説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】画像形成装置の調整後のテストチャートの自動出力において、不要な調整値のテストチャートを排除することにより作業負荷を軽減する。
【解決手段】画像を媒体に画像形成するための機構を備え、当該機構を調整して画像形成における画像の品質を調整することが可能な画像形成装置において、調整項目をユーザーに提示して(801、811、821)、ユーザーに対し調整値の範囲の入力を受け付ける(802−804、812−814、822−824)。そして、入力された調整値の範囲内となるように各調整項目の調整値の組み合わせデータを作成して、組み合わせ毎に所定の文字を印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷する画像の画質や印字位置や後処理の精度を調整するための調整機能を備えた画像形成装置が知られている。それらの画像形成装置では、調整を行うために操作部等の入力装置からユーザーに調整値を入力させるための機能を備えている。
【0003】
画像形成装置のユーザーは、調整を行った場合、調整が適切に行われたか否かを確認するための画像を調整後の画像形成装置で印刷し、印刷された画像を目視や測定機器を用いて調整が適切であるか否かを確認する。
【0004】
印刷された画像を確認した結果、調整が適切に行われていないと判断された場合は、再度調整値の入力と印刷処理と確認作業を行う。このように、ユーザーは、適切な調整と判断されるまで調整値の入力と確認用の画像の印刷と確認作業を繰り返し行うことになる。
【0005】
このような調整と確認を繰り返す作業の効率化を図るために、複数の調整値による印刷を一括して行うための先行技術が特許文献1において開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−266898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術において、1つの事象に対して複数の調整値による調整が必要である場合には、複数の調整値の組み合わせの数に対応した確認作業用の画像の印刷処理が必要となる。そのため、調整項目の数が増えるにつれて、調整結果を確認するための画像を印刷する回数が増大してしまうという問題があった。
【0008】
また、各調整項目における設定可能な調整値の数が膨大である場合も、調整結果を確認するための画像を印刷する回数が増大してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、画像を媒体に画像形成するための機構を備え、当該機構を調整して画像形成における画像の品質を調整することが可能な画像形成装置であって、前記調整の対象となる調整項目をユーザーに提示する提示手段と、提示した前記調整項目のうち、ユーザーにより選択された調整項目について、調整値の範囲の入力を受け付ける受付手段と、入力された調整値の範囲内において、前記選択された調整項目の間で調整値の組み合わせを作成し、前記組み合わせに係る調整値と、識別番号とを関連付けて記憶する記憶手段と、前記識別番号を選択して、当該識別番号に係る各調整項目の調整値に基づいて前記機構を調整して、所定の文字と、当該識別番号とを合成した画像を媒体に画像形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、印刷する画像の画質を調整する際に調整結果を確認するための画像を印刷する回数を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の印刷システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置の全体構造を模式的に示す図である。
【図3】本発明の画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の画像形成装置の操作部の外観を示す図である。
【図5】不良画像の一例を示す図である。
【図6】記憶装置に格納されるデータの一例を示す図である。
【図7】調整画面移行スイッチ408が押下されたときの画面のを一例を示す図である。
【図8】調整値の範囲と刻み幅を指示するための画面の一例を示す図である。
【図9】調整値が指定されたときのテーブルの一例を示す図である。
【図10】各調整項目の調整値の全ての組み合わせに係るテストチャートの一例を示す図である。
【図11】各調整項目の指定された調整値の組み合わせに係るテストチャートの一例を示す図である。
【図12】識別子を入力するための表示画面の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施例1に係る処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施例2に係るテストチャートの一例を示す図である。
【図15】本発明の実施例2に係る処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施例3に係るテストチャートの一例を示す図である。
【図17】本発明の実施例3に係る調整値を設定するための操作画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
図1は本発明の画像形成装置を含む印刷システムの構成を示すブロック図である。この印刷システムは、画像形成装置101、ホストコンピュータ102、ネットワーク103を備える。
【0014】
本発明に係る画像形成装置101は、ホストコンピュータ102から送信される印刷データを紙などの媒体の表面に印刷する。なお、画像形成装置101は、画像を媒体に画像形成するための機構を備え、当該機構を調整して画像形成における画像の品質を調整することが可能である。
【0015】
102は、印刷データを作成して、画像形成装置101に印刷データを送信するホストコンピュータである。なお、ホストコンピュータ102は、印刷データを送信する機能の他に、画像処理アプリケーションを稼動させて画像編集処理を行う機能も備えている。
【0016】
103は、画像形成装置101とホストコンピュータ102とを接続させて、双方向で通信できるようにするためのネットワークである。画像形成装置101はネットワーク103を介して、ホストコンピュータ102と通信を行う。
【0017】
図2は本発明の画像形成装置101の全体構造を模式的に示す図である。
【0018】
201は、画像形成装置101の筐体である。
【0019】
202は、画像形成装置101を構成する各部を制御するためのソフトウェアに基づいて動作する制御部である。
【0020】
203は、画像形成装置101に対してユーザが指示を行うためのインターフェースを提供する操作部である。
【0021】
204は、画像形成部205に対して、印刷剤であるトナーを供給するためのトナー供給部である。なお、トナー供給部204には、開閉扉が装備されており、ユーザ等が開閉扉からトナーを供給することができる。
【0022】
205は、トナー供給部204より供給されたトナーに帯電処理を施し、印刷データに基づいて画像を形成するための外部の転写材へトナーを排出する画像形成部である。
【0023】
206は、中間転写ベルトである。画像形成部205から排出されたトナーが中間転写ベルト206に転写された後に用紙などの印刷媒体に転写される。なお、画像形成部205によるトナーの排出に先だって、中間転写ベルト206にはトナーを付着させるための帯電処理が施される。
【0024】
207は、定着装置である。定着装置207は、中間転写ベルト206によって画像が転写された印刷媒体に熱及び圧力を加えることにより、印刷媒体にトナーを定着させる。
【0025】
208は、余剰トナー回収部である。中間転写ベルト206において印刷媒体に転写されなかったトナーが余剰トナー回収部208によって回収され、回収されたトナーが蓄積される。
【0026】
209は、印刷媒体を供給するための給紙装置である。
【0027】
210は、印刷媒体搬送部である。給紙装置209から給紙された印刷媒体が印刷媒体搬送部210によって搬送されてトナーの転写、及び定着に係る処理が実施される。
【0028】
211は、印刷媒体を反転させるためのスイッチバック部である。
【0029】
212は、外部の給紙装置から印刷媒体を投入するための印刷媒体投入口である。
【0030】
213は、定着処理された印刷媒体を外部の出力装置へ排出するための印刷媒体排出部である。
【0031】
図3は、本発明の画像形成装置101の機能構成を示すブロック図である。
【0032】
302は、画像形成装置101の操作を行うための操作部であり、図2に示す操作部203に対応する。
【0033】
303は、外部機器と接続して通信を行うためのネットワークケーブルである。
【0034】
304は、外部機器と電話回線等の回線を介して通信を行うための回線ケーブルである。
【0035】
305は、画像形成装置101全体の動作を制御するCPUである。
【0036】
306は、CPU上305による処理に係る情報を一時的に記憶するためのRAMである。また、RAM306は、外部から受信したデータを一時的に蓄えるための受信バッファやRIP321によってラスタライズされた画像データを一時的に蓄えるための画像データバッファ等の目的にも使用される。
【0037】
307は、操作部302とCPU305との間の接続を介在するインターフェースである。
【0038】
308は、CPU305とネットワークケーブ303に接続される機器との間の接続を介在するためのインターフェースである。
【0039】
309は、CPU305と、電話回線を介して回線ケーブル304に接続される機器との間の通信を実施するためのインターフェースとして機能するモデムである。
【0040】
310は、CPU305により解釈されて実行されるプログラムや、処理に必要となるデータ等を格納するROMである。
【0041】
311は、さまざまなデータを長期的に保存することが可能な不揮発性の記憶装置であるハードディスクである。
【0042】
312は、CPUバスである。324は、画像処理を行うためのハードウェア群に接続されたイメージバスである。313は、CPUバス312とイメージバス324を接続するためのインターフェースである。
【0043】
321は、外部から入力される画像記述データをビットマップイメージデータに変換する機能を有するラスタライズボード(RIP)である。
【0044】
314は、画像転送バス318によってRIP321とイメージバス324を接続するためのインターフェースである。
【0045】
315は、データを圧縮するためのデータ圧縮装置である。322は、給紙及び排紙装置である。
【0046】
323は、プリンタユニットである。プリンタユニット323は、印刷媒体に指示された画像を形成する。
【0047】
316は、データバス319、320を介してプリンタユニット323及び給紙及び排紙装置322をイメージバス324に接続するためのインターフェースである。
【0048】
317は、RIP321によって生成されたビットマップイメージデータに各種画像処理を施すための画像処理装置である。画像処理装置317では、2ページのビットマップイメージデータを1ページのビットマップイメージデータに合成する機能等のビットマップイメージデータをデジタル的に処理する機能を備える。
【0049】
CPU305は操作部302もしくは外部機器からネットワークケーブル303を介して指示される信号に従い、データバス319、320を介してプリンタ及び給紙、排紙装置へ印刷を行うための命令を発行しながら印刷を行う。
【0050】
図4は、本発明の画像形成装置101の操作部203の外観を示す図である。
【0051】
401に示すように、操作部203は、表示部402と操作部403とを含むものである。表示部402は、画像形成装置101の動作状況やユーザーによる入力操作の結果等を表示する。なお、表示部402はタッチパネル方式の入力システムを備えており、ユーザーが表示部に触れることで表示部に表示されたコマンドを実行することができる。操作部403は、各種キーやスイッチを備え、当該キーやスイッチを介してユーザーからの指示を受け付けることができる。
【0052】
404は、画像形成装置101の電源の投入及びシャットダウンの指示を受け付けるための電源スイッチである。
【0053】
405は、画像形成装置101に入力されたジョブ等を実行開始の指示を受け付けるためのジョブ実行スイッチである。
【0054】
406は、数値を入力するためのテンキー群である。
【0055】
407は、画像形成装置101上で実行されているジョブの状況や画像形成装置101の状態を報知するためのLED表示灯である。ユーザーはLED表示灯407において点灯される色や点滅のパターンに応じて、ジョブの実行状況や画像形成装置101の状態を判別することが可能である。
【0056】
408は、画像形成装置101の各種調整を行うための画面に移行するための調整画面移行スイッチである。なお、実施例では、調整画面移行スイッチ408を押下しないと、画像形成装置101の各種調整操作を行うことができない。
【0057】
図5は、不良画像の一例を示す図である。
【0058】
501は、文字を印字するためのRIP321で形成されたビットマップデータを用紙等の印刷媒体に印字した際の印字結果を示しており、ここでは「B」の文字が印字された例を示している。画像形成装置101のプロセス制御的な不具合が生じた場合、502に示すように、トナーが飛び散ったような不良画像が形成されることがある。
【0059】
本現象の発生には複数の要因が密接に関係しており、この現象を緩和させるためには以下の3つの調整値を調整する必要がある。
・ポスト帯電量の調整値
・コントラストの調整値
・データの間引き量の調整値
ポスト帯電量の調整値は、画像形成部205によるトナーの帯電量を増減するための調整値である。トナーの帯電量を調整することにより、用紙等の印刷媒体に転写されるトナー量を増減するようにして調整することが可能となる。
【0060】
コントラストの調整値は、画像形成部205による中間転写ベルト206に転写するトナーの濃淡を制御するための調整値である。
【0061】
データの間引き量の調整値は、画像処理装置317において、RIP321で形成されたビットマップ画像に対して一定の割合でデータを間引く処理を行う際の間引き量を指定するための調整値である。
【0062】
上記の3つの調整値は全て用紙等の印刷媒体に転写するトナーの量を調整するものであり、例えば、トナーの量を削減することにより本現象の発生は緩和される。しかしながら、本調整項目による調整を行うことは印刷される画像の画質にも影響を与えることになるため、本調整項目を調整するオペレータは印刷される画質を考慮して調整を行う必要がある。
【0063】
図6は、上記の各種調整を行う場合に、RAM306又はハードディスク311に記憶されるデータの一例を示す図である。
【0064】
図6(a)は、ユーザーにより調整を行う調整項目が指定された場合に、その指定された項目を保持するためのテーブル601である。
【0065】
602は、第1の調整項目を格納する。例えば、図6(a)に示すように、本実施例ではポスト帯電量の調整値を調整するための調整項目を示す情報が格納されている。
【0066】
603は、第2の調整項目を格納する。本実施例ではコントラストの調整値を調整するための調整項目を示す情報が格納されている。
【0067】
604は、第3の調整項目を格納する。本実施例ではデータの間引き量の調整値を調整するための調整項目を示す情報が格納されている。
【0068】
605乃至607は第4乃至6の調整項目を格納するものであり、本実施例では特にデータが格納されていない。
【0069】
図6(b)は、テーブル601に格納されている調整項目に対して設定することが可能な調整値の全ての組み合わせに係るデータを格納する別のテーブル611の一例を示している。
【0070】
612は、各調整値の組み合わせを識別するための識別子である。識別子612を特定することにより、各調整値も特定されることになる。613には、テーブル601の調整項目602に格納されている調整項目に対する調整値が格納される。614には、調整項目603に格納されている調整項目に対する調整値が格納される。615には、調整項目604に格納されている調整項目に対する調整値が格納される。
【0071】
調整項目602〜604における調整値の全ての組み合わせは、別のテーブル611に格納され、識別子612により、各調整項目602〜604の調整値が特定される。
【0072】
なお、本実施例では、各調整項目で指定可能な範囲と刻み幅は下記の通りとする。
【0073】
ポスト帯電量の調整値(上限値:2、下限値:0、刻み幅:1)。コントラストの調整値(上限値:3、下限値:−3、刻み幅:1)。データの間引き量の調整値(上限値:10、下限値:0、刻み幅:1)。
【0074】
図7は、調整画面移行スイッチ408が押下されたときの画面のを一例を示す図である。
【0075】
調整画面移行スイッチ408が押下されると、表示部402には701〜705に示すような表示用コンポーネントが表示される。
【0076】
701は、現在の表示画面を、前に表示されていた表示画面に移行する指示を受け付けるコンポーネントである。
【0077】
702は、現在の表示画面を次の表示画面に移行する指示を受け付けるコンポーネントである。
【0078】
703は、調整項目を表示した文字列である。
【0079】
704は、調整を行う調整項目を指定するためのチェックボックスである。調整を行う場合、ユーザーが各調整項目のスイッチ704を押下することにより、後述する調整値の範囲・刻み幅指示画面へ移行する。
【0080】
705は、調整項目の選択が終了した場合に押下するためのコンポーネントとしてのスイッチである。ユーザーがスイッチ705を押下することにより、画像形成装置101は各調整値による印刷結果を確認するためのテストチャートの出力を開始する。
【0081】
図8は、スイッチ704が押下された際に、対応する調整項目の調整値の範囲と刻み幅をユーザーに提示し、さらに調整値の範囲と刻み幅とのユーザー入力を受付するための画面の一例を示す。なお、当該画面は、表示部402に表示されるものであり、調整の対象となる調整項目、及び調整値の範囲並びに刻み幅を表示する。
【0082】
図8(a)は、ポスト帯電量の調整値の範囲と刻み幅を指示するための画面801を示す。
【0083】
802は、ポスト帯電に係る調整値の上限を指示するためのテキスト入力ボックスである。803は、ポスト帯電に係る調整値の下限を指示するためのテキスト入力ボックスである。804は、ポスト帯電に係る調整値の刻み幅を指示するためのテキスト入力ボックスである。
【0084】
805は、ポスト帯電に係る調整値の範囲と刻み幅の指示が終了したことを示すスイッチであり、本スイッチが押下されると表示部402の表示画面は図7で示される表示画面へ移行する。
【0085】
図8(b)は、コントラストの調整値の範囲と刻み幅を指示するための画面811を示す。
【0086】
812は、コントラストの調整値の上限を指示するためのテキスト入力ボックスである。813は、コントラストの調整値の下限を指示するためのテキスト入力ボックスである。814は、コントラストの調整値の刻み幅を指示するためのテキスト入力ボックスである。
【0087】
815は、コントラストの調整値の範囲と刻み幅の指示が終了したことを示すスイッチであり、本スイッチが押下されると表示部402の表示画面は図7で示される表示画面へ移行する。
【0088】
図8(c)は、データの間引き量の調整値の範囲と刻み幅を指示するための画面821を示す。
【0089】
822は、データの間引き量の調整値の上限を指示するためのテキスト入力ボックスである。823は、データの間引き量の調整値の下限を指示するためのテキスト入力ボックスである。824は、データの間引き量の調整値の刻み幅を指示するためのテキスト入力ボックスである。
【0090】
825は、データの間引き量の調整値の範囲と刻み幅の指示が終了したことを示すスイッチであり、本スイッチが押下されると表示部402の表示画面は図7で示される表示画面へ移行する。
【0091】
図9において、図9(a)のように調整項目602〜604について範囲と、刻み幅とが指定された場合、入力された調整値の範囲内において調整値の全ての組み合わせに係るテーブルの一例が図9(b)に示すテーブル911である。
【0092】
901は、CPU305がRAM306もしくはハードディスク311に格納する調整項目の範囲と刻み幅の値とを示すテーブルである。テーブル901において、識別番号902のように数字が順々に格納されており、当該数字を指定することにより調整項目903の各値を特定することが出来る。
【0093】
904は、調整項目903に対して指定された調整値の上限値情報である。905は、調整項目903に対して指定された調整値の下限値情報である。906は、調整項目903に対して指定された調整値の刻み幅情報である。
【0094】
図9(b)は、各調整項目903の上限値904、下限値905、及び刻み幅906により定まる値の組み合わせを格納したテーブル911の一例を示す。テーブル911は、各調整項目(913−915)の調整値と、識別子912とを関連付けて記憶する。
【0095】
912は、調整値の組み合わせを識別するための識別番号を表す識別子である。
【0096】
913は、ポスト帯電量の調整値の範囲と刻み幅を下記の通り指定した場合の調整値である。この場合、上限値:1、下限値:0、刻み幅:1に設定される。
【0097】
914は、コントラストの調整値の範囲と刻み幅を下記の通り指定した場合の調整値である。この場合、上限値:3、下限値:−3、刻み幅:3に設定される。
【0098】
915は、データの間引き量の調整値の範囲と刻み幅を下記の通り指定した場合の調整値である。この場合、上限値:5、下限値:1、刻み幅:1に設定される。
【0099】
図10は、スイッチ705が押下された際に出力されるテストチャートの例を示す図である。なお、本テストチャートは、テーブル611で示される組み合わせに対応したものである。
【0100】
1001は、テストチャートの全体図である。1002は、ユーザーが調整結果を確認するための印刷された所定の文字(列)を示す。1003は、ユーザーがテストチャートを印刷する際に設定されている調整値に対応する識別子612を文字データとして印刷した部分である。
【0101】
図11は、スイッチ705が押下された際に出力されるテストチャートの例を示す図である。なお、本テストチャートはテーブル911で示される組み合わせに対応したものである。
【0102】
1101は、テストチャートの全体図である。1102は、ユーザーが調整結果を確認するための印刷された文字列を示す。1103は、ユーザーがテストチャートを印刷する際に設定されている調整値に対応する識別子912を文字データとして印刷した部分である。
【0103】
図12は、識別子を入力するための表示画面の一例を示す図である。
【0104】
1201は、テストチャート1001及び1101に印刷されている識別子1003及び1103を入力するための入力部である。
【0105】
1202は、調整値の入力が完了したことを指示するためのスイッチであり、本スイッチが押下されるとユーザーによる調整処理は終了して、ジョブ操作等を行うための標準画面に移行する。
【0106】
図13は、本発明に係る処理の手順を示すフローチャートである。以下、本フローチャートを用いて本発明の処理の手順を説明する。
【0107】
まず、本フローチャートに示す処理は、画像形成装置101が起動している際に、調整画面移行スイッチ408がユーザーにより押下されることに応じて開始する。
【0108】
S1301では、CPU305が表示部402に、図7に示すような表示用コンポーネント701〜705を表示させる。
【0109】
S1302では、CPU305が、ユーザーによって調整項目が指定が指定され、当該指定が終了したことにより、スイッチ705が押下されるかどうかの判別を行う。なお、S1302においてスイッチ705が押下されたと判断された場合、図13(b)に示すフローチャートに移行する。
【0110】
S1302においてスイッチ705が押下されていないと判断された場合はS1303へ移行する。
【0111】
S1303では、CPU305が、ユーザーによって調整項目の設定を行うことを指示するためのスイッチ704が押下されたか否かの判別を行う。なお。S1303においてスイッチ704が押下されたと判断された場合は、S1304へ移行する。一方、S1303においてスイッチ704が押下されていないと判断された場合はS1302へ移行する。
【0112】
S1304では、CPU305が、S1303で押下されたスイッチに対応する調整項目の調整値の範囲と刻み幅を指定するための画面801、画面811、もしくは画面821を表示させる。また、S1304では、CPU305が、画面801、画面811、もしくは画面821を介して調整値の範囲及び刻み幅が指定されたと判断した場合、各調整値を904〜906に示す列に格納する。
【0113】
S1305では、CPU305が調整値の上下限値、刻み幅の指定が終了したことを指示するためのスイッチ805、スイッチ815、もしくはスイッチ825が押下されたか否かを判別する。
【0114】
S1305においてスイッチ805、スイッチ815、もしくはスイッチ825が押下されたと判断した場合はS1301へ移行して、再度、調整項目の指定画面の表示を行う。一方。S1305において、スイッチ805、スイッチ815、もしくはスイッチ825が押下されていないと判断した場合、S1304へ移行する。
【0115】
次に、図13(b)に示すフローについて説明する。
【0116】
S1306では、CPU305が、テーブル901に格納されているデータに基づいて、テーブル911のような調整値の組み合わせに係るテーブルを作成する。なお、各調整項目について、調整値の範囲の指定がされていないときは、図6(b)に示すような各調整項目に対する全ての組み合わせに係るテーブル611が作成される。
【0117】
S1307では、Nを1に設定する。なお、Nは、S1306において作成されるテーブルに格納される識別子を指定するものである。
【0118】
S1308では、CPU305が、Nに対応する識別子に係る各調整項目の調整値に従って各装置を設定する。
【0119】
S1309では、CPU305がRAM306もしくはハードディスク311上にRIP321を駆使してテストチャートの文字1102の画像データを生成するとともに、識別子912を識別するための印刷識別子1103の画像データを生成して両者を合成する。
【0120】
S1310では、S1309で生成された画像データの印刷処理を行う。
【0121】
S1311において、CPU305がテーブル911で示される全ての調整値の組み合わせの印刷処理が完了したと判断した場合は図13(c)に示すフローチャートに係る処理に進む。
【0122】
図13(c)はユーザーに対して本発明の画像形成装置101に適切な調整値を設定させるための制御手順を示すフローチャートである。
【0123】
S1313では、表示部402に、1201、1202に示すコンポーネントを表示させる。
【0124】
S1314において、CPU305は、ユーザーにより指定された印刷識別子1103が入力されるまで処理を中断する。
【0125】
S1314において、ユーザーにより指定された印刷識別子1103が入力されたと判断された場合はS1315へ移行する。CPU305はスイッチ1202の押下を判別することにより印刷識別子1103の入力の有無を判断する。
【0126】
S1315では、CPU305が画像形成装置101の各調整項目の調整値をS1314で入力された印刷識別子1103に対応する値に設定してS1316へ移行する。
【0127】
S1316では、本発明における調整値の設定処理を終了させて、表示部402の表示について、ジョブ操作を行うための標準画面に移行させる。
【0128】
本実施例1に示す構成により、テストチャートを印刷するための調整値の範囲の上限と下限を予めユーザーが設定することにより、前記設定された上限と下限の範囲に対応したテストチャートが出力されるため、不要なテストチャートの印刷を防ぐことができる。
【0129】
従来は、調整項目の設定値がとりうる全てのパターンのテストチャートが印刷されていたが(図10)、本実施形態は、調整項目の設定値の上限・下限を予め指定しておくことにより、少ない枚数のテストチャートの印刷ですむという効果がある(図11)。
【0130】
(実施例2)
本発明の実施例1ではS1306〜S1311において、調整値の組み合わせの項目毎に1つのテストチャートの印刷を行っていた。
【0131】
しかしながら、調整を行う項目に画像形成部205の処理に影響を及ぼす調整項目が含まれている場合、該調整項目の調整値による複数のテストチャートを同一のページに印刷することも可能である。
【0132】
例えば、実施例1で説明した調整項目の1つであるデータの間引き量の調整値は、画像処理装置317によって調整を行うものであり画像形成部205の処理に影響を及ぼさない。
【0133】
従って、図14に示すようにデータ間引き量の調整値は複数の調整値を同一のページに印刷することが可能である。
【0134】
1401は、1つの調整項目において複数の調整値を同一のページに印刷した際のテストチャートの例を示す図である。
【0135】
1402は、ユーザーが調整結果の妥当性を確認するための印刷された文字列を示す。なお、本例では、データ間引き量に設定されている範囲及び刻み幅に基づいて定義された調整値の数と同等の数が存在する。
【0136】
1403は、ユーザーがテストチャートを印刷した際に設定されていた調整値を識別するための識別子912を文字データとして印刷した部分である。なお、本例では、データ間引き量に設定されている範囲及び刻み幅に基づいて定義された調整値の数と同等の数が存在する。
【0137】
図15は、本発明の実施例2に係る処理手順を示すフローチャートである。なお、図15に示すフローチャートは、実施例1における図13(b)で示したS1306〜S1312の処理を代替する処理である。
【0138】
本実施例では、実施例1で説明したS1301〜S1305を実行している最中に、S1302においてテストチャートの印刷指示が行われた際にS1501へ移行する。
【0139】
S1501では、CPU305が、テーブル901に格納されているデータに基づいてテーブル911のような調整値を組み合わせたテーブルを作成する。
【0140】
S1502では、CPU305が、S1303で指定された調整項目に画像形成部205に影響を及ぼす調整項目が含まれるか否かを判断する。なお、本判断に関する情報はあらかじめ調整項目単位に決められてROM310へ格納されているものとする。
【0141】
S1502において、S1303で指定された調整項目に画像形成部205に影響を及ぼす調整項目が含まれていないと判断された場合は図13(b)に示すS1306の処理を行う。
【0142】
一方、S1502においてS1303で指定された調整項目に画像形成部205に影響を及ぼす調整項目が含まれていると判断された場合はS1503へ移行する。
【0143】
S1503及びS1508は、S1504〜S1507の処理をテーブル911に格納されている全ての組み合わせに対して行うための前処理及び後処理である。
【0144】
S1504では、CPU305がRAM306もしくはハードディスク311上にRIP321を駆使してテストチャートの文字1402の画像データを生成する。
【0145】
S1505では、CPU305が識別子912を識別するための印刷識別子1403の画像データを生成してS1504で生成された画像との合成処理を行う。
【0146】
S1506では、S1504で生成された画像をテストチャート単位にテストチャートに合成されている識別子912に対応した調整値に設定しながら印刷を行う。
【0147】
S1507において、CPU305がテーブル911で示される全ての調整値の組み合わせの印刷処理が完了したと判断した場合は図13(c)のフローチャートで示される制御へ移行し、実施例1と同等の処理を行う。
【0148】
本実施例2に示す構成により、調整値を確認するためのテストチャートとして出力する用紙等の印刷媒体の出力数を削減することが可能となる。
【0149】
(実施例3)
実施例1及び実施例2では、S1314における調整値の入力を調整値入力部1201から調整値の組み合わせの識別子912を入力することにより実現していた。
【0150】
実施例3では、ユーザーが調整値をより容易に認識出来るようにするために、各調整項目の調整値を操作部上から入力するように構成する例について説明する。
【0151】
図16は、テストチャート上に各調整項目の調整値を識別する文字列を印字した例である。
【0152】
1601は、テストチャート全体を示す図である。
【0153】
1602は、ユーザーが調整結果の妥当性を確認するための印刷された文字列を示す。
【0154】
1603は、ユーザーがテストチャートを印刷した際に設定されていた調整値を識別するための調整値を示す文字列である。
【0155】
図17は、調整値入力部1201の代わりに、調整項目の調整値を入力するための入力部である。
【0156】
1701は調整値を入力するための入力部である。
【0157】
1702は調整値の入力が完了したことを指示するためのスイッチであり、本スイッチが押下されると、ユーザーによる調整処理は終了して、ジョブ操作等を行うための標準画面に移行する。
【0158】
本実施例3に示す構成により、ユーザーが調整値を容易に認識することが可能となる。
【0159】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を媒体に画像形成するための機構を備え、当該機構を調整して画像形成における画像の品質を調整することが可能な画像形成装置であって、
前記調整の対象となる調整項目をユーザーに提示する提示手段と、
提示した前記調整項目のうち、ユーザーにより選択された調整項目について、調整値の範囲の入力を受け付ける受付手段と、
入力された調整値の範囲内において、前記選択された調整項目の間で調整値の組み合わせを作成し、前記組み合わせに係る調整値と、識別番号とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記識別番号を選択して、当該識別番号に係る各調整項目の調整値に基づいて前記機構を調整して、所定の文字と、当該識別番号とを合成した画像を媒体に画像形成する画像形成手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記受付手段は、各調整項目における調整値の上限値と下限値とを受け付けることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受付手段は、各調整項目における調整値の刻み幅を受け付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段は、複数の前記識別番号を選択して、複数の前記合成した画像を媒体の1つの表面に画像形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段は、選択した前記識別番号により特定される各調整項目の調整値を、前記合成した画像にさらに合成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
調整項目の調整値の範囲を指定させるための画面を表示する表示手段と、
前記調整項目の調整値の範囲を入力する入力手段と、
前記入力された調整値の範囲内の複数の調整値毎にテストチャートを形成する形成手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記入力手段は、前記調整値の上限値と下限値を入力することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記入力手段は、前記調整値の刻み幅を入力することを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
さらに、前記形成手段によってテストチャートを形成した後、調整値を入力させる画面を表示し、調整値を入力させる調整値入力手段と、
前記調整値入力手段によって入力された調整値を前記画像形成装置に設定する設定手段と
を有することを特徴とする請求項6または7または8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
調整項目の調整値の範囲を指定させるための画面を表示する表示ステップと、
前記調整項目の調整値の範囲を入力する入力ステップと、
前記入力された調整値の範囲内の複数の調整値毎にテストチャートを形成する形成ステップと
を有することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−92621(P2013−92621A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233997(P2011−233997)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】