説明

画像形成装置およびシステム管理プログラム

【課題】 画像形成装置の省電力の度合いを高くする。
【解決手段】 省エネサブシステム13のデータ処理部31は、画像形成装置1の動作状態がディープスリープ状態である場合、当該データ処理部31により処理可能であると判断されたデータをバッファー22から受信したときにはそのデータを処理し、一方、当該データ処理部31により処理可能ではないと判断されたデータをバッファー22から受信すると、システム制御部32により画像形成装置1の動作状態をディープスリープ状態から通常動作状態へ切換させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびシステム管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンター、コピー機、複合機などの画像形成装置には、スリープモードや省電力モードを有するものある。例えば、ある画像形成装置は、メインシステムよりも消費電力が小さい省エネサブシステムを備え、省エネサブシステムに電力を供給し、メインシステムと、メインシステムによって制御されるプリントエンジン、スキャナー、表示パネルなどの各サブシステムへの電力の供給を停止することによって、スリープ状態に移行する。この省エネサブシステムは、メインシステムおよび各サブシステム(プリントエンジン、スキャナー、表示パネルなど)への電力供給を制御する。このような画像形成装置では、スリープ状態中に省エネサブシステムのみに電力が供給されるので、スリープ状態での消費電力が抑制される(例えば特許文献1,2参照) 。
【0003】
上述の省エネサブシステムは、スリープ状態中にホスト装置からデータを受信すると、メインシステムに電力を供給してメインシステムを起動する。したがって、ホスト装置から受信したデータはメインシステムによって処理されるため、スリープ状態でホスト装置から受信したデータの処理には、メインシステムの起動に起因して遅延が発生する。
【0004】
他方、別の画像形成装置では、省電力モード時にデータ受信があると、受信速度を下げ、通常モードに戻すための初期化処理を開始するとともに受信処理を開始し、その後、初期化処理が終了すると、受信速度を元に戻す(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−101606号公報
【特許文献2】特開2004−5029号公報
【特許文献3】特開2001−84116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の画像形成装置では、省電力モード時にデータ受信があると、常に初期化処理が実行されるため、省電力モードに移行した後に通常モードに戻りやすく、省電力の度合いが低い。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、省電力の度合いが高い画像形成装置およびデータ受信プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、データを受信する通信インターフェースと、通信インターフェースにより受信されたデータを一時的に記憶するバッファーと、バッファーに記憶されているデータを処理するメインシステムと、メインシステムにより制御され当該画像形成装置の有する1または複数の機能をそれぞれ実現する1または複数のサブシステムと、当該画像形成装置の動作状態を、メインシステムと1または複数のサブシステムの電源がオンである通常動作状態とメインシステムと1または複数のサブシステムの電源がオフであるディープスリープ状態の一方から他方へ切り換えるシステム制御部と、当該画像形成装置の動作状態がディープスリープ状態である場合、当該データ処理部により処理可能であると判断されたデータをバッファーから受信したときにはそのデータを処理し、当該データ処理部により処理可能ではないと判断されたデータをバッファーから受信すると、システム制御部により当該画像形成装置の動作状態をディープスリープ状態から通常動作状態へ切換させるデータ処理部とを備える。
【0010】
これにより、データが受信されてもデータ処理部によりそのデータが処理可能である場合にはメインシステムを復帰させないため、メインシステムがディープスリープ状態から復帰する頻度が少なくなり、当該画像形成装置の省電力の度合いが高くなる。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、キャッシュメモリーを備える。そして、データ処理部は、システム制御部が当該画像形成装置の動作状態を通常動作状態からディープスリープ状態へ切り換えるときに、当該画像形成装置のステータスデータをキャッシュメモリーに記憶させ、バッファーから受信したデータが、ステータスデータに基づき処理可能である場合には、そのデータが当該データ処理部により処理可能であると判断する。
【0012】
これにより、受信データが、ステータスデータに基づき応答可能な要求である場合には、メインシステムを復帰させないため、メインシステムがディープスリープ状態から復帰する頻度が少なくなり、当該画像形成装置の省電力の度合いが高くなる。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、データ処理部は、バッファーから受信したデータの処理のために、メインシステムおよび1または複数のサブシステムの少なくとも1つの動作、またはメインシステムおよび1または複数のサブシステムの少なくとも1つからの状態情報の取得が必要である場合には、そのデータが当該データ処理部により処理可能ではないと判断する。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、データ処理部は、システム制御部がメインシステムの状態をディープスリープ状態から通常動作状態へ切り換えるときに、通信インターフェースからバッファーへのデータ格納速度を低下させ、通常動作状態への当該画像形成装置の動作状態の切換が終了すると、データ格納速度を元の速度に戻す。
【0015】
これにより、メインシステムが復帰するまでの期間においてバッファーフルが発生しにくくなる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、通信インターフェース、バッファー、システム制御部、およびデータ処理部は、メインシステムが実装された第1ハードウェアと1または複数のサブシステムが実装されている第2ハードウェアとから分離された第3ハードウェアに実装されており、システム制御部は、当該画像形成装置の動作状態を通常動作状態からディープスリープ状態へ切り換えるときに、第3ハードウェアの電源をオフせずに、第1ハードウェアの電源と第2ハードウェアの電源とをオフし、当該画像形成装置の動作状態をディープスリープ状態から通常動作状態へ切り換えるときに、第1ハードウェアの電源と第2ハードウェアの電源とをオンする。
【0017】
これにより、ディープスリープ時にはメインシステムを完全にダウンさせた状態にすることができ、消費電力が低減される。
【0018】
本発明に係るシステム管理プログラムは、データを受信する通信インターフェースと、通信インターフェースにより受信されたデータを一時的に記憶するバッファーと、バッファーに記憶されているデータを処理するメインシステムと、メインシステムにより制御され当該画像形成装置の有する1または複数の機能をそれぞれ実現する1または複数のサブシステムとを備える画像形成装置内のコンピューターを、画像形成装置の動作状態を、メインシステムと1または複数のサブシステムの電源がオンである通常動作状態とメインシステムと1または複数のサブシステムの電源がオフであるディープスリープ状態の一方から他方へ切り換えるシステム制御部、および画像形成装置の動作状態がディープスリープ状態である場合、当該データ処理部により処理可能であると判断されたデータをバッファーから受信したときにはそのデータを処理し、当該データ処理部により処理可能ではないと判断されたデータをバッファーから受信すると、システム制御部により画像形成装置の動作状態をディープスリープ状態から通常動作状態へ切換させるデータ処理部として機能させる。
【0019】
これにより、データが受信されてもデータ処理部によりそのデータが処理可能である場合にはメインシステムを復帰させないため、メインシステムがディープスリープ状態から復帰する頻度が少なくなり、当該画像形成装置の省電力の度合いが高くなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、メインシステムが復帰する頻度が少なく、省電力の度合いが高い画像形成装置、および画像形成装置をそのようにするためのシステム管理プログラムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す画像形成装置の動作(主にデータ処理部の動作)について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0024】
図1において、画像形成装置1は、プリンター、複合機などの装置であり、パーソナルコンピューターなどのホスト装置2を接続され、そのホスト装置2からデータを受信し、適宜処理する。
【0025】
画像形成装置1は、メインシステム11、1または複数のサブシステム12−1〜12−N、並びに省エネサブシステム13を有する。
【0026】
メインシステム11は、サブシステムに対して各種処理を実行させる装置であり、サブシステム12−i(i=1,・・・,N)は、メインシステム11により制御され、当該画像形成装置1の有する1つの機能(プリンター機能、スキャナー機能、ファクシミリ通信機能、操作パネルのユーザーインターフェース機能など)をそれぞれ実現する装置である。省エネサブシステム13は、ホスト装置2データからデータを受信するとともに、メインシステム11並びに1または複数のサブシステム12−1〜12−Nの動作状態を切り換える装置である。
【0027】
メインシステム11、1または複数のサブシステム12−1〜12−N、並びに省エネサブシステム13は、それぞれ独立したハードウェア(例えば回路基板)で実装されており、ハードウェアごとに電源のオン/オフが可能となっている。
【0028】
この画像形成装置1の動作状態(つまり、メインシステム11およびサブシステム12−1〜12−Nの動作状態)は、通常動作状態、ライトスリープ状態、およびディープスリープ状態のいずれかとなる。通常動作状態では、メインシステム11、1または複数のサブシステム12−1〜12−N、および省エネサブシステム13が動作している。ライトスリープ状態では、メインシステム11および省エネサブシステム13が動作しており、サブシステム12−1〜12−Nが電源オフ状態となっている。ディープスリープ状態では、省エネサブシステム13が動作しており、メインシステム11およびサブシステム12−1〜12−Nが電源オフ状態となっている。
【0029】
通常動作状態からライトスリープ状態またはディープスリープ状態への切り換え、およびライトスリープ状態から通常動作状態への切り換えは、メインシステム11により判断される。ディープスリープ状態から通常動作状態への切り換えは、省エネサブシステム13により判断される。なお、ディープスリープ状態の方が、ライトスリープ状態と比較して消費電力が小さいため省エネ効果が大きい。しかしながら、ディープスリープ状態においては、ライトスリープ状態よりも通常動作状態に移行するのに時間が掛かる。そのため、外部からデータを受信したときに、そのデータの処理が遅れる。このため、ユーザーの所望により、画像形成装置1にFAXボードが装着されていたり、USBメモリーその他のUSB機器、ネットワークケーブル等が接続されていたりする場合には、画像形成装置1の動作状態は、通常動作状態からディープスリープ状態ではなく、ライトスリープ状態に切り換えられるよう設定できる。
【0030】
省エネサブシステム13は、通信インターフェース21、バッファー22、演算処理装置23、記憶装置24、およびキャッシュメモリー25を有する。
【0031】
通信インターフェース21は、ホスト装置2からデータを受信するインターフェース回路であり、バッファー22は、通信インターフェース21により受信されたデータを一時的に記憶するメモリーなどの装置である。通信インターフェース21により受信されたデータは、順番にバッファー22に蓄積されていき、処理されると、バッファー22から消去される。
【0032】
通常動作状態およびライトスリープ状態ではバッファー22に記憶されているデータは、メインシステム11により処理され、ディープスリープ状態ではバッファー22に記憶されているデータは、後述のデータ処理部31により処理可能であると判断されると、演算処理装置23のデータ処理部31により処理される。
【0033】
演算処理装置23は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターであり、記憶装置24、ROMなどからRAMへプログラムをロードし、そのプログラムをCPUで実行することにより、各種処理部を実現する。記憶装置24は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリーなどといった不揮発性の記憶装置であって、演算処理装置23により実行されるプログラム24aが格納されている。なお、プログラム24aは、可搬性のある記録媒体に記録しておき、その記録媒体およびその記録媒体からプログラム24aを読み出す駆動装置を記憶装置24としてもよい。
【0034】
画像形成装置1の起動後に、プログラム24aが演算処理装置23により実行される。この実施の形態では、演算処理装置23でプログラム24aが実行されることにより、データ処理部31、システム制御部32などの処理部が実現される。
【0035】
データ処理部31は、メインシステム11がディープスリープ状態である場合、当該データ処理部31により処理可能であるデータをバッファー22から受信すると、そのデータを処理し、当該データ処理部31により処理可能ではないデータをバッファー22から受信すると、システム制御部32により画像形成装置1の動作状態をディープスリープ状態から通常動作状態へ切換させる。
【0036】
システム制御部32は、メインシステム11およびサブシステム12−1〜12−Nの状態を、通常動作状態とディープスリープ状態の一方から他方へ切り換える。
【0037】
キャッシュメモリー25は、RAMなどのメモリーである。データ処理部31は、メインシステム11の状態が通常動作状態からディープスリープ状態へ切り換えられるときに、当該画像形成装置1の内部状態(画像形成装置1の動作状態、画像形成装置へのオプションの装備状況、画像形成装置1内部で使用されているソフトウェアのバージョン情報など)をメインシステム11、サブシステム12−1〜12−Nなどから収集し、ステータスデータ25aとしてキャッシュメモリー25に記憶する。データ処理部31は、受信されたデータが、ステータスデータ25aに基づき処理可能な要求である場合には、そのデータが当該データ処理部31により処理可能であると判断する。
【0038】
例えば、Address Resolution Protocol(ARP)リクエスト、Post Office Protocol version 3(POP3)レスポンス、画像形成装置1の状態を要求するコマンドなどは、データ処理部31により処理可能であると判断される。ARPリクエストは、画像形成装置1のMedia Access Control(MAC)アドレスを要求するホスト装置2から受信するデータである。POP3レスポンスは、省エネサブシステム13が電子メールの確認のために外部機器であるメールサーバーに送信したPOP3リクエストに対する応答として、その外部機器から受信するデータである。画像形成装置1の状態を要求するコマンドは、スリープ状態、紙詰まり状態などの画像形成装置1のステータスを要求するホスト装置2から受信するデータである。
【0039】
なお、データ処理部31は、受信されたデータの処理のために、メインシステム11およびサブシステム12−1〜12−Nの少なくとも1つの動作、またはメインシステム11およびサブシステム12−1〜12−Nの少なくとも1つからの状態情報の取得が必要である場合には、受信されたデータが当該データ処理部31により処理可能ではないと判断する。例えば、印刷データ、サブシステム12−i内で保持されるデータの読み書きのコマンド、サブシステム12−iへの処理コマンドなどは、データ処理部31により処理可能ではないと判断される。
【0040】
データ処理部31は、システム制御部32によりメインシステム11の状態をディープスリープ状態から通常動作状態へ切換させるときに、通信インターフェース21を制御して、通信インターフェース21からバッファー22へのデータ格納速度を低下させ、通常動作状態へのメインシステム11の状態の切換が終了すると、データ格納速度を元の速度に戻す。
【0041】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。
【0042】
通常動作状態では、ホスト装置2からのデータが受信されると、メインシステム11は、バッファー22からそのデータを読み出し、そのデータを処理し、そのデータにより指定された処理を、当該メインシステム11内で、またはサブシステム12−iで実行する。
【0043】
通常動作状態においてディープスリープ状態への移行の条件が成立すると、メインシステム11は、ディープスリープ状態への移行の要求を省エネサブシステム13へ送信する。省エネサブシステム13のデータ処理部31は、その要求を受信すると、ステータスデータ25aを更新し、その後、システム制御部23に、メインシステム11およびサブシステム12−1〜12−Nの電源をオフさせる。これにより、ディープスリープ状態となる。具体的には、図1において、通信インターフェース21、バッファー22、システム制御部32、およびデータ処理部31は、メインシステム11が実装された第1ハードウェアとサブシステム12−1〜12−Nが実装されている第2ハードウェアとから分離された第3ハードウェアに実装されており、システム制御部32は、当該画像形成装置1の動作状態を通常動作状態からディープスリープ状態へ切り換えるときに、第3ハードウェアの電源をオフせずに、第1ハードウェアの電源と第2ハードウェアの電源とをオフする。
【0044】
ディープスリープ状態では、省エネサブシステム13が動作を続けており、ホスト装置2からデータが送信されてくると、通信インターフェース21は、そのデータを受信し、バッファー22へ書き込む。
【0045】
省エネサブシステム13のデータ処理部31は、バッファー22に書き込まれたデータに応じて、自己でそのデータを処理するか、メインシステム11およびサブシステム12−1〜12−Nを通常動作状態に復帰させるかを決定する。
【0046】
ここで、省エネサブシステム13のデータ処理部31の動作について説明する。図2は、図1に示す画像形成装置1の動作(主にデータ処理部31の動作)について説明するフローチャートである。
【0047】
データ処理部31は、FIFO(First-In First-Out)の順番で、バッファー22から受信データを読み出す(ステップS1)。
【0048】
そして、データ処理部31は、読み出したデータが、省エネサブシステム13(つまり当該データ処理部31)で処理可能なデータであるか否かを判断する(ステップS2)。
【0049】
読み出したデータが省エネサブシステム13で処理可能なデータである場合、データ処理部31は、そのデータの処理を行い(ステップS3)、処理が完了するとその受信データをバッファー22から消去する(ステップS4)。
【0050】
読み出したデータが省エネサブシステム13で処理可能なデータではない場合、データ処理部31は、現在の画像形成装置1の動作状態がディープスリープ状態であるか否かを判断する(ステップS5)。現在の動作状態がディープスリープ状態でなければ、メインシステム11が動作しているため、データ処理部31は、このデータに対する処理を実行せずに、メインシステム11がこのデータに対する処理を実行する(ステップS10)。
【0051】
一方、現在の動作状態がディープスリープ状態である場合、データ処理部31は、通信インターフェース21を制御して、バッファー22へのデータ格納速度を所定の速度に低下させるとともに(ステップS6)、システム制御部32に、メインシステム11およびサブシステム12−1〜12−Nの電源をオンさせ、通常動作状態への復帰を実行させる(ステップS7)。具体的には、システム制御部32は、当該画像形成装置1の動作状態をディープスリープ状態から通常動作状態へ切り換えるときに、上述の第1ハードウェアの電源と上述の第2ハードウェアの電源とをオンする。なお、バッファー22への1回の格納動作において格納されるデータサイズを小さくすることにより、バッファー22へのデータ格納速度が低くされる。
【0052】
その後、通常動作状態への復帰が完了すると(ステップS8)、データ処理部31は、通信インターフェース21を制御して、バッファー22へのデータ格納速度を元の速度に戻させる(ステップS9)。
【0053】
通常動作状態に戻ると、メインシステム11が、バッファー22に記憶されている受信データを読み出して処理し(ステップS10)、処理が完了すると、処理したデータをバッファー22から消去する。
【0054】
以上のように、上記実施の形態によれば、省エネサブシステム13のデータ処理部31は、画像形成装置1の動作状態がディープスリープ状態である場合、当該データ処理部31により処理可能であると判断されたデータをバッファー22から受信したときにはそのデータを処理し、一方、当該データ処理部31により処理可能ではないと判断されたデータをバッファー22から受信すると、システム制御部32により画像形成装置1の動作状態をディープスリープ状態から通常動作状態へ切換させる。
【0055】
これにより、データが受信されてもデータ処理部31によりそのデータが処理可能である場合にはメインシステム11を通常動作状態に復帰させないため、メインシステム11がディープスリープ状態から通常動作状態へ復帰する頻度が少なくなり、当該画像形成装置1の省電力の度合いが高くなる。
【0056】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0057】
例えば、上記実施の形態では、メインシステム11が動作している状態を、通常動作状態とライトスリープ状態とに分けているが、メインシステム11が動作している状態を、すべて通常動作状態としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、例えば、画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 画像形成装置
11 メインシステム
12−1〜12−N サブシステム
21 通信インターフェース
22 バッファー
23 演算処理装置(コンピューターの一例)
24a プログラム(システム管理プログラムの一例)
25 キャッシュメモリー
25a ステータスデータ
31 データ処理部
32 システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを受信する通信インターフェースと、
前記通信インターフェースにより受信されたデータを一時的に記憶するバッファーと、
前記バッファーに記憶されているデータを処理するメインシステムと、
前記メインシステムにより制御され当該画像形成装置の有する1または複数の機能をそれぞれ実現する1または複数のサブシステムと、
当該画像形成装置の動作状態を、前記メインシステムと前記1または複数のサブシステムの電源がオンである通常動作状態と前記メインシステムと前記1または複数のサブシステムの電源がオフであるディープスリープ状態の一方から他方へ切り換えるシステム制御部と、
当該画像形成装置の動作状態がディープスリープ状態である場合、当該データ処理部により処理可能であると判断されたデータを前記バッファーから受信したときにはそのデータを処理し、当該データ処理部により処理可能ではないと判断されたデータを前記バッファーから受信すると、前記システム制御部により当該画像形成装置の動作状態を前記ディープスリープ状態から前記通常動作状態へ切換させるデータ処理部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
キャッシュメモリーを備え、
前記データ処理部は、前記システム制御部が当該画像形成装置の動作状態を通常動作状態からディープスリープ状態へ切り換えるときに、当該画像形成装置のステータスデータを前記キャッシュメモリーに記憶させ、前記バッファーから受信したデータが、前記ステータスデータに基づき処理可能である場合には、前記データが当該データ処理部により処理可能であると判断すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記データ処理部は、前記バッファーから受信したデータの処理のために、前記メインシステムおよび前記1または複数のサブシステムの少なくとも1つの動作、または前記メインシステムおよび前記1または複数のサブシステムの少なくとも1つからの状態情報の取得が必要である場合には、前記データが当該データ処理部により処理可能ではないと判断することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記データ処理部は、前記システム制御部が前記メインシステムの状態をディープスリープ状態から通常動作状態へ切り換えるときに、前記通信インターフェースから前記バッファーへのデータ格納速度を低下させ、通常動作状態への当該画像形成装置の動作状態の切換が終了すると、前記データ格納速度を元の速度に戻すことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記通信インターフェース、前記バッファー、前記システム制御部、および前記データ処理部は、前記メインシステムが実装された第1ハードウェアと前記1または複数のサブシステムが実装されている第2ハードウェアとから分離された第3ハードウェアに実装されており、
前記システム制御部は、当該画像形成装置の動作状態を通常動作状態からディープスリープ状態へ切り換えるときに、前記第3ハードウェアの電源をオフせずに、前記第1ハードウェアの電源と前記第2ハードウェアの電源とをオフし、当該画像形成装置の動作状態をディープスリープ状態から通常動作状態へ切り換えるときに、前記第1ハードウェアの電源と前記第2ハードウェアの電源とをオンすること、
を特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
データを受信する通信インターフェースと、前記通信インターフェースにより受信されたデータを一時的に記憶するバッファーと、前記バッファーに記憶されているデータを処理するメインシステムと、前記メインシステムにより制御され当該画像形成装置の有する1または複数の機能をそれぞれ実現する1または複数のサブシステムとを備える前記画像形成装置内のコンピューターを、
前記画像形成装置の動作状態を、前記メインシステムと前記1または複数のサブシステムの電源がオンである通常動作状態と前記メインシステムと前記1または複数のサブシステムの電源がオフであるディープスリープ状態の一方から他方へ切り換えるシステム制御部、および
前記画像形成装置の動作状態がディープスリープ状態である場合、当該データ処理部により処理可能であると判断されたデータを前記バッファーから受信したときにはそのデータを処理し、当該データ処理部により処理可能ではないと判断されたデータを前記バッファーから受信すると、前記システム制御部により前記画像形成装置の動作状態を前記ディープスリープ状態から前記通常動作状態へ切換させるデータ処理部、
として機能させるシステム管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−108865(P2012−108865A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84530(P2011−84530)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】