説明

画像形成装置および帯電装置

【課題】帯電器の汚れが簡単に除去される画像形成装置と、そのような画像形成装置に搭載される帯電装置を提供する。
【解決手段】帯電を受け露光を受けて静電潜像が形成され、さらにトナーによる現像を受けてトナー像が形成され、そのトナー像がさらに転写先に転写される感光体に接触した状態にあって、電位バイアスの印加を受けてその感光体を帯電する接触帯電部材に電位バイアスを印加し、感光体からのトナー像の転写後においてその接触帯電部材に印加される電位バイアスを接地電位に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電と露光によって形成された静電潜像がトナーで現像される感光体を有する画像形成装置と、感光体を帯電する帯電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電潜像が形成されその静電潜像がトナーで現像される感光体を、静電潜像形成用に帯電する帯電装置が搭載された画像形成装置が知られている。帯電装置の中には、感光体に接触した状態にあり電位バイアスの印加を受けてこの感光体を帯電する接触帯電部材を有する接触タイプのものがある。接触帯電部材は、感光体に物理的に接触した状態のままその感光体を帯電させるので、転写後に感光体上に残留している残留トナーが感光体から移って付着し易い。また、多くの場合、現像には、磁性キャリアと、その磁性キャリアとの間で摩擦帯電したトナーとを有する現像剤が用いられる。転写後の感光体上には、残留トナーの他に、現像剤に含まれる磁性キャリア等といったいわゆる外添剤も残留していることが多い。接触帯電部材には、転写後に感光体上に残留しているこのような外添剤も付着し易い。接触帯電部材に付着した残留トナーや外添剤等の汚れは、帯電時に感光体上を汚したり、帯電そのものにムラを生じさせたりすることがある。
【0003】
ここで、例えば、像担持体に接触して帯電する帯電部材に印加される電位バイアスの極性を、非画像形成時には、画像形成時とは逆極性に切り換える技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これら特許文献1、2の技術では、画像形成時に帯電部材に付着した外添剤等の汚れが、このような電位バイアスの極性の切換えにより像担持体に転移される。特許文献1の技術では、像担持体に転移された汚れは、現像装置によって静電潜像担持体上から除去される。特許文献2の技術では、像担持体に転移された汚れは、さらに中間転写ベルトに転移され、クリーニングブレードによって中間転写ベルト上から除去される。
【0004】
また、例えば、非接触の状態で感光体を帯電する帯電ロールに印加される電位バイアスレベルを、非画像形成時には、感光体ドラムの電位レベルよりも小さくするとともに、帯電ロールを感光体に接触させる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3の技術では、画像形成時に帯電部材に付着した外添剤等の汚れが、このような電位バイアスレベルの切換えにより感光体に転移される。この特許文献2の技術では、感光体に転移された汚れは、クリーニングブレードによって感光体上から除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−35301号公報
【特許文献2】特開2009−98498号公報
【特許文献3】特開2009−122516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、帯電器の汚れが簡単に除去される画像形成装置と、そのような画像形成装置に搭載される帯電装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の画像形成装置は、
帯電を受け露光を受けて静電潜像が形成され、さらにトナーによる現像を受けてトナー像を保持する感光体と、
上記感光体に接触した状態にあり電位バイアスの印加を受けて感光体を帯電する接触帯電部材を有する帯電器と、
上記感光体を帯電後に露光して感光体に静電電位分布からなる静電潜像を形成する露光器と、
磁性キャリアとその磁性キャリアとの間で摩擦帯電したトナーとを有する現像剤を収容し、上記感光体上に形成された静電潜像を現像剤中のトナーで現像することにより感光体上にトナー像を形成する現像器と、
上記感光体上に形成されたトナー像を転写先に転写する転写器と、
上記感光体を、上記転写器による転写後に除電する除電器と、
上記感光体を除電後に清掃する清掃器と、
上記感光体由来のトナー像を記録媒体上に定着する定着器と、
上記感光体からのトナー像の転写後において上記接触帯電部材に印加される電位バイアスを上記帯電器に接地電位に切り換えさせる制御器とを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、
上記制御器が、
上記接触帯電部材に印加されている、静電潜像形成のための帯電を担う第1の電位バイアスを、上記転写器による上記感光体からのトナー像の転写後の第1のタイミングにおいて第1の電位バイアスよりも接地電位に近づいた第2の電位バイアスに変更させ、
上記第1のタイミングよりも遅れた第2のタイミングにおいて上記除電器による上記感光体の除電を停止させ、
上記第2のタイミングよりも遅れた第3のタイミングにおいて上記接触帯電部材を接地電位に切り換えさせるものであることを特徴とする。
【0009】
請求項3の画像形成装置は、請求項2記載の画像形成装置において、
上記制御器が、上記第3のタイミングよりも遅れた第4のタイミングで上記除電器に上記感光体の除電を再開させ、第4のタイミングよりも遅れた第5のタイミングで除電器による該感光体の除電を再度停止させるものであることを特徴とする。
【0010】
請求項4の帯電装置は、
帯電を受け露光を受けて静電潜像が形成され、さらにトナーによる現像を受けてトナー像が形成され、トナー像がさらに転写先に転写される感光体に接触した状態にあって、電位バイアスの印加を受けて感光体を帯電する接触帯電部材と、
上記接触帯電部材に電位バイアスを印加し、上記感光体からのトナー像の転写後において接触帯電部材に印加される電位バイアスを接地電位に切り換える電源とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の画像形成装置および請求項4の帯電装置によれば、帯電器(帯電装置)の感光体への接触状態の切換えや電位バイアスの極性切換えを行う場合に比べて、帯電器(帯電装置)の汚れが簡単に除去される。
【0012】
請求項2の画像形成装置によれば、除電器による除電が停止されたことによって感光体の電位が変化したときに現像剤が磁性キャリアごと現像器から感光体に転移してしまうといった事態が回避される。
【0013】
請求項3の画像形成装置によれば、再度の静電潜像形成の前に、感光体上の静電潜像の電位分布を除電して一様に接地電位に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態としての画像形成装置の概略構成図である。
【図2】転写後の、接触帯電ロールへの電位バイアス、現像ロールへの電位バイアス、および除電ランプの点灯と消灯についての制御部による制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態としての画像形成装置の概略構成図である。
【0017】
この画像形成装置100は、その下部に給紙台10を備えており、その給紙台10には用紙Pが積み重ねられた状態に収容されている。画像形成にあたっては、ピックアップロール11によりその給紙台10から用紙Pが1枚送り出され、搬送ロール12により搬送路121上を矢印A方向に搬送される。そして、用紙Pは、待機ロール13によりそれ以降の搬送のタイミングが調整されてさらに搬送される。この待機ロール13以降の搬送については後述する。
【0018】
また、この画像形成装置100には、4台の画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kが配置されている。各画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、イエロー(Y)色のトナー、マゼンタ(M)色のトナー、シアン(C)色のトナー、および黒(K)色のトナーを用いてトナー像を形成するエンジンである。これら4台の画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kは、使用されるトナーが異なる点を除き、いずれも同一の構成を有する。ここでは、それら4台の画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kを代表させて、1台の画像形成エンジン20Yを取り挙げてその構成を説明する。
【0019】
画像形成エンジン20Yは、感光体21Yを有し、その感光体21Yの周囲に、帯電器22Y、露光器23Y、現像器24Y、転写器25Y、除電ランプ26Y、およびクリーナ27Yが配置されている。ここで、転写器25Yは、感光体21Yとの間に後述する中間転写ベルト31を挟んだ位置に配置されている。
【0020】
感光体21Yは、円筒形状を有し、矢印B方向に回転しながら、その表面に、帯電を受け露光を受けて静電潜像が形成される。この感光体21Yが、本発明にいう感光体の一例に相当する。
【0021】
帯電器22Yは、感光体21Yに接触した状態で回転しながら感光体21Yを帯電する接触帯電ロール22Y_1を有する。接触帯電ロール22Y_1は、電源60から−1000Vの電位バイアスの印加を受けて感光体21Yを帯電する。また、帯電器22Yは、接触帯電ロール22Y_1に付着したトナーや外添剤等の汚れを除去する帯電器用クリーナ22Y_2を有している。
【0022】
また、この帯電の際には、感光体21Yの回転方向について、この帯電器22Yよりも上流側に位置する除電ランプ26Yが点灯状態にある。除電ランプ26Yからの光は、感光体21Yの表面電位を接地電位に近づける働きを担っている。−1000Vの電位バイアスの印加を受けた接触帯電ロール22Y_1によって帯電された感光体21の表面電位は、除電ランプ26Yからの光の作用と相俟って−400Vとなる。
【0023】
露光器23Yには、後述する制御部50から画像データが入力され、露光器23Yからは、その入力された画像データに応じて変調された露光光231Yが出力される。感光体21Yは、帯電器22Yによる帯電を受けた後で露光器23Yからの露光光231Yの照射を受ける。照射を受けた部分の電位は、若干接地電位に近づいておよそ−200Vの電位となる。これにより、感光体21Yの表面には、−400Vの電位の部分と−200Vの電位の部分とが上記の画像データに従って分布した静電潜像が形成される。この露光器23Yが、本発明にいう露光器の一例に相当する。
【0024】
感光体21Yは、露光光231Yの照射を受けて表面に静電潜像が形成された後、現像器24Yにより現像され、その感光体21Yの表面にトナー像が形成される。
【0025】
現像器24Yは、内部にトナーと磁性キャリアとからなる現像剤を収容したケース241内に、現像剤を攪拌する2本のオーガ242と、現像剤を感光体21Yに対向した位置に運ぶ現像ロール243とを有する。収容したケース241内では、2本のオーガ242の撹拌によって、トナーが磁性キャリアとの間で摩擦帯電する。現像ロール243は磁性を帯びており、摩擦帯電によって静電的にトナーが付着した状態の磁性キャリアが、この現像ロール243が有する磁力によって現像ロール243上に保持される。
【0026】
感光体21Y上に形成された静電潜像の現像にあたっては、現像ロール243に−300Vの電位バイアスが印加される。その電位バイアスの作用により、現像剤中のトナーが、感光体21Y上に形成された静電潜像における、−200Vの電位を有する部分に付着し、トナー像が形成される。この現像器24Yが、本発明にいう現像器の一例に相当する。
【0027】
現像器24Yによる現像により感光体21Y上に形成されたトナー像は、転写器25Yの作用により中間転写ベルト31上に転写される。転写器25Yが、本発明にいう転写器の一例に相当する。
【0028】
この転写後の感光体21Yの表面は、除電ランプ26Yからの光の作用により一様に接地電位に近づけられる。これにより、転写後の感光体21Yの表面から静電潜像の履歴が消去される。除電ランプ26Yが、本発明にいう除電器の一例に相当する。
【0029】
続いて、感光体21Y上に残留する残留トナー等が、クリーナ27Yによって感光体21Y上から除去される。クリーナ27が、本発明にいう清掃器の一例に相当する。
【0030】
中間転写ベルト31は、駆動ロール32やその他の複数のロール33に架け回された、無端の、矢印C方向に循環移動するベルトである。
【0031】
画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kのそれぞれで形成されたY,M,C,Kの各トナーによるトナー像は、画像形成エンジン20Yで形成されたYトナーによるトナー像を最下層として順次重なるように中間転写ベルト31上に転写される。そして、二次転写器34が配置された二次転写位置に搬送される。これと同期して、待機ロール13にまで搬送されてきていた用紙が二次転写位置に搬送され、二次転写器34の作用により、中間転写ベルト31上のトナー像が、搬送されてきた用紙上に転写される。このトナー像の転写を受けた用紙は、搬送ベルト14上を矢印D方向にさらに搬送され、定着器40による加圧および加熱により用紙上のトナー像がその用紙上に定着される。これにより、定着されたトナー像からなる画像が用紙上に形成される。画像が形成された用紙は、搬送ベルトにより矢印E方向に搬送されて、この画像形成装置100の外部に排出される。
【0032】
二次転写器34によりトナー像を用紙上に転写した後の中間転写ベルト31はさらに循環移動し、その表面に残存するトナーがクリーナ35によって中間転写ベルト31上から取り除かれる。
【0033】
また、この画像形成装置100には、制御部50と操作・表示部501と電源60とが設けられている。制御部50には、画像データCinが入力される。そして、制御部50では、画像データCinとともに入力されてきた制御データに従って、あるいは操作・表示部501からの指示に従って、その画像データCinが処理される。これにより、画像データCinは、各露光器23Y,23M,23C,23Kにおける露光光231Y,231M,231C,231Kの照射に適した画像データに変換される。この変換後の画像データは、各露光器23Y,23M,23C,23Kに送信される。各露光器23Y,23M,23C,23Kでは、入力されてきたY,M,C,Kの各色に対応した各画像データに従って各感光体21Y,21M,21C,21Kに各露光光を照射する。
【0034】
操作・表示部501は、ユーザに向けてこの画像形成装置100に関する様々なメッセージを表示し、また、様々な操作ボタンを表示してユーザからの画像形成に関する指示等の操作を受け付けるマン・マシンインタフェースである。
【0035】
電源60は、制御部50によって出力レベルが制御され、その制御された出力レベルの電圧を、この画像形成装置100の各要素に印加する。
【0036】
ここで、この画像形成装置100では、用紙1枚分以上の1群の画像を表す画像データが、1つのジョブの処理対象として制御部50に入力される。転写器25Yは、トナー像の転写が1回終了する毎に、その旨を制御部50に通知する。制御部50は、転写器25Yから転写の終了が通知されると、その転写が、今回のジョブにおける最後の画像についての転写であるか否かを判定する。そして、転写が最後の画像についての転写であった場合、制御部50は、以下に説明する処理を実行する。
【0037】
この場合、制御部50は、電源60に、帯電器22Yの接触帯電ロール22Y_1および現像装置24Yの現像ロール243それぞれに印加する電位バイアスを、後述のように切り替えさせる。また、その制御の際には、制御部50は、除電ランプ26Yの点灯と消灯も制御する。
【0038】
帯電器22Yと電源60とを合わせたものが、本発明にいう帯電器の一例に相当する。そして、接触帯電ロール22Y_1が、本発明にいう接触帯電部材の一例に相当する。
【0039】
また、帯電器22Yと電源60と制御部50とを合わせたものが、本発明の帯電装置の一実施形態に相当している。
【0040】
また、制御部50が、本発明の画像形成装置における制御器の一例に相当する。また、制御部50と電源60とを合わせたものが、本発明の帯電装置における電源の一例に相当する。
【0041】
以下、1つのジョブにおける最後の画像についての転写後の、接触帯電ロール22Y_1への電位バイアス、現像ロール243への電位バイアス、および除電ランプ26Yの点灯と消灯についての制御部50による制御について説明する。
【0042】
図2は、転写後の、接触帯電ロールへの電位バイアス、現像ロールへの電位バイアス、および除電ランプの点灯と消灯についての制御部50による制御フローを示す図である。
【0043】
1つのジョブの開始後、最後の画像についての転写が終了するまでの間は、電源60から接触帯電ロール22Y_1に、静電潜像形成のための帯電を担う第1の帯電バイアスV1(−1000V)が印加されている。また、現像ロール243には、感光体21Yへのトナーの転移を担う現像バイアスV2(−300V)が印加されている。また、除電ランプ26Yは点灯状態にある。
【0044】
そして、最後の画像についての転写終了から、予め定められた時間が経過した第1のタイミングT1において、制御部50は、電源60に、接触帯電ロール22Y_1への電位バイアスを第2の帯電バイアスV3に変更させる。第2の帯電バイアスV3は、第1の帯電バイアスV1よりも接地電位V0に若干近づいた電位バイアスである。
【0045】
次に、第1のタイミングT1よりも、感光体21Y上の、接触帯電ロール22Y_1に対面した部分が除電ランプ26Yに対面する位置に達するまでに要する時間だけ遅れた第2のタイミングT2において、制御部50は除電ランプ26Yを消灯させる。
【0046】
ここで、上述したように、除電ランプ26Yからの光は、感光体21Yの表面電位を接地電位に近づける働きを担っている。このため、上記の第2のタイミングT2において除電ランプ26Yが消灯されると、感光体21Yの表面電位が接地電位から遠ざかる。
【0047】
このとき、仮に、接触帯電ロール22Y_1に印加される電位バイアスが上記の第1の帯電バイアスV1(−1000V)のままであると、感光体21Yの表面電位は、上述した−400Vの電位からおよそ−450Vに変化する。
【0048】
−300Vの電位バイアスを印加されている現像ロール243上の磁性キャリアの極性は、感光体21Yの表面電位の極性と逆極性である。このため、現像ロール243上の磁性キャリアと感光体21Yとの間には、磁性キャリアを感光体21Y側に引き寄せる静電力が働く。この静電力は、除電ランプ26Yの消灯による感光体21Yの表面電位の上記の変化に伴って増加する。一方で、磁性キャリアは、上記のように現像ロール243に磁力によって引き付けられている。
【0049】
感光体21Yの表面電位が除電ランプ26Yの点灯時の電位レベルである−400Vであれば、磁性キャリアを感光体21Y側に引き寄せる静電力は、磁性キャリアを現像ロール243に引き付けている磁力よりも小さい。しかし、仮に感光体21Yの表面電位が−450Vであるとすると、磁性キャリアを感光体21Y側に引き寄せる静電力が、磁性キャリアを現像ロール243に引き付けている磁力を上回ってしまう。この場合、現像ロール243から、現像剤が磁性キャリアごと感光体21Yに転移するという事態が生じる恐れがある。
【0050】
本実施形態では、除電ランプ26Yの消灯による感光体21Yの表面電位の変化を見越して、除電ランプ26Yの消灯に先立つ第1のタイミングT1で、接触帯電ロール22Y_1への電位バイアスが上記の第2の帯電バイアスV3に変更される。つまり、この第1のタイミングT1では、感光体21Yの表面電位が接地電位に若干近づけられる。
【0051】
これにより、除電ランプ26Yの消灯によって感光体21Yの表面電位が変化しても、その変化後の表面電位が、その表面電位に応じた静電力が現像ロール243からの磁力を下回る、消灯前の表面電位(−400V)と同程度の電位となる。
【0052】
そして、第2のタイミングT2よりも、感光体21Yが1周分回転するのに要する時間だけ遅れた第3のタイミングT3において、制御部50は、電源60に、接触帯電ロール22Y_1に印加する電位バイアスを接地電位V0に切り換えさせる。
【0053】
第2のタイミングT2の後は、感光体21Yが1周分回転するのに要する時間が経過するまで、制御部50は待機状態となる。この間、接地電位V0の接触帯電ロール22Y_1から、−400Vの表面電位を有する感光体21Yに、接触帯電ロール22Y_1に付着していた外添剤等の汚れが、両者間の電位差によって転移する。ここで、上述したように、帯電器22Yは、接触帯電ロール22Y_1に付着した汚れを除去する帯電器用クリーナ22Y_2を有している。しかし、今回のジョブで感光体21Y上に形成されたトナー像の数や各トナー像の画像密度等によっては、帯電器22Yに付着する汚れの量が多くなり、帯電器用クリーナ22Y_2で除去しきれない場合がある。上記の第2のタイミングT2の後に感光体21Yに転移する汚れは、帯電器用クリーナ22Y_2で除去しきれなかった汚れである。感光体21Yに転移した汚れは、感光体21Y上の残留トナー等とともにクリーナ27Yによって感光体21Y上から除去される。
【0054】
このように、本実施形態では、接触帯電ロール22Y_1に印加する電位バイアスを接地電位V0に切り換えるという単純動作によって、接触帯電ロール22Y_1上の汚れが除去される。このような単純動作によって汚れを除去する方法は、例えば帯電ロールの感光体への接触状態の切換えや感光体の電位バイアスの極性切換えを行う場合に比べて簡単である。
【0055】
そして、第3のタイミングT3よりも、感光体21Yが1周分回転するのに要する時間だけ遅れた第4のタイミングT4において、制御部50は、除電ランプ26Yを点灯させる。
【0056】
続いて、その第4のタイミングT4後の第5のタイミングT5において、制御部50は、現像ロール243の電位バイアスを、上記の現像バイアスV2から接地電位V0に切り換えさせる。第5のタイミングT5は、第4のタイミングT4よりも、感光体21Y上の、除電ランプ26Yに対面した部分が現像ロール243に対面する位置に達するまでに要する時間だけ遅れたタイミングである。
【0057】
第5のタイミングT5の後は、感光体21Yが1周分回転するのに要する時間が経過するまで、制御部50は待機状態となる。この間、感光体21の表面電位が除電ランプ26Yからの光によって一様に接地電位に近づけられる。これにより、感光体21の表面に残っている、今回のジョブにおける最後の画像についての静電潜像の履歴が消去される。さらに、この間にも、接触帯電ロール22Y_1から転移した汚れを含む、感光体21の表面の付着物が、クリーナ27Yによって除去される。
【0058】
そして、第5のタイミングT5よりも、感光体21Yが1周分回転するのに要する時間だけ遅れた第6のタイミングT6において、制御部50は、除電ランプ26Yを消灯させて、次回のジョブについての画像データの入力を待つ。
【0059】
尚、本実施形態では、第2のタイミングT2〜第3のタイミングT3の間隔、第3のタイミングT3〜第4のタイミングT4の間隔、第5のタイミングT5〜第6のタイミングT6の間隔が、いずれも感光体21Yが1周分回転するのに要する時間間隔である。しかしながら、これらの間隔は、感光体21Yが複数周分回転するのに要する時間であっても良い。また、これらの間隔は、互いに異なる時間間隔であっても良い。
【0060】
また、本実施形態では、1つのジョブにおける最後の画像についての転写後に、制御部50が図2に示す制御フローに従った制御を実行する形態が例示されている。しかしながら、図2に示す制御フローに従った制御は、1つのジョブにおける各画像についての転写が終了する度に実行しても良い。あるいは、ジョブとは関係なく、予め定められた枚数分の画像について転写が終了する度に、上記の制御を実行しても良い。
【0061】
また、本実施形態では、画像形成装置の一例として、YMCK4色分の画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kを有するカラーの画像形成装置100が例示されている。しかしながら、画像形成装置は、YMCK4色以外の特色用の画像形成エンジンをさらに備えたものであっても良く、あるいは、K色用の画像形成エンジンのみを備えたモノクロの画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0062】
10 給紙台
20Y,20M,20C,20K 画像形成エンジン
21Y,21M,21C,21K 感光体
22Y 帯電器
22Y_1 接触帯電ロール
22Y_2 帯電器用クリーナ
23Y,23M,23C,23K 露光器
24Y 現像器
25Y 転写器
26Y,35 クリーナ
31 中間転写ベルト
34 二次転写器
40 定着器
50 制御部
60 電源
100 画像形成装置
231Y,231M,231C,231K 露光光
501 操作・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電を受け露光を受けて静電潜像が形成され、さらにトナーによる現像を受けてトナー像を保持する感光体と、
前記感光体に接触した状態にあり電位バイアスの印加を受けて該感光体を帯電する接触帯電部材を有する帯電器と、
前記感光体を帯電後に露光して該感光体に静電電位分布からなる静電潜像を形成する露光器と、
磁性キャリアと該磁性キャリアとの間で摩擦帯電したトナーとを有する現像剤を収容し、前記感光体上に形成された静電潜像を該現像剤中のトナーで現像することにより該感光体上にトナー像を形成する現像器と、
前記感光体上に形成されたトナー像を転写先に転写する転写器と、
前記感光体を、前記転写器による転写後に除電する除電器と、
前記感光体を除電後に清掃する清掃器と、
前記感光体由来のトナー像を記録媒体上に定着する定着器と、
前記感光体からのトナー像の転写後において前記接触帯電部材に印加される電位バイアスを前記帯電器に接地電位に切り換えさせる制御器とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御器が、
前記接触帯電部材に印加されている、静電潜像形成のための帯電を担う第1の電位バイアスを、前記転写器による前記感光体からのトナー像の転写後の第1のタイミングにおいて該第1の電位バイアスよりも接地電位に近づいた第2の電位バイアスに変更させ、
前記第1のタイミングよりも遅れた第2のタイミングにおいて前記除電器による前記感光体の除電を停止させ、
前記第2のタイミングよりも遅れた第3のタイミングにおいて前記接触帯電部材を接地電位に切り換えさせるものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御器が、前記第3のタイミングよりも遅れた第4のタイミングで前記除電器に前記感光体の除電を再開させ、該第4のタイミングよりも遅れた第5のタイミングで該除電器による該感光体の除電を再度停止させるものであることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
帯電を受け露光を受けて静電潜像が形成され、さらにトナーによる現像を受けてトナー像が形成され、該トナー像がさらに転写先に転写される感光体に接触した状態にあって、電位バイアスの印加を受けて該感光体を帯電する接触帯電部材と、
前記接触帯電部材に電位バイアスを印加し、前記感光体からのトナー像の転写後において該接触帯電部材に印加される電位バイアスを接地電位に切り換える電源とを有することを特徴とする帯電装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−92576(P2013−92576A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233195(P2011−233195)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】