説明

画像形成装置シミュレーション装置、画像形成装置シミュレーション方法及びプログラム

【課題】ユーザの実際の使用時における画像形成装置の性能をシミュレーションできる画像形成装置シミュレーション装置を提供する。
【解決手段】画像形成命令取得部35が画像形成装置による形成対象となる対象画像の情報を含んだ画像形成命令Rを取得し、シミュレーション実行部37が、画像形成命令Rに基づいて画像形成装置が対象画像を記録媒体に形成する画像形成処理のシミュレーションを実行し、予測時間算出部38がシミュレーションに要した処理時間に基づいて画像形成装置が当該画像形成処理に要すると予測される予測時間を算出し、出力する画像形成装置シミュレーション装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置が実行する処理のシミュレーションを実行する画像形成装置シミュレーション装置、画像形成装置シミュレーション方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プリンタ、複写機等の画像形成装置については、様々な機種のものが市販されている。画像形成装置の種類によってその操作性は異なるため、ユーザは自分の使用する画像形成装置の種類に応じた操作を習得する必要がある。そこで、ユーザによる操作の習得のために、画像形成装置において、不具合発生時の動作をシミュレーションする技術がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8―331287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例の技術は実際に画像形成装置を使用して不具合発生時の対応をシミュレーションするものであって、画像形成装置が存在ない状態で、ユーザの実際の使用時における画像形成装置の動作をシミュレーションすることはできない。
【0004】
特に、以下に説明するように、ユーザの実際の使用時における画像形成装置の性能をシミュレーションすることに対する要請がある。すなわち、通常ユーザは、画像形成装置を購入する場合、事前にカタログ等により公開されている情報を調べることにより、画像形成装置による画像形成の速度などの性能に関して、複数の画像形成装置を比較するなどして選択している。ところが、カタログ等により公開された情報は、一般的にある限定された条件下で使用された場合の性能などを示すものであって、例えばユーザが特定の形式の画像データの出力を頻繁に行う場合などにおいては、ユーザが実際に使用する際の性能と一致するとは限らない。そのためユーザは、画像形成装置を購入して使用してみるまで、当該画像形成装置が実際のユーザの使用態様において発揮する性能を知ることができない。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、ユーザの実際の使用時における画像形成装置の性能をシミュレーションできる画像形成装置シミュレーション装置、画像形成装置シミュレーション方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明に係る画像形成装置シミュレーション装置は、少なくとも一つの画像形成装置が実行する処理のシミュレーションを実行する画像形成装置シミュレーション装置であって、前記画像形成装置による形成対象となる対象画像の情報を含んだ画像形成命令を取得する画像形成命令取得手段と、前記画像形成命令に基づいて、前記画像形成装置が前記対象画像を記録媒体に形成する画像形成処理のシミュレーションを実行するシミュレーション手段と、前記シミュレーションに要した処理時間に基づいて、前記画像形成装置が前記画像形成処理に要すると予測される予測時間を算出し、出力する予測時間算出手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
これにより、対象画像の情報を含んだ画像形成命令に基づいて画像形成のシミュレーションを実行することで、対象画像の画像形成を行う画像形成処理に要する予測時間を画像形成装置が存在しない状態で算出でき、ユーザの実際の使用時における画像形成装置の性能をシミュレーションできる。
【0008】
また、上記画像形成装置シミュレーション装置において、前記画像形成装置が備えると想定されるメモリの容量に関するメモリ容量情報を取得するメモリ容量情報取得手段をさらに含み、前記シミュレーション手段は、前記取得したメモリ容量情報に基づいて決定される容量のメモリ領域を確保し、当該確保したメモリ領域を使用して前記シミュレーションを実行することとしてもよい。
【0009】
また、上記画像形成装置シミュレーション装置において、前記シミュレーション手段は、複数の画像形成装置のそれぞれについて前記画像形成処理のシミュレーションを実行し、前記複数の画像形成装置のそれぞれについて、前記算出した予測時間に基づく所要時間で、画像形成の過程を表すシミュレーション動画像を生成する動画像生成手段と、前記生成した複数のシミュレーション動画像を同時に再生開始するように表示手段に表示させる動画像再生手段と、を含むこととしてもよい。
【0010】
さらに上記画像形成装置シミュレーション装置において、前記予測時間算出手段は、前記予測時間のうち、記録媒体の出力を開始する出力開始タイミングまでに要すると予測される予測出力待ち時間と、当該出力開始タイミングから前記画像形成処理が完了するまでに要すると予測される予測媒体出力時間と、をそれぞれ算出し、前記動画像生成手段は、前記算出した予測媒体出力時間に基づく所要時間のシミュレーション動画像を生成することとしてもよい。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置シミュレーション方法は、コンピュータを用いて、少なくとも一つの画像形成装置が実行する処理のシミュレーションを実行する画像形成装置シミュレーション方法であって、前記画像形成装置による形成対象となる対象画像の情報を含んだ画像形成命令を取得するステップと、前記画像形成命令に基づいて、前記画像形成装置が前記対象画像を記録媒体に形成する画像形成処理のシミュレーションを実行するステップと、前記シミュレーションに要した処理時間に基づいて、前記画像形成装置が前記画像形成処理に要すると予測される予測時間を算出し、出力するステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータに少なくとも一つの画像形成装置が実行する処理のシミュレーションを実行させるプログラムであって、前記画像形成装置による形成対象となる対象画像の情報を含んだ画像形成命令を取得する画像形成命令取得手段、前記画像形成命令に基づいて、前記画像形成装置が前記対象画像を記録媒体に形成する画像形成処理のシミュレーションを実行するシミュレーション手段、及び前記シミュレーションに要した処理時間に基づいて、前記画像形成装置が前記画像形成処理に要すると予測される予測時間を算出し、出力する予測時間算出手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置シミュレーション装置を含んだコンピュータシステムの概略の構成を表す全体図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態においては、シミュレーション装置10とユーザ端末20とが通信ネットワーク30を介して相互にデータ通信可能に接続されている。通信ネットワーク30は、例えばインターネット等の広域ネットワークであってもよいし、社内イントラネット等のLAN(Local Area Network)であってもよい。
【0015】
ここで、シミュレーション装置10は、例えば一般的なサーバコンピュータ等であって、制御部11、記憶部12、通信部13及び計時部14を含んで構成されている。このシミュレーション装置10が、本発明における画像形成装置シミュレーション装置に相当する。シミュレーション装置10は、ユーザ端末20より送信される処理要求に応じて画像形成装置が実行する処理のシミュレーションを実行し、結果をユーザ端末20に対して出力する。
【0016】
一例として、シミュレーション装置10は、ユーザ端末20からの要求に対して、ウェブページのデータを生成して送信するウェブアプリケーションサーバとして機能する。すなわち、シミュレーション装置10は、ユーザに対して各種情報の入力を促すユーザインタフェースや、シミュレーションの結果としてユーザに提示したい情報などを配置して生成したウェブページのデータをユーザ端末20に対して送信することにより、シミュレーションを実行してその結果を出力する。
【0017】
シミュレーション装置10の制御部11は、CPU等であって、記憶部12に記憶されているプログラムに従って動作する。本実施形態においては、ユーザ端末20からの要求に基づいて、画像形成装置が実行する処理のシミュレーションを実行する。本実施形態において制御部11が実行する処理の例については、後に詳しく述べる。
【0018】
記憶部12は、制御部11によって実行されるプログラムを保持するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、RAMやROM等のメモリ素子とディスクデバイス等との少なくとも一方を含んで構成されている。また、記憶部12は、制御部11のワークメモリとしても動作する。
【0019】
通信部13は、例えばネットワークカード等であり、制御部11からの指示に従って、通信ネットワーク30を介して情報を送信する。また、通信部13は、通信ネットワーク30を介して到来する情報を受信して制御部11に出力する。
【0020】
計時部14は、時計機能を実現するICチップ等であって、制御部11から入力される指示に応じて、現在時刻の情報を制御部11に出力する。
【0021】
また、ユーザ端末20は、例えばパーソナルコンピュータ等であって、制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24及び表示部25を含んで構成されている。ユーザは、ユーザ端末20に対する指示操作によってシミュレーション装置10に画像形成装置のシミュレーションを実行させることができ、ユーザ端末20の表示部25に表示される情報を閲覧することで、シミュレーション装置10によるシミュレーションの結果を確認できる。
【0022】
一例として、シミュレーション装置10がウェブアプリケーションサーバとして機能する場合、ユーザ端末20はウェブブラウザプログラムを実行し、シミュレーション装置10の出力するウェブページのデータを表示部25に表示させる。これにより、ユーザはウェブページ上でシミュレーションの実行に必要な各種情報を入力したり、ウェブページ上に表示されたシミュレーションの結果を確認したりすることができる。
【0023】
ユーザ端末20の制御部21は、CPU等であって、記憶部22に記憶されているプログラムに従って動作する。本実施形態においては、ユーザの操作部24に対する指示操作に従って、シミュレーション装置10に対するシミュレーションの実行要求を出力する。また、シミュレーション装置10から送信されるシミュレーションの実行結果を受け入れて、表示部25に表示させる。
【0024】
記憶部22は、制御部21によって実行されるプログラムを保持するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、RAMやROM等のメモリ素子とディスクデバイス等との少なくとも一方を含んで構成されている。また、記憶部22は、制御部21のワークメモリとしても動作する。
【0025】
通信部23は、例えばネットワークカード等であり、制御部21からの指示に従って、通信ネットワーク30を介して情報を送信する。また、通信部23は、通信ネットワーク30を介して到来する情報を受信して制御部21に出力する。
【0026】
操作部24は、例えばキーボードやマウス等であり、ユーザの指示操作を受け付けて、当該指示操作の内容を制御部21に出力する。表示部25は、例えばディスプレイ等であり、制御部21からの指示に従って、情報の表示を行う。
【0027】
次に、本実施形態においてシミュレーション装置10が実現する機能について説明する。シミュレーション装置10は、機能的には、図2に示すように、画像形成装置選択部31、画像形成装置シミュレーション部32、及びシミュレーション結果表示制御部33を含んで構成されている。これらの機能は、例えば制御部11が記憶部12に格納されているプログラムを実行することによって実現できる。なお、画像形成装置シミュレーション部32は、シミュレーション装置10によるシミュレーションの実行が可能な画像形成装置が複数種類ある場合には、当該複数種類の画像形成装置のそれぞれに対応づけられて、複数あってもよい。
【0028】
画像形成装置選択部31は、ユーザによるユーザ端末20の操作部24に対する指示操作に基づいて、シミュレーション装置10によりシミュレーションの実行が可能な複数種類の画像形成装置の中から、シミュレーションの対象となる画像形成装置を選択する。なお、シミュレーション装置10が1種類の画像形成装置にのみ対応している場合、画像形成装置選択部31はなくともよい。
【0029】
一例として、画像形成装置選択部31は、プリンタ選択画面を表すウェブページデータを出力し、ユーザ端末20の表示部25に当該画面を表示させる。ユーザが操作部24に対する指示操作により、シミュレーションを実行させたい画像形成装置を当該画面上で選択して決定ボタンを押下すると、ユーザ端末20は通信ネットワーク30を介して当該選択された画像形成装置の情報をシミュレーション装置10に送信する。画像形成装置選択部31は、当該選択された画像形成装置の情報を受け入れて、シミュレーション対象となる画像形成装置を決定する。
【0030】
また、画像形成装置選択部31は、ユーザの指示操作に応じて、選択可能な複数種類の画像形成装置の中から、複数の画像形成装置をシミュレーションの対象として選択してもよい。この場合、シミュレーション装置10は当該選択された複数の画像形成装置のそれぞれについてシミュレーションを実行し、例えばそれぞれのシミュレーションの結果をユーザが比較できるような態様で出力することとしてもよい。複数の画像形成装置についてシミュレーションを実行した結果の表示例については、後に説明する。
【0031】
画像形成装置シミュレーション部32は、シミュレーションの対象となる少なくとも一つの画像形成装置が実行する処理のシミュレーションを実行する。なお、画像形成装置シミュレーション部32が複数ある場合、前述したようにそれぞれの画像形成装置シミュレーション部32は特定種類の画像形成装置に対応づけられており、対応づけられた画像形成装置が実行する処理のシミュレーションを行う。
【0032】
ここで、画像形成装置シミュレーション部32が実現する機能の詳細について説明する。以降の説明においては、画像形成装置シミュレーション部32によるシミュレーションの対象となる画像形成装置を、画像形成装置Pとする。画像形成装置シミュレーション部32は、初期情報取得部34、画像形成命令取得部35、操作情報取得部36、シミュレーション実行部37、予測時間算出部38、動画像生成部39及び形成画像変換部40を含んで構成されている。
【0033】
初期情報取得部34は、シミュレーションを実行するにあたっての前提条件となる画像形成装置に関する初期情報を取得する。具体的に、初期情報は、例えば画像形成装置Pに搭載される増設メモリのメモリ容量に関する情報や、増設トレイに関する情報などのハードウェア構成に関する情報(ハードウェア情報)などである。
【0034】
また、初期情報取得部34は、画像形成装置Pにインストールされたファームウェアのバージョンに関する情報や、画像形成装置Pに対して設定登録すべき初期設定値などの、画像形成装置Pが実行するソフトウェア処理に関する情報(ソフトウェア情報)などを取得することとしてもよい。
【0035】
あるいは、初期情報取得部34は、標準設定モードなどの動作モードを表す動作モード情報をユーザの選択に応じて取得し、当該動作モード情報に基づいて、ハードウェア情報やソフトウェア情報の内容を取得することとしてもよい。すなわち、例えば標準設定モードがユーザの指示操作により選択された場合、初期情報取得部34は、画像形成装置Pの標準状態として予め定められた構成について記憶部12に記憶されている情報を、ハードウェア情報やソフトウェア情報として取得する。
【0036】
一例として、初期情報取得部34は、図3に例示するような動作モード選択画面を表すウェブページデータを出力し、ユーザ端末20の表示部25に当該画面を表示させる。ユーザは、操作部24に対する指示操作により、画像形成装置Pの動作モードを表す動作モード情報を選択して画面上の決定ボタンを押下する。これに応じて、ユーザ端末20は通信ネットワーク30を介して当該選択された動作モード情報をシミュレーション装置10に送信する。初期情報取得部34は、当該選択された動作モード情報を受け入れて、シミュレーションの対象となる画像形成装置Pのハードウェア構成やソフトウェア構成を決定する。
【0037】
また、上述した動作モード選択画面において動作モード情報として個別設定モードが選択された場合には、初期情報取得部34は、改めてハードウェア情報やソフトウェア情報の入力を促す初期情報入力画面をユーザ端末20の表示部25に表示させ、当該情報を個別にユーザの指示操作に応じて取得することとしてもよい。図4は、シミュレーション実行時にユーザ端末20の表示部25に表示されるシミュレーション画面の一例を表す図である。図4の例においては、画面左側の領域A1が上述した初期情報入力画面に相当する。当該領域A1に表示されているチェックボックス等のユーザインタフェースに対してユーザが指示操作を行うことにより、ユーザ端末20は指定された初期情報をシミュレーション装置10に対して送信し、初期情報取得部34は送信されたデータを受け入れて初期情報を取得できる。
【0038】
画像形成命令取得部35は、画像形成装置Pによる画像形成の対象となる対象画像の情報を含んだ画像形成命令Rを取得する。画像形成命令Rは、例えばPDL(Page Description Language)などによって記述された、画像形成装置Pに対して画像形成を実行させるための制御命令である。
【0039】
具体例として、画像形成命令取得部35は例えば以下に例示するような方法により、画像形成命令Rを取得する。
【0040】
まず第1の例として、ユーザ端末20上で生成された画像形成命令Rを、ユーザの操作部24に対する指示操作によりユーザ端末20がシミュレーション装置10に送信することで、画像形成命令取得部35が画像形成命令Rを取得する例について説明する。この場合、例えばユーザは、画像形成命令Rを生成するためのプリンタドライバプログラムを、ウェブサーバなど(シミュレーション装置10であってもよい)からダウンロードするなどして入手し、ユーザ端末20にインストールする。次にユーザは、ユーザ端末20にアプリケーションプログラムを実行させて、上記プリンタドライバプログラムを使用する指定とともに印刷を実行する指示操作を行う。これにより、ユーザ端末20の制御部21はプリンタドライバプログラムを実行して画像形成命令Rを生成する。さらにユーザは、生成された画像形成命令Rを指定して、表示部25に表示されたウェブページ上で画像形成命令Rをアップロードする指示操作を行う。これにより、ユーザ端末20はシミュレーション装置10に対して画像形成命令Rを送信し、画像形成命令取得部35は送信された画像形成命令Rを受け入れることで、取得する。
【0041】
この第1の例によれば、ユーザはシミュレーションに必要な画像形成命令Rを生成した後、さらにアップロードする指示操作をする必要があり、手間がかかる。そこで、ユーザ端末20上で生成された画像形成命令Rを、ユーザ端末20がそのままシミュレーション装置10に送信することとしてもよい。この場合について、第2の例として以下に説明する。
【0042】
第2の例においては、ユーザは第1の例と同様にプリンタドライバプログラムをユーザ端末20にインストールし、アプリケーションプログラムから印刷の指示を行う。ユーザ端末20の制御部21は、プリンタドライバプログラムを実行することにより、画像形成命令Rを生成し、仮想プリンタポートに対して出力する。仮想プリンタポートに出力された画像形成命令Rは、通信ネットワーク30を介してシミュレーション装置10に対して送信される。これにより、画像形成命令取得部35は送信された画像形成命令Rを取得する。
【0043】
上記第1及び第2の例においては、いずれもユーザはプリンタドライバプログラムを入手し、ユーザ端末20にインストールしている。これにより、ユーザは実際に画像形成装置Pに対して画像を形成させる場合と同様の指示操作をユーザ端末20に対して行うことで、シミュレーション装置10にシミュレーションを実行させることができる。しかし、これらの例においてはシミュレーションのためにユーザ端末20に新たにプリンタドライバプログラムをインストールする必要があり、手間がかかる。そこで、例えばユーザ端末20は、ユーザの指示操作に基づいてアプリケーションプログラムを実行して生成したアプリケーションデータをそのままシミュレーション装置10に対して送信することとし、シミュレーション装置10が画像形成命令Rを生成することとしてもよい。この場合について、第3の例として以下に説明する。
【0044】
第3の例においては、ユーザは画像形成装置Pによる画像形成の対象としたい画像を表すアプリケーションデータを、例えば表示部25に表示されたウェブページ上でアップロードする指示操作を行う。これにより、ユーザ端末20はシミュレーション装置10に対してアプリケーションデータを送信する。アプリケーションデータを受け入れたシミュレーション装置10の制御部11は、当該アプリケーションデータの種別に応じた所定の処理を実行して、画像形成装置Pに対応した画像形成命令Rを生成する。これにより、画像形成命令取得部35は、ユーザの手間をかけずに画像形成命令Rを取得できる。ただし、この第3の例においては、シミュレーション装置10は、ユーザがシミュレーションを行いたいと考えるアプリケーションデータの種別に応じた所定の処理を行って、アプリケーションデータに基づく画像形成命令Rを生成する画像形成命令生成手段を備えている必要がある。
【0045】
以上説明した例のような方法により、画像形成命令取得部35はユーザ端末20に保持されるアプリケーションデータに基づいて生成された画像形成命令Rを取得する。この画像形成命令Rに基づいてシミュレーション実行部37がシミュレーションを実行することにより、ユーザは自分が実際に画像形成装置Pに画像形成をさせたいアプリケーションデータを用いて、シミュレーション装置10にシミュレーションを実行させることができる。
【0046】
また、画像形成命令取得部35は、取得した画像形成命令Rを記憶部12に保持させることとしてもよい。この場合、次回以降にシミュレーションを実行する場合に、画像形成命令取得部35は、ユーザの指示に応じて、前回のシミュレーション実行時に処理対象として使用され記憶部12に保持されている画像形成命令Rを取得することができる。これにより、動作環境等の条件を変化させて何度かシミュレーションを行う場合に、ユーザの手間を省くことができる。あるいは、画像形成命令取得部35は、ユーザの指示に応じて、予め記憶部12に保持されている所定のサンプルデータを画像形成命令Rとして取得してもよい。
【0047】
また、複数の画像形成装置についてのシミュレーションを実行する場合、当該複数の画像形成装置において画像形成命令Rのデータ形式が同一であれば、特定の画像形成装置に対応づけられた画像形成装置シミュレーション部32に含まれる画像形成命令取得部35が取得した画像形成命令Rを、他の画像形成装置シミュレーション部32に含まれる画像形成命令取得部35が取得し、シミュレーションに用いることとしてもよい。これにより、ユーザは一つの画像形成命令Rをシミュレーション装置10に対して送信する指示操作を行うことで、複数の画像形成装置に共通の画像形成命令Rが送信された場合のシミュレーションをそれぞれ実行させることができる。
【0048】
操作情報取得部36は、ユーザの指定に基づいて、画像形成装置Pに対して実行可能な指示操作の内容を表す装置操作情報を取得する。具体的に、例えば画像形成装置Pが操作パネルを備えており、操作情報取得部36は、当該操作パネルに対するユーザの指示操作の内容を表す情報を装置操作情報として取得することとする。この場合、操作情報取得部36は、操作パネルを模擬的に表した操作パネル画面をユーザ端末20の表示部25に表示させる。例えば図4の例においては、画面左上の領域A2が上述した操作パネル画面に相当する。そして、ユーザの操作部24に対する指示操作に基づいてユーザ端末20がシミュレーション装置10に対して送信する情報を受け入れることにより、操作情報取得部36は装置操作情報を取得する。これにより、ユーザは画像形成装置Pの操作パネルに対して行う指示操作を、操作パネル画面上で模擬的に実行することができ、シミュレーション装置10は操作パネルに対するユーザの指示操作に応じた画像形成装置Pの動作をシミュレーションすることができる。
【0049】
また、画像形成装置Pが操作パネル以外の操作手段を備えている場合、操作情報取得部36は、このような操作手段に対して実行可能な指示操作を指定するための入力画面をユーザ端末20の表示部25に表示させ、当該入力画面に対するユーザの指示操作に基づいて装置操作情報を取得することとしてもよい。
【0050】
シミュレーション実行部37は、初期情報取得部34が取得した初期情報と、画像形成命令取得部35が取得した画像形成命令Rと、操作情報取得部36が取得した装置操作情報と、に基づいて、画像形成装置Pが実行する処理のシミュレーションを実行する。
【0051】
具体例として、シミュレーション実行部37は、以下のようにしてシミュレーションを行う。すなわち、まず予めシミュレーション装置10の記憶部12に保持された画像形成装置Pに関する情報と、初期情報取得部34が取得した初期情報と、操作情報取得部36が取得した装置操作情報と、に基づいて、画像形成装置Pの動作環境を決定する。例えばシミュレーション実行部37は、画像形成装置Pが標準状態で備えるメモリのメモリ容量と、初期情報取得部34が取得した増設メモリのメモリ容量に関する情報と、に基づいて、画像形成装置Pが備えると想定されるメモリの容量に関するメモリ容量情報を取得する。そして、当該決定した動作環境下において、画像形成命令Rを受信した場合に画像形成装置Pが実行する処理を、画像形成命令Rに基づいて模擬的に実行する。
【0052】
特に本実施形態においては、シミュレーション実行部37は、以下に説明する画像形成処理のシミュレーションを実行するとともに、その処理時間を計測し、予測時間算出部38に対して出力する。具体的にシミュレーション実行部37は、例えば画像形成処理のシミュレーションを開始する開始時刻と終了した終了時刻とを、計時部14の計時する現在時刻の情報に基づいて取得し、開始時刻と終了時刻との差を処理時間として計測する。
【0053】
ここで、シミュレーション実行部37によるシミュレーションの対象となる、画像形成装置Pが実行する画像形成処理について説明する。画像形成処理は、画像形成装置Pが画像形成命令Rに含まれる対象画像を記録媒体に形成する処理である。具体例として、画像形成装置Pは、画像形成命令Rに基づいて、当該画像形成命令Rに含まれる1又は複数の対象画像のそれぞれに対してデータ解析を行い、各対象画像に応じた出力画像データを生成する。例えば画像形成装置Pがシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナーを用いて記録媒体上に画像の形成を行う画像形成手段を備える場合、出力画像データは、対象画像の画像データに対して当該画像形成手段の階調特性を考慮した色変換処理などを実行して得られる、CMYKの4成分色で表される画像データである。そして、当該出力画像データを順次画像形成手段に対して出力することにより、画像形成手段に当該出力画像データにより表される画像の形成を実行させる。これにより、画像形成装置Pは記録媒体上に対象画像に応じた画像を形成し、画像の形成された記録媒体を出力する。
【0054】
シミュレーション実行部37は、この画像形成処理のシミュレーションを実行することで、画像形成命令Rに基づいて画像形成装置Pが出力する出力画像データを生成する。また、その間の処理時間を計測して、予測時間算出部38に対して出力する。なお、シミュレーション実行部37は、複数の対象画像のそれぞれに基づいて出力画像データを生成する処理のそれぞれについて、処理時間を計測することとしてもよい。
【0055】
ここで、シミュレーション実行部37は、前述したメモリ容量情報に基づいて決定される容量のメモリ領域を記憶部12に対して確保し、当該確保したメモリ領域を使用して画像形成処理のシミュレーションを実行することとしてもよい。このように、実際に画像形成装置Pが画像形成処理に使用可能なメモリ容量に応じたメモリ領域を用いてシミュレーションを実行することで、実際の画像形成装置Pに近い条件下でのシミュレーションを行うことができる。これにより、シミュレーションに要した処理時間に基づいて、より正確に実際の画像形成装置Pによる処理時間を予測することができる。
【0056】
また、シミュレーション実行部37は、生成された出力画像データに基づいて記録媒体に形成される形成画像を表す形成画像データを生成することとしてもよい。例えば画像形成命令Rに含まれる余白設定や使用する記録媒体のサイズに関する情報に基づいて、記録媒体上に出力画像データにより表される画像が形成された形成画像を表す形成画像データを生成する。
【0057】
予測時間算出部38は、シミュレーション実行部37が画像形成処理のシミュレーションに要した処理時間に基づいて、画像形成装置Pが画像形成処理に要すると予測される予測時間を算出し、出力する。具体的に、例えば予測時間算出部38は、処理時間と予測時間とを対応づける換算テーブルを用いて予測時間を算出する。この場合、シミュレーション装置10の記憶部12には、予めシミュレーションに要した処理時間と画像形成装置Pによる画像形成処理に要する予測時間とを対応づける換算テーブルが保持されているものとする。ここで、処理時間と予測時間との間の対応関係は、例えば画像形成装置Pの性能に関する情報とシミュレーション装置10の演算性能とに応じて定めることができる。あるいは、予測時間算出部38は、シミュレーション実行部37が出力した処理時間を所定関数に代入することで、予測時間を算出することとしてもよい。
【0058】
これにより、予測時間算出部38は、画像形成装置Pとシミュレーション装置10との間の演算性能の違いや、画像形成装置Pの備える画像形成手段による実際に記録媒体上に画像を形成する動作に要する時間等を考慮して、シミュレーションに要した処理時間を換算することにより、実際の画像形成処理に要すると予測される予測時間を算出できる。
【0059】
さらに、予測時間算出部38は、前述した換算テーブルにおける予測時間の値や、所定関数に含まれるパラメタを、例えば初期情報取得部34が取得した初期情報や操作情報取得部36が取得した装置操作情報に基づいて、変化させることとしてもよい。例えば、装置操作情報として、操作パネルに対して高速印刷モードを指定したり、モノクロ画像印刷モードを指定したりする指示操作を表す情報を取得した場合、これらの指定に応じて予測時間算出部38は算出される予測時間の補正を行う。これにより、ユーザの指定した動作環境などに関する条件に応じて、画像形成装置Pが画像形成処理に要する時間を予測することができる。
【0060】
また、予測時間算出部38は、画像形成処理に要する予測時間のうち、画像形成装置Pが画像形成命令Rを取得してから記録媒体の出力を開始する出力開始タイミングまでに要すると予測される予測出力待ち時間と、出力開始タイミングから画像形成処理が完了して記録媒体へ全ての対象画像が形成されるまでに要すると予測される予測媒体出力時間と、をそれぞれ算出することとしてもよい。この場合、例えば予測時間算出部38は上述した予測時間を算出する方法と同様の手順で予測出力待ち時間、予測媒体出力時間のそれぞれを算出してもよいし、例えば予測出力待ち時間と全体の予測時間をまず算出して、予測媒体出力時間は予測時間から予測出力待ち時間を減算することで算出することとしてもよい。
【0061】
さらに、予測時間算出部38は、画像形成命令Rに含まれる各対象画像のそれぞれに対して、当該対象画像が形成された記録媒体の出力が開始されてから、当該記録媒体の出力が完了するまでに要すると予測される予測単一媒体出力時間を算出することとしてもよい。この予測単一媒体出力時間を全ての対象画像について合計したものが、予測媒体出力時間となる。予測単一媒体出力時間は、例えば各対象画像に対する画像形成処理のシミュレーションに要した処理時間と、画像形成装置Pの画像形成速度などに基づいて算出できる。
【0062】
動画像生成部39は、画像形成装置Pについて、予測時間算出部38が算出した予測時間に基づく所要時間で、画像形成の過程を表すシミュレーション動画像を生成する。例えば動画像生成部39は、算出された予測時間から推定される、画像形成装置Pが画像形成命令Rに含まれる全ての対象画像を記録媒体に形成する様子を表す動画像をシミュレーション動画像として生成する。具体例として、動画像生成部39は、図5(a),(b),(c)及び(d)に示されるような画像を順次表示させる動画像をシミュレーション動画像として生成する。このようにして生成されたシミュレーション動画像をユーザに提示することで、ユーザは画像形成装置Pが実際に存在しない状態でも、実際に画像形成装置Pに画像の形成を実行させた場合に近い感覚で、視覚的に画像の形成に要する時間を把握することができる。
【0063】
また、動画像生成部39は、ユーザの選択等に基づいて、予測時間算出部38が算出した予測媒体出力時間に基づく所要時間のシミュレーション動画像を生成することとしてもよい。この場合、例えば動画像生成部39は、動画像の再生が開始されるとすぐに記録媒体の出力を開始し、画像を形成される全ての記録媒体が出力されるまでの過程を表すような動画像を生成する。この動画像においては、記録媒体の出力が開始されるまでの待ち時間を表す画像は含まれないこととなり、画像形成装置Pが媒体を出力している過程のみを確認できる。さらにこの場合において、予測時間算出部38が算出したそれぞれの対象画像に対する予測単一媒体出力時間に基づいて、シミュレーション動画像に含まれる各記録媒体の出力する過程を表す部分の所要時間を決定することとしてもよい。
【0064】
形成画像変換部40は、シミュレーション実行部37が生成した形成画像データを、ユーザ端末20の表示部25に表示させることが可能な例えばビットマップ形式など所定のデータ形式の画像データに変換し、シミュレーション結果表示制御部33に対して出力する。なお、画像形成装置Pが形成する形成画像を表すシミュレーション結果の表示が要求されない場合には、形成画像変換部40はなくともよい。
【0065】
シミュレーション結果表示制御部33は、画像形成装置選択部31が選択した画像形成装置について、画像形成装置シミュレーション部32がシミュレーションを実行した結果出力するデータを、例えばウェブページデータとして出力することにより、ユーザ端末20の表示部25に表示させる表示制御処理を行う。当該表示制御処理の対象となるデータとしては、例えば動画像生成部39が生成したシミュレーション動画像や、予測時間算出部38が算出した予測時間や予測出力待ち時間、予測媒体出力時間などがある。また、シミュレーション結果表示制御部33は、これらの予測時間等に基づいて算出された例えば画像形成装置Pの1分間あたりの記録媒体の出力枚数などの、画像形成装置Pの性能を表す指標情報を表示させてもよい。さらに、シミュレーション結果表示制御部33による表示制御処理の対象となるデータには、形成画像変換部40により変換された形成画像データなどが含まれてもよい。
【0066】
これにより、ユーザはユーザ端末20の画面上でシミュレーションの実行結果を確認できる。一例として、シミュレーション結果表示制御部33は、図4に例示したような、シミュレーション画面に含まれるシミュレーション結果表示領域A3をユーザ端末20の表示部25に表示させる。
【0067】
また、シミュレーション結果表示制御部33は、画像形成装置選択部31が複数の画像形成装置を選択し、画像形成装置シミュレーション部32が当該複数の画像形成装置のそれぞれについてシミュレーションを実行した場合、それぞれのシミュレーション結果を比較できるようにユーザ端末20の表示部25に表示させることとしてもよい。
【0068】
特にこの場合、シミュレーション結果表示制御部33は、複数の画像形成装置のそれぞれについて動画像生成部39が生成した複数のシミュレーション動画像を、同時に再生開始するように表示部25に表示させることとしてもよい。これにより、複数のシミュレーション動画像を比較することで、ユーザはあたかも複数の画像形成装置を並べて同時に画像形成処理を実行させたかのように、視覚的に分かりやすい形で複数の画像形成装置の性能を比べることができる。また、動画像生成部39が予測媒体出力時間に基づく所要時間のシミュレーション動画像を生成している場合には、複数の画像形成装置が同時に媒体の出力を開始した場合の画像形成の過程を表示させることができる。これにより、特に媒体の出力に関する性能を視覚的に分かりやすい形で直接的に比較することができる。このような場合、シミュレーション結果表示制御部33は、一例として図6に示すようなシミュレーション結果表示画面を表示部25に表示させる。
【0069】
また、ここでシミュレーション結果表示制御部33が表示部25に表示させる画面には、画像形成装置に対応づけられた発注ボタンが含まれていてもよい。当該ボタンに対するユーザの指示操作により、ユーザ端末20は当該ボタンに対応づけられた画像形成装置の発注処理情報を所定の発注処理サーバ(シミュレーション装置10であってもよい)に送信する。これにより、ユーザはシミュレーション結果を確認して、そのまま画像形成装置の購入手続きを行うことができる。特に複数の画像形成装置についてのシミュレーション結果を比較できるシミュレーション結果表示画面にそれぞれの画像形成装置に対応づけられた発注ボタンを含めることにより、ユーザは購入候補である複数の画像形成装置についてのシミュレーションを行った結果を比較して、選択した画像形成装置の購入手続きをそのまま行うことができる。
【0070】
次に、本実施形態においてシミュレーション装置10がシミュレーションを実行する処理の全体の流れの例について、図7のフロー図に基づいて説明する。
【0071】
まず、画像形成装置選択部31が、ユーザの指定に基づいて、シミュレーション対象となる画像形成装置Pを選択する(S1)。そして、画像形成装置Pに対応する画像形成装置シミュレーション部32の初期情報取得部34が、画像形成装置Pに関する初期情報を取得する(S2)。例えば初期情報取得部34は、画像形成装置Pに増設されるメモリの容量に関する増設メモリ情報を取得する。
【0072】
次に、ユーザは、各種の動作条件を画像形成装置Pに対して指定する指示操作に応じて、操作パネル画面に対する指示操作を実行してもよい。これにより、操作情報取得部36は、装置操作情報を取得する(S3)。
【0073】
続いて、画像形成命令取得部35が、画像形成命令Rを取得する(S4)。これにより、シミュレーション実行部37が、画像形成装置Pが実行する画像形成処理のシミュレーションを開始する。なお、画像形成命令取得部35は、画像形成命令Rを複数取得することとしてもよい。また、シミュレーション実行部37は、画像形成命令取得部35が画像形成命令Rを取得した後、ユーザのシミュレーション開始を指示する指示操作によって、シミュレーションの実行を開始することとしてもよい。
【0074】
シミュレーション実行部37は、まずシミュレーションの実行を開始した時点の時刻を計時部14より取得する(S5)。次に、画像形成命令Rに含まれるジョブ制御言語で記述された部分に対して、ジョブ解析処理を行う(S6)。
【0075】
続いてシミュレーション実行部37は、画像形成命令Rに含まれる各対象画像のそれぞれについて、以下のような処理を行う。すなわち、シミュレーション実行部37は、まず画像形成命令Rに含まれる処理対象となる対象画像の情報に基づいて、データ解析処理を行う(S7)。次に、S7の処理による解析結果に基づいて画像描画処理を行い、出力画像データを生成する(S8)。
【0076】
シミュレーション実行部37は、取得した画像形成命令Rに含まれる画像形成の対象となる全ての対象画像について、S7からS8までの処理を繰り返して実行する。なお、ここでシミュレーション実行部37は、処理対象となる対象画像のそれぞれについて、S7の処理の開始前及びS8の処理の終了後の時点での時刻を計時部14より取得して、各対象画像に対する処理時間を計測してもよい。さらに、全ての対象画像について画像形成処理のシミュレーションを終了した場合、終了時点での時刻を計時部14より取得し、画像形成処理全体のシミュレーションの実行に要した処理時間を計測する(S9)。
【0077】
次に、予測時間算出部38が、S9の処理で得られた処理時間に基づいて、画像形成に要する予測時間の算出を行う(S10)。続いて、動画像生成部39が、S10の処理で算出された予測時間に基づいて、シミュレーション動画像を生成する(S11)。
【0078】
シミュレーション結果表示制御部33は、シミュレーションの結果をユーザ端末20の表示部25に表示させる表示制御処理を行う(S12)。具体例として、シミュレーション結果表示制御部33は、S10の処理の結果得られる予測時間に基づいて算出される性能を表す指標情報と、S11の処理の結果得られるシミュレーション動画像とを、表示部25に表示させる。
【0079】
なお、以上説明したフローにおいては、シミュレーション実行部37による画像形成処理のシミュレーションが完了してから動画像生成部39がシミュレーション動画像を生成することとしているが、処理の順序はこのようなものに限られない。例えば、シミュレーション実行部37によるシミュレーションの途中で動画像生成部39はシミュレーション動画像の生成を開始し、シミュレーション結果表示制御部33が生成されるシミュレーション動画像を順次表示部25に表示させることとしてもよい。この場合、シミュレーション実行部37によるシミュレーションが完了し、予測時間算出部38が全体の予測時間を算出した時点で、当該算出された予測時間に基づく所要時間でシミュレーション動画像が終了するように、動画像生成部39はシミュレーション動画像の生成を終了する。これにより、ユーザにとってのシミュレーション結果の表示までの待ち時間を短くすることができる。
【0080】
以上説明した本実施の形態によれば、対象画像の情報を含んだ画像形成命令に基づいて画像形成のシミュレーションを実行することで、画像形成装置が存在しない状態であっても画像形成処理に要する予測時間を算出でき、ユーザの実際の使用時における画像形成装置の性能をシミュレーションできる。また、画像形成装置を購入した後であっても、ユーザは増設メモリの容量や印刷における選択メニュー項目等を現在使用中の画像形成装置のものとは変更して画像形成のシミュレーションを実行することで、ハードウェアの増設や設定情報の変更によって生じる画像形成処理の処理時間の変化を、実際に画像形成装置を用いて試行することなく知ることができる。
【0081】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の実施形態により実現可能である。例えば、上記の説明においては、ユーザはシミュレーション装置10とは別のユーザ端末20に対して指示操作を行ったりシミュレーション結果の確認を行ったりすることとしたが、シミュレーション装置10が実行する機能と、ユーザ端末20が実行する機能とは、一台のコンピュータ上で実現されてもよい。あるいは、シミュレーション装置10が実行する機能は、複数のコンピュータが協働することで実現することとしてもよい。例えば本発明の一実施形態に係る画像形成装置シミュレーション装置は、ユーザ端末20に表示させるウェブページの出力及びユーザ端末20から送信される情報の受信を実行するフロントエンドサーバと、画像形成装置が実行する処理のシミュレーションを実行するバックエンドサーバと、からなるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置シミュレーション装置を含むコンピュータシステムの概略の構成を表す全体図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置シミュレーション装置の機能を表す機能ブロック図である。
【図3】ユーザ端末に表示される動作モード選択画面の一例を表す図である。
【図4】ユーザ端末に表示されるシミュレーション画面の一例を表す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置シミュレーション装置が生成するシミュレーション動画像の一例を表す説明図である。
【図6】ユーザ端末に表示されるシミュレーション結果表示画面の一例を表す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像形成装置シミュレーション装置によって実行される処理の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0083】
10 シミュレーション装置、11,21 制御部、12,22 記憶部、13,23 通信部、14 計時部、20 ユーザ端末、24 操作部、25 表示部、30 通信ネットワーク、31 画像形成装置選択部、32 画像形成装置シミュレーション部、33 シミュレーション結果表示制御部、34 初期情報取得部、35 画像形成命令取得部、36 操作情報取得部、37 シミュレーション実行部、38 予測時間算出部、39 動画像生成部、40 形成画像変換部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの画像形成装置が実行する処理のシミュレーションを実行する画像形成装置シミュレーション装置であって、
前記画像形成装置による形成対象となる対象画像の情報を含んだ画像形成命令を取得する画像形成命令取得手段と、
前記画像形成命令に基づいて、前記画像形成装置が前記対象画像を記録媒体に形成する画像形成処理のシミュレーションを実行するシミュレーション手段と、
前記シミュレーションに要した処理時間に基づいて、前記画像形成装置が前記画像形成処理に要すると予測される予測時間を算出し、出力する予測時間算出手段と、
を含むことを特徴とする画像形成装置シミュレーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置シミュレーション装置において、
前記画像形成装置が備えると想定されるメモリの容量に関するメモリ容量情報を取得するメモリ容量情報取得手段をさらに含み、
前記シミュレーション手段は、前記取得したメモリ容量情報に基づいて決定される容量のメモリ領域を確保し、当該確保したメモリ領域を使用して前記シミュレーションを実行する
ことを特徴とする画像形成装置シミュレーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置シミュレーション装置において、
前記シミュレーション手段は、複数の画像形成装置のそれぞれについて前記画像形成処理のシミュレーションを実行し、
前記複数の画像形成装置のそれぞれについて、前記算出した予測時間に基づく所要時間で、画像形成の過程を表すシミュレーション動画像を生成する動画像生成手段と、
前記生成した複数のシミュレーション動画像を同時に再生開始するように表示手段に表示させる動画像再生手段と、
を含むことを特徴とする画像形成装置シミュレーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置シミュレーション装置において、
前記予測時間算出手段は、前記予測時間のうち、記録媒体の出力を開始する出力開始タイミングまでに要すると予測される予測出力待ち時間と、当該出力開始タイミングから前記画像形成処理が完了するまでに要すると予測される予測媒体出力時間と、をそれぞれ算出し、
前記動画像生成手段は、前記算出した予測媒体出力時間に基づく所要時間のシミュレーション動画像を生成する
ことを特徴とする画像形成装置シミュレーション装置。
【請求項5】
コンピュータを用いて、少なくとも一つの画像形成装置が実行する処理のシミュレーションを実行する画像形成装置シミュレーション方法であって、
前記画像形成装置による形成対象となる対象画像の情報を含んだ画像形成命令を取得するステップと、
前記画像形成命令に基づいて、前記画像形成装置が前記対象画像を記録媒体に形成する画像形成処理のシミュレーションを実行するステップと、
前記シミュレーションに要した処理時間に基づいて、前記画像形成装置が前記画像形成処理に要すると予測される予測時間を算出し、出力するステップと、
を含むことを特徴とする画像形成装置シミュレーション方法。
【請求項6】
コンピュータに少なくとも一つの画像形成装置が実行する処理のシミュレーションを実行させるプログラムであって、
前記画像形成装置による形成対象となる対象画像の情報を含んだ画像形成命令を取得する画像形成命令取得手段、
前記画像形成命令に基づいて、前記画像形成装置が前記対象画像を記録媒体に形成する画像形成処理のシミュレーションを実行するシミュレーション手段、及び
前記シミュレーションに要した処理時間に基づいて、前記画像形成装置が前記画像形成処理に要すると予測される予測時間を算出し、出力する予測時間算出手段、
として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−215083(P2007−215083A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34959(P2006−34959)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】