説明

画像形成装置および省電力管理システム

【課題】画像形成装置が接続されたネットワーク全体の省電力化を図ることが可能となる画像形成装置または省電力管理システムを提供する。
【解決手段】ネットワークを介して自装置と他装置が通信可能に接続され、機能項目と、待機時間とを関連付けてテーブルとして記憶した待機時間記憶手段を備えた画像形成装置において、自装置に電源が投入された際に、自装置の待機時間記憶手段から取得した自装置の機能項目と、他装置の待機時間記憶手段から取得した他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得する比較手段303と、重複する機能項目に対応する待機時間のいずれかを、上記比較手段により取得した最短の待機時間よりも短い待機時間に変更する変更手段306とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および省電力管理システムに関し、詳しくは、画像形成装置が接続されたネットワーク全体の省電力化を図ることが可能となる画像形成装置および省電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置ではその価値を高めるため、高性能化、多機能化が図られてきた。このような高性能、多機能であることを示す指標の1つとして、環境問題を意識させる消費電力が挙げられる。すなわち、長時間入力が画像形成装置に行われない場合には、所定の時間(待機時間または移行時間という)が経過すると、待機時の電力を抑えた省電力状態(休止状態、スリープ状態、スタンバイ状態ともいう)に移行する等して低消費電力(省エネルギー化)を実現している。なお、省電力状態へ移行させる省電力機能はよく用いられている技術である。
【0003】
他方で、画像形成装置の多機能化が進み、様々な機能、例えば、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能、プリント機能、メモリ機能等が画像形成装置に付与されるようになっている。
【0004】
上記多機能化に対応させて、省電力化を図るために、特開平06−6496号公報(特許文献1)や特開2003−163771号公報(特許文献2)には、画像形成装置に備えられている機能毎に、それぞれ省電力機能を付与した画像形成装置が開示されている。上記構成により、各機能の使用勝手を良い状態に維持するとともに、それぞれの機能毎に省電力化を図ることが可能となるとしている。
【0005】
また、特開2003−307980号公報(特許文献3)には、画像読取部と画像形成部とのそれぞれの使用頻度を計測し、該計測された使用頻度において画像読取部と画像形成部との少なくとも一方の省電力状態への移行に要する待機時間を変更する画像形成装置等が開示されている。上記構成により、使用状況に応じて、画像読取部と画像形成部との電力消費を抑えることができ、省電力化を図ることが可能となるとしている。
【0006】
さらに、特開2006−23969号公報(特許文献4)には、複数の印刷装置と通信可能な情報処理装置であって、上記複数の印刷装置の中から、所定期間内では常時、電源起動時よりも印刷可能になるまでの時間が速い電源状態にする代表印刷装置を特定する特定手段と、上記特定手段により特定された印刷装置に対して上記電源状態を維持させるべく制御指示を通信部に行わせる制御手段とを有することを特徴とする情報処理装置および印刷システムが開示されている。上記構成により、ネットワーク環境下で接続された複数の印刷装置において、最適な省エネルギー制御設定が可能になるとともに、選択基準を設定し、あるいは優先順位付けすることにより、画一的な設定に拠らず、受信した印刷ジョブに適合した代表印刷装置を選定することが可能となるとしている。
【特許文献1】特開平06−6496号公報
【特許文献2】特開2003−163771号公報
【特許文献3】特開2003−307980号公報
【特許文献4】特開2006−23969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、画像形成装置に備えられた省電力機能に限られており、その画像形成装置が接続されたネットワーク上の装置で、かつ当該画像形成装置の機能と重複する機能を有する装置、例えば、スキャナ、ファクシミリ、プリンタ等の他装置が接続されている場合では、他装置の省電力機能について何らの対応もされていなかった。そのため、重複する機能を有する装置がそれぞれ長時間、省電力状態へ移行せず、無駄に電力を消費するという事態を招き、ネットワーク全体としての省電力化が十分に図られていないという問題があった。
【0008】
さらに、機能を即時に提供可能な状態である通常の状態において、その消費電力が大きいスキャナ等がネットワークに接続されている場合、スキャナ等に備えられた機能と重複する機能を備えた装置がそのネットワークに接続されているにもかかわらず、スキャナ等が長時間、省電力状態へ移行せず、スキャナ等の消費電力によって、ネットワーク全体の省電力機能を大きく妨げるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、画像形成装置が接続されたネットワーク全体の省電力化を図ることが可能となる画像形成装置および省電力管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、ネットワークを介して自装置と他装置が通信可能に接続され、自装置および他装置が提供可能な項目を示す機能項目と、当該機能を提供する部材の電源投入時または機能終了時から省電力状態への待機時間とを関連付けてテーブルとして記憶した待機時間記憶手段を備えた画像形成装置において、自装置に電源が投入された際に、自装置の待機時間記憶手段から取得した自装置の機能項目と、他装置の待機時間記憶手段から取得した他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得する比較手段と、重複する機能項目に対応する待機時間のいずれかを、上記比較手段により取得した最短の待機時間よりも短い待機時間に変更する変更手段とを備える。
【0011】
機能項目は、画像形成装置または他装置が提供可能な機能を示す項目であり、例えば、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャン機能、プリント機能、メモリ機能、後処理機能等であり、少なくとも一つ含んでいればよい。なお、後処理機能とは、印刷されたシートに、パンチ、ステープル、製本処理等を施す機能の総称である。
【0012】
機能項目が示す機能を提供する部材に備えられた待機時間は、部材の種類、部材の大きさ、機能の種類、部材が省電力状態から即時に機能提供可能な通常の状態へ移行するために掛かる時間によって、生産者側が予め記憶させた時間であり、機能項目毎にその長さは異なる。例えば、コピー機能を提供する部材に備えられた待機時間は、コピー機能に関する使用頻度が高い点と、その部材が省電力状態から通常の状態へ移行するのに時間が掛かる点とを考慮に入れて、例えば、60分等と比較的長い時間が記憶される。一方、プリント機能を提供する部材に備えられた待機時間は、使用頻度が低いため、例えば、30分等と短い時間に記憶される。
【0013】
記憶手段は、例えば、機能項目と、その機能項目に備えられた待機時間とを関連付けたテーブルを記憶させている。
【0014】
画像形成装置または他装置は、例えば、複合機、複写機、後処理装置が接続された複合機、スキャナ、ファクシミリ、プリンタ、パーソナルコンピュータ等を採用することができる。
【0015】
さらに、自装置および他装置の待機時間記憶手段のテーブルが、機能項目が示す機能を提供する部材を一意に識別することが可能な部材識別情報を関連付けて記憶し、上記比較手段が、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得するとともに、最長の待機時間以外の待機時間に関連付けられた部材識別情報を取得し、上記変更手段が、上記比較手段により取得した部材識別情報に対応する待機時間を、上記最短の待機時間よりも短い待機時間に変更するよう構成することができる。
【0016】
機能を提供する部材を一意に識別することが可能な部材識別情報は、例えば、部材毎に付与された文字または記号を採用することができる。
【0017】
さらに、所定の待機時間の範囲を示すクラスと、そのクラスの下限値よりも短い待機時間を示す変更待機時間とを関連付けたテーブルを目標待機時間記憶手段として備え、上記比較手段が、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得するとともに、その最短の待機時間と上記目標待機時間記憶手段のテーブルとに基づいて、上記最短の待機時間よりも短い変更待機時間を取得し、上記変更手段が、重複する機能項目に対応する待機時間のいずれかを、上記比較手段により取得した変更待機時間に変更するよう構成することができる。
【0018】
さらに、自装置および他装置の待機時間記憶手段のテーブルが、機能項目が示す機能を提供する部材を一意に識別することが可能な部材識別情報と、その機能項目の優先順位を示す優先度とを関連付けて記憶し、上記比較手段が、自装置と他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得するとともに、重複する機能項目に対応する優先度を相互に比較して、最も高い優先度以外の優先度に関連付けられた部材識別情報を取得し、上記変更手段が、上記比較手段により取得した部材識別情報に対応する待機時間を、上記最短の待機時間よりも短い待機時間に変更するよう構成することができる。
【0019】
優先度は、例えば、生産者またはユーザが、画像形成装置または他装置の機種、性能、設置場所、重要性等を考慮して決定される情報であり、例えば、通常の状態で待機した方がユーザの利便性を向上させると考えられる画像形成装置または他装置には、その記憶手段に、高い優先度が記憶される。
【0020】
さらに、自装置および他装置の待機時間記憶手段のテーブルが、機能項目が示す機能を提供する部材を一意に識別することが可能な部材識別情報と、その機能項目に関する使用回数とを関連付けて記憶し、上記比較手段が、自装置と他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得するとともに、重複する機能項目に対応する使用回数を相互に比較して、最も多い使用回数以外の使用回数に関連付けられた部材識別情報を取得し、上記変更手段が、上記比較手段により取得した部材識別情報に対応する待機時間を、上記最短の待機時間よりも短い待機時間に変更するよう構成することができる。
【0021】
機能項目に関連付けて記憶する使用回数に代え、または使用回数とともに、例えば、画像形成装置または他装置の使用状況を示す情報である使用時間、消費電力等を用いることができる。
【0022】
さらに、電力配線を通信回線として利用して他装置と通信する通信手段を備えるよう構成することができる。
【0023】
また、画像形成装置および他装置が提供可能な項目を示す機能項目と、当該機能を提供する部材の電源投入時または機能終了時から省電力状態への待機時間とを関連付けたテーブルとして記憶した待機時間記憶手段を備えた画像形成装置および他装置をネットワークで接続した省電力管理システムにおいて、画像形成装置または他装置のいずれかに上記各手段を備えるよう構成することができる。また、上記ネットワークに、上記各手段を備えた管理装置を備えるよう構成しても構わない。
【発明の効果】
【0024】
本発明の画像形成装置によれば、比較手段が、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得し、変更手段が、重複する機能項目に対応する待機時間のいずれかを、上記比較手段により取得した最短の待機時間よりも短い待機時間に変更するよう構成している。
【0025】
これにより、重複する機能項目に対応する待機時間のいずれかは、重複する機能項目に対応する待機時間のうち最短の待機時間よりも短い待機時間に変更され、その変更された待機時間を備える部材は迅速に省電力状態へ移行し、他の部材は、機能提供可能な通常の状態にて待機することとなる。そのため、重複する機能を提供する部材の省電力機能を十分に発揮させるとともに、通常の状態にて待機している部材は、ユーザの要求に対して即時に機能提供可能となる。その結果、ネットワーク全体としての省電力化を図ることができるとともに、ユーザへの使いやすさを損ねることはない。
【0026】
さらに、上記比較手段が、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間と、最長の待機時間以外の待機時間に関連付けられた部材識別情報とを取得し、上記変更手段が、上記比較手段により取得した部材識別情報に対応する待機時間を、上記最短の待機時間よりも短い待機時間に変更するよう構成している。
【0027】
これにより、通常の状態にて待機する部材は、重複する機能を提供する部材の中で最も長い時間、通常の状態を維持して待機することとなる。そのため、ユーザが要求した際に、重複する機能を提供する部材が全て省電力状態である可能性を出来るだけ排除することが可能となり、ユーザへの使いやすさを維持することができる。
【0028】
さらに、所定の待機時間の範囲を示すクラスと、そのクラスの下限値よりも短い待機時間を示す変更待機時間とを関連付けたテーブルを目標待機時間記憶手段として備え、上記比較手段が、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得し、目標待機時間記憶手段のテーブルを利用して、上記最短の待機時間よりも短い変更待機時間を取得し、上記変更手段が、重複する機能項目に対応する待機時間のいずれかを、上記変更待機時間に変更するよう構成している。
【0029】
これにより、変更される待機時間は、常に重複する機能項目に対応する他機時間の中の最短の待機時間よりも短い待機時間に変更されることとなり、迅速に省電力状態へ移行させることが可能となる、その結果、ネットワーク全体としての省電力化を容易に実現することが可能となる。
【0030】
さらに、自装置および他装置の待機時間記憶手段のテーブルが、部材識別情報と、優先度とを関連付けて記憶し、上記比較手段が、自装置と他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得し、さらに、重複する機能項目に対応する優先度を相互に比較して、最も高い優先度以外の優先度に関連付けられた部材識別情報を取得し、上記変更手段が、上記比較手段により取得した部材識別情報に対応する待機時間を、上記最短の待機時間よりも短い待機時間に変更するよう構成することができる。
【0031】
これにより、重複する機能項目がある場合に、低い優先度に関連付けられた部材は、迅速に省電力状態へ移行し、高い優先度に関連付けられた部材は、通常の状態にて待機させることが可能となる。そのため、ユーザが、通常の状態であることを希望する部材に高い優先度を関連付けることによって、ユーザの意図に沿って、画像形成装置または他装置の省電力状態を調整することが可能となる。
【0032】
さらに、自装置および他装置の待機時間記憶手段のテーブルが、部材識別情報と、使用回数とを関連付けて記憶し、上記比較手段が、自装置と他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得し、さらに、重複する機能項目に対応する使用回数を相互に比較して、最も多い使用回数以外の使用回数に関連付けられた部材識別情報を取得し、上記変更手段が、上記比較手段により取得した部材識別情報に対応する待機時間を、上記最短の待機時間よりも短い待機時間に変更するよう構成することができる。
【0033】
これにより、使用するユーザの人数、画像形成装置および他装置の設置場所に大きく影響する部材の使用状況に対応して、重複する機能項目であり、使用回数の少ない部材は、迅速に省電力状態へ移行し、使用回数の最も多い部材は、通常の状態にて待機されることとなる。その結果、そこを利用するユーザやネットワークが形成された場所に応じて、ネットワーク全体の省電力効果を図ることができるとともに、ユーザへの使いやすさを損ねることはない。
【0034】
さらに、通信手段が、電力配線を通信回線として利用して他装置と通信するよう構成することができる。
【0035】
これにより、ネットワークに接続するための有線LANケーブル等が知らない間に外れた場合でも、電力配線を利用して、重複する画像形成装置または他装置の機能項目に対応する待機時間を変更することができる。そのため、ネットワーク全体の省電力機能を確実に発揮させることが可能となる。
【0036】
また、画像形成装置および他装置が提供可能な項目を示す機能項目と、当該機能を提供する部材の電源投入時または機能終了時から省電力状態への待機時間とを関連付けたテーブルとして記憶した待機時間記憶手段を備えた画像形成装置および他装置をネットワークで接続した省電力管理システムにおいて、画像形成装置または他装置のいずれかに上記各手段を備えるよう構成しても、本発明の作用効果を奏する。
【0037】
なお、省電力管理システムにおいて、例えば、パーソナルコンピュータからなる管理装置に上記各手段を備えるよう構成すると、その管理装置が、省電力機能に関してネットワークを一元管理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0039】
以下に、本発明に係る画像形成装置について説明する。
【0040】
<第一の実施の形態>
図1は、画像形成装置の内部の全体構成を示す概念図である。上記画像形成装置は、具体的には、デジタル複写機、プリンタ、複合機などが該当する。
【0041】
なお、一例として本発明の複合機を利用して原稿のコピー機能を行なう際の複合機の動作を簡単に説明する。
【0042】
まず、ユーザが複合機100を利用する場合、原稿Pを複合機100の上面に備えられている原稿台101に載置し、コピー機能の設定を操作部102から入力する。入力する際に、複合機100のコピー機能を提供する部材(画像読取部と画像形成部)が省電力状態(待機時の電力を抑えた状態)であれば、例えば、操作部102のタッチパネルを触れると、コピー機能を提供する部材は省電力状態から通常の状態(機能を即時に提供可能な状態)へ移行し、操作部102から入力可能な状態となる。
【0043】
なお、上記コピー機能を提供する部材は、電源投入時または機能提供後から省電力状態へ移行するまでの待機時間を備えており、その待機時間を経過すると、コピー機能を提供する部材は省電力状態へ移行することとなる。ここで、部材とは、提供可能な機能を実現するために複数の手段から構成された構成体を意味する。
【0044】
さて、ユーザは操作部102に設けられたスタートキーを押下して、複合機100にコピー機能の処理を開始させる。
【0045】
複合機100がコピー機能の処理を開始すると、画像読取部103において、光源104から照射された光が、上記原稿台に置かれた原稿に反射される。反射された光は、ミラー105、106、107によって撮像素子108に導かれる。導かれた光は上記撮像素子108により光電変換されて、上記原稿に対応する画像データが生成される。
【0046】
なお、上記画像データは、複合機100に接続された通信ケーブル109を介して、ネットワークから画像形成の指示とともに送信される場合もある。本発明の場合、通信ケーブル109がPLC(Power Line Communication)モデム110に接続されており、そのPLCモデム110は、電力配線(電力線)111を介して形成されているネットワーク112からのデータを受信したり、複合機100からのデータを送信したりしている。
【0047】
さて、上記画像データをトナー像として転写する駆動部が画像形成部113である。上記画像形成部113には感光体ドラム114が備えられている。上記感光体ドラム114は、一定速度で所定の方向に回転し、その周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器115、露光ユニット116、現像器117、転写器118、クリーニングユニット119などが配置されている。
【0048】
上記帯電器115は、上記感光体ドラム114の表面を一様に帯電させる。上記露光ユニット116は、帯電された上記感光体ドラム114の表面に、上記画像データに基づいてレーザーを照射し、静電潜像を形成する。上記現像器117は、搬送された静電潜像に、トナーを付着させてトナー像を形成する。形成されたトナー像は、上記転写器118により、記録媒体(例えば、シート)に転写される。上記クリーニングユニット119は、上記感光体ドラム114の表面に残された余分なトナーを取り除く。これらの一連のプロセスは、上記感光体ドラム114が回転することにより実行される。
【0049】
上記シートは、上記複合機100に備えられた複数の給紙カセット120から搬送される。搬送される時は、上記シートはピックアップローラ121により何れか1つの上記給紙カセット120から搬送路へ引き出される。上記各給紙カセット120には、それぞれ異なる紙種のシートが収容されており、上記画像形成に関する設定に基づいてシートが給紙される。
【0050】
搬送路に引き出された上記シートは、搬送ローラ122やレジストローラ123により感光体ドラム114と転写器118の間に送り込まれる。送り込まれると、上記シートは上記転写器118により上記トナー像が転写され、定着装置124に搬送される。
【0051】
上記トナー像が転写されたシートが上記定着装置124に備えられた加熱ローラ125と加圧ローラ126の間を通過すると、上記トナー像に熱と圧力が印加されて、可視像がシートに定着される。上記加熱ローラ125の熱量は紙種に応じて最適に設定され、上記定着が適切に行われる。上記可視像がシートに定着されて画像形成が終了し、当該シートは印刷物として複合機100の側面に設けられた排紙トレイ127に積載され、収容される。
【0052】
上記手順により、複合機100はコピー機能をユーザに提供する。なお、他の機能については、上述した画像読取部103、画像形成部113等が駆動して提供することになる。本発明の複合機100は、ネットワーク112から送信された画像データを画像形成するプリント機能、原稿の画像を読み取るスキャン機能、ネットワーク112に画像データを送受信するファクシミリ機能、一度読み取った画像データを保存するメモリ機能を備えている。さらに、それぞれの機能に対して、機能提供の際に駆動する部材が異なるため、異なる待機時間が予め複合機100の待機時間記憶手段(後述する)に記憶されており、その待機時間を経過すると、その待機時間に対応する機能の部材が省電力状態へ移行することとなる。このような構成が本発明の複合機100である。
【0053】
次に、図2を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図2は、複合機における制御系ハードウェアの概略構成図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0054】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、HDD(Hard Disk Drive)204、各駆動部に対応するドライバ205、通信インターフェイス206を内部バス207によって接続している。
【0055】
上記CPU201は、例えば、RAM203を作業領域として利用し、上記ROM202、上記HDD204等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ205、通信インターフェイス206とデータや指示を授受し、上記図1に示した各駆動部の動作を制御する。また、上記駆動部以外の後述する各手段(図6に示す)についても、上記CPU201がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。上記ROM202や上記HDD204には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0056】
さらに、通信インターフェイス206は、通信ケーブル109と、通信ケーブル109に接続されたPLCモデム110とを介して、電力配線111から形成されるネットワーク112と接続されている。電力配線111は、例えば、他のPLCモデムを介して、後処理装置が接続された複合機208、プリンタ209、スキャナ210、ファクシミリ211と接続されているため、上記CPU201は、通信インターフェイス206を介してネットワーク112に接続された後処理装置が接続された複合機208等とデータの授受を行う。なお、後処理装置が接続された複合機208等は、複合機100が提供可能な機能を少なくとも一機能有している。
【0057】
次に図3〜図6を参照しながら、本発明の複合機100が重複する機能項目に対応する待機時間を変更する手順について説明する。図3は、本発明の複合機100の機能ブロック図である。図4は、ネットワーク112を形成する複合機100および他装置に記憶されているそれぞれのテーブルの一例を示す図である。図5は、複合機および他装置から取得した機能項目等のデータと目標待機時間記憶手段が記憶するテーブルとの一例を示す図である。図6は、複合機100が重複する機能項目に対応する待機時間を変更する実行手順を示すためのフローチャートである。
【0058】
本発明の複合機100の待機時間記憶手段には、図4に示すように、自装置が提供可能な機能を示す機能項目と、その機能項目が示す機能を提供する部材を一意に識別することが可能な部材識別情報と、その部材に備えられた待機時間とを関連付けたテーブルが予め記憶されている。上記ネットワーク112を形成している後処理装置が接続された複合機208等(以下、他装置という)にも待機時間記憶手段が備えられており(以下、他装置の待機時間記憶手段と総称する)、その他装置の待機時間記憶手段には、本発明の複合機100の待機時間記憶手段と同様、機能項目と、部材識別情報と、待機時間とを関連付けたテーブルが予め記憶されている。各テーブルに記憶された待機時間は、複合機100および他装置毎に決定された時間であるため、ネットワーク全体として、重複する機能項目が存在していても、その機能項目に対応する待機時間はそれぞれ異なった待機時間が記憶されている。
【0059】
本発明の複合機100に電源が投入されると、複合機100の比較手段303が、待機時間記憶手段301から、自装置の機能項目と、部材識別情報と、待機時間とを取得するとともに、通信手段304を介して他装置の待機時間記憶手段302から、他装置の機能項目と、部材識別情報と、待機時間とを取得する(図6:S101→S102)。
【0060】
続いて、比較手段303は、取得した自装置および他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する部材識別情報と待機時間とを取得する(図6:S103YES→S104)。上記部材識別情報と待機時間とを取得する方法は、例えば、比較手段303が、複合機100の機能項目と部材識別情報と待機時間とを取得し、さらに他装置の機能項目を取得して、同一の機能項目か否かを比較する。比較した結果、同一の機能項目であれば、他装置の機能項目に対応する部材識別情報と待機時間とを取得し、同一の機能項目でなければ、さらに別の他装置の機能項目を取得する。自装置および他装置の全ての機能項目について比較手段303が比較すると、最後に記憶された部材識別情報と待機時間とが、重複する機能項目に対応する部材識別情報とその待機時間になる。
【0061】
例えば、図5Aに示すように、比較手段303が、複合機の機能項目「コピー機能」501と部材識別情報「111.22.001」502と待機時間「30分」503とを取得し、さらに後処理装置が接続された複合機の機能項目を取得すると、同一の機能項目「コピー機能」504があるので、その「コピー機能」504に対応する部材識別情報「111.33.001」505とその待機時間「35分」506とを取得する。さらに、比較手段303が、プリンタの機能項目を参照すると、同一の機能項目がないため、別の他装置の機能項目を参照する。全ての機能項目について上記比較処理を行い、比較手段303は、重複する機能項目「コピー機能」に対応する部材識別情報と待機時間とを全て取得する。
【0062】
さらに、比較手段303が、取得した上記待機時間のうち、待機時間の長さが相互に比較して、最も短い待機時間を決定する(図6:S105)。最短の待機時間を決定する方法は、例えば、比較手段303が、先ほど取得した待機時間のうち、自装置の待機時間を取得し、さらに他装置の待機時間を取得して、自装置の待機時間と他装置の待機時間との長さを比較し、長さが短い待機時間を一時記憶して、さらに別の待機時間を取得する。このような比較処理を比較手段303が、取得した重複する機能項目に対応する待機時間について実行すると、最後に記憶された待機時間が、最も短い待機時間となる。
【0063】
例えば、比較手段305が、複合機100から取得したコピー機能の待機時間「30分」503を取得し、さらに、後処理装置が接続された複合機から取得したコピー機能の待機時間「35分」506を取得する。上記「30分」503と「35分」506とでは、「30分」503が短い待機時間なので、その「30分」503を一時記憶する。重複する機能項目に対応する待機時間について上記比較処理を行い、比較手段303は、最短の待機時間である「30分」503を取得することとなる。なお、一時記憶した待機時間と取得した待機時間とが同等である場合、さらに別の待機時間を取得する。
【0064】
最短の待機時間が取得されると、さらに比較手段303は、目標待機時間記憶手段305が記憶するテーブルを参照する。上記テーブルには、所定の待機時間の範囲を示すクラスと、そのクラスの下限値よりも短い待機時間を示す変更待機時間とが関連付けられて記憶されており、比較手段303は、上記最短の待機時間と上記テーブルとに基づいて、最短の待機時間よりも短い変更待機時間を取得する(図5B、図6:S106)。
【0065】
例えば、取得した最短の待機時間が「30分」503である場合、比較手段303が、テーブルに記憶されているクラス507を参照し、そのクラス507の範囲と最短の待機時間「30分」503とを比較し、最短の待機時間「30分」503がどこのクラス507に属するかを判別する。判別した結果、最短の待機時間「30分」503が属するクラス507はクラス「30≦X<60」508であると判別し、そのクラス「30≦X<60」508に関連付けられている、当該クラス「30≦X<60」508の下限値よりも短い待機時間の変更待機時間「5分」509を取得する。この取得された変更待機時間「5分」509は、ネットワーク全体に記憶された待機時間のうち、最短の待機時間よりも、さらに短い待機時間となる。
【0066】
さらに、比較手段303が、重複する機能項目に対応する待機時間のうち、最長の待機時間以外の待機時間に関連付けられた部材識別情報を取得する(図6:S107)。上記部材識別情報を取得する方法は、例えば、比較手段303が、先ほど取得した重複する機能項目に対応する待機時間の中から、自装置の待機時間を取得し、さらに他装置の待機時間を取得して、自装置の待機時間と他装置の待機時間との長さを比較し、長い待機時間の方を一時記憶して、さらに別の待機時間を取得し、当該比較処理を繰り返す方法である。重複する機能項目に対応する全ての待機時間について比較手段303が上記比較処理を実行すると、最後に記憶された待機時間が、最も長い待機時間となる。上記比較処理が完了すると、比較手段303は、その最長の待機時間以外の待機時間に関連付けられた部材識別情報を取得する。
【0067】
機能項目「コピー機能」の場合、比較手段303が取得した待機時間は「30分」503と「35分」506であるため、両方の待機時間を比較し、その中で最も長い待機時間である「35分」506を決定する。その最長の待機時間「35分」506以外の待機時間「30分」506に関連付けられた部材識別情報「111.22.001」502を取得する。
【0068】
最長の待機時間以外の待機時間に関連付けられた部材識別情報を取得すると、比較手段303は、取得した部材識別情報と、先ほど取得した変更待機時間とを変更手段306に送信し、変更手段306は、取得した部材識別情報に対応する待機時間を変更待機時間に変更する(図6:S108)。変更する方法は、変更手段306が、比較手段303から受信した部材識別情報を利用して、その部材識別情報を記憶しているテーブルを参照し、当該部材識別情報に対応する待機時間を変更待機時間に変更する方法である。
【0069】
機能項目「コピー機能」の場合、変更手段306が受信した部材識別情報は「111.22.001」502であるので、その「111.22.001」502を利用して、変更手段306が複合機の待機時間記憶手段301に記憶されたテーブルを参照し、「111.22.001」502に対応する待機時間「30分」503を変更待機時間「5分」509に変更する。
【0070】
以上により、取得した機能項目のうち、一種類の機能項目について、重複する機能項目に対応する待機時間の変更は終了する。続いて、上記比較手段303が、全ての種類の機能項目について、上記と同様の処理を実行することになるが(図6:S109NO)、重複する機能項目が存在しない場合、比較手段303はその機能項目に対応する部材識別情報と待機時間とを変更手段306に送信せずに、その機能項目に関する処理は終了する(図6:S105NO→S110)。例えば、機能項目「後処理機能」510は、比較手段303が取得した機能項目のうちで唯一の機能項目であるため、「後処理機能」510に対応する部材識別情報「111.33.006」511、待機時間「15分」512は変更手段306に送信されない。
【0071】
変更手段306が、全ての種類の機能項目について上記変更を終了すると、ネットワーク112に接続された複合機100および他装置の待機時間の変更が終了する(図6:S109YES)。
【0072】
このように、比較手段303が、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得し、変更手段306が、重複する機能項目に対応する待機時間のいずれかを、上記比較手段303により取得した最短の待機時間よりも短い待機時間に変更するよう構成している。
【0073】
これにより、重複する機能項目に対応する待機時間のいずれかは、重複する機能項目に対応する待機時間のうち最短の待機時間よりも短い待機時間に変更され、その変更された待機時間を備える部材は迅速に省電力状態へ移行し、他の部材は、機能提供可能な通常の状態にて待機することとなる。そのため、重複する機能を提供する部材の省電力機能を十分に発揮させるとともに、通常の状態にて待機している部材は、ユーザの要求に対して即時に機能提供可能となる。その結果、ネットワーク全体としての省電力化を図ることができるとともに、ユーザへの使いやすさを損ねることはない。
【0074】
また、通信手段304が、電力配線を通信回線として利用して他装置と通信するよう構成している。
【0075】
これにより、ネットワークに接続するための有線LANケーブル等が知らない間に外れた場合でも、電力配線を利用して、重複する画像形成装置または他装置の機能項目に対応する待機時間を変更することができる。そのため、ネットワーク全体の省電力機能を確実に発揮させることが可能となる。
【0076】
<第二の実施の形態>
次に図7、図8を参照しながら、第二の実施形態の複合機が重複する機能項目に対応する待機時間を変更する手順について説明する。図7は、複合機および他装置から取得した機能項目等のデータの一例を示す図である。図8は、複合機100が重複する機能項目に対応する待機時間を変更する実行手順を示すためのフローチャートである。第一の実施形態と比較して、第二の実施形態の異なる点は、さらに、待機時間記憶手段301のテーブルと他装置の待機時間記憶手段302のテーブルとが、部材識別情報と、優先度とを関連付けて記憶し、上記比較手段303が、自装置と他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する優先度を相互に比較して、最も高い優先度以外の優先度に関連付けられた部材識別情報を取得し、上記変更手段が、上記比較手段により取得した部材識別情報に対応する待機時間を、最短の待機時間よりも短い待機時間に変更する点である。その他の点については、第一の実施形態と同様であるため、第一の実施形態の説明において用いた図面(図3乃至図5)も適宜参照しながら、第二の実施形態について説明する。
【0077】
本発明の複合機100の電源が投入されると、複合機100の比較手段303が、待機時間記憶手段301のテーブルを参照して、自装置の機能項目と、部材識別情報と、待機時間と、優先度とを取得するとともに、上記通信手段304により他装置の待機時間記憶手段302のテーブルを参照して、他装置の機能項目と、部材識別情報と、待機時間と、優先度とを取得する(図8:S201→S202)。なお、上記優先度は「高」または「低」が記憶され、「高」は、優先順位が高いことを示し、「低」は、優先順位が低いことを示す。
【0078】
続いて、比較手段303が、取得した自装置および他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する部材識別情報と待機時間とを取得する手順(図8:S203YES→S204)、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較し、最も短い待機時間を決定する手順、その最短の待機時間と目標待機時間記憶手段305のテーブルとに基づいて、最短の待機時間よりも短い変更待機時間を取得する手順(図5B、図8:S205)は、第一の実施の形態と同様であるので、省略する。なお、上記手順をコピー機能に関して実行すると、取得される変更待機時間は「5分」となる。
【0079】
変更待機時間を取得すると、比較手段303が、重複する機能項目に対応する優先度を相互に比較して、最も高い優先度以外の優先度に関連付けられた部材識別情報を取得する(図8:S206)。上記部材識別情報を取得する方法は、例えば、比較手段303が、先ほど取得した重複する機能項目に対応する優先度の中から、自装置の優先度を取得し、さらに他装置の優先度を取得して、自装置の優先度と他装置の優先度とを比較する。比較した結果、優先度の高い方を一時記憶して、さらに別の優先度を取得し、当該比較処理を繰り返す方法である。重複する機能項目に対応する全ての待機時間について比較手段303が上記比較処理を実行すると、最後に記憶された優先度が、最も高い優先度となる。なお、優先度が同一である場合は、その同一の優先度も一時記憶して、他装置の優先度を取得する。上記比較処理が完了すると、比較手段303は、上記最高の優先度以外の優先度に関連付けられた部材識別情報を取得する。
【0080】
例えば、図7に示すように、機能項目「コピー機能」701の場合、比較手段303が予め取得している優先度は、複合機100に記憶されている優先度「高」702と後処理装置が接続された複合機に記憶されている優先度「低」703である。比較手段303が両方の優先度を比較し、最も高い優先度である「高」702を決定する。続いて、その最高の優先度「高」702以外の優先度「低」703に関連付けられた部材識別情報「111.33.001」704を取得する。
【0081】
上記取得した部材識別情報は、取得した変更待機時間とともに、変更手段306に送信され、変更手段306は、その部材識別情報に関連付けられた待機時間を、変更待機時間に変更する(図8:S207)。機能項目「コピー機能」の場合、変更手段306が受信した部材識別情報は「111.33.001」704であるので、その「111.33.001」704を利用して、変更手段306が、後処理装置が接続された複合機の待機時間記憶手段302に記憶されたテーブルを参照し、「111.33.001」704に関連付けられた待機時間「35分」705を変更待機時間「5分」に変更する。
【0082】
以上により、取得した機能項目のうち、一種類の機能項目について、重複する機能項目に対応する待機時間の変更は終了する。続いて、上記比較手段303が、全ての種類の機能項目について、上記と同様の処理を実行することになるが(図8:S208NO)、重複する機能項目が存在しない場合、比較手段303はその機能項目に対応する部材識別情報を変更手段306に送信せずに、その機能項目に関する処理は終了する(図8:S205NO→S209)。変更手段306が、全ての種類の機能項目について上記変更を終了すると、ネットワーク112に接続された複合機100および他装置の待機時間の変更が完了する(図8:S208YES)。
【0083】
このように、第二の実施形態では、変更手段306が、優先度を加味して複合機または他装置の待機時間を変更するよう構成している。
【0084】
これにより、重複する機能項目がある場合に、低い優先度に関連付けられた部材は、迅速に省電力状態へ移行し、高い優先度に関連付けられた部材は、通常の状態にて待機させることが可能となる。そのため、ユーザが、通常の状態であることを希望する部材に高い優先度を関連付けることによって、ユーザの意図に沿って、画像形成装置または他装置の省電力状態を調整することが可能となる。
【0085】
<第三の実施の形態>
次に図9、図10を参照しながら、第三の実施形態の複合機がネットワークに接続された他装置の待機時間を変更する手順について説明する。図9は、複合機および他装置から取得した機能項目等のデータの一例を示す図である。図10は、複合機100が重複する機能項目に対応する待機時間を変更する実行手順を示すためのフローチャートである。第一の実施形態と比較して、第三の実施形態の異なる点は、さらに、待機時間記憶手段のテーブルおよび他装置の待機時間記憶手段のテーブルが、部材識別情報と、使用回数とを関連付けて記憶し、上記比較手段が、重複する機能項目に対応する使用回数を相互に比較して、最も多い使用回数以外の部材識別情報を取得し、上記変更手段が、上記比較手段により取得した部材識別情報に関連付けられた待機時間を、最短の待機時間よりも短い待機時間に変更するよう構成することができる。その他の点については、第一の実施形態と同様であるため、第一の実施形態の説明において用いた図面(図3乃至図5)も適宜参照しながら、第三の実施形態について説明する。
【0086】
本発明の複合機100の電源が投入されると、複合機100の比較手段303が、待機時間記憶手段301から複合機100のテーブルを参照して、自装置の機能項目と、部材識別情報と、待機時間と、使用回数とを取得するとともに、上記通信手段304により他装置の待機時間記憶手段302から他装置のテーブルを参照して、他装置の機能項目と、部材識別情報と、待機時間と、使用回数とを取得する(図10:S301→S302)。なお、上記使用回数は、複合機100または他装置がネットワーク112に接続されてからの機能を提供した回数を示す。
【0087】
続いて、比較手段303が、取得した自装置および他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する部材識別情報と待機時間とを取得する手順(図10:S303YES→S304)、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較し、最も短い待機時間を決定する手順、その最短の待機時間と目標待機時間記憶手段305のテーブルとに基づいて、最短の待機時間よりも短い変更待機時間を取得する手順(図5B、図10:S305)は、第一の実施の形態と同様であるので、省略する。なお、上記手順をコピー機能に関して実行すると、取得される変更待機時間は「5分」となる。
【0088】
変更待機時間を取得すると、比較手段303が、重複する機能項目に対応する使用回数を相互に比較して、最も多い使用回数以外の使用回数に関連付けられた部材識別情報を取得する(図10:S306)。上記部材識別情報を取得する方法は、例えば、比較手段303が、先ほど取得した重複する機能項目に対応する使用回数の中から、自装置の使用回数を取得し、さらに他装置の使用回数を取得して、自装置の使用回数と他装置の使用回数とを比較する。比較した結果、使用回数の多い方を一時記憶して、さらに別の使用回数を取得し、当該比較処理を繰り返す方法である。重複する機能項目に対応する全ての使用回数について比較手段303が上記比較処理を実行すると、最後に記憶された使用回数が、最も多い使用回数となる。なお、使用回数が同一である場合は、その同一の使用回数も一時記憶して、他装置の優先度を取得する。上記比較処理が完了すると、比較手段303は、最多の使用回数以外の使用回数に関連付けられた部材識別情報を取得する。
【0089】
例えば、図9に示すように、機能項目「コピー機能」901の場合、比較手段303が予め取得している使用回数は、複合機100に記憶されている使用回数「8回」902と後処理装置が接続された複合機に記憶されている使用回数「35回」903である。比較手段303が両方の使用回数を比較し、最も高い使用回数である「35回」903を決定する。続いて、その最高の使用回数「35回」903以外の使用回数「8回」902に関連付けられた部材識別情報「111.22.001」904を取得する。
【0090】
上記取得した部材識別情報は、取得した変更待機時間とともに、変更手段306に送信され、変更手段306は、その部材識別情報に対応する待機時間を、変更待機時間に変更する(図10:S307)。機能項目「コピー機能」の場合、変更手段306が受信した部材識別情報は「111.22.001」904であるので、その「111.22.001」904を利用して、変更手段306が、複合機100の待機時間記憶手段301に記憶されたテーブルを参照し、「111.22.001」904に関連付けられた待機時間「30分」905を変更待機時間「5分」に変更する。
【0091】
以上により、取得した機能項目のうち、一種類の機能項目について、重複する機能項目に対応する待機時間の変更は終了する。続いて、上記変更手段306が、全ての種類の機能項目について、上記と同様の処理を実行することになるが(図10:S308NO)、重複する機能項目が存在しない場合、比較手段303はその機能項目に対応する部材識別情報を変更手段306に送信せずに、その機能項目に関する処理は終了する(図10:S305NO→S309)。変更手段306が、全ての種類の機能項目について上記変更を終了すると、ネットワーク112に接続された複合機100および他装置の待機時間の変更が完了する(図10:S308YES)。
【0092】
このように、第三の実施形態では、変更手段306が、使用回数を加味して複合機100または他装置の待機時間を変更するよう構成している。
【0093】
これにより、使用するユーザの人数、画像形成装置および他装置の設置場所に大きく影響する部材の使用状況に対応して、重複する機能項目であり、使用回数の少ない部材は、迅速に省電力状態へ移行し、使用回数の最も多い部材は、通常の状態にて待機されることとなる。その結果、そこを利用するユーザやネットワークが形成された場所に応じて、ネットワーク全体の省電力効果を図ることができるとともに、ユーザへの使いやすさを損ねることはない。
【0094】
なお、第一の実施形態乃至第三の実施形態の比較手段303は、最短の待機時間と目標待機時間記憶手段305のテーブルとによって、変更待機時間を決定したが、他の方法によって、最短の待機時間よりも短い変更待機時間を決定しても構わない。例えば、最短の待機時間から予め記憶された所定時間(例えば、5分)を差し引いた時間を変更待機時間とする方法、変更待機時間を全て「0分」とする方法、予め記憶された所定時間(例えば2分)を変更待機時間とする方法、ユーザからの入力により入力された待機時間を変更待機時間とする方法等が挙げられる。
【0095】
また、第一の実施形態乃至第三の実施形態の比較手段303は、複合機100の電源が投入された時点において、比較処理等を実行するように構成したが、他の時点で実行するよう構成しても構わない。他の時点は、例えば、ユーザから省電力機能に関する設定変更の指示が入力された時点、ネットワークに新たな他装置が接続された時点、所定期間経過した時点等が挙げられる。
【0096】
また、第一の実施形態乃至第三の実施形態の比較手段303は、複合機または他装置の部材が通常の状態か省電力状態か否かに関わらず、その複合機または他装置の待機時間記憶手段に記憶された待機時間を変更するよう構成したが、さらに、部材が通常の状態か省電力状態かを検知する検知手段を備え、検知手段が通常の状態であると検知した部材に対してのみ、その待機時間を変更するよう構成しても構わない。
【0097】
また、第一の実施形態乃至第三の実施形態の比較手段303は、重複する機能項目に対応する待機時間のうち、最短の待機時間を決定するよう構成したが、さらに、ネットワーク上に記憶されている待機時間の中から、最短の待機時間を決定するよう構成しても構わない。上記構成とすると、ネットワークに接続された複合機または他装置を、より短時間で省電力状態へ移行させることが可能となる。
【0098】
また、第一の実施形態の変更手段306は、重複する機能項目のうち、最長の待機時間以外の待機時間を変更対象の待機時間としたが、他の方法によって変更対象の待機時間を決定しても構わない。例えば、ユーザからの選択によって選択された待機時間、選択された部材に対応する待機時間等を変更対象の待機時間としても構わない。その場合、最長の待機時間を決定する必要がないことは言うまでもない。
【0099】
また、第二の実施形態の優先度は、「高」と「低」で示したが、値で示しても構わない。
【0100】
また、第三の実施形態では、使用回数を利用したが、使用回数に代えて、または使用回数とともに、使用状況に関する情報を利用しても構わない。上記情報は、例えば、装置を使用した時間を示す使用時間、装置が消費した消費電力等が挙げられる。また、上記情報を全て勘案して、所定の重み付けをして、優先順位を算出し、その優先順位に従って待機時間を変更するよう構成しても構わない。
【0101】
また、第一の実施形態乃至第三の実施形態のうち、いずれか一方または全て組み合わせるよう構成しても構わない。
【0102】
また、第一の実施形態乃至第三の実施形態の通信手段304は、電力配線を利用して通信するよう構成したが、通信可能な手段であればよく、例えば、有線LAN(Local Area Network)ケーブルや無線LANを利用するよう構成しても構わない。
【0103】
また、第一の実施形態乃至第三の実施形態の通信手段304は、機能項目等を関連付けて記憶するテーブルを記憶する待機時間記憶手段と備えた他装置と通信するよう構成したが、上記テーブルを記憶していない他装置と通信しても構わない。
【0104】
また、第一の実施形態乃至第三の実施形態の他装置は、複合機に備えられた機能を少なくとも一つ以上有する装置であるが、複合機に備えられていない機能を有する装置であっても構わない。
【0105】
また、第一の実施形態乃至第三の実施形態では、複合機100が各手段を備えるよう構成したが、これに限られず、例えば、同一の省電力管理システムを構成する他装置であれば、いずれかの他装置に当該各手段を備えるよう構成しても、本発明の作用効果を奏する。もちろん、上記各手段を備えたパーソナルコンピュータを管理装置(例えば、サーバ)として同一の省電力管理システムに接続しても構わない。さらに、上記省電力管理システムに複数の複合機や複数の管理装置を備えるよう構成しても構わない。
【0106】
また、第一の実施形態乃至第三の実施形態では、複合機が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。上記構成では、上記プログラムを複合機に読み出させ、その複合機が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本発明にかかる複合機または省電力管理システムは、複写機、プリンタ、画像形成装置、それらが接続されたネットワーク等に有用であり、複合機が接続されたネットワーク全体の省電力化を図ることが可能となる画像形成装置または省電力管理システムとして有効である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】第一の実施形態の複合機の内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】第一の実施形態の複合機の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図3】第一の実施形態の複合機の機能ブロック図である。
【図4】第一の実施形態のネットワークを形成する複合機および他装置に記憶されているそれぞれのテーブルの一例を示す図である。
【図5】第一の実施形態の複合機および他装置から取得した機能項目等のデータと目標待機時間記憶手段が記憶するテーブルとの一例を示す図である。
【図6】第一の実施形態の複合機が重複する機能項目に対応する待機時間を変更する実行手順を示すためのフローチャートである。
【図7】第二の実施形態の複合機および他装置から取得した機能項目等のデータの一例を示す図である。
【図8】第二の実施形態の複合機が重複する機能項目に対応する待機時間を変更する実行手順を示すためのフローチャートである。
【図9】第三の実施形態の複合機および他装置から取得した機能項目等のデータの一例を示す図である。
【図10】第三の実施形態の複合機が重複する機能項目に対応する待機時間を変更する実行手順を示すためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
100 画像形成装置
110 PLCモデム
112 ネットワーク
301 待機時間記憶手段
302 他装置の待機時間記憶手段
303 比較手段
304 通信手段
305 目標待機時間記憶手段
306 変更手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して自装置と他装置が通信可能に接続され、自装置および他装置が提供可能な項目を示す機能項目と、当該機能を提供する部材の電源投入時または機能終了時から省電力状態への待機時間とを関連付けてテーブルとして記憶した待機時間記憶手段を備えた画像形成装置において、
自装置に電源が投入された際に、自装置の待機時間記憶手段から取得した自装置の機能項目と、他装置の待機時間記憶手段から取得した他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得する比較手段と、
重複する機能項目に対応する待機時間のいずれかを、上記比較手段により取得した最短の待機時間よりも短い待機時間に変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
さらに、自装置および他装置の待機時間記憶手段のテーブルが、機能項目が示す機能を提供する部材を一意に識別することが可能な部材識別情報とを関連付けて記憶し、
上記比較手段が、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得するとともに、最長の待機時間以外の待機時間に関連付けられた部材識別情報を取得し、
上記変更手段が、上記比較手段により取得した部材識別情報に対応する待機時間を、上記最短の待機時間よりも短い待機時間に変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
さらに、所定の待機時間の範囲を示すクラスと、そのクラスの下限値よりも短い待機時間を示す変更待機時間とを関連付けたテーブルを目標待機時間記憶手段として備え、
上記比較手段が、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得するとともに、その最短の待機時間と上記目標待機時間記憶手段のテーブルとに基づいて、上記最短の待機時間よりも短い変更待機時間を取得し、
上記変更手段が、重複する機能項目に対応する待機時間のいずれかを、上記比較手段により取得した変更待機時間に変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
さらに、自装置および他装置の待機時間記憶手段のテーブルが、機能項目が示す機能を提供する部材を一意に識別することが可能な部材識別情報と、その機能項目の優先順位を示す優先度とを関連付けて記憶し、
上記比較手段が、自装置と他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得するとともに、重複する機能項目に対応する優先度を相互に比較して、最も高い優先度以外の優先度に関連付けられた部材識別情報を取得し、
上記変更手段が、上記比較手段により取得した部材識別情報に対応する待機時間を、上記最短の待機時間よりも短い待機時間に変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
さらに、自装置および他装置の待機時間記憶手段のテーブルが、機能項目が示す機能を提供する部材を一意に識別することが可能な部材識別情報と、その機能項目に関する使用回数とを関連付けて記憶し、
上記比較手段が、自装置と他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得するとともに、重複する機能項目に対応する使用回数を相互に比較して、最も多い使用回数以外の使用回数に関連付けられた部材識別情報を取得し、
上記変更手段が、上記比較手段により取得した部材識別情報に対応する待機時間を、上記最短の待機時間よりも短い待機時間に変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
さらに、電力配線を通信回線として利用して他装置と通信する通信手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置および他装置が提供可能な項目を示す機能項目と、当該機能を提供する部材の電源投入時または機能終了時から省電力状態への待機時間とを関連付けたテーブルとして記憶した待機時間記憶手段を備えた画像形成装置および他装置をネットワークで接続した省電力管理システムにおいて、
画像形成装置または他装置に電源が投入された際に、画像形成装置および他装置の機能項目のうち、重複する機能項目に対応する待機時間の長さを相互に比較して、最短の待機時間を取得する比較手段と、
重複する機能項目に対応する待機時間のいずれかを、上記比較手段により取得した最短の待機時間よりも短い待機時間に変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする省電力管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−168866(P2009−168866A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3847(P2008−3847)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】