説明

画像形成装置、省エネ制御方法及び省エネ制御プログラム

【課題】コストアップを招くことなく、スリープモードを有する画像形成装置の省エネ効果をより向上させる。
【解決手段】画像形成装置は、モード10のスリープモード若しくはモード11のSTRモードから復帰する際に、スキャナの電源をオンし、モード1,2に遷移する。その後、復帰要因がユーザ操作の場合には、スキャナの電源はオンしたままとなる。また、復帰要因がネットワークからのスキャナ要求であった場合も同様にスキャナの電源はオンしたままとなる。逆に復帰要因がネットワークからのプリント要求/FAX受信であった場合には、画像形成装置のイニシャル完了後にモード3,4へ遷移し、スキャナの電源をオフする。スキャナ電源がオフの状態で、ユーザ操作若しくはネットワークからのスキャナ要求が来た場合には、スキャナの電源をオンし、モード1,2へ遷移する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、省エネ制御方法及び省エネ制御プログラムに係り、特に画像形成装置に接続若しくは付設された周辺装置を含む画像形成装置の省エネ制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題が重要となり、複写機、プリンタ装置、デジタル複合機等の画像形成処理を行う装置においても省エネルギ(省電力)化が進んでいる。この種の複合システムは、通常、電源の投入後に、使用することなくある一定時間が経過すると、待機モード、予熱モード、低電力モード、スリープモードと順に高い省エネの状態に移行して待機するように制御されている。このような省エネルギ化の指標としてTEC(Typical Electricity Consumption)値が導入されている。TEC値とは、(財)省エネルギーセンターの「国際エネルギースタープログラム」に適合するための基準値であり、プリンタなどのオフィス機器における「1週間の標準的な消費電力量」を示している。「1週間の標準的な消費電力量」とは、稼働状態とスリープ/電源オフが繰り返される5日間と、スリープ/電源オフの2日間(休日分)における消費電力量(kWh)を測定し算出したものである。なお、本明細書及び特許請求の範囲では、省エネルギを一般に使用されている省エネと記している。
【0003】
一方、前記プリンタ等を含む複合システムでは、省エネ待機状態になった状態で、システムの利用のために、
・操作パネルに備えられる電源ボタンを押下する。
・ADFに紙をセットする。
・原稿圧板を動作させる。
というような動作を行うと、システムの機能の全てが復帰するように制御されている。
しかし、ユーザがスキャナ機能のみで複写機のハードディスクに情報を取り込みたい場合、ドキュメントBOXに情報を取り込みたい場合、FAXでデータの送信のみに使用したい場合等に、これまでの省エネ制御では、使用する必要のないエンジン部分まで電源が入ってしまう。そのため、使用しない余分な機能まで電源が復帰することになる。その結果、省エネの機能が充分に生かされておらず、TEC値も大きくなる。
【0004】
これを解決するために、例えば、特許文献1には、必要な部分だけの電源復帰を行う技術が既に提案されている。この特許文献1(特開2004−222234号公報)記載の技術は、操作パネルを備える複合システムが省エネ待機状態にある場合、従来であれば、ユーザによる電源ボタン押下、ADFへの原稿セット、あるいは原稿圧板の操作があると、全機能に対する電源が全て起動してしまうところを、機能毎に設けたコピーボタン、ドキュメントボックスボタン、ファックスボタン、プリンタボタン、スキャナボタンのいずれかを選択して押下したときのみ省エネ状態から復帰するように構成している。そして、さらに、その機能で必要な部分だけの電源復帰を行うようにし、ネットワークを介したジョブによる省エネ状態からの復帰も、同様にして必要な部分だけの電源復帰を行うようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記必要な部分だけの電源復帰制御では、スリープ復帰後の画像形成装置のイニシャル動作時の管理及び機器の状態管理ができないという問題がある。例えば、画像形成装置のバンク、ADF、フィニッシャ等のオプションについては、どのオプションが装着されているかをエンジン側CPUで検知し、制御を実行する。しかし、スリープモードへ落ちているときには、通常、ネットワーク系インターフェースの電力しかオンになっておらず、エンジン側の電源は全てオフモードとなっている。従って、スリープモードから復帰した後に必要な部分の電源復帰を行ったとしても、エンジン側の電源はオフであるため、エンジン側CPUは機能しない。その結果、メイン制御のCPUはどのオプションが装着されているのか判別不能であり、イニシャライズ動作を行うことができない。
【0006】
具体的には、スキャナであれば、HP(ホームポジション)検知及びキャリッジ動作が必要であり、この制御はエンジン側のCPUによって制御されている。スキャナに装着されるADFについても同様である。従って、スキャナ機能のみを使用するユーザであっても、HP検知及びキャリッジ動作というイニシャライズ動作は必要であり、結果としてエンジン側の電源をオンしない限りこの動作は実行できない。また、スリープ中に画像形成装置の構成が変更された場合(オプションを取り付けた場合)にスキャナ電源がオフされていたら、オプションが変更されたという情報を検知する手段がない。
【0007】
これらを解決するために、読み取りユニットにCPUを実装して独立制御を行い、若しくは、不揮発性メモリにスリープに落ちる前の画像形成装置の機器情報を記録しておき、オプション等の機器の状態管理を行う方法もある。しかし、このような構成にすると、CPU及びメモリを設置する分のコストが増大してしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、コストアップを招くことなく、スリープモードを有する画像形成装置の省エネ効果をより向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、ネットワーク接続され、省エネ待機状態をとることが可能な画像形成装置であって、画像形成装置本体に接続された周辺装置の電源をオン/オフする切り替え手段と、前記切り替え手段のオン/オフ動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記省エネ待機状態からの復帰時に、前記切り替え手段によって前記周辺装置の電源を短時間オンし、当該周辺装置のイニシャライズ動作を実行し、オプションの有無を確認した後で、前記ネットワークから入力されたジョブの種類に基づいて当該周辺装置の電源をオン/オフすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コストアップを招くことなく、スリープモードを有する画像形成装置の省エネ効果をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】スキャナ電源をオン/オフする回路の回路構成を示すブロック図である。
【図3】スリープ復帰時のスキャナ電源オン/オフ処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】画像形成装置の状態遷移について示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、読み取りユニット(スキャナ/ADF)などの周辺機器の電源がオン/オフできる構成の画像形成装置において、省エネモード(スリープモード)からの復帰時に、周辺機器の電源を短時間オンし、当該周辺機器のイニシャライズ動作及びオプションの有無を確認した後で、前記周辺機器を使用しない場合には、当該周辺機器の電源をオフすることが特徴になっている。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。画像形成装置PRのシステムは、画像形成装置PRの全体制御を行うシステムコントローラボード(以下、単に「コントローラボード」と称す。)501、コントローラボード501に接続された画像形成装置の操作部制御ボード502、画像データを記憶するHDD503、LANインターフェースボード505、汎用PICバスに接続されたFAXのコントロールユニット(FCU:Facsimile control unit)506、IEEE1394ボード、無線LANボード、USBボード、PCIバスでコントローラボード501に接続されたエンジン制御ボード510、エンジン制御ボード510に接続された画像形成装置のI/Oを制御するI/O制御ボード513、コピー原稿(画像)を読み込むスキャナボード(SBU)511、及び画像データを像担持体(例えば感光体ドラム)上に書き込むレーザダイオードボード(LDB)512等で構成される。
【0014】
原稿を光学的に読み取る読み取りユニット300は、原稿に対する原稿照明光源の走査を行い、CCD521に原稿像を結像する。原稿像すなわち原稿に対する光照射の反射光をCCD521で光電変換してR,G,Bのカラー画像信号を生成する。CCD521は3ラインカラーCCDで、R、G、B画像信号を生成し、生成した画像信号をSBUボード511のアナログASIC511aに入力する。SBUボード511は、RGBの色毎に設けられたアナログASIC511a及びタイミング発生回路511bを備えている。タイミング発生回路511bは、カラーCCD521及びアナログASIC511aの駆動タイミング信号を発生する。CCD521の出力は、アナログASIC511aの内部でR,G,Bの画像データに変換され、かつシェーディング補正されて出力I/F(インターフェース)520から画像データバスを介してIPP(Image Processing Processor;画像データ処理器)510aに送出される。なお、読み取りユニット300はスキャナユニット(Scanner Unit)と自動原稿給送装置(ADF:Automatic Document Feeder)とからなる。
【0015】
IPP510aは画像処理を行うプログラマブルな演算処理手段であり、入力されたR,G,Bの画像データに対して階調処理等を行う。SBU511からIPP510aに転送された画像データは、IPP510aにて光学系及びデジタル信号への量子化に伴う信号劣化(スキャナ系の信号劣化)が補正され、コントローラボード501のフレームメモリ521に書き込まれる。
【0016】
コントローラボード501には、メインCPU501a及びコントローラボード501の制御を行うプログラムが格納されたROM501b、メインCPU501aが使用する作業用メモリであるSRAM501c、リチウム電池を内蔵し、SRAM501cのバックアップと時計を内蔵したNV−RAM501d及びコントローラボード501のシステムバス制御、フレームメモリ制御、FIFO等のCPU周辺を制御するASIC501e及びそのインターフェース回路等が搭載されている。コントローラ501は、スキャナアプリケーション、ファクシミリアプリケーション、プリンタアプリケーション及びコピーアプリケーション等の複数アプリケーションの機能を有し、システム全体の制御を行う。また、操作部制御ボード502の入力を解読して本システムの設定とその状態内容を操作部の表示部に表示する。PCIバスは他のユニットと接続されており、画像データバス/制御コマンドバスで、画像データと制御コマンドが時分割で転送される。
【0017】
LANインターフェースボード505は、社内LANに接続され、社内LANとコントローラ501との通信インターフェースボードである。外部機器との通信はこのLANインターフェースボード505を経由して実施される。
【0018】
HDD503は、システムのアプリケーションプログラム及びプリンタ、作像プロセス機器の機器付勢情報を格納するアプリケーションデータベース、並びに読み取り画像や書き込み画像のイメージデータ、すなわち画像データ及びドキュメントデータを蓄える画像データベースとして用いられる。
【0019】
操作部制御ボード502には、CPU502a、ROM502b,RAM502c、LCD及びキー入力を制御するASIC(LCDC)502dが搭載されている。ROM502bには操作部制御ボード502の入力読み込み、及び表示出力を制御する操作部制御ボード502の制御プログラムが書き込まれている。RAM502cはCPU502aで使用する作業用メモリである。操作部制御ボード502のCPU502aは、システムコントローラ501と通信し、図示しない操作パネルを操作して使用者がシステム設定を行う場合の入力制御、並びに使用者にシステムの設定内容及び状態を表示する表示制御を行う。
【0020】
コントローラ501のワークメモリ504から出力されたブラック(B)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の各色の書き込み信号は、LDB(Laser Diode control Board)512のB,Y,M,CのLD書き込み回路に入力される。LD書き込み回路でLD電流制御(変調制御)が行われ、各LD(Laser Diode)に出力される。
【0021】
エンジン制御ボード510は、画像形成装置の作像作成制御を主として行い、CPU(以下、エンジンCPUと称す。)510b、画像処理を行うIPP510a、複写及びプリントアウトを制御するため必要なプログラムを内蔵したROM510c、その制御に必要なSRAM510d、NV―RAM510e、及びI/O制御ボード513を備えている。NV−RAM510eにはSRAMと、電源オフを検知して、EEPROMにストアするメモリが搭載されている。また、エンジン制御ボード510は、他の制御を行うCPUと信号の送受信を行うシリアルインターフェースも備えている。なお、メインCPU501a及びエンジンCPU210bは、ともにそれぞれ制御部と演算部を含み、制御部が命令の解釈とプログラムの制御の流れを制御し、演算部が演算を実行する。
【0022】
I/O制御ボード513に搭載されたI/O_ASIC513a,513bは、エンジン制御ボード510が実装された近くのI/O(カウンタ、ファン、ソレノイド、クラッチ、モータ等)519を制御するASICである。I/O制御ボード513とエンジン制御ボード510とは同期シリアルインターフェース接続されている。I/O制御ボード513にはサブCPUが搭載され、画像形成装置のI/O制御を行っている。新しいプロセスカートリッジの装着の検知はドアの開閉時にも実施する。I/O制御ボード513に接続されたドアSW513fがオープンになると、カートリッジを入れ替えた可能性があるので、確認し、結果をエンジン制御ボード510に送信する。また、エンジンCPU510bは例えばADF及び図示しない給紙装置の給紙制御も実行する。
【0023】
エンジン制御ボード510にはインターフェース回路515が搭載されている。このインターフェース回路515はカートリッジに搭載されたメモリタグとのインターフェース回路であり、接触式のメモリタグを使用する場合は本インターフェース回路515を介してカートリッジのメモリへのアクセスを行う。非接触通信手段516は、非接触式のメモリタグを使用する場合のインターフェースであって、この場合には、送受信用アンテナを搭載し、エンジン制御ボード510との通信を非同期のシリアルインターフェースによって行う。例えばエンジン制御ボード510側から出力された信号は非接触通信手段516で伝送用の所定の信号に変調され、給紙部等に設置された送受信用アンテナに送られる。給紙トレイ等のユニット側の非接触不揮発記憶手段(IDチップ)は受信用アンテナで受けた受信信号を伝送用の所定信号から復調した後、パラレル信号に変換して内部メモリに送る。
【0024】
画像形成装置PRの電源装置はAC制御回路530と電源供給回路(Power Supply Unit:以下、「PSU」と称す。)514とからなり、商用電源に接続された主電源スイッチ(メインSW)531のオン操作によりAC制御回路530に入力され、AC制御回路530でDCの定電圧に変換されてPSU514から画像形成装置PRの各部に供給される。
【0025】
図2は、周辺機器の一例であるスキャナの電源をオン/オフする回路の回路構成を示すブロック図である。
【0026】
スキャナ電源514bのオン/オフは、エンジン制御ボード510上のエンジンCPU510bによって制御される。電源供給回路(Power Supply Unit:以下、「PSU」と称す。)514上には、FET(Field effect transistor)514a若しくはトランジスタが実装されており、このFET(トランジスタ)514aをオンすることにより読み取りユニット300への電源(スキャナ電源514b:24V)がオン/オフされる。
【0027】
なお、ここではFET514aで説明しているが、FET514aに代えてDCDCコンバータ/レギュレータ等の電源ICでも可である。電源ICの場合には、電源ICのイネーブル端子にエンジン制御ボード510のエンジンCPU510bから出力される制御信号を入力し、読み取りユニット300への電源を制御すればよい。
【0028】
また、エンジンCPU510bから電源供給回路514をオン/オフするための制御信号ライン510fにはリセットIC510gが接続されている。リセットIC510gは、主電源オン/スリープ復帰時にエンジンCPU510bのI/O電源が規定値まで立ち上がっていない場合を想定して入れている。エンジンCPU510bのI/O電源(3.3Vの電源)が規定値まで立ち上がっていない場合には、PIO(ポート)の論理は不定であり、意図しないパルス信号(所謂ヒゲパルス)によってスキャナ電源514bが意図しないタイミングでオン/オフすることがある。しかし、リセットIC510gを制御信号ライン510fに入れることにより、スキャナ電源514bが意図しないタイミングでオン/オフすることを防止することができる。なお、参照符号510hはエンジン制御ボード510上のエンジンCPU510bによってオン/オフされる第1のスイッチング回路、参照符号514cはPSU514上に搭載され、第1のスイッチング回路510hのオン/オフによってスキャナ電源514bをオン/オフする第2のスイッチング回路514cである。いずれもスイッチングのためのトランジスタを含む。
【0029】
図3は、本実施形態におけるスリープ復帰時のエンジン制御ボード510上のエンジンCPU510bによるスキャナ電源514bのオン/オフ制御の制御手順を示すフローチャートである。
【0030】
同図において、画像形成装置はスリープ復帰要因が外部より入力されると各モードへ遷移する。詳細な状態遷移について図4を参照して後述する。
【0031】
復帰要因としては、圧板開閉、ADFへの原稿セット、操作部の電源キー操作などのユーザ操作、あるいはネットワークジョブからの復帰が挙げられる。ユーザ操作の場合には、画像形成装置はスキャナ電源514bをオンし、その他エンジン側の電源も全てオンし、コピー動作ができる状態で遷移し、そのままの状態を維持する(ステップS1、S2、S6)。ネットワークからの復帰の場合には、ジョブにより画像形成装置PRの状態が遷移する。まず、LANインターフェースボード505を介してネットワーク(LAN)からジョブが画像形成装置PRに入ってきた段階で、メインCPU501aの指示によってエンジン側の電源(スキャナ電源214bも含む)は全てオンされる(ステップS1)。
【0032】
ユーザ操作の復帰要因でない場合には、どの機能を使用するジョブなのか判別する(ステップS3)。この判別はコントローラ501からのコマンドに基づいて行う。この制御手順では、ジョブがプリントジョブなのか、ネットワークスキャナジョブ(TWAIN)なのか、FAXなのかを判別する。ここで、スキャナジョブの場合には(ステップS3−Yes)、ユーザはスキャナを使用するので、読み取りユニット300の電源はオンのままを維持する(ステップS6)。
【0033】
プリントジョブ及びFAX受信の場合には、読み取りユニット300を使用する必要がないため(ステップS3−No)、読み取りユニット300のイニシャライズ動作の実行、及びスキャナオプションの有無を確認後(ステップS4−Yes)、スキャナ電源514bをオフする(ステップS5)。次いで、受信したジョブをプリント出力する必要があるため(ステップS7)、プリント動作を開始する(ステップS8)。一方、静音モードのジョブであった場合には、プロッタ(書き込み)動作は行わず(ステップS7−No)、PCと画像形成装置PRのデータの授受のみ行い、静音モード(後述のモード9)に遷移する(ステップS9)。
【0034】
この制御手順では、エンジンCPU510bは、ステップS1でエンジン及び読み取りユニットの電源をオン(ON)にし、ユーザ復帰要因(ステップS2)、スキャナ要求の有無(ステップS3)、イニシャライズ動作完了の有無(ステップS4)を判断し、イニシャライズ動作が完了した時点で読み取りユニット300の電源をオフ(OFF)する。このステップS1の電源オンからステップS5の電源オフまでの処理はソフト上の処理であり、その処理時間もごく短時間である。これにより、図3のフローチャートのように処理することにより、エンジンCPU510bのソフト上の処理だけでイニシャル動作時の管理及び機器の状態管理を短時間で確実に実行することが可能となる。
【0035】
図4は、具体的な画像形成装置の状態遷移について示す説明図である。
【0036】
モード12はシャットダウンモード(Shutdown Mode)であり、主電源オフ直後のHDD内データの退避までの状態をいう。このモードでは、AC電源は遮断状態であり、主電源スイッチ(ロッカーSW)531のオンのみで起動する。この状態では。画像形成装置PRの図示しない操作パネルのLCD、書き込み装置の予備LED、電源LEDは全てオフ、定着装置は停止状態であり、読み取りユニット(図ではscan.と記す。)300もオフ状態である。
【0037】
モード11はSTR(Suspend to RAM) モードと称され、コントローラボード501のメインCPU501aのクロックをダウンさせ消費電力を抑えたモードである。CPUを休眠状態にして電力消費を抑える「サスペンド」の形態の1つで、現在の状態をメモリに保存したまま、CPU、ハードディスクなどほとんどのデバイスへの電源供給を止めるモードである。ACPIのS3ステートとして規定されている。このモードでは、OSが起動した状態のデータをメモリが保持しているので、復帰するときにOSは再起動されず、サスペンド前の状態にそのまま復帰する。このモードでは、起動トリガの待ち受け状態となっている。この状態では、モード12と同様にLCD、予備LED、電源LEDは全てオフ、定着装置は停止状態であり、読み取りユニット300もオフ状態である。
【0038】
モード10はスリープモード(エンジンオフモード:Engine オフ Modeとも称す。)であり、エンジン側の電源はオフされており、コントローラ510の電源だけが生きている状態である。すなわち、画像形成装置PRのエンジンオフ状態、及びエンジンCPU510bの起動トリガ待ち受け状態である。この状態では、モード12と同様にLCD、予備LED、電源LEDは全てオフ、定着装置は停止状態であり、読み取りユニット300もオフ状態である。
【0039】
モード9は静音立ち上げモード(Heat オフ/Silent Mode)であり、HDDアクセス等、画像形成装置PRのイニシャル動作は必要ないが、画像形成装置PR内へデータアクセスするモードである。このモードでは、定着装置はオフ状態であり、静音状態である。また、メインCPU501aはコマンド待ち受け状態である。この状態では、電源LEDは点滅状態、LCD及び予備LEDはオフ、定着装置は停止状態であり、スキャナもオフ状態である。
【0040】
モード8は低電力モード(Low Power Mode)であり、画像形成装置PRは低電力状態、メインCPU501aはコマンド待ち受け状態となっている。この状態では、読み取りユニット300はオン、定着装置の定着温度は低温の状態となっている。また、LCDはオフ、予熱LED及び電源LEDはオンである。この状態は、ユーザが画像形成装置PRを使用したいときに復帰できるように、予め定着装置へ所定の低電力を供給し、予め設定した低温状態で待機している状態である。
【0041】
モード7は予熱モード(Low Power Standby Mode)であり、画像形成装置PRは予熱状態、メインCPU501aはコマンド待ち受け状態となっている。この状態では、読み取りユニット300はオン、定着装置の定着温度が中温の状態となっている。また、LCDはオフ、予熱LED及び電源LEDはオンである。この状態は、ユーザが画像形成装置PRを使用したいときに復帰できるように、予め定着装置へ所定の中電力を供給し、モード8の低温よりも高いが、定着温度まで達していない予め設定した中温状態で待機している状態である。
【0042】
モード6及び5は擬似予熱モードである。画像形成装置PRは、モード6では夜間待機状態(Background Mode)、モード5では疑似予熱、低電力状態(Background Output Mode)となっており、前者ではメインCPU501aはコマンド待ち受け状態、後者では印刷中の状態となっている。すなわち、モード6で待機しているときにコマンド入力があると、このコマンド入力によりモード5で印刷を行う。モード6及び5においては、LCDはオフ、予備LED及び電源LEDはオン、定着装置の定着温度は高温状態、読み取りユニット300はオン状態である。このように本実施形態では、定着温度をモード8、モード7、モード6と順に高くなるように設定し、ユーザが画像形成装置PRを使用したいときに即座に復帰できるように、予め定着装置(のヒータ)へ電力を供給している。この例では、モード8、モード7、モード6の順で、定着の昇温時間を短縮させることが可能であり、復帰時間をこの順で短縮することができる。
【0043】
モード4及び3はスキャナ電源オフモードである。このモードは、画像形成装置PRでプロッタのみを使用する場合、必要のない読み取りユニット300の電力を削減するモードである。画像形成装置PRはモード4では夜間待機状態(Background Mode)、モード3では疑似オフ印刷モード(Background Output Mode)となっており、前者ではメインCPU501aはコマンド待ち受け状態、後者では印刷中の状態である。すなわち、このスキャナ電源オフモードでは、スキャナ電源はオフ状態で、モード4で待機しているときにコマンド入力があると、このコマンド入力によりモード3で印刷を行う。モード4及び3では、LCD、予備LED及び電源LEDはオフ、定着装置の定着温度は高温状態、読み取りユニット300はオフ状態である。
【0044】
Mode2及び1は待機/出力モードであり、全ての電源は生きている。画像形成装置PRは、モード2では待機状態(Standby Mode)、モード1ではプロッタ出力モード(Plotter Output Mode)であり、前者ではメインCPU501aはコマンド待ち受け状態、後者では印刷中の状態である。すなわち、全ての電源がオンの状態で、モード2で待機しているときにコマンド入力があり、このコマンド入力によりモード1で印刷を行う。モード2及び1においては、LCD、予備LED及び電源LEDはオン、定着装置の定着温度は高温状態、読み取りユニット300はオン状態である。
【0045】
なお、図4では、丸で囲んだ数字「1」は主電源SW(ロッカーSW)オン、「2」は電源キー操作あるいは圧板開及び原稿セット、「3」は予熱キー操作、「4」は電源キー操作、「5」はネットワーク入力、FAX受信を、「6」は主電源オフ、「8」は予熱キー操作あるいは圧板開及び原稿セットの各操作をそれぞれ示す。また、1点鎖線で示した矢印は自動移行タイマによってカウントした経過時間によって遷移する遷移状態を示す。
【0046】
通常、コピー動作の場合には、モード1及び2でコピー動作が行われる。画像形成装置PRは、モード10のスリープモードあるいはモード11のSTRモードから復帰する際に、読み取りユニット300の電源をオンし(ステップS1:「2」)、モード1及び2に遷移する。その後、復帰要因がユーザ操作(圧板開閉からADFへの原稿セット、あるいは操作部の電源キー操作(「2」)の場合には(ステップS2−Yes)、読み取りユニット300の電源はオンしたままとなる(ステップS6/モード2)。また、復帰要因がネットワークからのスキャナ要求(TWAIN要求)であった場合(ステップS3−Yes)も同様に読み取りユニット300の電源はオンしたままとなる(ステップS6/モード6)。
【0047】
逆に復帰要因がネットワークからのプリント要求/FAX受信であった場合には(ステップS3−No:「5」)、画像形成装置PRのイニシャル完了後(ステップS4−Yes)にモード3及び4へ遷移し、読み取りユニット300の電源をオフし(ステップS5:モード3)。プロッタ動作を開始する(ステップS7−Yes、ステップS8:モード1)。なお、スキャナ電源がオフの状態で、ユーザ操作(圧板開閉/ADFへの原稿セット、操作部の電源キー操作:「2」)、若しくは、ネットワークからスキャナ要求(TWAIN要求)がきた場合には(「5」)、読み取りユニット300の電源をオンし、モード1あるいは2へ遷移する。
【0048】
モード2のまま一定時間が経過すると、状態遷移は、モード5,6の疑似予熱モードから、モード7の予熱モード、モード8の低電力モード、モード9の静音立ち上げモード、モード10のスリープモード、モード11のSTRモードへと消費電力の低いモードへ遷移する。また、この遷移は省電力が低い順番で遷移するのではなく、モード5の疑似予熱モードからモード10のスリープモードへと遷移することも可能である。
【0049】
全てのモードにおいて主電源SWがオフ(「6」)されると、モード12のシャットダウンモードに遷移し、全ての電源が遮断され、主電源SWのオンのみ(「1」)でモード2あるいはモード1に遷移する。また、モード1あるいは2の状態から予熱キーをオンすると(「3」)、モード7の予熱モードに遷移する。さらに、モード1,2、モード5,6、モード7、モード8の状態(主電源オン状態)で電源キーを操作し、電源をオフすると、モード9の静音立ち上げモードに遷移する。また、モード8、モード7、モード6,5の状態からユーザ操作(圧板開閉/ADFへの原稿セット/予熱キー操作:「8」)を行うと、モード1又は2に遷移する。
【0050】
なお、前記モード1及び2、モード3及び4、モード5及び6は、それぞれ電源状態は同じであるが、モード2,4,6は待機状態であり、両者は消費電力量が異なるだけである。
【0051】
また、本実施形態では、スキャナユニットとADFとからなる読み取りユニット300を例にとって周辺装置を説明しているが、その他、画像形成装置に付設される周辺装置(周辺機器)であっても同様である。
【0052】
以上のように、本実施形態では、読み取りユニット(ADF)300の電源がオン/オフできる構成の画像形成装置において、省エネ状態(スリープモード:モード10)からの復帰時に、読み取りユニット300の電源を短時間オンし、読み取りユニット300のイニシャライズ動作及びオプションの有無を確認した後で、読み取りユニット300を使用しない場合には、読み取りユニット300の電源をオフするようにした。これによりソフト上の処理だけでイニシャル動作時の管理及び機器の状態管理を短時間で確実に実行することが可能となり、コストアップを招くことなく、省エネ効果をさらに向上させることができる。
【0053】
なお、特許請求の範囲における省エネ待機状態はスリープモード(モード10)に、画像形成装置は符号PRに、周辺装置は読み取りユニット300に、電源はPSU514に、切り替え手段は第1のスイッチング回路510h及び第2のスイッチング回路514cに、制御手段はエンジンCPU510bに、ユーザ操作は数字「2」及び「8」に、スリープ状態はモード10の状態に、ユーザ操作での復帰要因で省エネ待機状態から復帰した場合での周辺装置の電源をオンしたままの状態はモード2に、ネットワークから入力されたジョブがプリントジョブ又はFAX受信の場合に周辺機器の電源オフする動作はステップS5及びモード3に、ネットワークから入力されたジョブがスキャナジョブの場合に周辺機器の電源をオンし、その状態を維持する動作はステップS3及びS6並びにモード6に、FETは符号514aに、エンジンは読み取りユニット300、LDB512及び給紙装置に、エンジン制御基板はエンジン制御ボード510に、それぞれ対応する。なお、モードはメインCPU501aが設定する。
【0054】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
300 読み取りユニット
500 画像形成装置
501 コントローラ
501a メインCPU
502 操作部制御ボード
510 エンジン制御部
510b エンジンCPU
510h 第1のスイッチング回路
512 LDB
514 PSU
514b 第2のスイッチング回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2004−222234号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続され、省エネ待機状態をとることが可能な画像形成装置であって、
画像形成装置本体に接続された周辺装置の電源をオン/オフする切り替え手段と、
前記切り替え手段のオン/オフ動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記省エネ待機状態からの復帰時に、前記切り替え手段によって前記周辺装置の電源を短時間オンし、当該周辺装置のイニシャライズ動作を実行し、オプションの有無を確認した後で、前記ネットワークから入力されたジョブの種類に基づいて当該周辺装置の電源をオン/オフすること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記ジョブが前記周辺装置を使用しないジョブである場合には、当該周辺装置の電源をオフすること
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置であって、
ユーザ操作での復帰要因で省エネ待機状態から復帰した場合には、前記制御手段は前記周辺装置の電源をオンし、その状態を維持すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記ネットワークから入力されたジョブがプリントジョブ又はFAX受信の場合には、前記制御手段は前記周辺機器の電源をオフすること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記ネットワークから入力されたジョブがスキャナジョブの場合には、前記制御手段は前記周辺機器の電源をオンし、その状態を維持すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記周辺装置の電源は電源ユニットから供給され、
前記切り替え手段は前記制御手段からの制御信号により前記電源ユニット上に実装されたFET又は電源ICを駆動して前記オン/オフの切り替え動作を実行すること
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置であって、
前記制御手段は画像を形成するためのエンジンを制御するエンジン制御基板上に搭載されていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記周辺装置がスキャナ及び自動原稿給送装置を含む読み取りユニットであること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
ネットワーク接続され、省エネ待機状態をとることが可能な画像形成装置における省エネ制御方法であって、
省エネモードからの復帰時に、前記周辺装置の電源を短時間オンし、当該周辺装置のイニシャライズ動作を実行し、オプションの有無を確認した後で、前記ネットワークから入力されたジョブの種類に基づいて前記周辺装置を使用しないと判別した場合には、当該周辺装置の電源をオフする工程を備えていること
を特徴とする省エネ制御方法。
【請求項10】
ネットワーク接続され、省エネ待機状態をとることが可能な画像形成装置における省エネ制御をCPUに実行させるための省エネ制御プログラムであって、
省エネモードからの復帰時に、前記周辺装置の電源を短時間オンし、当該周辺装置のイニシャライズ動作を実行し、オプションの有無を確認した後で、前記ネットワークから入力されたジョブの種類に基づいて前記周辺装置を使用しないと判別した場合には、当該周辺装置の電源をオフする処理を備えていること
を特徴とする省エネ制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−213133(P2012−213133A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252629(P2011−252629)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】