説明

画像形成装置のトナー容器の配置構造、画像形成装置

【課題】透明トナー等の重たくて交換頻度の多いトナー容器のセット位置を取り扱い易い位置に配置して操作性を向上させ、交換作業を楽にするとともに、ユーザーの負担を減らす。
【解決手段】トナーボトル収納部5のシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー用のトナーボトル収納部8C〜8Kより下方に透明トナー等の5種類目のトナーを入れたトナーボトルを収納するためのトナーボトル収納部8Tを設ける。その高さ位置は、例えば日本人女性Fの肘Eまでの高さの平均位置と設定する。すると平均的な体形の日本人女性が装置の前に立ち、腕を直角に曲げてトナーボトル収納部5の前面に向けて突き出すと、トナーボトル収納部8C等は手Hの若干上側に、交換頻度が高い透明トナー用のトナーボトルを収納するトナーボトル収納部8Cは手Hの若干下側に位置し、交換等の作業が容易に行い得る配置となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置における複数本のトナー容器の配置構造と、これを用いてトナー容器を着脱可能に備え得る、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のトナー容器(以下、必要に応じてトナーボトルと記載する。)からトナー供給を受けて画像形成を行う画像形成装置、例えば、それぞれカラートナーを収納した複数種類のトナーボトルを備えるカラー画像形成装置にあっては、画像形成装置本体内におけるトナーボトルが占めるかなりの容積を占めるため、これらトナーボトルの配置は重要な技術的課題である。
【0003】
カラー画像形成装置においては、一般にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナーを用いるため、4本の、あるいは4個のトナーボトルを装備するのが通常となっているが、これらトナーボトルを水平に配置するもの、斜めに配置するもの、さらには垂直に配置するもの等々種々の構造が提案され、実用化されている。
【0004】
ところが近年、消費量の多いトナー用に割り当てる容量の多いトナーボトルを用いた画像形成装置や、5本目あるいはそれ以上の本数のトナーボトルを備えるようにした画像形成装置が提案されている。このような画像形成装置では、5本目以降のトナーボトルは、上述のようにブラック(K)等の消費量が多いトナー用に当てられることが多い。
【0005】
一方、透明トナーのようにグロスラミネートのような表面加工用の剤を収納したトナーボトルを用いる画像形成装置も提案されており、このような画像形成装置に置いても前述の5本以上のトナーボトルを使用する画像形成装置と同様に、あるいはそれ以上にトナーボトルの配置が問題になることがある。
【0006】
すなわち、透明トナーをグロスラミネートのような表面加工用に使用すると、用紙等の記録媒体の表面全体に塗布されることが想定され、使い方によってはシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナーよりも多く消費する可能性がある。この点を考慮すると、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナーボトルは共通サイズ、すなわち同一の大きさ、形状で、識別のための構造だけが異なるようにすることも可能であるが、消費量を考慮すると、他のトナーボトルよりもサイズを大きくすることも考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、サイズの違いにかかわらず、表面加工用に使用するトナー等では、高速の画像形成装置においては、いずれにしても交換頻度が大きくなり、それに対する対策が必要となる。
【0008】
これについては、トナーボトルのサイズが大きければ大きいほど交換頻度を抑えることができることはもちろんであるが、画像形成装置内のスペースにその分の余裕を必要とすることや、交換頻度が減ると、肉体的負担が軽減されるものの、新品の大きなトナーボトルの装着を力の弱い女性や高齢者のオペレーターが取り扱う場合には非常に取り扱いにくくなる点を考慮する必要が生じる。特に、透明トナーは使い方によっては他の4色よりも使用量が非常に多くなる可能性があり、交換頻度もさらに多くなるので、交換頻度や重量がユーザーやオペレーターにとって明らかに負担となってしまうという問題を生じる。
【0009】
そこで本発明においては、透明トナー等の重たくて交換頻度の多いトナーボトルのようなトナー容器の交換を楽に行うことができるセット位置の配置構造を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係るものは、トナー容器を挿抜可能なトナー収容部を複数備えた画像形成装置における、前記トナー収容部の配置構造であって、前記トナー収容部のうち少なくとも一つのトナー収容部を、他のトナー収容部よりもユーザーの立ち位置における該ユーザーの肘の位置に対応させて配置してなることを特徴とするトナー収容部の配置構造である。
【0011】
同請求項2に係るものは、請求項1のトナー収容部の配置構造において、ユーザーの肘の位置に対応させて配置する前記トナー収容部の位置が、前記トナー収容部の他のトナー収容部よりも低い位置にあることを特徴とするトナー収容部の配置構造である。
【0012】
同請求項3に係るものは、請求項2のトナー収容部の配置構造において、前記トナー収容部の他のトナー収容部が、ユーザーの肘の位置よりも高い位置にあることを特徴とするトナー収容部の配置構造である。
【0013】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかのトナー収容部の配置構造において、ユーザーの肘の位置に対応させて配置する前記トナー収容部に収納するトナー容器が、前記トナー収容部の他のトナー収容部に収納するトナー容器よりもサイズが大きいことを特徴とする請求項1のトナー収容部の配置構造である。
【0014】
同請求項5に係るものは、請求項1から4のいずれかのトナー収容部の配置構造において、ユーザーの肘の位置に対応させて配置する前記トナー収容部に収納するトナー容器が、前記トナー収容部の他のトナー収容部に収納するトナー容器とは異なる形状を有することを特徴とする請求項1のトナー収容部の配置構造である。
【0015】
同請求項6に係るものは、画像形成手段と、請求項1から5のいずれかのトナー収容部の配置構造とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】

本発明によれば、透明トナー等の重たくて交換頻度の多いトナーボトルのようなトナー容器のセット位置を、他のもののセット位置よりも取り扱い易い位置に配置することで、操作性を向上させ、交換作業を楽に行うことができるようにするとともに、ユーザーの負担を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実例を示す正面部分図
【図2】図1の要部拡大正面図
【図3】本発明に係る画像形成装置の一実例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
トナー容器のうちで重たくて頻度の多い追加的なものでも交換が楽になるように、そのようなトナー容器を可能な限り下方に配置して上述の目的を実現した。
【実施例】
【0019】
<実施例1>
図1は本発明に係る画像形成装置の一実例を示す正面部分図、図2はその要部拡大正面図である。図示の例の画像形成システムは、図の中央に位置する画像形成ユニット1に、大量給紙ユニット2と排紙ユニット3を組み合わせて構成してある。画像形成ユニット1は、上面の排紙ユニット3寄りの位置に自動原稿給紙装置(ADF)4を設け、その右側の大量給紙ユニット2側にトナーボトル収納部5を備えている。また、トナーボトル収納部5の天井面上部には操作用ディスプレイ6がアーム7を介して角度可変に設けてある。画像形成ユニット1の下部には給紙部を備えるが、図示は省略してある。
【0020】
トナーボトル収納部5は、内部にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナー用のトナーボトル収納部8C、8M、8Y、8Kを備え、各収納部は図示しないトナーボトルを挿抜可能とするための挿入孔9C、9M、9Y、9Kを備えるとともに、トナーボトル収納部8Kの直下位置に透明トナー等の5種類目のトナー(その他の剤でもよいが、説明を簡単にするために、本明細書ではトナーとして説明する。)を入れたトナーボトル(図示せず)を挿抜可能に収納するためのトナーボトル収納部8Tが設けてある。このトナーボトル収納部8Tにも、トナーボトルを挿抜可能とするための挿入孔9Tが設けてある。
【0021】
図中10は、上述したトナーボトル収納部5の全面に回動開閉可能に設けた扉である。扉10の回動支点は、図示の例では大量給紙ユニット2側としてあるが、逆側でもよいし、上方へ、あるいは下方へ回動して開閉するものであってもよい。
【0022】
ところで、例えば日本人女性Fの肘Eまでの高さの平均は963.9mmであるが(英国貿易産業省人間寸法データより)、本実施例の装置では、図3に示すように、この高さがトナーボトル収納部5のトナーボトル収納部8C、8M、8Y、8Kの下縁あたりとなるように設定してある。したがって、ユーザーである平均的な体形の女性が図示の例の装置の前に立ち、腕を図3に示すように直角に曲げてトナーボトル収納部5の前面に向けて突き出すと、トナーボトル収納部8C等は手Hの若干上側に(例えば、床から1132mmの高さ位置)、交換頻度が高い透明トナー用のトナーボトルを収納するトナーボトル収納部8Cは手Hの若干下側(例えば、床から936mmの高さ位置)に位置する。
【0023】
本願出願人が研究したところでは、平均的な体格のユーザーが楽な操作位置は、床から680mm〜900mmであり、トナーボトルのセットに関しても、同様の寸法であるため、肘Eよりも低い位置の方が操作性が良く、したがって、交換頻度が5本目のトナーボトルである透明トナー用のトナーボトルを収納するトナーボトル収納部8Tはちょうど操作性の良い箇所に位置することになり、交換が女性や老齢者であっても比較的容易に行い得る配置となる。
【0024】
<実施例2>
図示は省略するが、本発明の実施例2としては、透明トナー用のトナーボトルのサイズを、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナー用のトナーボトルよりも大きくし、その分、交換頻度を減らせるようにすることができる。
【0025】
<実施例3>
またこれも図示は省略するが、本発明の実施例3としては、透明トナー用のトナーボトルの外形状を、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナー用のトナーボトルと異ならせ、交換作業の際に容易には間違えないようにすることができる。
【0026】
<実施例4>
さらにこれも図示は省略するが、本発明の実施例4としては、透明トナー用のトナーボトルのサイズを、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナー用のトナーボトルよりも大きくし、かつ、透明トナー用のトナーボトルの外形状を、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナー用のトナーボトルと異ならせることができる。
【0027】
なお、本発明はトナーボトルの収容部が上述してきた各実施例の数値の位置に限定されるものでないことは当然である。また、交換頻度が高い等の理由で操作量が多いトナーボトルについては、他の通常使用されるトナーボトルの収納部よりも下側の位置とするとよいが、本発明は他よりも下方に位置させるトナーボトルは交換頻度が高いものには限定されず、種々の条件、例えば製造者側の条件や、ユーザビリティーを考慮した条件、サービスの容易性を考慮した条件等々により自由に位置を採用、決定すれば良いものである。
【0028】
また、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナー用のトナーボトル収納部8C、8M、8Y、8Kをいわゆるタンデムタイプの画像形成装置のように斜めに配置する場合には、トナーボトル収納部8Tはトナーボトル収納部8Cに関して上あるいは下の関係というよりも、ユーザー(日本人女性F)の肘Eの高さ位置EHを基準に決めることが好ましいので、図示の例のように必ずしもトナーボトル収納部間の上下関係を条件とすることは必要ではない。
【0029】
なお、上述の説明では「日本人女性の肘までの高さ」を例にとって説明したが、欧州向けの機器であれば欧州女性の同様の高さ寸法を基準とすればよいし、米国向けでは、米国女性の同様の高さ寸法を基準とすればよく、本発明はこの点でも上述の例そのものには限定されない。
【符号の説明】
【0030】
1:画像形成ユニット
2:大量給紙ユニット
3:排紙ユニット
4:自動原稿給紙装置(ADF)
5:トナーボトル収納部
6:操作用ディスプレイ
7:アーム
8C、8M、8Y、8K、8T:トナーボトル収納部
9C、9M、9Y、9K、9T:トナーボトルの挿入孔
10:トナーボトル収納部の扉
F:日本人女性
E:日本人女性の肘
H:同じく手
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開2008−134524号公報
【特許文献1】特開2007−183500号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー容器を挿、抜可能なトナー収容部を複数備えた画像形成装置における、前記トナー収容部の配置構造であって、
前記トナー収容部のうち少なくとも一つのトナー収容部を、他のトナー収容部よりもユーザーの立ち位置における該ユーザーの肘の位置に対応させて配置してなることを特徴とするトナー収容部の配置構造。
【請求項2】
請求項1のトナー収容部の配置構造において、
ユーザーの肘の位置に対応させて配置する前記トナー収容部の位置が、前記トナー収容部の他のトナー収容部よりも低い位置にあることを特徴とするトナー収容部の配置構造。
【請求項3】
請求項2のトナー収容部の配置構造において、
前記トナー収容部の他のトナー収容部が、ユーザーの肘の位置よりも高い位置にあることを特徴とするトナー収容部の配置構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかのトナー収容部の配置構造において、
ユーザーの肘の位置に対応させて配置する前記トナー収容部に収納するトナー容器が、前記トナー収容部の他のトナー収容部に収納するトナー容器よりもサイズが大きいことを特徴とする請求項1のトナー収容部の配置構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかのトナー収容部の配置構造において、
ユーザーの肘の位置に対応させて配置する前記トナー収容部に収納するトナー容器が、前記トナー収容部の他のトナー収容部に収納するトナー容器とは異なる形状を有することを特徴とする請求項1のトナー収容部の配置構造。
【請求項6】
画像形成手段と、請求項1から5のいずれかのトナー収容部の配置構造とを備えることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−189728(P2012−189728A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52257(P2011−52257)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】