説明

画像形成装置、画像形成装置の動作確認方法、画像形成装置の動作確認プログラム

【課題】実装されたヒューズが溶断されているか否かに応じてその状態を示す交換可能なユニット、および、当該ヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装した廉価版の交換可能なユニットのいずれが装着されても、ヒューズ溶断回路の動作確認を行なうことのできる画像形成装置等を提供する。
【解決手段】ヒューズを実装したユニットについて、ヒューズの溶断の有無に依存して変化する電位を検出するための検出回路を含む。ヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装したユニットに対して溶断回路が電流を供給した場合に、電流供給前および電流供給中において検出回路が検出するそれぞれの電位、あるいは、電流供給前および電流供給後において検出回路が検出するそれぞれの電位、に基づいて溶断回路の動作確認を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装されたヒューズが溶断されているか否かに応じてその状態を示す交換可能なユニットが装着される画像形成装置、その画像形成装置における動作確認方法、および、その画像形成装置に向けられた動作確認プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ、および複合機など)には、画像形成動作に必要なユニットが装着される構成が一般的に採用される。このような交換可能なユニット(以下、単に「ユニット」とも称す。)としては、印字に用いられるトナーを供給するためのトナーユニットや、感光体や転写体などを含むイメージングユニットなどがある。
【0003】
画像形成装置側から見れば、適切な動作をするために、装着されているユニットの状態(たとえば、新品であるか、中古品であるかといった情報)を取得する必要がある。ユニットの状態を取得する方法として、各ユニットの不揮発性メモリなどを実装した上で、当該不揮発性メモリに必要な情報を書き込むような構成が知られている。
【0004】
より簡素化された構成として、ユニットの内部に電気的に状態値を変化させることのできるコンポーネント(典型的には、ヒューズ)を実装しておき、このコンポーネントの電気的な状態に基づいて、当該ユニットの状態を取得する構成も知られている。
【0005】
後者の構成の一例として、特開平5−40373号公報(特許文献1)には、ユニットに内蔵されたヒューズの溶断状態に基づいて新旧を区別する技術が開示されている。また、特開2007−41392号公報(特許文献2)には、交換ユニットの新品検出回路としてヒューズを実装し、新品を検知するとヒューズを溶断する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−40373号公報
【特許文献2】特開2007−41392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、ユニットの画像形成装置への装着に応答して、そのユニット内に実装されたヒューズを溶断させるような構成、を採用した場合には、その溶断動作時に、溶断動作を行なうための回路(以下、「ヒューズ溶断回路」とも称す。)の動作を同時に確認することができる。
【0008】
ところで、このような画像形成装置が工場から出荷される段階では、一般的には、画像形成処理を行なえるように必要なユニットが装着済となっている。すなわち、製造段階において、必要なユニットの装着、ユニット内のヒューズ溶断動作、およびヒューズ溶断回路の動作確認、装着されたユニットの初期化処理などが完了した状態で、画像形成装置は出荷される。言い換えれば、工場出荷後の画像形成装置においては、出荷段階で実装されているユニットに対するヒューズ溶断動作は、原則として行なわれない。
【0009】
一方で、ヒューズは相対的に高価なコンポーネントである。そのため、工場出荷段階の画像形成装置に装着されるユニット(以下、「同梱ユニット」とも称す。)については、それに実装されるヒューズを廃止して、製造コストを低減することも考えられる。但し、この場合であっても、同梱ユニットの寿命が尽きた後に装着される新たなユニットには、ヒューズを実装しておく必要がある。
【0010】
ユニット内のヒューズ溶断動作は、ヒューズ溶断回路の動作確認を兼ねており、ユニット内のヒューズを単に廃止しただけでは、このヒューズ溶断回路の動作確認を行なうことができなくなる。そのため、別の動作確認の方法(たとえば、画像形成装置の検査ライン上で、ヒューズ溶断回路の動作確認を行なうための専用の治具を取り付け、検査、取り外しという動作確認工程)を追加的に実施する必要があり、逆に製造コストが増加するおそれもある。
【0011】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、実装されたヒューズが溶断されているか否かに応じてその状態を示す交換可能なユニット、および、当該ヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装した廉価版の交換可能なユニットのいずれが装着されても、ヒューズ溶断回路の動作確認を行なうことのできる画像形成装置を提供するものである。また、本発明は、このような画像形成装置における動作確認方法、および、このような画像形成装置に向けられた動作確認プログラムについても提供し得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明のある局面に従う画像形成装置は、交換可能なユニットを装着するためのインターフェイスと、ヒューズを実装したユニットが装着された場合に、当該ヒューズを溶断する電流を供給するための溶断回路と、装着されたユニットに実装されたヒューズを含む回路を構成するとともに、当該ヒューズの溶断の有無に依存して変化する電位を検出するための検出回路と、制御部とを含む。制御部は、ヒューズを実装したユニットが装着された場合に、検出回路によって、当該ヒューズが溶断されていないことを示す電位が検出されると、当該装着されたユニットを第1の状態であると判断し、当該ヒューズが溶断されていることを示す電位が検出されると、当該装着されたユニットを第2の状態であると判断する手段と、ヒューズを実装したユニットに対して溶断回路が当該ヒューズを溶断する電流を供給した場合に、電流供給前および電流供給後において検出回路が検出するそれぞれの電位に基づいて、溶断回路の動作確認を行なう手段と、ヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装したユニットに対して溶断回路が電流を供給した場合に、電流供給前および電流供給中において検出回路が検出するそれぞれの電位、あるいは、電流供給前および電流供給後において検出回路が検出するそれぞれの電位、に基づいて溶断回路の動作確認を行なう手段とを含む。
【0013】
好ましくは、交換可能なユニットは、ヒューズおよび非溶断のコンポーネントのいずれが実装されているかを示す識別コンポーネントを有しており、本画像形成装置は、識別コンポーネントと電気的に接続されることで、装着されているユニットの種別を特定するための種別特定回路をさらに含む。
【0014】
好ましくは、制御部は、ヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装したユニットに対して溶断回路が電流を供給中に検出回路によって検出される電位が、当該ユニットに対して電流を供給していない状態で検出回路によって検出された電位と異なっていれば、溶断回路の動作が正常であると判断する。
【0015】
あるいは好ましくは、制御部は、ヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装したユニットに対して溶断回路が所定期間にわたって電流を供給した後に検出回路によって検出される電位が、当該ユニットに対して電流を供給していない状態で検出回路によって検出された電位から変化していなければ、溶断回路の動作が正常であると判断する。
【0016】
好ましくは、溶断回路は、ヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装したユニットについて、溶断回路の動作確認が過去に行なわれていない場合に、電流を供給する。
【0017】
さらに好ましくは、制御部は、溶断回路についての動作確認の履歴を格納するための記憶部を含む。
【0018】
好ましくは、非溶断のコンポーネントは、抵抗素子である。
この発明の別の局面に従えば、交換可能なユニットが装着される画像形成装置の動作確認方法を提供する。画像形成装置は、当該ユニットが第1および第2の状態のいずれであるかを示すためにヒューズを実装した第1種別のユニット、および、第1種別のユニットにおいてヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装した第2種別のユニットのいずれをも装着可能なインターフェイスを含む。本動作確認方法は、画像形成装置への交換可能なユニットの装着後、装着されたユニットが第1種別および第2種別のいずれであるかを特定するステップと、第1種別のユニットが装着されたと特定された場合に、当該ユニットに実装されたヒューズとともに回路を構成する検出回路により、当該ヒューズの溶断の有無に依存して変化する電位を検出するステップと、検出した電位に基づいて、装着された第1種別のユニットが第1および第2の状態のいずれであるかを判断するステップと、装着された第1種別のユニットが第1の状態である場合に、溶断回路を用いて、当該ユニットに実装されたヒューズを溶断するための電流を供給するステップと、装着された第1種別のユニットに実装されたヒューズを含む検出回路において、電流供給前および電流供給後において検出されるそれぞれの電位に基づいて、溶断回路の動作確認を行なうステップと、第2種別のユニットが装着されたと特定された場合に、溶断回路の動作確認が過去に行なわれているか否かを判断するステップと、溶断回路の動作確認が過去に行なわれていない場合に、溶断回路を用いて、装着された第2種別のユニットに実装された非溶断のコンポーネントに電流を供給するステップと、装着された第2種別のユニットに実装された非溶断のコンポーネントとともに回路を構成する検出回路において、電流供給前および電流供給中において検出回路が検出するそれぞれの電位、あるいは、電流供給前および電流供給後において検出回路が検出するそれぞれの電位、に基づいて溶断回路の動作確認を行なうステップとを含む。
【0019】
この発明のさらに別の局面に従えば、交換可能なユニットが装着される画像形成装置で実行される動作確認プログラムを提供する。画像形成装置は、当該ユニットが第1および第2の状態のいずれであるかを示すためにヒューズを実装した第1種別のユニット、および、第1種別のユニットにおいてヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装した第2種別のユニットのいずれをも装着可能なインターフェイスを含む。本動作確認プログラムは、画像形成装置のプロセッサに、画像形成装置への交換可能なユニットの装着後、装着されたユニットが第1種別および第2種別のいずれであるかを特定するステップと、第1種別のユニットが装着されたと特定された場合に、当該ユニットに実装されたヒューズを含む回路から、当該ヒューズの溶断の有無に依存して変化する電位を取得するステップと、取得した電位に基づいて、装着された第1種別のユニットが第1および第2の状態のいずれであるかを判断するステップと、装着された第1種別のユニットが第1の状態である場合に、当該ユニットに実装されたヒューズを溶断するための電流を溶断回路から供給させるステップと、装着された第1種別のユニットに実装されたヒューズを含む回路から取得された、電流供給前および電流供給後におけるそれぞれの電位に基づいて、溶断回路の動作確認を行なうステップと、第2種別のユニットが装着されたと特定された場合に、溶断回路の動作確認が過去に行なわれているか否かを判断するステップと、溶断回路の動作確認が過去に行なわれていない場合に、装着された第2種別のユニットに実装された非溶断のコンポーネントに電流を溶断回路から供給させるステップと、装着された第2種別のユニットに実装された非溶断のコンポーネントを含む回路において、電流供給前および電流供給中において検出されたそれぞれの電位、あるいは、電流供給前および電流供給後において検出されたそれぞれの電位、に基づいて溶断回路の動作確認を行なうステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、実装されたヒューズが溶断されているか否かに応じてその状態を示す交換可能なユニット、および、当該ヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装した廉価版の交換可能なユニットのいずれが装着されても、ヒューズ溶断回路の動作確認を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態に従う画像形成装置の概略構成図である。
【図2】この発明の実施の形態に従う画像形成装置におけるユニットの状態検出に係るブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態に従う画像形成装置における状態検出に係る回路構成(ヒューズ版ユニット装着時)の一例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態に従う画像形成装置における状態検出に係る回路構成(抵抗版ユニット装着時)の一例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態に従うヒューズ溶断動作時の検出モニタラインに表れる電位の時間的変化を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態に従うヒューズ溶断動作時の各段階における検出モニタラインに表れる電位の状態を示す一覧表である。
【図7】この発明の実施の形態に従う画像形成装置100におけるヒューズ溶断回路50に係る全体処理を示すフローチャートである。
【図8】図7に示すステップS2およびS10において実行されるヒューズ溶断サブルーチンの処理内容を示すフローチャートである。
【図9】図8に示すステップS106において実行されるヒューズ版処理サブルーチンの処理内容を示すフローチャートである。
【図10】図8に示すステップS108において実行される抵抗版処理サブルーチンの処理内容を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態に従う画像形成装置の適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0023】
<A.全体構成>
まず、本実施の形態に従う画像形成装置の全体構成について説明する。
【0024】
図1は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置100の概略構成図である。なお、図1には、本発明に係る画像形成装置の典型例として、タンデム型のカラープリントエンジンを搭載した構成を例示する。しかしながら、本発明は、交換可能なユニットを装着可能であれば、どのような種類の画像形成装置にも適用可能である。そのため、本発明に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、および複合機として具現化されてもよい。また、プリントエンジンとしては、カラー/モノクロ、レーザ方式/インクジェット方式/サーマル方式/ドットインパクト方式、および、タンデム方式/サイクル方式といったいずれの種類を採用してもよい。
【0025】
図1を参照して、画像形成装置100は、制御部1と、プリントエンジン10と、スタッカ20と、両面ユニット30とを含む。プリントエンジン10は、転写ベルト11と、現像ユニット12C,12M,12Y,12Kと、プリントヘッドユニット17と、トナーユニット18C,18M,18Y,18Kと、定着器19とを含む。
【0026】
制御部1は、後述するようなユニットの状態を判断する処理に加えて、画像形成装置100の全体処理を司る。
【0027】
現像ユニット12C,12M,12Y,12Kは、それぞれ、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のトナー像を形成する。なお、現像ユニット12C,12M,12Y,12Kを「現像ユニット12」とも総称する。なお、図1には、各色を区別するために、参照符号に「C」,「M」,「Y」,「K」を付加して表現している。
【0028】
現像ユニット12C,12M,12Y,12Kは、転写ベルト11の移動方向に沿って一列に配置されており、各現像ユニット12が形成した対応する色のトナー像は、転写ベルト11上に順次重ね合わされる。
【0029】
現像ユニット12の各々は、感光体13と、感光体13を帯電させるための帯電チャージャ14と、帯電した感光体13に形成される静電潜像にトナーを付着させて対応する色のトナー像を感光体13上に形成するための現像器15とを含む。感光体13上の静電潜像は、プリントヘッドユニット17が画像形成要求に従って、感光体13上を露光することで形成される。
【0030】
トナーユニット18C,18M,18Y,18Kは、現像器15C,15M,15Y,15Kに対して、それぞれ対応する色のトナーを供給する。
【0031】
二次転写ローラ26は、転写ベルト11上で重ね合わされたトナー像を用紙8に転写する。そして、定着器19は、用紙8上に転写されたトナー像を熱および圧力によって定着させる。具体的には、定着器19は、加圧ローラ19aと、加熱ローラ19bおよび19cとを含む。加熱ローラ19cの内部にはヒータが設けられており、加熱ローラ19bと加熱ローラ19cとの間を回転運動する媒体は所定の温度に制御される。トナー像を転写済の用紙8が定着器19を通過する際に、加圧ローラ19aから圧力が加えられるとともに、加熱ローラ19bから熱が加えられて、トナー像が用紙8上に定着する。
【0032】
スタッカ20は、用紙8を保持する。画像形成要求に従って、取出ローラ22がスタッカ20から用紙8を取り出して、搬送経路21に沿って搬送する。搬送経路21上には、二次転写ローラ26に加えてタイミングローラ24が設けられている。タイミングローラ24は、転写ベルト11上に形成されたトナー像の位置と同期するタイミングで、搬送された用紙8を二次転写ローラ26へ供給する。
【0033】
搬送経路21上には、さらに、排出ローラ28が設けられている。排出ローラ28は、定着器19においてトナー像が定着された印刷物を排出トレイへ搬送する。この排出ローラ28は、用紙8に対して両面印刷をする場合には、片面印刷された用紙8を両面ユニット30へ戻す。すなわち、定着器19において片面にトナー像が定着された用紙8が到着すると、排出ローラ28は、通常とは逆方向に回転して、その用紙8を両面ユニット30へ搬送する。
【0034】
両面ユニット30においては、戻り経路31に沿って、搬送ローラ32および34が配置されている。この搬送ローラ32および34は、戻り経路31に沿って用紙8をスタッカ20側に戻す。そして、用紙8の反対面に対して、同様の処理によってトナー像を定着する。
【0035】
<B.交換可能なユニット>
本実施の形態に従う「交換可能なユニット」としては、図1に示す、トナーユニット18C,18M,18Y,18K、現像ユニット12C,12M,12Y,12K、定着器19、転写ベルト11などを示す。すなわち、本実施の形態に従う「交換可能なユニット」は、基本的には、画像形成装置100の耐用期間に比較して、その寿命が相対的に短い消耗品に類するものであり、当初から交換されることが予定されているものを意味する。
【0036】
これらの交換可能なユニットについては、原則的には、少なくとも新品であるか否かを判断するためにヒューズが装着されていることとする。このようにヒューズが装着されているユニットを、後述するユニットと区別するために、「ヒューズ版」あるいは「ヒューズ版ユニット」とも称す。
【0037】
なお、本明細書における「ヒューズ」とは、所定の電気的な操作を行なうことで断線状態となり得るコンポーネントを意味する。
【0038】
これに対して、本実施の形態に従う画像形成装置は、上述のヒューズ版ユニットにおけるヒューズに代えて、抵抗を実装した廉価版のユニットに対しても対応可能となっている。このように抵抗が装着されているユニットを、「抵抗版」あるいは「抵抗版ユニット」とも称す。
【0039】
本実施の形態に従う交換可能な各ユニットにおいては、画像形成装置100が当該ユニットの状態(典型的には、当該ユニットが新品であるか否かなど)を取得できるように、このようなヒューズまたは抵抗を含む状態検出用チップが実装されているとする。図1には、一例として、現像ユニット12C,12M,12Y,12Kに、それぞれ状態検出用チップ16C,16M,16Y,16Kが実装されている例を示す。
【0040】
以下、上述のような状態検出用チップを用いて、交換可能なユニットについての状態を検出するための回路構成について説明する。
【0041】
<C.ユニットの状態検出に係る構成>
図2は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置におけるユニットの状態検出に係るブロック図である。図3および図4は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置における状態検出に係る回路構成の一例を示す図である。
【0042】
図2を参照して、画像形成装置に対して、ヒューズ版ユニット60Aまたは抵抗版ユニット60Bが装着される。すなわち、ヒューズ版ユニット60Aは、当該ユニットが新品であるか否かを示すためのヒューズ63を有しており、一方、抵抗版ユニット60Bは、ヒューズ63に代えて、非溶断のコンポーネントである抵抗素子(以下、単に「抵抗」と称す。)62を有している。なお、図2には、1つのヒューズ版ユニット60Aと、2つの抵抗版ユニット60Bとが装着されている例を示すが、この組合せは、画像形成装置100の使用状況に応じて変化し得る。
【0043】
ヒューズ溶断回路50は、これらの画像形成装置に装着されるユニットと電気的に接続される。また、ヒューズ溶断回路50は、制御部1と電気的に接続される。後述するように、ヒューズ溶断回路50は、ヒューズを実装したユニットが装着された場合に、当該ヒューズを溶断する電流を供給するための溶断回路と、装着されたユニットに実装されたヒューズを含む回路を構成するとともに、当該ヒューズの溶断の有無に依存して変化する電位を検出するための検出回路とを含む。
【0044】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)40と、ROM(Read Only Memory)41と、不揮発性メモリ42と、D/A(Digital to Analog)コンバータ44と、A/D(Analog to Digital)コンバータ46とを含む。
【0045】
CPU40は、予め用意されたプログラムに従って処理することで、画像形成装置100の動作に係る各種機能を提供する。CPU40により実行されるプログラムは、典型的には、ROM41に格納されている。
【0046】
不揮発性メモリ42は、典型的には、フラッシュメモリなどからなり、画像形成装置100の動作において必要な情報を保持する。たとえば、不揮発性メモリ42は、画像形成動作に係るカウント値に加えて、後述するような、ヒューズ溶断回路50の動作確認履歴や装着されているユニットの状態(初期化済や濃度調整結果など)を保持する。すなわち、不揮発性メモリ42は、ヒューズ溶断回路50についての動作確認の履歴を格納するための記憶部として機能する。
【0047】
D/Aコンバータ44は、CPU40から与えら得るデジタル指令に従って、アナログ値(電位)を出力する。典型的には、後述するヒューズ溶断回路50に含まれるトランジスタなどに対して、ハイレベル(「HI」)またはローレベル(「LO」)の電位を与える。
【0048】
A/Dコンバータ46は、入力されるアナログ値(電位)を参照電位と比較することで、デジタル値(HIレベルまたはLOレベルの2値、あるいは、256階調に量子化された値)などをCPU40へ出力する。
【0049】
ヒューズ溶断回路50は、画像形成装置に装着されるヒューズ版ユニット60Aまたは抵抗版ユニット60Bと電気的に接続するためのインターフェイス回路、ヒューズ版ユニット60Aが有するヒューズ63を溶断するための回路、および、装着されているユニットのヒューズが溶断されているか否かを判断するための回路を含む。
【0050】
図3には、画像形成装置にヒューズ版ユニット60Aが装着されている状態における、1つのユニットとヒューズ溶断回路50との間に構成される電気回路の一例を示す。一方、図4には、画像形成装置に抵抗版ユニット60Bが装着されている状態における、1つのユニットとヒューズ溶断回路50との間に構成される電気回路の一例を示す。
【0051】
図3を参照して、ヒューズ溶断回路50は、コネクタ70を介して、ヒューズ版ユニット60Aと電気的に接続される。なお、画像形成装置100は、図4に示すコネクタ70に加えて、交換可能なユニットと機械的に結合する部分を、ユニットを装着するためのインターフェイスとして含む。
【0052】
ヒューズ溶断回路50は、画像形成装置の電源装置(図示しない)に接続された電源ライン51を含む。電源ライン51には、制御電源Vcc(典型的には、5V)が供給されているものとする。電源ライン51は、ヒューズ版ユニット60Aの電源ライン68と電気的に接続される。さらに、ヒューズ版ユニット60Aは、その一端が電源ライン68と電気的に接続されたヒューズ63と、その一端がノード66と電気的に接続されたチップ種別抵抗64とを含む。
【0053】
チップ種別抵抗64は、対応するユニットの種別を識別できるような抵抗値を有する。本実施の形態においては、少なくとも、チップ種別抵抗64は、ヒューズ版ユニット60Aと抵抗版ユニット60Bとを区別できるように、それぞれ異なる抵抗値を有するように選択される。すなわち、チップ種別抵抗64は、ヒューズ63および抵抗62のいずれが実装されているかを示すための識別コンポーネントの一例である。そして、この識別コンポーネントであるチップ種別抵抗64と電気的に接続されることで、装着されているユニットの種別が特定される。なお、このような識別コンポーネントの他の例としては、ICタグや、バーコードなどを用いてもよい。
【0054】
ヒューズ63およびチップ種別抵抗64のそれぞれの他端は、コネクタ70において独立したポートに接続される。
【0055】
ヒューズ溶断回路50は、コネクタ70を介してヒューズ63に接続される、抵抗55およびトランジスタ54を含む。トランジスタ54のエミッタは、グランドGNDと電気的に接続される。すなわち、電源ライン68とグランドGNDとの間には、ヒューズ63、抵抗55、およびトランジスタ54が直列に接続される。
【0056】
また、抵抗55とトランジスタ54のコレクタとの中間点であるノード57と、トランジスタ54のエミッタとグランドGNDとの中間点であるノード59との間には、抵抗56が電気的に接続される。この抵抗56とノード57との中間点であるノード58に表れる電位は、検出モニタラインとして、図2に示すA/Dコンバータ46に入力される。
【0057】
さらに、ヒューズ溶断回路50は、そのエミッタが電源ライン51と電気的に接続されたトランジスタ52を含む。トランジスタ52のコレクタは、抵抗53を通じて、トランジスタ54のベースに接続される。トランジスタ52のベースには、図2に示すD/Aコンバータ44から切断リモート信号が供給される。
【0058】
すなわち、ヒューズ版ユニット60Aが装着されると、ヒューズ版ユニット60Aに実装されたヒューズ63を含む検出回路が構成されるとともに、ヒューズ63の溶断の有無に依存して変化する電位が検出モニタラインとして検出される。
【0059】
さらに、ヒューズ溶断回路50は、その一端がコネクタ70を介してチップ種別抵抗64と電気的に接続される抵抗72を含む。抵抗72の他端は、グランドGNDと電気的に接続される。すなわち、電源ライン68とグランドGNDとの間には、チップ種別抵抗64および抵抗72が直列に接続される。チップ種別抵抗64と抵抗72との中間点であるノード74に表れる電位は、種別モニタラインとして、図2に示すA/Dコンバータ46に入力される。
【0060】
これに対して、図4に示すように、抵抗版ユニット60Bでは、ヒューズ63に代えて、抵抗62が実装される。その他は、チップ種別抵抗64の抵抗値の大きさが抵抗版ユニット60Bに含まれるチップ種別抵抗64の抵抗値の大きさとは異なる点を除いて、抵抗版ユニット60Bと同様の構成を有するので、同一の説明は繰返さない。
【0061】
図3および図4に示すように、チップ種別抵抗64の抵抗値と抵抗72の抵抗値との比率に応じた電位が種別モニタラインに表れるため、抵抗72の有する抵抗値が既知であれば、この種別モニタラインの電位に基づいて、チップ種別抵抗64の抵抗値、すなわち、装着されているユニットの種別を特定できる。
【0062】
<D.ヒューズ溶断動作>
次に、図3に示すヒューズ63を溶断するための動作について説明する。図3および図4に示す符号500で囲まれた範囲の回路が、ヒューズ版ユニット60Aのヒューズ63を溶断させる。
【0063】
まず、このヒューズ63を溶断するタイミングは、原則として、各ヒューズ版ユニット60Aが画像形成装置に新規に装着された直後である。後述するように、CPU40(図2)が装着されたヒューズ版ユニット60Aのヒューズ63を溶断する必要があると判断すると、切断リモート信号を「ON」に切替える。図3および図4に示す回路においては、切断リモート信号が「ON」にされると、トランジスタ52のベースにはローレベル(LO)の電位が与えられる。すなわち、切断リモート信号が「OFF」の期間は、トランジスタ52のベースにはハイレベル(HI)の電位が与え続けられている。
【0064】
切断リモート信号の「ON」に伴って、トランジスタ52は、活性化して導通状態となる。このとき、トランジスタ54のベースには、抵抗53を介して、制御電源Vccの電位(ハイレベル)が与えられる。すると、トランジスタ54も活性化して導通状態となる。この結果、ヒューズ版ユニット60Aの電源ライン68から、ヒューズ63、コネクタ70、抵抗55、トランジスタ54、および、グランドGNDの順に電流(溶断電流)が流れる。ヒューズ63は、この溶断電流が所定期間にわたって流れ続けることで、溶断する。
【0065】
一方、CPU40(図2)は、切断リモート信号を「ON」に切替えてから所定時間経過後に、切断リモート信号を「OFF」に復帰する。すなわち、トランジスタ52のベースに与えられる電位がローレベル(LO)からハイレベル(HI)に変更される。すると、トランジスタ52は再び不活性化して非導通状態に復帰するとともに、トランジスタ54も非導通状態に復帰する。
【0066】
以上のような一連の動作によって、ヒューズ版ユニット60Aに実装されたヒューズ63の溶断動作が完了する。
【0067】
本実施の形態に従うヒューズ溶断回路50は、抵抗版ユニット60Bに対しても、ヒューズ版ユニット60Aと同様のタイミングで、同様のヒューズ溶断動作を行なう。これは、後述するように、ヒューズ溶断回路50の動作確認をするためである。但し、抵抗版ユニット60Bにおいて、ヒューズ63に代えて実装される抵抗62は、このヒューズ溶断動作により流れる溶断電流に対して十分に耐力をもっており、溶断しないようになっている。
【0068】
そのため、ヒューズ版ユニット60Aが画像形成装置100に装着されている場合におけるヒューズ溶断回路50の動作確認ロジックを、そのまま、抵抗版ユニット60Bが画像形成装置100に装着されている場合に適用することはできない。したがって、本実施の形態に従う画像形成装置100は、後述するように、いずれのユニットが装着されているのかを判別した上で、それぞれのユニットの応じた動作確認ロジックを用いて、ヒューズ溶断回路50の動作確認を行なう。
【0069】
<E.ヒューズ溶断回路の動作確認>
上述したようなヒューズ溶断動作時に行なわれるヒューズ溶断回路50の動作確認について説明する。
【0070】
図5は、この発明の実施の形態に従うヒューズ溶断動作時の検出モニタラインに表れる電位の時間的変化を示す図である。図6は、この発明の実施の形態に従うヒューズ溶断動作時の各段階における検出モニタラインに表れる電位の状態を示す一覧表である。
(1.ヒューズ版ユニット)
図5(A)および図5(B)を参照して、ヒューズ版ユニット60Aに対して、上述のヒューズ溶断動作時におけるヒューズ溶断回路50の動作確認ロジックについて説明する。図5(A)は、ヒューズ溶断回路50が正常動作している場合の例を示し、図5(B)は、ヒューズ溶断回路50に何らかの異常がある場合の例を示す。
【0071】
まず、非溶断状態のヒューズが装着されている状態を考える。図3に示す回路において、ヒューズが非溶断状態であり、かつ、切断リモート信号が「OFF」の期間においては、電源ライン68から、ノード66、ヒューズ63、コネクタ70、抵抗55、ノード57、抵抗56、ノード59、および、グランドGNDの順に電流経路が形成される。ここで、抵抗56の抵抗値は相対的に大きな値に設定されるので、実際に定常的に流れる電流は小さい値に制限される。そのため、ヒューズ63が溶断することはない。また、ノード58には、抵抗56に流れる電流により生じる電圧降下分の電位が表れる。そのため、図5(A)の時刻t1までの期間として示すように、検出モニタラインには、ハイレベル(HI)の電位信号が表れる。
【0072】
次に、時刻t1において、切断リモート信号(図3)が「OFF」から「ON」に切替えられたとする。すると、図3に示す回路において、トランジスタ54が導通状態となるので、ノード57からトランジスタ54を介してグランドGNDまで通じる電流経路が形成される。これは、ノード57から抵抗56を介してグランドGNDまで通じる電流経路のバイパス経路となる。そのため、電源ライン68からグランドGNDに向けてより大きな貫通電流が流れる。この貫通電流がヒューズ63を流れることで、ヒューズ63はその抵抗損失によって加熱して最終的に溶断に至る。なお、ヒューズ63の溶断過程において、その抵抗値は変動するので、流れる貫通電流の大きさは時間的に変動する。最終的に、ヒューズ63の溶断後は、電流経路が遮断されるので、貫通電流は流れない。
【0073】
トランジスタ54が導通状態となっている状態では、検出モニタラインが接続されているノード58の電位は、ノード57の電位とほぼ同一となる。すなわち、検出モニタラインには、トランジスタ54のコレクタ−エミッタ間に生じる電圧降下分の電位が表れる。そのため、図5(A)の時刻t1〜時刻t2の期間として示すように、検出モニタラインには、ヒューズ63が溶断するまでは、ハイレベル(HI)とローレベル(LO)との間の中間的な電位が表れ、ヒューズ63が溶断した後は、ローレベル(LO)の電位が表れる。
【0074】
さらに、時刻t2において、切断リモート信号(図3)が「ON」から「OFF」に復帰したとする。なお、時刻t2は、ヒューズ63が溶断するのに十分な期間として予め設定される。上述したように、ヒューズ63が溶断していれば、電源ライン68からグランドGNDまで通じる電流経路が形成されないので、検出モニタラインに表れる電位は、ローレベル(LO)のまま維持される。
【0075】
以上説明したような手順により、ヒューズ溶断動作が完了する。
ヒューズ溶断回路50の動作確認は、検出モニタラインに表れる電位が図5(A)に示すような時間的変化を示すか否かを判断することで行なわれる。そのため、検出モニタラインに表れる電位が本来とは異なる時間的変化をした場合には、ヒューズ溶断回路50が異常であると判断できる。
【0076】
たとえば、図5(B)には、図3に示すトランジスタ54の導通状態における抵抗値が設計どおりの値まで小さくならない場合の例を示す。この場合には、十分な大きさの貫通電流が流れないので、ヒューズ63を溶断させることができない。そのため、図5(B)に示すように、時刻t1〜時刻t2の期間において、検出モニタラインには、ローレベル(LO)の電位が表れない。また、切断リモート信号(図3)が「ON」から「OFF」に復帰した後(時刻t2以降)では、検出モニタラインには、時刻t1より以前と同様に、ハイレベル(HI)の電位が表れる。
【0077】
そのため、時刻t1〜時刻t2における検出モニタラインに表れる電位の時間的変化、および/または、時刻t2以降に検出モニタラインに表れる電位のレベルに基づいて、ヒューズ溶断回路50が正常動作しているか否かを判断できる。
【0078】
なお、ヒューズ溶断回路50の異常時において、検出モニタラインに表れる電位の時間的変化としては、図5(B)に示すもの以外にも、その異常原因に応じて、複数種類のものが生じ得る。
(2.抵抗版ユニット)
図5(C)および図5(D)を参照して、抵抗版ユニット60Bに対して、上述のヒューズ溶断動作時におけるヒューズ溶断回路50の動作確認ロジックについて説明する。図5(C)は、ヒューズ溶断回路50が正常動作している場合の例を示し、図5(D)は、ヒューズ溶断回路50に何らかの異常がある場合の例を示す。
【0079】
本実施の形態に従う画像形成装置100においては、抵抗版ユニット60Bが装着されている場合においても、上述したヒューズ版ユニット60Aが装着されている場合と同様のヒューズ溶断動作が実行される。すなわち、図4に示す回路において、切断リモート信号が「OFF」から「ON」に切替えられた後、所定期間にわたって「ON」が維持される(時刻t1〜時刻t2の期間)。その後、切断リモート信号が「ON」から「OFF」に復帰する(時刻t2)。
【0080】
上述のようなヒューズ溶断動作が実行されたとしても、抵抗版ユニット60Bの抵抗62が溶断することはない。そのため、ヒューズ溶断回路50が正常動作していれば、切断リモート信号が「ON」から「OFF」に復帰した後に、検出モニタラインに表れる電位は、当初の状態(切断リモート信号が「OFF」の状態)において、検出モニタラインに表れていた電位と同じになる。
【0081】
より具体的には、図4に示す回路において、切断リモート信号が「OFF」の期間においては、電源ライン68から、ノード66、抵抗62、コネクタ70、抵抗55、ノード57、抵抗56、ノード59、および、グランドGNDの順に電流経路が形成される。ここで、ノード58には、抵抗56に流れる電流により生じる電圧降下分の電位が表れる。そのため、図5(C)の時刻t1までの期間として示すように、検出モニタラインには、ハイレベル(HI)の電位が表れる。
【0082】
一方、図4に示す回路において、切断リモート信号が「ON」の期間においては、トランジスタ54が導通状態となるので、ノード57からトランジスタ54を介してグランドGNDまで通じる電流経路が形成される。これは、ノード57から抵抗56を介してグランドGNDまで通じる電流経路のバイパス経路となる。このとき、検出モニタラインが接続されているノード58の電位は、ノード57の電位とほぼ同一となる。すなわち、検出モニタラインには、トランジスタ54のコレクタ−エミッタ間に生じる電圧降下分の電位が表れる。
【0083】
但し、抵抗版ユニット60Bに含まれる抵抗62の抵抗値は相対的に大きな値に設定されるので、ヒューズ版ユニット60Aが装着された場合とは異なり、流れる貫通電流はより小さい値に制限される。そのため、図5(C)の時刻t1〜時刻t2の期間として示すように、検出モニタラインには、ほぼローレベル(LO)の電位が表れる。
【0084】
さらに、時刻t2において、切断リモート信号(図4)が「ON」から「OFF」に復帰したとする。このとき、抵抗版ユニット60Bの抵抗62の電気的な特性が変化するわけではないので、電源ライン68から、ノード66、抵抗62、コネクタ70、抵抗55、ノード57、抵抗56、ノード59、および、グランドGNDの順に電流経路が再度形成される。そのため、図5(C)の時刻t2以降の期間として示すように、検出モニタラインには、ハイレベル(HI)の電位が表れる。
【0085】
したがって、抵抗版ユニット60Bが装着された場合には、検出モニタラインに本来表れる電位として図5(C)に示すような時間的変化を採用する。そして、検出モニタラインに表れる電位が図5(C)に示すような時間的変化を示すか否かに基づいて、ヒューズ溶断回路50の動作確認を行なう。
【0086】
たとえば、図5(D)には、図4に示すトランジスタ54が活性化しない場合の例を示す。この場合には、切断リモート信号(図4)を「OFF」から「ON」に変化させても、トランジスタ54を含む電流経路のバイパス経路が形成されないので、時刻t1〜時刻t2の期間において、検出モニタラインに表れる電位、ハイレベル(HI)のままとなっている。すなわち、切断リモート信号(図4)の「OFF」から「ON」へ変化させたにもかかわらず、検出モニタラインに表れる電位は変化していない。
【0087】
そのため、時刻t1〜時刻t2における検出モニタラインに表れる電位の時間的変化、および/または、時刻t2以降に検出モニタラインに表れる電位のレベルに基づいて、ヒューズ溶断回路50が正常動作しているか否かを判断できる。
【0088】
なお、ヒューズ溶断回路50の異常時において、検出モニタラインに表れる電位の時間的変化としては、図5(D)に示すもの以外にも、その異常原因に応じて、複数種類のものが生じ得る。
(3.まとめ)
以上のように、本実施の形態に従う画像形成装置100は、各ユニットに含まれるチップ種別抵抗64の抵抗値に基づいて、装着されているユニットの種別(ヒューズ版ユニット60Aおよび抵抗版ユニット60Bのいずれであるか)を判別し、この取得された種別に応じて、図5(A)または図5(C)に示すいずれかの時間的変化を本来の変化として、ヒューズ溶断回路50の動作確認を行なう。
【0089】
図6には、画像形成装置100に装着されるユニットの種別毎に、検出モニタラインに表れるべき電位の組合せを示す。装着されるユニット毎に、ヒューズ溶断動作を行なった場合に、検出ラインモニタに表れる電位が図6に示すような変化をするか否かに基づいて、ヒューズ溶断回路50の動作確認を行なう。
【0090】
<F.処理手順>
図7は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置100におけるヒューズ溶断回路50に係る全体処理を示すフローチャートである。図8は、図7に示すステップS2およびS10において実行されるヒューズ溶断サブルーチンの処理内容を示すフローチャートである。図9は、図8に示すステップS106において実行されるヒューズ版処理サブルーチンの処理内容を示すフローチャートである。図10は、図8に示すステップS108において実行される抵抗版処理サブルーチンの処理内容を示すフローチャートである。
【0091】
なお、図7〜図10に示す各ステップは、典型的には、制御部1のCPU40がプログラムを実行することで提供される。代替的に、その全部または一部を専用のハードウェア回路として実装してもよい。
(1.全体処理)
図7に示す処理は、画像形成装置100が電源投入状態である間、繰返し実行される。すなわち、まず、画像形成装置100の電源が投入されると、CPU40は、ヒューズ溶断サブルーチンを実行する(ステップS2)。このヒューズ溶断サブルーチンは、装着されている各ユニットについての、(1)ヒューズが溶断状態であるか否かのチェック、(2)(必要に応じて)ヒューズの溶断、(3)ヒューズ溶断回路50の動作確認、および、(4)ユニットの初期化処理、などを含む。ヒューズ溶断サブルーチンの詳細については、図8〜図10を参照して後述する。
【0092】
続くステップS4において、CPU40は、印字要求を受付けたか否かを判断する。印字要求を受付けた場合(ステップS4においてYESの場合)には、CPU40は、印字処理を実行する(ステップS6)。そして、処理はステップS8へ進む。一方、印字要求を受付けていない場合(ステップS4においてNOの場合)には、印字処理をスキップして、処理はステップS8へ進む。
【0093】
ステップS8において、CPU40は、ユニットを装着するための操作がなされたか否かを判断する。典型的には、CPU40は、画像形成装置100のカバーの開閉動作や、ユニットのロック解除などを検知したか否かを判断する。
【0094】
ユニットを装着するための操作がなされた場合(ステップS8においてYESの場合)には、CPU40は、ヒューズ溶断サブルーチンを実行する(ステップS10)。そして、処理はステップS12へ進む。一方、ユニットを装着するための操作がなされていない場合(ステップS8においてNOの場合)には、ヒューズ溶断サブルーチンをスキップして、処理はステップS12へ進む。
【0095】
ステップS12において、CPU40は、電源遮断要求を受付けたか否かを判断する。電源遮断要求を受付けていない場合(ステップS12においてNOの場合)には、CPU40は、ステップS4以下の処理を繰返す。一方、電源遮断要求を受付けた場合(ステップS12においてYESの場合)には、処理を終了する。
(2.ヒューズ溶断サブルーチン)
次に、図8を参照して、図7に示すステップS2およびS10において実行されるヒューズ溶断サブルーチンの処理内容について説明する。
【0096】
まず、ステップS100において、CPU40は、装着されているユニットのうち、第1番目のユニットを処理対象に設定する。
【0097】
続くステップS102において、CPU40は、処理対象のユニットに対応する種別モニタラインに表れている電位を取得する。すなわち、CPU40は、処理対象のユニットに実装されているチップ種別抵抗64の抵抗値に応じて生じる電圧値を取得する。そして、ステップS104において、CPU40は、処理対象のユニットがヒューズ版ユニットおよび抵抗版ユニットのいずれであるかを判断する。すなわち、CPU40は、画像形成装置100へのユニットの装着後、装着されたユニットがヒューズ版および抵抗版のいずれであるかを特定する。
【0098】
処理対象のユニットがヒューズ版ユニットである場合(ステップS104において「ヒューズ版」の場合)には、処理はステップS106へ進む。一方、処理対象のユニットが抵抗版ユニットである場合(ステップS104において「抵抗版」の場合)には、処理はステップS108へ進む。
【0099】
ステップS106において、CPU40は、図9に示すヒューズ版処理サブルーチンを実行する。サブルーチン実行後、処理はステップS110へ進む。また、ステップS108において、CPU40は、図10に示す抵抗版処理サブルーチンを実行する。サブルーチン実行後、処理はステップS110へ進む。
【0100】
ステップS110において、CPU40は、処理対象とすべきユニットが残っているか否かを判断する。処理対象とすべきユニットが残っている場合(ステップS110においてYESの場合)には、次のユニットを処理対象に設定し(ステップS112)、ステップS102以下の処理を繰返す。
【0101】
一方、処理対象とすべきユニットが残っていない場合(ステップS110においてNOの場合)には、処理は図7に示すメインルーチンにリターンする。
(3.ヒューズ版処理サブルーチン)
次に、図9を参照して、図8に示すステップS106において実行されるヒューズ版処理サブルーチンの処理内容について説明する。
【0102】
まず、ステップS200において、CPU40は、処理対象のユニットに対応する検出モニタラインに表れている電位を取得する。続くステップS202において、CPU40は、ステップS200において取得した電位がハイレベル(HI)であるか否かを判断する。すなわち、CPU40は、処理対象のユニットに実装されているヒューズが非溶断状態であるか否か、つまり、新品であるか否かを判断する。
【0103】
このステップS202における処理では、CPU40は、ヒューズ63を実装したユニット(ヒューズ版ユニット60A)が画像形成装置100に装着された場合に、ヒューズ63が溶断されていないことを示す電位が検出されると、当該装着されたユニットを第1の状態(新品)であると判断し、ヒューズ63が溶断されていることを示す電位が検出されると、当該装着されたユニットを第2の状態(中古品)であると判断する。言い換えれば、CPU40は、検出した電位に基づいて、装着されたヒューズ版ユニット60Aが第1および第2の状態のいずれであるかを判断する。
【0104】
なお、ヒューズ63が溶断されているか否かに依存して生じる電位の組合せは、上述したものに限られず、回路上の電位を検出するポイントに応じて、ハイレベルとローレベルとが入れ替わる場合もある。
【0105】
ステップS200において取得した電位がハイレベル(HI)でない場合(ステップS202においてNOの場合)には、処理は、図8に示すヒューズ溶断サブルーチンにリターンする。一方、ステップS200において取得した電位がハイレベル(HI)である場合(ステップS202においてYESの場合)には、処理はステップS204へ進む。そして、CPU40は、ステップS204以下において、ヒューズ溶断処理およびヒューズ溶断回路の動作確認などを実行する。
【0106】
ステップS204において、CPU40は、切断リモート信号を「OFF」から「ON」に切替え、所定期間だけ待機する(ステップS206)。すなわち、処理対象のユニットの実装されているヒューズの溶断に要する時間(図5(A)の時刻t1〜時刻t2の期間)の間、切断リモート信号を「ON」に維持する。そして、CPU40は、切断リモート信号を「ON」から「OFF」に復帰させる(ステップS208)。
【0107】
すなわち、CPU40は、装着されたヒューズ版ユニット60Aが第1の状態(新品)である場合に、ヒューズ版ユニット60Aに実装されたヒューズ63を溶断するための電流をヒューズ溶断回路50から供給させる。
【0108】
続くステップS210において、CPU40は、処理対象のユニットに対応する検出モニタラインに表れている電位を取得する。続くステップS212において、CPU40は、ステップS210において取得した電位がローレベル(LO)であるか否かを判断する。すなわち、CPU40は、処理対象のユニットに実装されているヒューズが溶断されたか否かを判断する。
【0109】
ステップS210において取得した電位がローレベル(LO)である場合(ステップS212においてYESの場合)には、処理はステップS214へ進む。一方、ステップS208において取得した電位がローレベル(LO)ではない場合(ステップS212においてNOの場合)には、処理はステップS218へ進む。
【0110】
ステップS214において、CPU40は、ヒューズ溶断回路の動作確認が正常と判断する。このとき、CPU40は、不揮発性メモリ42(図2)に、処理対象のユニットに対応するヒューズ溶断回路の動作確認が正常に終了したことを格納する。続くステップS216において、CPU40は、処理対象のユニットに対して、初期化処理を実行する。具体的には、階調値についてのキャリブレーション処理、安定化処理、各種カウント値のリセットなどが実行される。その後、処理は、図8に示すヒューズ溶断サブルーチンにリターンする。
【0111】
一方、ステップS218において、CPU40は、ヒューズ溶断回路の動作確認が異常(エラー)と判断する。このとき、CPU40は、不揮発性メモリ42(図2)に、処理対象のユニットに対応するヒューズ溶断回路の動作確認がエラー終了したことを格納する。続くステップS220において、CPU40は、エラー処理を実行する。このエラー処理は、後続の処理の中断や、操作パネル等への通知を含む。
【0112】
上述のように、図9に示すヒューズ版処理サブルーチンにおいては、ヒューズ63を実装したユニット(ヒューズ版ユニット60A)に対してヒューズ溶断回路50からヒューズ63を溶断するための電流を供給した場合に、電流供給前において検出された電位(ステップS202)および電流供給後において検出された電位(ステップS212)に基づいて、ヒューズ溶断回路50の動作確認を行なう。
(4.抵抗版処理サブルーチン)
次に、図10を参照して、図8に示すステップS108において実行される抵抗版処理サブルーチンの処理内容について説明する。
【0113】
まず、ステップS300において、CPU40は、不揮発性メモリ42(図2)から、処理対象のユニットに対応するヒューズ溶断回路の動作確認履歴を取得する。続くステップS302において、CPU40は、ステップS300において、正常終了を示す動作確認履歴を取得したか否かを判断する。すなわち、CPU40は、過去の実行されたヒューズ溶断サブルーチンによって、処理対象のユニットに対応するヒューズ溶断回路に対して動作確認が実行済であり、かつ、その結果が正常終了であったか否かを判断する。
【0114】
正常終了を示す動作確認履歴を取得した場合(ステップS302においてYESの場合)には、処理は、図8に示すヒューズ溶断サブルーチンにリターンする。一方、正常終了を示す動作確認履歴を取得しなかった場合(ステップS302においてNOの場合)には、処理はステップS304へ進む。そして、CPU40は、ステップS304以下において、ヒューズ溶断回路50の動作確認などを実行する。
【0115】
すなわち、抵抗版ユニット60Bについて、ヒューズ溶断回路50の動作確認が過去に行なわれていない場合に、ヒューズ溶断回路50の動作確認を行なうための電流が供給される。
【0116】
なお、抵抗版ユニット60Bに対するヒューズ溶断動作は、製造段階において実行されることが想定されているため、画像形成装置100に抵抗版ユニット60Bが最初に装着された時点では、不揮発性メモリ42(図2)には動作確認履歴が存在しないことが想定される。この場合には、ステップS302の処理では、「NO」と判断される。
【0117】
ステップS304において、CPU40は、切断リモート信号を「OFF」から「ON」に切替える。すなわち、CPU40は、ヒューズ溶断回路50に、装着された抵抗版ユニット60Bに実装された抵抗62へ電流を供給させる。
【0118】
続くステップS306において、CPU40は、処理対象のユニットに対応する検出モニタラインに表れている電位を取得する。続くステップS308において、CPU40は、ステップS306において取得した電位がローレベル(LO)であるか否かを判断する。
【0119】
ステップS306において取得した電位がローレベル(LO)である場合(ステップS308においてYESの場合)には、処理はステップS310へ進む。一方、ステップS306において取得した電位がローレベル(LO)ではない場合(ステップS308においてNOの場合)には、処理はステップS322へ進む。
【0120】
ステップS310において、CPU40は、切断リモート信号を「OFF」から「ON」に切替えてから所定期間が経過したか否かを判断する。切断リモート信号を「OFF」から「ON」に切替えてから所定期間が経過していない場合(ステップS310においてNOの場合)には、CPU40は、ステップS306以下の処理を繰返す。一方、切断リモート信号を「OFF」から「ON」に切替えてから所定期間が経過した場合(ステップS310においてYESの場合)には、処理はステップS312へ進む。
【0121】
すなわち、ステップS304〜S310においては、CPU40は、切断リモート信号が「ON」の期間中、処理対象のユニットに実装されている抵抗が溶断されていない否かを判断する。
【0122】
ステップS312において、CPU40は、切断リモート信号を「ON」から「OFF」に復帰させる。続くステップS314において、CPU40は、処理対象のユニットに対応する検出モニタラインに表れている電位を取得する。続くステップS316において、CPU40は、ステップS314において取得した電位がハイレベル(HI)であるか否かを判断する。すなわち、CPU40は、処理対象のユニットに実装されている抵抗が溶断されていないか否かを判断する。
【0123】
ステップS314において取得した電位がハイレベル(HI)である場合(ステップS316においてYESの場合)には、処理はステップS318へ進む。一方、ステップS314において取得した電位がハイレベル(HI)ではない場合(ステップS316においてNOの場合)には、処理はステップS322へ進む。
【0124】
ステップS318において、CPU40は、ヒューズ溶断回路の動作確認が正常と判断する。このとき、CPU40は、不揮発性メモリ42(図2)に、処理対象のユニットに対応するヒューズ溶断回路の動作確認が正常に終了したことを格納する。続くステップS320において、CPU40は、処理対象のユニットに対して、初期化処理を実行する。具体的には、階調値についてのキャリブレーション処理、安定化処理、各種カウント値のリセットなどが実行される。その後、処理は、図8に示すヒューズ溶断サブルーチンにリターンする。
【0125】
一方、ステップS322において、CPU40は、ヒューズ溶断回路の動作確認が異常(エラー)と判断する。このとき、CPU40は、不揮発性メモリ42(図2)に、処理対象のユニットに対応するヒューズ溶断回路の動作確認がエラー終了したことを格納する。続くステップS324において、CPU40は、エラー処理を実行する。このエラー処理は、後続の処理の中断や、操作パネル等への通知を含む。
【0126】
上述のように、図10に示す抵抗版処理サブルーチンにおいては、ヒューズ63に代えて非溶断のコンポーネントである抵抗素子を実装したユニット(抵抗版ユニット60B)に対してヒューズ溶断回路50が電流を供給した場合に、電流供給前において検出された電位(ステップS302)および電流供給中において検出された電位(ステップS308)、あるいは、電流供給前において検出された電位(ステップS302)および電流供給後において検出された電位(ステップS316)、に基づいて、ヒューズ溶断回路50の動作確認を行なう。
【0127】
なお、検出モニタラインに生じる電位は、回路上の電位を検出するポイントに応じて、ハイレベルとローレベルとが入れ替わる場合もある。
【0128】
そのため、前者の判断ロジック(電流供給前および電流供給中において検出回路が検出するそれぞれの電位を用いる方法)では、抵抗版ユニット60Bに対してヒューズ溶断回路50が電流を供給中に検出される電位が、抵抗版ユニット60Bに対してヒューズ溶断回路50が電流を供給していない状態で検出される電位と異なっていれば、ヒューズ溶断回路50の動作が正常であると判断する。
【0129】
一方、後者の判断ロジック(電流供給前および電流供給後において検出回路が検出するそれぞれの電位を用いる方法)では、抵抗版ユニット60Bに対してヒューズ溶断回路50が所定期間にわたって電流を供給した後に検出される電位が、抵抗版ユニット60Bに対してヒューズ溶断回路50が電流を供給していない状態で検出される電位から変化していなければ、ヒューズ溶断回路50の動作が正常であると判断する。
【0130】
<G.適用例>
図11は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置100の適用例を示す図である。図11を参照して、基本的には、本実施の形態に従う画像形成装置100の製造段階において、抵抗版ユニット60Bが装着される。すなわち、抵抗版ユニット60Bは、出荷される画像形成装置100の同梱品として使用される。そのため、一般的には、製造段階の検査工程において、上述の図8に示すヒューズ溶断処理が実行され、そのときに上述の図10に示す抵抗版処理サブルーチンに従って、ヒューズ溶断回路50の動作確認が行なわれる。同時に、装着されている抵抗版ユニットについての初期化処理も実行される。
【0131】
その後、画像形成装置100は、顧客の元へ出荷されて使用される。画像形成装置100の使用の結果、いずれかのユニットがその寿命に到達すると、新たなユニットに交換される。このとき、新たなユニットとしては、ヒューズ版ユニット60Aが用いられる。そのため、このヒューズ版ユニット60Aが画像形成装置100に装着されると、図8に示すヒューズ溶断処理に従って、その中に実装されているヒューズ63が溶断される。同時に、ヒューズ溶断回路50の動作確認および当該ユニットの初期化処理も実行される。
【0132】
以後、各ユニットは、それぞれの寿命に到達すると、ヒューズ版ユニット60Aに順次交換されていく。
【0133】
<H.その他の形態>
上述の実施の形態において説明したような制御を実行させるプログラムを任意の方法で提供することもできる。このようなプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録させた状態で提供することもできる。あるいは、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0134】
<I.作用効果>
本実施の形態に従う画像形成装置は、実装されたヒューズが溶断されているか否かに応じてその状態を示す交換可能なユニットに対して初期化処理を行なう際に、異なる状態を示すようにヒューズを溶断させる。このヒューズ溶断の際に、ヒューズ溶断回路の動作確認を行なうことができる。さらに、本実施の形態に従う画像形成装置は、上記のようなユニットのおいて、ヒューズに代えて抵抗を実装して低価格化を図ったユニットが装着された場合であっても、ヒューズが実装されたユニットの場合と同様に、ヒューズ溶断回路の動作確認を行なうことができる。
【0135】
そのため、典型的には、工場から出荷される画像形成装置などに同梱されるユニットを上記のようなヒューズ版のユニットの変更することで、ユーザに不便を与えることなく、より価格を低減することができるとともに、従来と同様にヒューズ溶断回路の動作確認を行なうことができる。したがって、出荷される画像形成装置の品質を維持することができる。
【0136】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0137】
1 制御部、8 用紙、10 プリントエンジン、11 転写ベルト、12,12C,12M,12Y,12K 現像ユニット、13 感光体、14 帯電チャージャ、15,15C,15M,15Y,15K 現像器、16C,16M,16Y,16K 状態検出用チップ、17 プリントヘッドユニット、18C,18M,18Y,18K トナーユニット、19 定着器、19a 加圧ローラ、19b,19c 加熱ローラ、20 スタッカ、21 搬送経路、22 取出ローラ、24 タイミングローラ、26 二次転写ローラ、28 排出ローラ、30 両面ユニット、31 経路、32 搬送ローラ、40 CPU、41 ROM、42 不揮発性メモリ、44 D/Aコンバータ、46 A/Dコンバータ、50 ヒューズ溶断回路、60A ヒューズ版ユニット、60B 抵抗版ユニット、51,68 電源ライン、52,54 トランジスタ、53,55,56,62,72 抵抗、57,58,59,66,74 ノード、63 ヒューズ、64 チップ種別抵抗、70 コネクタ、100 画像形成装置、GND グランド、Vcc 制御電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能なユニットを装着するためのインターフェイスと、
ヒューズを実装したユニットが装着された場合に、当該ヒューズを溶断する電流を供給するための溶断回路と、
装着されたユニットに実装されたヒューズを含む回路を構成するとともに、当該ヒューズの溶断の有無に依存して変化する電位を検出するための検出回路と、
制御部とを備え、
前記制御部は、
ヒューズを実装したユニットが装着された場合に、前記検出回路によって、当該ヒューズが溶断されていないことを示す電位が検出されると、当該装着されたユニットを第1の状態であると判断し、当該ヒューズが溶断されていることを示す電位が検出されると、当該装着されたユニットを第2の状態であると判断する手段と、
ヒューズを実装したユニットに対して前記溶断回路が当該ヒューズを溶断する電流を供給した場合に、電流供給前および電流供給後において前記検出回路が検出するそれぞれの電位に基づいて、前記溶断回路の動作確認を行なう手段と、
ヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装したユニットに対して前記溶断回路が電流を供給した場合に、電流供給前および電流供給中において前記検出回路が検出するそれぞれの電位、あるいは、電流供給前および電流供給後において前記検出回路が検出するそれぞれの電位、に基づいて前記溶断回路の動作確認を行なう手段とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記交換可能なユニットは、前記ヒューズおよび前記非溶断のコンポーネントのいずれが実装されているかを示す識別コンポーネントを有しており、
前記識別コンポーネントと電気的に接続されることで、装着されているユニットの種別を特定するための種別特定回路をさらに備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、ヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装した前記ユニットに対して前記溶断回路が電流を供給中に前記検出回路によって検出される電位が、当該ユニットに対して電流を供給していない状態で前記検出回路によって検出された電位と異なっていれば、前記溶断回路の動作が正常であると判断する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、ヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装した前記ユニットに対して前記溶断回路が所定期間にわたって電流を供給した後に前記検出回路によって検出される電位が、当該ユニットに対して電流を供給していない状態で前記検出回路によって検出された電位から変化していなければ、前記溶断回路の動作が正常であると判断する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記溶断回路は、ヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装した前記ユニットについて、前記溶断回路の動作確認が過去に行なわれていない場合に、電流を供給する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記溶断回路についての動作確認の履歴を格納するための記憶部を含む、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記非溶断のコンポーネントは、抵抗素子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
交換可能なユニットが装着される画像形成装置の動作確認方法であって、前記画像形成装置は、当該ユニットが第1および第2の状態のいずれであるかを示すためにヒューズを実装した第1種別のユニット、および、前記第1種別のユニットにおいてヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装した第2種別のユニットのいずれをも装着可能なインターフェイスを含み、
前記画像形成装置への前記交換可能なユニットの装着後、装着されたユニットが前記第1種別および前記第2種別のいずれであるかを特定するステップと、
前記第1種別のユニットが装着されたと特定された場合に、当該ユニットに実装されたヒューズとともに回路を構成する検出回路により、当該ヒューズの溶断の有無に依存して変化する電位を検出するステップと、
検出した電位に基づいて、装着された前記第1種別のユニットが前記第1および第2の状態のいずれであるかを判断するステップと、
装着された前記第1種別のユニットが前記第1の状態である場合に、溶断回路を用いて、当該ユニットに実装されたヒューズを溶断するための電流を供給するステップと、
装着された前記第1種別のユニットに実装されたヒューズを含む前記検出回路において、電流供給前および電流供給後において検出されるそれぞれの電位に基づいて、前記溶断回路の動作確認を行なうステップと、
前記第2種別のユニットが装着されたと特定された場合に、前記溶断回路の動作確認が過去に行なわれているか否かを判断するステップと、
前記溶断回路の動作確認が過去に行なわれていない場合に、前記溶断回路を用いて、装着された前記第2種別のユニットに実装された非溶断のコンポーネントに電流を供給するステップと、
装着された前記第2種別のユニットに実装された非溶断のコンポーネントとともに回路を構成する前記検出回路において、電流供給前および電流供給中において前記検出回路が検出するそれぞれの電位、あるいは、電流供給前および電流供給後において前記検出回路が検出するそれぞれの電位、に基づいて前記溶断回路の動作確認を行なうステップとを備える、画像形成装置の動作確認方法。
【請求項9】
交換可能なユニットが装着される画像形成装置で実行される動作確認プログラムであって、前記画像形成装置は、当該ユニットが第1および第2の状態のいずれであるかを示すためにヒューズを実装した第1種別のユニット、および、前記第1種別のユニットにおいてヒューズに代えて非溶断のコンポーネントを実装した第2種別のユニットのいずれをも装着可能なインターフェイスを含み、前記動作確認プログラムは、前記画像形成装置のプロセッサに、
前記画像形成装置への前記交換可能なユニットの装着後、装着されたユニットが前記第1種別および前記第2種別のいずれであるかを特定するステップと、
前記第1種別のユニットが装着されたと特定された場合に、当該ユニットに実装されたヒューズを含む回路から、当該ヒューズの溶断の有無に依存して変化する電位を取得するステップと、
取得した電位に基づいて、装着された前記第1種別のユニットが前記第1および第2の状態のいずれであるかを判断するステップと、
装着された前記第1種別のユニットが前記第1の状態である場合に、当該ユニットに実装されたヒューズを溶断するための電流を溶断回路から供給させるステップと、
装着された前記第1種別のユニットに実装されたヒューズを含む回路から取得された、電流供給前および電流供給後におけるそれぞれの電位に基づいて、前記溶断回路の動作確認を行なうステップと、
前記第2種別のユニットが装着されたと特定された場合に、前記溶断回路の動作確認が過去に行なわれているか否かを判断するステップと、
前記溶断回路の動作確認が過去に行なわれていない場合に、装着された前記第2種別のユニットに実装された非溶断のコンポーネントに電流を前記溶断回路から供給させるステップと、
装着された前記第2種別のユニットに実装された非溶断のコンポーネントを含む回路において、電流供給前および電流供給中において検出されたそれぞれの電位、あるいは、電流供給前および電流供給後において検出されたそれぞれの電位、に基づいて前記溶断回路の動作確認を行なうステップとを実行させる、画像形成装置の動作確認プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−154250(P2011−154250A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16438(P2010−16438)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】