説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】異常放電の発生を抑制し、かつ画質低下を抑制する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置は、放電ワイヤ42およびグリッド43を有し、感光体44を帯電する帯電器41と、帯電電圧CHGを帯電器41に印加する電圧印加部60と、帯電電圧CHGを検出するための電圧検出部68と、検出電圧D1に基づき、電圧印加部60を定電圧制御する制御部51とを備える。また、画像形成装置は、感光体44を除電する除電部と、帯電器41から、除電部によって除電された状態における感光体44へ流れる電流を検出する電流検出部72と、電流検出部72によって検出された検出電流が所定電流値未満の場合、制御部51が定電圧制御するための帯電電圧CHGの目標値を所定電圧量増加させる目標値変更部51とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置および画像形成方法に関し、詳しくは、画像を形成する際の、画像形成装置に使用される帯電器の電気的制御に関する。
【背景技術】
【0002】
帯電器の電気的制御として、画像形成装置の感光体を帯電する際に、帯電器へ帯電電圧が印加されることにより流れる帯電電流が一定となるように定電流制御する技術が、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−109715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術では、感光体に一定の電流を流すことができ、画質を保持することができる。しかしながら、帯電器の放電ワイヤが汚れてくると、一定の電流を流すために帯電電圧が増加し、異常放電が発生する虞があった。異常放電が発生すると、画質の低下を招くこととなる。
【0005】
一方、帯電電圧が一定となるように定電圧制御すると、一定の電圧を保持できるので、異常放電の発生を抑制することができる。しかしながら、感光体の帯電状態によっては、感光体に十分に電流を流せていないことがあり、感光体を十分に帯電できず、露光していない部分にもトナーが乗ってしまい、画質低下につながる虞があった。
【0006】
本発明は、異常放電の発生を抑制し、かつ画質低下を抑制する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る画像形成装置は、感光体と、放電ワイヤおよびグリッドを有し、前記感光体を帯電する帯電器と、帯電電圧を生成し、生成した前記帯電電圧を前記帯電器に印加する電圧印加部と、前記帯電電圧を検出するための電圧検出部と、前記電圧検出部によって検出された検出電圧に基づき、前記電圧印加部を定電圧制御する制御部と、前記感光体を除電する除電部と、前記帯電器から、前記除電部によって除電された状態における前記感光体へ流れる電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部によって検出された検出電流が所定電流値未満の場合、前記制御部が定電圧制御するための前記帯電電圧の目標値を所定電圧量増加させる目標値変更部と、前記目標値変更部によって変更された目標値での前記帯電電圧の定電圧制御の下、被記録媒体に画像を形成する画像形成部とを備える。
【0008】
本構成によれば、除電された感光体に流れる帯電電流に基づいて、すなわち、感光体の帯電に要求される、ほぼ最大電流に基づいて定電圧制御を行うことができる。そのため異常放電の発生を抑制し、かつ、感光体の帯電電位が最大に低下する黒ベタ印刷(一面黒印刷)されたとしてもその後、感光体を十分に帯電することができるので、その後の印刷画質低下を抑制することができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の画像形成装置において、前記目標値変更部は、前記検出電流が前記所定電流値以上となるまで、前記帯電電圧の目標値を前記所定電圧量増加させる処理を繰り返す。
本構成によれば、感光体を十分に帯電できるような、帯電電圧の目標値を確実に設定できるため、画質低下を確実に抑制できる。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明の画像形成装置において、前記電流検出部は、前記帯電器の前記グリッドに流れる電流を検出することにより、前記感光体へ流れる電流を検出する。
本構成によれば、感光体へ流れる電流を直接検出しなくてよいので、感光体表面の劣化を抑制できる。
【0011】
第4の発明は、第1から第3のいずれか一つの発明の画像形成装置において、前記除電部は、前記感光体の表面を部分的に除電するものであり、前記目標値変更部は、前記感光体の除電された表面部分が前記帯電器に対向した際に検出された電流が前記所定電流値未満の場合、前記帯電電圧の目標値を前記所定電圧量増加させる。
本構成によれば、例えば、感光体の長手方向(軸方向)の非画像形成領域は除電せず、画像形成領域のみ除電することで、感光体を十分に帯電することができるようにしつつ、かつ過剰な電流が流れるのを抑制できる。
【0012】
第5の発明は、第1から第4のいずれか一つの発明の画像形成装置において、前記目標変更部は、前記検出電流が前記所定電流値未満の場合において、前記電圧検出部によって検出される前記帯電電圧が所定電圧値未満であれば、前記帯電電圧の目標値を前記所定電圧量増加させる。
本構成によれば、所定電圧値を、異常放電の発生を抑制する値に設定しておけば、より確実に異常放電の発生を抑制できる。
【0013】
第6の発明は、第5の発明の画像形成装置において、前記制御部は、前記電圧検出部によって検出される前記帯電電圧が前記所定電圧値以上であれば、前記放電ワイヤのクリーニングを報知する。
本構成によれば、放電ワイヤのクリーニングの報知によって、異常放電の発生しやすい環境を改善することができる。
【0014】
第7の発明は、第1から第6のいずれか一つの発明の画像形成装置において、前記感光体を露光することによって感光体表面上に帯電潜像を形成する露光部を備え、前記露光部によって前記感光体の所定表面領域を所定の光強度で一様に露光させることによって、前記露光部が前記除電部を構成する。
本構成によれば、ELランプ、あるいは転写電流による除電方法に比べ、専用の装置が不要で、かつ、直接、感光体表面を除電できる。
【0015】
第8の発明は、第7の発明の画像形成装置において、前記感光体表面上の帯電潜像を現像する現像器を備え、前記制御部は、除電された感光体表面が前記現像器と対向するとき、前記感光体と前記現像器とを離間させておく。
本構成によれば、除電部分に現像剤が大量に付着するのを抑制できる。
【0016】
第9の発明は、第1から第8のいずれか一つの発明の画像形成装置において、各印刷色に対応した前記感光体及び前記帯電器のセットを複数備え、前記電圧印加部は前記帯電電圧を複数の帯電器に共通に印加する。
本構成によれば、感光体及び帯電器のセットが複数設けられる構成において、電圧印加部が共通化されるため、帯電電圧を生成する部品点数を削減することができる。
【0017】
第10の発明は、第9の発明の画像形成装置において、ブラックの現像剤を用いて印刷を行うモノクロモードと、複数色の現像剤を用いて印刷を行うカラーモードとの印刷モードを有し、前記目標値変更部は、前記モノクロモード時の前記帯電電圧のモノクロ目標電圧値、カラーモード時の前記帯電電圧のカラー目標電圧値をそれぞれ設定し、前記除電部は、前記モノクロ目標電圧値の設定時、ブラックに対応した感光体のみ除電し、前記カラー目標電圧値の設定時、各色に対応した感光体を除電し、前記画像形成部は、モードに応じた前記帯電電圧の目標値での定電圧制御の下、被記録媒体に画像を形成する。
本構成によれば、モノクロモードおよびカラーモードの各モードにおいて、最適な帯電電圧の目標値で画像形成できるので、画質の低下を好適に抑制できる。
【0018】
第11の発明は、第1から10のいずれか一つの発明の画像形成装置において、前記目標値変更部は、画像形成枚数が多くなるほど、前記所定電圧量の値を増加させる。
本構成によれば、感光体の劣化も考慮して帯電電圧の目標値を設定できるので、画質の低下を好適に抑制できる。
【0019】
第12の発明は、第1から第11のいずれか一つの発明の画像形成装置において、前記目標値変更部は、高温高湿時、帯電電圧の目標値変更処理の間隔を短くする。
本構成によれば、高温高湿時であっても、画質の低下を安定的に抑制できる。
【0020】
また、第13の発明に係る画像形成方法は、感光体と、放電ワイヤおよびグリッドを有し、前記感光体を帯電する帯電器と、定電圧制御された帯電電圧を前記帯電器に印加する電圧印加部とを備えた画像形成装置において、画像を形成する方法であって、前記感光体を除電する工程と、前記電圧印加部から前記帯電器に所定電圧を印加し、前記帯電器から、除電された状態における前記感光体へ流れる電流を検出する工程と、検出された検出電流が所定電流値未満の場合、定電圧制御するための前記帯電電圧の目標値を所定電圧量増加させる工程と、変更された目標値での前記帯電電圧の定電圧制御の下、被記録媒体に画像を形成する工程とを含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画像形成装置および画像形成方法よれば、異常放電の発生を抑制し、かつ画質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの内部構成を表す概略断面図
【図2】プリンタの高圧電源装置に係る概略的なブロック図
【図3】印刷処理の各処理を示すフローチャート
【図4】カラー目標帯電電圧値の決定に係る処理を示すフローチャート
【図5】モノクロ目標帯電電圧値の決定に係る処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態>
本発明の一実施形態1を、図1〜図4を参照しつつ説明する。
【0024】
1.プリンタの全体構成
図1は、本実施形態のカラープリンタ1(画像形成装置の一例)の内部構成を表す概略断面図である。以下の説明では、各構成要素について、色毎に区別する場合は各部の符号にY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の添え字を付し、区別しない場合は添え字を省略する。なお、画像形成装置は、カラープリンタに限られず、例えば、モノクロプリンタ、あるいはFAXおよびコピー機能を有する複合機であってもよい。
【0025】
カラープリンタ(以下、単に「プリンタ」という)1は、給紙部3、画像形成部5、搬送機構7、定着部9、および高圧電源装置50を含む。プリンタ1は、例えば外部から入力される画像データに応じた1または複数色(本実施形態ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色)のトナー(現像剤)からなるトナー像を、シート15(用紙、OHPシートなど)に形成する。
【0026】
給紙部3は、プリンタ1の最下部に設けられており、シート(「被記録媒体」の一例)15を収容するトレイ17と、ピックアップローラ19とを含む。トレイ17に収容されたシート15は、ピックアップローラ19により1枚ずつ取り出され、搬送ローラ11,レジストレーションローラ12を介して搬送機構7に送られる。
【0027】
また、給紙部3の近傍には、プリンタ1内の温度および湿度を検出する温湿度センサ36およびシート15の搬送枚数を検出する用紙センサ37が設けられている。用紙センサ37は、ピックアップローラ19によりトレイ17から取り出されたシート15の搬送経路中に設けられており、用紙センサ37の設けられた搬送経路をシート15が通過する際にシート15と接触することにより、用紙検出信号をCPU51(図2参照)に出力する。
【0028】
搬送機構7は、シート15を搬送するためのものであり、例えば、プリンタ1内に形成された所定の装着部(図示せず)に着脱自在に装着される。搬送機構7は、駆動ローラ31、従動ローラ32、およびベルト34を含み、ベルト34は、駆動ローラ31と従動ローラ32との間に架け渡されている。駆動ローラ31が回動すると、ベルト34は、感光ドラム44と対向する側の表面が、図1中の右方向から左方向へ移動する。これにより、レジストレーションローラ12から送られてきたシート15が、画像形成部5下へと搬送される。また、搬送機構7は、4つの転写ローラ33を含む。
【0029】
画像形成部5は、4個のプロセスユニット40Y,40M,40C,40Kおよび4個の露光装置(除電部の一例)45を含む。各プロセスユニット40は、帯電器41、感光ドラム(感光体の一例)44、ユニットケース46、現像ローラ47、および供給ローラ48を含む。各プロセスユニット40Y,40M,40C,40Kは、プリンタ1内に形成された所定の装着部(図示せず)に着脱自在に着される。
【0030】
感光ドラム44は、例えば、アルミニウム製の基材上に、正帯電性の感光層が形成されたものであり、アルミニウム製の基材が、例えば、導電性の軸44aを介してプリンタ1のグランドラインに接地されている。帯電器41は、例えば、スコロトロン型の帯電器であり、放電ワイヤ42およびグリッド43を有する。放電ワイヤ42に帯電電圧CHGが印加され、グリッド43のグリッド電圧GRIDは、感光ドラム44の表面がほぼ同電位(例えば、+700V)になるように制御される。
【0031】
露光装置45は、例えば、感光ドラム44の回転軸方向に沿って一列状に並んだ複数の発光素子(例えばLED)を有し、複数の発光素子を、外部より入力される画像データに応じて発光制御することにより、感光ドラム44の表面を露光する。つまり、露光装置45は、帯電器41によって+700Vに帯電された感光ドラム44における、画像データに基づく画像を形成するためのトナーを付着させるべき部分に光を照射することによって、当該トナーを付着させるべき部分を除電し、感光ドラム44の表面に静電潜像を形成する。露光装置45は、感光ドラム44の露光部分の電位を、例えば、+200Vにする光強度で発光制御される。なお、露光装置45は、プリンタ1内に固定設置される。露光装置45はレーザを使用したものであってもよい。
【0032】
ユニットケース46は、各色のトナー(本実施形態では、例えば正帯電性の非磁性1成分トナー)を収納するとともに、現像ローラ47および供給ローラ48を有する。トナーは、供給ローラ48の回転により現像ローラ47に供給され、供給ローラ48と現像ローラ47との間で正に摩擦帯電される。さらに、高圧電源装置50によって+300〜400Vの現像電圧を印加された現像ローラ47が、トナーを均一な薄層として感光ドラム44上へ供給し、感光ドラム44の露光部分にトナーを付着させることによって静電潜像を現像して、感光ドラム44上にトナー象を形成する。
なお、各現像ローラ47には、各現像ローラ47を各感光ドラム44から離間させるための離間機構35(図2参照)が接続されている。
【0033】
各転写ローラ33は、各感光ドラム44との間でベルト34を挟む位置に配置されている。各転写ローラ33は、感光ドラム44との間にトナーの帯電極性とは逆極性(ここでは、負極性)の転写電圧TRCCが印加されることで、感光ドラム44上に形成されたトナー像をシート15に転写する。その後、シート15は、搬送機構7により定着部9へと搬送され、定着部9にてトナー像が熱定着され、プリンタ1の上面に排出される。
【0034】
2.高圧電源装置の構成
次に、図2を参照して、プリンタ1の本発明に関連する電気的構成を説明する。図2は、回路基板(図示せず)に実装される高圧電源装置50の概略的なブロック図および高圧電源装置50に関連する接続構成を示す。
【0035】
高圧電源装置50は、CPU51、CPU51に接続された高圧電源回路52、ROM53、RAM54およびカウンタ55を含む。
CPU51は、高圧電源回路52の制御の他に、プリンタ全体の制御を司る。カウンタ55は、用紙センサ37から出力された用紙検出信号が入力される度にカウントアップする、印刷されるシート15の枚数をカウントする印刷枚数カウンタを含む。なお、用紙ジャムが発生したときなど、正常にシート15に印刷が行われなかった場合、用紙センサ37には検出されたが印刷されなかったシート15を考慮して、印刷枚数カウンタ55がカウントダウンするようにしてもよい。ROM53は、CPU51が実行する各種の動作プログラム等を記憶し、RAM54は印刷処理に用いる画像データ等を記憶する。
【0036】
高圧電源回路52は、帯電電圧生成回路(電圧印加部の一例)60、グリッド電圧制御回路71、電流検出回路(電流検出部の一例)72、およびGRID制御用平滑回路73を含む。ここで、帯電電圧生成回路60は、各帯電器(41K〜41C)に対して共通に設けられ、グリッド電圧制御回路(71K〜71C)、電流検出回路(72K〜72C)、およびGRID制御用平滑回路(73K〜73C)は、各帯電器(41K〜41C)に対応して設けられる。
【0037】
帯電電圧生成回路60は、PWM平滑回路61、駆動回路62、昇圧回路63、および電圧検出回路(電圧検出部の一例)68を含む。
【0038】
帯電電圧生成回路60は、各帯電器(41K〜41C)の各放電ワイヤ(42K〜42C)に共通に印加する帯電電圧CHGを生成する。また、共通の帯電電圧CHGと各グリッド電圧制御回路71によって、各グリッド電圧GRIDが生成される。帯電電圧CHGは、例えば、5.5kV〜7kV(正極性)であり、グリッド電圧GRIDは、例えば、約700V(正極性)である。
【0039】
PWM平滑回路61は、例えば抵抗およびコンデンサ(図示せず)からなり、CPU51のポートPWM1からのPWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)信号を平滑し、平滑されたPWM信号を駆動回路62に供給する。
【0040】
駆動回路62は、例えば、PWM平滑回路62から受けた平滑PWM信号に基づき、昇圧回路63のトランス64の1次側巻線64aに発振電流を流すよう構成されている。そして、ここでは、PWM信号のデューティ比に応じて、帯電電圧CHGの値が制御されている。例えば、PWM信号のデューティ比が大きくなるほど昇圧回路63によって生成される帯電電圧CHGが大きくなるように制御される。
【0041】
昇圧回路63は、例えば、トランス64、整流ダイオード65、平滑コンデンサ66、および出力抵抗67を含む。トランス64は、1次側巻線64a,2次側巻線64b、および補助巻線64cを備えている。
【0042】
このような構成により、1次側巻線64aの電圧は、昇圧回路63において昇圧および整流され、各帯電器(41K〜41C)の放電ワイヤ(42K〜42C)に帯電電圧CHGとして印加される。
【0043】
また、電圧検出回路68は、トランス64の補助巻線64cと、CPU51との間に接続されている。電圧検出回路68は、例えば整流ダイオードD1、平滑コンデンサC2および分圧抵抗R2,R3を含む。電圧検出回路68は、帯電電圧CHGの生成に応じて補助巻線64cの間で発生する出力電圧v1を検出して、その検出信号D1をポートA/D1に供給する。
【0044】
また、各グリッド電圧制御回路71は、それぞれ、例えば、直列接続された抵抗81、トランジスタQ、および抵抗82を含む。各グリッド電圧制御回路71は、トランジスタQのコレクタ−エミッタ間の電圧を調整して、各グリッド電圧GRIDを所定値に制御する。
【0045】
各電流検出回路72は、それぞれ、グリッド電流Igを検出するための検出抵抗82を含み、検出抵抗82の電圧を検出して検出信号(D2K〜D2C)を生成する。なお、ここで各検出抵抗82は、各グリッド電圧制御回路71の構成が利用される。各検出信号(D2K〜D2C)は、それぞれ、CPU51のポート(A/D2〜A/D5)に供給される。すなわち、本実施形態では、感光ドラム44に流れる帯電電流をGRID電流Igに基づいて検出している。これは、通常、感光ドラム44を介してグランドに流れる電流とGRID電流Igとの間には一定の相関関係があるため、GRID電流Igによって、感光ドラム44に流れる電流の大きさが推定できるためである。なお、後述する帯電電圧の決定処理時においては、各電流検出回路72は、感光ドラム44が露光装置45(除電部)によって除電された状態において、帯電器41から感光ドラム44へ流れる電流を検出する。
また、帯電電流を検出する方法はこれに限られず、例えば、帯電電圧生成回路60の平滑コンデンサ66と直列にグランド側から検出抵抗を接続して、その検出抵抗によって検出することもできる。
【0046】
各GRID制御用平滑回路73は、PWM平滑回路61と同様に、例えば抵抗およびコンデンサ(図示せず)からなり、CPU51のポート(PWM2〜PWM5)からのPWM信号を平滑し、平滑された平滑PWM信号を各グリッド電圧制御回路71のトランジスタ(Q1〜Q4)のベースに供給する。そして、各トランジスタQのコレクタ−エミッタ間の電圧は、ベースに供給される平滑PWM信号によって調整される。
【0047】
3.印刷処理
次に、図3を参照して、本実施形態における印刷処理を説明する。図3は、印刷処理に係る各処理を示すフローチャートである。印刷処理においてはプリンタ1が設置される環境湿度に応じて帯電電圧CHGの目標値変更(帯電電圧決定処理)の間隔が変更される。環境湿度に応じて帯電電圧CHGの目標値変更の間隔が変更されるのは、環境湿度に応じて、放電ワイヤ42の汚れ度が異なるからである。印刷処理は、印刷指令に応じて、CPU(目標値変更部の一例)51によって所定のプログラムにしたがって実行される。
【0048】
CPU51は、まず、ステップS205において、温湿度センサ36からプリンタ1内の温湿度をモニタする。次いで、ステップS210において、湿度が、所定値A、例えば75%より高いかどうかを判定する。湿度が所定値Aより高いと判定された場合(ステップS210:YES)、帯電電圧決定処理を度行うかどうかを判定するための、既に印刷された用紙枚数である判定枚数を「500」に設定する(ステップS215)。
【0049】
一方、湿度が所定値Aより高くないと判定された場合(ステップS210:NO)、湿度が、所定値B、例えば30%より低いかどうかを判定する(ステップS220)。湿度が所定値Bより低いと判定された場合(ステップS220:YES)、判定枚数を「2000」に設定する(ステップS230)。一方、湿度が所定値Bより低くないと判定された場合(ステップS220:NO)、判定枚数を「1000」に設定する(ステップS225)。ここで、湿度が低いほど判定枚数が多く設定されるのは、湿度が低いほど、放電に伴う放電ワイヤ42の汚れが少ないため、帯電器41での異常放電の発生までに印刷可能な印刷枚数が増加するためである。
【0050】
次いで、CPU51は、前回の帯電電圧決定処理からの印刷枚数が判定枚数以上であるかどうかを、印刷枚数カウンタ55のカウント数に基づいて、判定する(ステップS240)。印刷枚数が判定枚数以上でないと判定された場合(ステップS240:NO)、ステップS255に移行する。
【0051】
一方、印刷枚数が判定枚数以上であると判定された場合(ステップS240:YES)、放電ワイヤ42の汚れがひどくなっていると判断され、ステップS241において印刷枚数カウンタ55をリセットし、ステップS242において、離間機構35(図2参照)を制御して、各現像ローラ47を各感光ドラム44から離間させる。すなわち、CPU51は、除電された各感光ドラム表面が各現像ローラ47と対向するとき、各感光ドラム44と各現像ローラ47とを離間された状態とする。
【0052】
ここで、各現像ローラ47を各感光ドラム44から離間させるのは、各除電された感光体表面が各現像ローラ47と対向するとき、除電部分に現像剤が大量に付着するのを確実に抑制するためである。その後、ステップS245において、後述するカラー目標電圧値の決定処理が行われ、カラー目標電圧値が変更される。また、ステップS250において、同様に、後述するモノクロ目標電圧値の決定処理が行われ、モノクロ目標電圧値が変更される。このように、本実施形態においては、印刷モードに応じた帯電電圧CHGの目標値が設定され、印刷モードに応じて最適な帯電電圧CHGの目標値で画像形成できるので、画質の低下を好適に抑制できる。
【0053】
次いで、ステップS255において、今回の印刷がカラーモード印刷かどうか判定する。カラーモード印刷である場合(ステップS255:YES)、ステップS245で決定されたカラー目標電圧値で印刷処理を実行する(ステップS265)。一方、カラーモード印刷でない場合(ステップS255:NO)、すなわち、モノクロモード印刷である場合、ステップS250で決定されたモノクロ目標電圧値で印刷処理を実行する(ステップS260)。
【0054】
なお、ステップS240においてYES判定された場合において、カラーモード印刷時、各感光ドラム44から離間させていた各現像ローラ44は、離間機構35による離間動作を解除することによって、再度各感光ドラム44に当接される。一方、モノクロモード印刷時には、各感光ドラム44から離間させていた各現像ローラ47のうち黒色(K)のみの現像ローラ47Kが、同様に、離間機構35による離間動作を解除することによって、再度感光ドラム44Kに当接させる。
【0055】
次いで、印刷指令に係る全ての印刷処理が終了しない場合(ステップS270:NO)、ステップS240に戻り、印刷指令に係る全ての印刷処理が終了した場合(ステップS270:YES)、本処理を終了する。
【0056】
このように、高湿時、判定枚数を少なくして、帯電電圧CHGの目標値変更処理の間隔が短くされる。そのため、高湿時であっても、印刷画質の低下を安定的に抑制できる。なお、湿度のみにかかわらず、温湿度センサ36の検出温度に基づく環境温度を加味して、帯電電圧CHGの目標値変更処理の間隔を変更するようにしてもよい。すなわち、CPU51は、高温高湿時、帯電電圧CHGの目標値変更処理の間隔を短くするようにしてもよい。ここで、高温高湿時とは、例えば、30℃以上の温度で、70%以上の湿度である場合である。
【0057】
また、帯電電圧CHGの目標値変更処理の間隔を短くする方法は、判定枚数に限られず、例えば、帯電電圧CHGの目標値設定からの時間を計測するタイマを設け、タイマの計測時間に基づいて、目標値変更処理の間隔を短くするようにしてもよい。
【0058】
4.帯電電圧の決定処理
次に、図4および図5を参照して、本実施形態における帯電電圧(目標電圧値)CHGを決定する処理について説明する。図4は、図3のステップS245のカラー目標電圧値決定処理を示すフローチャートである。図5は、図3のステップS250のモノクロ目標電圧値決定処理を示すフローチャートである。各決定処理は、印刷指令に応じて、CPU(目標値変更部)51によって所定のプログラムにしたがって実行される。
【0059】
4−1.カラー目標電圧値決定処理
本処理において、CPU51は、まず、図4のステップS305において、帯電電圧CHGの定電圧目標値を、例えば、6kVに設定する。
【0060】
次いで、CPU51は、検出信号D1に基づいて、帯電電圧CHGが目標値となるように帯電電圧生成回路60を定電圧制御する(ステップS315)。
【0061】
続いて、各露光装置45によって、全色(K,Y,M,C)の感光ドラム44を黒べた露光する(ステップS325)。このように、本実施形態では、帯電電圧CHGの最適目標電圧を決定する前に、感光ドラム44を黒べた露光することによって、感光ドラム表面を除電する。
【0062】
ここで、「黒べた露光」とは、露光装置45によって対応する感光ドラム44の所定表面領域を所定の光強度で一様に露光させることである。所定表面領域は、ここでは、例えば、感光ドラム44の表面全体とする。また、所定の光強度は、ここでは、例えば、通常印刷時に露光する際の光強度とする。
【0063】
このように、感光ドラム44の除電を露光装置45の露光によって行うことによって、ELランプ、あるいは転写電流による除電方法に比べ、専用の装置が不要で、かつ、直接、感光体表面を除電できる。
【0064】
次いで、ステップS335において、帯電電圧CHGが目標電圧に達したかどうか判定する。帯電電圧CHGが目標電圧に達していない判定された場合はステップS315に戻り、帯電電圧CHGが目標電圧に達したと判定された場合はステップS340に移行する。
【0065】
ステップS340において、CPU51は、各検出信号(D2K〜D2C)に基づいて、各色のGRID電流(Ig1〜Ig4)が所定電流値以上かどうか判定する。なお、ここで、各電流検出回路72は、各露光装置45によって除電された状態における各感光ドラム44へ流れる電流を、GRID電流(Ig1〜Ig4)に基づいてそれぞれ検出することとなる。GRID電流Igが所定電流値以上でないと判定された場合は、ステップS350に移行する。ここで、所定電流値は、例えば、250μAとされる。
【0066】
ステップS350において、CPU51は、帯電電圧CHGが所定電圧値以上かどうかを判定する。ここで、所定電圧値は、異常放電の発生を抑制する値に設定され、例えば、7.5kVとされる。これによって、より確実に異常放電の発生を抑制できる。
【0067】
帯電電圧CHGが所定電圧値以上と判定された場合(ステップS350:YES)、ワイヤ清掃のメッセージを、例えば、操作パネルの液晶ディスプレイ(図示せず)に表示させ、ワイヤ清掃を報知する(ステップS380)。このように、放電ワイヤのクリーニングをユーザに報知することによって、異常放電の発生しやすい環境を改善することができる。そして、本処理を終了する。
【0068】
一方、帯電電圧CHGが所定電圧値以上と判定されなかった場合(ステップS350:NO)、すなわち、帯電電圧CHGが所定電圧値未満と判定された場合、GRID電流Igを増加させるために、目標電圧値を所定電圧量、例えば、200V増加させ(ステップS355)、ステップS315に戻る。
【0069】
なお、CPU51は、印刷枚数(画像形成枚数)が多くなるほど、所定電圧量の値を増加させるようにしてもよい。この場合、感光ドラム44の劣化も考慮して帯電電圧CHGの目標値を設定できるので、画質の低下を好適に抑制できる。
また、ステップS355の処理の次に、ステップS315の処理に戻らずに、ステップS345の処理に移行するようにしてもよい。すなわち、帯電電圧CHGの目標値を所定電圧量増加させる処理(ステップS355)は、必ずしも繰り返されなくてもよい。
【0070】
ステップS340において、GRID電流Igが所定電流値以上であると判定された場合は、ステップS345において、各色のGRID電流(Ig1〜Ig4)の差において、所定値以上の差(例えば、100μA)があるかどうか判定する。所定値以上の差がある場合(ステップS345:YES)、汚れのひどい放電ワイヤ42が存在する可能性があるとして、ワイヤ清掃メッセージを報知する(ステップS380)。一方、検出電流値に所定値以上の差がない場合(ステップS345:NO)、最小のGRID電流Igが制御対象に選定される(ステップS360)。
【0071】
次いで、制御対象の選定GRID電流Igの定電流制御値を、例えば250μAに設定する(ステップS365)。そして、このとき、帯電電圧CHGが上記所定電圧値以上かどうかを判定する(ステップS370)。帯電電圧CHGが所定電圧値以上である場合(ステップS370:YES)、ワイヤ清掃メッセージを報知する(ステップS380)。
【0072】
一方、帯電電圧CHGが所定電圧値以上でない場合(ステップS370:NO)、ステップS375において、選定GRID電流Igの電流値が250μAかどうか判定する。選定GRID電流Igの電流値が250μAでない場合(ステップS375:NO)、ステップS365に戻る。一方、選定GRID電流Igの電流値が250μAである場合(ステップS375:YES)、このときの帯電電圧CHGの値を、カラーモード印刷時の定電圧制御のカラー目標電圧値として、新たに設定する(ステップS385)。これによって、カラー目標電圧値決定処理を終了する。その後、カラーモードでの印刷処理が実行される場合、変更されたカラー目標電圧値での帯電電圧CHGの定電圧制御の下、画像形成部5によってシート15に画像が形成される。
【0073】
4−2.モノクロ目標電圧値決定処理
次に、図5を参照して、モノクロ目標電圧値決定処理を説明する。なお、図3のカラー目標電圧値決定処理と同一の処理に対しては同一のステップ番号を符し、その説明を省略し、カラー目標電圧値決定処理との相違点のみを説明する。
【0074】
CPU51は、ステップS315において検出信号D1に基づいて、帯電電圧CHGが目標値となるように帯電電圧生成回路60を定電圧制御した後、ステップS325Aにおいて、黒色(K)の露光装置45によって黒色のみの感光ドラム44Kを黒べた露光する。
【0075】
次いで、ステップS335において、帯電電圧CHGが目標電圧に達したと判定された場合はステップS340に移行し、ステップS340Aにおいて、CPU51は、検出信号D2Kに基づいて、黒色のGRID電流Ig1が所定電流値以上かどうか判定する。GRID電流Ig1が所定電流値以上でないと判定された場合は、ステップS350に移行する。
一方、ステップS340Aにおいて、GRID電流Ig1が所定電流値以上であると判定された場合は、ステップS365Aにおいて、GRID電流Ig1の定電流制御値を、例えば250μAに設定する。
【0076】
次いで、ステップS370において、帯電電圧CHGが所定電圧値以上でないと判定された、ステップS375Aにおいて、GRID電流Ig1の電流値が250μAかどうか判定する。GRID電流Ig1の電流値が250μAである場合(ステップS375A:YES)、このときの帯電電圧CHGの値を、モノクロモード印刷時の定電圧制御のモノクロ目標電圧値として、新たに設定する(ステップS385A)。これによって、モノクロ目標電圧値決定処理を終了する。その後、モノクロモードでの印刷処理が実行される場合、変更されたモノクロ目標電圧値での帯電電圧CHGの定電圧制御の下、画像形成部5によってシート15に画像が形成される。
【0077】
5.実施形態の効果
除電された感光ドラム44に流れる帯電電流をGRID電流Igに基づいて検出し、その検出電流に基づいて、すなわち、感光ドラム44の帯電に要求される、ほぼ最大電流に基づいて定電圧制御を行うことができる。そのため異常放電の発生を抑制し、かつ、感光ドラム44の帯電電位が最大に低下する黒ベタ印刷(一面黒印刷)されたとしてもその後、感光ドラム44を十分に帯電することができるので、その後の印刷画質低下を抑制することができる。
【0078】
その際、CPU51は、検出電流が所定電流値(250μA)以上となるまで、帯電電圧CHGの目標値を所定電圧量(200V)増加させる処理を繰り返す。そのため、感光ドラム44を十分に帯電できるような、帯電電圧の目標値を確実に設定できるため、画質低下を確実に抑制できる。
【0079】
また、電流検出回路72は、グリッド43に流れる電流を検出することにより、感光ドラム44へ流れる電流を検出する。感光ドラム44へ流れる電流を直接検出しなくてよいので、感光体表面の劣化を抑制できる。あるいは、帯電電圧CHGから直接抵抗によって帯電電流を検出する場合に比べて、耐電電圧の低い小型の検出抵抗を使用できる。
【0080】
また、モノクロモード時、ブラックに対応した感光ドラム44Kのみが除電され、カラーモード時、各色に対応した感光ドラム44が除電される。そのため、一個の帯電電圧生成回路60によって複数の帯電器41を共通に制御する場合において、モードによって使用する感光ドラム44のみ除電して目標値を設定すれば十分なので、モードに応じて余分な処理を低減できる。
【0081】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
(1)上記実施形態においては、除電する感光ドラム44の所定表面領域は、感光ドラム44の表面全体とする例を示したがこれに限られない。例えば、感光ドラム44の表面が部分的に除電され、CPU51は、感光ドラム44の除電された表面部分が帯電器41に対向した際に検出された電流が所定電流値未満の場合、帯電電圧CHGの目標値を所定電圧量増加させるようにしてもよい。この場合、例えば、感光ドラム44の長手方向(軸方向)の非画像形成領域は除電せず、画像形成領域のみ除電することで、感光ドラム44を十分に帯電することができるようにしつつ、かつ過剰な電流が流れるのを抑制できる。
【0083】
(2)上記実施形態においては、本発明を、図2に示されるように、帯電電圧生成回路60が各帯電器41に対して共通に設けられるプリンタ1に適用する例を示したが、これに限られない。本発明は、帯電電圧生成回路60が各色の各帯電器41に対してそれぞれ設けられるプリンタにも適用できる。その際、個々の帯電電圧生成回路60に対して、帯電電圧CHGの上記定電圧制御が行われるようにする。その際、例えば、図4のステップS345およびステップS360は省略される。
【0084】
このように帯電電圧生成回路60が共通化されない場合、カラーモード時は全ての感光ドラム44を帯電し、モノクロモード時はブラックのみ感光ドラム44Kを帯電でき、なるべくブラック以外の放電ワイヤ汚れを抑制することができる。この場合、ブラック以外の放電ワイヤ(42Y,42M,42C)はカラーモードの頻度によって汚れ度合いが相違する。そのため、好ましくは、印刷枚数カウンタ55として、カラーモード印刷のときのみカウントするカウンタ55Aと、カラーモード/モノクロモードいずれにおいてもカウントするカウンタ55Bとを設ける。そして、カウンタ55Aの値が判定枚数以上となれば、Y,M,Cそれぞれの帯電目標電圧値を決定する処理を行い、カウンタ55Bの値が判定枚数以上となれば、Kのみの帯電目標電圧値を決定する処理を行うようにすればよい。
【符号の説明】
【0085】
1…プリンタ
5…画像形成部
41…帯電器
42…放電ワイヤ
43…グリッド
44…感光ドラム
51…CPU
60…帯電電圧生成回路
68…電圧検出回路
72…電流検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
放電ワイヤおよびグリッドを有し、前記感光体を帯電する帯電器と、
帯電電圧を生成し、生成した前記帯電電圧を前記帯電器に印加する電圧印加部と、
前記帯電電圧を検出するための電圧検出部と、
前記電圧検出部によって検出された検出電圧に基づき、前記電圧印加部を定電圧制御する制御部と、
前記感光体を除電する除電部と、
前記帯電器から、前記除電部によって除電された状態における前記感光体へ流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部によって検出された検出電流が所定電流値未満の場合、前記制御部が定電圧制御するための前記帯電電圧の目標値を所定電圧量増加させる目標値変更部と、
前記目標値変更部によって変更された目標値での前記帯電電圧の定電圧制御の下、被記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記目標値変更部は、前記検出電流が前記所定電流値以上となるまで、前記帯電電圧の目標値を前記所定電圧量増加させる処理を繰り返す、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
前記電流検出部は、前記帯電器の前記グリッドに流れる電流を検出することにより、前記感光体へ流れる電流を検出する、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記除電部は、前記感光体の表面を部分的に除電するものであり、
前記目標値変更部は、前記感光体の除電された表面部分が前記帯電器に対向した際に検出された電流が前記所定電流値未満の場合、前記帯電電圧の目標値を前記所定電圧量増加させる、画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記目標変更部は、前記検出電流が前記所定電流値未満の場合において、前記電圧検出部によって検出される前記帯電電圧が所定電圧値未満であれば、前記帯電電圧の目標値を前記所定電圧量増加させる、画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記電圧検出部によって検出される前記帯電電圧が前記所定電圧値以上であれば、前記放電ワイヤのクリーニングを報知する、画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記感光体を露光することによって感光体表面上に帯電潜像を形成する露光部を備え、
前記露光部によって前記感光体の所定表面領域を所定の光強度で一様に露光させることによって、前記露光部が前記除電部を構成する、画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記感光体表面上の帯電潜像を現像する現像器を備え、
前記制御部は、除電された感光体表面が前記現像器と対向するとき、前記感光体と前記現像器とを離間させておく、画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
各印刷色に対応した前記感光体及び前記帯電器のセットを複数備え、
前記電圧印加部は前記帯電電圧を複数の帯電器に共通に印加する、画像形成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置において、該画像形成装置は、
ブラックの現像剤を用いて印刷を行うモノクロモードと、複数色の現像剤を用いて印刷を行うカラーモードとの印刷モードを有し、
前記目標値変更部は、前記モノクロモード時の前記帯電電圧のモノクロ目標電圧値、カラーモード時の前記帯電電圧のカラー目標電圧値をそれぞれ設定し、
前記除電部は、前記モノクロ目標電圧値の設定時、ブラックに対応した感光体のみ除電し、前記カラー目標電圧値の設定時、各色に対応した感光体を除電し、
前記画像形成部は、モードに応じた前記帯電電圧の目標値での定電圧制御の下、被記録媒体に画像を形成する、画像形成装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記目標値変更部は、画像形成枚数が多くなるほど、前記所定電圧量の値を増加させる、画像形成装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記目標値変更部は、高温高湿時、帯電電圧の目標値変更処理の間隔を短くする、画像形成装置。
【請求項13】
感光体と、放電ワイヤおよびグリッドを有し、前記感光体を帯電する帯電器と、定電圧制御された帯電電圧を前記帯電器に印加する電圧印加部とを備えた画像形成装置において、画像を形成する方法であって、
前記感光体を除電する工程と、
前記電圧印加部から前記帯電器に所定電圧を印加し、前記帯電器から、除電された状態における前記感光体へ流れる電流を検出する工程と、
検出された検出電流が所定電流値未満の場合、定電圧制御するための前記帯電電圧の目標値を所定電圧量増加させる工程と、
変更された目標値での前記帯電電圧の定電圧制御の下、被記録媒体に画像を形成する工程と、
を含む画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−48122(P2012−48122A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192170(P2010−192170)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】