説明

画像形成装置の梱包形態

【課題】プロセスカートリッジと装置本体を同梱する画像形成装置の梱包形態において、プロセスカートリッジ内に設けられるトナーを除湿する。
【解決手段】画像形成装置の装置本体は、画像形成用トナーを収容したプロセスカートリッジ9を装置本体内に対し挿脱するための開口部7およびその開口部を開閉可能なフロントカバー8を有している。画像形成装置は、装置本体内にプロセスカートリッジ9が挿入された状態で梱包される。その梱包状態において、プロセスカートリッジ9と、閉じられた状態のフロントカバー8との間に袋体形状の乾燥剤80が設置されている。さらに詳しくは、乾燥剤80は、レジストローラ対を置換状態に保持するシート材70とベルト部材75により連結され、ベルト部材75の端部がフロントカバー8から外部に露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジを同梱させる画像形成装置の梱包形態に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置本体及びプロセスカートリッジの物流形態としては、運搬用梱包材料の削減、および、運搬効率を向上させるために画像形成装置本体とプロセスカートリッジを一つの箱に梱包するために、プロセスカートリッジを画像形成装置本体内に装着した状態で梱包することが提案されている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、装置本体内にプロセスカートリッジを装着させた状態で梱包(以下「同梱」という)し、梱包状態において帯電ローラや現像ローラが感光体ドラムと離間するようにした画像形成装置が記載されている。これは、輸送中に発生する振動によって、感光体ドラムが現像ローラや帯電ローラと接触して擦れることによって感光体ドラムが傷つくことを防止したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−259448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、プロセスカートリッジ内に挿入されているトナーは、吸湿することで劣化してしまい、画像形成時の画質の低下を招いてしまう。そのため、プロセスカートリッジの梱包時には、密封された袋に入れるなどのトナーを乾燥させた状態で保存されるように工夫がなされている。しかし、装置本体とプロセスカートリッジを同梱する場合には、プロセスカートリッジを密封された袋に入れることは難しく、トナーを乾燥させた状態で保存することは難しい。そこで、本発明では、装置本体にプロセスカートリッジを装着させた状態で梱包する画像形成装置の梱包形態において、プロセスカートリッジ内のトナーが吸湿することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、装置本体に、画像形成用トナーを収容したプロセスカートリッジを装置本体内に対し挿脱するための開口部およびその開口部を開閉可能なカバーを有し、前記プロセスカートリッジが挿入された状態で梱包される前記画像形成装置の梱包形態において、前記装置本体内に前記プロセスカートリッジが挿入された状態で、前記プロセスカートリッジと、閉じられた状態の前記カバーとの間に乾燥剤が設置されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の画像形成装置の梱包形態において、前記乾燥剤は、袋体形状をしており、前記プロセスカートリッジと前記カバーとによって狭持されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態において、前記プロセスカートリッジは静電潜像を形成する感光体の軸方向と直交する方向に着脱可能であり、前記乾燥剤は、前記感光体の軸方向に沿って設置されていることを特徴する。
【0008】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態において、前記開口部がわの面に、その開口部から前記カバーがわへ突出した把持部が設けられており、前記乾燥剤は前記プロセスカートリッジの前記面に沿って、かつ、前記把持部と並べて設置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態において、前記プロセスカートリッジの下方には用紙を収容する給紙トレイが設けられ、前記給紙トレイから前記プロセスカートリッジの下方に設けられた第2搬送路へと前記用紙を搬送する第1搬送路の一部を構成するガイド部材を有し、前記ガイド部材と前記把持部との間に前記乾燥剤を設置することを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の画像形成装置の梱包形態において、前記カバーが設けられている側面には、前記用紙を挿入する手差し開口を有し、前記ガイド部材の上面は、前記手差し開口から前記第2搬送路へと前記用紙をガイドすることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態において、前記カバーは、前記カートリッジ側に向けて開放された凹部を有し、前記乾燥剤は前記凹部に設置されることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態において、前記乾燥剤はベルト部材と連結され、前記ベルト部材の端部は、閉じた状態のカバーから外部へ露出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、装置本体に挿入されたプロセスカートリッジと画像形成装置のカバーとの間に乾燥剤を設置して梱包している。物流状態において運搬用梱包材料を削減し運搬効率を向上させることができるとともに、乾燥剤をプロセスカートリッジの近くに設置しているため、トナーの除湿効果を高めることができる。また、開梱の際に、カバーをあけることで、乾燥剤を容易に取り出すことができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、プロセスカートリッジとカバーとの間に袋体形状の乾燥剤を狭持して設置している。そのため、画像形成装置の輸送中に乾燥剤が移動するのを抑制できる。また、輸送中に画像形成装置が揺れたとしても、乾燥剤がクッションの役割を果たすのでプロセスカートリッジが損傷するのを抑制できる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、感光体の軸方向に沿って乾燥剤を設置することで、プロセスカートリッジとカバーとの間の隙間が小さかったとしても、感光体の軸方向に長く乾燥剤を設置することができる。それによって、乾燥剤を設置する量を確保でき、除湿効果が下がるのを抑制することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、把持部が設けられた面に沿って乾燥剤を設置するので、乾燥剤を設置するための空間を新たに設ける必要がなく、装置の大型化を招かずに乾燥剤を設置することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、給紙トレイからプロセスカートリッジへ向け用紙を搬送するためのガイド部材と把持部との間に乾燥剤を設置している。それによって、乾燥剤を設置するための空間を新たに設ける必要がなく、装置の大型化を招かずに乾燥剤を設置することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、給紙トレイから供給された用紙を第2搬送路へとガイドするガイド部材の上面で、手差し開口から供給された用紙を第2搬送路へとガイドする。それによって、新たに手差し開口用にガイドする部材を設けなくとも、手差し開口と給紙トレイから用紙を第2搬送路へ搬送することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、カバーにプロセスカートリッジ側に開放された凹部を有し、凹部に乾燥剤を設置した。それによって、乾燥剤を設置するための空間を新たに設ける必要がなく、装置の大型化を招かずに乾燥剤を設置することができる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、乾燥剤に連結したベルト部材がカバーから露出しているので、画像形成装置の使用前に乾燥剤を取り出さなければならないことを喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像形成装置の中央断面図である。
【図2】プロセスカートリッジ着脱時の画像形成装置の中央断面図である。
【図3】プロセスカートリッジの斜視図である
【図4】トナーカートリッジの着脱時の斜視図である。
【図5】第1の実施形態に係る画像形成装置梱包時の中央断面図である。
【図6】プロセスカートリッジに対するシート材、乾燥剤、ベルト部材の関係を説明する斜視図である。
【図7】第1の実施形態に係る画像形成装置梱包時の正面方向から見た断面図である。
【図8】第2の実施形態に係る画像形成装置梱包時の中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
<画像形成装置の概略構成>
図1に示すように、画像形成装置1は、筐体2内に、用紙Sを給紙するための給紙部3と、用紙Sに画像を形成する画像形成部4と、画像形成前の用紙Sを収容する給紙トレイ5と、画像形成後の用紙Sを積載する排紙トレイ6と、を主に備えている。
【0024】
ここで、画像形成装置1の概略構成の説明において、方向は、画像形成装置1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1におけるフロントカバー8側を「前」、反対側を「後」とし、紙面手前側を「左」、紙面奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0025】
筐体2には、図2に示すように、後述するプロセスカートリッジ9を着脱可能な開口部7が設けられ、開口部7を開閉可能なフロントカバー8が回動可能に設けられている。フロントカバー8には、画像形成部4に用紙Sを給紙可能な手差し開口10が前後に貫通して設けられている。なお、手差し開口10は、フロントカバー8でなく筐体2の前面に設けられていてもよい。また、フロントカバー8には、フロントカバー8の上壁と手差し開口10との間に、筐体2の内方側に向けて開放された凹形状のカバー凹部8Aが設けられている。カバー凹部8Aは、画像形成装置1の左右方向に長く延びている。
【0026】
プロセスカートリッジ9を含む画像形成部4など主要内部部品は、主として図7に示すように、左右一対の本体フレーム11に支持されている。なお、本体フレーム11、給紙部3、後述する露光装置15および定着器16など、プロセスカートリッジ9を除く各種装置を備えた状態の筐体2を、以下「装置本体」ということがある。
【0027】
次に、用紙Sの搬送及び、画像形成動作について詳しく説明する。
【0028】
給紙部3は、ピックアップローラ12と分離ローラ13Aと、分離パッド13Bと、搬送ローラ対14とを備えており、給紙トレイ5に収容された用紙Sを一枚ずつに分離し、画像形成部4に搬送する。
【0029】
給紙トレイ5はプロセスカートリッジ9の下方に設置され、用紙Sは、給紙トレイ5から第1搬送路20と第2搬送路25を経て側面視略U字形に反転してプロセスカートリッジ9の下に搬送される。その略U字形のうち湾曲部分の外側には、ガイド部材21が設置され、そのガイド部材21の下面21Aによって第1搬送路20の少なくとも一部が構成されている。
【0030】
ガイド部材21に設けられたガイド部材上面21Bは、手差し開口10の内方端と隣接して位置しており、手差し開口10から挿入される用紙Sを画像形成部4へとガイドする。
【0031】
第2搬送路25は、プロセスカートリッジ9の下面で構成された用紙搬送面48と、用紙搬送面48と対向する経路構成部材26との間に、第1搬送路20の用紙搬送方向下流側に連続して形成され、感光体ドラム31と転写ローラ33とのニップ部に接続している。第2搬送路25の途中には、レジストローラ対22が設けられている。レジストローラ対22は経路構成部材26に設けられた本体側レジストローラ23とプロセスカートリッジ9の下面に設けられたプロセス側レジストローラ34からなる。経路構成部材26は図7に示すように、左右一対の本体フレーム11間を橋渡すように形成されている。後述するようにプロセスカートリッジ9は装置本体に対して着脱可能であるから、プロセスカートリッジ9を装置本体に装着した状態で、上記の第2搬送路25が形成され、レジストローラ23,34が互いに当接する。プロセスカートリッジ9を装置本体に装着したとき、プロセス側レジストローラ34は、その左右両端において本体フレーム11に設けられたバネ24で本体側レジストローラ23に対して所定圧力で当接している。
【0032】
ガイド部材21と用紙搬送面48との間には、開口部7側に向けて開放された開放部28が設けられている。開放部28は、手差し開口10から挿入された用紙Sを第2搬送路25へ供給することを可能にする。
【0033】
また、用紙搬送面48は上に凹んだ凹形状をしており、用紙搬送面48と経路構成部材26との間にレジストローラ対22で先端合わせされる用紙Sを撓ませるための許容空間29が形成されている。
【0034】
画像形成部4は、プロセスカートリッジ9と、露光装置15と、定着器16とを備えている。
【0035】
露光装置15は筐体2の上部に配置されている。露光装置15は、感光体ドラム31に向けて、画像データに基づいた光(矢印で示すレーザービーム)を照射する。
【0036】
プロセスカートリッジ9は、開口部7から、露光装置15と経路構成部材26との間に後述する感光体ドラム31の軸方向と直交する方向に着脱自在に挿入され、本体フレーム11の図示しない位置決め部により所定位置に装着される。プロセスカートリッジ9には、後方から前方へ並んで感光体ドラム31、現像ローラ36、供給ローラ37、トナー収容室39などが設けられ、感光体ドラム31の後上側にスコロトロン型の帯電器32、感光体ドラム31の下側に転写ローラ33が設けられている。感光体ドラム31及び各ローラ36,37,33は、それぞれ左右方向に長手であり左右方向に延びる軸線のまわりに回転可能である。
【0037】
画像形成時には、トナー収容室39内のトナーは、供給ローラ37により現像ローラ36に供給され、供給ローラ37と現像ローラ36との間で正極性に摩擦帯電される。
【0038】
現像ローラ36に供給されたトナーは、現像ローラ36の回転に伴って、層厚規制部材によって厚さ(層厚)が規制され、一定厚さの薄層として現像ローラ36の表面(外周面)に担持される。
【0039】
一方、感光体ドラム31の表面(外周面)は、感光体ドラム31の回転に伴って、帯電器32により一様に正帯電された後、露光装置15からのレーザービーム(矢印参照)の高速走査により露光される。これにより、用紙Sに形成すべき画像に対応した静電潜像が感光体ドラム31の表面に形成される。
【0040】
現像ローラ36の表面に担持されているトナーは、感光体ドラム31の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム31の静電潜像は可視像化され、感光体ドラム31の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
【0041】
そして、画像形成部4に搬送された用紙Sが、破線で示すように、感光体ドラム31と転写ローラ33との間を通過するときに、感光体ドラム31に担持されているトナー像が、用紙Sに転写される。
【0042】
定着器16は、プロセスカートリッジ9の後方に配置され、加熱ローラ17、および、加熱ローラ17に対向する加圧ローラ18を備えている。プロセスカートリッジ9において、用紙Sに転写されたトナー像は、用紙Sが加熱ローラ17と加圧ローラ18との間を通過する間に、加熱および加圧されることによって用紙Sに熱定着される。
【0043】
トナー像が定着した用紙Sは、排紙ローラ19に向けて搬送され、排紙ローラ19によって露光装置15の上方に設けられる排紙トレイ6上に排紙される。
【0044】
<プロセスカートリッジの構成>
プロセスカートリッジ9は、図3から図4に示すように、ドラムカートリッジ40と、トナーカートリッジ60とを備え、前述の感光体ドラム31及び各ローラ36,37,33などを両カートリッジ40,60に分けて支持させている。
【0045】
ドラムカートリッジ40は、図3に示すように、大略箱形状をなすフレーム43を備えている。フレーム43はフレーム下壁47と、そのフレーム下壁47の左右端部に間隔をあけて立ち上がった一対のフレーム側壁44と、プロセスカートリッジ9を装置本体内に装着したとき開口部7側に位置するフレーム前壁45と、そのフレーム前壁45と反対側に位置するフレーム後壁46とを備えている。一対のフレーム側壁44、フレーム前壁45およびフレーム後壁46は、平面視において枠状に連続している。
【0046】
一対のフレーム側壁44は、フレーム後壁46と隣接したカートリッジ後部42において感光体ドラム31と転写ローラ33を回転可能に支持している。フレーム後壁46の上端は、感光体ドラム31の上方を覆うように前方へ延びている。
【0047】
フレーム後壁46の前方延長端よりも前方に位置するカートリッジ前部41は、一対のフレーム側壁44およびフレーム前壁45に囲まれる部分を上方へ開放した凹形状のトナーカートリッジ収容部52としており、トナーカートリッジ60を収容可能にしている。
【0048】
トナーカートリッジ60は、図4に示すように、トナー収容室39を囲む上壁、下壁、一対の側壁64および前壁62を有し、後側が開放された箱形状に形成されている。現像ローラ36および供給ローラ37は、一対の側壁64に回転自在に支持され、現像ローラ36の一部を後端の開放された位置から露出している。
【0049】
トナーカートリッジ60は、現像ローラ36の左右に突出させた軸を、フレーム側壁44に感光体ドラム31へ近接するように切り欠かれた位置決め部49に挿入した状態で、付勢部材51によって感光体ドラム31へ向け押圧される。それにより、現像ローラ36の外周が感光体ドラム31の外周に接近させた状態で位置決めされる。トナーカートリッジ60は、トナーカートリッジ収容部52に嵌合された状態で、ロックレバー50がトナーカートリッジ側壁64の突起65に係合することによって保持される。ロックレバー50を突起65から解除すれば、トナーカートリッジ60はトナーカートリッジ収容部52から外すことが可能になる。
【0050】
なお、前述のプロセスカートリッジ9側の用紙搬送面48は、フレーム下壁47の裏面で形成されている。プロセス側レジストローラ34は、フレーム下壁47にその裏面から一部を露出させた状態で回転可能に支持されている。
【0051】
ドラムカートリッジ40およびトナーカートリッジ60は、それぞれ前壁45,62に開口部7側へ向けて延びる把持部53,63を備え、把持部53,63は、プロセスカートリッジ9を装置本体に対して着脱する際にユーザーによって把持される。
【0052】
<梱包時の構成>
本実施の形態ではプロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着したまま梱包し、輸送することで、運搬用梱包材の削減および運搬効率を向上させている。
【0053】
図5に示すように、梱包時の装置本体には、プロセスカートリッジ9とシート材70と乾燥剤80とが挿入されている。
【0054】
シート材70は、樹脂材料からなる樹脂シートであり、画像形成装置1を梱包する際に、レジストローラ対22を互いに離間あるいは互いに当接する圧力を低くした状態で保持する部材である。例えば、図7に示すようにプロセス側レジストローラ34が均一な径の棒状で、本体側レジストローラ23が軸線方向に部分的に存在する場合、プロセス側レジストローラ34の左右両端に近い位置と、経路構成部材26またはその経路構成部材26に連続する本体フレーム11の切欠き部との間に、シート材70が挿入される。具体的には、シート材70を置いた上にプロセスカートリッジ9が装着される。または、プロセス側レジストローラ34と本体側レジストローラ23とが当接する部分を避けて、経路構成部材26とプロセスカートリッジ9の用紙搬送面48との間にシート材70を配置してもよい。シート材70は、好ましくはプロセス側レジストローラ34の左右両端に近い位置に配置される一対の部分と、その一対の部分を開口部7側において連結する部分とで、平面視コ字形に構成されている。
【0055】
それによって、梱包状態において長時間高温環境に置かれた場合でも、プロセス側レジストローラ34を本体側レジストローラ23側へ付勢する圧力を本体フレーム11またはその本体フレーム11近傍の経路構成部材26で受け止めることができるので、レジストローラ23,34の接触部が変形したり、経路構成部材26が変形してしまうなどの問題を抑制している。
【0056】
乾燥剤80は、通気性のある袋体に粒状のシリカゲルが多数入れられることで、袋体形状に形成されている。袋体内に入っているシリカゲルは袋体内を自由に移動可能であり、乾燥剤80は変形可能になっている。
【0057】
乾燥剤80は、画像形成装置1内において、上下方向をガイド部材21上面とドラムカートリッジ40の把持部53との間に配置され、前後方向をフロントカバー8の内面とプロセスカートリッジ9のフレーム前壁45との間に配置されている。さらに、乾燥剤80は、フレーム前壁45に沿って左右方向(感光体ドラム31の軸方向)に横長に形成されており、好ましくは、プロセスカートリッジ9の左右方向の長さと乾燥剤80の左右方向の長さはほぼ同じ長さに形成されている。
【0058】
乾燥剤80がプロセスカートリッジ9とフロントカバー8との間に好ましくは狭持されて配置されていることで、輸送中に画像形成装置1が揺れたとしても、乾燥剤80内のシリカゲルが移動することで衝撃を吸収し、乾燥剤80がクッションの役割りを果たす。これによって、プロセスカートリッジ9と装置本体が傷つくのを抑制することができる。
【0059】
シート材70と乾燥剤80は可撓性のベルト部材75によって連結されている。
【0060】
ベルト部材75は、図5、図6に示すように、シート材70の前端付近に接続されており、許容空間29と開放部28を通って、乾燥剤80に連結されている。ベルト部材75は、乾燥剤80の前端を通った後にカバー凹部8Aとプロセスカートリッジ9の上方を通過した後にフロントカバー8と筐体2との間から画像形成装置1の外側に露出するように設けられている。
【0061】
ベルト部材75が画像形成装置1の外側に露出しているため、ユーザにシート材70および乾燥剤80を画像形成装置1の使用前に取り出さなければならないということを喚起することができる。
【0062】
上記のように乾燥剤80とシート材70を内包した画像形成装置1は、公知のように、塩化ビニル等の可撓性の包装袋91に、ほぼ全周を包まれ、さらにその外側を段ボール箱等の包装箱92で覆われる。本実施形態の場合、包装袋91は、通気性の低いものであることが好ましく、それによって乾燥剤80による装置本体内の乾燥効果を高めることができる。
【0063】
<本実施形態の作用効果>
以上説明した画像形成装置の梱包形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0064】
本実施形態では、プロセスカートリッジ9を装置本体に装着した状態で梱包する画像形成装置1において、装置本体に装着したプロセスカートリッジ9とフロントカバー8との間に乾燥剤80を設置する構成としている。装置本体とプロセスカートリッジ9とを同梱して輸送する場合に、プロセスカートリッジ9内のトナーの吸湿が問題となっていたが、本構成を採用することでトナーに近い位置に乾燥剤80を設置することができるので、プロセスカートリッジ9と装置本体を同梱する場合においても十分にトナーを乾燥状態に維持することができる。
【0065】
さらに、プロセスカートリッジ9とフロントカバー8とで乾燥剤80を狭持して設置している。それによって、輸送中に画像形成装置1が揺れたとしても乾燥剤80内のシリカゲルが移動することで揺れによる衝撃を吸収するので、プロセスカートリッジ9と装置本体が傷つくのを抑制できる。
【0066】
さらに、乾燥剤80を感光体ドラム31の軸方向に沿って長く設置している。そのため、プロセスカートリッジ9とフロントカバー8との間の間隔が狭かったとしても、画像形成装置1の左右方向に乾燥剤80を設置することができるので、十分な除湿効果が得られる。
【0067】
さらに、プロセスカートリッジ9の前端に設けられた把持部53に沿って乾燥剤80が設けられている。把持部53は、プロセスカートリッジ9から突出している部材であるため、周りの空間が無駄になってしまうことがあるが、本構成ではその空間に乾燥剤80を設置させることで、新たに乾燥剤80を設置するスペースを設ける必要がなく十分な除湿効果を得られるため、画像形成装置1の小型化を図ることができる。
【0068】
さらに、第1搬送路20を構成している一部であるガイド部材21に設けられたガイド部材上面21Bと把持部53との間に乾燥剤80を設置している。それによって、新たにスペースを設ける必要なく乾燥剤80を設置することができるため、新たに乾燥剤80を設置するためのスペースを設ける場合に比べて画像形成装置1の小型化を図ることができる。
【0069】
さらに、開梱の際に、フロントカバー8をあけることで、乾燥剤80をシート材70とともに容易に取り出すことができ、それにより画像形成装置を使用状態とすることができる。
【0070】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、プロセスカートリッジ9に設けられた把持部53と第1搬送路20に設けられたガイド部材21との間に乾燥剤80を設置したが、図8に、第2の実施形態としてフロントカバー8に設けられたカバー凹部8Aに乾燥剤81を設置した実施形態を示す。なお、乾燥剤の設置位置以外の具体的な構成は第1の実施形態と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0071】
乾燥剤81は、フロントカバー8にプロセスカートリッジ9側に向けて開放されたカバー凹部8Aに収納され、プロセスカートリッジ9の把持部53とフロントカバー8との間に配置されている。さらに、乾燥剤81は、フレーム前壁45に沿って左右方向(感光体ドラム31の軸方向)に横長に形成されており、好ましくはプロセスカートリッジ9の左右方向の長さと乾燥剤81の左右方向の長さはほぼ同じ長さに形成されている。
【0072】
本構成によれば、乾燥剤81をフロントカバー8に設けられたカバー凹部8Aに設置することにより、画像形成装置1内に新たにスペースを設けることなく乾燥剤81を設置することができるので、画像形成装置1の小型化を図ることができる。
【0073】
シート材70と乾燥剤81はベルト部材76によって連結されている。そのベルト部材76とシート材、乾燥剤、およびフロントカバーとの関係は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0074】
さらに、開梱の際に、フロントカバー8をあけることで、乾燥剤81をシート材70とともに容易に取り出すことができるが、画像形成装置1の使用に際して乾燥剤81のみはカバー凹部8Aに残しておいてもよい。その場合、フロントカバー8をあけることで、乾燥剤81を容易に交換することができる。
【0075】
<その他の実施形態>
第1の実施形態と第2の実施形態では、プロセスカートリッジ9を第2搬送路25での用紙搬送方向とほぼ平行に着脱するようにしたが、第2搬送路25の一方の側方をカバーによって開放できるようにして、プロセスカートリッジ9を用紙搬送方向とほぼ直交する方向に着脱するようにすることもできる。
【0076】
その場合、把持部53は、プロセスカートリッジ9のカバー側の側面に設けられる。
【0077】
第1の実施形態と第2の実施形態では、ガイド部材21が手差し開口10から画像形成部4までの用紙Sのガイドと、給紙トレイ5から画像形成部4までの用紙Sのガイドを行うように構成されているが、手差し開口10からガイドするガイド部材21と、給紙トレイ5からガイドするガイド部材を別々に設けても良い。
【0078】
また、第1の実施形態と第2の実施形態では、プロセスカートリッジ9はドラムカートリッジ40と、トナーカートリッジ60が別体となっているものを例示したが、ドラムカートリッジ40とトナーカートリッジ60が一体としてもよい。さらに、プロセスカートリッジ9は少なくともトナーのみを収容するものとし、感光体ドラム31を画像形成装置本体が有するような画像形成装置1において、そのプロセスカートリッジ9を装置本体に対して着脱するものにしても良い。
【0079】
また、第1の実施形態では、乾燥剤80として、袋体に粒状のシリカゲルが入れられたものを例示したが、シリカアルミナゲルや塩化カルシウム加工品や生石灰などを袋体に入れたものを用いても良い。さらに、乾燥剤80として、薄い板状になっているシート状の乾燥剤を用いても良い。
【0080】
また、乾燥剤80,81は、シート材70とベルト部材75,76によって連結されているが、乾燥剤80,81とシート材70とにベルト部材75,76を別々に設けても良く、あるいは、ベルト部材75,76およびシート材70は省略しても良い。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成装置
2 筐体
3 給紙部
4 画像形成部
5 給紙トレイ
6 排紙トレイ
8 フロントカバー
8A カバー凹部
9 プロセスカートリッジ
10 手差し開口
15 露光装置
16 定着器
20 第1搬送路
21 ガイド部材
22 レジストローラ対
23 本体側レジストローラ
25 第2搬送路
26 経路構成部材
28 開放部
29 許容空間
31 感光体ドラム
34 プロセス側レジストローラ
36 現像ローラ
40 ドラムカートリッジ
45 フレーム前壁
48 用紙搬送面
49 位置決め部
53 把持部
60 トナーカートリッジ
62 トナー収容部前壁
63 延出部
70 シート材
75,76 ベルト部材
80,81 乾燥剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に、画像形成用トナーを収容したプロセスカートリッジを装置本体内に対し挿脱するための開口部およびその開口部を開閉可能なカバーを有し、前記プロセスカートリッジが挿入された状態で梱包される画像形成装置の梱包形態において、
前記装置本体内に前記プロセスカートリッジが挿入された状態で、前記プロセスカートリッジと、閉じられた状態の前記カバーとの間に乾燥剤が設置されていることを特徴とする画像形成装置の梱包形態。
【請求項2】
前記乾燥剤は、袋体形状をしており、前記プロセスカートリッジと前記カバーとによって狭持されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の梱包形態。
【請求項3】
前記プロセスカートリッジは静電潜像を形成する感光体の軸方向と直交する方向に着脱可能であり、
前記乾燥剤は、前記感光体の軸方向に沿って設置されていることを特徴する請求項1または請求項2に記載の画像形成装置の梱包形態。
【請求項4】
前記プロセスカートリッジは前記開口部がわの面に、その開口部から前記カバーがわへ突出した把持部が設けられており、
前記乾燥剤は前記プロセスカートリッジの前記面に沿って、かつ、前記把持部と並べて設置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態。
【請求項5】
前記プロセスカートリッジの下方には用紙を収容する給紙トレイが設けられ、
前記給紙トレイから前記プロセスカートリッジの下方に設けられた第2搬送路へと前記用紙を搬送する第1搬送路の一部を構成するガイド部材を有し、
前記ガイド部材と前記把持部との間に前記乾燥剤を設置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態。
【請求項6】
前記カバーが設けられている側面には、前記用紙を挿入する手差し開口を有し、
前記ガイド部材の上面は、前記手差し開口から前記第2搬送路へと前記用紙をガイドすることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置の梱包形態。
【請求項7】
前記カバーは、前記カートリッジがわに向けて開放された凹部を有し、
前記乾燥剤は前記凹部に設置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態。
【請求項8】
前記乾燥剤はベルト部材と連結され、前記ベルト部材の端部は、閉じた状態のカバーから外部へ露出していることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−150198(P2012−150198A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7624(P2011−7624)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】