説明

画像形成装置の梱包形態

【課題】プロセスカートリッジと画像形成装置を同梱するような画像形成装置の梱包形態において、プロセスカートリッジ内に設けられる現像剤を除湿する。
【解決手段】画像形成装置1の装置本体は、画像形成用トナーを収容したプロセスカートリッジ9を装置本体内に対し挿脱するための開口部およびその開口部を開閉可能なフロントカバー8を有している。画像形成装置は、装置本体内にプロセスカートリッジ9が挿入された状態で梱包される。その梱包状態において、プロセスカートリッジ9の感光体31と感光体へ光を露光する露光装置15との間に乾燥剤80を設置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジを同梱させる画像形成装置の梱包形態に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置本体及びプロセスカートリッジの物流形態としては、運搬用梱包材料の削減、および、運搬効率を向上させるために画像形成装置本体とプロセスカートリッジを一つの箱に梱包するために、プロセスカートリッジを画像形成装置本体内に装着した状態で梱包することが提案されている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、装置本体内にプロセスカートリッジを装着させた状態で梱包(以下「同梱」という)し、梱包状態において帯電ローラや現像ローラが感光体ドラムと離間するようにした画像形成装置が記載されている。これは、輸送中に発生する振動によって、感光体ドラムが現像ローラや帯電ローラと接触して擦れることによって感光体ドラムが傷つくことを防止したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−259448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、プロセスカートリッジ内に挿入されているトナーは、吸湿することで劣化してしまい、画像形成時の画質の低下を招いてしまう。そのため、プロセスカートリッジの梱包時には、密封された袋に入れるなどのトナーを乾燥させた状態で保存されるように工夫がなされている。しかし、装置本体とプロセスカートリッジを同梱する場合には、プロセスカートリッジを密封された袋に入れることは難しく、トナーを乾燥させた状態で保存することは難しい。そこで、本発明では、装置本体にプロセスカートリッジを装着させた状態で梱包する画像形成装置の梱包形態において、プロセスカートリッジ内のトナーが吸湿することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、装置本体に、画像形成用トナーを収容したプロセスカートリッジを装置本体内に対し挿脱するための開口部およびその開口部を開閉可能なカバーを有し、前記プロセスカートリッジが挿入された状態で梱包される画像形成装置の梱包形態において、感光体に光を照射することで前記感光体に静電潜像を形成する露光装置を有し、前記装置本体内に前記プロセスカートリッジが挿入された状態で、前記プロセスカートリッジと前記露光装置との間であって、前記露光装置から前記感光体への光を遮断する位置に乾燥剤を設置することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の画像形成装置の梱包形態において、前記乾燥剤もしくは、前記乾燥剤に接続された部材の一部は、前記画像形成装置と前記カバーとの隙間から前記画像形成装置外部へ露出していることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態において、前記乾燥剤は、前記プロセスカートリッジ上に設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の画像形成装置の梱包形態において、前記乾燥剤は、前記プロセスカートリッジに設けられた前記トナーを収容するトナー収容室上に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態において、前記乾燥剤は、前記感光体の軸方向に沿って設置されており、前記露光装置から前記感光体への光を全て遮断することを特徴する。
【0010】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態において、前記画像形成装置内に並べて設けられた複数の前記プロセスカートリッジを有し、前記乾燥剤が前記複数のプロセスカートリッジ上にわたって架設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態において、前記画像形成装置内に並べて設けられた複数の前記プロセスカートリッジを有し、前記複数のプロセスカートリッジ上に前記乾燥剤が複数設けられ、前記複数の乾燥剤は相互に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、光を照射することで静電潜像を形成する露光装置と感光体との間に乾燥剤を設置している。乾燥剤を感光体と露光装置との間に設置しているため、乾燥剤を除去しなければ用紙の少なくとも一部には画像を形成することができない。これにより、画像形成装置使用前に乾燥剤を除去することを喚起することができるので、乾燥剤によって画像形成装置内の乾燥を行いつつ、乾燥剤の取り忘れを防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、乾燥剤もしくは乾燥剤に接続された部材が画像形成装置から露出されているので、乾燥剤の除去し忘れを防ぐことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、プロセスカートリッジを着脱することで、乾燥剤を取り出すことができるためユーザの利便性を向上させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、乾燥剤をトナー収容室の上部に設置することで、乾燥剤をトナーに近い位置に設置することができ、トナーの除湿効果を高めることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、乾燥剤が感光体の軸方向に沿って設けられ、露光装置から感光体への光を全て遮るように設けられている。これによって、用紙幅方向の全ての位置において画像を形成することができないため、乾燥剤を除去しなければならないことをより分かりやすくユーザに喚起することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、複数のプロセスカートリッジを有する画像形成装置において、プロセスカートリッジの上に乾燥剤を架設することで、プロセスカートリッジそれぞれのトナーの除湿効果を高めることができる。また、複数のプロセスカートリッジに対し乾燥剤が1つであるので除去が容易である。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、複数のプロセスカートリッジを有する画像形成装置において、複数のプロセスカートリッジの上に複数の乾燥剤を設置することで、プロセスカートリッジのトナーの除湿効果を高めることができる。また、複数の乾燥剤がそれぞれ連結されているため、乾燥剤の除去し忘れを喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】画像形成装置の中央断面図である。
【図2】プロセスカートリッジ着脱時の画像形成装置の中央断面図である。
【図3】プロセスカートリッジの斜視図である
【図4】トナーカートリッジの着脱時の斜視図である。
【図5】第1の実施形態に係る画像形成装置梱包時の中央断面図である。
【図6】プロセスカートリッジに対するシート材、乾燥剤、ベルト部材の関係を説明する斜視図である。
【図7】第1の実施形態に係る画像形成装置梱包時の正面方向から見た断面図である。
【図8】第2の実施形態に係る画像形成装置の中央断面図である。
【図9】第2の実施形態に係る画像形成装置のフロントカバーを開いた中央断面図である
【図10】第2の実施形態に係る画像形成装置梱包時の中央断面図である。
【図11】第3の実施形態に係る画像形成装置梱包時の中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
<画像形成装置の概略構成>
図1に示すように、画像形成装置1は、筐体2内に、用紙Sを給紙するための給紙部3と、用紙Sに画像を形成する画像形成部4と、画像形成前の用紙Sを収容する給紙トレイ5と、画像形成後の用紙Sを積載する排紙トレイ6と、を主に備えている。
【0022】
ここで、画像形成装置1の概略構成の説明において、方向は、画像形成装置1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1におけるフロントカバー8側を「前」、反対側を「後」とし、紙面手前側を「左」、紙面奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0023】
筐体2には、図2に示すように、後述するプロセスカートリッジ9を着脱可能な開口部7が設けられ、開口部7を開閉可能なフロントカバー8が回動可能に設けられている。フロントカバー8には、画像形成部4に用紙Sを給紙可能な手差し開口10が前後に貫通して設けられている。なお、手差し開口10は、フロントカバー8でなく筐体2の前面に設けられていてもよい。また、フロントカバー8には、フロントカバー8の上壁と手差し開口10との間に、筐体2の内方側に向けて開放された凹形状のカバー凹部8Aが設けられている。カバー凹部8Aは、画像形成装置1の左右方向に長く延びている。
【0024】
プロセスカートリッジ9を含む画像形成部4など主要内部部品は、主として図7に示すように、左右一対の本体フレーム11に支持されている。なお、本体フレーム11、給紙部3、後述する露光ユニット15および定着器16など、プロセスカートリッジ9を除く各種装置を備えた状態の筐体2を、以下「装置本体」ということがある。
【0025】
次に、用紙Sの搬送及び、画像形成動作について詳しく説明する。
【0026】
給紙部3は、ピックアップローラ12と分離ローラ13Aと、分離パッド13Bと、搬送ローラ対14とを備えており、給紙トレイ5に収容された用紙Sを一枚ずつに分離し、画像形成部4に搬送する。
【0027】
給紙トレイ5はプロセスカートリッジ9の下方に設置され、用紙Sは、給紙トレイ5から第1搬送路20と第2搬送路25を経て側面視略U字形に反転してプロセスカートリッジ9の下に搬送される。その略U字形のうち湾曲部分の外側には、ガイド部材21が設置され、そのガイド部材21の下面21Aによって第1搬送路20の少なくとも一部が構成されている。
【0028】
ガイド部材21に設けられたガイド部材上面21Bは、手差し開口10の内方端と隣接して位置しており、手差し開口10から挿入される用紙Sを画像形成部4へとガイドする。
【0029】
第2搬送路25は、プロセスカートリッジ9の下面で構成された用紙搬送面48と、用紙搬送面48と対向する経路構成部材26との間に、第1搬送路20の用紙搬送方向下流側に連続して形成され、感光体ドラム31と転写ローラ33とのニップ部に接続している。第2搬送路25の途中には、レジストローラ対22が設けられている。レジストローラ対22は経路構成部材26に設けられた本体側レジストローラ23とプロセスカートリッジ9の下面に設けられたプロセス側レジストローラ34からなる。経路構成部材26は図7に示すように、左右一対の本体フレーム11間を橋渡すように形成されている。後述するようにプロセスカートリッジ9は装置本体に対して着脱可能であるから、プロセスカートリッジ9を装置本体に装着した状態で、上記の第2搬送路25が形成され、レジストローラ23,34が互いに当接する。プロセスカートリッジ9を装置本体に装着したとき、プロセス側レジストローラ34は、その左右両端において本体フレーム11に設けられたバネ24で本体側レジストローラ23に対して所定圧力で当接している。
【0030】
ガイド部材21と用紙搬送面48との間には、開口部7側に向けて開放された開放部28が設けられている。開放部28は、手差し開口10から挿入された用紙Sを第2搬送路25へ供給することを可能にする。
【0031】
また、用紙搬送面48は上に凹んだ凹形状をしており、用紙搬送面48と経路構成部材26との間にレジストローラ対22で先端合わせされる用紙Sを撓ませるための許容空間29が形成されている。
【0032】
画像形成部4は、プロセスカートリッジ9と、露光ユニット15と、定着器16とを備えている。
【0033】
露光ユニット15は筐体2の上部に配置されている。露光ユニット15は、感光体ドラム31に向けて、画像データに基づいた光(矢印で示すレーザービーム)を照射する。
【0034】
プロセスカートリッジ9は、開口部7から、露光ユニット15と経路構成部材26との間に後述する感光体ドラム31の軸方向と直交する方向に着脱自在に挿入され、本体フレーム11の図示しない位置決め部により所定位置に装着される。プロセスカートリッジ9には、後方から前方へ並んで感光体ドラム31、現像ローラ36、供給ローラ37、トナー収容室39などが設けられ、感光体ドラム31の後上側にスコロトロン型の帯電器32、感光体ドラム31の下側に転写ローラ33が設けられている。感光体ドラム31及び各ローラ36,37,33は、それぞれ左右方向に長手であり左右方向に延びる軸線のまわりに回転可能である。
【0035】
画像形成時には、トナー収容室39内のトナーは、供給ローラ37により現像ローラ36に供給され、供給ローラ37と現像ローラ36との間で正極性に摩擦帯電される。
【0036】
現像ローラ36に供給されたトナーは、現像ローラ36の回転に伴って、層厚規制部材によって厚さ(層厚)が規制され、一定厚さの薄層として現像ローラ36の表面(外周面)に担持される。
【0037】
一方、感光体ドラム31の表面(外周面)は、感光体ドラム31の回転に伴って、帯電器32により一様に正帯電された後、露光ユニット15からのレーザービーム(矢印参照)の高速走査により露光される。これにより、用紙Sに形成すべき画像に対応した静電潜像が感光体ドラム31の表面に形成される。
【0038】
現像ローラ36の表面に担持されているトナーは、感光体ドラム31の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム31の静電潜像は可視像化され、感光体ドラム31の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
【0039】
そして、画像形成部4に搬送された用紙Sが、破線で示すように、感光体ドラム31と転写ローラ33との間を通過するときに、感光体ドラム31に担持されているトナー像が、用紙Sに転写される。
【0040】
定着器16は、プロセスカートリッジ9の後方に配置され、加熱ローラ17、および、加熱ローラ17に対向する加圧ローラ18を備えている。プロセスカートリッジ9において、用紙Sに転写されたトナー像は、用紙Sが加熱ローラ17と加圧ローラ18との間を通過する間に、加熱および加圧されることによって用紙Sに熱定着される。
【0041】
トナー像が定着した用紙Sは、排紙ローラ19に向けて搬送され、排紙ローラ19によって露光ユニット15の上方に設けられる排紙トレイ6上に排紙される。
【0042】
<プロセスカートリッジの構成>
プロセスカートリッジ9は、図3から図4に示すように、ドラムカートリッジ40と、トナーカートリッジ60とを備え、前述の感光体ドラム31及び各ローラ36,37,33などを両カートリッジ40,60に分けて支持させている。
【0043】
ドラムカートリッジ40は、図3に示すように、大略箱形状をなすフレーム43を備えている。フレーム43はフレーム下壁47と、そのフレーム下壁47の左右端部に間隔をあけて立ち上がった一対のフレーム側壁44と、プロセスカートリッジ9を装置本体内に装着したとき開口部7側に位置するフレーム前壁45と、そのフレーム前壁45と反対側に位置するフレーム後壁46とを備えている。一対のフレーム側壁44、フレーム前壁45およびフレーム後壁46は、平面視において枠状に連続している。
【0044】
一対のフレーム側壁44は、フレーム後壁46と隣接したカートリッジ後部42において感光体ドラム31と転写ローラ33を回転可能に支持している。フレーム後壁46の上端は、感光体ドラム31の上方を覆うように前方へ延びている。
【0045】
フレーム後壁46の前方延長端よりも前方に位置するカートリッジ前部41は、一対のフレーム側壁44およびフレーム前壁45に囲まれる部分を上方へ開放した凹形状のトナーカートリッジ収容部52としており、トナーカートリッジ60を収容可能にしている。
【0046】
トナーカートリッジ60は、図4に示すように、トナー収容室39を囲む上壁、下壁、一対の側壁64および前壁62を有し、後側が開放された箱形状に形成されている。現像ローラ36および供給ローラ37は、一対の側壁64に回転自在に支持され、現像ローラ36の一部を後端の開放された位置から露出している。
【0047】
トナーカートリッジ60は、現像ローラ36の左右に突出させた軸を、フレーム側壁44に感光体ドラム31へ近接するように切り欠かれた位置決め部49に挿入した状態で、付勢部材51によって感光体ドラム31へ向け押圧される。それにより、現像ローラ36の外周が感光体ドラム31の外周に接近させた状態で位置決めされる。トナーカートリッジ60は、トナーカートリッジ収容部52に嵌合された状態で、ロックレバー50がトナーカートリッジ側壁64の突起65に係合することによって保持される。ロックレバー50を突起65から解除すれば、トナーカートリッジ60はトナーカートリッジ収容部52から外すことが可能になる。
【0048】
なお、前述のプロセスカートリッジ9側の用紙搬送面48は、フレーム下壁47の裏面で形成されている。プロセス側レジストローラ34は、フレーム下壁47にその裏面から一部を露出させた状態で回転可能に支持されている。
【0049】
ドラムカートリッジ40およびトナーカートリッジ60は、それぞれ前壁45,62に開口部7側へ向けて延びる把持部53,63を備え、把持部53,63は、プロセスカートリッジ9を装置本体に対して着脱する際にユーザによって把持される。
【0050】
<梱包時の構成>
本実施の形態ではプロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着したまま梱包し、輸送することで、運搬用梱包材の削減および運搬効率を向上させている。
【0051】
図5に示すように、梱包時の装置本体には、プロセスカートリッジ9とシート材70と乾燥剤80とが挿入されている。
【0052】
シート材70は、樹脂材料からなる樹脂シートであり、画像形成装置1を梱包する際に、レジストローラ対22を互いに離間あるいは互いに当接する圧力を低くした状態で保持する部材である。例えば、図7に示すようにプロセス側レジストローラ34が均一な径の棒状で、本体側レジストローラ23が軸線方向に部分的に存在する場合、プロセス側レジストローラ34の左右両端に近い位置と、経路構成部材26またはその経路構成部材26に連続する本体フレーム11の切欠き部との間に、シート材70が挿入される。具体的には、シート材70を置いた上にプロセスカートリッジ9が装着される。または、プロセス側レジストローラ34と本体側レジストローラ23とが当接する部分を避けて、経路構成部材26とプロセスカートリッジ9の用紙搬送面48との間にシート材70を配置してもよい。シート材70は、好ましくはプロセス側レジストローラ34の左右両端に近い位置に配置される一対の部分と、その一対の部分を開口部7側において連結する部分とで、平面視コ字形に構成されている。
【0053】
それによって、梱包状態において長時間高温環境に置かれた場合でも、プロセス側レジストローラ34を本体側レジストローラ23側へ付勢する圧力を本体フレーム11またはその本体フレーム11近傍の経路構成部材26で受け止めることができるので、レジストローラ23,34の接触部が変形したり、経路構成部材26が変形してしまうなどの問題を抑制している。
【0054】
乾燥剤80は、通気性のある袋体に粒状のシリカゲルが多数入れられることで、袋体形状に形成されている。袋体内に入っているシリカゲルは袋体内を自由に移動可能であり、乾燥剤80は変形可能になっている。
【0055】
乾燥剤80の左右方向の幅は、プロセスカートリッジ9の左右方向の長さとほぼ等しくなっている。また、乾燥剤80は、プロセスカートリッジ9に設けられているトナー収容室39上に設けられており、露光装置15のレーザ光の照射部からフレーム前壁45とトナーカートリッジ60の隙間を通って感光体ドラム31へ照射されるレーザ光の光路中にレーザ光を遮るように乾燥剤80が配置されている。
【0056】
乾燥剤80が露光装置15のレーザ光を遮る位置に設けられているので、乾燥剤80を除去しないで画像形成動作を行ったときに、用紙Sに画像が形成されないため、ユーザに乾燥剤80を除去することを喚起することができる。
【0057】
シート材70と乾燥剤80はベルト部材75,76によって連結されている。
【0058】
ベルト部材75は、図5、図6に示すように、シート材70の前端付近に接続されており、許容空間29と開放部28を通って、カバー凹部8Aとプロセスカートリッジ9の上方を通過し、フロントカバー8と筐体2との間から装置本体の外側に露出するように設けられている。
【0059】
ベルト部材76は、乾燥剤80の前方に接続されており、プロセスカートリッジ9の上方を通過するベルト部材75とプロセスカートリッジ9の上方で連結されている。
【0060】
シート材70と乾燥剤80に接続されたベルト部材76とが連結されたベルト部材75が装置本体外部に露出されているため、ユーザにシート材70と乾燥剤80を除去するように喚起することができる。
【0061】
<本実施形態の作用効果>
以上説明した画像形成装置の梱包形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0062】
第1の実施形態に係る画像形成装置1では、プロセスカートリッジ9に設けられているトナー収容室39の上部であって、露光装置15から感光体ドラム31へのレーザ光を遮る位置に乾燥剤80を設けた。本構成によって、トナー収容室39の近い位置に乾燥剤80が設置されているので、トナーの除湿効果を高めることができる。
【0063】
さらに、露光装置15から照射されるレーザ光を遮っているため、乾燥剤80を除去しないで画像形成作業を行ったときに、用紙Sに画像が形成されないため、乾燥剤80を除去しなくてはいけないということをユーザに喚起することができる。好ましくは、プロセスカートリッジの左右方向の長さと乾燥剤80の左右方向の長さをほぼ等しくしているため、感光体ドラム31の全幅にわたってレーザ光を遮るので、より分かりやすくユーザに乾燥剤80の除去を喚起することができる。
【0064】
さらに、乾燥剤80と接続されたベルト部材75が筐体2とフロントカバー8との間から画像形成装置1の外に露出しているため、ユーザが使用前に乾燥剤80を除去するように喚起することができる。
【0065】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、プロセスカートリッジ9を一つだけ有する画像形成装置1について説明したが、第2の実施形態として、プロセスカートリッジ109を複数有する画像形成装置100について説明する。
【0066】
図8に第2の実施形態に係る画像形成装置100の中央断面図を、図9に第2の実施形態に係る画像形成装置100のフロントカバー108を開いた状態の中央断面図を示す。
【0067】
画像形成装置100は、プロセスカートリッジ109を複数有しており、筐体102と、給紙部103と、画像形成部104と、給紙トレイ105と、排紙トレイ106と、を主に備えている。筐体102の前方には、複数のプロセスカートリッジ109をユニットとして引出し可能な開口部107が設けられており、開口部107を開閉可能に設けられたフロントカバー108を有している。
【0068】
次に、用紙Sの搬送及び、画像形成動作について説明する。なお、第1の実施形態と同一な部分については説明を省略する。
【0069】
給紙部103は、筐体102内の下部に設けられ、給紙トレイ105に収容された用紙Sを画像形成部104に給紙する。
【0070】
画像形成部104は、露光装置115と、4つのプロセスカートリッジ109と、転写ユニット190と、定着器116とを主に備えている。
【0071】
露光装置115は、装置本体内の上部に設けられ、図示しないレーザ光源を備えている。画像データに基づいてレーザ光源から出射されたレーザ光は、各感光体ドラム131の表面で高速走査される。
【0072】
プロセスカートリッジ109は、梱包された状態で、露光装置115の下方に前後に並んで配置され、感光体ドラム131、帯電器132、現像ローラ136、供給ローラ137、トナー収容室139などを主に備えている。各プロセスカートリッジ109は、トナー収容室139内に収容されるトナーの色が相違するのみであり、構成は略同一である。
【0073】
転写ユニット190は、給紙トレイ105とプロセスカートリッジ109との間に設けられ、駆動ローラ191と従動ローラ192との間で張設された無端状の搬送ベルト193と、4つの転写ローラ133とを主に備えている。搬送ベルト193は、外側の面が各感光体ドラム131に接しており、その内側には各転写ローラ133が各感光体ドラム131との間で搬送ベルト193を挟持するように配置されている。
【0074】
定着器116は、用紙S上に転写されたトナー像を熱定着する装置であり、プロセスカートリッジ109の後方に設けられている。
【0075】
画像形成部104では、感光体ドラム131の表面が、帯電器132により一様に帯電された後、露光装置115からのレーザ光によって露光されることで、感光体ドラム131上に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、トナー収容室139のトナーが、供給ローラ137および現像ローラ136を介して感光体ドラム131上の静電潜像に供給されることで、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム131上にトナー像が形成される。
【0076】
その後、給紙部103から画像形成部104に供給された用紙Sが、感光体ドラム131と搬送ベルト193(転写ローラ133)の間を搬送されることで、各感光体ドラム131上に形成されたトナー像が用紙S上に順次重ね合わせて転写される。そして、用紙Sが定着器116の間を搬送されることで、用紙S上に転写されたトナー像が熱定着されて、用紙Sに画像が形成される。
【0077】
<乾燥剤の設置位置>
乾燥剤180は、図10に示すように、略直方体の袋体形状であって、4つのプロセスカートリッジ109上にプロセスカートリッジ109全てにわたって架設されており、露光装置115から4つの感光体ドラム131へのレーザ光それぞれを遮るように設けられている。4つのレーザ光がそれぞれ遮られているため、遮られている部分は画像形成動作を行うことができないので、画像形成できていない用紙Sが排出されることでユーザに乾燥剤180を除去するように喚起することができる。
【0078】
乾燥剤180の前端には、ベルト部材175が接続されている。ベルト部材175は、乾燥剤180の前端から露光装置115の前方を通過して、フロントカバー108と筐体102の間から装置本体外部に露出されている。これによって、ユーザが画像形成装置100を使用する前に画像形成装置100からベルト部材175が露出しているので、乾燥剤180を取り出すように喚起することができる。
【0079】
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、乾燥剤181が複数設けられている実施形態を記載する。画像形成装置100の乾燥剤の設置位置以外は第2の実施形態と同一であるので、説明を省略する。
【0080】
図11に第3の実施形態に係る画像形成装置100の中央断面図を示す。
【0081】
乾燥剤181は、各プロセスカートリッジ109の上に前方から乾燥剤181A〜181Dが並んで設けられている。乾燥剤181A〜181Dはそれぞれ露光装置115と感光ドラム131との間に設けられ、レーザ光の光路上に設置されている。乾燥剤181A〜181Dがレーザ光を遮るため、遮られた部分は画像形成動作ができないので、ユーザに乾燥剤181を取り出すように喚起することができる。
【0082】
隣り合う乾燥剤181はベルト部材176B〜176Dでお互いに連結されており、最も前方に設けられた乾燥剤181Aの前方にはベルト部材176Aが接続されている。ベルト部材176Aは、乾燥剤181Aの前端から露光装置115の前方を通過して、フロントカバー108と筐体102の間から画像形成装置100外部に露出されている。これによって、ユーザが画像形成装置100を使用する前に画像形成装置100からベルト部材176Aが露出しているので、乾燥剤181を取り出すように喚起することができる。
【0083】
<その他の実施形態>
第1の実施形態では、プロセスカートリッジ9はドラムカートリッジ40と、トナーカートリッジ60が別体となっているものを例示したが、ドラムカートリッジ40とトナーカートリッジ60が一体としてもよい。さらに、感光体ドラム31を本体が有するような画像形成装置1において、トナーカートリッジ60のみを画像形成装置1に対して着脱するものにしても良い。
【0084】
また、第1の実施形態〜第3の実施形態では、乾燥剤として粒上のシリカゲルが袋体に入れられたものを例示したが、乾燥剤として、シリカアルミナゲルや塩化カルシウム加工品や生石灰などを袋体に入れたものを用いても良い。さらに、乾燥剤として、薄い板状になっているシート状の乾燥剤を用いても良い。
【0085】
また、第1の実施形態〜第3の実施形態では、プロセスカートリッジと乾燥剤の左右方向の長さをほぼ等しくすることで、露光装置からのレーザ光を全て遮るようにしたものを例示したが、乾燥剤の左右方向の長さを短くして、乾燥剤がレーザ光の一部を遮るようにしてもよい。このようにすることで、用紙Sに画像形成したときに、用紙Sの幅方向の一部は画像形成されないため、ユーザに乾燥剤を除去するように喚起することができる。さらに、乾燥剤の形状は露光装置のレーザ光を遮ることができるのであれば、どのような形状であっても良い。
【0086】
また、第2の実施形態では、感光体131から用紙Sに直接トナー像を転写するような実施形態を例示したが、各色のトナー像を転写ユニット190のベルトに転写した後にベルトから用紙Sにトナー像を転写するような画像形成装置に本構成を用いても良い。
【0087】
また、第2の実施形態では、複数のプロセスカートリッジ109全ての上に架設して乾燥剤180を設置したが、少なくとも二つのプロセスカートリッジ上に乾燥剤180を架設し、少なくとも一つの感光体131へ照射されるレーザ光を遮る位置に乾燥剤180を設置しても良い。これによって、少なくとも1色は正常に画像形成することができないので、排出された用紙Sを見ることでユーザに乾燥剤の除去を喚起することができる。
【0088】
また、第3の実施形態では、複数のプロセスカートリッジ109全ての上に乾燥剤181を設置したが、少なくとも2つのプロセスカートリッジ109の上にそれぞれ乾燥剤181を設置し、乾燥剤181を連結するようにしても良い。これにより、複数色の画像が形成されないため、ユーザに乾燥剤181の除去を喚起することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 画像形成装置
2 筐体
3 給紙部
4 画像形成部
5 給紙トレイ
6 排紙トレイ
8 フロントカバー
8A カバー凹部
9 プロセスカートリッジ
10 手差しトレイ
15 露光装置
16 定着器
20 第1搬送路
21 ガイド部材
22 レジストローラ対
23 本体側レジストローラ
25 第2搬送路
26 経路構成部材
28 開放部
29 許容空間
31 感光体ドラム
34 プロセス側レジストローラ
36 現像ローラ
39 トナー収容室
40 ドラムカートリッジ
45 フレーム前壁
48 用紙搬送面
49 位置決め部
53 把持部
60 トナーカートリッジ
70 シート材
75,76 ベルト部材
80 乾燥剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に、画像形成用トナーを収容したプロセスカートリッジを装置本体内に対し挿脱するための開口部およびその開口部を開閉可能なカバーを有し、前記プロセスカートリッジが挿入された状態で梱包される画像形成装置の梱包形態において、
感光体に光を照射することで前記感光体に静電潜像を形成する露光装置を有し、
前記装置本体内に前記プロセスカートリッジが挿入された状態で、前記プロセスカートリッジと前記露光装置との間であって、前記露光装置から前記感光体への光を遮断する位置に乾燥剤を設置することを特徴とする画像形成装置の梱包形態。
【請求項2】
前記乾燥剤もしくは、前記乾燥剤に接続された部材の一部は、前記画像形成装置と前記カバーとの隙間から前記画像形成装置外部へ露出していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の梱包形態。
【請求項3】
前記乾燥剤は、前記プロセスカートリッジ上に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態。
【請求項4】
前記乾燥剤は、前記プロセスカートリッジに設けられた前記トナーを収容するトナー収容室上に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置の梱包形態。
【請求項5】
前記乾燥剤は、前記感光体の軸方向に沿って設置されており、前記露光装置から前記感光体への光を全て遮断することを特徴する請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態。
【請求項6】
前記画像形成装置内に並べて設けられた複数の前記プロセスカートリッジを有し、
前記乾燥剤が前記複数のプロセスカートリッジ上にわたって架設されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態。
【請求項7】
前記画像形成装置内に並べて設けられた複数の前記プロセスカートリッジを有し、
前記複数のプロセスカートリッジ上に前記乾燥剤が複数設けられ、前記複数の乾燥剤は相互に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置の梱包形態。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−150201(P2012−150201A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7627(P2011−7627)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】