説明

画像形成装置制御方法および画像形成装置

【課題】印刷ジョブの出力順の優先順位を高めるように変更した時点で、その変更した印刷ジョブについて、生産性を落とさずに、できるだけ最優先で画像形成されるように出力順を決定すると共に通知する。
【解決手段】プリントキューに印刷ジョブが複数登録されている際に、登録されている前記印刷ジョブを操作表示部に表示すると共に該印刷ジョブについて出力順の変更を受け付け、操作表示部から出力順の変更が指示された出力順変更対象印刷ジョブについて画像形成が可能となる準備処理時間と残余の印刷ジョブの画像形成に要する処理残時間とを制御部により算出すると共に比較することで、準備処理時間に起因して画像形成を停止させずに変更可能な出力順を求めて操作表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラスタライズ処理により生成されたイメージデータを含む印刷ジョブに係る画像形成をプリントキューの登録順に行う際の画像形成装置制御方法および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コードデータやベクトルデータで文字や図形を記述(たとえば、PDL(Page Description Language)で記述)した印刷データに係る印刷処理は、プリンタコントローラにて印刷データをラスタライズ処理(RIP(Raster Image Process)とも呼ぶ)してビットマップ形式のイメージデータを生成し、プリンタコントローラから該イメージデータを含む印刷ジョブのデータを画像形成部に送信し、画像形成部にて該データに基づく画像を用紙上に形成するという流れで行われる。
【0003】
また、画像形成装部にハードディスク装置など大容量の記憶部を設けておき、プリンタコントローラから受信した印刷ジョブのデータを記憶部に一旦保存し、該保存した印刷ジョブに対して画像形成装部の表示操作部から各種の編集操作を行い得るように構成される場合もある。ここで、編集操作としては、たとえば、片面/両面印刷や出力トレイに関する設定の変更、穴あけ・折り・綴じに関する設定の変更、色調や紙種に関する設定の変更などが考えられる。なお、これら編集操作の中には画像形成装部側で行う処理のみで対応可能なもの(たとえば、出力トレイの変更)と、色調の変更のように、ラスタライズ処理によるイメージデータの生成し直し(以後、「再RIP」)を要するものがある。
【0004】
そこで、画像形成装部は、保存している印刷ジョブに対して何らかの編集操作を受けた場合、その編集操作によって再RIPが必要となったか否かを判断し、必要と判断した場合はプリンタコントローラに対して再RIPを要求する。再RIPの要求を受けたプリンタコントローラは該要求に従って再RIPを行い、生成したイメージデータを画像形成部に送信するように構成される。
【0005】
ところで、予約されており出力の順番になった印刷ジョブについて再RIPが完了していないと、再RIP完了まで画像形成動作が停止する。この結果、画像形成装置の生産性(単位時間当たりの画像形成出力枚数)が低下することになる。
【0006】
このような再RIP未完了の場合における対処として、以下の特許文献に対応策が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−46864号公報
【特許文献2】特開2007−01044号公報
【特許文献3】特開平11−198491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の特許文献1は、プリントキューの先頭の印刷ジョブの再RIPが未完了であれば、先頭の印刷ジョブの再RIP完了を待つか、あるいは、後続の印刷ジョブを先に画像形成するように制御している。
【0009】
また、以上の特許文献2は、割り込みジョブを先に実行しようとするものの、フォーマット変換処理の期間中に先に出力できる印刷ジョブがあれば、先に出力できる印刷ジョブを割り込みジョブよりも先に画像形成するように制御している。
【0010】
また、以上の特許文献3は、優先順位(最高、中、最低)の設定に応じて印刷ジョブを登録して、その順に画像形成することが提案されている。
【0011】
すなわち、以上の特許文献によれば、優先順位の登録が可能であり、プリントキューの先頭の印刷ジョブの処理が未完であれば、後続印刷ジョブを先に画像形成するものである。この結果、優先度を高めて先に画像形成するように設定した印刷ジョブの出力物を、出力完了時刻にオペレータが回収しに来たものの、実際には出力順が後回しにされたために出力が完了していない、という状況に陥ることになる。
【0012】
また、いずれの特許文献にも、印刷ジョブの出力順の優先順位を高める方向に変更した時点で、その変更した印刷ジョブが生産性を落とさずに最優先で画像形成されるか否かをオペレータに通知するものではなかった。
【0013】
あるいは、設定した出力順を変更せずに画像形成を実行する場合には、再RIP等の完了を待つために、画像形成を停止させる必要があり、生産性を低下させることになっていた。
【0014】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、印刷ジョブの出力順の優先順位を高めるように変更した時点で、その変更した印刷ジョブについて、生産性を落とさずに、できるだけ最優先で画像形成されるように出力順を決定すると共に通知することが可能な画像形成装置制御方法および画像形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、前記した課題を解決する本発明は、以下の通りである。
【0016】
(1)第1の発明は、画像形成待ちの印刷ジョブがプリントキューに登録され、ラスタライズ処理により生成されたイメージデータを含む前記印刷ジョブに係る画像形成を前記プリントキューの登録順に行う画像形成装置、または画像形成装置における画像形成装置制御方法であって、前記プリントキューに前記印刷ジョブが複数登録されている際に、登録されている前記印刷ジョブを操作表示部に表示すると共に該印刷ジョブについて出力順の変更を受け付け、前記操作表示部から出力順の変更が指示された出力順変更対象印刷ジョブについて画像形成が可能となる準備処理時間と残余の前記印刷ジョブの画像形成に要する処理残時間とを制御部により算出すると共に比較することで、前記準備処理時間に起因して画像形成を停止させずに変更可能な出力順を求めて前記操作表示部に表示する、ことを特徴とする。
【0017】
(2)第2の発明は、上記(1)において、ラスタライズ処理により生成されたイメージデータを含む前記印刷ジョブが前記プリントキューに登録されており、前記出力順変更対象印刷ジョブについてのラスタライズ処理の再実行に要する時間、あるいは、前記出力順変更対象印刷ジョブに含まれる後処理の準備に要する時間を、前記準備処理時間として算出する、ことを特徴とする。
【0018】
(3)第3の発明は、上記(2)において、前記出力順変更対象印刷ジョブについて前回のラスタライズ処理に要した時間を参照して、ラスタライズ処理の再実行に要する時間を求める、ことを特徴とする。
【0019】
(4)第4の発明は、上記(1)−(3)において、前記準備処理時間をTr、n番目の前記印刷ジョブまでの積算された前記処理残時間をTnとした場合に、Tr≦Tnを満足するように変更可能な前記出力順を求める、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明では、登録順に画像形成するプリントキューに複数の印刷ジョブを登録しておき、印刷ジョブについて出力順の変更を受け付けた場合に、出力順の変更が指示された出力順変更対象印刷ジョブについて画像形成が可能となる準備処理時間と、残余の印刷ジョブの画像形成に要する処理残時間とを算出して比較することで、出力順変更対象印刷ジョブの準備処理時間に起因して画像形成を停止させずに変更可能な出力順を求めて操作表示部に表示する。
【0021】
これにより、印刷ジョブの出力順の優先順位を高めるように変更した時点で、その変更した印刷ジョブについて、生産性を落とさずに、できるだけ最優先で画像形成されるように出力順を決定すると共に通知することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施形態の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態の画像形成装置の操作表示部の表示例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態の画像形成装置の操作表示部の表示例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態の画像形成装置の操作表示部の表示例を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態の画像形成装置の操作表示部の表示例を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態の画像形成装置の動作を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態の画像形成装置の操作表示部の表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。
【0024】
〈画像形成装置の構成〉
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置100のシステム構成を示している。
【0025】
画像形成装置100は、プリンタコントローラ110と画像形成部120を備えて構成される。プリンタコントローラ110は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク30を介してパーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置20と接続されており、情報処理装置20から送られてくる印刷ジョブをラスタライズ処理してイメージデータを生成する処理(RIP処理)を実行する機能を果たす。なお、イメージデータは画像形成に使用されるビットマップ形式の画像データである。
【0026】
プリンタコントローラ110が情報処理装置20から受信する印刷ジョブは、文字や図形をコードデータやベクトルデータで表した印刷データ、たとえば、PDL(Page Description Language:ページ記述言語)で記述された印刷データを含むものであり、ラスタライズ処理(RIP処理)はコードデータやベクトルデータで構成される印刷データをビットマップ形式のイメージデータに展開する処理である。
【0027】
画像形成部120は、プリンタコントローラ110からイメージデータを含む印刷ジョブのデータ(以後、これをジョブデータと呼ぶ。)を受信し、該イメージデータに基づいて記録紙上にカラー画像またはモノクロ画像を形成して出力するプリント出力機能を果たす。ここでは、画像形成部120はプリント出力機能のほかに、原稿を光学的に読み取りその複製画像を記録紙上に形成するコピー機能などを備えた、所謂、デジタルカラー複合機として構成されている。
【0028】
プリンタコントローラ110は、当該プリンタコントローラ110の動作を統括制御するCPU(Central Processing Unit)111と、ネットワーク30に接続するための通信機能を果たすLAN−IF部112と、RIP処理により生成したイメージデータなどを記憶する画像メモリ113と、ネットワーク30から受信した印刷データやRIP処理の処理過程で生成される中間データなどを蓄積するハードディスク装置(HDD)114と、画像メモリ113へのデータのリード/ライト機能および画像形成部120との間で各種データの送受信機能を果たすDRAM制御部115とを有している。
【0029】
このほか、図示省略してあるが、CPU111には、当該CPU111が読み出して実行するプログラムや固定データを記憶したROM(Read Only Memory)およびCPU111がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するためのワークメモリなどが接続されている。
【0030】
図2は、画像形成部120の概略の機械構成を示している。画像形成部120は、自動原稿送り装置121を備えたスキャナ部122と、操作表示部123と、記録紙上に画像を形成して出力するプリンタ部124と、主制御部150を備えて構成される。
【0031】
自動原稿送り装置121は、原稿載置トレイ121aに積載された原稿Jを1枚ずつスキャナ部122の読取箇所に送り込み、読み取りの済んだ原稿J’を排紙トレイ121bに排出する機能を果たす。
【0032】
スキャナ部122は、原稿Jをカラーもしくはモノクロで光学的に読み取って対応する画像データを取得する機能を果たす。スキャナ部122は、光源とミラーとから成る露光走査部と、原稿からの反射光を受光しその光強度に応じた電気信号を色別に出力するカラーのラインイメージセンサ122aと、原稿からの反射光をラインイメージセンサ122aへ導く各種のミラーや集光レンズなどを備えている。スキャナ部122は、自動原稿送り装置121によって原稿を搬送することにより原稿を読み取り位置に対して相対移動させながら読み取る流し読み形式のほか、原稿をプラテンガラス上に載置した状態で読み取ることができる。
【0033】
プリンタ部124は、タンデム型の画像形成部を備えており、無端環状の中間転写ベルト131と、中間転写ベルト131上にそれぞれ単一色のトナー像を形成する複数の像形成部140Y、140M、140C、140Kと、画像形成される記録紙を給紙する給紙部132と、給紙された記録紙を搬送する搬送部133と、定着装置134とを備えている。
【0034】
像形成部140Yは、イエロー(Y)色の画像を中間転写ベルト131上に形成し、像形成部140Mは、マゼンタ(M)色の画像を中間転写ベルト131上に形成し、像形成部140Cは、シアン(C)色の画像を中間転写ベルト131上に形成し、像形成部140Kは、ブラック(K)色の画像を中間転写ベルト131上に形成するものである。
【0035】
像形成部140Yは、表面に静電潜像が形成される円筒状の静電潜像担持体としての感光体141Yと、その周囲に配置された帯電装置142Yと現像装置143Yとクリーニング装置144Yとを有する。またレーザーダイオードと、ポリゴンミラーと、各種レンズおよびミラー等で構成されたレーザーユニット145Yを備えている。
【0036】
感光体141Yは、図示省略の駆動部に駆動されて一定方向(図中の矢印A方向)に回転し、帯電装置142Yは、感光体141Yを一様に帯電させる。レーザーユニット145Yは、イエロー色の画像データに応じてオン/オフされたレーザー光で感光体141Yを走査することにより、感光体141Yの表面に静電潜像を形成する。現像装置143Yは、感光体141Y上の静電潜像をイエロー色のトナーによって顕像化する。感光体141Yの表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト131と接触する箇所で中間転写ベルト131に転写される。クリーニング装置144Yは、転写後に感光体141Yの表面に残留するトナーをブレード等で擦って除去し回収する機能を果たす。
【0037】
像形成部140M、像形成部140C、像形成部140Kはトナーの色が相違することと、それぞれの色に対応する画像データでレーザーユニットのレーザー光がオン/オフされる点を除いて像形成部140Yと同一の構成であり、それらの説明は省略する。なお、図中、色違いであるが同じ構成の要素には、数字が同一であって添え字をYに代えてその色を示す記号M(M色に対応)、C(C色に対応)、K(K色に対応)とした符号を付してある。
【0038】
中間転写ベルト131は複数のローラに掛け渡すようにして巻回されており、画像形成中は図中の矢印B方向に周回する。周回する過程で、(Y)、(M)、(C)、(K)の順に各色の画像(トナー像)が像形成部140Y、140M、140C、140Kによって中間転写ベルト131上に重ねるように形成されてカラー画像が合成される。このカラー画像は、二次転写位置Dで中間転写ベルト131から記録紙に転写される。
【0039】
周回方向で二次転写位置Dの下流には、転写後に中間転写ベルト131上に残留しているトナーを除去するためのベルトクリーニング装置135が設置されている。
【0040】
給紙部132は、画像形成に供される記録紙を収納する複数の給紙カセット132a〜132cを有し、選択された給紙カセット132a〜132cのいずれかから記録紙を1枚ずつ搬送部133に向けて送り出す機能を果たす。なお、搬送部133は、給紙部132から繰り出された記録紙を二次転写位置Dおよび定着装置134を通過させて、図示省略の後処理装置もしくは排紙トレイへ排出する通常経路133aのほか、定着装置134を通った記録紙の表裏を反転させた後、二次転写位置Dの上流で再び通常経路133aへ合流させる反転経路133bを備えており、両面印刷に対応している。
【0041】
後処理装置は、記録紙に折り目をつけたり、複数の記録紙を束ねてステイプルで綴じたり、パンチで穴を開けたりする機能などを備えた装置であり、画像形成部120の後段に接続される。後処理装置での処理内容は、画像形成部120の主制御部150から後処理装置へ出力する制御コマンドにより指定される。
【0042】
図1に戻って画像形成部120の電気的構成を説明する。画像形成部120は、当該画像形成部120の動作を統括制御する主制御部150に、スキャナ部122とプリンタ部124と操作表示部123とを接続して構成される。
【0043】
スキャナ部122は、図2に示すラインイメージセンサ122aのほか、当該スキャナ部122の動作全体を制御するスキャナ制御部122bを備えている。
【0044】
プリンタ部124は画像データに応じてオン/オフされる各レーザーダイオード(LD)124aのほか、中間転写ベルト131や像形成部140Y、140M、140C、140K、給紙部132、搬送部133、定着装置134などの動作を制御するプリンタ制御部124bを有している。このほか、図示省略してあるが、プリンタ制御部124bには中間転写ベルト131、像形成部140Y、140M、140C、140K、給紙部132、搬送部133などを作動させるためのモータ、ソレノイド、センサなどが接続されている。
【0045】
操作表示部123は、各種設定画面や操作画面、後述するジョブ選択画面170、ジョブ編集画面180、出力予約ジョブリスト画面190などを表示する機能、オペレータに向けて各種案内情報や通知、警告などを表示する機能、オペレータから各種の設定/選択操作や編集操作、出力指示(画像形成の開始指示)を受け付ける機能を果たす。操作表示部123は、液晶ディスプレイからなる表示部123aと、その画面上に敷設されたタッチスイッチおよびその他のスイッチから成る操作部123bと、表示部123aおよび操作部123bを制御する操作制御部123cとを有して構成される。
【0046】
なお、スキャナ制御部122b、操作制御部123c、プリンタ制御部124bはそれぞれCPU(Central Processing Unit)およびROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを主要部とする回路で構成されており、ROMに格納されたプログラムに従って各種の制御を実行する。
【0047】
主制御部150は、画像形成部120の動作を統括制御する機能を果たし、読み取り処理部152と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)制御部52と、圧縮IC154aと、伸張IC154bと、半導体メモリで構成された画像メモリ155と、書き込み処理部158と、CPU151と、ROM159aと、RAM159bと、不揮発メモリ159cと、ハードディスク装置156(HDDとも記す)などを備えて構成される。
【0048】
CPU151は、画像形成部120の動作全体を制御する機能を果たす。ROM159aには、プログラムや各種固定データなどが記憶されており、CPU151はROM159aに格納されたプログラムに従って動作する。RAM159bは、CPU151がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリとして使用される。不揮発メモリ159cは、電源オフ後も記憶しておくべきユーザデータやシステムデータ、各種設定値などが記憶されるメモリである。後述するプリントキューはRAM159bまたは不揮発メモリ159cに作成され記憶される。
【0049】
読み取り処理部152は、スキャナ部122の出力する画像データに対して拡大処理、鏡像処理、誤差拡散処理などを施す機能を果たす。
【0050】
DRAM制御部153は、ダイナミックRAMからなる画像メモリ155へのリード・ライトおよびリフレッシュのタイミング制御や、画像データを圧縮して圧縮メモリ155bに格納したり、圧縮メモリ155bから圧縮画像データを読み出して伸張したりする際のタイミング制御などを行う。またDRAM制御部153にはPCI(Peripheral Component Interconnect)バス104を通じてプリンタコントローラ110のDRAM制御部115と接続されており、プリンタコントローラ110との間でPCIバス104を通じて各種のデータを授受する機能を果たす。
【0051】
圧縮IC154aは画像データを圧縮し、伸張IC154bは圧縮された画像データ(圧縮画像データ)を元のイメージデータに伸張する機能を果たす。画像メモリ155は、非圧縮の画像データをページ単位で記憶可能なページメモリ155aとしての機能と、圧縮画像データを記憶する圧縮メモリ155bなどとして使用される。
【0052】
ハードディスク装置156には、プリンタコントローラ110から受信した印刷ジョブのデータ(ジョブデータ)などが記憶され保存される。
【0053】
書き込み処理部158は、圧縮メモリ155bから読み出して伸張された画像データに応じて各色レーザーユニット145Y、145M、145C、145Kのレーザーダイオードをオン/オフさせるための信号を、プリンタ部124の動作に応じたタイミングで出力する機能を果たす。
【0054】
なお、ここでは、プリンタコントローラ110は画像形成装置100の内部に組み込まれている状態を示している。プリンタコントローラ110を画像形成装置100の外部に設ける場合には、プリンタコントローラ110と画像形成部120との間でのデータの送受信は、それに適したインターフェイスで行われる。
【0055】
〈画像形成装置の動作〉
ここで、本実施形態の画像形成装置における画像形成の動作について、図3のフローチャートにより全体動作を説明し、図6のフローチャートにより本実施形態の特徴部分の動作を説明する。
【0056】
〈全体動作〉
図3は、画像形成装置100における印刷処理全体の流れを示している。まず、情報処理装置20は、プリンタドライバを通してプリンタコントローラ110へ印刷ジョブ(印刷データを含む)を送信する(ステップS101)。
【0057】
情報処理装置20から印刷ジョブを受信したプリンタコントローラ110のCPU111は、この受信した印刷ジョブの印刷データに対してRIP処理(ラスタライズ処理)を行ってイメージデータを生成する(ステップS111)。
【0058】
CPU111は当該イメージデータの生成に要した処理時間を計測している。ここでは、ページ単位に処理時間を計測する。CPU111は、計測した処理時間を示すRIP時間情報と、生成したイメージデータと、出力設定などの画像形成部120に対する制御コードとを含むジョブデータを生成し、画像形成部120へ送信(ジョブを投入)する(ステップS112)。
【0059】
ジョブデータには、当該ジョブデータに係る印刷ジョブを一意に特定するためのジョブID(ジョブ番号などの識別情報)が含まれる。またRIP時間情報はジョブ単位の処理時間とページ毎の処理時間とを示している。
【0060】
また、プリンタコントローラ110は、該印刷ジョブに係るRIP処理を、色調や紙種などの条件を変更して再度実行してイメージデータを生成し直す(これを再RIPと呼ぶ。)ために必要となるデータをハードディスク装置114(あるいは画像メモリ113)に保存する(ステップS113)。保存するデータは、情報処理装置20から受信した印刷ジョブのデータ、あるいは印刷データ、あるいは印刷データからイメージデータを生成する途中の過程で生成された所定の中間データでもかまわない。保存するデータにはジョブIDが対応付けされる。
【0061】
画像形成部120のCPU151はプリンタコントローラ110から受信したジョブデータを記憶部(ハードディスク装置156)に保存する(ステップS121)。また、受信したジョブデータを解析し(ステップS122)、出力保留の指示(制御コード)が付加されているか否かを判断する。出力保留の指示がない場合(プリントモードの場合)は(ステップS123;NO)、受信したジョブデータに係る印刷ジョブをそのステータスをレディ状態にしてプリントキューの末尾に登録する(ステップS126)。レディ状態は、印刷に必要なデータが揃っている状態である。
【0062】
CPU151は、受信したジョブデータに出力保留の指示が付加されている場合(ホールドモードの場合)は(ステップS123;YES)、この時点でこの印刷ジョブをプリントキューへ登録することは行わない。
【0063】
画像形成部120はホールドモードでハードディスク装置156に保存されているジョブデータに対して削除、複製、編集などの操作や出力指示(画像形成の開始指示)を当該画像形成部120の操作表示部123を通じて受け付け可能に構成されている(ステップS124)。なお、編集操作を受けた後に出力指示を受ける場合と、編集操作を受けないまま出力指示を受ける場合がある。
【0064】
編集可能な項目には、出力トレイの変更、片面印刷/両面印刷の変更など画像形成部120側の処理のみで対応可能なものと、色調や解像度の変更などプリンタコントローラ110での再RIPを要するもしくは要する場合のあるものがある。
【0065】
図4は、画像形成部120のCPU151が操作表示部123の表示部123aに表示するジョブ選択画面170の一例を示している。ジョブ選択画面170は、編集対象や出力対象の印刷ジョブを選択するための操作画面である。ジョブ選択画面170には出力保留中の印刷ジョブのリスト171が表示される。CPU151は、該リスト171の中から任意の印刷ジョブの表示箇所を押下する操作を受けると、そのジョブを選択状態にする。また、ジョブの選択状態で編集釦172の操作を受けると、選択されたジョブに関する編集操作を受け付ける状態に遷移し、操作表示部123にジョブ編集画面180(図5)を表示する。また、CPU151は、ジョブの選択された状態で出力釦173の操作を受けると、その印刷ジョブに対する出力指示を受け付ける。
【0066】
出力指示を受け付けた印刷ジョブは、後述する出力予約ジョブリスト画面190(図7)に表示される。ここでは、ジョブID:0001〜0006の印刷ジョブが出力指示を受けて出力予約ジョブリスト画面に表示された状態になっている。
【0067】
図5に示すように、ジョブ編集画面180には、編集対象の項目毎に、その項目名と設定値とが対応付けて表示されている。確定釦184は、編集内容を確定させるための操作釦である。オペレータは、編集対象のページを選択し、さらに編集対象の項目を選択し、その設定値を変更する操作を、当該ジョブ編集画面180を通じて行うことができる。
【0068】
プリンタコントローラ110から受信してハードディスク装置156に記憶されているジョブデータには、ジョブ編集画面180に表示したすべての項目の設定値を示すデータが含まれている。CPU151は、ジョブ編集画面180を表示する際にハードディスク装置156に記憶してあるジョブデータ(イメージデータを除く)のバックアップをとり、オペレータから編集操作を受けるごとに、ハードディスク装置156に記憶してある元のジョブデータの中の該当する項目の設定値を編集操作後の値に変更する。また、確定釦184が押下されると、編集したジョブデータとバックアップしてあるジョブデータとを比較して変更されたページおよび項目を認識し、変更されたページおよび項目を示す編集情報を当該印刷ジョブに関連付けてハードディスク装置156に記憶する。
【0069】
確定釦184が押下されずに、とじる釦185が押下された場合は、編集されたジョブデータ(イメージデータを除く)をバックアップしてある元のジョブデータ(イメージデータを除く)に戻す。
【0070】
図3に戻って説明を続ける。画像形成部120のCPU151は、ハードディスク装置156に保存されている印刷ジョブに対する出力指示をオペレータから操作表示部123を通じて受けると、当該印刷ジョブが編集操作によって再RIPを要するジョブとなったか否かを判定する(ステップS125)。詳細には、当該印刷ジョブに対応付けて記憶されている編集情報に基づいて、編集されたページおよび項目を認識し、再RIPの要否を判定する。
【0071】
再RIP不要の場合は(ステップS125;NO)、この印刷ジョブをそのステータスをレディ状態にしてプリントキューの末尾に登録する(ステップS126)。
【0072】
再RIPが必要な場合は(ステップS125;YES)、プリンタコントローラ110に対して再RIP要求を送信する(ステップS127)。再RIP要求には、ジョブIDのほか再RIPを行う場合の処理条件(再RIP対象のページのページ番号および変更内容)などが含まれる。さらに再RIP要求の送信と同時に、当該印刷ジョブをそのステータスを再RIP中にしてプリントキューの末尾に登録する(ステップS128)。また、再RIP要求を送信した時刻(この時刻を、要求時刻とする。)を、当該再RIP要求に係る印刷ジョブに対応付けて記憶する。なお、「再RIP中」の状態とは、再RIPを要求した後、再RIPの完了を待っている状態であり、再RIPのために、印刷開始に必要なデータが揃っていない状態である。
【0073】
再RIP要求を受けたプリンタコントローラ110は、受信した再RIP要求の中のジョブIDで指示された印刷ジョブについて、当該再RIP要求で指定された処理条件で再RIPを実行してイメージデータを生成する(ステップS114)。ここでは処理条件で指定されたページのみ再RIPする。そして、再RIPが完了すると、当該再RIPで生成したイメージデータと当該印刷ジョブのジョブIDとを含むジョブデータを画像形成部120に送信する(ステップS115)。再RIPは、先にステップS113で保存しておいたデータ(中間データなど)に基づいて実行される。
【0074】
画像形成部120のCPU151は、プリンタコントローラ110からジョブデータを受信すると、該ジョブデータに含まれているジョブIDから該受信したジョブデータが再RIP要求に係るものであることを認識し、このジョブIDの印刷ジョブ(再RIPの完了した印刷ジョブ)のステータスをレディ状態に変更する(ステップS129)。またハードディスク装置156に記憶してあるこのジョブIDに係るジョブデータのうちの該当部分(少なくとも該当ページのイメージデータ)を、プリンタコントローラ110から受信したデータに置き換える。
【0075】
画像形成部120のCPU151は、プリントキューに印刷ジョブが登録されている場合は、プリントキューの先頭から印刷ジョブを順次取り出してその印刷ジョブに係る画像形成をプリンタ部124に行わせる。
【0076】
〈特徴部分の動作〉
図6は、出力予約ジョブリスト画面190(図7)における出力順変更の制御の流れを示すフローチャートである。
【0077】
画像形成部120のCPU151は、プリントキューに登録されている複数の印刷ジョブ(図7において、ジョブID:0001〜0006の6個の印刷ジョブ)を出力予約ジョブリスト画面190(図7)中にリスト191として操作表示部123に表示しており、この出力予約ジョブリスト画面190を介してオペレータからの出力順変更の操作を受け付ける。なお、この図7の出力予約ジョブリスト画面190中のリスト191では、出力中の印刷ジョブ1つ(ジョブID:0001)と、後続の予約中の印刷ジョブ(ジョブID:0002〜0006)5つとが表示されている。
【0078】
また、この出力予約ジョブリスト画面190では、オペレータはリスト191中の複数の印刷ジョブのいずれかを選択して、予約順序変更操作部(図7(b))の釦を押下することで、選択した印刷ジョブの出力順の変更が可能である。なお、図7の出力予約ジョブリスト画面190では、出力順を変更しようとする印刷ジョブがリスト191中で選択されていないため、CPU151は予約順序変更操作部(図7(b))の釦を無効化した状態にして操作表示部123に表示している(ステップS302でNO、S304)。
【0079】
CPU151は、オペレータが出力予約ジョブリスト画面190のリスト191中から任意の印刷ジョブの表示箇所を押下すると、対応する印刷ジョブを選択状態(図8(a))にして、出力順変更対象印刷ジョブとして扱う(ステップS301、S302;YES)。ここで、CPU151は、操作表示部123の出力予約ジョブリスト画面190において、ジョブID:0006の印刷ジョブを出力順変更対象印刷ジョブとして反転表示する(図8(a))。
【0080】
また、CPU151は、リスト191の中で出力順変更対象印刷ジョブが決定すると(ステップS302;YES)、予約順序変更操作部(図8(b))の各釦を有効化して、操作可能状態にする(ステップS303)。
【0081】
この予約順序変更操作部(図8(b))では出力順変更対象印刷ジョブの出力順について、予約中の最上位に変更する「先頭へ」釦、画像形成を停止させない範囲で予約中の最上位に変更する「上へ(生産性最適化)」釦、1つ上に変更する「1つ上へ」釦、1つ下に変更する「1つ下へ」釦、最後尾に変更する「後尾へ」釦、が設けられており、オペレータはいずれかの釦を押下する(ステップS305)。ここでは、オペレータが「上へ(生産性最適化)」釦を押下したと想定する(図8(c))。
【0082】
ここで、CPU151は、出力順変更対象印刷ジョブについて、画像形成実行前に再RIPや後処理準備などの準備処理が必要であるか否かを、印刷ジョブステータスや後処理内容から判断する(ステップS306)。
【0083】
なお、CPU151は、図5のジョブ編集画面における紙種類指定、解像度(スクリーン線数)、スクリーン角度、スクリーンドット形状、カラー関連設定、などの変更、図示されないページ順編集画面におけるページ挿入などの指示があれば、再RIPが必要であると判断する。
【0084】
画像形成実行前に再RIPや後処理準備などの準備処理が必要である場合(ステップS306;YES)には、CPU151は、出力順変更対象印刷ジョブにおける準備処理時間trを算出する(ステップS307)。
【0085】
ここで、準備処理時間とは、再RIPや後処理などの画像形成開始に必要な準備処理を完了させるために要する時間を意味する。
【0086】
準備処理が再RIPである場合には、CPU151は、ジョブデータに含まれる前回のRIPに基づいて生成されたRIP時間情報を参照し、再RIPにも同様な処理時間が掛かると想定して準備処理時間trを算出する。なお、再RIPを実行中であれば、予想される再RIP時間から、実行済みの再RIP時間を減じて、残りの再RIP時間を準備処理時間trとして算出する。
【0087】
準備処理が後処理準備である場合、例えば、印刷ジョブにくるみ製本処理が指定されている場合には、くるみ製本処理で使用する糊温度を目標温度まで上昇させる糊温度ウォームアップに所定の準備処理時間が必要となる。この場合には、CPU151は、後処理装置における温度制御特性(図9)をROM159aから読み出して、この温度制御特性に準備開始時糊温度と目標糊温度を当てはめて、準備処理時間trを算出する。なお、糊温度が安定した状態にあれば、現在温度を準備開始時糊温度としてもよい。また、糊温度が一定の割合で下降している場合には、現在糊温度から想定される準備開始時の糊温度を推定しても良い。なお、他の後処理であっても、準備処理時間がかかる場合には、同様にして準備処理時間trを算出する。
【0088】
さらに、CPU151は、実行中の印刷ジョブ(ジョブID:0001)の順位をn=0、予約中の印刷ジョブの最上位(ジョブID:0002)をn=1として、n=1から順にn番目の印刷ジョブの処理完了に要する積算された処理残時間tnを算出する(ステップS308〜S310)。ここで、処理残時間tnとは、出力中の印刷ジョブの処理時間に1〜n番目までの印刷ジョブの処理時間とを積算した状態の処理に要する予想時間である。
【0089】
CPU151は、出力順変更対象印刷ジョブの準備処理時間trと、n番目の印刷ジョブまでの処理残時間tnとを比較し、tr≦tnであるか否かを判断する(ステップS311)。
【0090】
なお、図8の予約ジョブリスト画面190では、各印刷ジョブの時間として、準備処理時間tr(図8(e))と処理残時間tn(図8(f))とがCPU151により表示部123に表示されている具体例を示している。
【0091】
trとtnの比較によりtr≦tnを満足しない場合には(ステップS311;NO)、CPU151は、出力順変更対象印刷ジョブ以外に予約されている印刷ジョブ全てに対して(ステップS312)、nを1ずつインクリメントして(ステップS309)tnを算出し(ステップS310)、tr≦tnであるか否かを判断する(ステップS311)。
【0092】
図8に示す具体例では、出力順変更対象印刷ジョブ(ジョブID:0006)の準備処理時間trが8分であり、n=1の印刷ジョブ(ジョブID:0002)における処理残時間tnが5分でありtr≦tnを満足しないが、n=2の印刷ジョブ(ジョブID:0003)における処理残時間tnが10分でありtr≦tnを満足する(ステップS311;YES)。このため、出力順変更対象印刷ジョブ(ジョブID:0006)を、予約順位3番目以降の出力順に変更することで、準備処理時間trに起因して画像形成を停止させることがない。
【0093】
そこで、CPU151は、図10の予約ジョブリスト画面190に示すように、出力順変更対象印刷ジョブ(図10(a))の出力順の変更可能位置をアイコン(図10(d))等により、操作表示部123に表示する(ステップS313)。ここでは、ジョブID:0003の印刷ジョブとジョブID:0004の印刷ジョブとの間(出力順3番目)をアイコンにより変更可能位置として表示している。なお、出力順の変更可能位置についての表示は、アイコン等に限られず、出力順変更対象印刷ジョブを変更可能位置に移動させた上で点滅させてもよい。
【0094】
そして、CPU151は、オペレータにより「上へ(生産性最適化)」釦が押下された場合には、以上の変更可能位置についての表示を一定時間行った後に、プリントキューにおいて出力順変更対象印刷ジョブを変更可能位置に移動させる。
【0095】
また、CPU151は、オペレータにより「先頭へ」釦が押下された場合には、出力順変更対象印刷ジョブの変更可能位置をアイコン等で表示すると共に、画像形成停止による生産性低下可能性の警告表示をした上で、プリントキューにおいて出力順変更対象印刷ジョブを先頭に移動させる。
【0096】
また、CPU151は、オペレータにより「1つ上へ」釦が押下された場合には、出力順変更対象印刷ジョブの変更可能位置をアイコン等で表示した上で、プリントキューにおいて出力順変更対象印刷ジョブを指定された出力順(1つ上)に移動させる。
【0097】
また、図8,図10の具体例には示されないが、出力順変更対象印刷ジョブの後続印刷ジョブが存在している場合には、CPU151は、オペレータにより「1つ下へ」,「後尾へ」釦が押下された場合には、出力順変更対象印刷ジョブの変更可能位置をアイコン等で表示した上で、プリントキューにおいて出力順変更対象印刷ジョブを指定された出力順に移動させる。なお、出力順変更対象印刷ジョブの準備処理時間trによっては、「1つ下」が指定された場合であっても、変更可能位置が2つ下になる可能性もある。
【0098】
なお、図8に示す具体例の場合に、出力順変更対象印刷ジョブの準備処理時間trが8分ではなく13分であったとすると、1つ上のn=4の印刷ジョブまで処理残時間tnが14分であり、n=4でtr≦tnを満足する(ステップS311;YES)ため、出力順は予約順位5番目(ジョブID:0005の後)であり、実質的に同じ位置となる。
【0099】
また、図8に示す具体例の場合に、出力順変更対象印刷ジョブの準備処理時間trが8分ではなく15分であったとすると、1つ上のn=4の印刷ジョブまで処理残時間tnが14分であり、印刷ジョブの全て処理残時間tnと比較してもtr≦tnを満足しない(ステップS311;NO、S312;YES)。この場合には、準備処理時間trに起因して画像形成を停止させることになるため、CPU151は、操作表示部123に生産性低下可能性の警告表示を行う(ステップS314)。
【0100】
一方、出力順変更対象印刷ジョブにおいて再RIPや後処理準備の必要がない場合(ステップS306;NO)、CPU151は、オペレータの指示に応じて、プリントキューにおける出力順変更対象印刷ジョブを移動させる。
【0101】
そして、CPU151は、オペレータが予約ジョブリスト画面190を他の画面に切り替えるまで、ステップS301に戻り、繰り返して以上の処理を実行する(ステップS316)。
【0102】
以上説明してきたように、本実施形態では、登録順に画像形成するプリントキューに複数の印刷ジョブを登録しておき、印刷ジョブについて出力順の変更を受け付けた場合に、出力順の変更が指示された出力順変更対象印刷ジョブについて画像形成が可能となる準備処理時間と、残余の印刷ジョブの画像形成に要する処理残時間とを算出して比較することで、印刷ジョブの出力順の優先順位を高めるように変更した時点で、生産性を落とさずに、できるだけ最優先で画像形成されるように出力順を決定すると共に通知することが可能になる。
【0103】
すなわち、従来であれば、印刷ジョブの優先順位を高めたことで画像形成が停止して生産性が低下したり、あるいは、生産性は低下させない代わりに実行直前に印刷ジョブの出力順を下げたりするという問題が発生していたが、このような問題は本実施形態では発生しなくなる。
【0104】
また、出力が予想される時刻にオペレータが印刷ジョブの出力物を回収に来たものの、実行直前になっても再RIPが完了せずに後続の印刷ジョブが先に実行されていて期待した印刷ジョブについての出力が為されていない、といった問題は本実施形態では発生しなくなる。
【0105】
〈その他の実施形態〉
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0106】
以上の実施の形態では、画像形成部120としてデジタルカラー複合機を例示したが、スキャナ部122などを具備せず、単体のプリンタとして構成されてもよく、プリンタコントローラ110からイメージデータを含むジョブデータを受けてプリント出力する機能を備えていればよい。また、モノクロ機であってもかまわない。
【0107】
また、実施の形態では、画像形成装置100の内部にプリンタコントローラ110が組み込まれている構成例を示したが、プリンタコントローラ110は画像形成装置100と別体に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0108】
20 情報処理装置
30 ネットワーク
100 画像形成装置
104 バス
110 プリンタコントローラ
111 CPU
112 LAN−IF部
113 画像メモリ
114 ハードディスク装置(HDD)
115 DRAM制御部
120 画像形成部
121 自動原稿送り装置
121a 原稿載置トレイ
121b 排紙トレイ
122 スキャナ部
122a ラインイメージセンサ
122b スキャナ制御部
123 操作表示部123
123a 表示部
123b 操作部
123c 操作制御部
124 プリンタ部
124a LD
124b プリンタ制御部
131 中間転写ベルト
132 給紙部
132a 給紙カセット
133 搬送部
133a 通常経路
133b 反転経路
134 定着装置
135 ベルトクリーニング装置
140Y、140M、140C、140K 像形成部
141Y、141M、141C、141K 感光体
142Y、142M、142C、142K 帯電装置
143Y、143M、143C、143K 現像装置
144Y、144M、144C、144K クリーニング装置
145Y、145M、145C、145K レーザーユニット
150 主制御部
151 CPU
152 読み取り処理部
153 DRAM制御部
154a 圧縮IC
154b 伸張IC
155 画像メモリ
155a ページメモリ
155b 圧縮メモリ
156 ハードディスク装置(HDD)
158 書き込み処理部
159a ROM
159b RAM
159c 不揮発メモリ
170 ジョブ選択画面
171 出力保留されている印刷ジョブのリスト
172 編集釦
173 出力釦
180 編集画面
184 確定釦
185 とじる釦
190、190b ジョブリスト画面
191 ジョブリスト釦
192 リスト部
D 二次転写位置
J,J’ 原稿
LD レーザーダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成待ちの印刷ジョブがプリントキューに登録され、前記印刷ジョブに係る画像形成を前記プリントキューの登録順に行う画像形成装置における画像形成装置制御方法であって、
前記プリントキューに前記印刷ジョブが複数登録されている際に、登録されている前記印刷ジョブを操作表示部に表示すると共に該印刷ジョブについて出力順の変更を受け付け、
前記操作表示部から出力順の変更が指示された出力順変更対象印刷ジョブについて画像形成が可能となる準備処理時間と残余の前記印刷ジョブの画像形成に要する処理残時間とを制御部により比較することで、前記準備処理時間に起因して画像形成を停止させずに変更可能な出力順を求めて前記操作表示部に表示する、
ことを特徴とする画像形成装置制御方法。
【請求項2】
ラスタライズ処理により生成されたイメージデータを含む前記印刷ジョブが前記プリントキューに登録されており、
前記出力順変更対象印刷ジョブについてのラスタライズ処理の再実行に要する時間、あるいは、前記出力順変更対象印刷ジョブに含まれる後処理の準備に要する時間を、前記準備処理時間として算出する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置制御方法。
【請求項3】
前記出力順変更対象印刷ジョブについて前回のラスタライズ処理に要した時間を参照して、ラスタライズ処理の再実行に要する時間を求める、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置制御方法。
【請求項4】
前記準備処理時間をTr、n番目の前記印刷ジョブまでの積算された前記処理残時間をTnとした場合に、Tr≦Tnを満足するように変更可能な前記出力順を求める、
ことを特徴とする請求項1−3のいずれか一項に記載の画像形成装置制御方法。
【請求項5】
画像形成待ちの印刷ジョブがプリントキューに登録され、前記印刷ジョブに係る画像形成を前記プリントキューの登録順に行う画像形成装置であって、
前記プリントキューに前記印刷ジョブが複数登録されている際に、登録されている前記印刷ジョブを表示すると共に、該印刷ジョブについて出力順の変更を受け付ける操作表示部と、
前記操作表示部から出力順の変更が指示された出力順変更対象印刷ジョブについて画像形成が可能となる準備処理時間と残余の前記印刷ジョブの画像形成に要する処理残時間とを比較し、前記準備処理時間に起因して画像形成を停止させずに変更可能な出力順を求めて前記操作表示部に表示する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記プリントキューには、ラスタライズ処理により生成されたイメージデータを含む前記印刷ジョブが登録されており、
前記準備処理時間は、前記出力順変更対象印刷ジョブについてのラスタライズ処理の再実行に要する時間、あるいは、前記出力順変更対象印刷ジョブに含まれる後処理の準備に要する時間である、
ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記出力順変更対象印刷ジョブについて前回のラスタライズ処理に要した時間を参照して、ラスタライズ処理の再実行に要する時間を求める、
ことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記準備処理時間をTr、n番目の前記印刷ジョブまでの積算された前記処理残時間をTnとした場合に、Tr≦Tnを満足するように変更可能な前記出力順を求める、
ことを特徴とする請求項5−7のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図9】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−52617(P2013−52617A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193124(P2011−193124)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】