説明

画像形成装置及びその処理方法

【課題】省電力モード中のメンテナンス動作時に、ユーザの意図に反して省電力モードが解除されてしまうことを抑制する。
【解決手段】通常モード時よりも消費電力を抑えた省電力モードを有し、操作手段を介したユーザの操作又は印刷の指示に伴って前記省電力モードから前記通常モードに復帰する。画像形成装置は、画像形成手段のメンテナンス動作を所定時間毎に実行させるメンテナンス制御手段と、前記操作手段を介したユーザの操作を検出する操作検出手段と、前記省電力モードで動作中に前記メンテナンス動作が行なわれているか否かを判定する判定手段と、前記省電力モードで動作中に前記メンテナンス動作が行なわれていると判定された場合、前記操作検出手段により前記操作手段を介したユーザの操作が検出されたとしても、前記通常モードに復帰させないように制御するモード制御手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の電子機器において、消費電力の低減が求められている。一般に、電子機器の動作としては、処理動作中と待機中とがあり、電子機器においては、待機中の状態が一定時間継続した場合に電力消費を抑える省電力状態に移行する。この省電力状態は、例えば、ユーザ操作に応じて解除され、これにより、電子機器は、通常の電力消費状態に復帰する。
【0003】
従来、省電力状態への移行タイミングや、省電力状態の解除タイミングに関する技術は、それぞれの動作環境によって種々の技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、画像形成装置においては、長時間印刷動作が行なわれていない場合、装置内部のタイマ設定に従って、インクの吐出不良を防止するため、インクタンク内のインクの攪拌やヘッドのクリーニングといったメンテナンス動作が行なわれる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−159808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述したメンテナンス動作は、画像形成装置が省電力状態の場合であっても行なわれる。そのため、ユーザが操作していないにも関わらず、画像形成装置が動作してしまう場合がある。
【0007】
この場合、ユーザが操作していない状況であっても、装置が動作して稼動音が聞こえるため、ユーザは、装置の操作パネルを操作して状態の確認を行なうことがある。このとき、装置は、当該状況確認のための操作を復帰要因と認識してしまい、メンテナンス終了後に省電力状態から復帰する。すなわち、ユーザの意図に反して省電力状態が解除されてしまう。
【0008】
また、従来、装置を部分的に省電力状態から復帰させることで、省電力状態が解除されてしまった場合であっても、消費電力の低減を図る技術なども知られている。しかし、この場合にも、省電力状態よりも電力消費の大きな状態が一定時間継続してしまうことになり、上記同様に不要な電力消費を招いてしまう。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、省電力モード中のメンテナンス動作時に、ユーザの意図に反して省電力モードが解除されてしまうことを抑制するようにした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、通常モード時よりも消費電力を抑えた省電力モードを有し、操作手段を介したユーザの操作又は印刷の指示に伴って前記省電力モードから前記通常モードに復帰する画像形成装置であって、記録媒体上に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段のメンテナンス動作を所定時間毎に実行させるメンテナンス制御手段と、前記操作手段を介したユーザの操作を検出する操作検出手段と、前記省電力モードで動作中に前記メンテナンス動作が行なわれているか否かを判定する判定手段と、前記省電力モードで動作中に前記メンテナンス動作が行なわれていると判定された場合、前記操作検出手段により前記操作手段を介したユーザの操作が検出されたとしても、前記通常モードに復帰させないように制御するモード制御手段とを具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、省電力モード中のメンテナンス動作時に、ユーザの意図に反して省電力モードが解除されてしまうことを抑制できる。これにより、従来の構成よりも消費電力の低減を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる画像形成装置を配して構成した画像形成システムの構成の一例を示す図。
【図2】図1に示すコントローラ20の構成の一例を示す図。
【図3】図1に示すエンジン部30の構成の一例を示す図。
【図4】図2に示す操作パネル201の一例を示す図。
【図5】図1及び図2に示すコントローラ20の機能的な構成の一例を示す図。
【図6】画像形成装置10の動作の一例を示すフローチャート。
【図7】実施形態2に係わる画像形成装置10の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係わる画像形成装置を配して構成した画像形成システムの構成の一例を示す図である。
【0015】
画像形成システムには、ホスト装置50と、画像形成装置10とが設けられており、これら装置は、ネットワークやUSB(Universal Serial Bus)等の通信手段51を介して通信可能に接続されている。
【0016】
ホスト装置50は、印刷データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取用のリーダやデジタルカメラなど)で実現される。
【0017】
画像形成装置10は、ホスト装置50等から供給される印刷データに基づいて用紙等の記録媒体(例えば、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、皮革等であっても良い)上に画像を形成し、印刷を行なう。
【0018】
画像形成装置10は、スタンバイモード(以下、通常モードと呼ぶ)や省電力モード等の動作状態を有する。省電力モード時には、画像形成装置10は、通常モード時よりも消費電力を抑えた状態で動作を行なう。
【0019】
ここで、画像形成装置10は、コントローラ20と、エンジン部30と、電源制御部40とを具備して構成される。
【0020】
コントローラ20は、画像形成装置10における動作を統括制御する。コントローラ20では、例えば、ホスト装置50から印刷データ(印刷指示、印刷用の画像データ)を受信し、当該受信した画像データを2値の画像データに変換し、当該変換後の画像データをエンジン部30へ出力する。
【0021】
エンジン部30は、記録媒体上に画像を形成する機構(画像形成部)である。より具体的には、エンジン部30は、コントローラ20から送られてくる2値の画像データに基づいて、記録媒体上に画像を形成し印刷を行なう。電源制御部40は、画像形成装置10内のコントローラ20やエンジン部30などの各ブロックへの電力供給を制御する。
【0022】
ここで、図2を用いて、図1に示すコントローラ20の構成の一例について説明する。
【0023】
コントローラ20は、操作パネル201と、ASIC202と、拡張スロット217と、RTC218と、EEPROM219と、RAM220と、ROM221とを具備して構成される。
【0024】
ここで、ASIC202には、CPU203と、画像処理部204と、操作制御部205と、表示制御部206と、拡張バス回路部207と、外部インターフェース部208とが設けられる。また、ASIC202には、シリアル通信制御部209と、EEPROMコントローラ210と、RAMコントローラ211と、ROMコントローラ212と、エンジンインターフェース部213とが設けられる。これらの各構成は、システムLSIとして、つまり、1つのパッケージに封止されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)202として実現されている。なお、これらの各構成は、それぞれバスラインを介して、システムバスブリッジ214に接続されている。
【0025】
CPU(Central Processing Unit)203は、コントローラ20の全体の制御を司り、RAM220又はROM221に格納されているプログラムを順次読み出し実行する。
【0026】
ここで、CPU203は、例えば、RTC218や操作パネル201、外部インターフェース部208からの情報を受け、画像形成装置10の動作モードを切り替える制御を行なう。また、CPU203は、操作制御部205及び表示制御部206の制御も行なう。その他、CPU203は、受信した画像データをエンジン部30で印刷可能な2値の画像データに変換するための画像処理部204の制御や、生成された画像データをエンジン部30へ転送するためのエンジンインターフェース部213の制御等を実行する。
【0027】
画像処理部204は、ホスト装置50から受信した画像データを、エンジン部30で印刷可能な2値の画像データに変換する。操作制御部205は、操作部215を構成するスイッチが出力する電気信号の状態を、CPU203によるリード命令に応じてCPU203に通知する。操作制御部205は、スイッチが出力する電気信号の状態に変化が生じると、割り込み信号を生成し、当該信号をCPU203に送信する。また、表示制御部206は、表示部216を構成する液晶表示装置やLEDランプに電気信号を出力する。
【0028】
外部インターフェース部208は、1000BASETXを含む複数のネットワーク通信方式や、USB通信方式等に準拠した送受信を制御する。外部インターフェース部208においては、例えば、ネットワークを介して接続されたホスト装置との間でデータの送受信を行ない、また、ネットワークに接続されているSMTPサーバにメッセージを送信する。なお、外部インターフェース部208は、接続したネットワークの通信速度を示すLEDなどの表示部を備えていても良い。
【0029】
シリアル通信制御部209は、RTC(リアルタイムクロック)218を制御する。CPU203においては、シリアル通信制御部209のレジスタを読み出し、それに基づいて書き込みを行なう。これにより、CPU203は、RTC218の情報を読み出し、RTC218へ情報を書き込む。
【0030】
EEPROMコントローラ210は、EEPROM(Electrically Erasable PROM)219を制御する。EEPROMコントローラ210は、CPU203からの要求に応じて、EEPROM219に格納されているデータの読み出しや、EEPROM219へのデータの書き込みを行なう。
【0031】
RAMコントローラ211は、RAM(Random Access Memory)220を制御する。RAMコントローラ211は、CPU203及び各構成からの読み出し要求や書き込み要求に応じて、必要な制御信号を生成し、RAM220への書き込み、RAM220からの読み出しを行なう。
【0032】
ROMコントローラ212は、ROM(Read Only Memory)221を制御する。ROMコントローラ212は、CPU203による読み出し要求に応じて、必要な制御信号を生成し、ROM221に格納されているプログラムやデータを読み出し、システムバスブリッジ214を介して上記読み出した情報をCPU203に転送する。
【0033】
拡張バス回路部207は、拡張スロット217に装着されている機能拡張ユニットを制御する。また、拡張バス回路部207は、機能拡張ユニットへのデータの送信制御や、機能拡張ユニットが出力するデータの受信制御等も行なう。拡張スロット217には、例えば、大容量のデータを格納するハードディスクドライブユニット等を装着することができる。
【0034】
エンジンインターフェース部213は、コントローラ20とエンジン部30との間におけるデータの送受信を制御する。エンジンインターフェース部213は、DMAC(Direct Memory Access Controllerを有する。エンジンインターフェース部213は、画像処理部204で生成され、RAM220に格納された2値の画像データを、RAMコントローラ211を介して、順次読み出し、エンジン部30に転送する。
【0035】
システムバスブリッジ214は、CPU203を含む複数の構成から同時にアクセス要求が発行された場合に、バス権の調停を行なう。
【0036】
操作パネル201は、操作部215と、表示部216とを具備して構成され、ユーザインターフェースとして機能する。操作部215は、ユーザからの指示を装置内に入力する。操作部215には、例えば、画像形成装置10の動作の設定キー、印刷モードの設定キー、電力モードの設定キーなどが配される。表示部216は、ユーザに向けて各種情報を表示する。表示部216は、例えば、液晶表示装置やLEDランプ等から構成される。
【0037】
RTC218は、シリアル通信インターフェースを備えたRTCデバイスと、基準となるクロックを生成するための水晶振動子とを具備して構成される。RTC218は、年月日、曜日、秒単位の時刻を計時し、各構成に時刻情報を通知する。また、所定時間毎に実施が必要となるヘッドのクリーニング処理等のメンテナンス動作を行なう際の実行トリガとなる割り込み信号をCPU203に送信する。この割り込み信号は、RTC218に設定された割り込みタイマ設定日時を参照し、当該設定日時を経過したことに伴って発行される。
【0038】
EEPROM219は、シリアル通信インターフェースを備えたEEPROM等で構成され、画像形成装置10の制御に必要なパラメータを格納する。RAM220は、例えば、画像処理部204において生成された画像データの一時的な記憶や、CPU203のワークメモリ等として機能する。また、RAM220は、外部インターフェース部208が、ホスト装置50から受信した画像データの一時的なバッファリングや、機能拡張ユニットとの間で受け渡しされるデータの一時的な保存等も行なう。ROM221は、CPU203が実行するプログラムを格納する。
【0039】
次に、図3を用いて、図1に示すエンジン部30の構成の一例について説明する。
【0040】
エンジン部30には、エンジン制御部302と、ヘッド制御部303と、インク供給制御部304と、モータ制御部305と、センサ制御部306とが設けられる。また、エンジン部30には、印刷ヘッド307と、インクタンク308と、キャリッジモータ309と、紙搬送モータ310と、インク残量検出部311と、紙残量検出部312と、カバー開閉検出部313とが設けられる。
【0041】
エンジン制御部302は、エンジン部30における動作を統括制御する。ヘッド制御部303は、各種信号を印刷ヘッド307に向けて転送し、印刷ヘッド307からインクを吐出させる。また、ヘッド制御部303は、インクの吸引動作、ワイピング動作、キャップ動作といったクリーニング処理の制御も行なう。
【0042】
インク供給制御部304は、各種信号をインクタンク308に向けて転送し、インクタンク308から印刷ヘッド307にインクを供給させる。また、インク供給制御部304は、インクタンク308内のインクの攪拌動作を行なわせる。
【0043】
モータ制御部305は、記録媒体を搬送させるための紙搬送モータ310や、印刷ヘッド307を記録媒体の搬送方向と異なる方向に走査させるためのキャリッジモータ309の駆動を制御する。
【0044】
印刷ヘッド307は、キャリッジモータ309により駆動させられることにより、所定方向に走査しながらインクを吐出し、記録媒体上に画像を形成する。また、エンジン制御部302の制御により、印刷ヘッド307の走査と、記録媒体の搬送とが交互に行なわれる。これにより、記録媒体上にはバンド単位で画像が形成される。
【0045】
センサ制御部306は、インク残量検出部311、紙残量検出部312、カバー開閉検出部313に接続され、各検出部のセンサ検出を制御する。エンジン制御部302は、センサ制御部306により検出された各センサからの検出信号をコントローラ20に転送する。
【0046】
ここで、上述した図2及び図3を用いて、画像形成装置10が通常モードから省電力モードへ移行する際の処理の流れについて簡単に説明する。
【0047】
この移行に際して、まず、CPU203は、エンジン部30への電力供給停止を電源制御部40に指示するとともに、画像処理部204へ供給しているクロック周波数を低減する。
【0048】
また、CPU203は、RAM220にセルフリフレッシュ状態になるように指示する。これにより、RAM220は、セルフリフレッシュ状態になる。以上の処理により、画像形成装置10は、通常モードから省電力モードに移行する。
【0049】
ここで、省電力モードへの移行条件としては、印刷動作が終了してモード移行時間(例えば、10分)が経過した場合や、操作部215により省電力モード(省電力状態)への移行が指示された場合等が挙げられる。
【0050】
具体的には、印刷動作が完了すると、画像形成装置10は、待機状態に移行するとともに、時間の計測を開始する。そして、モード移行時間(例えば、10分)が経過しても、ホスト装置50から印刷指示を受信しなければ、省電力モード(省電力状態)へ移行する。一方、印刷動作の完了後、モード移行時間(10分)が経過するまでの間に、ホスト装置50から印刷指示を受信すれば、画像形成装置10は、標準の電力モード(通常の電力状態)を維持する。
【0051】
次に、上述した図2及び図3を用いて、画像形成装置10がメンテナンス動作を実行する際の処理の流れについて簡単に説明する。
【0052】
この処理では、まず、CPU203は、RTC218から設定時間が経過したことを示す割り込み信号を受信する。すると、CPU203は、エンジン制御部302を介してヘッド制御部303にクリーニング動作の実行を指示する。これにより、印刷ヘッド307において、クリーニング動作が行なわれる。
【0053】
また、CPU203は、エンジン制御部302を介してインク供給制御部304にインクの攪拌の実行を指示する。これにより、インクタンク308は、当該タンク内のインクの攪拌を行なう。以上の処理により、画像形成装置10は、メンテナンス動作を行なう。
【0054】
ここで、メンテナンス動作の実行条件としては、印刷動作の終了後、所定時間(例えば、24時間)の間、印刷動作が行なわれなかった場合や、操作部215によりメンテナンス動作の実行が指示された場合等が挙げられる。
【0055】
具体的には、印刷動作が完了すると、画像形成装置10は、待機状態になり、時間計測を開始する。そして、所定時間(例えば、24時間)が経過しても、次の印刷動作が行なわれなければ、メンテナンス動作を実行する。
【0056】
次に、図4(a)及び図4(b)を用いて、図2に示す操作パネル201の一例について説明する。
【0057】
図4(a)に示すように、操作パネル201には、表示部216として、データLED406、メッセージLED407の他、液晶ディスプレイ408が設けられる。データLED406は、印刷データの受信中に点滅し、メッセージLED407は、ユーザに対する警告が液晶ディスプレイ408に表示されている時に点滅する。液晶ディスプレイ408は、装置の現在の状態やメニューなどを文字や記号で表示する。
【0058】
また、操作パネル201には、操作部215として、電源ボタン401、オンラインボタン402、4方向ボタン403、決定ボタン404、キャンセルボタン405が設けられる。電源ボタン401は、装置の電源をオン又はオフする時に押下される。オンラインボタン402は、データの受信待ち状態であるオンライン状態と、それ以外の操作を行なうオフライン状態との切り替えを行なう時に押下される。オンラインボタン402には、LEDが備えられており、オンライン時には点灯し、オフライン時には消灯する。4方向ボタン403は、例えば、メニュー操作を行なう時に使用される。決定ボタン404は、例えば、メニュー操作を行なう時に項目や設定を決定するために押下され、キャンセルボタン405は、印刷を強制的に中止したり、メニュー操作を途中で中止したりする時に押下される。なお、省電力モードから通常電力モードに復帰させようとする場合は、ユーザは、例えば、電源ボタン401のみならず、いずれのボタンを押下しても良い。
【0059】
ここで、液晶ディスプレイ408には、図4(b)に示すように、各種情報が表示される。符号501〜504には、メンテナンス動作中に、操作パネル201に対して入力操作が行なわれた場合に、印刷データの受信状況などに応じて表示されるメッセージが示されている。
【0060】
次に、図5を用いて、図1及び図2に示すコントローラ20における機能的な構成の一例について説明する。なお、図5に示す機能的な構成は、例えば、CPU203が、ROM221等に格納されたプログラムを読み出し実行することで実現される。
【0061】
コントローラ20には、その機能的な構成として、印刷指示検出部61と、操作検出部62と、メンテナンス制御部63と、メンテナンス動作判定部64と、モード制御部65と、通知部66とが実現される。
【0062】
印刷指示検出部61は、印刷の指示を検出する。具体的には、外部インターフェース部208を介したホスト装置50からの印刷データの受信や、操作パネル201からのユーザ操作に基づく印刷の指示を検出する。
【0063】
操作検出部62は、操作パネル201(操作部215)からのユーザの入力操作を検出する。操作検出部62においては、例えば、省電力モードで動作中で且つメンテナンス動作が行なわれている間に、操作パネル201からユーザの入力操作が行なわれたことを検出する。
【0064】
メンテナンス制御部63は、エンジン部30のメンテナンス動作(例えば、インクタンク内のインクの攪拌やヘッドのクリーニング)の実行を制御する。上述した通り、メンテナンス動作は、例えば、所定時間毎(例えば、24時間毎)や、ユーザ指示に基づいて行なわれる。
【0065】
メンテナンス動作判定部64は、メンテナンス動作が実行中であるか否かを判定する。モード制御部65は、モードの切り替えを制御する。例えば、画像形成装置10の動作状態を、通常モードから省電力モードへ移行させたり、省電力モードから通常モードへ復帰させたりする。
【0066】
通知部66は、ユーザに通知を行なう。例えば、メンテナンス動作中である旨等の通知を行なう。なお、本実施形態においては、通知部66による通知は、操作パネル201(表示部216)への表示により行なわれる場合について説明するが、これに限られない。通知部66による通知は、例えば、音声により行なわれても良く、ユーザに情報を伝えられるのであれば、どのような手法で行なわれても良い。以上が、コントローラ20に実現される機能的な構成の一例についての説明である。
【0067】
次に、図6を用いて、上述した画像形成装置10の動作の一例について説明する。ここでは、画像形成装置10が、省電力モード中にメンテナンス動作を実行している場合の処理の流れの一例について説明する。
【0068】
画像形成装置10は、印刷指示検出部61において、外部インターフェース部208を介してホスト装置50から印刷データを受信したか否かを判定する。なお、印刷の指示は、操作部215を介して装置本体から行なわれても良い。
【0069】
ここで、印刷データを受信していなければ(S101でNO)、画像形成装置10は、操作検出部62において、操作部215からのユーザによる入力操作があるか否かの判定を行なう。
【0070】
判定の結果、入力操作が検出されなかった場合(S102でNO)、画像形成装置10は、S104の処理に進む。一方、入力操作を検出した場合(S102でYES)、画像形成装置10は、通知部66において、メンテナンス動作中であることを表示部216に表示する(S103)。すなわち、液晶ディスプレイ408において、図4(b)の符号501に示す表示が行なわれる。このとき、画像形成装置10は、省電力モードを維持した状態となり、省電力モードへの移行用のタイマのセットは行なわれない。
【0071】
その後、画像形成装置10は、メンテナンス動作が終了したか否かを判定し、終了していなければ(S104でNO)、再度、S101の処理に戻る。一方、メンテナンス動作が終了していれば(S104でYES)、画像形成装置10は、省電力モードを継続させたまま(S105)、この処理を終了する。
【0072】
また、S101の判定処理の結果、印刷データを受信した場合(S101でYES)、画像形成装置10は、通知部66において、メンテナンス動作の終了後、印刷処理を行なう旨を表示部216に表示する(S106)。すなわち、液晶ディスプレイ408において、図4(b)の符号502に示す表示が行なわれる。このとき、画像形成装置10は、省電力モードへの移行用のタイマをセットし、その計時を開始する。
【0073】
その後、画像形成装置10は、メンテナンス動作判定部64において、メンテナンス動作が終了したか否かを判定し、終了していなければ(S107でNO)、終了するまで待機する。一方、メンテナンス動作が終了していれば(S107でYES)、画像形成装置10は、モード制御部65において、装置の動作状態を通常モードに移行させた後(S108)、S101の処理で受信した印刷データに基づく印刷処理を行なう(S109)。その後、画像形成装置10は、この処理を終了する。
【0074】
以上説明したように本実施形態によれば、メンテナンス動作中の場合、省電力モードから通常モードへの復帰条件を操作パネル201からの入力操作では復帰しないように切り替える。
【0075】
このように復帰条件の切り替えを行なうことにより、ユーザが、メンテナンス動作の稼動音がすることに起因して、(装置の状態確認を行なうために)操作パネルを操作したとしても、省電力モードから通常モードへ復帰しない。そのため、省電力モード中にメンテナンス動作が行なわれた場合であっても、ユーザの意図に反して、省電力モードから通常モードへ復帰しない。これにより、省電力モードが不要に解除されないため、従来の構成よりも省電力化を図ることができる。
【0076】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。なお、実施形態2に係わる画像形成装置10の構成は、実施形態1と同様であるため、ここでは、その説明については省略し、主に相違点について説明する。
【0077】
主な相違点としては、省電力モード中にメンテナンス動作が行なわれている場合に、操作部215から入力操作があったときに、ユーザに向けて通常モードへ復帰するか否かを問い合わせる点にある。
【0078】
ここで、図7を用いて、実施形態2に係わる画像形成装置10の動作の一例について説明する。ここでは、画像形成装置10が、省電力モード中にメンテナンス動作を実行している場合の処理の流れの一例について説明する。
【0079】
画像形成装置10は、印刷指示検出部61において、外部インターフェース部208を介してホスト装置50から印刷データを受信したか否かを判定する。なお、上述した通り、印刷の指示は、操作部215を介して装置本体から行なわれても良い。
【0080】
ここで、印刷データを受信していなければ(S201でNO)、画像形成装置10は、操作検出部62において、操作部215からのユーザによる入力操作があるか否かの判定を行なう。
【0081】
判定の結果、入力操作が検出されなかった場合(S202でNO)、画像形成装置10は、S205の処理に進む。一方、入力操作を検出した場合(S202でYES)、画像形成装置10は、通知部66において、メンテナンス動作中である旨とともに、メンテナンス動作の終了後に通常モードに復帰するか否かをユーザに選択させるための画面を表示部216に表示する(S203)。すなわち、液晶ディスプレイ408において、図4(b)の符号503に示す表示が行なわれる。
【0082】
この結果、ユーザにより通常モードへの復帰が指示されなかった場合(S204でNO)、画像形成装置10は、メンテナンス動作判定部64において、メンテナンス動作が終了したか否かを判定する。このとき、画像形成装置10は、省電力モードを維持した状態となり、省電力モードへの移行用のタイマのセットは行なわれない。なお、ユーザが、所定時間(例えば、10秒)の間に、いずれの操作も行なわなかった場合にも、S204でNOとなり、S206の処理に進むようにしても良い。
【0083】
S205の判定の結果、メンテナンス動作が終了していなければ(S206でNO)、画像形成装置10は、再度、S201の処理に戻る。一方、メンテナンス動作が終了していれば(S205でYES)、画像形成装置10は、省電力モードを継続させたまま(S206)、この処理を終了する。
【0084】
また、S204の判定処理の結果、ユーザにより通常モードへの復帰が指示された場合(S204でYES)、画像形成装置10は、通知部66において、メンテナンス動作の終了後、復帰する旨を表示部216に表示する(S207)。すなわち、液晶ディスプレイ408において、図4(b)の符号504に示す表示が行なわれる。このとき、画像形成装置10は、省電力モードへの移行用のタイマをセットし、その計時を開始する。
【0085】
その後、画像形成装置10は、印刷指示検出部61において、外部インターフェース部208を介してホスト装置50から印刷データを受信したか否かを判定する。上述した通り、印刷の指示は、操作部215を介して装置本体から行なわれても良い。
【0086】
ここで、印刷データを受信していなければ(S208でNO)、画像形成装置10は、メンテナンス動作判定部64において、メンテナンス動作が終了したが否かを判定する。
【0087】
S209の判定の結果、メンテナンス動作が終了していなければ(S209でNO)、画像形成装置10は、再度、S208の処理に戻る。一方、メンテナンス動作が終了していれば(S209でYES)、画像形成装置10は、モード制御部65において、装置の動作状態を通常モードに移行させた後(S210)、この処理を終了する。
【0088】
また、S208の判定処理の結果、印刷データを受信した場合(S208でYES)、実施形態1を説明した図6のS106〜S109と同様の処理を行なう(S211〜S214)。なお、S201の判定処理の結果、印刷データを受信した場合にも(S201でYES)、実施形態1を説明した図6のS106〜S109と同様の処理が行なわれる(S211〜S214)。
【0089】
以上説明したように実施形態2によれば、メンテナンス動作中の場合、省電力モードから通常モードへの復帰条件の切り替えを行なう。また、操作パネル201から入力操作が行なわれた場合は省電力モードから復帰するか否かをユーザに選択させることができる。
【0090】
これにより、実施形態1と同様に、省電力モードが不要に解除されないため、従来の構成よりも省電力化を図ることができる。
【0091】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0092】
例えば、上述した実施形態1及び2においては、インクジェット方式を採用した画像形成装置を例に挙げて説明したが、インクジェット方式に限られず、どのような方式であっても良い。例えば、電子写真方式などといった他の形式を採用していても良い。すなわち、省電力モード中においても、タイマによって定期的にメンテナンス動作が行なわれるような装置であれば、どのような装置であっても構わない。
【0093】
また、例えば、メンテナンス動作が終了するまでの時間を表示部216や音声等によりユーザに通知するように構成しても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常モード時よりも消費電力を抑えた省電力モードを有し、操作手段を介したユーザの操作又は印刷の指示に伴って前記省電力モードから前記通常モードに復帰する画像形成装置であって、
記録媒体上に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段のメンテナンス動作を所定時間毎に実行させるメンテナンス制御手段と、
前記操作手段を介したユーザの操作を検出する操作検出手段と、
前記省電力モードで動作中に前記メンテナンス動作が行なわれているか否かを判定する判定手段と、
前記省電力モードで動作中に前記メンテナンス動作が行なわれていると判定された場合、前記操作検出手段により前記操作手段を介したユーザの操作が検出されたとしても、前記通常モードに復帰させないように制御するモード制御手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記省電力モードで動作中に前記メンテナンス動作が行なわれていると判定された場合に、前記操作検出手段により前記操作手段を介したユーザの操作が検出されたときに、メンテナンス動作を実行中である旨をユーザに通知する通知手段
を更に具備することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記通知手段は、
前記省電力モードで動作中に前記メンテナンス動作が行なわれていると判定された場合に、前記操作検出手段により前記操作手段を介したユーザの操作が検出されたときに、メンテナンス動作の終了後に前記通常モードに復帰するか否かをユーザに問い合わせ、
前記モード制御手段は、
前記メンテナンス動作の終了後に前記通常モードに復帰する旨がユーザに指示された場合、前記メンテナンス動作の終了後に前記通常モードに復帰させる
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記モード制御手段は、
前記省電力モードで動作中に前記メンテナンス動作が行なわれていると判定された場合に、印刷の指示があったときには、前記メンテナンス動作が終了した後、前記省電力モードから前記通常モードへ復帰させる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
通常モード時よりも消費電力を抑えた省電力モードを有し、操作手段を介したユーザの操作又は印刷の指示に伴って前記省電力モードから前記通常モードに復帰する画像形成装置の処理方法であって、
メンテナンス制御手段が、記録媒体上に画像を形成する画像形成手段のメンテナンス動作を所定時間毎に実行させる工程と、
操作検出手段が、前記操作手段を介したユーザの操作を検出する工程と、
判定手段が、前記省電力モードで動作中に前記メンテナンス動作が行なわれているか否かを判定する工程と、
モード制御手段が、前記省電力モードで動作中に前記メンテナンス動作が行なわれていると判定された場合、前記操作検出手段により前記操作手段を介したユーザの操作が検出されたとしても、前記通常モードに復帰させないように制御する工程と
を含むことを特徴とする処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−1082(P2013−1082A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137735(P2011−137735)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】