説明

画像形成装置および画像形成プログラム

【課題】 省電力モードに置かれた装置の起動復帰要因に応じて定着制御を行い、再起動時の速やかな印刷を容易にするとともに、消費電力の低減を確保する。
【解決手段】 印刷エンジン11は、給紙段15から1次給紙した用紙19を2次給紙して印刷データを転写し、定着部31で加熱定着して用紙19に印刷する。判別部37は、省電力モードの状態において、外部からデータが受信されたとき、所定の管理テーブルに基づき、その受信データが定着部31の動作起動を必要とするか否か判別する。印刷エンジン制御部33は、判別部37が定着部31の起動動作を要すると判別したとき、定着部31の加熱を開始するよう印刷エンジン11を復帰制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置および画像形成プログラムに係り、例えば複写機や複合機(MFP:Multi Function Peripheral)において好適する画像形成装置および画像形成プログラムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機や複合機等では、消費電力を節約する観点から、ある一定期間操作しない場合や節電キー等を操作した場合、印刷エンジン部の定着部にある加熱ヒータ等への電力供給を遮断し、再起動に必要な機能動作等を確保する、いわゆる省電力モード(省エネモード:省エネルギーモード)に移れるような機能を搭載する構成が多い。
【0003】
ところが、省電力モード状態から通常モードに切り換える場合、通常モードに切り換わってから定着部の加熱ヒータに電力供給を開始すると、印刷に適した温度まで加熱ヒータが昇温されるまで印刷処理を待たされるから、円滑な印刷作業に支障を来さない特別な工夫が必要である。
【0004】
そこで、例えば特開2005−156624号公報(特許文献1)記載の複合機および複合機の制御方法が提案されている。
【0005】
この特許文献1は、定着器を含むプリント手段によるプリント動作を必要とする機能および該プリント動作を不要とする機能を有する複合機であって、電源投入時に立ち上げる機能又はユーザによって選択された機能が、プリント動作を必要とする機能であるか否かを判定し、立ち上げる機能がプリント動作を必要とする機能であれば、プリンタ部の定着器を加熱制御する構成を有し、予め、設定された機能で立ち上げ、その立ち上げた機能がプリント動作等のように定着器を必要とする機能に対し、定着器が短時間で定着温度に達するようにしたものである。
【特許文献1】特願2005−156624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1では、予め設定された初期機能又は特に指定した機能通りで立ち上げるから、立ち上げの都度、定着器の起動開始が判断されない。
【0007】
そのため、例えばコピー機能で立ち上げる設定している状態で、本当はスキャン動作したデータをネットワークを介して送信させたい場合でも、定着部の加熱ヒータを駆動させて待機温度まで上昇させるから、消費電力を節約する観点から課題がある。
【0008】
また、立ち上げる機能設定を無視するモードがあっても、起動されてから何かしらのキー入力、例えばコピー機能を選択しないと、定着器の加熱ヒータが駆動されない。
【0009】
このような場合、コピーする目的で機器を起動させても、コピー機能ボタンを入力操作した時点で加熱ヒータが駆動され始めることになり、待機温度に到達するまでの時間が遅くなってしまう課題がある。
【0010】
さらに、コピー、プリンタ、ファクシミリ機能の何れかの状態から復帰されたものかを判断する手段も講じられていないから、操作性の向上には改善の余地がある。
【0011】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、省電力モードに置かれた装置の起動復帰要因に応じて定着制御を行うことが可能で、再起動時の速やかな印刷が容易であるとともに、消費電力の低減を確保することも可能な画像形成装置および画像形成プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのような課題を解決するために本発明に係る画像形成装置は、給紙段から1次給紙した用紙を2次給紙して印刷データを転写するとともに、定着部で加熱定着してその用紙に印刷する印刷エンジンと、少なくともその定着部の動作を停止させた省電力モードの状態において、この省電力モードから通常モードへの復帰要因が入力されたとき、所定の管理データに基づきその復帰要因が定着部の動作起動を要するものか否か判別する判別部と、この判別部がその定着部の起動動作を要すると判別したとき、その定着部の加熱を開始するよう上記印刷エンジンを復帰制御する印刷エンジン制御部とを具備している。
【0013】
本発明の画像形成装置では、上記復帰要因として当該装置で外部から受信された受信データとする構成も可能である。
【0014】
本発明の画像形成装置では、その受信データとしてのプリントデータ、ファクシミリ送信データ又は電子メール送受信データとする構成も可能である。
【0015】
本発明の画像形成装置では、上記復帰要因として当該装置の所定キー操作とする構成も可能である。
【0016】
本発明の画像形成装置では、上記復帰要因として当該装置の電源キー操作とする構成も可能である。
【0017】
本発明の画像形成装置では、上記判別部が、その所定キー操作に基づく省電力モードから通常モードへの復帰に続く当該装置の機能選択キー操作があるとき定着部の起動要否を判別し、上記印刷エンジン制御部が、その判別部が定着部の起動動作を不要と判別したとき、加熱を開始した定着部の起動を停止制御する構成も可能である。
【0018】
本発明に係る画像形成画像形成プログラムは、給紙段から1次給紙した用紙を2次給紙して印刷データを転写するとともに、定着部で加熱定着してその用紙に印刷する印刷エンジンを制御する制御用コンピュータに対し、少なくともその定着部の動作を停止させた省電力モードの状態において、この省電力モードから通常モードへの復帰要因が入力されたとき、所定の管理データに基づきその復帰要因がその定着部の動作起動を要するものか否か判別する判別処理と、この判別処理がその定着部の起動動作を要すると判別したとき、その定着部の加熱を開始するよう上記印刷エンジンを復帰制御する印刷エンジン制御処理とを実行させるものである。
【発明の効果】
【0019】
このような本発明に係る画像形成装置および画像形成プログラムでは、定着部の動作を停止させた省電力モードの状態において、この省電力モードから通常モードへの復帰要因が入力されたとき、所定の管理データに基づきその復帰要因がその定着部の動作起動を要するものか否か判別処理し、この判別処理がその定着部の起動動作を要するものであるとき、その定着部の加熱を開始するよう上記印刷エンジンを制御するから、省電力モードに置かれた装置を起動するとき、その起動要因に応じて定着制御を行うことが可能で、再起動時の速やかな印刷が容易であるとともに、消費電力の低減を確保することも可能となる。
【0020】
本発明において、当該装置で外部から受信された受信データを上記復帰要因とする構成では、受信された受信データに応じて自動的に定着部を起動させることが可能である。
【0021】
本発明において、その受信データとしてのプリントデータ、ファクシミリ送信データ又は電子メール送受信データを上記復帰要因とする構成では、それらのデータ受信時では、定着部を起動させずに消費電力の低減を確保することも可能となる。
【0022】
本発明において、当該装置の所定キー操作を上記復帰要因とする構成では、キー操作に応じて自動的に定着部を起動させることが可能である。
【0023】
本発明において、当該装置の電源キー操作を上記復帰要因とする構成では、電源キー操作に応じて自動的に定着部を起動させることが可能である。
【0024】
本発明において、所定キー操作後の当該装置の機能選択キー操作に応じ、一度起動させた定着部を停止制御する構成では、自動的に定着部を起動させてから、機能選択キー操作に応じて定着部を起動停止させ、消費電力の低減を確保することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1は本発明に係る画像形成装置の実施の形態を示すブロック図である。なお、本発明に係る画像形成プログラムは画像形成装置を説明する過程で説明する。
【0027】
まず、本発明に係る画像形成装置の第1の構成(受信データによる再起動)を説明する。
【0028】
図1において、本発明に係る画像形成装置Aは、主制御部1を中心にして画像読取部3、記憶部5、通信部7、操作パネル部9および印刷エンジン11を有し、例えば複合機を構成している。なお、画像形成装置Aとしてはこれ以外にも種々の構成を有するが、本発明の要部ではないので説明および図示を省略する。
【0029】
主制御部1は、画像読取部3、記憶部5、通信部7、操作パネル部9および印刷エンジン11を制御するものであるが、詳細は後述する。
【0030】
画像読取部3は、画像形成装置Aの図示しない本体ケースの上部に配置され、主制御部1の制御の下、例えば印刷された原稿から画像を光学的に読み込み、フィルタ処理等をして電子的印刷データを生成する公知のスキャナー等であり、生成した印刷データが原稿の頁毎に記憶部5に順次記憶されるようになっている。
【0031】
記憶部5は、画像読取部3および通信部7からの印刷データや受信データ、主制御部1の動作プログラムの他、後述する管理テーブル、図示しない動作画面等を格納する読み書き可能な例えばハードディスク(HDD)である。
【0032】
通信部7は、主制御部1の制御の下、ネットワーク13を介して例えば情報処理装置(コンピュータ)Bから印刷(プリント)データを受信したり、他の複合機Cとの間で、ファクシミリ原稿や電子メール等のデータを所定のプロトコルで送受信するインターフェース部である。
【0033】
操作パネル部9は、例えば図2に示すように、画像形成装置Aの本体ケースの上部に配置され、画像形成装置Aの動作状態を表示する液晶タイプの表示部9aと、タッチスイッチタイプの入力部9bを兼ねたものであり、主制御部1によって画像表示制御されるとともに、入力部9bからの操作入力された指示情報が主制御部1に出力される。
【0034】
入力部9bは、原稿を光学的に読み取って印刷する印刷機能の実行を指示する「印刷」キー、他の情報処理装置(コンピュータ)Bからのプリントデータをプリント(印刷)するプリント機能の実行を指示する「プリント」キー、他の画像形成装置(複合機)Cとの間でファクシミリ(図ではFAXと略す。)送受信するファクシミリ送受信機能の実行を指示する「FAX受信」キーや「FAX送信」キー、電子メールを送受信する電子メール送受信機能の実行を指示する「メール受信」キーや「メール送信」キー等の機能キー9cが配置されている。
【0035】
入力部9bは、更に、数字等の符号を入力するテンキー9d、諸機能のスタートを指示するスタートキー9e、装置を省電力モードに移行させる省電力モードキー(図2では省電力キーと略す。)9fが配置されている。
【0036】
なお、操作パネル部9には、装置本体の電源をON/OFFする電源キー、印刷する用紙につき「A4」、「A3」、「手差し」等といった規格寸法用紙の機能選択キー、「濃度設定」といった濃度設定キー、「倍率設定」といった倍率設定キー等の複数種類の画像表示が可能になっているが、図示を省略する。電源キーは操作パネル部9とは別個の場所に配置される場合が多い。
【0037】
省電力モードは、例えば、無操作状態が一定時間経過した後又は電源キー等を押下することで移行する、いわゆるスリープモードであり、印刷エンジン11における用紙の給紙や搬送駆動部(図示せず。)、後述する転写ロータ23や定着部31への電源供給を止める一方、画像データの処理等の実行は確保するとともに、主制御部1の動作も確保する状態である。
【0038】
省電力モードには、更に、再起動動作を受け付ける機能のみ生かして残りは休止させるといったように、印刷エンジン11の電源供給を完全に遮断し、主制御部1の機能も必要最小限に抑えるように電源供給を制限する一段と深い
モードへの移行設定も可能である。
【0039】
図1の印刷エンジン11は、画像形成装置Aの本体ケース内に配置され、図3に示すように、給紙段(給紙カセット)15から給紙ローラ17で用紙19を給紙し、レジストローラ21で用紙を2次給紙し、2次給紙された搬送用紙に転写ローラ23および圧力ローラ25で印刷データをモノクロ又はカラー転写し、加熱ローラ27および加圧ローラ29からなる定着部31によって転写画像を定着処理し、画像の転写定着された用紙を排紙するものである。
【0040】
なお、図3において、給紙ローラ17、レジストローラ21、転写ローラ23、圧力ローラ25、29および加熱ローラ27等は、便宜上、印刷エンジン11から抜き出して図示されているが、それらは印刷エンジン11に含まれるものである。
【0041】
印刷エンジン11は、CPU、このCPUの動作プログラムを格納したメモリ部、入出力インターフェース、印刷制御部(いずれも図示せず。)を有し、主制御部1からの制御を介し、給紙ローラ17、レジストローラ21、転写ローラ23、圧力ローラ25、加熱ローラ27および加圧ローラ29等を制御し、主制御部1の制御の下、印刷(プリント)機能を実現している。
【0042】
印刷エンジン11は、主制御部1の後述する印刷エンジン制御部33によってそれ自体の起動の開始および停止が制御されるとともに、定着部31の起動開始および停止を制御する駆動制御部35を有している。
【0043】
駆動制御部35は、加熱ローラ27内部に配置された加熱部27aとしての加熱ヒータや加熱ランプ(何れも図示せず。)に対し、起動時には、後述する起動許可信号のON動作を受けて駆動電力を供給して加熱制御し、停止制御時には、当該起動許可信号のOFF動作を受けて加熱部27aへの駆動電力を遮断する制御機能を有している。
【0044】
主制御部1は、CPU、このCPUの起動プログラムを格納したメモリ部、入出力インターフェース(いずれも図示せず。)を有し、上述した画像読取部3、記憶部5、通信部7、操作パネル部9および印刷エンジン11を制御し、印刷(プリント)機能、ファクシミリ送受信機能、電子メール送受信機能を実現するための制御機能を有している。
【0045】
主制御部1は、図2に示す省電力キー9f又は図示しない電源キーを外部から選択すると、印刷エンジン11(駆動制御部33)を制御し、再起動に必要な構成部分への電力供給を維持する一方、加熱ローラ27の加熱部27aへの駆動電力供給を遮断するとともに、図示しない構成部分への駆動電力の供給を遮断し、省電力モード移行を制御する機能を有している。
【0046】
主制御部1は、少なくとも定着部31の動作を停止させた省電力モード状態に下で、後述するように印刷データが入力されたり、種々のデータが受信されたり、省電力モードキー9fや電源キー等が押下されたとき、再起動制御する機能を有している。
【0047】
それら印刷データや受信データの主制御部1への入力、所定の省電力モードキー9fや電源キーの押下を、便宜上、省電力モードから通常モードへの復帰要因とする。
【0048】
主制御部1は、省電力モードの状態において、省電力モードから通モードへの復帰要因が入力されたとき、記憶部5の管理テーブルを参照し、定着部31の動作起動が必要か否か判別する判別部37として機能している。
【0049】
管理テーブルは、図4に示すように、当該画像形成装置Aが有する機能、例えば、印刷(プリント)、ファクシミリ受信、ファクシミリ送信、電子メール受信および電子メール送信等の諸機能に対し、これら個々の機能において印刷エンジン11中の定着部31を動作させるか否かを対応して設定させたテーブル状の管理データであり、後述するように主制御部1の制御の下で作成される。
【0050】
例えば、当該画像形成装置Aの印刷機能では印刷エンジン11を「動作させる」、ファクシミリ送信機能では「動作させない」と設定されている。なお、ここでいう印刷エンジン11の動作は、実質的には定着部31の起動動作である。
【0051】
判別部37は、省電力モードの状態において、主制御部1に入力されたデータから印刷(プリント)データ信号、ファクシミリ送受信信号又は電子メール送受信信号の別を解析する一方、管理テーブルを参照し、ファクシミリ送信信号又は電子メール送受信信号であれば、定着部31の動作起動が不要と判別する一方、それ以外の場合、例えば印刷データやファクシミリ受信データであれば、定着部31すなわち加熱部27aの起動が必要と判別する機能を有している。
【0052】
印刷エンジン制御部33は、判別部37が定着部31の起動動作を要すると判別したとき、上述した起動許可信号をON動作させて印刷エンジン11の駆動制御部35に出力し、加熱部27aに駆動電力を供給開始して加熱制御する一方、判別部37が定着部31の起動動作を不要と判別したとき、起動許可信号をOFFのままとして、定着部31の加熱停止を維持するよう駆動制御部35を制御する機能を有している。
【0053】
従って、主制御部1は、例えば、通信部7が情報処理装置Bから印刷(プリント)データを受信すると、これを判別部37にて定着部31の起動動作が必要か否か判別させ、判別部37では定着部31の起動動作を要すると判別するから、印刷エンジン制御部33で起動許可信号をON動作させて印刷エンジン11の駆動制御部35に出力する。画像読取部3からの印刷データについても同様である。
【0054】
印刷エンジン11は、それを受けて加熱部27aへの駆動電力を供給開始し、所定の加熱温度に昇温してから印刷(プリント)機能を実行する。
【0055】
他方、通信部7が情報処理装置Bから電子メールを受信すると、これを判別部37にて定着部31の起動動作を要するか否か判別させ、判別部37では定着部31の起動動作を要しないと判別するから、印刷エンジン制御部33が起動許可信号をOFFのままとし、加熱部27aへの駆動電力を供給開始させず、昇温制御もさせず、所定の電子メールデータを受信処理、例えば記憶部5への記憶を制御する。
【0056】
このように、本発明の画像形成装置では、省電力モードから通常モードへの復帰要因によって、その復帰時の定着部31の起動動作が異なるから、第1の構成として受信データによる復帰動作を説明する。
【0057】
図5は、上述した画像形成装置の第1の構成に係る動作を説明するフローチャートである。
【0058】
一例として、画像形成装置Aが起動されている状況から、主制御部1側と印刷エンジン11側に分けて説明する。
【0059】
まず、主制御部1側の動作を説明する。
【0060】
動作プログラムが開始されると、ステップS1において無操作が所定期間経過したか又は電源キーがOFFされたか否か主制御部1が判別し、ステップS1がYESになるまで待機する。
【0061】
所定期間経過したか又は電源キーがONされてステップS1がYESになると、主制御部1が省電力モード(ステップS2)に移行制御する。
【0062】
ステップS2の省電力モードにおいては、ステップS3でデータ受信の有無を判別部37が判別し、データが受信されてステップS3がYESになると、ステップS4で印刷エンジン制御部33が印刷エンジン11側へ起動信号を出力して印刷エンジン11を起動制御し、ステップS5に移る。
【0063】
このステップにおける印刷エンジン11の起動は、予備的起動であって定着部29の起動には至らないものである。
【0064】
ステップS5では、判別部37が管理テーブルを参照して受信データの印刷(プリント)が必要であるか否か判別し、印刷が不要であってNOであれば図示しないステップに移り、プリントが必要であってステップS5がYESであれば、ステップS6にて印刷制御部35が印刷エンジン11に対する起動許可信号をONにしてステップS7に移る。
【0065】
この時点で、印刷エンジン11は、起動許可信号ONを受けて定着部31の加熱部27aの加熱を開始する。
【0066】
ステップS7では、印刷要求を印刷エンジン11に発行してステップS8に移り、無操作の所定期間経過又は電源キーOFFを判別し、ステップS8がYESになるまで待機し、所定期間経過したり電源キーがONされてステップS8がYESになれば、省電力モード(ステップS9)に移る。
【0067】
次に、印刷エンジン11側の動作を説明する。
【0068】
動作プログラムが開始されると、ステップS10において無操作の所定期間経過又は電源キーOFFを印刷エンジン制御部33が判別し、ステップS10がYESになるまで待機する。
【0069】
所定期間経過したか又は電源キーがONされてステップS10がYESになると、主制御部1が省電力モード(ステップS2)に移行制御し、その後終了する。
【0070】
主制御部1側から起動指示が出されると、ステップS11で印刷エンジン11が初期操作として予備的動作を開始し、続くステップS12で駆動制御部35が駆動許可信号がONか否か判別する。
【0071】
駆動許可信号がONであってステップS12がYESであれば、ステップS13にて駆動制御部35が定着部31の加熱部27aの定着制御(加熱制御)を開始してステップS15に移り、駆動許可信号がOFFであってステップS12がNOであればステップS14にて駆動制御部35が定着制御の停止を維持制御してステップS17に移る。
【0072】
ステップS15では、待機状態を維持し、ステップS16にて印刷エンジン11が印刷制御を実行し、ステップS17にて無操作の所定期間経過又は電源キーOFFを印刷エンジン11が判別し、ステップS17がNOであればステップS12に移り、所定期間経過したり電源キーがONされてステップS17がYESになれば、省電力モード(ステップS9)に移る。
【0073】
上述した手順が本発明の画像形成プログラムによって実行される。
【0074】
このように、本発明に係る画像形成装置では、給紙段15から1次給紙した用紙19を2次給紙して印刷データを転写するとともに、定着部31で加熱定着して用紙19に印刷する印刷エンジン11と、定着部31の動作を停止させた省電力モードの状態において、外部からデータが受信されたとき、その受信データを省電力モードから通常モードへの復帰要因として機能させ、所定の管理テーブルに基づき、その受信データが定着部31の動作起動が要か否か判別する判別部37と、この判別部37が定着部31の起動動作を要すると判別したとき、定着部31の加熱を開始するよう印刷エンジン11を復帰制御する印刷エンジン制御部33と、を有する。
【0075】
そのため、省電力モードに置かれた装置において、個々の受信データに応じて定着部31の動作が必要か否か判別可能となり、定着部31の動作が必要であれば、受信データの受信時から定着部31の自動的な再起動が可能となり、再起動時に速やかな印刷が実行されるうえ、定着部31の動作が不要であれば、省電力モードが維持されて消費電力の低減も確保可能である。
【0076】
特に、この第1の構成では、復帰要因として、外部との間で印刷(プリント)データの受信、ファクシミリ送受信又は電子メール送受信する場合に、特に、有用である。
【0077】
次に、本発明に係る画像形成装置の第2の構成(電源キー操作による再起動)を説明する。
【0078】
この第2の構成は、省電力モードからの復帰要因として選択キー、例えば電源キー操作を用いたものであり、ブロック図は図1と同様であるから、図1を参照して説明する。
【0079】
図1において、主制御部1の判別部37は、定着部31の動作を停止させた省電力モードの状態において、省電力モードからの復帰要因として電源キーが入力操作されたとき、定着部31の起動が必要と判別する機能している。
【0080】
印刷エンジン制御部33は、判別部37が定着部31の起動を要すると判別したとき、上述した起動許可信号をON動作させて印刷エンジン11の駆動制御部35に出力し、加熱部27aに駆動電力を供給開始して加熱制御する機能を有している。
【0081】
そして、判別部37は、電源キーの入力操作後に、入力部9bがファクシミリ送信機能の「FAX送信」キー、電子メールの送受信機能の「メール受信」キー、「メール送信」キー等の機能選択キー9cの入力操作を受けたとき、次のような判別機能を有している。
【0082】
判別部37は、図4の管理テーブルを参照し、ファクシミリ受信又は電子メール送受信の機能選択キー9bであれば、定着部31の起動が不要と判別する一方、それ以外の場合、例えばファクシミリ受信であれば、定着部31すなわち加熱部27aの起動が必要と判別する機能を有している。
【0083】
それ以外の構成は、第1の構成とほぼ同様であるから、説明を省略する。
【0084】
このように、第2の構成は、例えば電源キーの押下選択により、一律に、印刷エンジン11の定着部31の加熱制御を開始させる。
【0085】
もっとも、電源キーの押下選択の後は、個々の機能選択に応じて定着部31の起動制御は不要となる場合がある。
【0086】
そこで、第2の構成では、電源キーの選択後に操作指示された機能選択キー9cに応じ、定着起動制御を切り換えるようにしている。
【0087】
次に、上述した画像形成装置の第2の構成に係る動作を、図6を参照して説明する。図5と同様に、主制御部1側と印刷エンジン11側に分けて説明する。
【0088】
まず、主制御部1側の動作を説明する。
【0089】
動作プログラムが開始されると、ステップS20において無操作状態が所定期間経過したか又は電源キーがOFFされたか否か主制御部1が判別し、ステップS20がYESになるまで待機する。
【0090】
所定期間経過したか又は電源キーがONされてステップS20がYESになると、主制御部1が省電力モード(ステップS21)に移行制御する。
【0091】
省電力モードにおいては、ステップS22にて判別部37が電源キーの操作有無を判別し、電源キーが操作されてステップS22がYESになると、ステップS23で印刷エンジン制御部33が印刷エンジン11側へ起動信号を出力して印刷エンジン11を起動制御し、ステップS24に移って印刷エンジン11の起動許可信号をONにし、ステップS25に移る。
【0092】
このステップにおける印刷エンジン11の起動制御は、定着部31の起動を含む制御である。
【0093】
ステップS25では、電源キーの操作後に、機能選択キー9cの何れかが操作され、判別部37が管理テーブルを参照して機能選択キー9cの機能が印刷不要であるか否か判別し、印刷が必要であってステップS25がNOであれば、ステップS26にて印刷制御部35が印刷エンジン11に対する起動許可信号をONのままにしてステップS25に戻る。
【0094】
この時点で、印刷エンジン11は、定着部31の加熱部27aの加熱を維持する。
【0095】
不要であってステップS25がYESであれば、ステップS27にて印刷制御部35が印刷エンジン11に対する起動許可信号をOFFに切り換えてステップS25に戻る。
【0096】
なお、ステップS25〜S27において、所定の操作によってフローチャートを抜ける。
【0097】
次に、印刷エンジン11側の動作を説明する。
【0098】
動作プログラムが開始されると、ステップS30において無操作状態の所定期間経過又は電源キーOFFを印刷エンジン制御部33が判別し、ステップS30がYESになるまで待機する。
【0099】
所定期間経過したか又は電源キーがONされてステップS30がYESになると、主制御部1が省電力モード(ステップS21)に移行制御し、その後終了する。
【0100】
主制御部1側から起動指示が出されると、ステップS31で印刷エンジン11が初期操作されて予備的起動動作を開始するとともに、起動許可信号のONを受けて定着部31を起動させる。
【0101】
続くステップS32では、駆動制御部35が、更に、駆動許可信号がONか否か判別する。
【0102】
駆動許可信号がONのままであってステップS32がYESであれば、ステップS33にて駆動制御部35が定着部31の加熱部27aの定着制御(加熱制御)を維持してステップS35に移り、駆動許可信号がOFFであってステップS32がNOであれば、ステップS34にて駆動制御部35が定着制御停止してステップS36に移る。
【0103】
ステップS35では、印刷エンジン11が印刷処理を実行し、ステップS36にて無操作状態の所定期間経過又は電源キーOFFを印刷エンジン11が判別し、ステップS36がNOであればステップS32に移り、所定期間経過したり電源キーがONされてステップS36がYESになれば、ステップS37の省電力モードに移り、ステップS36がNOであればYESになるまで待機する。
【0104】
次に、本発明に係る画像形成装置の第3の構成(電源キー以外の機能選択キー操作による再起動)を説明する。
【0105】
この第3の構成は、省電力モードからの復帰要因として機能選択キー9c操作を用いたものであり、ブロック図は図1と同様であるから、図1を参照して説明する。
【0106】
図1において、主制御部1の判別部37は、定着部31の動作を停止させた省電力モードの状態において、省電力モードからの復帰要因として個々の機能選択キー9cが入力されたとき、定着部31の動作起動が必要と判別する機能している。
【0107】
印刷エンジン制御部33は、判別部37が定着部31の起動動作を要すると判別したとき、上述した起動許可信号をON動作させて印刷エンジン11の駆動制御部35に出力し、加熱部27aに駆動電力を供給開始して加熱制御する機能を有している。
【0108】
そして、判別部37は、「印刷」キー、「プリント」キー、「FAX送信」キー、「FAX受信」キー、「メール受信」キー、「メール送信」キー等の機能選択キー9cからの操作入力を受けたとき、次のような判別機能を有している。
判別部37は、図4の管理テーブルを参照し、それら機能選択キー9bに応じて、定着部31の動作起動が必要か不要かを判別する機能を有している。
【0109】
例えば、「FAX送信」キー、「メール受信」キー又は「メール送信」キー等の機能選択キー9cでは加熱部27aの起動が不要であるが、「印刷」キー、「プリント」キー、「FAX受信」キー等の機能選択キー9cでは、加熱部27aの起動が必要と判別される。
【0110】
なお、それ以外の構成は、第1の構成とほぼ同様であるから、説明を省略する。
【0111】
次に、上述した画像形成装置の第3の構成に係る動作を、図7を参照して説明する。図6と同様に、主制御部1側と印刷エンジン11側に分けて説明するが、印刷エンジン11側のステップS50〜S56は図6中のステップS30〜S37と同様であるから説明を省略する。
【0112】
主制御部1側において、動作プログラムが開始されると、ステップS40において無操作状態が所定期間経過したか又は電源キーがOFFされたか否か主制御部1が判別し、ステップS40がYESになるまで待機する。
【0113】
所定期間経過したか又は電源キーがONされてステップS40がYESになると、主制御部1が省電力モード(ステップS41)に移行制御する。
【0114】
省電力モードにおいては、ステップS42にて判別部37が機能選択キー9cの操作有無を判別し、機能選択キー9cが操作されてステップS42がYESになると、ステップS43で印刷エンジン制御部33が印刷エンジン11側へ起動信号を出力して印刷エンジン11を予備的に起動し、ステップS44に移る。
【0115】
ステップS44では、判別部37が管理テーブルを参照して機能選択キー9cの機能が印刷必要であるか否か判別し、印刷が必要であってステップS44が「制御あり」であれば、ステップS45にて印刷制御部35が印刷エンジン11に対する起動許可信号をONにしてステップS47に移る。
【0116】
印刷が不要であってステップS44が「制御なし」であれば、ステップS46にて印刷制御部35が印刷エンジン11に対する起動許可信号をOFFのままに維持してステップS47に移る。
【0117】
ステップS47では、選択された機能選択キー9cの機能を実行してステップS48に移り、ステップS48がYESになるまで待機し、所定期間経過したり電源キーがONされてステップS48がYESになれば、省電力モード(ステップS49)に移る。
【0118】
上述した第2、第3の構成に係る手順も本発明の画像形成プログラムによって実行される。
【0119】
このように、第2および第3の構成においては、当該装置の所定キー操作を上記復帰要因とするから、キー操作に応じて自動的に定着部31を起動させることが可能である。
【0120】
特に、第2の構成では、判別部37が、その所定キー操作に基づく省電力モードから通常モードへの復帰に続く当該装置の機能選択キー操作があるとき、その定着部31の起動要否を判別し、印刷エンジン制御部33が、その判別部37が定着部31の起動動作を不要と判別したとき、加熱開始した定着部31の起動を停止制御するから、電源キー操作に応じて自動的に定着部31を起動させ、電源キー操作後の当該装置の機能キー操作に応じ、定着部31を起動停止させ、消費電力の低減を確保することも可能となる。
【0121】
さらに、第3の構成では、機能選択キー9cの操作に応じて自動的に定着部31を起動させることが可能であるから、迅速な印刷(プリント)動作が八尾有為である。
【0122】
なお、本発明に係る画像形成装置は、プリンタ、コピー機、ファクシミリ又はこれらを組合わせた複合機に限らず種々の画像形成装置に適応可能である。
【0123】
ところで、本発明に係る画像形成プログラムでは、給紙段15から1次給紙した用紙19を2次給紙して印刷データを転写するとともに、定着部31で加熱定着してその用紙19に印刷する印刷エンジン11を制御する制御用コンピュータに対し、少なくともその定着部31の動作を停止させた省電力モードの状態において、この省電力モードから通常モードへの復帰要因が入力されたとき、所定の管理データに基づきその復帰要因がその定着部31の動作起動を要するものか否か判別する判別処理と、この判別処理がその定着部31の起動動作を要すると判別したとき、その定着部31の加熱を開始するよう上記印刷エンジン11を復帰制御する印刷エンジン制御処理とを実行させるものであり、上述した本発明の画像形成装置と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施の一形態を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に係る画像形成装置の操作パネル部を説明する図である。
【図3】図1に係る画像形成装置の印刷エンジンを説明する図である。
【図4】図1に係る画像形成装置の管理データを説明する図である。
【図5】図1に係る画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図6】図1に係る画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】図1に係る画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0125】
1 主制御部
3 画像読取部
5 記憶部
7 通信部
9 操作パネル部
11 印刷エンジン
13 ネットワーク
15 給紙段
17 給紙ローラ
19 用紙
21 レジストローラ
23 転写ローラ
25、29 加圧ローラ
27 加熱ローラ(定着部)
31 定着部
33 印刷エンジン制御部
35 駆動制御部
A、C 画像形成装置(複合機)
B 情報処理装置(コンピュータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙段から1次給紙した用紙を2次給紙して印刷データを転写するとともに、定着部で加熱定着して前記用紙に印刷する印刷エンジンと、
少なくとも前記定着部の動作を停止させた省電力モードの状態において、前記省電力モードから通常モードへの復帰要因が入力されたとき、所定の管理データに基づき前記復帰要因が前記定着部の動作起動を要するものか否か判別する判別部と、
この判別部が前記定着部の起動動作を要すると判別したとき、前記定着部の加熱を開始するよう前記印刷エンジンを復帰制御する印刷エンジン制御部と、
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記復帰要因は、当該装置で外部から受信された受信データである請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記復帰要因は、前記受信データとしてのプリントデータ、ファクシミリ送信データ又は電子メール送受信データである請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記復帰要因は、当該装置の所定キー操作である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記復帰要因は、当該装置の電源キー操作である請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判別部は、前記所定キー操作に基づく前記省電力モードから通常モードへの復帰に続く当該装置の機能選択キー操作があるとき、前記定着部の起動要否を判別し、前記印刷エンジン制御部は、前記判別部が前記定着部の起動動作を不要と判別したとき、加熱を開始した前記定着部の起動を停止制御する請求項4又は5記載の画像形成装置。
【請求項7】
給紙段から1次給紙した用紙を2次給紙して印刷データを転写するとともに、定着部で加熱定着して前記用紙に印刷する印刷エンジンを制御する制御用コンピュータに対し、
少なくとも前記定着部の動作を停止させた省電力モードの状態において、前記省電力モードから通常モードへの復帰要因が入力されたとき、所定の管理データに基づき前記復帰要因が前記定着部の動作起動を要するものか否か判別する判別処理と、
この判別処理が前記定着部の起動動作を要すると判別したとき、前記定着部の加熱を開始するよう前記印刷エンジンを復帰制御する印刷エンジン制御処理と、
を実行させる画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−186559(P2009−186559A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23755(P2008−23755)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】