説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】転写材を把持した状態で転写を行う場合、転写ニップ、転写材解放位置、および転写材搬送部始点位置が仮想略三角形に配置されても、良好な画像を得る。
【解決手段】中間転写ベルト8の像をグリッパー17で把持された転写材20に二次転写ニップ13aで転写し、転写材20の転写画像面を鉛直下方に向けて転写材搬送部に移動する転写材20に、第1の気流発生装置23から制御部で気流吐出量を制御された気流を鉛直上方に吹き付け、二次転写ニップの終端位置ζと、二次転写ニップの位置より転写材移動方向側で鉛直上方に配置された転写材解放位置εと、転写材解放位置εより転写材移動方向側で鉛直上方に配置され、かつ第2の気流発生装置24でガイドされた転写材20の先端が転写材搬送部25に最初に当接する転写材搬送部始点位置ηとを仮想略三角形に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写材の把持状態で転写を行う画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、転写材の先端部を把持する転写材把持部材を有する転写ローラーを用いた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の画像形成装置では、転写ローラーが回転することにより、転写材把持部材で転写材の先端部が把持された状態で転写材が転写ニップを通過して像担持体の像が転写材に転写される。そして、転写材の先端部が転写ニップを通過した後、転写材の把持が解除されて転写材が解放される。この画像形成装置によれば、転写材把持部材で転写材の先端部を把持することで、転写後に像担持体からの転写材の剥離が確実となる。
【0003】
一方、転写ローラーが回転することにより、転写材が転写ニップを通過して像担持体の像が転写材に転写されるとともに、転写材の先端部が転写ニップを通過すると気流発生装置により転写材が像担持体から剥離され、その後、転写材はその転写画像面が下方に向いた状態で下方位置から斜め上方位置へ移動して転写材搬送部の転写材搬送ベルトで定着部の方へ搬送される画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2000−508280号公報。
【特許文献2】特開2009−205131号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に記載の画像形成装置に、転写後の像担持体からの転写材の剥離性を向上させるために、特許文献1に記載の転写材先端部を把持する技術を適用することが考えられる。この場合、転写材先端部の把持が転写材搬送部の手前で解除されるため、転写ニップの転写材移動方向のニップ終端位置、転写材解放位置、および転写材先端が最初に当接する転写材搬送ベルトの転写材搬送部始点位置が仮想略三角形に配置される。したがって、転写ニップを通過した転写材は、転写ローラーと像担持体との回転で仮想略三角形の転写ニップのニップ終端位置および転写材解放位置間の辺と転写材解放位置および転写材搬送ベルトの転写材搬送部始点位置間の辺との二辺にほぼ沿う移動経路で移動する。
【0006】
しかしながら、転写材の先端が転写材搬送ベルトの転写材搬送部始点位置に到達すると、転写材はその自重によりこの転写材搬送部始点位置と転写ニップのニップ終端位置とを支点に下方に撓んで、これらの転写材搬送部始点位置およびニップ終端位置間の仮想略三角形の他の一辺にほぼ沿うように移動するようになる。このため、転写材の移動経路の長さが短くなり、転写材は弛んで更に鉛直方向の下方に撓む。すると、転写ニップを通過した転写材の転写画像面が再び像担持体に接触したり、あるいは転写材の移動経路の鉛直方向の下方に配設される画像形成装置の部材に接触したりする。その結果、転写画像が乱れる。また、転写材の弛みにより転写材の転写姿勢が微妙に変化し、転写ニップの幅が変化して画像ずれが生じる。このように、特許文献2に記載の画像形成装置に、特許文献1に記載の転写材の把持技術を単純に適用しただけでは、良好な画像を得ることは難しい。
【0007】
本発明の目的は、転写材を把持した状態で転写を行う場合、転写ニップ、転写材解放位
置、および転写材搬送部始点位置が仮想略三角形に配置されても、良好な画像を得ることのできる画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置および画像形成方法では、把持部材で転写材が把持されて転写ニップで像担持体の像が転写材に転写されるとともに、転写後に把持部材による転写材の把持が転写材解放位置で解除されて転写材が解放される。次いで、転写材の先端が転写材搬送部に最初に当接する転写材搬送部始点位置に到達する。その場合、転写ニップ位置、転写材解放位置、および転写材搬送部始点位置が転写材移動方向と直交またはほぼ直交する方向から見て仮想略三角形に配置されている。したがって、転写材は、像担持体と転写材とが離間する位置と把持部材が転写材を解放する位置とを結ぶ仮想三角形の一辺と、把持部材が転写材を解放する位置と転写材搬送部が転写材を吸引開始する位置とを結ぶ仮想三角形の一辺との二辺の移動経路にほぼ沿って移動する。そして、像担持体と転写材とが離間する位置と転写材搬送部が転写材を吸引開始する位置とを結ぶ距離をLとし、また像担持体と転写材とが離間する位置と把持部材が転写材を解放する位置とを結ぶ距離をL1とし、更に把持部材が転写材を解放する位置と転写材搬送部が転写材を吸引開始する位置とを結ぶ距離をL2とすると、LはL1およびL2に対して、L<L1+L2の関係を有する。したがって、転写材が、転写材搬送部が転写材を吸引開始する位置に到達すると、その自重で転写ニップ終端位置と転写材搬送部始点位置とを支点にして下方に撓み、転写材が像担持体から離間する位置および転写材搬送部が転写材を吸引開始する位置間の仮想略三角形の他の一辺にほぼ沿う移動経路で移動しようとする。このため、転写材の移動経路の長さがL1+L2からLに短く変化しようとする。そこで、制御部は気流発生装置を作動させ、気流発生装置はエアーを吐出して転写後に転写画像面が鉛直方向の下方に向けて移動する転写材に鉛直方向の上方に向かって吹き付ける。更に、制御部は気流発生装置の気流吐出量を制御することにより、転写材が仮想略三角形の他の一辺より、転写材解放位置および転写材搬送部始点位置間の辺側に位置させることが可能となる。これにより、転写材の移動経路の長さの変化を小さくすることができ、そして、この転写材の移動経路の長さの変化による転写材弛みを抑制できる。したがって、転写ニップを通過した転写材の転写画像面が、転写ニップおよび転写材搬送部始点位置間の転写材の移動経路の鉛直方向の下方に配設される像担持体等の画像形成装置の部材に接触することを防止することができる。その結果、転写画像の乱れを防止できる。また、転写材の弛みが小さくなることから、転写材の転写姿勢の微妙な変化による転写ニップの幅の変化を小さくでき、画像ずれの発生を抑制することができる。このようにして、転写材を把持した状態で転写を行う場合、転写ニップ位置、転写材解放位置、および転写材搬送部始点位置が仮想略三角形に配置されても、良好な画像を得ることができる画像形成装置および画像形成方法を実現することが可能となる。
【0009】
特に、制御部が転写材の情報に基づいて気流発生部の気流吐出量を制御する。
例えば、転写材情報入力部に入力された転写材の情報である転写材の厚さが、第1の厚さの時、制御部は気流発生部により発生させる気流の流量を第1の流量とし、転写材情報入力部に入力された転写材の厚さが、第1の厚さより厚い第2の厚さの時、制御部は気流発生部により発生させる気流の流量を第1の流量よりも大きい第2の流量とする。すなわち、制御部は気流発生部の気流の吐出量を転写材の厚さの情報に基づいて、第1の流量または第2の流量のいずれかに選択的に制御する。これにより、転写ニップを通過した転写材の転写画像面が前述の転写材の移動経路の下方に配設される画像形成装置の部材に接触することを、転写材の厚さに応じてより確実に防止することができる。
【0010】
また、制御部は搬送位置検出手段で検出された転写材の情報である転写材の搬送位置に基づいて気流発生部の気流の吐出量を制御する。これにより、気流発生部の気流の吐出を効率よく制御でき、気流発生部による転写材への気流の吹きつけをより確実に行うことが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】図1における画像形成装置の部分拡大図である。
【図3】(a)は転写材の先端部の把持直前の状態を示す図、(b)は転写材の先端部の把持状態を示す図、(c)は転写材の先端部の把持解除後の突き出し状態を示す図である。
【図4】転写材搬送解放後の転写材が仮想略三角形の移動経路に沿って移動することを説明する図である。
【図5】像担持体と転写材が離間する位置、転写材解放位置、および転写材搬送部が転写材を吸引開始する位置を示す図である。
【図6】転写後の転写材の弛みにより転写材画像面が鉛直方向の下方に配置される部材に接触することを説明する図である。
【図7】転写後の転写材の弛みにより転写材画像面が中間転写ベルトに再接触することを説明する図である。
【図8】第1の気流発生装置の制御のブロック図である。
【図9】第1の気流発生装置の制御のタイミングチャートを示す図である。
【図10】本発明の画像形成装置の実施の形態の他の例を部分的に示す、図2と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。
【0013】
図1に示すように、この例の画像形成装置1はトナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いて画像形成を行う。この画像形成装置1は、水平またはほぼ水平にタンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の像担持体である感光体2Y,2M,2C,2Kを備えている。ここで、各感光体2Y,2M,2C,2Kにおいて、2Yはイエローの感光体、2Mはマゼンタの感光体、2Cはシアンの感光体、2Kはブラックの感光体を表す。また、他の部材についても同じように、部材の符号にそれぞれ各色のY,M,C,Kを添えて各色の部材を表す。
【0014】
また、各感光体2Y,2M,2C,2Kの周囲には、それぞれ、帯電部3Y,3M,3C,3Kが配設されている。更に、各帯電部3Y,3M,3C,3Kから、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向に向かって、順に、露光部4Y,4M,4C,4K、現像部5Y,5M,5C,5K、一次転写部6Y,6M,6C,6K、および感光体クリーニング部7Y,7M,7C,7Kが配設されている。なお、各感光体2Y,2M,2C,2Kは一次転写後に、図示しない除電部によって除電される。これらの各感光体2Y,2M,2C,2K、各帯電部3Y,3M,3C,3K、各露光部4Y,4M,4C,4K、各現像部5Y,5M,5C,5K、各一次転写部6Y,6M,6C,6K、各感光体クリーニング部7Y,7M,7C,7K、および各除電部により、この例の画像形成装置1の画像形成ユニットが構成される。
【0015】
また、画像形成装置1は、本発明の像担持体である無端状の中間転写ベルト8を備えている。この中間転写ベルト8は、各感光体2Y,2M,2C,2Kの鉛直方向の上方に配置されている。そして、中間転写ベルト8は各一次転写部6Y,6M,6C,6Kで各感光体2Y,2M,2C,2Kに圧接されている。
【0016】
図示しないが、中間転写ベルト8は、例えば樹脂等の可撓性の基材と、この基材の表面に形成されたゴム等の弾性層と、この弾性層の表面に形成された表層とを有する3層構造の比較的柔らかい弾性ベルトに形成されている。もちろん、これに限定されることはない。中間転写ベルト8は図示しないモーターの駆動力が伝達される中間転写ベルト駆動ローラー9、第1の巻掛けローラー10,第2の巻掛けローラー11、および中間転写ベルトテンションローラー12に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト8はテンションを付与された状態で、矢印方向に回転するようにされている。なお、各色Y、M、C、Kに対応する感光体等の部材の配置順は、図1に示す例に限定されることはなく、任意に設定することができる。
【0017】
中間転写ベルト8の中間転写ベルト駆動ローラー9側には二次転写部13が設けられている。二次転写部13は、二次転写ローラー14および二次転写ローラークリーニング部15を備えている。二次転写ローラー14は回転軸14aを中心に矢印で示す方向に回転する。この二次転写ローラー14は、中間転写ベルト駆動ローラー9に巻き掛けられる中間転写ベルト8に圧接される。このとき、図2に示すように、この二次転写ローラー14は、二次転写ローラー14の回転中心14dを通る仮想鉛直線αより図2において左側で、かつ回転中心14dを通る仮想水平線βより図2において鉛直方向下側で中間転写ベルト8に圧接される。また、中間転写ベルト駆動ローラー9は二次転写ローラー14の押圧に対するバックアップローラーとして機能する。更に、二次転写ローラー14は中間転写ベルト8に圧接されることで、中間転写ベルト8(つまり、中間転写ベルト駆動ローラー9)とともに連れ回りする。
【0018】
更に、二次転写ローラー14は、基材14bの円弧部の外周面に巻かれたシート状の弾性部材14cを有している。この弾性部材14cにより二次転写ローラー14の円弧部の外周面に抵抗層が形成されている。そして、図1に示すように中間転写ベルト8と二次転写ローラー14の弾性部材14cとの間に二次転写ニップ13aが形成される。図2に示すように、この二次転写ニップ13aは、仮想鉛直線αより前述の画像形成ユニット側(図2において左側)に配置されるとともに、仮想水平線βより画像形成ユニット側(図2において鉛直方向下側)に配置される。
【0019】
図1、図2、図3(a)ないし(c)に示すように、二次転写ローラー14は、凹部16を有している。この凹部16内には、転写材把持部材としてのグリッパー17、グリッパー17が着座する転写材把持部材受け部材であるグリッパー支持部18、および転写材剥離部材としての突き出し爪19が配設されている。
【0020】
グリッパー17は、図3(a)に示す転写材把持解除位置と図3(b)に示す転写材把持位置との間で回動するように設けられる。その場合、グリッパー17は、転写材把持解除位置ではその一部が二次転写ローラー14の弾性部材14cの外周面14c1と同径の仮想円δの円周より外方に、つまり凹部16の外方に突出されるとともに転写材把持位置ではその全体が同仮想円δの円周より内方、つまり凹部16内に収容される。また、突き出し爪19は、図3(a)に示す退避位置と図3(c)に示す突き出し位置との間でほぼ直線状に移動するように設けられる。その場合、突き出し爪19は、退避位置ではその全体が凹部16内に収容されるとともに突き出し位置ではその一部が凹部16から突出される。図示しないが、これらのグリッパー17および突き出し爪19の各作動は、それぞれ、画像形成装置1の装置本体等に固定された各カムによって制御される。
【0021】
その場合、グリッパー17が転写材20の先端部20aを把持開始する転写材把持開始位置は、凹部16が二次転写ニップ13aの位置に到達する前の所定位置に設けられている。したがって、凹部16がこの転写材把持開始位置より少し手前の図3(a)に示す位置に到達すると、ゲートローラー21から転写材供給ガイド22を介して給送されてくる
転写材20の先端部20aが図3(a)に示すように凹部16に対向する位置に到達する。そして、カムによりグリッパー17が回動開始する。凹部16が前述の所定位置に到達したとき、図3(b)に示すようにグリッパー17は転写材把持開始位置となり、グリッパー支持部18との間に転写材20の先端部20aを把持する。そして、転写材20は二次転写ローラー14の回転とともに弾性部材14cの外周面に巻き付くようにして二次転写ニップ13aの方へ移動する。
【0022】
二次転写ローラー14は、中間転写ベルト8に転写されたトナー像を、転写紙等の転写材20に転写させる転写バイアスが印加される。そして、二次転写ローラー14は、図1に示すように中間転写ベルト8の矢印方向の回転時に矢印方向に回転するとともに転写バイアスが印加されることにより、中間転写ベルト8に担持されているトナー像が二次転写ニップ13aで、グリッパー17により把持された転写材20に転写される。
【0023】
二次転写ローラークリーニング部15は、そのクリーニング部材により二次転写ローラー14の弾性部材14cに付着する液体現像剤を除去するとともに、除去した液体現像剤を液体現像剤回収容器に回収して貯留する。
【0024】
図1に示すように、画像形成装置1は、更に中間転写ベルト8の鉛直方向の上方位置で二次転写ニップ13aより転写材搬送方向に向かう位置に気流発生部である第1の気流発生装置23、第2の気流発生装置24、転写材搬送部25、第3の気流発生装置26、および定着部27を備えている。
【0025】
二次転写ニップ13aを通過した転写材20は、グリッパー17による把持から解放される。図2に示すように、このグリッパー17が転写材20を解放する凹部16の位置(より具体的には、二次転写ローラー14の外周方向のグリッパー支持部18の中心と二次転写ローラー14の回転中心14d1とを結ぶ仮想直線γと、二次転写ローラー14の外周の径と同径の仮想円δとのほぼ交点位置)である転写材解放位置εは、転写材移動方向の二次転写ニップ13aの二次転写ニップ終端位置ζより転写材20の移動方向(画像形成ユニット側;図2において左側)に位置する(つまり、仮想鉛直線αより左側に位置する)とともに、仮想鉛直線βより画像形成ユニット側(図2において下側)に位置する。その場合、二次転写ニップ終端位置ζは転写材20が中間転写ベルト8から離間する位置である。したがって、転写材解放位置εと二次転写ニップ13aの二次転写ニップ終端位置ζは、ともに仮想鉛直線αと仮想水平線βとが成す第3象限内に位置する。グリッパー17による転写材20の把持部がこの転写材解放位置εより少し手前の位置に到達すると、カムによりグリッパー17が回動開始する。グリッパー17による転写材20の把持部が転写材解放位置εに到達したとき、図2に示すようにグリッパー17は転写材把持解除位置となり、転写材20の先端部20aの把持を解除する。これにより、転写材20が解放される。
【0026】
このグリッパー17による転写材20の解放とほぼ同時に、カムにより突き出し爪19が移動開始する。そして、図3(c)に示すように突き出し爪19が二次転写ローラー14の凹部16から突出して転写材20の背面(転写画像面の反対側の面)を突き出しながら突き出し位置となる。これにより、転写材20は二次転写ローラー14から剥離され、図4に点線で示すように第2の気流発生装置24の方へ移動する。グリッパー17はカムによって、転写材20の解放後に所定位置になると凹部16内に収容されるとともに、転写材把持開始位置より手前の所定位置になると、転写材把持解除位置にされる。また、突き出し爪19はカムによって、転写材20の突き出し後に所定位置になると凹部16内に収容される。すなわち、グリッパー17および突き出し爪19は第2の気流発生装置24の干渉(接触)しないようにされている。
【0027】
図1に示すように、第1の気流発生装置23は、ダクト状の送気部材23aとファン(例えば、シロッコファン)等の気流発生部材23bとを有する。気流発生部材23bの駆動で、送気部材23aに気流が発生し、送気部材23aの送気口23cからエアーが吐出される。
【0028】
図1に示すように、第2の気流発生装置24は転写材20の吸引ガイド部であるとともに、ダクト状の吸引部材24aとファン(例えばシロッコファン)等の気流発生部24bとを有する。吸引部材24aは、図示しない所定数の吸引孔が設けられたガイド面24a1を有する。このガイド面24a1は図1および図2において右下から斜め左上に向かう傾斜面とされている。気流発生部24bの駆動で、吸引部材24aが各吸引孔を通して重力と反対の矢印で示す方向にエアーを吸引して気流を発生する。そして、図4に点線で示すように二次転写ローラー14から剥離された転写材20はほぼ転写材解放位置εで湾曲して、その背面を第2の気流発生装置24が発生する気流により鉛直方向の鉛直斜め上方(ガイド面24a1とほぼ直交する方向で鉛直方向の上方)に吸引されながら、吸引部材24aのガイド面24a1に沿ってガイドされる。なお、転写材20は中間転写ベルト8と二次転写ローラー14の回転力で転写材搬送部25の方へ移動する。
【0029】
転写材搬送部25は転写材搬送ベルト25a、ダクト状の吸引部材25b、およびファン(例えばシロッコファン)等の気流発生部25cを有する。転写材搬送ベルト25aは、図示しない多数の吸引孔を有する無端ベルトに形成されて3つの巻架ローラー25dに巻き掛けられる(3つの巻架ローラー25dのうち、1つは、転写材搬送ベルト25aを回転する転写材搬送ベルト駆動ローラーである)。そして、転写材搬送ベルト25aは、図1、図2、および図4に矢印で示す方向(時計回りに)回転する。転写材搬送ベルト25aの転写材搬送ベルト部分の転写材搬送方向は、図1および図2において右下から斜め左上の方向に傾斜している。その場合、転写材搬送ベルト25aの転写材搬送方向の水平に対する傾斜角度は、第2の気流発生装置24のガイド面24a1のガイド方向の水平に対する傾斜角度は同じであるか、またはほぼ同じである。
【0030】
なお、図1には転写材搬送ベルト25aは3つの巻架ローラー25dに巻き掛けられるように示されているが、2つまたは4つ以上の巻架ローラー25dに巻き掛けられるようにすることもできる。吸引部材25bは、転写材20の搬送経路の近傍に位置するとともに転写材搬送ベルト25aと対向する対向面に多数の吸引孔25b1を有する。
【0031】
図4に示すように、第2の気流発生装置24により吸引ガイドされてきた転写材20の先端が転写材搬送部25の転写材搬送ベルト25aに最初に当接する位置が、転写材搬送部始点位置ηとなる。この転写材搬送部始点位置ηは、転写材搬送部25が転写材20を吸引開始する位置である。そして、二次転写ローラー14の転写材解放位置εと二次転写ニップ13aの二次転写ニップ終端位置ζと転写材搬送部始点位置ηとが、転写材移送方向と直交またはほぼ直交する方向から見て仮想略三角形を形成するように配置される。
【0032】
その場合、仮想略三角形の各辺の長さを次のように定義する。いま、図5に示すように中間転写ベルト8と転写材20とが離間する二次転写ニップ終端位置ζとグリッパー17が転写材20を解放する転写材解放位置εとを結ぶ距離(つまり、二次転写ニップ終端位置ζと転写材解放位置εとの間の仮想略三角形の辺の長さにほぼ相当)をL1とする。また、グリッパー17が転写材20を解放する転写材解放位置εと転写材搬送部25が転写材20を吸引する転写材搬送部始点位置ηとを結ぶ距離(つまり、転写材解放位置εと転写材搬送部始点位置ηとの間の仮想略三角形の辺の長さにほぼ相当)をL2とする。更に、中間転写ベルト8と転写材20とが離間する二次転写ニップ終端位置ζと転写材搬送部25が転写材20を吸引開始する位置ηとを結ぶ距離(つまり、二次転写ニップ終端位置ζと転写材搬送部始点位置ηとの間の仮想略三角形の辺の長さにほぼ相当)をLとする。
そして、距離Lは、他の2つの距離L1,L2に対して、
L<L1+L2
の関係を有する。
【0033】
また、この仮想略三角形は、二次転写ニップ終端位置ζおよび転写材解放位置ε間の辺と、転写材解放位置εおよび転写材搬送部始点位置η間の辺との成す角度が鈍角の略三角形に形成することが、転写材20をスムーズに搬送するうえで好ましい。また、第1の気流発生装置23はこの仮想略三角形より鉛直方向の下方に配設されるとともに、二次転写ニップ終端位置ζおよび転写材搬送部始点位置η間の仮想三角形の辺の直交またはほぼ直交する方向で鉛直方向の上方に吐出口23cからエアーを吐出する。そして、転写材20は点線で示す仮想略三角形の二辺の移動経路に沿って二次転写ニップ終端位置ζからほぼ転写材解放位置εを通って転写材搬送部始点位置ηに向かって図1および図2において鉛直方向の右下から左上に移動する。
【0034】
気流発生部25cの駆動で、吸引部材25bが転写材搬送ベルト25aの吸引孔および吸引部材25bの吸引孔25b1を通して重力と反対の矢印で示す方向にエアーを吸引して気流を発生する。そして、転写材20は、その先端が転写材搬送部始点位置ηに到達すると、その背面を吸引部材25bが発生する気流により鉛直方向の斜め上方(転写材搬送ベルト25aの転写材搬送ベルト部分の傾斜方向とほぼ直交する方向でかつ鉛直方向の上方)に吸引されながら、転写材搬送ベルト25aで第3の気流発生装置26の方へ搬送される。その場合、転写材20が転写材搬送ベルト25aに重力と反対方向に吸引されても、転写材20はより効果的に吸引され、転写材搬送ベルト25aとともに移動する。
【0035】
転写材搬送ベルト25aによる転写材20の搬送が開始されると、前述のように二次転写ニップ13aを通過した転写材20はその自重により、転写材搬送部始点位置ηと二次転写ニップ13aの二次転写ニップ終端位置ζとをそれぞれ支点に鉛直方向の下方に撓む。すると、転写材20は図4に実線で示す転写材搬送部始点位置ηと二次転写ニップ13aの二次転写ニップ終端位置ζとを結ぶ略直線状の移動経路にほぼ沿って移動しようとする。このため、転写材20の移動経路が短く変化する。そして、転写材20は更に弛んで鉛直方向の下方に撓むと、図6に示すように定着前の転写材20の転写画像面が第1の気流発生装置23に接触したり、図7に示すように定着前の転写材20の転写画像面が中間転写ベルト8に再び接触してしまい、前述の課題が生じる。
【0036】
そこで、この例の画像形成装置1では、第1の気流発生装置23で二次転写ニップ13aを通過した転写材20が鉛直方向の下方に大きく撓むことを抑制し、転写材20の転写画像面が転写材20の移動経路の仮想略三角形より鉛直方向の下方に配置される画像形成装置の他の部材に接触するのを防止している。
【0037】
図8は第1の気流発生装置の制御のブロック図であり、図9は第1の気流発生装置の制御のタイミングチャートを示す図である。
図8に示すように、第1の気流発生装置23は画像形成装置1の制御部28によって制御される。この制御部28には、転写材種類情報入力部29および転写材位置情報入力部30を含むとともに転写材20の情報が入力される転写材情報入力部31が接続される。
【0038】
転写材種類情報入力部29は、使用される転写材20のサイズ(例えば、A4縦、A4横、B5,B4等)および転写材20の厚み(坪量)の情報が入力されるとともに、これらの情報を制御部28に出力する。この転写材種類情報入力部29は、画像形成装置1の画像形成操作パネルに操作キー等の転写材種類設定部として配設される。なお、これに限定されることはなく、別途、転写材20の厚み(坪量)を検出する計測器や超音波検出器等を用いることもできる。
【0039】
また、転写材位置情報入力部30は、転写材20の搬送位置(つまり、転写材20の移動位置)の情報が入力されるとともに、この情報を制御部28に出力する。その場合、転写材20の搬送位置は、転写材20の先端および後端の各位置である。この転写材20の搬送位置は、図示しない搬送位置検出部で検出されるとともに、搬送位置検出部で検出された転写材20の搬送位置の情報が転写材位置情報入力部30に入力される。この搬送位置検出部は、転写材解放位置εに対応する二次転写ローラー14の回転位置を検出する機械的あるいは光学的な回転位置検出器として配設される。なお、これに限定されることはなく、グリッパー17の作動(位置変化)を検知する検出器、あるいは転写材20の先端に二次転写ニップ13aの位置からの転写材解放位置εまでの時間を計測するタイマーを用いることもできる。
【0040】
制御部28は転写材20の厚さ(坪量)と二次転写ニップ13aの通過後の転写材20の搬送位置に応じて、転写材20に吹き付ける第1の気流発生装置23の気流の流量(つまり、エアー吐出量)を制御する。その場合、転写材情報入力部31の転写材種類情報入力部29に入力された転写材20の種類の情報、例えば転写材20の厚さが第1の厚さの時、制御部28は第2の気流発生装置24により発生させる気流の流量を第1の流量とする。また、転写材情報入力部31の転写材種類情報入力部29に入力された転写材20の厚さが、前述の第1の厚さより厚い第2の厚さの時、制御部28は第1の気流発生装置23により発生させる気流の流量を第1の流量よりも大きい第2の流量とする。
【0041】
例えば転写材20として転写紙を用いた場合について説明する。この場合、紙厚によって第1の気流発生装置23の気流の流量(吐出風量)の強弱制御が異なる。
まず、前述の仮想略三角形の辺の長さは、二次転写ニップ終端位置ζおよび転写材解放位置ε間の辺の長さ(距離L1)が85mmであるとともに転写材解放位置εおよび転写材搬送部始点位置η間の辺の長さ(距離L2)が76mmであり、更に、二次転写ニップ終端位置ζおよび転写材搬送部始点位置η間の長さ(距離L)が150mmであるとする。したがって、L<L1+L2である。この場合は、仮想略三角形の二辺の和は161mmあるとともに他の一辺の長さが150mmであり、二辺の長さの和と他の一辺の長さとの差が11mmである。また、第2の気流発生装置24のガイド面24a1の転写材ガイド方向および転写材搬送ベルト25aの転写材搬送方向の水平に対する各傾斜角度(鋭角)は、ともに同じ約25°である。
【0042】
この例では転写紙が厚紙であるかあるいは薄紙であるかの判断基準として基準厚さ126μmが予め設定される。すなわち、基準厚さ126μm以上の厚さの転写紙を前述の第2の厚さである厚紙とし、また、基準厚さ126μm未満の厚さの転写紙を前述の第1の厚さである薄紙とする。
【0043】
そして、厚紙の場合は、図9に示すように制御部28は転写材位置情報出力部30からの出力情報に基づいて、二次転写ニップ13aを通過した転写紙の紙先端が転写材解放位置εに到達する前であると判断したときは、第1の気流発生装置23を駆動しない。
【0044】
制御部28は前述の出力情報に基づいて、転写紙の紙先端が転写材解放位置εに到達したと判断したとき、まだ、第1の気流発生装置23の気流発生部材23bを駆動しない。この理由は、二次転写ローラー14から第2の気流発生装置24への転写紙の受け渡しに対して第2の気流発生装置24のエアー吸引が関与するが、第1の気流発生装置23のエアー吐出は関与しないためである。
【0045】
制御部28は、転写紙の紙先端が転写材解放位置εに到達した後、転写材搬送部始点位置ηに到達する前の所定時間経過後に第1の気流発生装置23の気流発生部材23bを駆
動する。すると、第1の気流発生装置23は気流を発生して送気部材23aが吐出口23cから重力と反対の図1および図2に矢印で示す鉛直方向の上方にエアーを吐出して転写後に転写画像面を鉛直方向の下方に向けて移動する転写紙に吹き付ける。このとき、制御部28は第1の気流発生装置23のエアー吐出量(風量)を図9に実線で示す第2の流量である強(約1.72m3/min程度)あるいは図9に点線で示す第1の流量である弱(約0.86m3/min程度)に制御する。このように、この場合の第1の気流発生装置23のエアー吐出量は強でも弱でもよい。しかし、第1の気流発生装置23のエアー吐出量は強に設定されるのが好ましい。その理由は、第1の気流発生装置23のエアー吐出量が強に設定されることで、転写紙が二次転写ローラー14に押し付けられる効果がエアー吐出量の弱に比べて大きく得られるので、二次転写ローラー14の回転により転写紙に推進力が大きく加えられ、転写紙がスムーズに移動可能となるためである。なお、第1の気流発生装置23のエアー吐出量(風量)の強制御は、転写材の情報に応じて種々制御するようにすることもできる。
【0046】
更に、制御部28は前述の出力情報に基づいて、転写紙の紙先端が転写材搬送部始点位置ηに到達したと判断したとき、第1の気流発生装置23のエアー吐出量を増大するべく前述の強に制御する(図9に点線で示す第1の流量である弱である場合は、強に変更制御する。)。このようにエアー吐出量が強に制御される理由は、前述のように紙先端が転写材搬送部始点位置ηに到達した後、転写紙はその自重により仮想略三角形の他の一辺にほぼ沿う直線状の移動経路となろうとするが、厚紙の腰が強いことから、このようにエアー吐出量が強にされることで、転写紙は弛みがエアー吐出により抑制されて、より一層ガイド面24a1側に位置して移動することが可能となるためである。
【0047】
そして、制御部28は前述の出力情報に基づいて、転写紙の後端が二次転写ニップ13aの二次転写ニップ終端位置ζを通過して転写材搬送部始点位置ηに到達したと判断するまでは、第1の気流発生装置23のエアー吐出量を強に維持制御する。これにより、転写紙の後端が二次転写ニップ13aを通過した後もエアー吐出量が強であるため、転写紙の後端部が鉛直方向の下方に垂れて、その転写画像面が第1の気流発生装置23を始め、略三角形の鉛直方向の下方に配置される画像形成装置1の部材に接触することが防止される。その結果、転写画像の乱れが防止される。また、転写紙の後端が転写材搬送部始点位置ηに到達するまで、転写紙の姿勢がほぼ一定に保持される。これにより、二次転写ニップ13a幅(転写紙の移動方向の二次転写ニップ13aの長さ)の微小な変化が抑制され、細かい画像ずれが防止される。
【0048】
更に、制御部28は前述の出力情報に基づいて、転写紙の紙後端が転写材搬送部始点位置ηに到達したと判断したとき、第1の気流発生装置23の駆動を停止し、第1の気流発生装置23によるエアー吐出はオフとなる。
【0049】
一方、薄紙の場合は、制御部28は前述の出力情報に基づいて、二次転写ニップ13aを通過した転写紙の紙先端が転写材解放位置εに到達する前であると判断したとき、前述の厚紙の場合と同様に第2の気流発生装置24を駆動しない。
【0050】
制御部28は前述の出力情報に基づいて、転写紙の紙先端が転写材解放位置εに到達したと判断したとき、前述の厚紙の場合と同様の理由で、まだ、第1の気流発生装置23の気流発生部材23bを駆動しない。制御部28は、厚紙の場合と同様に転写紙の紙先端が転写材解放位置εに到達した後、転写材搬送部始点位置ηに到達する前の所定時間経過後に第1の気流発生装置23の気流発生部材23bを駆動する。すると、第1の気流発生装置23は気流を発生して送気部材23aが吐出口23cから重力と反対の図1および図2に矢印で示す鉛直方向の上方にエアーを吐出して、転写後に転写画像面を鉛直方向の下方に向けて移動する転写紙に吹き付ける。このとき、制御部28は第1の気流発生装置23
のエアー吐出量(風量)を前述の弱に制御する。なお、第1の気流発生装置23のエアー吐出量は強に制御することもできる。しかし、第1の気流発生装置23のエアー吐出量は弱に設定されるのが好ましい。その理由は、第1の気流発生装置23のエアー吐出量が弱に設定されても、転写紙の腰が弱いことから、転写紙が二次転写ローラー14に押し付けられる効果は十分に得られるので、二次転写ローラー14の回転により転写紙に推進力が大きく加えられ、転写紙がスムーズに移動可能となるためである。
【0051】
更に、制御部28は前述の出力情報に基づいて、転写紙の紙先端が転写材搬送部始点位置ηに到達し、更に、転写紙の紙後端が二次転写ニップ終端位置ζを通過して転写材搬送部始点位置ηに到達した判断するまでは、第1の気流発生装置23のエアー吐出量を弱に維持制御する。これにより、転写紙の後端が二次転写ニップ13aを通過した後もエアー吐出量が強であるため、転写紙の後端部が鉛直方向の下方に垂れて、その転写画像面が第1の気流発生装置23を始め、略三角形の鉛直方向の下方に配置される画像形成装置1の部材に接触することが防止される。その結果、転写画像の乱れが防止される。また、転写紙の後端が転写材搬送部始点位置ηに到達するまで、転写紙の姿勢がほぼ一定に保持される。これにより、二次転写ニップ13a幅(転写材20の移動方向の二次転写ニップ13aの長さ)の微小な変化が抑制され、細かい画像ずれが防止される。
【0052】
更に、制御部28は前述の出力情報に基づいて、転写紙の紙後端が転写材搬送部始点位置ηに到達したと判断したとき、第1の気流発生装置23の駆動を停止し、第1の気流発生装置23によるエアー吐出はオフとなる。
【0053】
第3の気流発生装置26は、ダクト状の吸引部材26aとファン等の気流発生部26bとを有する。吸引部材26aは、図示しない所定数の吸引孔を有するガイド面26a1を有する。ガイド面26a1の吸引孔は、前述の第2の気流発生装置24の吸引孔と同様にまたは略同様に配設される。
【0054】
気流発生部26bの駆動で、吸引部材26aがガイド面26a1の各吸引孔を通して矢印で示す方向にエアーを吸引し気流を発生する。そして、転写材搬送ベルト25aから搬送された転写材20が、その背面を吸引部材26aにより鉛直方向の斜め上方に吸引されながら、ガイド面26a1に沿って定着部27の方へガイドされる。
【0055】
定着部27は、加熱ローラー27aとこの加熱ローラー27aに圧接される加圧ローラー27bとを含む定着ローラーを有している。そして、転写材20のトナー像がこれらの加熱ローラー27aおよび加圧ローラー27bにより加熱加圧されて定着される。その後、転写材は図示しない排出トレイに排出される。
この例の画像形成装置1の他の構成および他の画像形成動作は、液体現像剤を用いた従来の同種の画像形成装置と同様であるので、その説明は省略する。
【0056】
この例の画像形成装置1および画像形成方法によれば、グリッパー17で転写材20の先端部20aが把持されて二次転写ニップ13aで中間転写ベルト8の像が転写材20に転写されるとともに、二次転写後にグリッパー17による先端部20aの把持が転写材解放位置εで転写材20が解放される。転写材20が解放されて所定時間経過後、第1の気流発生装置23が解放された転写材20の転写画像面に向かって気流によりエアーを吐出する。次いで、転写材20は第2の気流発生装置24のガイド面24a1により吸引されながら転写材搬送部25に向かって鉛直方向の下方位置から斜め上方位置へガイドされて、転写材20の先端が転写材搬送部始点位置ηに到達する。このとき、二次転写ニップ終端位置ζ、転写材解放位置ε、および転写材搬送部始点位置ηは転写材移動方向から見て仮想略三角形に配置される。そして、二次転写ニップ終端位置ζと転写材搬送部25が転写材搬送部始点位置ηとを結ぶ距離をLとし、また二次転写ニップ終端位置ζと転写材解
放位置εとを結ぶ距離をL1とし、更に転写材解放位置εと転写材搬送部始点位置ηとを結ぶ距離をL2とすると、LはL1およびL2に対して、L<L1+L2の関係を有する。したがって、転写材20の先端が転写材搬送部始点位置ηに到達すると、転写材20はその自重で二次転写ニップ終端位置ζと転写材搬送部始点位置ηとを支点にして鉛直方向の下方に撓み、二次転写ニップ終端位置ζおよび転写材搬送部始点位置η間の仮想略三角形の他の一辺にほぼ沿う移動経路で移動しようとする。そこで、制御部28で第1の気流発生装置23のエアー吐出を制御することにより、転写材20が仮想略三角形の他の一辺よりガイド面24a1側に位置させることが可能となる。これにより、転写材20の移動経路の長さの変化を小さくすることができ、この長さの変化による転写材20の弛みを抑制できる。したがって、二次転写ニップ13aを通過した転写材20の転写画像面が中間転写ベルト8や第1の気流装置23等の転写材20の移動経路の鉛直方向の下方に配設される画像形成装置1の部材に接触することを防止することができる。その結果、転写画像の乱れを防止できる。また、転写材20の弛みが小さくなることから、転写材20の転写姿勢の微妙な変化による二次転写ニップ13aの幅の変化を小さくでき、画像ずれの発生を抑制することができる。このようにして、転写材20を把持した状態で二次転写を行う場合、二次転写ニップ13aの二次転写ニップ終端位置ζ、転写材解放位置ε、および転写材搬送部始点位置ηが仮想略三角形に配置されても、良好な画像を得ることができる画像形成装置1を実現することが可能となる。
【0057】
特に、転写材20の厚さが予め設定された基準厚さ以上であるとき、制御部28がこの厚さに基づいて第1の気流発生装置23のエアー吐出量を制御する。これにより、二次転写ニップ13aを通過した転写材20の転写画像面が前述の転写材20の移動経路の鉛直方向の下方に配設される画像形成装置1の部材に接触することをより確実に防止することができる。
【0058】
特に、制御部28が転写材20の情報に基づいて第1の気流発生装置23の気流吐出量を制御する。
例えば、転写材情報入力部31に入力された転写材20の情報である転写材20の厚さが、第1の厚さの時、制御部28は第1の気流発生装置23により発生させる気流の流量を第1の流量とし、転写材情報入力部31に入力された転写材20の厚さが、第1の厚さより厚い第2の厚さの時、制御部20は第1の気流発生装置23により発生させる気流の流量を第1の流量よりも大きい第2の流量とする。すなわち、制御部28は第1の気流発生装置23の気流の吐出量を転写材20の厚さの情報に基づいて、第1の流量または第2の流量のいずれかに選択的に制御する。これにより、二次転写ニップ13aを通過した転写材20の転写画像面が前述の転写材20の移動経路の下方に配設される画像形成装置1の部材に接触することを、転写材20の厚さに応じてより確実に防止することができる。
【0059】
また、制御部20は搬送位置検出手段で検出された転写材20の情報である転写材20の搬送位置に基づいて第1の気流発生装置23の気流の吐出量を制御する。これにより、第1の気流発生装置23の気流の吐出を効率よく制御でき、第1の気流発生装置23による転写材への気流の吹きつけをより確実に行うことが可能となる。
【0060】
図10は、本発明の画像形成装置の実施の形態の他の例を部分的に示す、図2と同様の図である。
前述の実施の形態の例では、二次転写ニップ13aを通過した転写材20は、転写材搬送部材としての転写材搬送ベルト15aによって定着部17の方へ搬送されるが、図10に示すようにこの例の画像形成装置1では、転写材搬送部材として定着部17の加熱ローラー27aと加圧ローラー27bとにより構成される。つまり、加熱ローラー27aと加圧ローラー27bは転写材20の定着機能と転写材20の搬送機能とを兼ね備える。したがって、この例の画像形成装置1では、前述の例の転写材搬送部25と第3の気流発生装
置26は設けられない。この例の画像形成装置1では、前述の例の転写材搬送部始点位置ηは、転写材20の先端が加圧ローラー17bに最初に当接する転写材搬送部始点位置η′となる。そして、この例の画像形成装置1においても、転写材解放位置εと定着部17の転写材搬送部始点位置η′と二次転写ニップ13aの二次転写ニップ終端位置ζとが仮想略三角形に配置される。
【0061】
この例の画像形成装置1および画像形成方法によれば、定着部17を転写材搬送部として兼用することで、転写材搬送部25と第3の気流発生装置26を不要にでき、全体構成をコンパクトに形成することが可能となる。
この例の画像形成装置1の他の構成および他の作用効果は、前述の例と同じである。
【0062】
なお、本発明の転写材搬送装置および画像形成装置は、前述の実施の形態の各例に限定されることはない。例えば、図1に示す第2の気流発生部24は必ずしも必要ではなく、省略することもできる。
【0063】
また、像担持体として中間転写ベルト8を用いているが、中間転写ドラムを用いることもできるし、像担持体として感光体とすることもできる。像担持体に感光体を用いる場合は、感光体のトナー像が転写材に直接転写されることは言うまでもない。更に、前述の各例の画像形成装置では、タンデム型の画像形成装置としているが、他の形式の画像形成装置でもよいし、単色の画像形成装置でもよい。要は、本発明は特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…画像形成装置、2Y,2M,2C,2K…感光体、5Y,5M,5C,5K…現像部、6Y,6M,6C,6K…一次転写部、8…中間転写ベルト、9…ベルト駆動ローラー、13…二次転写部、13a…二次転写ニップ、14…二次転写ローラー、20…転写材、20a…先端部、17…グリッパー、23…第1の気流発生装置、23a…送気部材、23b…気流発生部材、25…転写材搬送部、25a…転写材搬送ベルト、25b…吸引部材、25b1…吸引孔、25c…気流発生部、27…定着部、28…制御部、29…転写材種類情報入力部、30…転写材位置情報入力部、31…転写材情報入力部、ε…転写材解放位置、ζ…二次転写ニップの終端位置、η,η′…転写材搬送部始点位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像を担持する像担持体と、
移動により転写材を把持もしくは解放する把持部材を有するとともに、前記像担持体と前記転写材を介して当接して形成される転写ニップで前記像担持体に担持された前記像を前記転写材に転写する転写ローラーと、
気流発生部材を有し、前記転写ニップで前記像が転写された前記転写材に鉛直方向の上方に向けた気流を吹き付ける気流発生部と、
前記気流発生部で気流を吹き付けられた前記転写材を前記像が転写された面を鉛直方向の下方に向けて搬送するとともに、前記転写材を吸引開始する位置が前記把持部材から前記転写材を解放する位置と前記像担持体が前記転写材と離間する位置と、
L<L1+L2
の関係を有する位置に配設された転写材搬送部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
ここで、
L:前記像担持体と前記転写材とが離間する位置と、前記転写材搬送部が前記転写材を吸引開始する位置とを結ぶ距離、
L1:前記像担持体と前記転写材とが離間する位置と、前記把持部材が前記転写材を解放する位置とを結ぶ距離、
L2:前記把持部材が前記転写材を解放する位置と、前記転写材搬送部が前記転写材を吸引開始する位置とを結ぶ距離。
【請求項2】
前記気流発生部材により発生される気流の流量を制御する制御部と、
前記転写材が搬送される位置を検出する搬送位置検出部と、を有し、
前記制御部は、前記搬送位置検出部で検出される前記転写材の位置情報に基づいて前記気流発生部材で発生される気流の流量を制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記転写材が前記転写材搬送部で吸引搬送されるまでは第1の流量の気流を前記気流発生部に発生させ、前記転写材が前記転写材搬送部で吸引搬送された時に前記気流発生部に発生させる気流の流量を前記第1の流量よりも大きい第2の流量に変更する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写材の情報が入力される転写材情報入力部を有し、
前記制御部は、前記転写材情報入力部に入力される情報に基づいて前記第2の流量を制御する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
転写ローラーの周面に配設された把持部材で転写材を把持し、
前記把持部材で把持された前記転写材を像担持体と前記転写ローラーとで形成される転写ニップに搬送して前記像担持体に担持された像を前記転写材に転写し、
前記像を前記転写材に転写した後、前記把持部材を移動させて前記把持部材から前記像が転写された前記転写材を解放し、
気流発生部により鉛直方向の上方に向けて発生された気流を解放された前記転写材に吹き付け、
気流を吹き付けられた前記転写材を、前記転写材を吸引開始する位置が
L<L1+L2
の関係を有する位置に配設された転写材搬送部で前記転写材の前記像が転写された面を鉛直方向の下方に向けて吸引搬送することを特徴とする画像形成方法。
ここで、
L:前記像担持体と前記転写材とが離間する位置と、前記転写材搬送部が前記転写材を吸引開始する位置とを結ぶ距離、
L1:前記像担持体と前記転写材とが離間する位置と、前記把持部材が前記転写材を解放する位置とを結ぶ距離、
L2:前記把持部材が前記転写材を解放する位置と、前記転写材搬送部が前記転写材を吸引開始する位置とを結ぶ距離。
【請求項6】
前記気流発生部は、前記転写材を前記転写材搬送部に搬送するまでは、第1の流量の気流を前記転写材に吹き付け、前記転写材が前記転写材搬送部で吸引搬送を開始した時に、前記第1の流量より大きい第2の流量の気流を前記転写材に吹き付ける請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記転写材の情報が入力されるとともに、
前記第2の流量は、入力される前記転写材の情報に基づいて制御される請求項6に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−107608(P2011−107608A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265154(P2009−265154)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】