説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】トナーなどの着色剤を熱圧定着して画像形成を行う技術に関すること。
【解決手段】画像形成装置10は、整磁合金ドラムを含む加熱ローラ22と、加熱ローラ22に対してニップ圧を印加する加圧ローラ24と、加熱ローラ22を誘導加熱する誘導加熱手段28と、加熱ローラ22の磁束密度分布により回転トルクを発生させる永久磁石34とを備えている。さらに、画像形成装置10は、画像形成装置10の立上げ開始に対応して、誘導加熱手段28での加熱ローラ22の過熱を開始させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーなどの着色剤を熱圧定着して画像形成を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置は、ファーストコピー・タイムを短縮してユーザの待ち時間を短縮し、さらにファースト・コピー開始までの消費電力を低下することが要求されている。このため、ファーストコピー・タイム短縮の目的で装置への電源投入時に誘導加熱ヒータに通電し、定着ローラなどの定着手段の加熱を行う技術は、例えば、特開2002−43026号公報(特許文献1)に開示されている。
【特許文献1】特開2002−43026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
誘導加熱ヒータを使用することで、効率的な定着手段の加熱が可能とされる。一方、誘導加熱ヒータは、加熱効率が高いことから、定着手段の加熱が迅速に行われるものの、定着手段の過熱防止のため、定着手段を構成する加熱ローラを加熱と同時に回転動作を行うことが必要となる。
【0004】
一方、画像形成装置の電源投入時には、転写紙の排出を行わずに立上げるかまたは転写紙の排出を行うように、すなわち給紙予約状態で立上げるのかについて状態識別が必要である。従来では、この判断が完了しなければ、定着手段の回転処理などの駆動制御シーケンスを決定できず、誘導加熱ヒータを実装させた場合であっても誘導加熱ヒータの加熱効率を充分に利用できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、本発明は、誘導加熱手段による定着手段の加熱を効率化するため、定着手段を熱磁気モータとして構成する。熱磁気モータは、中空の整磁合金ドラムを含んで形成される加熱ローラと、永久磁石と、誘導加熱手段とを含んで構成される。
【0006】
加熱ローラは、誘導加熱手段により与えられる温度による磁気特性変化および永久磁石により発生する磁場勾配に起因する回転トルクで回動を開始し、加熱ローラの局所的な過熱状態の発生を防止する。このため、本発明の画像形成装置は、画像形成装置の電源投入時または省エネモードからの復帰時(以下、本明細書において、立上げ時として参照する。)に、給紙予約がされているか否かを判断することなく、誘導加熱手段を起動することができる。加熱ローラは、永久磁石の存在下で誘導加熱手段による加熱、冷却のプロセスを繰り返し、定着手段が転写紙の搬送に同期した制御プロセスが開始される以前であっても、誘導加熱手段に通電するだけで、定着手段の過熱を防止しつつ、定着手段を高速にセットアップする。
【0007】
このため、本発明では、画像形成装置の起動時の給紙予約判断の期間やセットアップ時間の間にでも定着手段の過熱を防止しながら定着手段を予熱でき、ファーストコピー・タイムの短縮および起動時の省電力化を達成することができる。
【0008】
すなわち、本発明では、
整磁合金ドラムを含む加熱ローラと、
前記加熱ローラに対してニップ圧を印加する加圧ローラと、
前記加熱ローラを誘導加熱する誘導加熱手段と、
前記加熱ローラの磁束密度分布により回転トルクを発生させる永久磁石と、
前記誘導加熱手段を、画像形成装置の立上げ開始に対応して前記加熱ローラの加熱を開始させる制御手段と
を備える、画像形成装置が提供される。
【0009】
本発明の前記永久磁石は、前記誘導加熱手段に対し、前記加熱ローラを前記画像形成装置の転写紙搬送方向に回動させる位置に配置されることができる。本発明の前記永久磁石は、前記誘導加熱手段による前記加熱ローラの加熱領域と非加熱領域との境界領域を含む位置で、前記加熱ローラの外部または内部に位置決めすることができる。本発明の前記加熱ローラの前記非加熱領域を冷却する冷却手段を備えることができる。本発明では、前記加熱ローラが前記磁束密度分布により回転トルクを受けている期間中に、前記加熱ローラの駆動抵抗を最低化する駆動抵抗制御手段を備えることができる。
【0010】
また、本発明によれば、
現像剤を転写紙に対して熱圧定着する画像形成装置における画像形成方法であって、誘導加熱手段と永久磁石と整磁合金を含む加熱ローラとから熱磁気モータを構成し、前記誘導加熱手段による加熱を前記画像形成装置の立上げ開始に対応して開始させ、前記誘導加熱手段により前記加熱ローラに熱磁気分布を発生させて前記加熱ローラを回動させる、画像形成方法が提供される。
【0011】
本発明では、前記誘導加熱手段による前記加熱ローラを加熱する期間中に前記加熱ローラの駆動抵抗を最低化し、前記熱磁気モータにより発生する回転トルクで前記加熱ローラを回動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示した実施形態をもって説明するが、本発明は後述する図面に示す実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、画像形成装置10の実施形態を示す。図1に示す画像形成装置10は、現像手段12と、感光体ドラムなどの像担持体14と、定着手段16とを備えて構成されている。像担持体14には、矢線Aで示される方向から半導体レーザやLEDなどの光ビームが像状に走査され、像担持体14上に形成された静電荷を像状に変調し、静電潜像を担持する。像担持体14に担持された静電潜像は、トナーなどの現像剤を収容した現像手段12により現像され、静電潜像が現像される。像担持体14は、さらに転写紙20の方向に回動し、転写手段18との間に印加される転写バイアスにより、像担持体14上のトナー像が転写紙20に転写される。
【0014】
トナー像を担持した転写紙20は、像担持体14および転写手段18の回動に伴って定着手段16に搬送される。定着手段16は、転写紙20および転写紙20上のトナーに対して熱および圧力を加え、転写紙20にトナーを熱圧定着して、堅固な印刷物を形成している。定着手段16は、より詳細には、加熱ローラと、転写紙20を介して配置された加圧ローラ24との間に転写紙20をニップすることで、トナーを熱圧定着している。
【0015】
定着手段16は、本実施形態では熱磁気モータを含む構成とされている。熱磁気モータは、製磁合金製ドラムを含む加熱ローラ22と、誘導加熱手段と、永久磁石(いずれも図示せず)とを含んで構成されており、誘導加熱手段による加熱で発生した磁束密度勾配により回転駆動する構成とされる。加熱ローラ22および加圧ローラには、駆動抵抗制御手段26が配設されている。駆動制御手段26は、電磁クラッチ、ソレノイド、ステッピング・モータなどを含んで構成することができる。駆動抵抗制御手段26は、熱磁気モータにより加熱ローラ22が駆動される場合に、駆動抵抗を、駆動抵抗を回転摩擦程度の最低状態としている。
【0016】
なお、整磁合金は、温度が高くなると磁性を失う特性を有し、Mn−Cu系、Mn−Zn系、Fe−Ni系およびNi−Cu系などの合金材料、例えば、カルマロイ(Ni−Cu−Fe)、クライマックス(Fe−Ni系合金)、サーモパーム(Fe−Ni系合金)を使用することができる。整磁合金の元素の組成比を変えることにより、キュリー温度を変化させることができ、本実施形態に好適に使用することができる整磁合金は、キュリー点が概ね80℃〜200℃の範囲にあることが好ましい。この範囲にキュリー点を有する整磁合金を使用することで、オフセット防止のためのシリコーンゴムなどの離形処理層や弾性層を構成する材料の熱劣化を防止し、かつ充分に予熱や定着開始温度を提供することが可能となる。
【0017】
また、他の実施形態では、駆動抵抗制御手段26は、加熱ローラ22および加圧ローラ24に対していずれか一方または異なる組合わせで配設されていても良い。例えば、加圧ローラ24には、ソレノイド、ステッピング・モータなどが駆動抵抗制御手段26として採用し、加熱ローラ22には、電磁クラッチを採用し、加熱ローラ22の駆動抵抗を、電磁クラッチ開放およびニップ圧開放の両方を使用して低下させることができる。しかしながら、駆動抵抗制御手段26は、加熱ローラ22または加圧ローラ24のいずれか一方に、電磁クラッチ、ソレノイド、ステッピング・モータとして実装しても良い。駆動抵抗制御手段26は、加熱ローラ22が熱磁気モータにより回動する期間、駆動抵抗を最低化するように制御され、熱磁気モータによる回動に影響を与えないようにしている。
【0018】
図2は、図1で説明した定着手段16の詳細な実施形態を示す。図2に示した実施形態は、転写紙20が加熱ローラ22と、加圧ローラ24との間にニップされ、搬送される。加熱ローラ22に近接して、誘導加熱手段28および永久磁石34が配置されている。加熱ローラ22と、誘導加熱手段28と、永久磁石とが本実施形態の熱磁気モータを構成する。
【0019】
誘導加熱手段28は、フェライト・コア30などに励磁コイル32が回巻されて構成されていて、加熱ローラ22の製磁合金ドラムに、渦電流を発生させ、抵抗加熱している。また、加熱ローラ22の表面は、トナーなどのオフセットを防止するため、シリコーンゴム、テフロン(登録商標)などの離形層が形成されている。
【0020】
永久磁石34は、S極側とN極側とを含んでおり、加熱ローラ22の周方向にS極34aとN極34bとが配置されている。永久磁石34は、加熱ローラの温度差が最大になる位置に沿って周方向に配置されていて、回転トルクを効率的に発生させている。加熱ローラ22は、その回動につれて、誘導加熱手段28の磁界の作用を受ける位置で加熱され、加熱ローラ22の回動に伴って加圧ローラ24に接触して冷却され、再度、冷却された箇所が永久磁石34の磁力の作用を受ける位置に戻る。
【0021】
図2に示した実施形態では、加熱ローラ22が、誘導加熱手段28により加熱される加熱領域で、誘導加熱手段28は、加熱ローラ22の整磁合金製ドラムをキュリー点以上の温度に加熱し、整磁合金の磁性を消失させている。一方、加熱ローラ22の加熱されない非加熱領域では、加熱ローラ22の整磁合金製ドラムは冷却され、その磁性を回復する。
【0022】
このため、加熱ローラ22の誘導加熱ヒータ28に近い側が誘導加熱を受けて、加熱領域となり、キュリー点以上の温度とされる。一方、加熱ローラの下側は、非加熱領域とされてキュリー点以下の温度に保たれる。この結果、加熱ローラ22を構成する整磁合金ドラムは、磁束密度分布を発生する。この場合、加熱ローラ22の下側領域では永久磁石34により引力を受け、誘導加熱ヒータ28に通電された段階で外部から駆動力を与えることなく回転トルクを発生する。加熱ローラ22は、熱磁気モータによる回転トルクを使用して回動駆動される場合には、後述する定着制御手段からの指令により、電磁クラッチを開放し、回転抵抗を回転摩擦程度にまで低下される。
【0023】
さらに加圧ローラ24について説明すると、加圧ローラ24は、アルミニウムなどのドラムなどのコア材料の表面に、弾性ゴムやシリコーンゴムなどを被覆した構造とされる。加圧ローラ24は、加熱ローラ22との間に適切なニップ領域を形成させつつ、転写紙およびトナーに対して定着圧力を加える。また、本実施形態では、加圧ローラ24は、駆動抵抗制御手段26により駆動抵抗を制御可能に、回動自在に保持されている。また、本実施形態では、駆動抵抗制御手段26は、定着手段16が熱磁気モータのみで駆動される期間について、加圧ローラ24についても、電磁クラッチを回転自在に開放するか、または加圧ローラ24を図2中、矢線Bで示す方向に退避および圧接させ、熱磁気モータの駆動力に悪影響を与えないようにされている。
【0024】
図3は、本実施形態の画像形成装置10に実装される制御回路の実施形態を示す。図3に示す制御回路40は、画像形成装置10の主制御回路のモジュールとして構成することもできるし、定着制御のために、独立して実装される専用モジュールとして構成することができる。図3に示した制御回路40は、中央処理装置(以下、単にCPUとして参照する。)48を含む制御基板44と、誘導加熱ヒータを使用する定着手段16を制御する定着制御手段42と、誘導加熱ヒータ28が発生する磁界を制御するため、誘導加熱手段28が発生する磁束を検出するゼロクロス検出回路54とを含んで構成されている。
【0025】
CPU48は、出力ポート68を介して定着制御手段42の定着加熱ローラ制御手段60に制御信号を送付する。定着加熱ローラ制御手段60は、制御信号を受付けると、定着制御手段42の動作を、熱磁気モータにより回転駆動される状態であると設定し、誘導加熱手段28を使用した定着処理における温度監視などの制御を停止させ、制御をCPU48に移転する。
【0026】
CPU48は、出力ポート66から誘導加熱手段28の加熱を制御するためのPWM信号をインタフェース(I/F)50を介してIHインバータ52に出力し、また出力ポート68から、IHインバータ52のON/OFF制御信号をインタフェース50を介してIHインバータ52へと出力し、IHインバータ52を制御している。
【0027】
また、CPU48は、割込ポート70、データ入力ポート72を備えており、割込ポート70は、インタフェース50から、IHインバータ52の異常を通知する割込信号を異常通知として受取り、熱磁気モータの異常に応答して、定着制御手段42を制御する。また、CPU48は、データ入力ポート72から、サーモパイルまたはサーミスタなどの温度検出素子60からの信号を受取り、図3中破線で示した加熱ローラ22、加圧ローラ24および駆動抵抗制御手段26を含んで構成される定着手段16の加熱・加圧制御を行う。なお、温度検出素子60は、加熱ローラ22と、加圧ローラ24のニップ領域の直前に設置され、定着制御手段42が、熱磁気モータにより駆動される以外の期間についても継続して温度検出を行い、CPU48に信号を送付する。
【0028】
CPU48は、さらに出力ポート74を介して熱磁気モータ駆動期間の駆動抵抗を低下させる信号を、駆動抵抗制御回路56に送付している。駆動抵抗制御回路56は、出力ポート74からの信号を受付けると、電磁クラッチ、ソレノイド、またはステッピング・モータを駆動して駆動抵抗を減少させ、出力ポート74の出力がアサートされなくなった時点(本実施形態では、各信号がLOWとなった場合とする。)で、駆動抵抗を定着制御手段42を通常駆動モードに戻すように、駆動抵抗を復帰させる。
【0029】
また、CPU48の割込ポート76は、画像形成装置10が画像出力モードとなったことを、給紙通知部46などの信号出力をモニタして判断している。CPU48は、給紙通知部46から搬送開始の通知をハードウェア割込として判断する。また、CPU48は、当該判断に応答し、通常モードで定着制御手段42を加熱駆動するか、または熱磁気モータによる駆動を行うかについて、制御信号の発行・停止および駆動抵抗制御手段26の駆動信号の発行・停止を制御している。
【0030】
図4は、図3に示した制御回路の制御タイミングの実施形態を示す。本実施形態の画像形成装置10は、電源投入または省エネモードからの復帰により処理を開始し、画像形成装置10の起動モード信号または電源信号がアサートされる(本実施形態では、信号状態がHIGHに遷移した場合とする。)と(1)、その時点で給紙が予定されているか否かを、例えば搬送センサへの指令信号などを使用して判断する。
【0031】
図4に示した実施形態では、画像形成装置10が処理を開始した時点では給紙が予約されていないので、CPU48は、制御信号をアサートする。同時にCPU48は、IHインバータのON/OFFトリガをアサートしてまた、CPU48は、処理開始直後に給紙通知部46からの給紙予約が通知されていないので、駆動信号を非アサート状態として、加熱ローラ22の駆動抵抗を最低の状態に設定する。この段階で、加熱ローラ22は、熱磁気モータとして回動し、加熱モータ22が局所的に過熱状態となることを防止している。
【0032】
その後、CPU48が給紙通知部46からのハードウェア割込み信号を受付ける(2)と、CPU48は、制御信号を非アサート状態に遷移させ(3)、制御信号64が非アサートとされた時点で、駆動信号74がアサートされ(4)、加熱ローラ22に回転力が伝達され、同時にニップ圧が加えられる。その後、給紙通知部46の割込開始後にタイマ期間経過または給紙通知部46からの割込信号が非アサートとされると(5)、CPU48は、制御信号をアサート状態に遷移させる(6)。
【0033】
この段階で、CPU48は、さらに駆動信号を非アサート状態に遷移させ(7)、加熱ローラ22の駆動抵抗を最低化させる。その後、CPU48は、再度、熱磁気モータによる回転駆動および予熱を開始させ、以後、給紙通知部46からのハードウェア割込みがアサートされるまで、熱磁気モータを使用した定着手段16の制御を実行する。
【0034】
また、図4の破線で示した制御タイミングには、熱磁気モータを利用しない従来の誘導加熱手段28を使用した場合の制御タイミングを示す。熱磁気モータを利用しない場合、給紙通知部46からの指令により動作モードを決定するまで加熱ローラ22の駆動制御を開始できない。このため、従来では、電源投入時や省エネモードから給紙予約がない場合や、給紙指令の判断が完了し、加熱ローラ22の回転を開始させるまで、誘導加熱手段28による加熱を行うことができず、誘導加熱手段28での高速でかつ低消費電力の加熱を行うことができない。
【0035】
なお、図4の破線で示した形態では、画像形成装置10の電源立上げ時に給紙予約がされていなかったため、加熱ローラ22の回転制御が実行されず、画像形成装置10に給紙通知部46からの通知がなされた段階で予熱無しの状態から加熱が開始される。このため、ユーザは、給紙通知がアサートされた期間中の大半を、定着手段16の加熱待機時間として浪費することになり、本実施形態では、図4の矢線で示されるように、ファーストコピー・タイムまでの時間を短縮でき、この結果、印刷効率を向上させつつ、消費電力を低減することができる。
【0036】
図5は、画像形成装置10が実行する画像形成方法のフローチャートの実施形態を示す。図5に示す処理は、ステップS100で、画像形成装置10が起動されたときから開始される。なお、「画像形成装置10の起動されたとき」とは、画像形成装置10の電源がONされたときの他、省エネモードからの復帰時を含む。ステップS101で、画像形成装置10は、起動時に給紙を受ける状態であるか否かを、例えば、印刷ジョブ指令のために他の機能手段が機能開始していることなどの通知またはフラグなどを参照して判断する。
【0037】
ステップS101の判断の結果、通紙があると判断した場合(yes)、処理をステップS104に分岐させ、加熱ローラ22の加熱を開始させる。本実施形態では、ステップS104の加熱は、誘導加熱手段28を使用して行う。ただし、この場合、熱磁気モータによる駆動ではなく、搬送モータにより駆動が行われる。ステップS105では、加熱ローラ22が加圧ローラ24を当接させても定着可能な温度範囲を保持できる程度に加熱された後に、加圧ローラ24を当接させ、定着加圧をセットし、転写紙20のニップ領域への進入を待機し、処理をステップS106で終了させる。
【0038】
一方、ステップS101で画像出力モードではないと判断した場合(no)、処理は、ステップS102に分岐し、加熱ローラ22への駆動抵抗を開放し、ステップS103で駆動抵抗を最低の状態に設定し、誘導加熱手段28および永久磁石34を使用した熱磁気モータの駆動力を使用して、加熱ローラ22を予熱しておき、ステップS101の画像出力モードの判断を行い、画像出力モードと判断されるまで予熱を継続させている。
【0039】
図6は、定着手段16の第2実施形態を示す。図6に示した定着手段16は、熱磁気モータのために使用される永久磁石34が加熱ローラ22を構成する整磁合金ドラムの内部に配置されている。また、定着手段16には、加熱ローラの下側領域を冷却するための冷却ファンなどの冷却手段36を備えている。図6に示した実施形態では、加熱ローラ22の下側部分を効率的に冷却し、熱磁気モータによる回転力を増加することができる。また、本実施形態では、定着手段16の空間を効率的に利用することが可能となる。
【0040】
さらに、第2実施形態では、誘導加熱ヒータ28のサイズに妨げられることなく、永久磁石34を、整磁合金ドラムの温度差がもっとも大きくなる領域で、より近接配置することができ、熱磁気モータにより駆動力をより効果的に発生させることが可能となる。
【0041】
なお、他の実施形態では、永久磁石34は、定着手段16の空間的余裕に応じて複数配置することもできる。
【0042】
これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】画像形成装置の実施形態を示した図。
【図2】定着手段の実施形態を示した図。
【図3】画像形成装置が実装する制御回路の実施形態を示した図。
【図4】図3の制御回路の制御タイミングを示した図。
【図5】画像形成方法の実施形態のフローチャート。
【図6】定着手段の第2実施形態を示した図。
【符号の説明】
【0044】
10…画像処理装置、12…現像手段、14…像担持体、16…定着手段、18…転写手段、20…転写紙、22…加熱ローラ、24…加圧ローラ、26…駆動抵抗制御手段、28…誘導加熱手段、30…フェライト・コア、32…励磁コイル、34…永久磁石、36…冷却ファン、40…制御回路、42…定着制御手段、44…制御基板、46…給紙通知部、48…CPU、50…I/F、52…IHインバータ、54…ゼロクロス検出回路、56…駆動抵抗制御回路、58…温度検出素子、60…定着加熱ローラ制御手段、64…制御信号、66…PWM出力ポート、68…出力ポート、70…割込ポート、72…データ入力ポート、74…出力ポート、76…割込ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整磁合金ドラムを含む加熱ローラと、
前記加熱ローラに対してニップ圧を印加する加圧ローラと、
前記加熱ローラを誘導加熱する誘導加熱手段と、
前記加熱ローラの磁束密度分布により回転トルクを発生させる永久磁石と、
前記誘導加熱手段を、画像形成装置の立上げ開始に対応して前記加熱ローラの加熱を開始させる制御手段と
を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記永久磁石は、前記誘導加熱手段に対し、前記加熱ローラを前記画像形成装置の転写紙搬送方向に回動させる位置に配置される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記永久磁石は、前記誘導加熱手段による前記加熱ローラの加熱領域と非加熱領域との境界領域を含む位置で、前記加熱ローラの外部または内部に位置決めされる、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記加熱ローラの前記非加熱領域を冷却する冷却手段を備える、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記加熱ローラが前記磁束密度分布により回転トルクを受けている期間中に、前記加熱ローラの駆動抵抗を最低化する駆動抵抗制御手段を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
現像剤を転写紙に対して熱圧定着する画像形成装置における画像形成方法であって、誘導加熱手段と永久磁石と整磁合金を含む加熱ローラとから熱磁気モータを構成し、前記誘導加熱手段による加熱を前記画像形成装置の立上げ開始に対応して開始させ、前記誘導加熱手段により前記加熱ローラに熱磁気分布を発生させて前記加熱ローラを回動させる、画像形成方法。
【請求項7】
前記誘導加熱手段による前記加熱ローラを加熱する期間中に前記加熱ローラの駆動抵抗を最低化し、前記熱磁気モータにより発生する回転トルクで前記加熱ローラを回動させる、請求項6に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−129310(P2008−129310A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313981(P2006−313981)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】