された状態において画像形成出力を実行する場合、
前記インク供給部内のインク残量がゼロになっている色以外のインクにより画像形成出力が実行されるように、画像形成出力するべき画像の情報に基づいて前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成し、
その際、全色のインク供給部が前記ヘッドタンクにインクを供給することが可能な場合の画像形成出力におけるインク消費量よりもインク消費量が少なくなるように前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
用紙に対してインクを吐出する複数のインクジェット記録ヘッドにより複数色のインクを吐出して画像形成出力を行うインクジェット方式の画像形成装置の制御プログラムであって、
前記インクジェット記録ヘッドにおいてインクが充填されるヘッドタンクにインクを供給するインク供給部内のインク残量がゼロになったことを検知するステップと、
前記インク供給部内のインク残量がゼロになったことが検知された状態において画像形成出力を実行するステップと、
前記インク供給部内のインク残量がゼロになっている色以外のインクにより画像形成出力が実行されるように、画像形成出力するべき画像の情報に基づいて前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成するステップと、
前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成する際、全色のインク供給部が前記ヘッドタンクにインクを供給することが可能な場合の画像形成出力におけるインク消費量よりもインク消費量が少なくなるように前記ヘッド駆動部を制御するための情報を生成するステップとを画像形成装置に実行させることを特徴とする画像形成装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−107367(P2013−107367A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256308(P2011−256308)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】