画像形成装置の定着装置
【課題】 薄膜化された金属導電層を有するヒートローラが、定着終了後に再度定着位置に到達するまでに所定の定着温度に復帰するよう、誘導加熱コイルをリアルタイムに制御して、定着性向上による画質向上を図る。
【解決手段】 温度センサ32a、32bの検知結果によりヒートローラ27の温度制御を行うとともに、定着操作が開始された場合は、位置センサ9を用いてヒートローラ27の温度低下領域が誘導加熱コイル30、40、50に到達するタイミングを把握して、誘導加熱コイル30、40、50の電力値を上げて、ヒートローラ27の全ての領域を定着可能温度に復帰する。
【解決手段】 温度センサ32a、32bの検知結果によりヒートローラ27の温度制御を行うとともに、定着操作が開始された場合は、位置センサ9を用いてヒートローラ27の温度低下領域が誘導加熱コイル30、40、50に到達するタイミングを把握して、誘導加熱コイル30、40、50の電力値を上げて、ヒートローラ27の全ての領域を定着可能温度に復帰する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に搭載され、誘導加熱を利用してトナー像を用紙に加熱定着する画像形成装置の定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に使用される定着装置として、ヒートローラ及び加圧ローラからなる一対のローラ間、あるいは同様のベルト間に形成されるニップにシート紙を挿通し、トナー像を加熱加圧定着する定着装置がある。この様な加熱式の定着装置として従来、ヒートローラあるいは加熱ベルト表面の金属導電層を誘導加熱方式で加熱する装置がある。誘導加熱方式は、誘導加熱コイルに所定の電力を供給して磁界を発生させ、磁界により金属導電層に生じる渦電流によって金属導電層を瞬時に加熱して、ヒートローラあるいは加熱ベルトの加熱を行うものである。
【0003】
このような誘導加熱方式の定着装置において、従来、ヒートローラあるいは定着ベルトの表面を傷つけることなく温度検知して温度制御するために、定着ベルトの内周面に温度センサを配置して温度制御する装置が開示されている。(例えば特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2002−82549号公報(第13頁、図6) また従来、励磁コイルにより発熱される中間転写ベルト表面側を非接触の温度検知装置により温度検知する装置が開示されている。(例えば特許文献2参照。)
【特許文献2】特開2003−35601号公報(第3〜4頁、第7、8頁、図1、図3、図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら(特許文献1)の温度センサは定着ベルトのニップ位置下流にて、励磁コイルより下流に設けられている。このため定着時に温度低下された定着ベルトの温度を検知して、次にニップに到達するまでに定着ベルトを所定温度に加熱復帰させるというリアルタイムでの制御を行うことができない。また、定着ベルトの内側で温度を検知することから、検知結果は定着面側の温度との誤差を生じる恐れがある。
【0005】
また(特許文献2)の非接触の温度検知装置は、励磁コイル位置に到達した転写ベルト温度を検知していて、定着時に温度低下された転写ベルト温度を次の定着時までにリアルタイムで制御するものではない。
【0006】
これに対して近年誘導加熱方式の定着装置において、ヒートローラ表面に熱容量の小さい薄膜化された金属導電層を設けて、金属導電層の更なる高速加熱を図るとともに、より一層の省エネルギー化を図る定着装置が開発されている。このような熱容量の小さい薄膜化された金属導電層を有するヒートローラは、定着操作による温度低下が大きい。このためニップ位置通過後、次にヒートローラの同位置がニップに達するまでに温度低下分を直ちに加熱しないと、次にヒートローラの同位置による定着温度が不十分になる。定着による温度低下分を補充する加熱が間に合わないと、ヒートローラの表面温度の違いが定着画像に現れ、同一画像上にて、光沢の異なる温度リップル跡を生じ、画質の低下を生じる。
【0007】
そこで本発明は上記課題を解決するものであり、誘導加熱コイルにより金属導電層を加熱する定着装置において、定着によるヒートローラの温度低下にかかわらず、次にヒートローラがニップ位置に到達するまでにヒートローラを定着可能温度まで加熱して、定着画像上に温度リップル跡が生じるのを解消するよう定着性能を向上し、高画質を得る画像形成装置の定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するための手段として、金属導電層を有するエンドレスの加熱部材と、前記加熱部材に圧接してニップを形成し前記加熱部材と共にトナー像を有する被定着媒体を所定方向に挟持搬送する加圧部材と、前記加熱部材の外周に配置され、前記金属導電層に誘導電流を発生させる誘導加熱コイルと、前記加熱部材の前記ニップ通過領域の温度を検知する温度センサと、前記加熱部材の前記ニップ通過領域が、次に前記ニップに到達するまでに、前記加熱部材を所定温度に復帰するように前記誘導加熱コイルを制御する制御装置とを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、誘導加熱コイルによる加熱部材のリアルタイムでの温度制御が可能であることから、必要以上に電力を消費する事が無く、定着装置の省エネルギー化を得られる。また、ニップ到達時には加熱部材を常に一定の定着可能温度に維持出来、安定した定着を得られ、定着画像上にリップル跡を生じることが無く、良好な定着性能による画質向上を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、加熱部材のニップの下流に温度センサを配置し、更にその下流に誘導加熱コイルを配置する。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施例1について図1乃至図6を用いて説明する。図1は本発明の実施例1の定着装置26を搭載してなる画像形成装置1を示す概略構成図である。画像形成装置1は画像形成部2に被定着媒体である用紙Pを供給するカセット機構3を備え、上面には自動原稿送り装置4により供給される原稿Dを読取るスキャナ部6を備える。カセット機構3から画像形成部2に至る搬送路7上にはレジストローラ8が設けられる。レジストローラ8手前には、用紙Pの通過を検知する位置センサ9が設けられる。
【0012】
画像形成部2は、感光体ドラム11周囲に、感光体ドラム11の矢印qの回転方向に従い順次感光体ドラム11を一様に帯電する帯電装置12、帯電された感光体ドラム11にスキャナ装置6からの画像データに基づき潜像を形成するレーザ露光装置13、現像装置14、転写チャージャ16、剥離チャージャ17、クリーナ18、除電LED20を有している。画像形成部2は、周知の電子写真方式による画像形成プロセスにて感光体ドラム11上にトナー像を形成し、用紙Pに転写する。
【0013】
画像形成部2の用紙P搬送方向下流には、トナー像を転写された用紙Pを排紙部21方向に搬送する排紙搬送路22が設けられる。排紙搬送路22上には、感光体ドラム11から剥離された用紙Pを定着装置26に搬送する搬送ベルト23、定着装置26通過後の用紙Pを排紙部21に排出する排紙ローラ24が設けられる。
【0014】
次に定着装置26について述べる。図2は定着装置26を示す概略構成図、図3は定着装置26を示す概略側面図であり、図4はヒートローラ27を加熱する制御系100を示すブロック図である。定着装置26は、エンドレス部材であるヒートローラ27と、このヒートローラ27に圧接する加圧部材である加圧ローラ28を有する。更に定着装置26は、ヒートローラ27の外周に、約3mmのギャップを介して、ヒートローラ27を加熱する100V電源用の誘導電流発生手段である誘導加熱コイル30、40、50を有する。誘導加熱コイル30、40、50はヒートローラ27と略同軸形状となっている。
【0015】
更にヒートローラ27の外周には、ヒートローラの矢印rの回転方向に沿って、定着後の用紙Pの巻きつきを防止する剥離爪31、ヒートローラ27の表面温度を非接触で検出するサーモパイル式の赤外線温度センサ32a、32b、ヒートローラ27の表面温度の異常を検知して、加熱を遮断するためのサーモスタット33及び、クリーニングローラ34が設けられる。ヒートローラ27は芯金27a周囲に厚さ5mmの発泡ゴム27b、ニッケル(Ni)からなる厚さ40μmの金属導電層27c、厚さ200μmのソリッドゴム層27d及び、厚さ30μmの離型層27eを順に形成され、φ40mmとされる。ソリッドゴム層27d及び離型層27eは保護層を構成する。
【0016】
加圧ローラ28は、芯金28aの周囲にシリコンゴムあるいはフッ素ゴム等の表面層28bを被覆してなり、φ40mmとされる。加圧ローラ28は軸28cを加圧スプリング36により付勢され、ヒートローラ27に対して圧接される。これによりヒートローラ27及び加圧ローラ28間に一定幅のニップ29が形成される。また加圧ローラ28周囲には、矢印sの回転方向に沿って加圧ローラ28から用紙Pを剥離する剥離爪38、クリーニングローラ37が設けられる。
【0017】
誘導加熱コイル30、40、50は、それぞれ駆動電流の供給により磁界を生じ、この磁界により金属導電層27cに渦電流を発生させて、金属導電層27cを加熱する。各誘導加熱コイル30、40、50は、ヒートローラ27の長手方向のA、B、Cの領域をそれぞれ加熱する。各誘導加熱コイル30、40、50は、長さが異なるもののその構造は同じである。誘導加熱コイル30、40、50は、磁性体コア30a、40a、50aに電線30b、40b、50bを12ターンしてなっている。
【0018】
誘導加熱コイル30、40、50は、磁性体コア30a、40a、50aを用いる形状とすることにより、電線30b、40b、50bの巻き数を減らしてその小型化を得ている。また誘導加熱コイル30、40、50は、磁性体コア30a、40a、50aを用いる形状とすることにより、磁束を集中でき、ヒートローラ27を局部的に加熱可能となっている。
【0019】
電線30b、40b、50bは、耐熱性のポリアミドイミド銅線を用いた、電線30b、40b、50bは、線径0.5mmの銅線材を16本束ねたリッツ線からなっている。電線30b、40b、50bを、リッツ線にすることで、電線30b、40b、50bの銅損を抑えることが出来、交流電流を有効に流すことが可能になる。
【0020】
ヒートローラ27の両側の領域B、Cを加熱する誘導加熱コイル40、50は直列接続され、同じ制御で駆動される。A4横サイズやA3サイズの大きい用紙を定着する場合、あるいはA4縦サイズやその他の小さいサイズの用紙を定着する場合に応じて、各誘導加熱コイル30、40、50の駆動比率を制御して、ヒートローラ27の長手方向の温度分布を均一化する。
【0021】
次にヒートローラ27を加熱する制御系100について述べる。図4のブロック図に示すようにヒートローラ27を加熱する制御系100は、誘導加熱コイル30、40、50に駆動電流を供給するインバータ回路60、インバータ回路60に100V直流電源を供給する整流回路70、画像形成装置1全体を制御し、位置センサ9による用紙Pの検知結果等が入力されるとともに、赤外線温度センサ32a、32bの検出結果に応じてインバータ回路60を制御するCPU80を有する。CPU80は、赤外線温度センサ32a、32bの検出結果に応じて、誘導加熱コイル30あるいは誘導加熱コイル40、50のいずれか一方のみが出力するように駆動しても良いし、誘導加熱コイル30及び誘導加熱コイル40、50の両方を同時に駆動しても良い。
【0022】
整流回路70は100V用であり、商用交流電源71からの電流を100Vの直流に整流して、インバータ回路60に供給する。整流回路70と商用交流電源71との間には、電力モニタ72が接続され、商用交流電源71から提供される電力を検知して、CPU80にフィードバックしている。
【0023】
インバータ回路60は、自励式の準E級回路を用いている。インバータ回路60の誘導加熱コイル30には共振用の第1のコンデンサ61aが並列に接続されて第1の共振回路61を構成し、直列に接続される誘導加熱コイル40、50には共振用の第2のコンデンサ62aが並列に接続されて第2の共振回路62を構成する。第1の共振回路61には第1のスイッチング素子63aが直列に接続されて第1のインバータ回路63を構成し、第2の共振回路62には第2のスイッチング素子64aが直列に接続されて第2のインバータ回路64を構成する。スイッチング素子63a、64aは、高耐圧、大電流で使用可能なIGBTが用いられる。スイッチング素子63a、64aはMOS−FET等でも良い。
【0024】
スイッチング素子63a、64aの制御端子には、スイッチング素子63a、64aをONさせるためのIGBT駆動回路66、67がそれぞれ接続されている。CPU80は、IGBT駆動回路66、67の印加タイミングを制御する。インバータ回路60は、CPU80によりスイッチング素子63a、64aのON時間を制御することにより周波数を20〜60kHzに可変する。各誘導加熱コイル30、40、50は駆動電流の周波数20〜60kHzに応じて電力値を制御され、各誘導加熱コイル30、40、50の電力値により、金属導電層27cの発熱量が変動され、ヒートローラ27が温度制御される。
【0025】
誘導加熱コイル30、40、50は、定着開始時には、電力値1100Wで、ヒートローラ27を所定の定着可能温度である160℃にウォームアップする。ヒートローラ27の金属導電層27cの熱容量が小さいので約40秒程度でウォームアップされる。一方金属導電層27cの熱容量が小さいことから、ニップ29を通過して定着を行った後は、ヒートローラ27の表面温度は少なくとも5℃から10℃程度温度低下する。
【0026】
誘導加熱コイル30、40、50はヒートローラ27の温度低下の大きさに応じて、ヒートローラ27を加熱する。ヒートローラ27を加熱するための誘導加熱コイル30、40、50の電力値は、ヒートローラ27を10℃以上加熱する場合は900W、ヒートローラ27を5℃から10℃加熱する場合は600W、ヒートローラ27の加熱温度が5℃未満の場合は400Wとする。
【0027】
次に赤外線温度センサ32a、32bは、図5に示すように、ハウジング100に設けられるシリコン基板101上にポリシリコンとアルミニウムからなる薄膜熱電対を多数直列に接続したサーモパイル102を有する。ハウジング100はシリコンレンズ103を有し、ヒートローラ27からの赤外線をサーモパイル102に集光する。赤外線を受光することによりサーモパイル102に発生した温接点部の温度変化を、熱電対の起動電力としてCPU80に出力する。
【0028】
サーモパイル式の赤外線温度センサ32a、32bは薄膜熱電対の温接点部の熱容量を小さくした構造となっているので、温度応答性が高い。サーモパイル式の赤外線温度センサ32a、32bは、非接触で対象物の温度を測定する。サーモパイル式の赤外線温度センサ32a、32bは、従来の非接触のサーミスタ式の温度センサ等に対して約20倍程度応答速度が速い。サーミスタ式の温度センサは、温度に応じて抵抗値が変化する金属酸化物にかかる電圧値の変化を出力するものである。CPU80は赤外線温度センサ32a、32bの検知結果に応じて各誘導加熱コイル30、40、50の駆動電流の周波数を制御して、誘導加熱コイル30、40、50に与える電力値を制御する。
【0029】
ヒートローラ27周囲にて、赤外線温度センサ32a、32bは、図6に示すように、矢印r方向に回転するヒートローラ27の、加圧ローラ28とのニップ29の下流であって、誘導加熱コイル30、40、50に達するまでの間に配置される。ヒートローラ27の軸αを中心とする、ヒートローラ27周囲の、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置βから誘導加熱コイル30、40、50の上流側端部との対抗位置γまでの配置位置θ(°)は、
θ(°)>S1×t×360/(2πr)
となっている。S1はヒートローラ27の回転速度、rはヒートローラ27の半径、tは赤外線温度センサ32a、32bの応答速度である。またヒートローラ27周囲の、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置βは、赤外線温度センサ32a、32bのシリコンレンズ103の光軸の中心の延長とヒートローラ27との交点である。赤外線温度センサ32a、32bのシリコンレンズ103の光軸は、必要に応じて任意の方向に設定可能である。本実施例では、誘導加熱コイル30、40、50の上流側端部は、電線30b、40b、50bの上流側端部とされているが、各種磁性体コア30a、40a、50aの形状によっては、誘導加熱コイル30、40,50の上流側端部は、磁性体コア30a、40a、50aの上流側端部の突起外側部であっても良い。
【0030】
赤外線温度センサ32a、32bをヒートローラ27の周囲にて上記のように配置することにより、ニップ29通過後のヒートローラ27の温度を検知して、検知結果に応じて、ヒートローラ27上のニップ通過位置を誘導加熱コイル30、40、50によりリアルタイムに加熱可能となる。
【0031】
本実施例にて、ヒートローラ27の回転速度S1を130mm/sec、赤外線温度センサ32a、32bの応答速度tを0.1secとした時、ヒートローラ27の半径rが20mmであることから、ヒートローラ27周囲の温度検知位置βから対抗位置γまでの配置位置θ(°)は、θ(°)>38(°)であれば良い。但し本実施例にあっては、CPU80での処理速度も考慮して、θ(°)=70(°)となるように、赤外線温度センサ32a、32bを配置している。ここでヒートローラ27の回転速度S1は、画像形成部2のプロセス速度と同じになっている。
【0032】
次に作用について述べる。画像形成プロセスの開始により画像形成部2では矢印q方向に回転する感光体ドラム11が、帯電装置12により一様に帯電され、レーザ露光装置13により原稿情報に応じたレーザ光を照射され静電潜像を形成される。次いで静電潜像は現像装置14により現像され、感光体ドラム11上にトナー像が形成される。
【0033】
感光体ドラム11上のトナー像は、転写チャージャ16にて用紙Pに転写される。次いで用紙Pは感光体ドラム11から剥離され、この後定着装置26の矢印r方向に回転され、誘導加熱コイル30、40、50により160℃に加熱されるヒートローラ27及び矢印s方向に回転される加圧ローラ28間のニップ29に挿通され、トナー像を加熱加圧定着される。
【0034】
このトナー像を定着する間、定着装置26では、赤外線温度センサ32a、32bにより、ニップ29を通過した定着終了後の、温度低下されたヒートローラ27の表面温度を検知する。CPU80は、赤外線温度センサ32a、32bからの検知結果により、ヒートローラ27の表面温度と定着可能温度160℃との温度差に応じて、インバータ回路60のスイッチング素子63a、64aのON時間を制御して、誘導加熱コイル30、40、50への駆動電流の周波数を変動する。駆動電流の周波数に応じて、誘導加熱コイル30、40、50の電力値が制御される。
【0035】
例えば、赤外線温度センサ32a、32bが、ヒートローラ27の表面温度155℃を検知すると、CPU80は、定着可能温度160℃との温度差5℃を算出して、インバータ回路60を制御して誘導加熱コイル30、40、50に電力値600Wを出力させる。赤外線温度センサ32a、32bによるヒートローラ27の表面温度の検知から、誘導加熱コイル30、40、50の電力値の出力までの時間は、赤外線温度センサ32a、32bの応答速度0.1secと、CPU80の処理速度とを必要とする。
【0036】
但し、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置βから誘導加熱コイル30、40の上流側端部との対抗位置γまでの配置位置θ(°)が70°となっている。従って、ヒートローラ27の温度低下された領域が誘導加熱コイル30、40、50に到達する前に、誘導加熱コイル30、40、50は十分出力可能であり、誘導加熱コイル30、40、50は、ヒートローラ27の温度低下された領域が、次にニップ29に達するまでに、定着可能温度の160℃に加熱復帰させることとなる。
【0037】
これによりニップ29におけるヒートローラ27の表面温度は、常に定着可能温度の160℃に加熱されていて、用紙Pに形成されるトナー像は、温度リップル跡を生じることなく、均質に定着される。尚、このように定着を行う間、用紙Pの厚さや材質あるいは環境変化により、赤外線温度センサ32a、32bの検出温度と定着可能温度160℃との温度差が変動した場合は、CPU80は、温度差に従い、インバータ回路60を制御して誘導加熱コイル30、40、50の出力電力値を変動し、ニップ29におけるヒートローラ27の表面温度を常に定着可能温度の160℃に制御する。
【0038】
定着終了後は、赤外線温度センサ32a、32bの検出温度に従い、インバータ回路60のON−OFF制御によりヒートローラ27を160℃の定着可能温度に維持制御して、次の定着操作を待機することとなる。
【0039】
本実施例によれば、ヒートローラ27の温度を検知する赤外線温度センサ32a、32bを、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置βから誘導加熱コイル30、40の上流側端部との対抗位置γまでの配置位置θ(°)が、ヒートローラ27の軸αを中心に、θ(°)>S1×t×360/(2πr)となるように配置している。そして、赤外線温度センサ32a、32bの検知結果に応じて、誘導加熱コイル30、40、50はCPU80により制御されて、ヒートローラ27の温度低下領域が誘導加熱コイル30、40、50に到達するまでに必要な電力値を出力し、ヒートローラ27を定着可能温度に復帰する。
【0040】
従ってヒートローラ27は、ニップ29位置での定着操作により温度低下を生じても、次にニップ29に到達するまでに、誘導加熱コイル30、40、50により必要な発熱量を与えられ、リアルタイムに定着可能温度に復帰し、良好な定着を行うことが出来る。
【0041】
すなわち、厚さが40μmと薄く熱容量が小さい金属導電層27cを、定着操作により生じた温度低下分を補充するのに必要な電力値で励磁される誘導加熱コイル30、40、50により瞬時に加熱して、ヒートローラ27をリアルタイムに定着可能温度の160℃に加熱復帰することにより、必要以上に電力を消費することが無く、定着装置26の省エネルギー化を実現できる。また、用紙Pの厚さや材質あるいは環境温度の変動にかかわらず、ニップ29に到達するヒートローラ27の表面温度を、常に定着可能温度160℃に設定出来、トナー像を一定温度で定着でき、定着画像上にリップル跡を生じることが無く良好な定着性能による画質向上を得られる。
【実施例2】
【0042】
次に本発明の実施例2について図7乃至図9を用いて説明する。本実施例2は、実施例1におけるヒートローラを定着ベルトとするものであり、他は実施例1と同様である。従ってこの実施例2にあっては、前述の実施例1で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0043】
本実施例の図7に示す定着装置126は、エンドレスの加熱部材である周長70×π(mm)の定着ベルト127を、低熱伝導性ローラ128及びバックアップローラ130間に掛け渡している。低熱伝導性ローラ128位置にて定着ベルト127には加圧ローラ28が圧接され、定着ベルト127及び加圧ローラ28間に一定幅のニップ129が形成される。定着ベルト127の矢印v方向の回転方向に沿って、ニップ129の下流には、定着後の用紙Pの巻きつきを防止する剥離爪131、ヒートローラ27の表面温度を非接触で検出するサーモパイル式の赤外線温度センサ32a、32b、定着ベルト127の表面温度の異常を検知して、加熱を遮断するためのサーモスタット33が設けられる。
【0044】
更に定着ベルト127のサーモスタット33の下流には、約3mmのギャップを介して、定着ベルト127を加熱する100V電源用の誘導電流発生手段である誘導加熱コイル130、140、150が設けられる。
【0045】
定着ベルト127は、図8に示すように40μm厚さのニッケル(Ni)基材127aの表面に、弾性力を有するシリコンゴム127bを300μm被覆し、更に離型性を付与するためにフッ素樹脂からなる離型層127cを30μm被覆してなる3層ベルトとなっている。定着ベルトの基材は、導電性を有するものであれば、SUS、あるいはポリイミド樹脂に金属層をコーティングしたものであっても良い。
【0046】
低熱伝導性ローラ128は、表面が低硬度の弾力性を有する発泡シリコンスポンジにより直径30mmに構成される。バックアップローラ130は、直径20mm、厚み0.5mmのセラミックからなる。バックアップローラ130は、鉄、SUS304、その他アルミニウム等で構成しても良い。
【0047】
誘導加熱コイル130、140、150は、磁性体コア30a、40a、50aを平板状にして定着ベルト127の平面部に平行に配置する他は、実施例1の誘導加熱コイル30、40、50と同じ構造となっている。
【0048】
定着ベルト127周囲にて、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置δから誘導加熱コイル130、140、150の上流側端部との対抗位置εまでの距離Lは、L>S2×tとなっている。S2は定着ベルト127の回転速度、tは赤外線温度センサ32a、32bの応答速度である。定着ベルト127周囲の、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置δは、赤外線温度センサ32a、32bのシリコンレンズ103の光軸の中心の延長と定着ベルト127との交点である。ここで誘導加熱コイル130、140、150の上流側端部とは、誘導加熱コイル130、140、150の電線の上流側端部であっても良いし、磁性体コアの上流側端部の突起外側部であっても良い。
【0049】
本実施例では定着ベルト127の回転速度S2が130mm/sec、赤外線温度センサ32a、32bの応答速度tが0.1secであることから定着ベルト127周囲の温度検知位置δから対抗位置εまでの距離Lは、L>13mmであれば良い。但し実際には、CPU80での処理速度も考慮して、
L=30mmとなるように、赤外線温度センサ32a、32bを配置している。
【0050】
赤外線温度センサ32a、32bを上記のように配置することにより、ニップ129通過後の定着ベルト127の温度を検知して、検知結果に応じて、定着ベルト127上のニップ通過位置を誘導加熱コイル130、140、150によりリアルタイムに加熱可能となる。
【0051】
本実施例では、画像形成部2で用紙Pにトナー像を形成後、定着装置126の定着ベルト127及び加圧ローラ28間のニップ129に用紙Pを挿通してトナー像を加熱加圧定着する。トナー像を定着する間、定着装置126では、赤外線温度センサ32a、32bにより、ニップ129を通過した定着終了後の、温度低下された定着ベルト127の表面温度を検知する。
【0052】
CPU80は、赤外線温度センサ32a、32bからの検知結果により、実施例1と同様に定着ベルト127の表面温度と定着可能温度160℃との温度差に応じて、インバータ回路60のスイッチング素子63a、64aのON時間を制御して、誘導加熱コイル130、140、150の出力電力値を変動し、定着ベルト127に必要な発熱量を与える。これにより次にニップ129に到達したときには定着ベルト127の表面温度は常に定着可能温度の160℃に加熱復帰される。従って、用紙Pに形成されるトナー像は、温度リップル跡を生じることなく、均質に定着される。
【0053】
赤外線温度センサ32a、32bによる定着ベルト127の表面温度の検知から、誘導加熱コイル130、140、150の電力値の出力までの時間は、赤外線温度センサ32a、32bの応答速度0.1secと、CPU80の処理速度とを要する。但し、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置δから誘導加熱コイル130、140の上流側端部との対抗位置εまでの距離Lが30mmとなっている。従って、定着ベルト127の温度低下された領域が誘導加熱コイル130、140、150に到達する前に、誘導加熱コイル130、140、150は確実に出力可能となる。
【0054】
尚本実施例において、図9に示すようにバックアップローラ140を金属材料で形成して、誘導加熱コイル230、240、250をバックアップローラ140に対向させてバックアップローラ140を加熱させても良い。
【0055】
本実施例によれば、定着ベルト127の温度を検知する赤外線温度センサ32a、32bを、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置δから誘導加熱コイル130、140の上流側端部との対抗位置εまでの距離Lを、L>S2×tとなるように配置し、赤外線温度センサ32a、32bの検知結果に応じて、定着ベルト127の温度低下領域が誘導加熱コイル130、140、150に到達するまでに、誘導加熱コイル130、140、150は所定の電力値を出力している。
【0056】
従って定着ベルト127は、ニップ129位置での定着操作により温度低下を生じても、次にニップ129に到達するまでに、誘導加熱コイル130、140、150により必要な発熱量を与えられ、定着可能温度に復帰し、良好な定着を行うことが出来る。
【0057】
すなわち、定着操作により生じた温度低下分を補充するのに必要な電力値で誘導加熱コイル130、140、150を励磁して、厚さが40μmと薄く熱容量が小さいニッケル基材127aを瞬時に加熱して、定着ベルト127をリアルタイムに定着可能温度の160℃に加熱復帰することにより、不要な電力消費がなく、定着装置26の省エネルギー化を実現できる。また、用紙Pの厚さや材質あるいは環境温度の変動にかかわらず、ニップ129に到達する定着ベルト127の表面温度を、常に定着可能温度160℃に設定出来ることから、定着画像上にリップル跡を生じることが無く良好な定着性能による画質向上を得られる。
【実施例3】
【0058】
次に本発明の実施例3について図10及び図11を用いて説明する。本実施例3は、実施例1と温度センサの性能が異なるものであり、他は実施例1と同様である。従ってこの実施例3にあっては、前述の実施例1で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施例の定着装置226は図10に示すように、応答速度が速いサーモパイル式の赤外線温度センサに比べて例えば低価格ではあるものの応答速度があまり速くない非接触サーミスタ式の温度センサ132a、132bを用いて、ニップ29通過後のヒートローラ27の表面温度を検知するものである。
【0060】
図11に示すフローチャートにより定着装置226におけるヒートローラ27の温度制御について述べる。スタート後は、ステップ100にて、温度センサ132a、132bの検出結果に応じてCPU80は、誘導加熱コイル30、40、50の出力電力値を800Wとし、且つインバータ回路60をON−OFF制御して、ヒートローラ27を160℃の定着可能温度に維持制御する。ステップ101で用紙Pの給紙がスタートされ、次いでステップ102で、位置センサ9が用紙P先端を検知して、用紙Pがレジストローラ8に到達したことを検知する。
【0061】
ステップ103では、用紙Pの先端検知に応じて、CPU80にて、用紙Pがニップ29を通過することによるヒートローラ27の温度低下領域が、誘導加熱コイル30、40、50との対向位置γに到達するタイミングを把握する。ステップ104では、ヒートローラ27の温度低下領域が対抗位置γに到達するタイミングで、誘導加熱コイル30、40、50の出力電力値を900Wに上げる。この後、用紙Pがニップ29を通過するまでは、温度センサ132a、132bの検出結果に応じてインバータ回路60をON−OFF制御して、ヒートローラ27を160℃の定着可能温度に維持制御する。これにより、ニップ29にてトナー像を定着し、温度低下されたヒートローラ27の領域は、定着可能温度の160℃に加熱復帰され、再度ニップ29に到達することとなる。尚このとき、誘導加熱コイル30、40、50に供給する電力値は、用紙Pの厚さや材質あるいは環境温度の変動に応じて、任意に調整可能である。
【0062】
この後ステップ106で、用紙Pがニップ29を出たことを確認したら、ステップ100に戻り、誘導加熱コイル30、40、50の出力電力値を800Wに戻して、温度センサ132a、132bの検出結果に応じてインバータ回路60をON−OFF制御する。ステップ106の用紙Pがニップ29を出たことの確認は、予め把握されている用紙Pサイズあるいは、位置センサ9で検知された用紙P通過時間等から行う。
【0063】
すなわち、本実施例にあっては、定着操作時に、位置センサ9により用紙Pがニップ29に到達するのを把握して、誘導加熱コイル30、40、50の電力値を上げて、ヒートローラ27の温度制御を行うものである。これにより、温度センサ132a、132bの応答速度があまり速くない場合でも、温度センサ132a、132bの検知結果に応じたリアルタイムでの誘導加熱コイル30、40、50への電力値制御が間に合わないで、次にニップ29に達したときにヒートローラ27上に温度低下領域が残ってしまうのを防止している。
【0064】
本実施例によれば、温度センサ132a、132bの検知結果によりヒートローラ27の温度制御を行うとともに、定着操作が開始された場合は、位置センサ9を用いてヒートローラ27の温度低下領域が誘導加熱コイル30、40、50に到達するタイミングを把握して、誘導加熱コイル30、40、50の電力値を上げて、ヒートローラ27の全ての領域を定着可能温度に復帰している。
【0065】
これによりヒートローラ27は、定着開始により生じる温度低下領域のみを、必要な電力値で誘導加熱コイル30、40、50により温度復帰される。従って定着操作中の不要な電力消費を防止して、定着装置26の省エネルギー化を実現できる。また定着操作を行う間、ニップ129に到達するヒートローラ27の表面温度を、常に一定の定着可能温度に保持出来ることから、定着画像上にリップル跡を生じることが無く良好な定着性能による画質向上を得られる。
【実施例4】
【0066】
次に本発明の実施例4について図12を用いて説明する。本実施例4は、実施例3において、インバータ回路の制御が異なるものであり、他は実施例3と同様である。従って本実施例4にあっては、前述の実施例3で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0067】
本実施例の定着装置226におけるヒートローラ27の温度制御について、図12に示すフローチャートを用いて詳述する。スタート後は、ステップ200にて、温度センサ132a、132bの検出結果に応じてCPU80は、誘導加熱コイル30、40、50の出力電力値を800Wとし、且つインバータ回路60をON−OFF制御して、ヒートローラ27を160℃の定着可能温度に維持制御する。ステップ201で用紙Pの給紙がスタートされ、次いでステップ202で、位置センサ9が用紙P先端を検知して、用紙Pがレジストローラ8に到達したことを検知する。
【0068】
ステップ203では、用紙Pがニップ29を通過することによるヒートローラ27の温度低下領域が、誘導加熱コイル30、40、50との対抗位置γに到達するタイミングを把握する。ステップ204では、ヒートローラ27の温度低下領域が対抗位置γに到達するタイミングで、CPU80により、温度センサ132a、132bの検出結果に応じたインバータ回路60のON/OFF制御から、インバータ回路60を常時ONする制御に切り替える。これにより、ニップ29にてトナー像を定着し、温度低下されたヒートローラ27の領域は、誘導加熱コイル30、40、50により常時一定の定着可能温度に保持され、再度ニップ29に到達することとなる。尚このとき、誘導加熱コイル30、40、50に供給する電力値は、用紙Pの厚さや材質あるいは環境温度の変動に応じて、任意に変動調整可能であり、インバータ回路60の常時ON制御による電力値が不足する場合には、例えば、誘導加熱コイル30、40、50の電力値を850Wに上げた状態で、インバータ回路60を常時ONする制御に切り替えることも可能である。
【0069】
この後ステップ206で、用紙Pがニップ29を出たことを確認したら、ステップ100に戻り、CPU80は、インバータ回路60を常時ON制御から、温度センサ132a、132bの検出結果に応じたON/OFF制御に戻す。ステップ206の用紙Pがニップ29を出たことの確認は、予め把握されている用紙Pサイズあるいは、位置センサ9で検知された用紙P通過時間等から行う。
【0070】
すなわち、本実施例にあっては、定着操作時に、位置センサ9により用紙Pがニップ29に到達するのを把握して、ヒートローラ27の温度低下領域が誘導加熱コイル30、40、50を通過する間は、誘導加熱コイル30、40、50を常時ON制御するものである。これにより、温度センサ132a、132bの応答速度があまり速くなく、リアルタイムでの誘導加熱コイル30、40、50への電力値制御が間に合わない場合でも、定着操作が行われる間は、常にヒートローラ27を同じ電力値で加熱する。従って、ヒートローラ27ニップ29に達した時のヒートローラ27の表面温度は常に一定の定着可能温度を保持する。
【0071】
本実施例によれば、レディ状態においては温度センサ132a、132bの検知結果に応じてヒートローラ27の温度制御を行う一方、定着操作時には、位置センサ9を用いてヒートローラ27の温度低下領域が誘導加熱コイル30、40、50に到達するタイミングを把握して、定着操作が継続される間は誘導加熱コイル30、40、50をONし続けて、ヒートローラ27を一定の定着可能温度に保持し続けている。これによりヒートローラ27の定着操作に使用される領域のみに必要な電力値を供給でき、定着操作中の不要な電力消費を防止して、定着装置26の省エネルギー化を実現できる。また定着操作を行う間、ニップ129に到達するヒートローラ27の表面温度が常に一定であることから、定着画像上にリップル跡を生じることが無く良好な定着性能による画質向上を得られる。
【0072】
尚この発明は、上記実施例に限られるものではなく、この発明の範囲内で種々変更可能であり、例えば金属導電層の材質はステンレスやアルミニウム、あるいはステンレスとアルミニウムの複合材を用いる等限定されない。また金属導電層の厚さも限定されず任意であるが、熱容量を小さくして、ウォームアップ時間の短縮、あるいは省エネルギー化を図り、的確な温度制御を得るためには、
10〜100μm程度に薄くされることが望ましい。また定着装置による被定着媒体の搬送方向も任意であり、被定着媒体を縦方向に搬送する装置であっても良い。また温度センサの種類、あるいは応答時間等も限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施例1の画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施例1の定着装置を示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施例1の定着装置を示す概略側面図である。
【図4】本発明の実施例1のヒートローラ加熱の制御系を示す概略ブロック図である。
【図5】本発明の実施例1の赤外線温度センサを示す概略説明図である。
【図6】本発明の実施例1のヒートローラ周囲の赤外線温度センサと誘導加熱コイルの配置を示す概略説明図である。
【図7】本発明の実施例2の定着装置を示す概略構成図である。
【図8】本発明の実施例2の定着ベルトの層構成を示す概略説明図である。
【図9】本発明の実施例2の定着装置の変形例を示す概略構成図である。
【図10】本発明の実施例3の定着装置を示す概略構成図である。
【図11】本発明の実施例3の定着装置における温度制御を示フローチャートである。
【図12】本発明の実施例4の定着装置における温度制御を示フローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1…画像形成装置
2…画像形成部
9…位置センサ
11…感光体ドラム
26…定着装置
27…ヒートローラ
27c…金属導電層
28…加圧ローラ
30、40、50…誘導加熱コイル
30a、40a、50a…磁性体コア
30b、40b、50b…電線
31…剥離爪
32a、32b…赤外線温度センサ
33…サーモスタット
34…クリーニングローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に搭載され、誘導加熱を利用してトナー像を用紙に加熱定着する画像形成装置の定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に使用される定着装置として、ヒートローラ及び加圧ローラからなる一対のローラ間、あるいは同様のベルト間に形成されるニップにシート紙を挿通し、トナー像を加熱加圧定着する定着装置がある。この様な加熱式の定着装置として従来、ヒートローラあるいは加熱ベルト表面の金属導電層を誘導加熱方式で加熱する装置がある。誘導加熱方式は、誘導加熱コイルに所定の電力を供給して磁界を発生させ、磁界により金属導電層に生じる渦電流によって金属導電層を瞬時に加熱して、ヒートローラあるいは加熱ベルトの加熱を行うものである。
【0003】
このような誘導加熱方式の定着装置において、従来、ヒートローラあるいは定着ベルトの表面を傷つけることなく温度検知して温度制御するために、定着ベルトの内周面に温度センサを配置して温度制御する装置が開示されている。(例えば特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2002−82549号公報(第13頁、図6) また従来、励磁コイルにより発熱される中間転写ベルト表面側を非接触の温度検知装置により温度検知する装置が開示されている。(例えば特許文献2参照。)
【特許文献2】特開2003−35601号公報(第3〜4頁、第7、8頁、図1、図3、図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら(特許文献1)の温度センサは定着ベルトのニップ位置下流にて、励磁コイルより下流に設けられている。このため定着時に温度低下された定着ベルトの温度を検知して、次にニップに到達するまでに定着ベルトを所定温度に加熱復帰させるというリアルタイムでの制御を行うことができない。また、定着ベルトの内側で温度を検知することから、検知結果は定着面側の温度との誤差を生じる恐れがある。
【0005】
また(特許文献2)の非接触の温度検知装置は、励磁コイル位置に到達した転写ベルト温度を検知していて、定着時に温度低下された転写ベルト温度を次の定着時までにリアルタイムで制御するものではない。
【0006】
これに対して近年誘導加熱方式の定着装置において、ヒートローラ表面に熱容量の小さい薄膜化された金属導電層を設けて、金属導電層の更なる高速加熱を図るとともに、より一層の省エネルギー化を図る定着装置が開発されている。このような熱容量の小さい薄膜化された金属導電層を有するヒートローラは、定着操作による温度低下が大きい。このためニップ位置通過後、次にヒートローラの同位置がニップに達するまでに温度低下分を直ちに加熱しないと、次にヒートローラの同位置による定着温度が不十分になる。定着による温度低下分を補充する加熱が間に合わないと、ヒートローラの表面温度の違いが定着画像に現れ、同一画像上にて、光沢の異なる温度リップル跡を生じ、画質の低下を生じる。
【0007】
そこで本発明は上記課題を解決するものであり、誘導加熱コイルにより金属導電層を加熱する定着装置において、定着によるヒートローラの温度低下にかかわらず、次にヒートローラがニップ位置に到達するまでにヒートローラを定着可能温度まで加熱して、定着画像上に温度リップル跡が生じるのを解消するよう定着性能を向上し、高画質を得る画像形成装置の定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するための手段として、金属導電層を有するエンドレスの加熱部材と、前記加熱部材に圧接してニップを形成し前記加熱部材と共にトナー像を有する被定着媒体を所定方向に挟持搬送する加圧部材と、前記加熱部材の外周に配置され、前記金属導電層に誘導電流を発生させる誘導加熱コイルと、前記加熱部材の前記ニップ通過領域の温度を検知する温度センサと、前記加熱部材の前記ニップ通過領域が、次に前記ニップに到達するまでに、前記加熱部材を所定温度に復帰するように前記誘導加熱コイルを制御する制御装置とを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、誘導加熱コイルによる加熱部材のリアルタイムでの温度制御が可能であることから、必要以上に電力を消費する事が無く、定着装置の省エネルギー化を得られる。また、ニップ到達時には加熱部材を常に一定の定着可能温度に維持出来、安定した定着を得られ、定着画像上にリップル跡を生じることが無く、良好な定着性能による画質向上を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、加熱部材のニップの下流に温度センサを配置し、更にその下流に誘導加熱コイルを配置する。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施例1について図1乃至図6を用いて説明する。図1は本発明の実施例1の定着装置26を搭載してなる画像形成装置1を示す概略構成図である。画像形成装置1は画像形成部2に被定着媒体である用紙Pを供給するカセット機構3を備え、上面には自動原稿送り装置4により供給される原稿Dを読取るスキャナ部6を備える。カセット機構3から画像形成部2に至る搬送路7上にはレジストローラ8が設けられる。レジストローラ8手前には、用紙Pの通過を検知する位置センサ9が設けられる。
【0012】
画像形成部2は、感光体ドラム11周囲に、感光体ドラム11の矢印qの回転方向に従い順次感光体ドラム11を一様に帯電する帯電装置12、帯電された感光体ドラム11にスキャナ装置6からの画像データに基づき潜像を形成するレーザ露光装置13、現像装置14、転写チャージャ16、剥離チャージャ17、クリーナ18、除電LED20を有している。画像形成部2は、周知の電子写真方式による画像形成プロセスにて感光体ドラム11上にトナー像を形成し、用紙Pに転写する。
【0013】
画像形成部2の用紙P搬送方向下流には、トナー像を転写された用紙Pを排紙部21方向に搬送する排紙搬送路22が設けられる。排紙搬送路22上には、感光体ドラム11から剥離された用紙Pを定着装置26に搬送する搬送ベルト23、定着装置26通過後の用紙Pを排紙部21に排出する排紙ローラ24が設けられる。
【0014】
次に定着装置26について述べる。図2は定着装置26を示す概略構成図、図3は定着装置26を示す概略側面図であり、図4はヒートローラ27を加熱する制御系100を示すブロック図である。定着装置26は、エンドレス部材であるヒートローラ27と、このヒートローラ27に圧接する加圧部材である加圧ローラ28を有する。更に定着装置26は、ヒートローラ27の外周に、約3mmのギャップを介して、ヒートローラ27を加熱する100V電源用の誘導電流発生手段である誘導加熱コイル30、40、50を有する。誘導加熱コイル30、40、50はヒートローラ27と略同軸形状となっている。
【0015】
更にヒートローラ27の外周には、ヒートローラの矢印rの回転方向に沿って、定着後の用紙Pの巻きつきを防止する剥離爪31、ヒートローラ27の表面温度を非接触で検出するサーモパイル式の赤外線温度センサ32a、32b、ヒートローラ27の表面温度の異常を検知して、加熱を遮断するためのサーモスタット33及び、クリーニングローラ34が設けられる。ヒートローラ27は芯金27a周囲に厚さ5mmの発泡ゴム27b、ニッケル(Ni)からなる厚さ40μmの金属導電層27c、厚さ200μmのソリッドゴム層27d及び、厚さ30μmの離型層27eを順に形成され、φ40mmとされる。ソリッドゴム層27d及び離型層27eは保護層を構成する。
【0016】
加圧ローラ28は、芯金28aの周囲にシリコンゴムあるいはフッ素ゴム等の表面層28bを被覆してなり、φ40mmとされる。加圧ローラ28は軸28cを加圧スプリング36により付勢され、ヒートローラ27に対して圧接される。これによりヒートローラ27及び加圧ローラ28間に一定幅のニップ29が形成される。また加圧ローラ28周囲には、矢印sの回転方向に沿って加圧ローラ28から用紙Pを剥離する剥離爪38、クリーニングローラ37が設けられる。
【0017】
誘導加熱コイル30、40、50は、それぞれ駆動電流の供給により磁界を生じ、この磁界により金属導電層27cに渦電流を発生させて、金属導電層27cを加熱する。各誘導加熱コイル30、40、50は、ヒートローラ27の長手方向のA、B、Cの領域をそれぞれ加熱する。各誘導加熱コイル30、40、50は、長さが異なるもののその構造は同じである。誘導加熱コイル30、40、50は、磁性体コア30a、40a、50aに電線30b、40b、50bを12ターンしてなっている。
【0018】
誘導加熱コイル30、40、50は、磁性体コア30a、40a、50aを用いる形状とすることにより、電線30b、40b、50bの巻き数を減らしてその小型化を得ている。また誘導加熱コイル30、40、50は、磁性体コア30a、40a、50aを用いる形状とすることにより、磁束を集中でき、ヒートローラ27を局部的に加熱可能となっている。
【0019】
電線30b、40b、50bは、耐熱性のポリアミドイミド銅線を用いた、電線30b、40b、50bは、線径0.5mmの銅線材を16本束ねたリッツ線からなっている。電線30b、40b、50bを、リッツ線にすることで、電線30b、40b、50bの銅損を抑えることが出来、交流電流を有効に流すことが可能になる。
【0020】
ヒートローラ27の両側の領域B、Cを加熱する誘導加熱コイル40、50は直列接続され、同じ制御で駆動される。A4横サイズやA3サイズの大きい用紙を定着する場合、あるいはA4縦サイズやその他の小さいサイズの用紙を定着する場合に応じて、各誘導加熱コイル30、40、50の駆動比率を制御して、ヒートローラ27の長手方向の温度分布を均一化する。
【0021】
次にヒートローラ27を加熱する制御系100について述べる。図4のブロック図に示すようにヒートローラ27を加熱する制御系100は、誘導加熱コイル30、40、50に駆動電流を供給するインバータ回路60、インバータ回路60に100V直流電源を供給する整流回路70、画像形成装置1全体を制御し、位置センサ9による用紙Pの検知結果等が入力されるとともに、赤外線温度センサ32a、32bの検出結果に応じてインバータ回路60を制御するCPU80を有する。CPU80は、赤外線温度センサ32a、32bの検出結果に応じて、誘導加熱コイル30あるいは誘導加熱コイル40、50のいずれか一方のみが出力するように駆動しても良いし、誘導加熱コイル30及び誘導加熱コイル40、50の両方を同時に駆動しても良い。
【0022】
整流回路70は100V用であり、商用交流電源71からの電流を100Vの直流に整流して、インバータ回路60に供給する。整流回路70と商用交流電源71との間には、電力モニタ72が接続され、商用交流電源71から提供される電力を検知して、CPU80にフィードバックしている。
【0023】
インバータ回路60は、自励式の準E級回路を用いている。インバータ回路60の誘導加熱コイル30には共振用の第1のコンデンサ61aが並列に接続されて第1の共振回路61を構成し、直列に接続される誘導加熱コイル40、50には共振用の第2のコンデンサ62aが並列に接続されて第2の共振回路62を構成する。第1の共振回路61には第1のスイッチング素子63aが直列に接続されて第1のインバータ回路63を構成し、第2の共振回路62には第2のスイッチング素子64aが直列に接続されて第2のインバータ回路64を構成する。スイッチング素子63a、64aは、高耐圧、大電流で使用可能なIGBTが用いられる。スイッチング素子63a、64aはMOS−FET等でも良い。
【0024】
スイッチング素子63a、64aの制御端子には、スイッチング素子63a、64aをONさせるためのIGBT駆動回路66、67がそれぞれ接続されている。CPU80は、IGBT駆動回路66、67の印加タイミングを制御する。インバータ回路60は、CPU80によりスイッチング素子63a、64aのON時間を制御することにより周波数を20〜60kHzに可変する。各誘導加熱コイル30、40、50は駆動電流の周波数20〜60kHzに応じて電力値を制御され、各誘導加熱コイル30、40、50の電力値により、金属導電層27cの発熱量が変動され、ヒートローラ27が温度制御される。
【0025】
誘導加熱コイル30、40、50は、定着開始時には、電力値1100Wで、ヒートローラ27を所定の定着可能温度である160℃にウォームアップする。ヒートローラ27の金属導電層27cの熱容量が小さいので約40秒程度でウォームアップされる。一方金属導電層27cの熱容量が小さいことから、ニップ29を通過して定着を行った後は、ヒートローラ27の表面温度は少なくとも5℃から10℃程度温度低下する。
【0026】
誘導加熱コイル30、40、50はヒートローラ27の温度低下の大きさに応じて、ヒートローラ27を加熱する。ヒートローラ27を加熱するための誘導加熱コイル30、40、50の電力値は、ヒートローラ27を10℃以上加熱する場合は900W、ヒートローラ27を5℃から10℃加熱する場合は600W、ヒートローラ27の加熱温度が5℃未満の場合は400Wとする。
【0027】
次に赤外線温度センサ32a、32bは、図5に示すように、ハウジング100に設けられるシリコン基板101上にポリシリコンとアルミニウムからなる薄膜熱電対を多数直列に接続したサーモパイル102を有する。ハウジング100はシリコンレンズ103を有し、ヒートローラ27からの赤外線をサーモパイル102に集光する。赤外線を受光することによりサーモパイル102に発生した温接点部の温度変化を、熱電対の起動電力としてCPU80に出力する。
【0028】
サーモパイル式の赤外線温度センサ32a、32bは薄膜熱電対の温接点部の熱容量を小さくした構造となっているので、温度応答性が高い。サーモパイル式の赤外線温度センサ32a、32bは、非接触で対象物の温度を測定する。サーモパイル式の赤外線温度センサ32a、32bは、従来の非接触のサーミスタ式の温度センサ等に対して約20倍程度応答速度が速い。サーミスタ式の温度センサは、温度に応じて抵抗値が変化する金属酸化物にかかる電圧値の変化を出力するものである。CPU80は赤外線温度センサ32a、32bの検知結果に応じて各誘導加熱コイル30、40、50の駆動電流の周波数を制御して、誘導加熱コイル30、40、50に与える電力値を制御する。
【0029】
ヒートローラ27周囲にて、赤外線温度センサ32a、32bは、図6に示すように、矢印r方向に回転するヒートローラ27の、加圧ローラ28とのニップ29の下流であって、誘導加熱コイル30、40、50に達するまでの間に配置される。ヒートローラ27の軸αを中心とする、ヒートローラ27周囲の、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置βから誘導加熱コイル30、40、50の上流側端部との対抗位置γまでの配置位置θ(°)は、
θ(°)>S1×t×360/(2πr)
となっている。S1はヒートローラ27の回転速度、rはヒートローラ27の半径、tは赤外線温度センサ32a、32bの応答速度である。またヒートローラ27周囲の、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置βは、赤外線温度センサ32a、32bのシリコンレンズ103の光軸の中心の延長とヒートローラ27との交点である。赤外線温度センサ32a、32bのシリコンレンズ103の光軸は、必要に応じて任意の方向に設定可能である。本実施例では、誘導加熱コイル30、40、50の上流側端部は、電線30b、40b、50bの上流側端部とされているが、各種磁性体コア30a、40a、50aの形状によっては、誘導加熱コイル30、40,50の上流側端部は、磁性体コア30a、40a、50aの上流側端部の突起外側部であっても良い。
【0030】
赤外線温度センサ32a、32bをヒートローラ27の周囲にて上記のように配置することにより、ニップ29通過後のヒートローラ27の温度を検知して、検知結果に応じて、ヒートローラ27上のニップ通過位置を誘導加熱コイル30、40、50によりリアルタイムに加熱可能となる。
【0031】
本実施例にて、ヒートローラ27の回転速度S1を130mm/sec、赤外線温度センサ32a、32bの応答速度tを0.1secとした時、ヒートローラ27の半径rが20mmであることから、ヒートローラ27周囲の温度検知位置βから対抗位置γまでの配置位置θ(°)は、θ(°)>38(°)であれば良い。但し本実施例にあっては、CPU80での処理速度も考慮して、θ(°)=70(°)となるように、赤外線温度センサ32a、32bを配置している。ここでヒートローラ27の回転速度S1は、画像形成部2のプロセス速度と同じになっている。
【0032】
次に作用について述べる。画像形成プロセスの開始により画像形成部2では矢印q方向に回転する感光体ドラム11が、帯電装置12により一様に帯電され、レーザ露光装置13により原稿情報に応じたレーザ光を照射され静電潜像を形成される。次いで静電潜像は現像装置14により現像され、感光体ドラム11上にトナー像が形成される。
【0033】
感光体ドラム11上のトナー像は、転写チャージャ16にて用紙Pに転写される。次いで用紙Pは感光体ドラム11から剥離され、この後定着装置26の矢印r方向に回転され、誘導加熱コイル30、40、50により160℃に加熱されるヒートローラ27及び矢印s方向に回転される加圧ローラ28間のニップ29に挿通され、トナー像を加熱加圧定着される。
【0034】
このトナー像を定着する間、定着装置26では、赤外線温度センサ32a、32bにより、ニップ29を通過した定着終了後の、温度低下されたヒートローラ27の表面温度を検知する。CPU80は、赤外線温度センサ32a、32bからの検知結果により、ヒートローラ27の表面温度と定着可能温度160℃との温度差に応じて、インバータ回路60のスイッチング素子63a、64aのON時間を制御して、誘導加熱コイル30、40、50への駆動電流の周波数を変動する。駆動電流の周波数に応じて、誘導加熱コイル30、40、50の電力値が制御される。
【0035】
例えば、赤外線温度センサ32a、32bが、ヒートローラ27の表面温度155℃を検知すると、CPU80は、定着可能温度160℃との温度差5℃を算出して、インバータ回路60を制御して誘導加熱コイル30、40、50に電力値600Wを出力させる。赤外線温度センサ32a、32bによるヒートローラ27の表面温度の検知から、誘導加熱コイル30、40、50の電力値の出力までの時間は、赤外線温度センサ32a、32bの応答速度0.1secと、CPU80の処理速度とを必要とする。
【0036】
但し、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置βから誘導加熱コイル30、40の上流側端部との対抗位置γまでの配置位置θ(°)が70°となっている。従って、ヒートローラ27の温度低下された領域が誘導加熱コイル30、40、50に到達する前に、誘導加熱コイル30、40、50は十分出力可能であり、誘導加熱コイル30、40、50は、ヒートローラ27の温度低下された領域が、次にニップ29に達するまでに、定着可能温度の160℃に加熱復帰させることとなる。
【0037】
これによりニップ29におけるヒートローラ27の表面温度は、常に定着可能温度の160℃に加熱されていて、用紙Pに形成されるトナー像は、温度リップル跡を生じることなく、均質に定着される。尚、このように定着を行う間、用紙Pの厚さや材質あるいは環境変化により、赤外線温度センサ32a、32bの検出温度と定着可能温度160℃との温度差が変動した場合は、CPU80は、温度差に従い、インバータ回路60を制御して誘導加熱コイル30、40、50の出力電力値を変動し、ニップ29におけるヒートローラ27の表面温度を常に定着可能温度の160℃に制御する。
【0038】
定着終了後は、赤外線温度センサ32a、32bの検出温度に従い、インバータ回路60のON−OFF制御によりヒートローラ27を160℃の定着可能温度に維持制御して、次の定着操作を待機することとなる。
【0039】
本実施例によれば、ヒートローラ27の温度を検知する赤外線温度センサ32a、32bを、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置βから誘導加熱コイル30、40の上流側端部との対抗位置γまでの配置位置θ(°)が、ヒートローラ27の軸αを中心に、θ(°)>S1×t×360/(2πr)となるように配置している。そして、赤外線温度センサ32a、32bの検知結果に応じて、誘導加熱コイル30、40、50はCPU80により制御されて、ヒートローラ27の温度低下領域が誘導加熱コイル30、40、50に到達するまでに必要な電力値を出力し、ヒートローラ27を定着可能温度に復帰する。
【0040】
従ってヒートローラ27は、ニップ29位置での定着操作により温度低下を生じても、次にニップ29に到達するまでに、誘導加熱コイル30、40、50により必要な発熱量を与えられ、リアルタイムに定着可能温度に復帰し、良好な定着を行うことが出来る。
【0041】
すなわち、厚さが40μmと薄く熱容量が小さい金属導電層27cを、定着操作により生じた温度低下分を補充するのに必要な電力値で励磁される誘導加熱コイル30、40、50により瞬時に加熱して、ヒートローラ27をリアルタイムに定着可能温度の160℃に加熱復帰することにより、必要以上に電力を消費することが無く、定着装置26の省エネルギー化を実現できる。また、用紙Pの厚さや材質あるいは環境温度の変動にかかわらず、ニップ29に到達するヒートローラ27の表面温度を、常に定着可能温度160℃に設定出来、トナー像を一定温度で定着でき、定着画像上にリップル跡を生じることが無く良好な定着性能による画質向上を得られる。
【実施例2】
【0042】
次に本発明の実施例2について図7乃至図9を用いて説明する。本実施例2は、実施例1におけるヒートローラを定着ベルトとするものであり、他は実施例1と同様である。従ってこの実施例2にあっては、前述の実施例1で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0043】
本実施例の図7に示す定着装置126は、エンドレスの加熱部材である周長70×π(mm)の定着ベルト127を、低熱伝導性ローラ128及びバックアップローラ130間に掛け渡している。低熱伝導性ローラ128位置にて定着ベルト127には加圧ローラ28が圧接され、定着ベルト127及び加圧ローラ28間に一定幅のニップ129が形成される。定着ベルト127の矢印v方向の回転方向に沿って、ニップ129の下流には、定着後の用紙Pの巻きつきを防止する剥離爪131、ヒートローラ27の表面温度を非接触で検出するサーモパイル式の赤外線温度センサ32a、32b、定着ベルト127の表面温度の異常を検知して、加熱を遮断するためのサーモスタット33が設けられる。
【0044】
更に定着ベルト127のサーモスタット33の下流には、約3mmのギャップを介して、定着ベルト127を加熱する100V電源用の誘導電流発生手段である誘導加熱コイル130、140、150が設けられる。
【0045】
定着ベルト127は、図8に示すように40μm厚さのニッケル(Ni)基材127aの表面に、弾性力を有するシリコンゴム127bを300μm被覆し、更に離型性を付与するためにフッ素樹脂からなる離型層127cを30μm被覆してなる3層ベルトとなっている。定着ベルトの基材は、導電性を有するものであれば、SUS、あるいはポリイミド樹脂に金属層をコーティングしたものであっても良い。
【0046】
低熱伝導性ローラ128は、表面が低硬度の弾力性を有する発泡シリコンスポンジにより直径30mmに構成される。バックアップローラ130は、直径20mm、厚み0.5mmのセラミックからなる。バックアップローラ130は、鉄、SUS304、その他アルミニウム等で構成しても良い。
【0047】
誘導加熱コイル130、140、150は、磁性体コア30a、40a、50aを平板状にして定着ベルト127の平面部に平行に配置する他は、実施例1の誘導加熱コイル30、40、50と同じ構造となっている。
【0048】
定着ベルト127周囲にて、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置δから誘導加熱コイル130、140、150の上流側端部との対抗位置εまでの距離Lは、L>S2×tとなっている。S2は定着ベルト127の回転速度、tは赤外線温度センサ32a、32bの応答速度である。定着ベルト127周囲の、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置δは、赤外線温度センサ32a、32bのシリコンレンズ103の光軸の中心の延長と定着ベルト127との交点である。ここで誘導加熱コイル130、140、150の上流側端部とは、誘導加熱コイル130、140、150の電線の上流側端部であっても良いし、磁性体コアの上流側端部の突起外側部であっても良い。
【0049】
本実施例では定着ベルト127の回転速度S2が130mm/sec、赤外線温度センサ32a、32bの応答速度tが0.1secであることから定着ベルト127周囲の温度検知位置δから対抗位置εまでの距離Lは、L>13mmであれば良い。但し実際には、CPU80での処理速度も考慮して、
L=30mmとなるように、赤外線温度センサ32a、32bを配置している。
【0050】
赤外線温度センサ32a、32bを上記のように配置することにより、ニップ129通過後の定着ベルト127の温度を検知して、検知結果に応じて、定着ベルト127上のニップ通過位置を誘導加熱コイル130、140、150によりリアルタイムに加熱可能となる。
【0051】
本実施例では、画像形成部2で用紙Pにトナー像を形成後、定着装置126の定着ベルト127及び加圧ローラ28間のニップ129に用紙Pを挿通してトナー像を加熱加圧定着する。トナー像を定着する間、定着装置126では、赤外線温度センサ32a、32bにより、ニップ129を通過した定着終了後の、温度低下された定着ベルト127の表面温度を検知する。
【0052】
CPU80は、赤外線温度センサ32a、32bからの検知結果により、実施例1と同様に定着ベルト127の表面温度と定着可能温度160℃との温度差に応じて、インバータ回路60のスイッチング素子63a、64aのON時間を制御して、誘導加熱コイル130、140、150の出力電力値を変動し、定着ベルト127に必要な発熱量を与える。これにより次にニップ129に到達したときには定着ベルト127の表面温度は常に定着可能温度の160℃に加熱復帰される。従って、用紙Pに形成されるトナー像は、温度リップル跡を生じることなく、均質に定着される。
【0053】
赤外線温度センサ32a、32bによる定着ベルト127の表面温度の検知から、誘導加熱コイル130、140、150の電力値の出力までの時間は、赤外線温度センサ32a、32bの応答速度0.1secと、CPU80の処理速度とを要する。但し、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置δから誘導加熱コイル130、140の上流側端部との対抗位置εまでの距離Lが30mmとなっている。従って、定着ベルト127の温度低下された領域が誘導加熱コイル130、140、150に到達する前に、誘導加熱コイル130、140、150は確実に出力可能となる。
【0054】
尚本実施例において、図9に示すようにバックアップローラ140を金属材料で形成して、誘導加熱コイル230、240、250をバックアップローラ140に対向させてバックアップローラ140を加熱させても良い。
【0055】
本実施例によれば、定着ベルト127の温度を検知する赤外線温度センサ32a、32bを、赤外線温度センサ32a、32bによる温度検知位置δから誘導加熱コイル130、140の上流側端部との対抗位置εまでの距離Lを、L>S2×tとなるように配置し、赤外線温度センサ32a、32bの検知結果に応じて、定着ベルト127の温度低下領域が誘導加熱コイル130、140、150に到達するまでに、誘導加熱コイル130、140、150は所定の電力値を出力している。
【0056】
従って定着ベルト127は、ニップ129位置での定着操作により温度低下を生じても、次にニップ129に到達するまでに、誘導加熱コイル130、140、150により必要な発熱量を与えられ、定着可能温度に復帰し、良好な定着を行うことが出来る。
【0057】
すなわち、定着操作により生じた温度低下分を補充するのに必要な電力値で誘導加熱コイル130、140、150を励磁して、厚さが40μmと薄く熱容量が小さいニッケル基材127aを瞬時に加熱して、定着ベルト127をリアルタイムに定着可能温度の160℃に加熱復帰することにより、不要な電力消費がなく、定着装置26の省エネルギー化を実現できる。また、用紙Pの厚さや材質あるいは環境温度の変動にかかわらず、ニップ129に到達する定着ベルト127の表面温度を、常に定着可能温度160℃に設定出来ることから、定着画像上にリップル跡を生じることが無く良好な定着性能による画質向上を得られる。
【実施例3】
【0058】
次に本発明の実施例3について図10及び図11を用いて説明する。本実施例3は、実施例1と温度センサの性能が異なるものであり、他は実施例1と同様である。従ってこの実施例3にあっては、前述の実施例1で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施例の定着装置226は図10に示すように、応答速度が速いサーモパイル式の赤外線温度センサに比べて例えば低価格ではあるものの応答速度があまり速くない非接触サーミスタ式の温度センサ132a、132bを用いて、ニップ29通過後のヒートローラ27の表面温度を検知するものである。
【0060】
図11に示すフローチャートにより定着装置226におけるヒートローラ27の温度制御について述べる。スタート後は、ステップ100にて、温度センサ132a、132bの検出結果に応じてCPU80は、誘導加熱コイル30、40、50の出力電力値を800Wとし、且つインバータ回路60をON−OFF制御して、ヒートローラ27を160℃の定着可能温度に維持制御する。ステップ101で用紙Pの給紙がスタートされ、次いでステップ102で、位置センサ9が用紙P先端を検知して、用紙Pがレジストローラ8に到達したことを検知する。
【0061】
ステップ103では、用紙Pの先端検知に応じて、CPU80にて、用紙Pがニップ29を通過することによるヒートローラ27の温度低下領域が、誘導加熱コイル30、40、50との対向位置γに到達するタイミングを把握する。ステップ104では、ヒートローラ27の温度低下領域が対抗位置γに到達するタイミングで、誘導加熱コイル30、40、50の出力電力値を900Wに上げる。この後、用紙Pがニップ29を通過するまでは、温度センサ132a、132bの検出結果に応じてインバータ回路60をON−OFF制御して、ヒートローラ27を160℃の定着可能温度に維持制御する。これにより、ニップ29にてトナー像を定着し、温度低下されたヒートローラ27の領域は、定着可能温度の160℃に加熱復帰され、再度ニップ29に到達することとなる。尚このとき、誘導加熱コイル30、40、50に供給する電力値は、用紙Pの厚さや材質あるいは環境温度の変動に応じて、任意に調整可能である。
【0062】
この後ステップ106で、用紙Pがニップ29を出たことを確認したら、ステップ100に戻り、誘導加熱コイル30、40、50の出力電力値を800Wに戻して、温度センサ132a、132bの検出結果に応じてインバータ回路60をON−OFF制御する。ステップ106の用紙Pがニップ29を出たことの確認は、予め把握されている用紙Pサイズあるいは、位置センサ9で検知された用紙P通過時間等から行う。
【0063】
すなわち、本実施例にあっては、定着操作時に、位置センサ9により用紙Pがニップ29に到達するのを把握して、誘導加熱コイル30、40、50の電力値を上げて、ヒートローラ27の温度制御を行うものである。これにより、温度センサ132a、132bの応答速度があまり速くない場合でも、温度センサ132a、132bの検知結果に応じたリアルタイムでの誘導加熱コイル30、40、50への電力値制御が間に合わないで、次にニップ29に達したときにヒートローラ27上に温度低下領域が残ってしまうのを防止している。
【0064】
本実施例によれば、温度センサ132a、132bの検知結果によりヒートローラ27の温度制御を行うとともに、定着操作が開始された場合は、位置センサ9を用いてヒートローラ27の温度低下領域が誘導加熱コイル30、40、50に到達するタイミングを把握して、誘導加熱コイル30、40、50の電力値を上げて、ヒートローラ27の全ての領域を定着可能温度に復帰している。
【0065】
これによりヒートローラ27は、定着開始により生じる温度低下領域のみを、必要な電力値で誘導加熱コイル30、40、50により温度復帰される。従って定着操作中の不要な電力消費を防止して、定着装置26の省エネルギー化を実現できる。また定着操作を行う間、ニップ129に到達するヒートローラ27の表面温度を、常に一定の定着可能温度に保持出来ることから、定着画像上にリップル跡を生じることが無く良好な定着性能による画質向上を得られる。
【実施例4】
【0066】
次に本発明の実施例4について図12を用いて説明する。本実施例4は、実施例3において、インバータ回路の制御が異なるものであり、他は実施例3と同様である。従って本実施例4にあっては、前述の実施例3で説明した構成と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0067】
本実施例の定着装置226におけるヒートローラ27の温度制御について、図12に示すフローチャートを用いて詳述する。スタート後は、ステップ200にて、温度センサ132a、132bの検出結果に応じてCPU80は、誘導加熱コイル30、40、50の出力電力値を800Wとし、且つインバータ回路60をON−OFF制御して、ヒートローラ27を160℃の定着可能温度に維持制御する。ステップ201で用紙Pの給紙がスタートされ、次いでステップ202で、位置センサ9が用紙P先端を検知して、用紙Pがレジストローラ8に到達したことを検知する。
【0068】
ステップ203では、用紙Pがニップ29を通過することによるヒートローラ27の温度低下領域が、誘導加熱コイル30、40、50との対抗位置γに到達するタイミングを把握する。ステップ204では、ヒートローラ27の温度低下領域が対抗位置γに到達するタイミングで、CPU80により、温度センサ132a、132bの検出結果に応じたインバータ回路60のON/OFF制御から、インバータ回路60を常時ONする制御に切り替える。これにより、ニップ29にてトナー像を定着し、温度低下されたヒートローラ27の領域は、誘導加熱コイル30、40、50により常時一定の定着可能温度に保持され、再度ニップ29に到達することとなる。尚このとき、誘導加熱コイル30、40、50に供給する電力値は、用紙Pの厚さや材質あるいは環境温度の変動に応じて、任意に変動調整可能であり、インバータ回路60の常時ON制御による電力値が不足する場合には、例えば、誘導加熱コイル30、40、50の電力値を850Wに上げた状態で、インバータ回路60を常時ONする制御に切り替えることも可能である。
【0069】
この後ステップ206で、用紙Pがニップ29を出たことを確認したら、ステップ100に戻り、CPU80は、インバータ回路60を常時ON制御から、温度センサ132a、132bの検出結果に応じたON/OFF制御に戻す。ステップ206の用紙Pがニップ29を出たことの確認は、予め把握されている用紙Pサイズあるいは、位置センサ9で検知された用紙P通過時間等から行う。
【0070】
すなわち、本実施例にあっては、定着操作時に、位置センサ9により用紙Pがニップ29に到達するのを把握して、ヒートローラ27の温度低下領域が誘導加熱コイル30、40、50を通過する間は、誘導加熱コイル30、40、50を常時ON制御するものである。これにより、温度センサ132a、132bの応答速度があまり速くなく、リアルタイムでの誘導加熱コイル30、40、50への電力値制御が間に合わない場合でも、定着操作が行われる間は、常にヒートローラ27を同じ電力値で加熱する。従って、ヒートローラ27ニップ29に達した時のヒートローラ27の表面温度は常に一定の定着可能温度を保持する。
【0071】
本実施例によれば、レディ状態においては温度センサ132a、132bの検知結果に応じてヒートローラ27の温度制御を行う一方、定着操作時には、位置センサ9を用いてヒートローラ27の温度低下領域が誘導加熱コイル30、40、50に到達するタイミングを把握して、定着操作が継続される間は誘導加熱コイル30、40、50をONし続けて、ヒートローラ27を一定の定着可能温度に保持し続けている。これによりヒートローラ27の定着操作に使用される領域のみに必要な電力値を供給でき、定着操作中の不要な電力消費を防止して、定着装置26の省エネルギー化を実現できる。また定着操作を行う間、ニップ129に到達するヒートローラ27の表面温度が常に一定であることから、定着画像上にリップル跡を生じることが無く良好な定着性能による画質向上を得られる。
【0072】
尚この発明は、上記実施例に限られるものではなく、この発明の範囲内で種々変更可能であり、例えば金属導電層の材質はステンレスやアルミニウム、あるいはステンレスとアルミニウムの複合材を用いる等限定されない。また金属導電層の厚さも限定されず任意であるが、熱容量を小さくして、ウォームアップ時間の短縮、あるいは省エネルギー化を図り、的確な温度制御を得るためには、
10〜100μm程度に薄くされることが望ましい。また定着装置による被定着媒体の搬送方向も任意であり、被定着媒体を縦方向に搬送する装置であっても良い。また温度センサの種類、あるいは応答時間等も限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施例1の画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施例1の定着装置を示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施例1の定着装置を示す概略側面図である。
【図4】本発明の実施例1のヒートローラ加熱の制御系を示す概略ブロック図である。
【図5】本発明の実施例1の赤外線温度センサを示す概略説明図である。
【図6】本発明の実施例1のヒートローラ周囲の赤外線温度センサと誘導加熱コイルの配置を示す概略説明図である。
【図7】本発明の実施例2の定着装置を示す概略構成図である。
【図8】本発明の実施例2の定着ベルトの層構成を示す概略説明図である。
【図9】本発明の実施例2の定着装置の変形例を示す概略構成図である。
【図10】本発明の実施例3の定着装置を示す概略構成図である。
【図11】本発明の実施例3の定着装置における温度制御を示フローチャートである。
【図12】本発明の実施例4の定着装置における温度制御を示フローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1…画像形成装置
2…画像形成部
9…位置センサ
11…感光体ドラム
26…定着装置
27…ヒートローラ
27c…金属導電層
28…加圧ローラ
30、40、50…誘導加熱コイル
30a、40a、50a…磁性体コア
30b、40b、50b…電線
31…剥離爪
32a、32b…赤外線温度センサ
33…サーモスタット
34…クリーニングローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属導電層を有するエンドレスの加熱部材と、
前記加熱部材に圧接してニップを形成し前記加熱部材と共にトナー像を有する被定着媒体を所定方向に挟持搬送する加圧部材と、
前記加熱部材の外周に配置され、前記金属導電層に誘導電流を発生させる誘導加熱コイルと、
前記加熱部材の前記ニップ通過領域の温度を検知する温度センサと、
前記加熱部材の前記ニップ通過領域が、次に前記ニップに到達するまでに、前記加熱部材を所定温度に復帰するように前記誘導加熱コイルを制御する制御装置とを具備することを特徴とする画像形成装置の定着装置。
【請求項2】
前記制御手段装置は、前記温度センサによる検知結果と前記所定温度との差分に応じて前記誘導加熱コイルの出力値を可変制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項3】
前記加熱部材はヒートローラであり、前記ヒートローラの回転方向に沿って前記ニップ下流に前記温度センサ及び前記誘導加熱コイルが順次配置され、前記ヒートローラの回転速度をS1、前記ヒートローラの半径をr及び、前記温度センサの応答速度をtとした時に、前記ヒートローラ上の前記温度センサによる検知位置から前記誘導加熱コイルの上流側端部に対向する位置までの、前記ヒートローラの軸を中心とする配置位置θ(°)を、
θ(°)>S1×t×360/(2πr)
とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項4】
前記温度センサは非接触型温度センサであり、前記ヒートローラ上の検知位置は、前記非接触型温度センサの光軸と前記ヒートローラとの交点であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項5】
前記加熱手段は定着ベルトであり、前記定着ベルトの回転方向に沿って前記ニップ下流に前記温度センサ及び前記誘導加熱コイルが順次配置され、前記定着ベルトの回転速度をS2及び前記温度センサの応答速度をtとした時に、前記温度センサによる前記定着ベルト上の検知位置から前記誘導加熱コイルの上流側端部に対向する前記定着ベルトまでの距離Lを、
L>S2×t
とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項6】
前記温度センサは非接触型温度センサであり、前記定着ベルト上の検知位置は、前記非接触型温度センサの光軸と前記定着ベルトとの交点であることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項7】
金属導電層を有するエンドレスの加熱部材と、
前記加熱部材に圧接してニップを形成し前記加熱部材と共にトナー像を有する被定着媒体を所定方向に挟持搬送する加圧部材と、
前記加熱部材の外周に配置され、前記金属導電層に誘導電流を発生させる誘導加熱コイルと、
前記加熱部材における前記被定着媒体の先端通過位置を検知する位置センサと、
前記位置センサに検知された先端通過位置が前記誘導加熱コイルに達すると、前記誘導加熱コイルの出力値をアップするよう制御する制御手段とを具備することを特徴とする画像形成装置の定着装置。
【請求項8】
前記位置センサは前記被定着媒体が前記ニップに到達するまでの搬送路中にて前記被定着媒体の先端を検知することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項9】
金属導電層を有するエンドレスの加熱部材と、
前記加熱部材に圧接してニップを形成しトナー像を有する被定着媒体を所定方向に搬送する加圧部材と、
前記加熱部材の外周に配置され、前記金属導電層に誘導電流を発生させる誘導加熱コイルと、
前記ニップにおける被定着媒体の通過を検知する位置センサと、
前記被定着媒体が前記ニップを通過する間、前記誘導加熱コイルをON制御する制御手段とを具備することを特徴とする画像形成装置の定着装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記加熱部材における前記被定着媒体の先端通過位置が前記誘導加熱コイルに達するタイミングで前記誘導加熱コイルの出力値の変動可能であることを特徴とする請求項9記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項11】
前記位置センサは前記被定着媒体が前記ニップに到達するまでの搬送路中にて前記被定着媒体の先端から後端までの通過を検知することを特徴とする請求項9または請求項10記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項1】
金属導電層を有するエンドレスの加熱部材と、
前記加熱部材に圧接してニップを形成し前記加熱部材と共にトナー像を有する被定着媒体を所定方向に挟持搬送する加圧部材と、
前記加熱部材の外周に配置され、前記金属導電層に誘導電流を発生させる誘導加熱コイルと、
前記加熱部材の前記ニップ通過領域の温度を検知する温度センサと、
前記加熱部材の前記ニップ通過領域が、次に前記ニップに到達するまでに、前記加熱部材を所定温度に復帰するように前記誘導加熱コイルを制御する制御装置とを具備することを特徴とする画像形成装置の定着装置。
【請求項2】
前記制御手段装置は、前記温度センサによる検知結果と前記所定温度との差分に応じて前記誘導加熱コイルの出力値を可変制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項3】
前記加熱部材はヒートローラであり、前記ヒートローラの回転方向に沿って前記ニップ下流に前記温度センサ及び前記誘導加熱コイルが順次配置され、前記ヒートローラの回転速度をS1、前記ヒートローラの半径をr及び、前記温度センサの応答速度をtとした時に、前記ヒートローラ上の前記温度センサによる検知位置から前記誘導加熱コイルの上流側端部に対向する位置までの、前記ヒートローラの軸を中心とする配置位置θ(°)を、
θ(°)>S1×t×360/(2πr)
とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項4】
前記温度センサは非接触型温度センサであり、前記ヒートローラ上の検知位置は、前記非接触型温度センサの光軸と前記ヒートローラとの交点であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項5】
前記加熱手段は定着ベルトであり、前記定着ベルトの回転方向に沿って前記ニップ下流に前記温度センサ及び前記誘導加熱コイルが順次配置され、前記定着ベルトの回転速度をS2及び前記温度センサの応答速度をtとした時に、前記温度センサによる前記定着ベルト上の検知位置から前記誘導加熱コイルの上流側端部に対向する前記定着ベルトまでの距離Lを、
L>S2×t
とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項6】
前記温度センサは非接触型温度センサであり、前記定着ベルト上の検知位置は、前記非接触型温度センサの光軸と前記定着ベルトとの交点であることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項7】
金属導電層を有するエンドレスの加熱部材と、
前記加熱部材に圧接してニップを形成し前記加熱部材と共にトナー像を有する被定着媒体を所定方向に挟持搬送する加圧部材と、
前記加熱部材の外周に配置され、前記金属導電層に誘導電流を発生させる誘導加熱コイルと、
前記加熱部材における前記被定着媒体の先端通過位置を検知する位置センサと、
前記位置センサに検知された先端通過位置が前記誘導加熱コイルに達すると、前記誘導加熱コイルの出力値をアップするよう制御する制御手段とを具備することを特徴とする画像形成装置の定着装置。
【請求項8】
前記位置センサは前記被定着媒体が前記ニップに到達するまでの搬送路中にて前記被定着媒体の先端を検知することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項9】
金属導電層を有するエンドレスの加熱部材と、
前記加熱部材に圧接してニップを形成しトナー像を有する被定着媒体を所定方向に搬送する加圧部材と、
前記加熱部材の外周に配置され、前記金属導電層に誘導電流を発生させる誘導加熱コイルと、
前記ニップにおける被定着媒体の通過を検知する位置センサと、
前記被定着媒体が前記ニップを通過する間、前記誘導加熱コイルをON制御する制御手段とを具備することを特徴とする画像形成装置の定着装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記加熱部材における前記被定着媒体の先端通過位置が前記誘導加熱コイルに達するタイミングで前記誘導加熱コイルの出力値の変動可能であることを特徴とする請求項9記載の画像形成装置の定着装置。
【請求項11】
前記位置センサは前記被定着媒体が前記ニップに到達するまでの搬送路中にて前記被定着媒体の先端から後端までの通過を検知することを特徴とする請求項9または請求項10記載の画像形成装置の定着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−259683(P2006−259683A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−285237(P2005−285237)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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