説明

画像形成装置およびその帯電ユニット

【課題】シールドケースと感光体ドラムの表面との間に付着する後処理剤や異物を除去することができ、感光体表面のフィルミングや傷を防止することができる画像形成装置およびその帯電ユニットを提供する。
【解決手段】画像形成装置の帯電ユニット30は、帯電電極と、帯電電極の両端部を保持する一対の帯電ホルダ35と、一対の帯電ホルダ間で帯電電極を覆って放電を安定させるシールドケース31と、シールドケースを帯電ホルダに対して長手方向のガタを許容して固定する固定手段71、72と、帯電電極を挟み込んで清掃するための清掃部材と、シールドケースの長手方向に沿って移動可能であり清掃部材を保持する清掃部材ホルダ41とを備える。そして、清掃部材ホルダ41の移動を利用してシールドケース31が移動させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびその帯電ユニットに関し、特に、帯電電極の放電を安定させるシールドケース内に帯電電極の清掃機構を備えた画像形成装置、およびその帯電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
スコロトロン帯電ユニットを有するイメージングユニットを備えたコピー機、プリンタ等の電子写真方式画像形成装置の帯電ユニットは、感光体ドラムに放電して帯電させる帯電電極と、この帯電電極の両端部を保持する帯電ホルダと、これら帯電ホルダ間で上記帯電電極を覆って放電を安定させるコ字状のシールドケースと、を備えている。
【0003】
この種の帯電ユニットでは、例えば、シールドケースの両側部安定板の先端に接触シール部材を貼り付けて延在させ、両側部安定板の先端と感光体ドラムの表面とのギャップをシールし、放電により発生するオゾンを効率的に排気しうるように構成されている。
【0004】
また、従来の画像形成装置の帯電ユニットは、シールドケースが帯電ホルダに設けられた突起ピンにより固定されており、シールドケースは移動し得ない構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、このような画像形成装置の帯電ユニットでは、シールドケースが移動しないので、その両側部安定板の先端に延在する接触シール部材も固定状態となり、現像剤(トナー)に添加されている後処理剤や異物などがクリーニング部からすり抜けて、感光体ドラムの回転方向下流に位置する上記接触シール部材の先端に付着して感光体ドラムの表面との間に挟まることがある。この後処理剤や異物などが感光体表面へ融着して筋状のフィルミングを生じさせたり傷を付けたりして、画像むら(すじむら)が発生する虞があるという問題があった。
【特許文献1】実開平5−43157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、シールドケースと感光体ドラムの表面との間に付着する後処理剤や異物を除去することができ、感光体表面のフィルミングや傷を防止することができる画像形成装置およびその帯電ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)感光体ドラムに放電して帯電させる帯電電極と、前記帯電電極の両端部を保持する一対の帯電ホルダと、前記一対の帯電ホルダ間で前記帯電電極を覆って放電を安定させるシールドケースと、前記シールドケースを前記帯電ホルダに対して前記シールドケースの長手方向のガタを許容して固定する固定手段と、前記帯電電極を挟み込んで清掃するための清掃部材と、前記シールドケースの長手方向に沿って移動可能であり前記清掃部材を保持する清掃部材ホルダと、を備え、前記清掃部材ホルダの移動を利用して前記シールドケースが移動させられることを特徴とする画像形成装置の帯電ユニット。
【0009】
(2)前記シールドケースの両側部安定板の先端にそれぞれ延在し、前記感光体ドラムの表面に接触する接触シール部材をさらに有することを特徴とする上記(1)に記載の画像形成装置の帯電ユニット。
【0010】
(3)前記固定手段が、前記シールドケースに形成された長穴と、前記シールドケースを前記帯電ホルダに締結する段付きネジとからなり、前記シールドケースと前記帯電ホルダとが微小な隙間を有するように締結されることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の画像形成装置の帯電ユニット。
【0011】
(4)前記清掃部材ホルダの移動を利用して前記シールドケースの一対の側部安定板を幅方向に揺動させる揺動手段を備えていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の画像形成装置の帯電ユニット。
【0012】
(5)前記揺動手段が、前記清掃部材ホルダの両側部にそれぞれ突設された押込みリブと、前記シールドケースの両側部安定板の内面にそれぞれ突設されたスロープ部材とからなり、前記清掃部材ホルダの押込みリブが前記両側部安定板の内面のスロープ部材上に乗り上げて前記両側部安定板を幅方向に揺動させることを特徴とする上記(4)に記載の画像形成装置の帯電ユニット。
【0013】
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の帯電ユニットを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、清掃部材ホルダの移動を利用してシールドケースを感光体ドラムに対して長手方向に移動させることができる。したがって、シールドケースと感光体ドラムの表面との間に付着する後処理剤や異物を除去することができ、感光体表面の筋状のフィルミングや傷を防止することができる。これにより、感光体表面のフィルミングや傷により生じる画像むら(すじむら)を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタの主要部の構成を示す概略図である。
【0017】
図1に示すように、プリンタ1は、プリンタ本体内にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色用にそれぞれイメージングユニット2を備えている。各イメージングユニット2においては、a−Si(アモルファスシリコン)等からなる第1像担持体としての感光ドラム3が備えられ、図中の矢印方向に回転するようになっている。
【0018】
この感光体ドラム3は、まず帯電ユニット30によって一様に帯電される。そして、外部PC(パーソナルコンピュータ)等から入力された原稿画像データに基づくLED光9、つまり画像データにより変調された書き込み光(画像露光)が、不図示の露光装置(LEDプリントヘッドユニット等)から感光体ドラム3の表面上に照射されて、静電潜像が形成される。ついで、現像装置8において供給されたトナーが、この静電潜像に付着してトナー像が形成される。ここでは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーが供給される。
【0019】
これら各色用にイメージングユニット2が並設されている上方には、無端状の中間転写ベルト10(第2像担持体)が、駆動ローラ11と従動ローラ12、13との間に巻回されて配設されている。中間転写ベルト10は、内側から1次転写ローラ14によって各感光体ドラム3に押し付けられた状態とされ、不図示のモータ等によって駆動ローラ11が回転駆動されることにより、感光体ドラム3の回転方向である順方向に回転走行されるようになっている。
【0020】
そして、中間転写ベルト10が、中間転写クリーニング装置15側から2次転写部17側へ送られて、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各イメージングユニット2を通過し、その間に、各感光体ドラム表面の各色のトナー像が、1次転写ローラ14に印加された電圧によって中間転写ベルト10に静電的に転写され、次々に中間転写ベルト10の同じ位置に重ねて転写(1次転写)されて行く。なお、2次転写部17は、従動ローラ12に中間転写ベルト10を介して転写ローラ18を接触させることで構成されている。
【0021】
一方、給紙機構19から給紙ローラ20により記録紙21が繰り出され、記録紙搬送路22を経由して中間転写ベルト10(2次転写部17)側に記録紙21が搬送されていき、レジストローラ23によって各感光体ドラム3および1次転写ローラ14等による画像転写動作と給紙動作のタイミングが調整される。この記録紙21がレジストローラ23によって待機されている間に、各感光体ドラム3の表面の各色のトナー像が次々に中間転写ベルト10に転写される。当該タイミングの調整後、レジストローラ23が回転駆動されて、記録紙21が2次転写部17へ送られる。そして、当該2次転写部17において、中間転写ベルト10に1次転写されてきた上記トナー像が記録紙21に2次転写される。
【0022】
トナー像が転写された記録紙21は、定着装置24に搬送され、ここで加熱および加圧されてトナー像が定着され、カラー画像が形成される。この定着装置24を通過した記録紙21は、搬送路を経て排出ローラ25より排紙トレイに排出される。
【0023】
図2は、ドラムユニットの縦断面図および拡大図である。図3は、帯電ユニットの外観の概略斜視図である。図4は、帯電ユニットのドラムユニットへの取り付け状態を説明する概略斜視図である。図5は、帯電ユニットの清掃機構の概略斜視図である。
【0024】
図2に示すように、ドラムユニット7には、ドラム軸受26に支承されて感光体ドラム3が回転可能に配設されている。この感光体ドラム3とトナー間にはファンデルワールス力が働くので、静電的に転写することができないトナー、いわゆる転写残トナーが感光体上に残留する。感光体ドラム3の一側部にはクリーニング装置4が配設され、そのクリーナハウジング5内から感光体ドラム3に臨ませてクリーナーブレード6が延設され、クリーナーブレード6の先端部をドラム表面に接触させることにより、上記感光体上に残留した転写残トナーを掻き取って回収するようになっている。同様に、上記中間転写ベルト10の表面に残留したトナーは、中間転写クリーニング装置15のクリーニングブレード16により掻き取られて回収される(図1参照)。
【0025】
帯電ユニット30は、本実施形態では感光体ドラム3の下部に配設され、感光体ドラム3の表面を帯電するコロナ放電用の鋸歯状の帯電電極32と、この帯電電極32からの放電を安定させるシールドケース31と、を備えている。シールドケース31は、帯電電極32を収納して感光体ドラム3の軸方向に長く延在され、感光体ドラム3に臨んだ一辺が開放された断面コ字状のチャンネル部材からなり、その開放側には、感光体ドラム3と帯電電極32との間に所定の空隙を介して、帯電メッシュ34からなる制御電極が配設されている。
【0026】
帯電電極32は、一側辺にコロナ放電用の複数の帯電針33を一列状に有する金属板からなり、その帯電針33を感光体ドラム3の中心に向けた状態にして、その長手方向の両端部が一対の帯電ホルダ35に保持されている(図3参照)。これら帯電ホルダ35は樹脂により形成され、上記帯電メッシュ34の両端部も保持している。
【0027】
また、シールドケース31内には、帯電電極32の清掃手段として、清掃ユニット40が設けられている。この清掃ユニット40は、帯電電極32の断面形状ほぼ1個分を取り囲む寸法形状であり、かつ一辺部分が開閉可能な樹脂製の清掃部材ホルダ41と、帯電電極32に摺接してこれを清掃すべく、帯電針33の配列方向に移動可能な清掃部材42と、で構成されている。
【0028】
清掃部材42としては、例えば、植毛布、起毛ブラシ、パイル織物、不織布、発泡プラスチックなどが挙げられ、特にはビロードやテフロンパイルなどを用いることが好ましい。その他、酸化アルミニウムやシリコンカーバイドなどの研磨微粒子を付与した布や、研磨微粒子粉を担持したフィルムなどでもよい。フィルム状のものを採用する場合には、その両側を、例えば、発泡部材、ウレタンフォームなどの永久歪の小さい部材で挟み込んで構成することが好ましい。
【0029】
図2および図3に示すように、上記清掃ユニット40を帯電針33の配列方向に往復動させる移動機構50を構成するため、清掃部材ホルダ41の下端に連結ガイド部51が延設され、この連結ガイド部51が、シールドケース31の中央部安定板31Aに設けたガイド穴36を通して、シールドケース31外に引き出されている。一方、シールドケース31の下部にはその長手方向に沿って金属あるいは樹脂製の操作レバー52が設けられ、この操作レバー52の先端部には、上記連結ガイド部51を介して、清掃部材ホルダ41の一部が切り欠かれた円環状の固着部54が固定されている。
【0030】
清掃部材ホルダ41は、シールドケース31内に収納され、清掃部材ホルダ41の連結ガイド部51と、側部安定板31B、31Cの内壁に接するように清掃部材ホルダ41から突設された押込みリブ43と、により概略位置決めされ、清掃部材ホルダ41の下部に配置された操作レバー52を介してシールドケース31内でその長手方向に沿って移動しうる構成されている。また、帯電ユニット30は、シールドケース31の側部安定板31B、31Cの各先端部に延在させて貼り付けられた接触シール部材61、62を感光体ドラム3の表面に接触させて、帯電ユニット30の帯電メッシュ34や帯電針33に汚れが付着するのを防止するようになっている。
【0031】
この操作レバー52の基端側はシールドケース31から外部へ延出され、その基端部の操作摘み部53をユーザが矢印に示す軸方向に往復動作させることで、操作レバー52の先端部に設けられた清掃部材ホルダ41がシールドケース31の内壁に沿って移動し、清掃部材42を帯電電極32に摺接しながら帯電針33の配列方向に往復動して、帯電針33に付着した汚れを除去するようになっている。以上のように、連結ガイド部51および操作レバー52は、移動機構50を構成している。
【0032】
本実施形態では、ユーザが操作レバー52を往復動作するように構成したが、これに限定されるものではなく、モータ、ソレノイド等の往復移動手段により操作レバー52を往復動作させるように構成しても構わない。
【0033】
また、帯電ユニット30のシールドケース31の中央部安定板31Aにおける長手方向の両端部には長穴72が形成されており、各長穴72に段付きネジ71を挿通させて帯電ホルダ35に締結されている。段付きネジ71を用いることにより、シールドケース31の中央部安定板31Aとの間に微小な隙間を有して連結されており、長穴72の範囲にてシールドケース31がその長手方向に沿って移動可能に構成されている。すなわち、段付きネジ71および長穴72は、帯電ホルダ35とシールドケース31との固定手段を構成しており、この固定手段は、シールドケース31を帯電ホルダ35に対してシールドケース31の長手方向のガタを許容して固定する。つまり、固定手段は、帯電ホルダ35に対するシールドケース31の長手方向の移動を許容している。
【0034】
図3および図4に示すように、帯電ユニット30の両端部に設けられた各帯電ホルダ35の一側面には、ネジ穴を有する円筒体状のボスによって形成されたホルダ固定部47が突設されている。また、ドラムユニット7は、感光体ドラム3と、この感光体ドラム3の両端部を覆うように装着してこれを回動可能に支承するドラム軸受26と、ドラム軸受26を固定することにより感光体ドラム3の回動可能に保持するドラムハウジング27と、からなっている。このドラムハウジング27の両端部の上記ホルダ固定部47に対応する部位には、固定ネジ等の止着部材28を挿通させるためのホルダ固定穴29が貫通して形成されている。すなわち、ドラムハウジング27のホルダ固定穴29に止着部材28を挿通させて、止着部材28を上記帯電ホルダ35のホルダ固定部47にねじ込むことにより、帯電ユニット30が固定される。また、ドラム軸受26は、上記帯電メッシュ34の高さ調整治具を兼ねており、上記帯電ホルダ35の端面から延出された調整治具用ボス38がドラム軸受26のカバー部分26Aの所定部位に係合することにより、帯電メッシュ34と感光体ドラム3との距離が所定位置に設定されることになる。
【0035】
図5において、(A)は清掃部材42、42を帯電針33に取り付ける前の状態の図である。図示するように、矩形枠体状の清掃部材ホルダ41は左側ホルダ部41Aと右側ホルダ部41Bとからなっている。右側ホルダ部41Bの上部右端には逆L字状のロック部46が突設されており、右側ホルダ部41Bの内面にはもう片側の清掃部材42が装着されている。他方、左側ホルダ部41Aには、右側ホルダ部41B側の基端部を支点として回動し、上記ロック部を挿着する矩形穴を有するフック部45が形成されており、左側ホルダ部41Aの内面(回動前は上面)には片側の清掃部材42が装着されている。すなわち、この清掃部材ホルダ41は、左側ホルダ部41Aのフック部45をその基端部を支点として持ち上げて回動させ、右側ホルダ部41Bの上部のロック部46に引っ掛けることで、清掃部材42、42が帯電電極32の帯電針33を両側から挟み込むように構成されたパッドタイプのものである。上記フック部45を上記ロック部46に引っ掛けることにより、清掃部材42、42が帯電針33を両側から弾性的に押圧挟持するようになっている。
【0036】
また、図5において、(B)は帯電針33の両側面に清掃部材42、42が組み付けられた状態の図であり、この状態で清掃部材ホルダ41と共に清掃部材42、42を矢印で示す帯電針33の配列方向に移動させることで、清掃部材42、42が帯電針33を摺接しながら清掃するようになっている。
【0037】
次に、図6および図7を用いて、上記画像形成装置1の帯電ユニット30の清掃について説明する。図6は、組み付け後の清掃部材ホルダがシールドケース内に配置された状態を示す概略斜視図である。図7は、清掃機構の往復操作によるシールドケースの動作を説明する概略図である。なお、以下の説明において、説明の便宜上から、操作レバー52の引き出し側を手前側と、操作レバー52の押し込み側を奥側と表現する。
【0038】
図6に示すように、清掃部材ホルダ41は、シールドケース31内に収納され、帯電ユニット30の稼働時には、清掃部材ホルダ41はシールドケース31内の長手方向の奥側に配置され、帯電針33の放電を阻害しないようになっている。すなわち、清掃部材ホルダ41は、操作レバー52によって押し込まれ、奥側の帯電ホルダ35に接近した状態で待機している。
【0039】
帯電針33を清掃する際には、ユーザが操作レバー52の操作摘み部53を軸方向(長手方向)に往復動作させることで、操作レバー52の先端部に設けられた清掃部材ホルダ41をシールドケース31の内壁に沿って移動させる。これにより、清掃部材ホルダ41に保持された清掃部材42が帯電電極32に摺接しながら帯電針33の配列方向に往復動して、帯電針33に付着した汚れを除去する。
【0040】
帯電ユニット30は、シールドケース31の側部安定板31B、31Cの各先端部に延在させた接触シール部材61、62(図2参照)を感光体ドラム3の表面に接触させて、帯電メッシュ34や帯電針33に汚れが付着するのを防止している。しかし、異物などがシールドケース31の両側部安定板31B、31Cの先端と感光体ドラム3の表面との間、すなわち本実施形態では接触シール部材61、62の先端に付着することがある。
【0041】
そこで、本実施形態の帯電ユニット30では、段付きネジ71により、シールドケース31を帯電ホルダ35に固定している。段付きネジ71を用いることにより、シールドケース31の中央部安定板31Aと帯電ホルダ35とは両者間に微小な隙間を有するように連結されており、長穴72の範囲でシールドケース31がその長手方向に沿って移動可能に構成されている。これにより、清掃部材ホルダ41を往復移動させる際に、この移動を利用してシールドケース31をその長手方向に沿って移動させることができ、その側部安定板31B、31Cの各先端部に延在させた接触シール部材61、62をずらすことができる。
【0042】
すなわち、図7において、(A)は操作レバー52をその延出側(手前側)へ引き出した状態であり、この引き出し動作によって、シールドケース31内で清掃部材ホルダ41が手前側の帯電ホルダ35に接近する。そして、清掃部材ホルダ41の手前側がガイド穴36の手前側端縁に当接してシールドケース31を引く。この動作に伴って、段付きネジ71により長穴72の位置が規制される範囲内で、シールドケース31が僅かに(数mm)手前側に移動する。このとき、段付きネジ71は、長穴72の奥側に位置することになる。
【0043】
他方、図7において、(B)は操作レバー52をシールドケース3の奥側へ押し込んだ状態であり、この押し込み動作によって、シールドケース31内で清掃部材ホルダ41が奥側の帯電ホルダ35に接近する。そして、清掃部材ホルダ41の奥側がガイド穴36の奥側端縁に当接してシールドケース31を押す。この動作に伴って、段付きネジ71により長穴72の位置が規制される範囲内で、シールドケース31が数mm奥側に移動する。このとき、段付きネジ71は、長穴72の手前側に位置することになる。
【0044】
このように清掃部材42を保持する清掃部材ホルダ41の操作レバー52をその軸方向に沿って移動させて帯電針33を清掃する動作に応じて、シールドケース31が長手方向に数mm移動する。その結果、シールドケース31の側部安定板31B、31Cの先端に貼り付けられた接触シール部材61、62も同時に数mm移動し、感光体ドラム3と接触シール部材61、62との間に挟まった後処理剤や異物などが振り払われて除去または移動され得る。
【0045】
このように本実施形態によれば、清掃部材ホルダ41の移動を利用してシールドケース31を感光体ドラム3に対して長手方向に移動させることができる。したがって、シールドケース31と感光体ドラム3の表面との間に付着する後処理剤や異物を除去することができ、感光体表面の筋状のフィルミングや傷を防止することができる。これにより、感光体表面のフィルミングや傷により生じる画像むら(すじむら)を低減することが可能となる。
【0046】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態の画像形成装置の帯電ユニットにおける要部の概略斜視図である。図9は、第2の実施形態の帯電ユニットの縦断面図である。以下、第1の実施形態と相違する点を中心に説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成の部材については同一の符号を付してある。
【0047】
図8および図9に示すように、第2の実施形態の帯電ユニット100では、シールドケース31の長手方向に沿った往復移動に加えて、シールドケース31の両側部安定板31B、31Cを幅方向に揺動可能な手段を備えたものである。すなわち、本実施形態では、シールドケース31の側部安定板31B、31Cの内壁面に、上記清掃部材ホルダ41の両側部に設けられてガイド部材としても機能する押込みリブ43に当接するスロープ部材101が突設されている。このスロープ部材101は、側部安定板31B、31Cから幅方向内方へ向けて突設され、側部安定板31B、31Cの一部を内側へ切り起こして凸状に形成されている。
【0048】
帯電針33を清掃する際に、操作レバー52を操作して清掃部材42、42を保持する清掃部材ホルダ41をシールドケース31内でその長手方向に沿って移動させると、清掃部材ホルダ41の両側部の押込みリブ43が側部安定板31B、31Cの内壁側に設けられたスロープ部材101上に乗り上げ、その反力により側部安定板31B、31Cが幅方向外方へ僅かに押し広げられる。その結果、側部安定板31B、31Cの先端に貼り付けられている接触シール部材61、62が感光体ドラム3の表面から開放され、その動作により先端に付着した異物などを除去することができる。
【0049】
本実施形態では、スロープ部材101は、操作レバー52の引き出し側(手前側)の側部安定板31B、31Cの内面に相対向するように配置されており、清掃部材ホルダ41が手前側の帯電ホルダ35に接近したときに、その両側部の押込みリブ43がスロープ部材101上に乗り上げるようになっている。
【0050】
第2の実施形態の蓄電装置100は、基本的に第1の実施形態と同様の作用効果を奏するが、特に第2の実施形態によれば、シールドケース31の長手方向の移動に加えて、シールドケース31の両側部安定板31B、31Cの幅方向への揺動が可能であり、シールドケース31と感光体ドラム3の表面との間に付着した異物などを確実に除去できるという特有の効果を奏する。
【0051】
本発明は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタの主要部の構成を示す概略図である。
【図2】ドラムユニットの縦断面図および拡大図である。
【図3】帯電ユニットの外観の概略斜視図である。
【図4】帯電ユニットのドラムユニットへの取り付け状態を説明する概略斜視図である。
【図5】帯電ユニットの清掃機構の概略斜視図である。
【図6】組み付け後の清掃部材ホルダがシールドケース内に配置された状態を示す概略斜視図である。
【図7】清掃機構の往復操作によるシールドケースの動作を説明する概略図である。
【図8】第2の実施形態の画像形成装置の帯電ユニットにおける要部の概略斜視図である。
【図9】第2の実施形態の帯電ユニットの縦断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 画像形成装置、
3 感光体ドラム、
31 シールドケース、
31A 中央部安定板、
31B、31C 側部安定板、
32、100 帯電電極、
35 帯電ホルダ、
41 清掃部材ホルダ、
42 清掃部材、
43 押込みリブ、
50 移動機構、
61、62 接触シール部材、
71 段付きネジ、
72 長穴、
101 スロープ部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムに放電して帯電させる帯電電極と、
前記帯電電極の両端部を保持する一対の帯電ホルダと、
前記一対の帯電ホルダ間で前記帯電電極を覆って放電を安定させるシールドケースと、
前記シールドケースを前記帯電ホルダに対して前記シールドケースの長手方向のガタを許容して固定する固定手段と、
前記帯電電極を挟み込んで清掃するための清掃部材と、
前記シールドケースの長手方向に沿って移動可能であり前記清掃部材を保持する清掃部材ホルダと、を備え、
前記清掃部材ホルダの移動を利用して前記シールドケースが移動させられることを特徴とする画像形成装置の帯電ユニット。
【請求項2】
前記シールドケースの両側部安定板の先端にそれぞれ延在し、前記感光体ドラムの表面に接触する接触シール部材をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の帯電ユニット。
【請求項3】
前記固定手段が、前記シールドケースに形成された長穴と、前記シールドケースを前記帯電ホルダに締結する段付きネジとからなり、
前記シールドケースと前記帯電ホルダとが微小な隙間を有するように締結されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置の帯電ユニット。
【請求項4】
前記清掃部材ホルダの移動を利用して前記シールドケースの一対の側部安定板を幅方向に揺動させる揺動手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置の帯電ユニット。
【請求項5】
前記揺動手段が、前記清掃部材ホルダの両側部にそれぞれ突設された押込みリブと、前記シールドケースの両側部安定板の内面にそれぞれ突設されたスロープ部材とからなり、
前記清掃部材ホルダの押込みリブが前記両側部安定板の内面のスロープ部材上に乗り上げて前記両側部安定板を幅方向に揺動させることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置の帯電ユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の帯電ユニットを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−169288(P2009−169288A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9657(P2008−9657)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】