説明

画像形成装置および画像形成装置の制御方法

【課題】省電力性の低下を抑制しつつ、外部からのジョブをより確実に受け付けることが可能な画像形成装置およびそれに関連する技術を提供する。
【解決手段】ジョブの実行要求が無いまま通常待機状態ST1が移行タイマ期間に亘って継続すると、画像形成装置は、通常待機状態ST1から省電力状態ST2へと遷移する。また、実行要求RQに応答して省電力状態ST2でジョブの受信が開始されると、画像形成装置は、通常待機状態ST1へ遷移する。画像形成装置は、実行要求RQ1に基づき省電力状態ST2で開始されたジョブ受付に失敗し且つ実行要求RQ2に基づき省電力状態ST2で開始されたジョブ受付にも失敗した場合には、実行要求RQ1の受信時刻T10と実行要求RQ2の受信時刻T20との差分値TDに基づいて移行タイマ期間TMを延長し(TM1→TM2)、ジョブに関する実行要求RQ3を通常待機状態ST1で待機する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP(マルチ・ファンクショナル・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))などの画像形成装置およびそれに関連する技術に関し、特に消費電力低減技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(いわゆる複合機)などの画像形成装置においては、省電力モード(省エネモードあるいはスリープモード等)が設けられており、省電力化が図られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、印刷動作を実行する印字モードと、データを待ち受ける待機モード(通常待機モード)と、当該待機モード(通常待機モード)よりも消費電力を低減する省エネモードとを有する画像形成装置が記載されている。このような画像形成装置では、印刷動作の実行後には通常待機モードに移行し、通常待機モードにてジョブ受信がなされないまま所定の移行時間が経過すると、省エネモード(省電力モード)へと移行する。これにより、消費電力の低減が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−282117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような省電力モードにおいて装置外部からのジョブの実行要求が受信されると、画像形成装置は、ジョブの実行要求の受信に応答して省電力状態(省電力モード)から通常の待機状態(通常待機モード)(あるいは印字モード等)へと復帰し、当該ジョブの受信処理等を開始する。
【0006】
しかしながら、省電力状態(スリープモード等)から当該ジョブ(データ)の受信準備完了状態に復帰するまでには相応の時間を要する。そのため、状況によっては、外部からのジョブ(例えばファクシミリ受信ジョブ)の実行要求をスリープ状態で受信したときには、当該ジョブの受付に失敗することがある。
【0007】
たとえば、ファクシミリ受信ジョブにおいて、相手先(送信元)の電話番号(詳細にはファクシミリ番号)を受信して表示等を行う技術が存在する。ファクシミリ受信ジョブがスリープモード(スリープ状態)で受信されると、スリープ状態からの復帰動作が完了したときには、既に相手先(送信元)の電話番号の通知が完了しており、当該電話番号の受信に失敗することがある。特に、「相手先の電話番号が取得されることを条件として正常受信と判定する」旨の設定がなされている場合等においては、ファクシミリ受信ジョブ自体の受信(受付)に失敗してしまう。
【0008】
ここにおいて、省電力化を促進するためには、通常状態(通常の待機状態)から省電力状態(スリープ状態)への移行時間(タイマ期間)を比較的短い時間に設定することが好ましい。ただし、当該タイマ期間を短い時間に設定すると、上記のような受信失敗が生じ易い。なお、逆に、受信失敗を抑制するために当該タイマ期間を長い時間に設定すると、電力消費量の抑制効果が低減されてしまう。
【0009】
そこで、この発明は、省電力性の低下を抑制しつつ、外部からのジョブをより確実に受け付けることが可能な画像形成装置およびそれに関連する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、画像形成装置であって、画像処理を伴うジョブの実行要求を外部から受信する受信手段と、前記ジョブの受付処理が可能な第1の状態と、前記第1の状態よりも消費電力を低減する第2の状態とを切り換える状態制御手段と、を備え、前記状態制御手段は、前記実行要求が無いまま前記第1の状態が移行タイマ期間に亘って継続すると、前記第1の状態から前記第2の状態への状態遷移動作を実行し、前記実行要求に応答して前記第2の状態でジョブの受信が開始されると、前記ジョブの受付処理を実行すべく、前記第2の状態から前記第1の状態への状態遷移動作を実行し、第1の実行要求に基づき前記第2の状態で開始されたジョブ受付に失敗し且つ第2の実行要求に基づき前記第2の状態で開始されたジョブ受付にも失敗した場合には、前記第1の実行要求の受信時刻と前記第2の実行要求の受信時刻との差分値に基づいて前記移行タイマ期間を延長し、ジョブに関する第3の実行要求を前記第1の状態で待機することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る画像形成装置において、前記画像処理を伴う前記ジョブは、ファクシミリ受信ジョブであることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る画像形成装置において、前記画像処理を伴う前記ジョブは、送信元番号情報の受信をも伴うファクシミリ受信ジョブであり、前記画像形成装置は、前記ファクシミリ受信ジョブにおける送信元の番号情報を取得する送信元番号取得手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3の発明に係る画像形成装置において、前記送信元番号取得手段は、ファクシミリ通信における呼出信号に伴いファクシミリデータに先立って送信される第1の送信元番号情報の受信に失敗しても、前記ファクシミリ受信ジョブにおける受信動作を継続させ、前記ファクシミリ受信ジョブにおいて受信される前記ファクシミリデータから第2の送信元番号情報が抽出される場合には、前記第1の送信元番号情報に代えて前記第2の送信元番号情報を前記ファクシミリ受信ジョブにおける前記送信元の番号情報として利用して、前記ファクシミリ受信ジョブの受付動作を継続させることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4の発明に係る画像形成装置において、前記送信元番号取得手段は、前記第1の送信元番号情報の受信に失敗しても、前記ファクシミリ受信ジョブにおける受信動作を継続させ、前記ファクシミリ受信ジョブにおいて受信されたファクシミリデータから前記第2の送信元番号情報が抽出されない場合には、前記送信元の番号情報の取得に失敗したと判定し、前記状態制御手段は、前記送信元の番号情報の取得に失敗したと判定される場合には、前記ファクシミリ受信ジョブの受付に失敗したと判定することを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明に係る画像形成装置において、前記移行タイマ期間は、前記第1の実行要求の受信時刻と前記第2の実行要求の受信時刻との差分値以上の期間に延長されることを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、画像形成装置の制御方法であって、a)画像処理を伴うジョブの実行要求を待機する第1の状態が前記実行要求の無きまま移行タイマ期間に亘って継続すると、前記第1の状態よりも消費電力を低減する第2の状態への状態遷移動作を実行するステップと、b)前記実行要求に応答して前記第2の状態でジョブの受信が開始されると、前記ジョブの受付処理を実行すべく、前記第1の状態への状態遷移動作を実行するステップと、c)第1の実行要求に基づき前記第2の状態で開始されたジョブ受付に失敗し且つ第2の実行要求に基づき前記第2の状態で開始されたジョブ受付にも失敗した場合には、前記第1の実行要求の受信時刻と前記第2の実行要求の受信時刻との差分値に基づいて前記移行タイマ期間を延長し、ジョブに関する第3の実行要求を前記第1の状態で待機するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし請求項7に記載の発明によれば、省電力性の低下を抑制しつつ、外部からのジョブをより確実に受け付けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】ファクシミリ通信部および全体制御部等に関するブロック図である。
【図3】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】画像形成装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】ファクシミリ受信ジョブに関する失敗履歴データを示す図である。
【図6】変形例に係る動作を示すフローチャートである。
【図7】比較例に係る動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
<1.構成>
図1は、画像形成装置10の概略構成を示すブロック図である。画像形成装置10は、この実施形態ではMFP(マルチ・ファンクショナル・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))として構成されている。
【0021】
図1のブロック図に示すように、画像形成装置10は、画像読取部2、印刷出力部3、ファクシミリ通信部4、格納部5、入出力部6および全体制御部9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0022】
画像読取部2は、画像形成装置10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って、当該原稿の画像データ(原稿画像とも称する)を生成する処理部である。
【0023】
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0024】
ファクシミリ通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。
【0025】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の格納装置で構成される。この格納部5には、画像読取部2等で生成された原稿画像(画像データ)が格納される。
【0026】
入出力部6は、画像形成装置10に対する入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。詳細には、画像形成装置10には操作パネル6c(不図示)が設けられている。この操作パネル(タッチスクリーン)6cは、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成されており、表示部6bの一部として機能するとともに、操作入力部6aの一部としても機能する。
【0027】
全体制御部9は、画像形成装置10に内蔵され、画像形成装置10を統括的に制御する制御装置である。全体制御部9(詳細にはコントローラ30)は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM等)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。全体制御部9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM等)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラムは、ネットワークを経由してダウンロードされて取得されるようにしてもよく、あるいは、各種の可搬性記録媒体(USBメモリ等)を介して取得されるようにしてもよい。
【0028】
具体的には、全体制御部9のコントローラ30は、画像処理部31、状態制御部32、送信元番号取得部33およびネットワーク通信部34等を備える。
【0029】
画像処理部31は、画像形成装置10における各種の画像処理を制御する処理部である。
【0030】
状態制御部32は、画像形成装置10における動作状態(動作モード)を制御する処理部であり、モード制御部であるとも表現される。
【0031】
特に、状態制御部32は、画像形成装置10における印字動作等が行われていない状況(非稼働状況)における動作状態を制御する。換言すれば、状態制御部32は、画像処理を伴うジョブ(例えば、画像データの受信処理等を伴うファクシミリ受信ジョブ)の実行要求RQを待機する状態等を制御する。
【0032】
状態制御部32は、非稼働状態(印刷動作等が行われていない状態)として、ジョブの受付処理が可能な通常の待機状態(通常待機状態)ST1と、通常待機状態ST1よりも電力消費量が少ない状態である省電力状態(スリープ状態)ST2とを切り換える。なお、通常待機状態ST1は、「通常待機モード」による装置状態(待機状態)であるとも表現され、省電力状態ST2は、「省電力モード(スリープモード)」による装置状態(待機状態)であるとも表現される。また、省電力状態ST2は、通常待機状態ST1よりも消費電力を低減する状態であるとも表現される。
【0033】
詳細には、後述するように、状態制御部32は、ジョブの実行要求が無いまま通常待機状態ST1が移行タイマ期間TMに亘って継続すると、通常待機状態ST1から省電力状態ST2への状態遷移動作を実行する。これにより、省電力化が図られる。また、状態制御部32は、外部からのジョブ(ファクシミリ受信ジョブ等)の実行要求に応答して、省電力状態ST2でジョブの受信が開始されると、当該ジョブの受付処理を実行すべく、省電力状態ST2から通常待機状態ST1への状態遷移動作を実行する。さらには、通常待機状態ST1から稼働状態への遷移動作も実行される。
【0034】
ファクシミリ受信ジョブが通常待機状態ST1で受信されるときには、(原則として、)ファクシミリ受信ジョブは直ちに正常に受け付けられる。一方、ファクシミリ受信ジョブが省電力状態ST2で受け付けられるときには、一旦通常待機状態ST1へと復帰してから受付処理が実行される。通常待機状態ST1は、ファクシミリ受信ジョブ等の受付等が直ちに可能な状態であり、省電力状態ST2は、ファクシミリ受信ジョブ等の受付等が少なくとも直ちには開始不可能な状態である、とも表現される。
【0035】
また、状態制御部32は、ファクシミリ受信ジョブの受付の成否等をも判定し、その判定結果にも基づいて、状態遷移動作を制御する。これについては後に詳述する。
【0036】
送信元番号取得部33は、ファクシミリ受信ジョブにおける送信元の番号情報を取得する処理部である。この実施形態では、送信元番号取得部33は、ファクシミリ通信における呼出信号に伴い且つファクシミリデータに先立って送信される、「送信元番号情報」を受信して、当該送信元の番号情報(電話番号(詳細にはファクシミリ番号)情報)を取得する。送信元番号取得部33は、送信元の番号情報の取得の成否(成功および失敗)をも判定する。
【0037】
ネットワーク通信部34は、画像形成装置10と外部装置との間でのネットワーク通信を制御する処理部である。ネットワーク通信部34は、全体制御部9に設けられたネットワークコントローラ等を用いることにより、通信ネットワークを介したネットワーク通信を行うことが可能である。このネットワーク通信では、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)およびFTP(File Transfer Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、画像形成装置10は、所望の相手先との間で各種のデータを授受することが可能である。
【0038】
図2は、主にファクシミリ通信部4および全体制御部9等に関する構成を示すブロック図である。
【0039】
ファクシミリ通信部4は、電源部41とファクシミリ通信用のコントローラ43と有している。コントローラ43は、ファクシミリ通信動作を制御する処理部であり、電源部41は、コントローラ43に対して電力を供給する電力供給部である。
【0040】
また、全体制御部9は、上述のコントローラ30に加えて、電源部36と復帰検出部38とをさらに有している。
【0041】
電源部36は、コントローラ30に対して電力を供給する電力供給部である。
【0042】
復帰検出部38は、ファクシミリ通信における呼出信号を「復帰信号」として検出する処理部である。復帰検出部38は、計時部を有しており、ファクシミリ通信における呼出信号の検出時点の時刻(ファクシミリ受信ジョブの受信開始時刻等)をも検出することができる。
【0043】
省電力状態ST2においては、電源部36からコントローラ30に対する電力供給と電源部41からコントローラ43に対する電力供給は行われておらず、コントローラ30,43に対する電力供給が遮断されている。ファクシミリ通信における呼出信号が復帰検出部38により検出されるまで、省電力状態ST2が継続される。復帰検出部38により呼出信号が検出されると、省電力状態ST2から通常待機状態ST1(ないし稼働状態)へと遷移する。
【0044】
省電力状態ST2から通常待機状態ST1への状態遷移は、次のようにして実行される。
【0045】
まず、電話回線LNを用いて伝達される呼出信号が復帰検出部38によって検出されると、電力供給再開信号(指令信号)が復帰検出部38から電源部36へ伝達され、電源部36からコントローラ30への電力供給が再開される。この電力供給再開によりコントローラ30が起動(復帰)した後に、今度は、ファクシミリ通信部4のコントローラ43に対する電力供給再開信号がコントローラ30から電源部41へ伝達され、電源部41からコントローラ43への電力供給が再開される。この電力供給再開により起動(復帰)したコントローラ43は、ファクシミリ通信データ(ファクシミリ受信データないし単にファクシミリデータとも称する)の受信動作(受付動作)を実行する。このようにして、コントローラ43およびコントローラ30は、ファクシミリ受信ジョブの実行要求を外部から受信し、ファクシミリ受信ジョブを受け付ける。
【0046】
また、当該ファクシミリデータが正常に受信された場合(ファクシミリ受信ジョブが正常に受け付けられた場合)には、当該ファクシミリデータに基づく印刷出力処理が、コントローラ30の制御下において印刷出力部3等を用いて実行される。
【0047】
ただし、上記のような動作において、復帰検出部38による呼出信号の検出時点からコントローラ43の復帰時点までの期間の長さ等によっては、ファクシミリ受信ジョブの正常受付に失敗することがある。特に、送信元番号情報(発信者番号情報)の受信をも伴うファクシミリ受信ジョブにおいては、呼出信号に伴ってファクシミリデータ(データ本体)に先立って送信される送信元番号情報を受信することができずに、ファクシミリ受信ジョブの正常な受付に失敗することがある。
【0048】
また、ここでは、ファクシミリ受信ジョブにおいて、「相手先(送信元)の電話番号(詳細にはファクシミリ番号)が取得されることを条件として正常受信と判定する」旨の設定がなされているものとする。そして、省電力状態(スリープ状態)ST2でファクシミリ受信ジョブが受信されるときには、省電力状態ST2から稼働状態への復帰が間に合わず、相手先の電話番号の受信に失敗しファクシミリ受信ジョブの受付に失敗するものとする。
【0049】
そのため、通常待機状態ST1は、「相手先の電話番号情報の取得を伴うファクシミリ受信ジョブ」を正常に受信することが可能な状態であり、省電力状態ST2は、「相手先の電話番号情報の取得を伴うファクシミリ受信ジョブ」を正常に受信することが不可能な状態である、とも表現される。
【0050】
<2.動作>
<2−1.比較例に係る動作>
実施形態の動作について説明する前に、まず比較例に係る技術に関する動作について説明する。
【0051】
図7は、比較例に係る動作を示す図であり、受信側装置の動作を示す図である。
【0052】
この比較例においては、送信側装置から受信側装置へのファクシミリ送信が、(送信成功まで)所定のリトライ時間間隔TR1で繰り返して送信(リトライ送信)される状況を想定する。リトライ時間間隔TR1は、送信側装置で設定される。また、受信側装置では、通常待機状態ST1(通常待機モード)から省電力状態ST2(スリープモード)への移行時間(移行タイマ期間とも称する)TMがユーザによる設定値TM1に固定されているものとする。ここでは、移行タイマ期間TM1がリトライ時間間隔TR1よりも短い場合を想定する。
【0053】
図7に示すように、或る時刻T10において、省電力状態ST2の受信側装置は、ファクシミリ受信ジョブの実行要求RQ1を受信する。すなわち、ファクシミリ受信ジョブの受信が開始される。受信側装置は、ファクシミリ受信ジョブの実行要求RQ1に応答して、省電力状態ST2からの復帰を開始するが、ファクシミリ受信ジョブ(データ)の受信準備完了までに時間を要し、当該ジョブを正常に受信できないものとする。すなわち、受信側装置は、ファクシミリ受信ジョブの受信に失敗する。
【0054】
その後、移行タイマ期間TM1が経過すると、受信側装置は、再び省電力状態ST2に遷移する(時刻T12)。
【0055】
そして、送信側装置は、時刻T20(時刻T10からリトライ時間間隔TR1経過後の時刻)において、ファクシミリの再送信を開始する。これに応じて、受信側装置は、時刻T20において、2回目のファクシミリ受信ジョブの実行要求RQ2を受信する。
【0056】
省電力状態ST2を有する受信側装置は、ファクシミリ受信ジョブの実行要求RQ2に応答して、省電力状態ST2からの復帰を開始するが、受信準備完了までに時間を要し、当該ジョブを正常に受信できない。すなわち、受信側装置は、ファクシミリ受信ジョブの受信に再び失敗する。
【0057】
その後、移行タイマ期間TM1が経過すると、受信側装置は、再び省電力状態ST2に遷移する(時刻T22)。
【0058】
また、送信側装置は、時刻T30(時刻T20からリトライ時間間隔TR1経過後の時刻)において、ファクシミリの再送信を開始する。これに応じて、受信側装置は、時刻T30において、3回目のファクシミリ受信ジョブの実行要求RQ3を受信する。
【0059】
省電力状態ST2の受信側装置は、ファクシミリ受信ジョブの実行要求RQ3に応答して、省電力状態ST2からの復帰を開始する。しかしながら、受信準備完了までに時間を要し、当該ジョブを正常に受信できない。すなわち、受信側装置は、ファクシミリ受信ジョブの受信に再び失敗する。
【0060】
状況によっては、このような動作が繰り返し実行される。
【0061】
<2−2.実施形態に係る動作>
つぎに、実施形態に係る動作について説明する。
【0062】
図4は、画像形成装置10に係る動作を示すタイミングチャートである。
【0063】
図4においても、送信側装置から受信側装置(ここでは画像形成装置10)へのファクシミリ送信が所定のリトライ時間間隔TR1で繰り返して送信(リトライ送信)される状況を想定する。リトライ時間間隔TR1は、送信側装置で設定される。
【0064】
ただし、受信側装置における、通常待機状態ST1(通常待機モード)から省電力状態ST2(スリープモード)への移行時間(移行タイマ期間とも称する)TMは、ユーザによる設定値に固定されず、画像形成装置10によって延長され得る。具体的には、画像形成装置10は、移行タイマ期間TMをユーザによる設定値TM1から、別の値TM2に変更すること(延長すること)が可能である。値TM2は、値TM1よりも大きな値である。後述するように、値TM2は、2回連続で受信に失敗したファクシミリ受信ジョブに関する受信時刻の差分値に基づいて決定される。なお、ここでも、移行タイマ期間TMの最初の設定値TM1がリトライ時間間隔TR1よりも短い場合を想定する。
【0065】
図4では、時刻T20までは、図7と同様の動作が実行される。
【0066】
すなわち、時刻T10において、ファクシミリ受信ジョブの着信(実行要求RQ1の受信)に応答して、画像形成装置10(受信側装置)が省電力状態ST2からの復帰を開始するが、ファクシミリ受信ジョブ(データ)の受信準備完了までに時間を要し、ファクシミリ受信ジョブの受付に失敗する。また、時刻T20において、ファクシミリ受信ジョブの再着信(実行要求RQ2の受信)に応答して、画像形成装置10(受信側装置)が省電力状態ST2からの復帰を開始するが、ファクシミリ受信ジョブの受信準備完了までに時間を要し、ファクシミリ受信ジョブの受付に再び失敗する。
【0067】
なお、1回目のファクシミリ受信ジョブおよび2回目のファクシミリ受信ジョブの各受信失敗時刻(着信時刻)T10,T20の情報は、それぞれ、復帰検出部38によって検出され、失敗履歴データDT(図5)内に記憶される。図5は、ファクシミリ受信ジョブに関する失敗履歴データDTを示す図である。失敗履歴データDTは、ジョブ失敗に関する履歴データであり、画像形成装置10の格納部5内に格納される。
【0068】
そして、画像形成装置10は、2回連続してファクシミリ受信に失敗すると、時刻T20の直後において、ファクシミリ受信ジョブの1回目の受信時刻T10とファクシミリ受信ジョブの2回目の受信時刻T20との差分値TD(=T20−T10)を算出する。
【0069】
たとえば、図5のデータDTに示すように、1回目の受信時刻(着信時刻)T10が「20時15分58秒」であり、2回目の受信時刻(着信時刻)T20が「20時18分35秒」であるときには、「2分37秒」が両時刻T20,T10の差分値TDであるとして算出される。
【0070】
あるいは、1回目の受信時刻(着信時刻)T10が「23時45分32秒」であり、2回目の受信時刻(着信時刻)T20が「23時46分53秒」であるときには、「1分21秒」が両時刻T20,T10の差分値TD(=T20−T10)であるとして算出される。
【0071】
状態制御部32は、差分値TDが送信側装置のリトライ時間間隔TR1に相当する値である、と推定する。ここでは、1回目のファクシミリ受信ジョブと2回目のファクシミリ受信ジョブとがいずれも同一の発信者からのものである(換言すれば、両ファクシミリ受信ジョブが同一ジョブである)とみなして、このような推定を行うものとする。
【0072】
そして、状態制御部32は、差分値TDに所定の余裕値α(>0)(たとえば30秒)を加算した値(たとえば、「3分7秒」)を、移行タイマ期間TMに関する延長後の新たな設定値TM2として決定する。
【0073】
その後、状態制御部32は、時刻T33(時刻T20からの「通常待機状態(通常待機モード)」の継続時間が時間TM2に到達する時刻)まで「通常待機状態(通常待機モード)」を継続する。換言すれば、「通常待機状態(通常待機モード)」の継続時間が時間TM1を超過しても、未だ「通常待機状態(通常待機モード)」を継続する。
【0074】
そして、この通常待機状態ST1の継続中の時刻T30(時刻T20からリトライ時間間隔TR1経過後の時刻)において、送信側装置は、ファクシミリの3回目の送信動作を開始する。
【0075】
このとき、画像形成装置10(受信側装置)は、省電力状態ST2ではなく通常待機状態ST1を有している。したがって、ファクシミリ受信ジョブを正常に受信することができる。すなわち、受信側装置は、今度は、ファクシミリ受信ジョブの受信に成功する。
【0076】
図3は、この画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。上述のような動作について図3を参照しながら、さらに詳細に説明する。
【0077】
まず、ステップS11において、画像形成装置10は、通常待機状態ST1(通常待機モード)に遷移しているものとする。
【0078】
ステップS12においてはジョブの有無が判定されるとともに、ステップS13においては、ジョブの実行要求が無い状態で移行タイマ期間TM1が経過したか否かが判定される。ステップS12,S13の判定動作は、通常待機状態ST1において繰り返し実行される。
【0079】
ステップS12において、移行タイマ期間TM1の経過前にジョブ(例えばファクシミリ受信ジョブ)が受信されたことが判定されると、ステップS14に進む。ステップS14では、受信されたジョブが実行される。
【0080】
一方、ジョブが受信されないまま移行タイマ期間TM1が経過すると、ステップS13からステップS15に進み、通常待機状態ST1(通常待機モード)から省電力状態ST2(スリープモード)への状態遷移が行われる。
【0081】
そして、この省電力状態ST2で、ジョブを待ち受ける動作が継続される(ステップS16)。
【0082】
ステップS16でジョブの実行要求RQが受信されたと判定されると、当該ジョブの受付処理が開始される。具体的には、ステップS16からステップS21に進み、省電力状態ST2(スリープモード)からの復帰動作が開始される。すなわち、省電力状態ST2(スリープモード)から通常待機状態ST1(通常待機モード)への状態遷移が開始される。
【0083】
ステップS22において、省電力状態ST2(スリープモード)にて受付処理が開始された当該ジョブが正常に受け付けられる(ジョブの正常受信に成功する)と、ステップS14に進む。ステップS14では、受信されたジョブが実行される。
【0084】
一方、ステップS22において、当該ジョブの受け付けに失敗する(ジョブの正常受信に失敗する)と、ジョブの受信失敗情報(図5の(1回目あるいは2回目の)「受信失敗時刻」)を履歴情報に記録し、ステップS25に進む。
【0085】
ステップS25では、移行タイマ期間TMに関する設定変更動作(ステップS26)の実行の採否が判定される。
【0086】
具体的には、当該ジョブの受付失敗が、ファクシミリ受信ジョブに関する連続する2回目の失敗であるか否かが判定される。
【0087】
より詳細には、ファクシミリ受信ジョブに関する連続する2回目の失敗でないと判定される場合には、設定変更動作を行わない旨が判定され、再びステップS12に進む。すなわち、通常待機状態ST1が継続する。
【0088】
たとえば、時刻T10(図4)においてファクシミリ受信ジョブの受付に失敗したときには、ステップS22からステップS25に進む。また、当該ファクシミリ受信ジョブの受信失敗は1回目であるため、ステップS25からステップS12に進む。そして、移行タイマ期間TM1が経過するまで通常待機状態ST1が継続される。
【0089】
一方、ファクシミリ受信ジョブに関する連続する2回目の失敗であると判定される場合には、設定変更動作を行うべき旨が判定され、ステップS25からステップS26に進む。ステップS26では、移行タイマ期間TMが値TM1から別の値TM2に一時的に変更(延長)される。換言すれば、「リトライ待ちタイマー」が設定される。
【0090】
たとえば、時刻T20(図4)においてファクシミリ受信ジョブの受付に再び失敗したときには、ステップS22からステップS25に進む。また、当該受信失敗は、ファクシミリ受信ジョブについての2回目の受信失敗(連続的な受信失敗)であるため、ステップS25からステップS26に進む。
【0091】
そして、上述したように、ファクシミリ受信ジョブに関する2回の受信失敗時刻T10,T20の差分値TD(=T20−T10)を算出し、当該差分値TDに余裕値αを加えた新たな値TM2が算出される。そして、移行タイマ期間TMは、元の値TM1から当該値TM2へと変更される。
【0092】
その後、値TM2の移行タイマ期間TMが経過するまで、通常待機状態ST1が継続する。具体的には、ステップS27,S28の判定処理が繰り返し実行される。
【0093】
ジョブが受信されないまま移行タイマ期間TM2が経過すると、ステップS28からステップS15に進み、通常待機状態ST1(通常待機モード)から省電力状態ST2(スリープモード)への状態遷移が行われる。
【0094】
一方、この待機期間(ステップS27,S28の繰り返し判定期間)において、ジョブが受信されたことが判定されると、ステップS27からステップS14に進む。ステップS14では、正常受信されたジョブが実行される。
【0095】
たとえば、時刻T30において、画像形成装置10の通常待機状態ST1でファクシミリ受信ジョブが受信されると、当該ファクシミリ受信ジョブの受付動作(送信元の電話番号情報の取得動作を含む)に成功し、ステップS22からステップS14に進む。ステップS14では、受信されたファクシミリ受信ジョブ(印刷用紙へのファクシミリ通信内容の印刷出力動作等を含む)が実行される。
【0096】
以上のような動作によれば、原則として、ファクシミリ受信ジョブの実行要求が無いまま移行タイマ期間TM1(元の設定値)が経過すると、通常待機状態ST1(通常待機モード)から省電力状態ST2(スリープモード)への状態遷移が行われるので、省電力化を図ることができる。特に、設定値TM1を小さな値にすることによって、高い省電力効果を得ることができる。
【0097】
また、状態制御部32は、或る時点(時刻T10)での実行要求RQ1に基づき省電力状態ST2で開始されたジョブ受付(ファクシミリ受信ジョブの受付)に失敗し且つ当該実行要求RQ1の次の実行要求である第2の実行要求RQ2(時刻T20)に基づき省電力状態ST2で開始されたジョブ受付(ファクシミリ受信ジョブの受付)にも失敗した場合には、移行タイマ期間TMを延長する。具体的には、状態制御部32は、第1の実行要求RQ1の受信時刻T10と第2の実行要求RQ2の受信時刻T20との差分値TDに基づいて、送信側装置のリトライ時間間隔TR1を推定して移行タイマ期間TMを延長し、ファクシミリ受信ジョブに関する第3の実行要求RQ3(実行要求RQ2の次の実行要求)を通常待機状態ST1で待機する。
【0098】
したがって、移行タイマ期間TM1の元の設定値TM1ではリトライ受信を受け付けることが困難な場合において、送信側装置のリトライ時間間隔TR1の推定値に基づいて、移行タイマ期間TM1が新たな設定値TM2に変更(延長)される。その後、画像形成装置10は、延長後の移行タイマ期間TM内にファクシミリ受信ジョブの実行要求を受信すると、当該ファクシミリ受信ジョブの受信を非スリープ状態(通常待機状態ST1)から開始することが可能であり、ファクシミリ受信ジョブをより確実に受け付けることが可能である。
【0099】
このように、特定種類のジョブ(ここではファクシミリ受信ジョブ)の受付処理に連続して2回失敗しても、当該特定種類のジョブ(ファクシミリ受信ジョブ)の3回目の受付処理において、当該受付処理を成功させることが可能である。
【0100】
特に、リトライ時間間隔TR1は、送信側装置で設定される値であり、送信側装置ごとに異なる。そのため、仮に移行タイマ期間TMを延長することなく多数の送信側装置に対処しようとすると、設定値TM1を非常に大きな値に設定することが求められる。しかしながら、そのような大きな設定値TM1を用いると、省電力化を図ることが困難である。
【0101】
これに対して、上記実施形態によれば、このような場合においても、リトライ時間間隔を推定し、移行タイマ期間TMを元の設定値TM1から新たな値TM2へと適切に延長することが可能である。具体的には、設定値TM1を比較的小さな値(例えば1分〜数分(min))に設定して省電力性の低下を抑制しつつ、延長後の移行タイマ期間TM2を適切に設定して通常待機状態ST1(非スリープ状態)でファクシミリ受信ジョブをより確実に受け付けることが可能である。
【0102】
なお、(3回目の)当該ファクシミリ受信ジョブが正常受信された後には、移行タイマ期間TMは延長後の値TM2から元の設定値(延長前の値)TM1に戻される。また、ジョブ受信が無い状態で移行タイマ期間TM2が経過した場合においても、移行タイマ期間TMが元の設定値(延長前の値)TM1に戻される。移行タイマ期間TMが元の値TM1に戻されることによれば、再び省電力化を促進することが可能である。
【0103】
<3.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0104】
たとえば、上記実施形態では、送信元番号情報(発信者番号情報)の受信をも伴うファクシミリ受信ジョブにおいて、ファクシミリ通信における呼出信号に伴いファクシミリデータ(データ本体)に先立って送信される送信元番号情報(NB1)の正常受信を条件として、当該ファクシミリ受信ジョブが正常に受け付けられたことが判定されている。ただし、本発明はこれに限定されない。具体的には、呼出信号に伴いファクシミリデータに先立って送信される送信元番号情報NB1が正常受信できない場合であっても、呼出信号に引き続くファクシミリデータが正常に受信され且つ当該ファクシミリデータの内部から送信元番号情報NB2が抽出されるときには、当該ファクシミリ受信ジョブが正常に受け付けられたと判定されるようにしてもよい。ファクシミリデータの内部から抽出可能な送信元番号情報NB2としては、当該ファクシミリデータのヘッダ部分に含まれる送信元番号情報(印刷出力時に用紙の上端部に印字される)等が例示される。
【0105】
図6は、このような変形例に係る動作を示すフローチャートである。図6では、図3のステップS22に代えて、ステップS23,S24が実行される。
【0106】
図6のステップS23においては、呼出信号に伴う送信元番号情報(詳細には、ファクシミリ通信における呼出信号に伴いファクシミリデータに先立って送信される送信元番号情報)NB1が正常に受信される場合には、ジョブ受付が成功したと判定され、ステップS14に進む。一方、呼出信号に伴う送信元番号情報NB1が正常受信されない場合には、ステップS24に進む。なお、送信元番号情報NB1の受信に失敗しても、ファクシミリ受信ジョブにおける受信動作は継続される。
【0107】
ステップS24の判定処理においては、呼出信号に引き続くファクシミリデータが正常に受信され且つ当該ファクシミリデータの内部(当該データのヘッダ部等)に埋め込まれた送信元番号情報NB2が当該ファクシミリデータから正常に抽出されるときにも、ジョブ受付が成功したと判定される。詳細には、送信元番号取得部33は、本来の送信元番号情報NB1に代えて、送信元番号情報NB2をファクシミリ受信ジョブにおける送信元の番号情報として利用し、コントローラ43によるファクシミリ受信ジョブの受付動作を継続させる。そして、ステップS24からステップS14に進む。これによれば、ファクシミリ受信ジョブの受信失敗を回避できるので、送信側装置から受信側装置への再送信(リトライ通信)を回避することが可能である。ひいてはリトライ通信に伴う受信側装置での省電力状態ST2からの復帰動作を回避することにより、電力消費の抑制を図ることが可能である。
【0108】
一方、ファクシミリデータの内部(当該データのヘッダ部等)から送信元番号情報NB2が抽出されないときには、送信元の番号情報の取得に失敗したと判定され、ファクシミリ受信ジョブの受付に失敗したと判定される。そして、ステップS24からステップS25に進む。また、呼出信号に引き続くファクシミリデータが正常に受信されないときも、同様に判定され、ステップS24からステップS25に進む。以後、上記実施形態と同様の動作が実行される。
【0109】
また、上記実施形態等においては、ファクシミリ受信ジョブにおいて、「相手先(送信元)の電話番号(ファクシミリ番号)が取得されることを条件として正常受信と判定する」旨の設定がなされており、相手先の電話番号の受信に失敗しファクシミリ受信ジョブの受付に失敗する場合について主に例示したが、これに限定されない。その他の事情によって、省電力状態ST2から通常待機状態ST1(ないし稼働状態)への復帰が間に合わず、ファクシミリ受信ジョブの受付に失敗する場合にも上記の思想を適用することが可能である。
【0110】
また、上記実施形態等においては、送信元(相手先)の電話番号が特定できない場合であっても、2回連続してファクシミリ受信に失敗すると、同一のファクシミリ受信ジョブに関して2回連続の失敗が発生しているとみなして、差分値TDが送信側装置のリトライ時間間隔TR1に相当する値である、と推定している。ただし、これに限定されず、送信元(相手先)の電話番号に基づいて、(同一の送信元からの)同一のファクシミリ受信ジョブに関する2回連続の失敗が発生していることを確認して、差分値TDが送信側装置のリトライ時間間隔TR1に相当する値である、と推定するようにしてもよい。
【0111】
また、上記実施形態等においては、移行タイマ期間TMは、実行要求RQ1の受信時刻と実行要求RQ2の受信時刻との差分値TDよりも所定量(正の値α)大きな値TM2に設定される場合(TM2=TD+α)が例示されているが、これに限定されず、移行タイマ期間TMは、当該差分値TDに等しい値に設定されるようにしてもよい。このように、移行タイマ期間TMは、差分値TD以上の期間に変更されることが好ましい。
【符号の説明】
【0112】
4 ファクシミリ通信部
9 全体制御部
10 MFP(画像形成装置)
30 (全体制御部の)コントローラ
32 状態制御部
36 電源部
38 復帰検出部
41 電源部
43 (ファクシミリ通信部の)コントローラ
DT 失敗履歴データ
LN 電話回線
TM1 移行タイマ期間(設定値)
TM2 移行タイマ期間(延長後の値)
TR1 リトライ時間間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
画像処理を伴うジョブの実行要求を外部から受信する受信手段と、
前記ジョブの受付処理が可能な第1の状態と、前記第1の状態よりも消費電力を低減する第2の状態とを切り換える状態制御手段と、
を備え、
前記状態制御手段は、
前記実行要求が無いまま前記第1の状態が移行タイマ期間に亘って継続すると、前記第1の状態から前記第2の状態への状態遷移動作を実行し、
前記実行要求に応答して前記第2の状態でジョブの受信が開始されると、前記ジョブの受付処理を実行すべく、前記第2の状態から前記第1の状態への状態遷移動作を実行し、
第1の実行要求に基づき前記第2の状態で開始されたジョブ受付に失敗し且つ第2の実行要求に基づき前記第2の状態で開始されたジョブ受付にも失敗した場合には、前記第1の実行要求の受信時刻と前記第2の実行要求の受信時刻との差分値に基づいて前記移行タイマ期間を延長し、ジョブに関する第3の実行要求を前記第1の状態で待機することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像処理を伴う前記ジョブは、ファクシミリ受信ジョブであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像処理を伴う前記ジョブは、送信元番号情報の受信をも伴うファクシミリ受信ジョブであり、
前記画像形成装置は、
前記ファクシミリ受信ジョブにおける送信元の番号情報を取得する送信元番号取得手段、
をさらに備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記送信元番号取得手段は、
ファクシミリ通信における呼出信号に伴いファクシミリデータに先立って送信される第1の送信元番号情報の受信に失敗しても、前記ファクシミリ受信ジョブにおける受信動作を継続させ、
前記ファクシミリ受信ジョブにおいて受信される前記ファクシミリデータから第2の送信元番号情報が抽出される場合には、前記第1の送信元番号情報に代えて前記第2の送信元番号情報を前記ファクシミリ受信ジョブにおける前記送信元の番号情報として利用して、前記ファクシミリ受信ジョブの受付動作を継続させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記送信元番号取得手段は、
前記第1の送信元番号情報の受信に失敗しても、前記ファクシミリ受信ジョブにおける受信動作を継続させ、
前記ファクシミリ受信ジョブにおいて受信されたファクシミリデータから前記第2の送信元番号情報が抽出されない場合には、前記送信元の番号情報の取得に失敗したと判定し、
前記状態制御手段は、前記送信元の番号情報の取得に失敗したと判定される場合には、前記ファクシミリ受信ジョブの受付に失敗したと判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記移行タイマ期間は、前記第1の実行要求の受信時刻と前記第2の実行要求の受信時刻との差分値以上の期間に延長されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置の制御方法であって、
a)画像処理を伴うジョブの実行要求を待機する第1の状態が前記実行要求の無きまま移行タイマ期間に亘って継続すると、前記第1の状態よりも消費電力を低減する第2の状態への状態遷移動作を実行するステップと、
b)前記実行要求に応答して前記第2の状態でジョブの受信が開始されると、前記ジョブの受付処理を実行すべく、前記第1の状態への状態遷移動作を実行するステップと、
c)第1の実行要求に基づき前記第2の状態で開始されたジョブ受付に失敗し且つ第2の実行要求に基づき前記第2の状態で開始されたジョブ受付にも失敗した場合には、前記第1の実行要求の受信時刻と前記第2の実行要求の受信時刻との差分値に基づいて前記移行タイマ期間を延長し、ジョブに関する第3の実行要求を前記第1の状態で待機するステップと、
を備えることを特徴とする、画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−12806(P2013−12806A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142516(P2011−142516)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】