画像形成装置及びその制御方法
【課題】緊急性のあるユーザの待ち時間を少なくして使い勝手を向上する。
【解決手段】画像形成装置は端末から受信した画像形成ジョブを、その端末のユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けて記憶するジョブ記憶部13と、ジョブ記憶部13で記憶した画像形成ジョブを実行する画像形成部16と、各接近ユーザのユーザ識別情報を検出するユーザ検出器19と、ユーザ検出器19による複数のユーザ識別情報の検出に伴ってこれらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられてジョブ記憶部13に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間を算出し、これら経過時間を比較し、経過時間が最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように画像形成部16を制御する制御部11を備える。
【解決手段】画像形成装置は端末から受信した画像形成ジョブを、その端末のユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けて記憶するジョブ記憶部13と、ジョブ記憶部13で記憶した画像形成ジョブを実行する画像形成部16と、各接近ユーザのユーザ識別情報を検出するユーザ検出器19と、ユーザ検出器19による複数のユーザ識別情報の検出に伴ってこれらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられてジョブ記憶部13に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間を算出し、これら経過時間を比較し、経過時間が最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように画像形成部16を制御する制御部11を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して接続されている複数の端末からの画像形成要求に応じて画像形成処理を行うプリンタ、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプリンタ、複合機等の画像形成装置の中には、ネットワークを介して接続されている端末からのプリント要求(画像形成要求)に応じてプリント処理(画像形成処理)を行う、いわゆるネットワークプリント機能を有するものがある。このネットワークプリント機能を活用することにより、1台の画像形成装置を複数台の端末で共用できる利点がある。
【0003】
しかし、この種の画像形成装置においては、通常は、各端末からのプリント要求をプリントジョブ(画像形成ジョブ)としてジョブ記憶部にスプールし、プリントジョブの受信順にプリント処理を実行する。このため、端末のユーザがプリント結果である印刷物を取りに行くのが遅れた場合、印刷物を他人に持ち去られてしまう可能性がある。これは、機密文書のセキュリティを確保できないことにもなる。
【0004】
そこで従来、接近ユーザのユーザ情報を検出するユーザ検出器を画像形成装置に設け、このユーザ検出器により接近ユーザのユーザ情報が検出されたとき、この接近ユーザのユーザ情報と同じユーザ情報が設定されたジョブを優先的に実行する機能を有した画像形成装置がある。この機能を用いることにより、接近ユーザは最新に出力された印刷物を自己のものとして取得することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、接近ユーザのジョブを優先的に実行する機能を有した従来の画像形成装置においても、未だ次の点で解決しなければならない技術的課題がある。すなわち、複数のユーザが画像形成装置に接近した場合、従来の機能では、ユーザ検出器により検出された順番にジョブが実行される。ここで、各ユーザが画像形成装置に顕著な時間差を伴わずに接近しても、端末よりプリント要求を発してからの経過時間はユーザ毎に異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、緊急性(機密性を含む)のある印刷物の出力を指令したユーザは、プリント要求後、直ぐに画像形成装置に近付いて印刷物を確認する。これに対し、緊急性の無い印刷物の出力を指令したユーザは、その多くがプリント要求後、直ぐに印刷物を取りに行くようなことはしない。しかしながら、直ぐに印刷物を取りに来たユーザXと、暫くしてから印刷物を取りに来たユーザYとが一緒に画像形成装置に接近し、先に、ユーザYのユーザ情報が検出された場合は、先にユーザYの印刷物が発行され、後からユーザXの印刷物が発行されることとなり、ユーザXは、ユーザYの印刷物が印刷されるまで待たされることとなる。
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、緊急性のあるユーザの待ち時間を少なくして使い勝手を向上できる画像形成装置及びその制御方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、端末から受信した画像形成ジョブを、その端末のユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けて記憶するジョブ記憶部と、このジョブ記憶部で記憶した画像形成ジョブを実行する画像形成部と、各接近ユーザのユーザ識別情報を検出するユーザ検出器と、ユーザ検出器による複数のユーザ識別情報の検出に伴ってこれらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられてジョブ記憶部に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間を算出し、これら経過時間を比較し、経過時間が最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように画像形成部を制御する制御部を備える画像形成装置が提供される。
【0009】
本発明の他の観点によれば、端末から受信した画像形成ジョブを、その端末のユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けて記憶するジョブ記憶部と、このジョブ記憶部で記憶した画像形成ジョブを実行する画像形成部とを備える画像形成装置の制御方法であって、各接近ユーザのユーザ識別情報を検出し、複数のユーザ識別情報の検出に伴ってこれらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられてジョブ記憶部に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間を算出し、これら経過時間を比較し、経過時間が最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように画像形成部を制御する制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
画像形成装置及びその制御方法では、複数のユーザ識別情報を検出した場合に、これらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられてジョブ記憶部に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間がそれぞれ算出され比較される。続いて、画像形成部が経過時間の最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように制御される。従って、緊急性のあるユーザの待ち時間を削減でき、画像形成装置の使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係るネットワークプリンタシステムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示すユーザ端末から送信されるプリント要求コマンドのデータ構造を示す模式図である。
【図3】図1に示すプリンタの各ユーザが携帯する身分証を示す模式図である。
【図4】図1に示すプリンタの要部構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示すRAMに形成される主要なメモリエリアを示す図である。
【図6】図4に示すCPUが実行するRFID質問器制御処理の要部手順を示すフローチャートである。
【図7】図4に示すCPUが実行するジョブ受信処理の要部手順を示すフローチャートである。
【図8】図4に示すCPUが実行するプリント処理の要部手順を示すフローチャートである。
【図9】図4に示すCPUが実行する印刷準備処理の要部手順を示すフローチャートである。
【図10】図1に示すネットワークプリンタシステムの動作シーケンスを示す図である。
【図11】図6に示すRFID質問器制御処理の変形例を示すフローチャートである。
【図12】図11に示す変形例での動作シーケンスを示す図である。
【図13】図4に示す操作パネルを用いたオプションメニュー操作に伴って行われるオプションメニュー処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係るネットワークプリンタシステムについて添付図面を参照して説明する。このネットワークプリンタは、ネットワークを介して接続されている複数の端末からのプリント要求(画像形成要求)に応じてプリント処理(画像形成処理)を行うために用いられる。
【0013】
ネットワークプリンタシステムの全体構成図を図1に示す。ネットワークプリンタシステムは、画像形成装置の一態様であるプリンタ1と、サーバ装置2と、複数n台のユーザ端末3(3a,3b,…,3n)とから構成している。プリンタ1は、サーバ装置2及び各ユーザ端末3を、LAN(Local Area Network)等のネットワーク4を介して接続している。ここに、プリンタ1は、ネットワークプリンタとして機能する。
【0014】
サーバ装置2は、プリンタサーバとして機能する。すなわち、ネットワーク4全体からのプリント要求を取りまとめ、順次、プリンタ1に送り出す機能を有する。なお、プリントサーバとしての機能をプリンタ1が内蔵し、サーバ装置2を省略してもよい。
【0015】
各ユーザ端末3は、それぞれ表示部、操作部及び処理部を有しており、例えばパーソナルコンピュータで構成する。各ユーザ端末3は、ログインによってユーザを特定する。すなわち、各ユーザ端末3は、ユーザIDの入力受付部を備えており、ログインの際にユーザIDの入力を受付ける。操作部を介してユーザIDが入力されると、ユーザ認証を行い、ユーザIDが承認されると、ログインしてネットワーク4と接続する。ログインの後、操作部を介してデータのプリントアウトを指令すると、各ユーザ端末3は、ネットワーク4を介してプリント要求コマンドを送信する。
【0016】
プリント要求コマンドのデータ構造を、図2に模式的に示す。図示するように、プリント要求コマンドは、端末ID31、ユーザID32及びプリントデータ33で構成している。端末ID31は、ネットワーク4上で各ユーザ端末3を識別するために端末毎に設定された通信IDである。プリンタ1及びサーバ装置2は、この端末IDによって、どのユーザ端末3から送信されたプリント要求コマンドであるかを特定することができる。ユーザID32は、ログインの際に入力されたものを使用する。
【0017】
ところで本実施の形態では、ユーザ端末3を使用する各ユーザは、それぞれ図3に示すようなカード状の身分証5を携帯することを前提とする。身分証5は、カード本体にRFID (radio frequency identification)タグを内蔵したRFIDカードで構成している。RFIDタグは、アンテナ51とICチップ52とからなり、後述するRFID質問器18から送られてきた搬送波の電力を利用してICチップ52を駆動し、ICチップ52のメモリに記憶したデータを送信するパッシブ型である。ICチップ52のメモリでは、当該身分証5を携帯するユーザ本人のユーザIDを記憶している。
【0018】
プリンタ1の要部構成を、図4に示す。プリンタ1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、時計部14、通信インターフェイス15、印刷部16、操作パネル17、データの読み書きをするためにRFIDタグと通信するRFID質問器18等で構成している。
【0019】
CPU11は、当該プリンタ1全体の制御を司る。ROM12は、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム等のプログラムを記憶する。RAM13は、各種の可変的なデータを記憶する。時計部14は、現在の時刻を計時する。通信インターフェイス15は、ネットワーク4に接続する。印刷部16は、CPU11の制御により、用紙等の被印刷媒体上に、プリントデータに応じた画像を形成する。印刷部16は、例えばレーザプリンタによって構成する。操作パネル17は、テンキー等のハードキーとメッセージ等を表示するための表示器とを有している。
【0020】
RFID質問器18は、ベースバンド部、送信回路部及び受信回路部で構成している。送信回路部及び受信回路部は、サーキュレータを介してアンテナ19に接続している。アンテナ19は、プリンタ1の本体に取り付けられている。
【0021】
ベースバンド部は、変調前及び復調後の信号を扱う。送信回路部は、送信波として無変調波及び変調波を生成する。変調されたベースバンド信号などの送信信号は、フィルタにより不要周波数が除去され、増幅器で増幅される。増幅された送信信号は、アンテナ19に供給され、電波(例えばUHF帯)として放射される。一方、アンテナ19で受信した電波は、受信信号となり、受信回路部に入力される。受信回路部は、受信信号を増幅器で増幅し、フィルタで受信信号から不要周波数を除去して、復調器で復調する。復調された受信信号は、RFIDタグのデータとして取り込まれる。
【0022】
かかる構成のプリンタ1は、図5に示すジョブ管理テーブル61と検出モード時間メモリ62とを、RAM13に形成している。
ジョブ管理テーブル61は、各ユーザ端末3からのプリント要求をプリントジョブとして管理するための領域で、ジョブID、受取時刻、端末ID、ユーザID、プリントデータ、ステータスなどの情報を記憶する。ジョブIDは、当該プリントジョブを識別するための識別情報である。受取時刻は、当該プリントジョブをプリンタ1が受け取った時刻である。端末IDは、当該プリントジョブを発行したユーザ端末3を識別するための識別情報である。ユーザIDは、当該プリントジョブを発行したユーザ端末3のユーザを識別するための識別情報である。
【0023】
ステータスは、当該プリントジョブの状態を示す情報である。プリントジョブの状態には「検出モード」,「印刷待ち」,「印刷中」等がある。プリント要求コマンドを受信してから検出モード時間メモリ62に設定されている検出モード時間Tが経過するまでのプリントジョブを「検出モード」と定義する。上記検出モード時間Tを経過してから印刷準備が整うまでのプリントジョブを「印刷待ち」と定義する。印刷準備が整ったプリントジョブを「印刷中」と定義する。
【0024】
したがって、ステータスが「検出モード」であるプリントジョブは、「印刷待ち」であるプリントジョブよりも、ユーザ端末3にてプリント要求コマンドを発行してからの経過時間が短い。本実施の形態では、プリント要求コマンドを発行してからの経過時間が短い方、すなわちステータスが「検出モード」であるプリントジョブを、「印刷待ち」であるプリントジョブよりも優先的に実行する。
【0025】
検出モード時間メモリ62は、プリントジョブを「検出モード」の状態としておく時間Tを記憶するための領域である。検出モード時間メモリ62には、ネットワークプリンタシステムを共用するユーザが、オフィス等のシステムが構築される環境を考慮して任意の時間Tを設定できるようになっている。
【0026】
次に、プリンタ1の動作について、図6〜図9を参照して説明する。
プリンタ1は、メイン電源をオン状態にすると、CPU11が各部を初期化する。この初期化により、ジョブ管理テーブル61はクリアされる。検出モード時間メモリ62には、デフォルト値(例えば15秒)がセットされる。初期化後、プリンタ1は、スタンバイ状態となる。このスタンバイ状態にあるとき、RFID質問器18のアンテナ19から電波は放射されていない。
【0027】
スタンバイ状態において、操作パネル17が操作されて設定時間変更モードが選択されると、CPU11は、検出モード時間Tの入力を受付ける。操作パネル17のテンキーにより検出モード時間Tが入力されると、CPU11は、検出モード時間メモリ62の値を、入力された検出モード時間Tに書き換える。
【0028】
また、スタンバイ状態にあるCPU11は、RFID質問器制御処理、ジョブ受信処理及びプリント処理を並行してまたは時系列に実行している。はじめに、RFID質問器制御処理について、図6を参照して説明する。
スタンバイ状態にあるCPU11は、ST(アクト)1としてジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されているか否かを判断する。記憶されていない場合には(ST1のNO)、記憶されるまで待機する。
【0029】
ジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されている場合には(ST1のYES)、CPU11は、ST2としてステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブが存在するか否かを判断する。存在しない場合には(ST2のNO)、ステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブが記憶されるまで待機する。
【0030】
ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブが記憶された場合には(ST2のYES)、CPU11は、ST3としてRFID質問器18から問合せ電波を放射する。しかる後、CPU11は、ST4としてジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのステータスが全て「印刷中」に更新されるのを待機する。
【0031】
ジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのステータスが全て「印刷中」に更新されたならば(ST4のYES)、CPU11は、ST5としてRFID質問器18からの問合せ電波の放射を停止する。しかる後、CPU11は、ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブが再び記憶されるのを待機する(ST1,ST2)。
【0032】
したがって、ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブが1つでも記憶されている間は、アンテナ19からRFIDタグに対する問合せ電波が放射される。これに対し、ジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されていないか、記憶されているプリントジョブのステータスが全て「印刷中」であった場合には、アンテナ19から問合せ電波は放射されない。
【0033】
問合せ電波は、例えばUHF帯ではアンテナ19の周囲数メートルの範囲まで見込むことができる。この範囲内にRFIDタグが入ると、このRFIDタグが応答し、ICチップ52のメモリに記憶したデータがRFID質問器18によって非接触で読み取られる。したがって、RFIDタグ内蔵の身分証5を身に付けたユーザがプリンタ1に接近すると、当該身分証5に内蔵されたRFIDタグのメモリデータ、すなわちユーザIDが、RFID質問器18によって読み取られる。ここに、RFID質問器18は、接近ユーザのユーザID(ユーザ識別情報)を検出するユーザ検出器として機能する。
【0034】
次に、ジョブ受信処理について、図7を参照して説明する。
スタンバイ状態にあるCPU11は、ST11としてプリントジョブの受信を待機している。各ユーザ端末3からプリント要求コマンドが送信されると、このコマンドは、サーバ装置2を経由してプリンタ1に供給される。そこで、通信インターフェイス15を介して受信したデータが、いずれかのユーザ端末3からのプリント要求コマンドであるとき、CPU11は、プリントジョブを受信したと判断する(ST11のYES)。
【0035】
プリントジョブを受信したCPU11は、ST12として、新規のジョブIDを発行する。また、ST13として時計部14にて計時されている現在時刻を当該プリントジョブの受取時刻として取得する。そして、ST14としてこのジョブID及び受取時刻と、プリント要求コマンドを構成する端末ID31、ユーザID32及びプリントデータ33とから、プリントジョブを作成する。このとき、ステータスは「検出モード」とする。
【0036】
プリントジョブを作成したならば、CPU11は、ST15としてそのプリントジョブをジョブ管理テーブル61に追加する。そしてCPU11は、ST16としてこのプリントジョブに対して印刷準備処理を起動する。以後、CPU11は、プリントジョブを受信する毎に、上記ST12〜ST16の処理を繰返し実行する。ここに、ジョブ管理テーブル61は、ユーザ端末3から受信したプリントジョブ(画像形成ジョブ)を、そのユーザ端末3のユーザを識別するユーザID(ユーザ識別情報)と関連付けて記憶するジョブ記憶部として機能する。
【0037】
次に、プリント処理について、図8を参照して説明する。
スタンバイ状態にあるCPU11は、ST21としてジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されているか否かを判断する。記憶されていない場合には(ST21のNO)、記憶されるまで待機する。
【0038】
ジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されている場合には(ST21のYES)、CPU11は、ST22としてステータスが「印刷中」のプリントジョブが存在するか否かを判断する。存在しない場合には(ST22のNO)、ステータスが「印刷中」のプリントジョブが記憶されるまで待機する。
【0039】
ジョブ管理テーブル61にステータスが「印刷中」のプリントジョブが記憶された場合には(ST22のYES)、CPU11は、ST23としてこのプリントジョブを実行する。すなわち、印刷部16を制御して、用紙等の被印刷媒体上に、当該プリントジョブのプリントデータに応じた画像を形成する。
【0040】
CPU11は、ST24として当該プリントジョブが終了するのを待機する。終了したならば(ST24のYES)、CPU11は、ST25として当該プリントジョブをジョブ管理テーブル61から削除する。しかる後、CPU11は、ジョブ管理テーブル61にステータスが「印刷中」のプリントジョブが他に記憶されているか否かを判断する(ST21,ST22)。記憶されている場合には、そのプリントジョブをさらに実行する(ST23)。
【0041】
CPU11は、ジョブ管理テーブル61にステータスが「印刷中」のプリントジョブが存在しなくなるまでそのプリントジョブを実行し、存在しなくなったならば、ステータスが「印刷中」のプリントジョブが再び発生するのを待機する。
【0042】
次に、印刷準備処理について、図9を参照して説明する。
CPU11は、ジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのうち、ステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブに対し、個々に印刷準備処理を実行する。
【0043】
先ず、CPU11は、ST31として処理対象であるプリントジョブの受取時刻からの経過時間tを算出する。そして、ST32として経過時間tが検出モード時間メモリ62に記憶している検出モード時間Tを越えたか否かを判断する。越えていない場合、すなわち経過時間tが検出モード時間T以内の場合には(ST32のNO)、CPU11は、ST33としてRFID質問器18がRFIDタグからユーザIDを読み取ったか否かを判断する。読み取っていない場合には(ST33のNO)、ST31の処理に戻る。
【0044】
RFID質問器18がRFIDタグからユーザIDを読み取った場合には(ST33のYES)、CPU11は、ST34としてそのユーザIDが処理対象であるプリントジョブのユーザIDと一致するか否かを判断する。一致しない場合には(ST34のNO)、ST31の処理に戻る。
【0045】
RFID質問器18によって読み取ったユーザIDと処理対象であるプリントジョブのユーザIDとが一致した場合には(ST34のYES)、CPU11は、ST44としてそのプリントジョブのステータスを「検出モード」から「印刷中」に更新する。以上で、このプリントジョブに対する印刷準備処理を終了する。
【0046】
一方、経過時間tが検出モード時間Tを越えた場合には(ST32のYES)、CPU11は、ST35として処理対象であるプリントジョブのステータスを「検出モード」から「印刷待ち」に更新する。
【0047】
また、ST36としてこのプリントジョブの端末IDで識別されるユーザ端末3に対し、プリントジョブの確認を要求する確認表示指令の送信を制御する。この確認表示指令の情報は、通信インターフェイス15からネットワーク4を介して該当するユーザ端末3に送信される。その結果、当該ユーザ端末3の表示部は、要求された印刷物がプリント要求から所定時間出力されなかったことを示すメッセージを表示する。
【0048】
このメッセージは、ユーザがプリント要求したことを忘れて印刷待ちの状態が続く場合に印刷物を取りに行くこと(すなわち、画像形成結果の回収)を催促するために表示される。続いて、CPU11はST37として確認フラグをセットし、さらにST38として例えばX秒の制限時間でタイマをセットする。CPU11がX秒の制限時間の超過を検出すると(ST39のYES)、確認表示指令を再送信するためにST36に戻る。
【0049】
X秒の制限時間の超過が検出されなければ(ST39のNO)、CPU11は、ST40としてRFID質問器18がRFIDタグからユーザIDを読み取ったかどうか判断し、ST39,ST40の繰返しによりユーザIDの読取りを待つ。ユーザIDが読み取られたならば(ST40のYES)、CPU11は、ST41としてそのユーザIDが処理対象であるプリントジョブのユーザIDと一致するか否かを判断する。一致しない場合には(ST41のNO)、ST39の処理に戻る。
【0050】
RFID質問器18によって読み取ったユーザIDと処理対象であるプリントジョブのユーザIDとが一致した場合には(ST41のYES)、CPU11は、ST42としてジョブ管理テーブル61に、ステータスが「検出モード」のプリントジョブが記憶されているか否かを判断する。記憶されている場合には(ST42のNO)、CPU11は、ステータスが「検出モード」のプリントジョブがなくなるまで待機する。
【0051】
ジョブ管理テーブル61に、ステータスが「検出モード」のプリントジョブが記憶されていない場合には(ST42のYES)、CPU11は、ST43として確認フラグをリセットし、ST44として処理対象であるプリントジョブのステータスを「印刷待ち」から「印刷中」に更新して、このプリントジョブに対する印刷準備処理を終了する。
【0052】
ここに、CPU11は、ジョブ管理テーブル61(ジョブ記憶部)で記憶したプリントジョブ(画像形成ジョブ)毎に受信時刻からの経過時間tを算出する経過時間算出部(ST31)と、RFID質問器18(ユーザ検出器)により検出されたユーザID(ユーザ識別情報)が関連付けられたプリントジョブ(画像形成ジョブ)に関して、経過時間算出部(ST31)により算出される経過時間tが検出モード時間T以内か否かを判断する時間判断部(ST32)と、この時間判断部(ST32)により経過時間tが検出モード時間T以内であると判断されると、RFID質問器18(ユーザ検出器)により検出されたユーザID(ユーザ識別情報)が関連付けられたプリントジョブ(画像形成ジョブ)を実行する第1の画像形成制御部(ST44、ST21〜ST23)と、時間判断部(ST32)により経過時間tが検出モード時間Tを越えていると判断されると、ジョブ管理テーブル61(ジョブ記憶部)に、経過時間算出部(ST31)により算出される経過時間tが検出モード時間T以内の他のプリントジョブ(画像形成ジョブ)が記憶されているか否かを判断する他ジョブ監視部(ST42)と、他ジョブ監視部(ST42)により経過時間tが検出モード時間T以内の他のプリントジョブ(画像形成ジョブ)が記憶されていないと判断されたことを条件に、RFID質問器18(ユーザ検出器)により検出されたユーザID(ユーザ識別情報)が関連付けられたプリントジョブ(画像形成ジョブ)を実行する第2の画像形成制御部(ST44、ST21〜ST23)とを構成する。
【0053】
また、CPU11は、ジョブ管理テーブル61(ジョブ記憶部)に記憶されているプリントジョブ(画像形成ジョブ)のなかで、関連付けられたユーザID(ユーザ識別情報)がRFID質問器18(ユーザ検出器)によって検出されること無く経過時間算出部(ST31)により算出される経過時間tが検出モード時間Tに達した画像形成ジョブを検索するジョブ検索部(ST32)と、このジョブ検索部(ST32)により該当するプリントジョブ(画像形成ジョブ)が検出されると、このプリントジョブ(画像形成ジョブ)送信元のユーザ端末3に対して要求された印刷物が所定時間出力されなかったことを通知する時間経過通知部(ST36)とを構成する。
【0054】
今、3名のユーザA,B,Cがそれぞれ異なるユーザ端末3a,3b,3cを使用して、図10に示すタイミングでプリント要求を行った場合を想定する。すなわち、ユーザAは時点t1にてプリント要求を行い、ユーザBは時点t2にてプリント要求を行い、ユーザCは時点t5にてプリント要求を行った場合である。なお、図10において、時間tは、図に向かって左側から右側に進んでいる。また、ハッチングされた領域Rは、検出モード時間Tを示している。
【0055】
先ず、時点t1にて、ユーザ端末3aでログインをしたユーザAがプリント要求を行ったとする。そうすると、このプリント要求が、ユーザAのユーザIDに関連付けられたプリントジョブ(以下、プリントジョブAとする)としてジョブ管理テーブル61に記憶される。このプリントジョブAのステータスは「検出モード」である。ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」のプリントジョブが記憶されたので、RFID質問器18から問合せ電波が放射される。
【0056】
次に、時点t2にて、ユーザ端末3bでログインをしたユーザBがプリント要求を行ったとする。そうすると、このプリント要求が、ユーザBのユーザIDに関連付けられたプリントジョブ(以下、プリントジョブBとする)としてジョブ管理テーブル61に記憶される。このプリントジョブBのステータスは「検出モード」である。また、この時点では、ユーザAのプリント要求を誦してからの経過時間tが検出モード時間Tを経過していないので、プリントジョブAのステータスも「検出モード」である。また、RFID質問器18も動作を継続しており、タグの問合せ電波が放射されている。
【0057】
ここで、ユーザBが直ぐにプリント結果である印刷物を取りにプリンタ1に近付いたとする。そして、時点t3にて、このユーザBが携帯する身分証5に内蔵されたRFIDタグのデータ(ユーザID)が、RFID質問器18によって読み取られたとする。この時点t3では、プリントジョブBは、受取時刻からの経過時間tが検出モード時間T以内であるので、ステータスが「検出モード」から即、「印刷中」に更新される。その結果、プリンタ1の印刷部16が動作して、当該プリントジョブBのプリントデータが印刷出力される。したがって、プリンタ1に近付いたユーザBは、直ぐに自身の印刷物を受取ることができる。
【0058】
次に、プリントジョブAの受取時刻からの経過時間tが検出モード時間Tに達する時点t4まで、ユーザAがプリンタ1に近付いていないとする。そうすると、この時点t4にてプリントジョブAのステータスが「検出モード」から「印刷待ち」に更新される。また、プリンタ1からユーザ端末3aに対して、確認表示指令が送信される。これにより、ユーザ端末3aの表示部に、要求された印刷物がプリント要求から所定時間出力されなかったことを通知するメッセージが表示される。
【0059】
次に、時点t5にて、ユーザ端末3cでログインをしたユーザCがプリント要求を行ったとする。そうすると、このプリント要求が、ユーザCのユーザIDに関連付けられたプリントジョブ(以下、プリントジョブCとする)としてジョブ管理テーブル61に記憶される。このプリントジョブCのステータスは「検出モード」である。また、RFID質問器18も動作を継続しており、タグの問合せ電波が放射されている。
【0060】
次に、ユーザAが印刷物を取りにプリンタ1に近付いたとする。そして、時点t6にて、このユーザAが携帯する身分証5に内蔵されたRFIDタグのデータ(ユーザID)がRFID質問器18によって読み取られたとする。この時点t6では、プリントジョブAは、受取時刻からの経過時間tが検出モード時間Tを越えているので、ステータスが「印刷待ち」となっている。一方、この時点t6では、プリントジョブCの受取時刻からの経過時間tが検出モード時間T以内であるので、このプリントジョブCのステータスは「検出モード」である。したがって、プリントジョブAは実行されない。なお、RFID質問器18も動作を継続しており、タグの問合せ電波が放射されている。
【0061】
ここで、プリントジョブCの受取時刻からの経過時間tが検出モード時間Tに達する時点t9に至る前の時点t7にて、ユーザCがプリンタ1に近付き、このユーザCが携帯する身分証5に内蔵されたRFIDタグのデータ(ユーザID)がRFID質問器18によって読み取られたとする。この時点t7では、プリントジョブCは、受取時刻からの経過時間tが検出モード時間T以内であるので、ステータスが「検出モード」から即、「印刷中」に更新される。その結果、プリンタ1の印刷部16が動作して、当該プリントジョブCのプリントデータが印刷出力される。したがって、プリンタ1に近付いたユーザCは、直ぐに自身の印刷物を受取ることができる。
【0062】
その後、時点t8にてプリントジョブCの印刷出力が終了したとする。そうすると、ジョブ管理テーブル61に他にステータスが「検出モード」のプリントジョブが存在しないので、関連付けられたユーザIDを既に検出しているプリントジョブAのステータスが「印刷待ち」から「印刷中」に更新される。その結果、プリンタ1の印刷部16が動作して、当該プリントジョブAのプリントデータが印刷出力される。したがって、プリンタ1に近付いたユーザAは、自身の印刷物を受取ることができる。このとき、ジョブ管理テーブル61からステータスが「検出モード」又は「印刷待ち」のプリントジョブがなくなるので、RFID質問器18からの問合せ電波の放射が停止する。
【0063】
図10において、ユーザAとユーザCとを対比してみれば明らかなように、両者は略同時にプリンタ1に近付いている。そして、ユーザAのユーザIDが、ユーザCのユーザIDよりも若干早く、RFID質問器18によって検出されている。しかし、ユーザAは、プリンタ要求を指令してからの経過時間tが既に所定の検出モード時間Tを経過している。これに対し、ユーザCは、プリンタ要求を指令してからの経過時間tが未だ検出モード時間Tに達していない。
【0064】
このような場合、プリンタ1では、後からユーザIDが検出されたにも拘らず、ユーザCのプリントジョブの方が、ユーザAのプリントジョブよりも先に実行される。そして、ユーザCのプリントジョブが完了した後に、ユーザAのプリントジョブが実行される。
【0065】
このように本実施の形態によれば、プリントジョブを受信してからの経過時間tが短いユーザのユーザIDを検出した場合には、そのユーザのプリントジョブが優先的に実行されるので、緊急性(機密性を含む)のある印刷物のプリント要求を行ったために直ちにプリンタ1に印刷物を取りに行ったユーザは、印刷物を直ぐに受け取ることができる。したがって、このようなユーザの待ち時間を確実に減らすことができるので、使い勝手のよいプリンタ1を提供することができる。
【0066】
次に、上述の実施形態の変形例について、図11及び図12を参照して説明する。この変形例は、図1乃至図10を用いて説明した第1の実施の形態と異なるRFID質問器制御処理を行う。その他のハードウェア構成及びソフトウェア構成は、上述の実施形態と同様なので、図1〜図5及び図7〜図9を参照することによりその説明を省略する。
【0067】
この変形例のRFID質問器制御処理を、図11に示す。スタンバイ状態にあるCPU11は、ST51としてジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されているか否かを判断する。記憶されていない場合には(ST51のNO)、ST52としてRFID質問器18が問合せ電波を放射しているか否かを判断する。RFID質問器18が問合せ電波を放射していない場合には(ST52のNO)、ジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されるまで待機する。また、RFID質問器18が問合せ電波を放射している場合には(ST52のYES)、CPU11は、ST53としてRFID質問器18の停止を制御する。しかる後、ジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されるまで待機する。
【0068】
ジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されている場合には(ST51のYES)、CPU11は、ST54としてその記憶されている全てのプリントジョブのステータスを調べる。ここで、ステータスが全て「印刷中」であった場合には(ST54のYES)、ST52の処理に進む。すなわち、RFID質問器18が問合せ電波を放射しているか否かを判断し、放射している場合には停止させる。
【0069】
ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブが1つでも記憶されていた場合には(ST54のNO)、CPU11は、ST55としてジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのステータスが全て「印刷待ち」であるか否かを判断する。「印刷待ち」でない、すなわちジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」のプリントジョブが1つでも記憶されていた場合には(ST55のNO)、CPU11は、ST56としてRFID質問器18の電波送信出力を高出力に設定する。そして、ST57としてRFID質問器18が問合せ電波を放射しているか否かを判断し、放射していない場合には(ST57のNO)、ST58としてRFID質問器から問合せ電波を放射させる。
【0070】
その後、CPU11は、ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」プリントジョブがなくなるのを待機する。ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」プリントジョブがなくなったならば(ST59のYES)、CPU11は、ST51の処理に戻る。
【0071】
一方、ジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのステータスが全て「印刷待ち」であった場合には(ST55のYES)、CPU11は、ST60として、RFID質問器18の電波送信出力を低出力に設定する。その後、CPU11は、ST61としてこのプリントジョブの端末IDで識別されるユーザ端末3に対し、プリントジョブの確認を要求する確認表示指令の送信を制御する。この確認表示指令の情報は、通信インターフェイス15からネットワーク4を介して該当するユーザ端末3に送信される。その結果、当該ユーザ端末3の表示部は、要求された印刷物がプリント要求から所定時間出力されなかったことを示すメッセージを表示する。
【0072】
このメッセージは、ユーザがプリント要求したことを忘れて印刷待ちの状態が続く場合に印刷物を取りに行くことを催促するために表示される。続いて、CPU11はST62として確認フラグをセットし、さらにST63として例えばY秒の制限時間でタイマをセットする。CPU11がY秒の制限時間の超過を検出すると(ST64のYES)、確認表示指令を再送信するためにST61に戻る。
【0073】
Y秒の制限時間の超過が検出されなければ(ST64のNO)、CPU11は、ST65としてRFID質問器18がRFIDタグからユーザIDを読み取ったかどうか判断し、ST64,ST65の繰返しによりユーザIDの読取りを待つ。ユーザIDが読み取られたならば(ST65のYES)、CPU11は、ST66としてそのユーザIDが処理対象であるプリントジョブのユーザIDと一致するか否かを判断する。一致しない場合には(ST66のNO)、ST64の処理に戻る。
【0074】
RFID質問器18によって読み取ったユーザIDと処理対象であるプリントジョブのユーザIDとが一致した場合には(ST66のYES)、ST51の処理に戻る。
【0075】
ここで、ジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのステータスが「検出モード」であった場合には、そのプリントジョブは、受信時刻からの経過時間tが検出モード時間T以内である。これに対し、ジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのステータスが全て「印刷待ち」であった場合には、全てのプリントジョブは、受信時刻からの経過時間tが検出モード時間Tを越えている。一方、RFID質問器18の電波送信出力が高出力に設定された場合と、低出力に設定された場合とでは、アンテナ19から放射されるタグ問合せ電波の到達見込み範囲が拡大する。
【0076】
因みに、この変形例では、RFID質問器18の送信回路部における増幅器を可変増幅器としている。そして、高出力に設定された場合には、この可変増幅器の増幅率を、低出力に設定された場合よりも大きくなるように、CPU11は、RFID質問器17を制御する。
【0077】
ここに、CPU11は、経過時間算出部に(ST31)より算出される経過時間tが検出モード時間T以内のプリントジョブ(画像形成ジョブ)がジョブ管理テーブル61(ジョブ記憶部)に記憶されている間は、記憶されていないときよりも問合せ電波の出力を高く制御する出力制御部(ST51〜ST60)を構成する。
【0078】
今、2名のユーザD,Eがそれぞれ異なるユーザ端末3d,3eを使用して、図12に示すタイミングでプリント要求を行った場合を想定する。すなわち、ユーザDは時点t1にてプリント要求を行い、ユーザEは時点t3にてプリント要求を行った場合である。なお、図12において、時間tは、図に向かって左側から右側に進んでいる。また、ハッチングされた領域Rは、検出モード時間Tを示している。
【0079】
先ず、時点t1にて、ユーザ端末3dでログインをしたユーザDがプリント要求を行ったとする。そうすると、このプリント要求が、ユーザDのユーザIDに関連付けられたプリントジョブ(以下、プリントジョブDとする)としてジョブ管理テーブル61に記憶される。このプリントジョブDのステータスは「検出モード」である。ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」のプリントジョブが記憶されたので、RFID質問器18が高出力(ON(H))に設定される。
【0080】
次に、プリントジョブDの受取時刻からの経過時間tが検出モード時間Tに達する時点t2まで、ユーザDがプリンタ1に近付いていないとする。そうすると、この時点t2にてプリントジョブDのステータスが「検出モード」から「印刷待ち」に更新される。その結果、ジョブ管理テーブル61内のプリントジョブのステータスが全て「印刷待ち」となったので、RFID質問器18が低出力(ON(L))に切替えられる。
【0081】
なお、このとき、プリンタ1からユーザ端末3dに対して、確認表示指令が送信される。これにより、ユーザ端末3dの表示部に、要求された印刷物がプリント要求から所定時間出力されなかったことを通知するメッセージが表示される。
【0082】
次に、時点t3にて、ユーザ端末3eでログインをしたユーザEがプリント要求を行ったとする。そうすると、このプリント要求が、ユーザEのユーザIDに関連付けられたプリントジョブ(以下、プリントジョブEとする)としてジョブ管理テーブル61に記憶される。このプリントジョブEのステータスは「検出モード」である。したがって、RFID質問器18が再び高出力(ON(H))に切替えられる。
【0083】
次に、ユーザDが印刷物を取りにプリンタ1に近付いたとする。そして、時点t4にて、このユーザDが携帯する身分証5に内蔵されたRFIDタグのデータ(ユーザID)がRFID質問器18によって読み取られたとする。この時点t4では、プリントジョブDは、受取時刻からの経過時間tが検出モード時間Tを越えているので、ステータスが「印刷待ち」となっている。一方、この時点t4では、プリントジョブEの受取時刻からの経過時間tが検出モード時間T以内であるので、このプリントジョブEのステータスは「検出モード」である。したがって、プリントジョブDは実行されない。なお、RFID質問器18は、ステータスは「検出モード」のプリントジョブが記憶されているので、高出力(ON(H))が維持される。
【0084】
次に、プリントジョブEの受取時刻からの経過時間tが検出モード時間Tに達する時点t7に至る前の時点t5にて、ユーザEがプリンタ1に近付き、このユーザEが携帯する身分証5に内蔵されたRFIDタグのデータ(ユーザID)がRFID質問器18によって読み取られたとする。この時点t5では、プリントジョブEは、受取時刻からの経過時間tが検出モード時間T以内であるので、ステータスが「検出モード」から即、「印刷中」に更新される。その結果、プリンタ1の印刷部16が動作して、当該プリントジョブEのプリントデータが印刷出力される。したがって、プリンタ1に近付いたユーザEは、直ぐに自身の印刷物を受取ることができる。
【0085】
その後、時点t6にてプリントジョブEの印刷出力が終了したとする。そうすると、ジョブ管理テーブル61に他にステータスが「検出モード」のプリントジョブが存在しないので、関連付けられたユーザIDを既に検出しているプリントジョブDのステータスが「印刷待ち」から「印刷中」に更新される。その結果、プリンタ1の印刷部16が動作して、当該プリントジョブDのプリントデータが印刷出力される。したがって、プリンタ1に近付いたユーザDは、自身の印刷物を受取ることができる。このとき、ジョブ管理テーブル61からステータスが「検出モード」又は「印刷待ち」のプリントジョブがなくなるので、RFID質問器18からの問合せ電波を停止する。
【0086】
図12に示すように、RFID質問器18は、ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」のプリントジョブ、すなわち、当該プリントジョブの受信時刻からの経過時間tが所定の検出モード時間Tを越えていないジョブが記憶されている間は、電波送信出力を高出力としている。この電波送信出力が高出力と設定されている期間(t1〜t2、t3〜t6)は、電波送信出力が低出力と設定されている期間(t2〜t3)よりも、タグ問合せ電波の到達見込み範囲が拡大する。すなわち、電波送信出力が低出力と設定されている期間(t2〜t3)よりも、電波送信出力が高出力と設定されている期間(t1〜t2、t3〜t6)の方が、アンテナ19より離れた場所のRFIDタグのデータを読み取ることができる。
【0087】
したがって、緊急性(機密性を含む)のある印刷物の出力を指令したユーザEが、プリント要求後、直ぐにプリンタ1に近付いた場合には、比較的遠方でもRFID質問器18によってユーザIDが検出される。そして、プリントジョブDより優先してプリントジョブEが実行される。したがって、ユーザEがプリンタ1に接近したときには既に印刷が開始されているので、緊急性のある印刷物の出力を指令したユーザの待ち時間をさらに減らすことができる。
【0088】
図13は、図4に示す操作パネルを用いたオプションメニュー操作に伴って行われるオプションメニュー処理の例を示す。このオプションメニュー処理はプリンタ1の動作を最適化するために行われる。CPU11がこのオプションメニュー処理を開始すると、ST70としてオプションメニューを操作パネル17に表示させる。このオプションメニューは、少なくとも「1.優先印刷の除外対象となるプリントジョブの設定(印刷枚数)」、「2.優先印刷を有効にする印刷環境の設定(ジョブ頻度)」、「3.順番待ちリスト表示」、「4.ジョブ順位の変更」をオプション項目として含む。続いて、CPU11は操作パネル17によって行われたいずれかの選択があるかどうかST71として判断する。ST71は選択ありを検出するまで繰り返される。選択の検出後、CPU11がST72としてオプション1が選択されたことを検出すると、CPU11がST73としてオプション1の処理を実行する。このオプション1の処理では、例えば100枚のような印刷枚数が操作パネル17から入力される。この場合、CPU11は100枚を越える印刷枚数のプリントジョブを優先印刷の除外対象に設定する。すなわち、オプション1は極めて長い印刷時間を要する単一のプリントジョブを優先させた結果として、比較的短い印刷時間のプリントジョブの印刷開始が遅れることを回避させる動作を実現する。
【0089】
オプション1が選択されない場合、処理はST74に進む。CPU11がオプション2の選択をST74として検出すると、CPU11がST75としてオプション2の処理を実行する。このオプション2の処理では、ジョブ頻度の上限値が優先印刷に適した印刷環境を設定するために操作パネル17から入力される。この場合、CPU11が単位時間内においてジョブ管理テーブル61に保持されるジョブ件数をジョブ頻度として確認し、ジョブ頻度が上限値未満である場合に上述の優先印刷を有効にする。すなわち、オプション2は印刷待ちのジョブ件数が極めて多い場合に生じたジョブ順位の繰り下りによってプリント要求の指令タイミングに対して印刷開始までの待ち時間が長くなることを回避させる動作を実現する。
【0090】
オプション2が選択されない場合、処理はST76に進む。CPU11がオプション3の選択をST76として検出すると、CPU11がST77としてオプション3の処理を実行する。このオプション3の処理では、CPU11がジョブ管理テーブル61により管理されたプリントジョブを現在の順番待ちリストとして操作パネル17に表示させる。すなわち、オプション3はプリンタ1に到着したユーザにこのユーザのユーザIDに対応するプリントジョブのジョブ順位を確認させる動作を実現する。
【0091】
オプション3が選択されない場合、処理はST78に進む。CPU11がオプション4の選択をST78として検出すると、CPU11がST79としてオプション4の処理を実行する。このオプション4の処理では、オプション3でジョブ順位の繰り下がりを確認した場合にプリンタ1に到着したユーザのユーザIDに対応するプリントジョブのジョブ順位を繰り上げる操作が操作パネル17で行われる。この場合、CPU11が操作パネル17からの繰り上げ操作に従ってこのユーザのジョブ順位をジョブ管理テーブル61において繰り上げる。すなわち、オプション4はプリンタ1に到着したユーザのジョブ順位の繰り下がりを解消する動作を実現する。
【0092】
また、1または複数の他のオプションがあれば、CPU11がST80として各オプション処理を実行する。ST73,ST75、ST77、ST79、ST80の後、CPU11はST90として操作パネル17が選択を完了させるために操作されたか判断する。選択が完了してしなければ、ST70が再度実行される。他方、選択が完了していれば、CPU11がオプションメニュー処理を終了させる。ちなみに、用紙ジャム等のトラブルが印刷部16において発生した場合、上述の優先印刷は自動的にキャンセルされる。
【0093】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々に変形して具体化できる。
【0094】
例えば、上述の実施形態では、各ユーザがそれぞれ携帯する身分証5のRFIDタグに、RFID質問器18から問合せ電波を送信し、この問合せ電波に応答したRFIDタグからユーザIDを非接触で読み取るようにユーザ検出器を構成したが、ユーザ検出器はこれに限定されるものではない。例えば発光素子を備えて、この発光素子からユーザIDを周期的に光信号として送信する記憶媒体を各ユーザが携帯し、この発光素子からの光信号を受光可能な受光素子を画像形成装置に設け、受光素子で受光した光信号からユーザIDを検出するようにしてもよい。
【0095】
また、上述の実施形態では、プリントジョブの受信時刻からの経過時間tが所定の検出モード時間Tを越えるまでは当該プリントジョブのステータスを「検出モード」とし、越えた後は「印刷待ち」として、プリントジョブの受信時刻からの経過時間を管理したが、経過時間そのものをプリントジョブの情報として記憶するようにし、複数のユーザIDを検出したときには、各ユーザIDがそれぞれ関連付けられたプリントジョブに関して、受信時刻からの経過時間を比較し、経過時間が最も短いプリントジョブを優先的に実行するように構成してもよい。こうすることにより、検出モード時間Tを省略することができる。
【0096】
また、本発明は、ネットワークプリンタに限定されるものではなく、複写機等の画像形成装置にも適用できるものである。
【0097】
この他、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の変形例を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…プリンタ、2…サーバ装置、3…ユーザ端末、4…ネットワーク、5…身分証、11…CPU、13…RAM、16…印刷部、18…RFID質問器、61…ジョブ管理テーブル、62…検出モード時間メモリ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開2007−098590号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して接続されている複数の端末からの画像形成要求に応じて画像形成処理を行うプリンタ、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプリンタ、複合機等の画像形成装置の中には、ネットワークを介して接続されている端末からのプリント要求(画像形成要求)に応じてプリント処理(画像形成処理)を行う、いわゆるネットワークプリント機能を有するものがある。このネットワークプリント機能を活用することにより、1台の画像形成装置を複数台の端末で共用できる利点がある。
【0003】
しかし、この種の画像形成装置においては、通常は、各端末からのプリント要求をプリントジョブ(画像形成ジョブ)としてジョブ記憶部にスプールし、プリントジョブの受信順にプリント処理を実行する。このため、端末のユーザがプリント結果である印刷物を取りに行くのが遅れた場合、印刷物を他人に持ち去られてしまう可能性がある。これは、機密文書のセキュリティを確保できないことにもなる。
【0004】
そこで従来、接近ユーザのユーザ情報を検出するユーザ検出器を画像形成装置に設け、このユーザ検出器により接近ユーザのユーザ情報が検出されたとき、この接近ユーザのユーザ情報と同じユーザ情報が設定されたジョブを優先的に実行する機能を有した画像形成装置がある。この機能を用いることにより、接近ユーザは最新に出力された印刷物を自己のものとして取得することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、接近ユーザのジョブを優先的に実行する機能を有した従来の画像形成装置においても、未だ次の点で解決しなければならない技術的課題がある。すなわち、複数のユーザが画像形成装置に接近した場合、従来の機能では、ユーザ検出器により検出された順番にジョブが実行される。ここで、各ユーザが画像形成装置に顕著な時間差を伴わずに接近しても、端末よりプリント要求を発してからの経過時間はユーザ毎に異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、緊急性(機密性を含む)のある印刷物の出力を指令したユーザは、プリント要求後、直ぐに画像形成装置に近付いて印刷物を確認する。これに対し、緊急性の無い印刷物の出力を指令したユーザは、その多くがプリント要求後、直ぐに印刷物を取りに行くようなことはしない。しかしながら、直ぐに印刷物を取りに来たユーザXと、暫くしてから印刷物を取りに来たユーザYとが一緒に画像形成装置に接近し、先に、ユーザYのユーザ情報が検出された場合は、先にユーザYの印刷物が発行され、後からユーザXの印刷物が発行されることとなり、ユーザXは、ユーザYの印刷物が印刷されるまで待たされることとなる。
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、緊急性のあるユーザの待ち時間を少なくして使い勝手を向上できる画像形成装置及びその制御方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、端末から受信した画像形成ジョブを、その端末のユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けて記憶するジョブ記憶部と、このジョブ記憶部で記憶した画像形成ジョブを実行する画像形成部と、各接近ユーザのユーザ識別情報を検出するユーザ検出器と、ユーザ検出器による複数のユーザ識別情報の検出に伴ってこれらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられてジョブ記憶部に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間を算出し、これら経過時間を比較し、経過時間が最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように画像形成部を制御する制御部を備える画像形成装置が提供される。
【0009】
本発明の他の観点によれば、端末から受信した画像形成ジョブを、その端末のユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けて記憶するジョブ記憶部と、このジョブ記憶部で記憶した画像形成ジョブを実行する画像形成部とを備える画像形成装置の制御方法であって、各接近ユーザのユーザ識別情報を検出し、複数のユーザ識別情報の検出に伴ってこれらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられてジョブ記憶部に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間を算出し、これら経過時間を比較し、経過時間が最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように画像形成部を制御する制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
画像形成装置及びその制御方法では、複数のユーザ識別情報を検出した場合に、これらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられてジョブ記憶部に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間がそれぞれ算出され比較される。続いて、画像形成部が経過時間の最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように制御される。従って、緊急性のあるユーザの待ち時間を削減でき、画像形成装置の使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係るネットワークプリンタシステムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示すユーザ端末から送信されるプリント要求コマンドのデータ構造を示す模式図である。
【図3】図1に示すプリンタの各ユーザが携帯する身分証を示す模式図である。
【図4】図1に示すプリンタの要部構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示すRAMに形成される主要なメモリエリアを示す図である。
【図6】図4に示すCPUが実行するRFID質問器制御処理の要部手順を示すフローチャートである。
【図7】図4に示すCPUが実行するジョブ受信処理の要部手順を示すフローチャートである。
【図8】図4に示すCPUが実行するプリント処理の要部手順を示すフローチャートである。
【図9】図4に示すCPUが実行する印刷準備処理の要部手順を示すフローチャートである。
【図10】図1に示すネットワークプリンタシステムの動作シーケンスを示す図である。
【図11】図6に示すRFID質問器制御処理の変形例を示すフローチャートである。
【図12】図11に示す変形例での動作シーケンスを示す図である。
【図13】図4に示す操作パネルを用いたオプションメニュー操作に伴って行われるオプションメニュー処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係るネットワークプリンタシステムについて添付図面を参照して説明する。このネットワークプリンタは、ネットワークを介して接続されている複数の端末からのプリント要求(画像形成要求)に応じてプリント処理(画像形成処理)を行うために用いられる。
【0013】
ネットワークプリンタシステムの全体構成図を図1に示す。ネットワークプリンタシステムは、画像形成装置の一態様であるプリンタ1と、サーバ装置2と、複数n台のユーザ端末3(3a,3b,…,3n)とから構成している。プリンタ1は、サーバ装置2及び各ユーザ端末3を、LAN(Local Area Network)等のネットワーク4を介して接続している。ここに、プリンタ1は、ネットワークプリンタとして機能する。
【0014】
サーバ装置2は、プリンタサーバとして機能する。すなわち、ネットワーク4全体からのプリント要求を取りまとめ、順次、プリンタ1に送り出す機能を有する。なお、プリントサーバとしての機能をプリンタ1が内蔵し、サーバ装置2を省略してもよい。
【0015】
各ユーザ端末3は、それぞれ表示部、操作部及び処理部を有しており、例えばパーソナルコンピュータで構成する。各ユーザ端末3は、ログインによってユーザを特定する。すなわち、各ユーザ端末3は、ユーザIDの入力受付部を備えており、ログインの際にユーザIDの入力を受付ける。操作部を介してユーザIDが入力されると、ユーザ認証を行い、ユーザIDが承認されると、ログインしてネットワーク4と接続する。ログインの後、操作部を介してデータのプリントアウトを指令すると、各ユーザ端末3は、ネットワーク4を介してプリント要求コマンドを送信する。
【0016】
プリント要求コマンドのデータ構造を、図2に模式的に示す。図示するように、プリント要求コマンドは、端末ID31、ユーザID32及びプリントデータ33で構成している。端末ID31は、ネットワーク4上で各ユーザ端末3を識別するために端末毎に設定された通信IDである。プリンタ1及びサーバ装置2は、この端末IDによって、どのユーザ端末3から送信されたプリント要求コマンドであるかを特定することができる。ユーザID32は、ログインの際に入力されたものを使用する。
【0017】
ところで本実施の形態では、ユーザ端末3を使用する各ユーザは、それぞれ図3に示すようなカード状の身分証5を携帯することを前提とする。身分証5は、カード本体にRFID (radio frequency identification)タグを内蔵したRFIDカードで構成している。RFIDタグは、アンテナ51とICチップ52とからなり、後述するRFID質問器18から送られてきた搬送波の電力を利用してICチップ52を駆動し、ICチップ52のメモリに記憶したデータを送信するパッシブ型である。ICチップ52のメモリでは、当該身分証5を携帯するユーザ本人のユーザIDを記憶している。
【0018】
プリンタ1の要部構成を、図4に示す。プリンタ1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、時計部14、通信インターフェイス15、印刷部16、操作パネル17、データの読み書きをするためにRFIDタグと通信するRFID質問器18等で構成している。
【0019】
CPU11は、当該プリンタ1全体の制御を司る。ROM12は、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム等のプログラムを記憶する。RAM13は、各種の可変的なデータを記憶する。時計部14は、現在の時刻を計時する。通信インターフェイス15は、ネットワーク4に接続する。印刷部16は、CPU11の制御により、用紙等の被印刷媒体上に、プリントデータに応じた画像を形成する。印刷部16は、例えばレーザプリンタによって構成する。操作パネル17は、テンキー等のハードキーとメッセージ等を表示するための表示器とを有している。
【0020】
RFID質問器18は、ベースバンド部、送信回路部及び受信回路部で構成している。送信回路部及び受信回路部は、サーキュレータを介してアンテナ19に接続している。アンテナ19は、プリンタ1の本体に取り付けられている。
【0021】
ベースバンド部は、変調前及び復調後の信号を扱う。送信回路部は、送信波として無変調波及び変調波を生成する。変調されたベースバンド信号などの送信信号は、フィルタにより不要周波数が除去され、増幅器で増幅される。増幅された送信信号は、アンテナ19に供給され、電波(例えばUHF帯)として放射される。一方、アンテナ19で受信した電波は、受信信号となり、受信回路部に入力される。受信回路部は、受信信号を増幅器で増幅し、フィルタで受信信号から不要周波数を除去して、復調器で復調する。復調された受信信号は、RFIDタグのデータとして取り込まれる。
【0022】
かかる構成のプリンタ1は、図5に示すジョブ管理テーブル61と検出モード時間メモリ62とを、RAM13に形成している。
ジョブ管理テーブル61は、各ユーザ端末3からのプリント要求をプリントジョブとして管理するための領域で、ジョブID、受取時刻、端末ID、ユーザID、プリントデータ、ステータスなどの情報を記憶する。ジョブIDは、当該プリントジョブを識別するための識別情報である。受取時刻は、当該プリントジョブをプリンタ1が受け取った時刻である。端末IDは、当該プリントジョブを発行したユーザ端末3を識別するための識別情報である。ユーザIDは、当該プリントジョブを発行したユーザ端末3のユーザを識別するための識別情報である。
【0023】
ステータスは、当該プリントジョブの状態を示す情報である。プリントジョブの状態には「検出モード」,「印刷待ち」,「印刷中」等がある。プリント要求コマンドを受信してから検出モード時間メモリ62に設定されている検出モード時間Tが経過するまでのプリントジョブを「検出モード」と定義する。上記検出モード時間Tを経過してから印刷準備が整うまでのプリントジョブを「印刷待ち」と定義する。印刷準備が整ったプリントジョブを「印刷中」と定義する。
【0024】
したがって、ステータスが「検出モード」であるプリントジョブは、「印刷待ち」であるプリントジョブよりも、ユーザ端末3にてプリント要求コマンドを発行してからの経過時間が短い。本実施の形態では、プリント要求コマンドを発行してからの経過時間が短い方、すなわちステータスが「検出モード」であるプリントジョブを、「印刷待ち」であるプリントジョブよりも優先的に実行する。
【0025】
検出モード時間メモリ62は、プリントジョブを「検出モード」の状態としておく時間Tを記憶するための領域である。検出モード時間メモリ62には、ネットワークプリンタシステムを共用するユーザが、オフィス等のシステムが構築される環境を考慮して任意の時間Tを設定できるようになっている。
【0026】
次に、プリンタ1の動作について、図6〜図9を参照して説明する。
プリンタ1は、メイン電源をオン状態にすると、CPU11が各部を初期化する。この初期化により、ジョブ管理テーブル61はクリアされる。検出モード時間メモリ62には、デフォルト値(例えば15秒)がセットされる。初期化後、プリンタ1は、スタンバイ状態となる。このスタンバイ状態にあるとき、RFID質問器18のアンテナ19から電波は放射されていない。
【0027】
スタンバイ状態において、操作パネル17が操作されて設定時間変更モードが選択されると、CPU11は、検出モード時間Tの入力を受付ける。操作パネル17のテンキーにより検出モード時間Tが入力されると、CPU11は、検出モード時間メモリ62の値を、入力された検出モード時間Tに書き換える。
【0028】
また、スタンバイ状態にあるCPU11は、RFID質問器制御処理、ジョブ受信処理及びプリント処理を並行してまたは時系列に実行している。はじめに、RFID質問器制御処理について、図6を参照して説明する。
スタンバイ状態にあるCPU11は、ST(アクト)1としてジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されているか否かを判断する。記憶されていない場合には(ST1のNO)、記憶されるまで待機する。
【0029】
ジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されている場合には(ST1のYES)、CPU11は、ST2としてステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブが存在するか否かを判断する。存在しない場合には(ST2のNO)、ステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブが記憶されるまで待機する。
【0030】
ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブが記憶された場合には(ST2のYES)、CPU11は、ST3としてRFID質問器18から問合せ電波を放射する。しかる後、CPU11は、ST4としてジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのステータスが全て「印刷中」に更新されるのを待機する。
【0031】
ジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのステータスが全て「印刷中」に更新されたならば(ST4のYES)、CPU11は、ST5としてRFID質問器18からの問合せ電波の放射を停止する。しかる後、CPU11は、ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブが再び記憶されるのを待機する(ST1,ST2)。
【0032】
したがって、ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブが1つでも記憶されている間は、アンテナ19からRFIDタグに対する問合せ電波が放射される。これに対し、ジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されていないか、記憶されているプリントジョブのステータスが全て「印刷中」であった場合には、アンテナ19から問合せ電波は放射されない。
【0033】
問合せ電波は、例えばUHF帯ではアンテナ19の周囲数メートルの範囲まで見込むことができる。この範囲内にRFIDタグが入ると、このRFIDタグが応答し、ICチップ52のメモリに記憶したデータがRFID質問器18によって非接触で読み取られる。したがって、RFIDタグ内蔵の身分証5を身に付けたユーザがプリンタ1に接近すると、当該身分証5に内蔵されたRFIDタグのメモリデータ、すなわちユーザIDが、RFID質問器18によって読み取られる。ここに、RFID質問器18は、接近ユーザのユーザID(ユーザ識別情報)を検出するユーザ検出器として機能する。
【0034】
次に、ジョブ受信処理について、図7を参照して説明する。
スタンバイ状態にあるCPU11は、ST11としてプリントジョブの受信を待機している。各ユーザ端末3からプリント要求コマンドが送信されると、このコマンドは、サーバ装置2を経由してプリンタ1に供給される。そこで、通信インターフェイス15を介して受信したデータが、いずれかのユーザ端末3からのプリント要求コマンドであるとき、CPU11は、プリントジョブを受信したと判断する(ST11のYES)。
【0035】
プリントジョブを受信したCPU11は、ST12として、新規のジョブIDを発行する。また、ST13として時計部14にて計時されている現在時刻を当該プリントジョブの受取時刻として取得する。そして、ST14としてこのジョブID及び受取時刻と、プリント要求コマンドを構成する端末ID31、ユーザID32及びプリントデータ33とから、プリントジョブを作成する。このとき、ステータスは「検出モード」とする。
【0036】
プリントジョブを作成したならば、CPU11は、ST15としてそのプリントジョブをジョブ管理テーブル61に追加する。そしてCPU11は、ST16としてこのプリントジョブに対して印刷準備処理を起動する。以後、CPU11は、プリントジョブを受信する毎に、上記ST12〜ST16の処理を繰返し実行する。ここに、ジョブ管理テーブル61は、ユーザ端末3から受信したプリントジョブ(画像形成ジョブ)を、そのユーザ端末3のユーザを識別するユーザID(ユーザ識別情報)と関連付けて記憶するジョブ記憶部として機能する。
【0037】
次に、プリント処理について、図8を参照して説明する。
スタンバイ状態にあるCPU11は、ST21としてジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されているか否かを判断する。記憶されていない場合には(ST21のNO)、記憶されるまで待機する。
【0038】
ジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されている場合には(ST21のYES)、CPU11は、ST22としてステータスが「印刷中」のプリントジョブが存在するか否かを判断する。存在しない場合には(ST22のNO)、ステータスが「印刷中」のプリントジョブが記憶されるまで待機する。
【0039】
ジョブ管理テーブル61にステータスが「印刷中」のプリントジョブが記憶された場合には(ST22のYES)、CPU11は、ST23としてこのプリントジョブを実行する。すなわち、印刷部16を制御して、用紙等の被印刷媒体上に、当該プリントジョブのプリントデータに応じた画像を形成する。
【0040】
CPU11は、ST24として当該プリントジョブが終了するのを待機する。終了したならば(ST24のYES)、CPU11は、ST25として当該プリントジョブをジョブ管理テーブル61から削除する。しかる後、CPU11は、ジョブ管理テーブル61にステータスが「印刷中」のプリントジョブが他に記憶されているか否かを判断する(ST21,ST22)。記憶されている場合には、そのプリントジョブをさらに実行する(ST23)。
【0041】
CPU11は、ジョブ管理テーブル61にステータスが「印刷中」のプリントジョブが存在しなくなるまでそのプリントジョブを実行し、存在しなくなったならば、ステータスが「印刷中」のプリントジョブが再び発生するのを待機する。
【0042】
次に、印刷準備処理について、図9を参照して説明する。
CPU11は、ジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのうち、ステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブに対し、個々に印刷準備処理を実行する。
【0043】
先ず、CPU11は、ST31として処理対象であるプリントジョブの受取時刻からの経過時間tを算出する。そして、ST32として経過時間tが検出モード時間メモリ62に記憶している検出モード時間Tを越えたか否かを判断する。越えていない場合、すなわち経過時間tが検出モード時間T以内の場合には(ST32のNO)、CPU11は、ST33としてRFID質問器18がRFIDタグからユーザIDを読み取ったか否かを判断する。読み取っていない場合には(ST33のNO)、ST31の処理に戻る。
【0044】
RFID質問器18がRFIDタグからユーザIDを読み取った場合には(ST33のYES)、CPU11は、ST34としてそのユーザIDが処理対象であるプリントジョブのユーザIDと一致するか否かを判断する。一致しない場合には(ST34のNO)、ST31の処理に戻る。
【0045】
RFID質問器18によって読み取ったユーザIDと処理対象であるプリントジョブのユーザIDとが一致した場合には(ST34のYES)、CPU11は、ST44としてそのプリントジョブのステータスを「検出モード」から「印刷中」に更新する。以上で、このプリントジョブに対する印刷準備処理を終了する。
【0046】
一方、経過時間tが検出モード時間Tを越えた場合には(ST32のYES)、CPU11は、ST35として処理対象であるプリントジョブのステータスを「検出モード」から「印刷待ち」に更新する。
【0047】
また、ST36としてこのプリントジョブの端末IDで識別されるユーザ端末3に対し、プリントジョブの確認を要求する確認表示指令の送信を制御する。この確認表示指令の情報は、通信インターフェイス15からネットワーク4を介して該当するユーザ端末3に送信される。その結果、当該ユーザ端末3の表示部は、要求された印刷物がプリント要求から所定時間出力されなかったことを示すメッセージを表示する。
【0048】
このメッセージは、ユーザがプリント要求したことを忘れて印刷待ちの状態が続く場合に印刷物を取りに行くこと(すなわち、画像形成結果の回収)を催促するために表示される。続いて、CPU11はST37として確認フラグをセットし、さらにST38として例えばX秒の制限時間でタイマをセットする。CPU11がX秒の制限時間の超過を検出すると(ST39のYES)、確認表示指令を再送信するためにST36に戻る。
【0049】
X秒の制限時間の超過が検出されなければ(ST39のNO)、CPU11は、ST40としてRFID質問器18がRFIDタグからユーザIDを読み取ったかどうか判断し、ST39,ST40の繰返しによりユーザIDの読取りを待つ。ユーザIDが読み取られたならば(ST40のYES)、CPU11は、ST41としてそのユーザIDが処理対象であるプリントジョブのユーザIDと一致するか否かを判断する。一致しない場合には(ST41のNO)、ST39の処理に戻る。
【0050】
RFID質問器18によって読み取ったユーザIDと処理対象であるプリントジョブのユーザIDとが一致した場合には(ST41のYES)、CPU11は、ST42としてジョブ管理テーブル61に、ステータスが「検出モード」のプリントジョブが記憶されているか否かを判断する。記憶されている場合には(ST42のNO)、CPU11は、ステータスが「検出モード」のプリントジョブがなくなるまで待機する。
【0051】
ジョブ管理テーブル61に、ステータスが「検出モード」のプリントジョブが記憶されていない場合には(ST42のYES)、CPU11は、ST43として確認フラグをリセットし、ST44として処理対象であるプリントジョブのステータスを「印刷待ち」から「印刷中」に更新して、このプリントジョブに対する印刷準備処理を終了する。
【0052】
ここに、CPU11は、ジョブ管理テーブル61(ジョブ記憶部)で記憶したプリントジョブ(画像形成ジョブ)毎に受信時刻からの経過時間tを算出する経過時間算出部(ST31)と、RFID質問器18(ユーザ検出器)により検出されたユーザID(ユーザ識別情報)が関連付けられたプリントジョブ(画像形成ジョブ)に関して、経過時間算出部(ST31)により算出される経過時間tが検出モード時間T以内か否かを判断する時間判断部(ST32)と、この時間判断部(ST32)により経過時間tが検出モード時間T以内であると判断されると、RFID質問器18(ユーザ検出器)により検出されたユーザID(ユーザ識別情報)が関連付けられたプリントジョブ(画像形成ジョブ)を実行する第1の画像形成制御部(ST44、ST21〜ST23)と、時間判断部(ST32)により経過時間tが検出モード時間Tを越えていると判断されると、ジョブ管理テーブル61(ジョブ記憶部)に、経過時間算出部(ST31)により算出される経過時間tが検出モード時間T以内の他のプリントジョブ(画像形成ジョブ)が記憶されているか否かを判断する他ジョブ監視部(ST42)と、他ジョブ監視部(ST42)により経過時間tが検出モード時間T以内の他のプリントジョブ(画像形成ジョブ)が記憶されていないと判断されたことを条件に、RFID質問器18(ユーザ検出器)により検出されたユーザID(ユーザ識別情報)が関連付けられたプリントジョブ(画像形成ジョブ)を実行する第2の画像形成制御部(ST44、ST21〜ST23)とを構成する。
【0053】
また、CPU11は、ジョブ管理テーブル61(ジョブ記憶部)に記憶されているプリントジョブ(画像形成ジョブ)のなかで、関連付けられたユーザID(ユーザ識別情報)がRFID質問器18(ユーザ検出器)によって検出されること無く経過時間算出部(ST31)により算出される経過時間tが検出モード時間Tに達した画像形成ジョブを検索するジョブ検索部(ST32)と、このジョブ検索部(ST32)により該当するプリントジョブ(画像形成ジョブ)が検出されると、このプリントジョブ(画像形成ジョブ)送信元のユーザ端末3に対して要求された印刷物が所定時間出力されなかったことを通知する時間経過通知部(ST36)とを構成する。
【0054】
今、3名のユーザA,B,Cがそれぞれ異なるユーザ端末3a,3b,3cを使用して、図10に示すタイミングでプリント要求を行った場合を想定する。すなわち、ユーザAは時点t1にてプリント要求を行い、ユーザBは時点t2にてプリント要求を行い、ユーザCは時点t5にてプリント要求を行った場合である。なお、図10において、時間tは、図に向かって左側から右側に進んでいる。また、ハッチングされた領域Rは、検出モード時間Tを示している。
【0055】
先ず、時点t1にて、ユーザ端末3aでログインをしたユーザAがプリント要求を行ったとする。そうすると、このプリント要求が、ユーザAのユーザIDに関連付けられたプリントジョブ(以下、プリントジョブAとする)としてジョブ管理テーブル61に記憶される。このプリントジョブAのステータスは「検出モード」である。ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」のプリントジョブが記憶されたので、RFID質問器18から問合せ電波が放射される。
【0056】
次に、時点t2にて、ユーザ端末3bでログインをしたユーザBがプリント要求を行ったとする。そうすると、このプリント要求が、ユーザBのユーザIDに関連付けられたプリントジョブ(以下、プリントジョブBとする)としてジョブ管理テーブル61に記憶される。このプリントジョブBのステータスは「検出モード」である。また、この時点では、ユーザAのプリント要求を誦してからの経過時間tが検出モード時間Tを経過していないので、プリントジョブAのステータスも「検出モード」である。また、RFID質問器18も動作を継続しており、タグの問合せ電波が放射されている。
【0057】
ここで、ユーザBが直ぐにプリント結果である印刷物を取りにプリンタ1に近付いたとする。そして、時点t3にて、このユーザBが携帯する身分証5に内蔵されたRFIDタグのデータ(ユーザID)が、RFID質問器18によって読み取られたとする。この時点t3では、プリントジョブBは、受取時刻からの経過時間tが検出モード時間T以内であるので、ステータスが「検出モード」から即、「印刷中」に更新される。その結果、プリンタ1の印刷部16が動作して、当該プリントジョブBのプリントデータが印刷出力される。したがって、プリンタ1に近付いたユーザBは、直ぐに自身の印刷物を受取ることができる。
【0058】
次に、プリントジョブAの受取時刻からの経過時間tが検出モード時間Tに達する時点t4まで、ユーザAがプリンタ1に近付いていないとする。そうすると、この時点t4にてプリントジョブAのステータスが「検出モード」から「印刷待ち」に更新される。また、プリンタ1からユーザ端末3aに対して、確認表示指令が送信される。これにより、ユーザ端末3aの表示部に、要求された印刷物がプリント要求から所定時間出力されなかったことを通知するメッセージが表示される。
【0059】
次に、時点t5にて、ユーザ端末3cでログインをしたユーザCがプリント要求を行ったとする。そうすると、このプリント要求が、ユーザCのユーザIDに関連付けられたプリントジョブ(以下、プリントジョブCとする)としてジョブ管理テーブル61に記憶される。このプリントジョブCのステータスは「検出モード」である。また、RFID質問器18も動作を継続しており、タグの問合せ電波が放射されている。
【0060】
次に、ユーザAが印刷物を取りにプリンタ1に近付いたとする。そして、時点t6にて、このユーザAが携帯する身分証5に内蔵されたRFIDタグのデータ(ユーザID)がRFID質問器18によって読み取られたとする。この時点t6では、プリントジョブAは、受取時刻からの経過時間tが検出モード時間Tを越えているので、ステータスが「印刷待ち」となっている。一方、この時点t6では、プリントジョブCの受取時刻からの経過時間tが検出モード時間T以内であるので、このプリントジョブCのステータスは「検出モード」である。したがって、プリントジョブAは実行されない。なお、RFID質問器18も動作を継続しており、タグの問合せ電波が放射されている。
【0061】
ここで、プリントジョブCの受取時刻からの経過時間tが検出モード時間Tに達する時点t9に至る前の時点t7にて、ユーザCがプリンタ1に近付き、このユーザCが携帯する身分証5に内蔵されたRFIDタグのデータ(ユーザID)がRFID質問器18によって読み取られたとする。この時点t7では、プリントジョブCは、受取時刻からの経過時間tが検出モード時間T以内であるので、ステータスが「検出モード」から即、「印刷中」に更新される。その結果、プリンタ1の印刷部16が動作して、当該プリントジョブCのプリントデータが印刷出力される。したがって、プリンタ1に近付いたユーザCは、直ぐに自身の印刷物を受取ることができる。
【0062】
その後、時点t8にてプリントジョブCの印刷出力が終了したとする。そうすると、ジョブ管理テーブル61に他にステータスが「検出モード」のプリントジョブが存在しないので、関連付けられたユーザIDを既に検出しているプリントジョブAのステータスが「印刷待ち」から「印刷中」に更新される。その結果、プリンタ1の印刷部16が動作して、当該プリントジョブAのプリントデータが印刷出力される。したがって、プリンタ1に近付いたユーザAは、自身の印刷物を受取ることができる。このとき、ジョブ管理テーブル61からステータスが「検出モード」又は「印刷待ち」のプリントジョブがなくなるので、RFID質問器18からの問合せ電波の放射が停止する。
【0063】
図10において、ユーザAとユーザCとを対比してみれば明らかなように、両者は略同時にプリンタ1に近付いている。そして、ユーザAのユーザIDが、ユーザCのユーザIDよりも若干早く、RFID質問器18によって検出されている。しかし、ユーザAは、プリンタ要求を指令してからの経過時間tが既に所定の検出モード時間Tを経過している。これに対し、ユーザCは、プリンタ要求を指令してからの経過時間tが未だ検出モード時間Tに達していない。
【0064】
このような場合、プリンタ1では、後からユーザIDが検出されたにも拘らず、ユーザCのプリントジョブの方が、ユーザAのプリントジョブよりも先に実行される。そして、ユーザCのプリントジョブが完了した後に、ユーザAのプリントジョブが実行される。
【0065】
このように本実施の形態によれば、プリントジョブを受信してからの経過時間tが短いユーザのユーザIDを検出した場合には、そのユーザのプリントジョブが優先的に実行されるので、緊急性(機密性を含む)のある印刷物のプリント要求を行ったために直ちにプリンタ1に印刷物を取りに行ったユーザは、印刷物を直ぐに受け取ることができる。したがって、このようなユーザの待ち時間を確実に減らすことができるので、使い勝手のよいプリンタ1を提供することができる。
【0066】
次に、上述の実施形態の変形例について、図11及び図12を参照して説明する。この変形例は、図1乃至図10を用いて説明した第1の実施の形態と異なるRFID質問器制御処理を行う。その他のハードウェア構成及びソフトウェア構成は、上述の実施形態と同様なので、図1〜図5及び図7〜図9を参照することによりその説明を省略する。
【0067】
この変形例のRFID質問器制御処理を、図11に示す。スタンバイ状態にあるCPU11は、ST51としてジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されているか否かを判断する。記憶されていない場合には(ST51のNO)、ST52としてRFID質問器18が問合せ電波を放射しているか否かを判断する。RFID質問器18が問合せ電波を放射していない場合には(ST52のNO)、ジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されるまで待機する。また、RFID質問器18が問合せ電波を放射している場合には(ST52のYES)、CPU11は、ST53としてRFID質問器18の停止を制御する。しかる後、ジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されるまで待機する。
【0068】
ジョブ管理テーブル61にプリントジョブが記憶されている場合には(ST51のYES)、CPU11は、ST54としてその記憶されている全てのプリントジョブのステータスを調べる。ここで、ステータスが全て「印刷中」であった場合には(ST54のYES)、ST52の処理に進む。すなわち、RFID質問器18が問合せ電波を放射しているか否かを判断し、放射している場合には停止させる。
【0069】
ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」または「印刷待ち」のプリントジョブが1つでも記憶されていた場合には(ST54のNO)、CPU11は、ST55としてジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのステータスが全て「印刷待ち」であるか否かを判断する。「印刷待ち」でない、すなわちジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」のプリントジョブが1つでも記憶されていた場合には(ST55のNO)、CPU11は、ST56としてRFID質問器18の電波送信出力を高出力に設定する。そして、ST57としてRFID質問器18が問合せ電波を放射しているか否かを判断し、放射していない場合には(ST57のNO)、ST58としてRFID質問器から問合せ電波を放射させる。
【0070】
その後、CPU11は、ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」プリントジョブがなくなるのを待機する。ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」プリントジョブがなくなったならば(ST59のYES)、CPU11は、ST51の処理に戻る。
【0071】
一方、ジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのステータスが全て「印刷待ち」であった場合には(ST55のYES)、CPU11は、ST60として、RFID質問器18の電波送信出力を低出力に設定する。その後、CPU11は、ST61としてこのプリントジョブの端末IDで識別されるユーザ端末3に対し、プリントジョブの確認を要求する確認表示指令の送信を制御する。この確認表示指令の情報は、通信インターフェイス15からネットワーク4を介して該当するユーザ端末3に送信される。その結果、当該ユーザ端末3の表示部は、要求された印刷物がプリント要求から所定時間出力されなかったことを示すメッセージを表示する。
【0072】
このメッセージは、ユーザがプリント要求したことを忘れて印刷待ちの状態が続く場合に印刷物を取りに行くことを催促するために表示される。続いて、CPU11はST62として確認フラグをセットし、さらにST63として例えばY秒の制限時間でタイマをセットする。CPU11がY秒の制限時間の超過を検出すると(ST64のYES)、確認表示指令を再送信するためにST61に戻る。
【0073】
Y秒の制限時間の超過が検出されなければ(ST64のNO)、CPU11は、ST65としてRFID質問器18がRFIDタグからユーザIDを読み取ったかどうか判断し、ST64,ST65の繰返しによりユーザIDの読取りを待つ。ユーザIDが読み取られたならば(ST65のYES)、CPU11は、ST66としてそのユーザIDが処理対象であるプリントジョブのユーザIDと一致するか否かを判断する。一致しない場合には(ST66のNO)、ST64の処理に戻る。
【0074】
RFID質問器18によって読み取ったユーザIDと処理対象であるプリントジョブのユーザIDとが一致した場合には(ST66のYES)、ST51の処理に戻る。
【0075】
ここで、ジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのステータスが「検出モード」であった場合には、そのプリントジョブは、受信時刻からの経過時間tが検出モード時間T以内である。これに対し、ジョブ管理テーブル61に記憶されているプリントジョブのステータスが全て「印刷待ち」であった場合には、全てのプリントジョブは、受信時刻からの経過時間tが検出モード時間Tを越えている。一方、RFID質問器18の電波送信出力が高出力に設定された場合と、低出力に設定された場合とでは、アンテナ19から放射されるタグ問合せ電波の到達見込み範囲が拡大する。
【0076】
因みに、この変形例では、RFID質問器18の送信回路部における増幅器を可変増幅器としている。そして、高出力に設定された場合には、この可変増幅器の増幅率を、低出力に設定された場合よりも大きくなるように、CPU11は、RFID質問器17を制御する。
【0077】
ここに、CPU11は、経過時間算出部に(ST31)より算出される経過時間tが検出モード時間T以内のプリントジョブ(画像形成ジョブ)がジョブ管理テーブル61(ジョブ記憶部)に記憶されている間は、記憶されていないときよりも問合せ電波の出力を高く制御する出力制御部(ST51〜ST60)を構成する。
【0078】
今、2名のユーザD,Eがそれぞれ異なるユーザ端末3d,3eを使用して、図12に示すタイミングでプリント要求を行った場合を想定する。すなわち、ユーザDは時点t1にてプリント要求を行い、ユーザEは時点t3にてプリント要求を行った場合である。なお、図12において、時間tは、図に向かって左側から右側に進んでいる。また、ハッチングされた領域Rは、検出モード時間Tを示している。
【0079】
先ず、時点t1にて、ユーザ端末3dでログインをしたユーザDがプリント要求を行ったとする。そうすると、このプリント要求が、ユーザDのユーザIDに関連付けられたプリントジョブ(以下、プリントジョブDとする)としてジョブ管理テーブル61に記憶される。このプリントジョブDのステータスは「検出モード」である。ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」のプリントジョブが記憶されたので、RFID質問器18が高出力(ON(H))に設定される。
【0080】
次に、プリントジョブDの受取時刻からの経過時間tが検出モード時間Tに達する時点t2まで、ユーザDがプリンタ1に近付いていないとする。そうすると、この時点t2にてプリントジョブDのステータスが「検出モード」から「印刷待ち」に更新される。その結果、ジョブ管理テーブル61内のプリントジョブのステータスが全て「印刷待ち」となったので、RFID質問器18が低出力(ON(L))に切替えられる。
【0081】
なお、このとき、プリンタ1からユーザ端末3dに対して、確認表示指令が送信される。これにより、ユーザ端末3dの表示部に、要求された印刷物がプリント要求から所定時間出力されなかったことを通知するメッセージが表示される。
【0082】
次に、時点t3にて、ユーザ端末3eでログインをしたユーザEがプリント要求を行ったとする。そうすると、このプリント要求が、ユーザEのユーザIDに関連付けられたプリントジョブ(以下、プリントジョブEとする)としてジョブ管理テーブル61に記憶される。このプリントジョブEのステータスは「検出モード」である。したがって、RFID質問器18が再び高出力(ON(H))に切替えられる。
【0083】
次に、ユーザDが印刷物を取りにプリンタ1に近付いたとする。そして、時点t4にて、このユーザDが携帯する身分証5に内蔵されたRFIDタグのデータ(ユーザID)がRFID質問器18によって読み取られたとする。この時点t4では、プリントジョブDは、受取時刻からの経過時間tが検出モード時間Tを越えているので、ステータスが「印刷待ち」となっている。一方、この時点t4では、プリントジョブEの受取時刻からの経過時間tが検出モード時間T以内であるので、このプリントジョブEのステータスは「検出モード」である。したがって、プリントジョブDは実行されない。なお、RFID質問器18は、ステータスは「検出モード」のプリントジョブが記憶されているので、高出力(ON(H))が維持される。
【0084】
次に、プリントジョブEの受取時刻からの経過時間tが検出モード時間Tに達する時点t7に至る前の時点t5にて、ユーザEがプリンタ1に近付き、このユーザEが携帯する身分証5に内蔵されたRFIDタグのデータ(ユーザID)がRFID質問器18によって読み取られたとする。この時点t5では、プリントジョブEは、受取時刻からの経過時間tが検出モード時間T以内であるので、ステータスが「検出モード」から即、「印刷中」に更新される。その結果、プリンタ1の印刷部16が動作して、当該プリントジョブEのプリントデータが印刷出力される。したがって、プリンタ1に近付いたユーザEは、直ぐに自身の印刷物を受取ることができる。
【0085】
その後、時点t6にてプリントジョブEの印刷出力が終了したとする。そうすると、ジョブ管理テーブル61に他にステータスが「検出モード」のプリントジョブが存在しないので、関連付けられたユーザIDを既に検出しているプリントジョブDのステータスが「印刷待ち」から「印刷中」に更新される。その結果、プリンタ1の印刷部16が動作して、当該プリントジョブDのプリントデータが印刷出力される。したがって、プリンタ1に近付いたユーザDは、自身の印刷物を受取ることができる。このとき、ジョブ管理テーブル61からステータスが「検出モード」又は「印刷待ち」のプリントジョブがなくなるので、RFID質問器18からの問合せ電波を停止する。
【0086】
図12に示すように、RFID質問器18は、ジョブ管理テーブル61にステータスが「検出モード」のプリントジョブ、すなわち、当該プリントジョブの受信時刻からの経過時間tが所定の検出モード時間Tを越えていないジョブが記憶されている間は、電波送信出力を高出力としている。この電波送信出力が高出力と設定されている期間(t1〜t2、t3〜t6)は、電波送信出力が低出力と設定されている期間(t2〜t3)よりも、タグ問合せ電波の到達見込み範囲が拡大する。すなわち、電波送信出力が低出力と設定されている期間(t2〜t3)よりも、電波送信出力が高出力と設定されている期間(t1〜t2、t3〜t6)の方が、アンテナ19より離れた場所のRFIDタグのデータを読み取ることができる。
【0087】
したがって、緊急性(機密性を含む)のある印刷物の出力を指令したユーザEが、プリント要求後、直ぐにプリンタ1に近付いた場合には、比較的遠方でもRFID質問器18によってユーザIDが検出される。そして、プリントジョブDより優先してプリントジョブEが実行される。したがって、ユーザEがプリンタ1に接近したときには既に印刷が開始されているので、緊急性のある印刷物の出力を指令したユーザの待ち時間をさらに減らすことができる。
【0088】
図13は、図4に示す操作パネルを用いたオプションメニュー操作に伴って行われるオプションメニュー処理の例を示す。このオプションメニュー処理はプリンタ1の動作を最適化するために行われる。CPU11がこのオプションメニュー処理を開始すると、ST70としてオプションメニューを操作パネル17に表示させる。このオプションメニューは、少なくとも「1.優先印刷の除外対象となるプリントジョブの設定(印刷枚数)」、「2.優先印刷を有効にする印刷環境の設定(ジョブ頻度)」、「3.順番待ちリスト表示」、「4.ジョブ順位の変更」をオプション項目として含む。続いて、CPU11は操作パネル17によって行われたいずれかの選択があるかどうかST71として判断する。ST71は選択ありを検出するまで繰り返される。選択の検出後、CPU11がST72としてオプション1が選択されたことを検出すると、CPU11がST73としてオプション1の処理を実行する。このオプション1の処理では、例えば100枚のような印刷枚数が操作パネル17から入力される。この場合、CPU11は100枚を越える印刷枚数のプリントジョブを優先印刷の除外対象に設定する。すなわち、オプション1は極めて長い印刷時間を要する単一のプリントジョブを優先させた結果として、比較的短い印刷時間のプリントジョブの印刷開始が遅れることを回避させる動作を実現する。
【0089】
オプション1が選択されない場合、処理はST74に進む。CPU11がオプション2の選択をST74として検出すると、CPU11がST75としてオプション2の処理を実行する。このオプション2の処理では、ジョブ頻度の上限値が優先印刷に適した印刷環境を設定するために操作パネル17から入力される。この場合、CPU11が単位時間内においてジョブ管理テーブル61に保持されるジョブ件数をジョブ頻度として確認し、ジョブ頻度が上限値未満である場合に上述の優先印刷を有効にする。すなわち、オプション2は印刷待ちのジョブ件数が極めて多い場合に生じたジョブ順位の繰り下りによってプリント要求の指令タイミングに対して印刷開始までの待ち時間が長くなることを回避させる動作を実現する。
【0090】
オプション2が選択されない場合、処理はST76に進む。CPU11がオプション3の選択をST76として検出すると、CPU11がST77としてオプション3の処理を実行する。このオプション3の処理では、CPU11がジョブ管理テーブル61により管理されたプリントジョブを現在の順番待ちリストとして操作パネル17に表示させる。すなわち、オプション3はプリンタ1に到着したユーザにこのユーザのユーザIDに対応するプリントジョブのジョブ順位を確認させる動作を実現する。
【0091】
オプション3が選択されない場合、処理はST78に進む。CPU11がオプション4の選択をST78として検出すると、CPU11がST79としてオプション4の処理を実行する。このオプション4の処理では、オプション3でジョブ順位の繰り下がりを確認した場合にプリンタ1に到着したユーザのユーザIDに対応するプリントジョブのジョブ順位を繰り上げる操作が操作パネル17で行われる。この場合、CPU11が操作パネル17からの繰り上げ操作に従ってこのユーザのジョブ順位をジョブ管理テーブル61において繰り上げる。すなわち、オプション4はプリンタ1に到着したユーザのジョブ順位の繰り下がりを解消する動作を実現する。
【0092】
また、1または複数の他のオプションがあれば、CPU11がST80として各オプション処理を実行する。ST73,ST75、ST77、ST79、ST80の後、CPU11はST90として操作パネル17が選択を完了させるために操作されたか判断する。選択が完了してしなければ、ST70が再度実行される。他方、選択が完了していれば、CPU11がオプションメニュー処理を終了させる。ちなみに、用紙ジャム等のトラブルが印刷部16において発生した場合、上述の優先印刷は自動的にキャンセルされる。
【0093】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々に変形して具体化できる。
【0094】
例えば、上述の実施形態では、各ユーザがそれぞれ携帯する身分証5のRFIDタグに、RFID質問器18から問合せ電波を送信し、この問合せ電波に応答したRFIDタグからユーザIDを非接触で読み取るようにユーザ検出器を構成したが、ユーザ検出器はこれに限定されるものではない。例えば発光素子を備えて、この発光素子からユーザIDを周期的に光信号として送信する記憶媒体を各ユーザが携帯し、この発光素子からの光信号を受光可能な受光素子を画像形成装置に設け、受光素子で受光した光信号からユーザIDを検出するようにしてもよい。
【0095】
また、上述の実施形態では、プリントジョブの受信時刻からの経過時間tが所定の検出モード時間Tを越えるまでは当該プリントジョブのステータスを「検出モード」とし、越えた後は「印刷待ち」として、プリントジョブの受信時刻からの経過時間を管理したが、経過時間そのものをプリントジョブの情報として記憶するようにし、複数のユーザIDを検出したときには、各ユーザIDがそれぞれ関連付けられたプリントジョブに関して、受信時刻からの経過時間を比較し、経過時間が最も短いプリントジョブを優先的に実行するように構成してもよい。こうすることにより、検出モード時間Tを省略することができる。
【0096】
また、本発明は、ネットワークプリンタに限定されるものではなく、複写機等の画像形成装置にも適用できるものである。
【0097】
この他、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の変形例を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…プリンタ、2…サーバ装置、3…ユーザ端末、4…ネットワーク、5…身分証、11…CPU、13…RAM、16…印刷部、18…RFID質問器、61…ジョブ管理テーブル、62…検出モード時間メモリ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開2007−098590号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末から受信した画像形成ジョブを、その端末のユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けて記憶するジョブ記憶部と、
前記ジョブ記憶部で記憶した画像形成ジョブを実行する画像形成部と、
各接近ユーザのユーザ識別情報を検出するユーザ検出器と、
前記ユーザ検出器による複数のユーザ識別情報の検出に伴ってこれらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられて前記ジョブ記憶部に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間を算出し、これら経過時間を比較し、経過時間が最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように前記画像形成部を制御する制御部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記経過時間が予め設定した設定時間以内か否かを判断する時間判断部と、
前記時間判断部により前記経過時間が前記設定時間以内であると判断されると、前記ユーザ識別情報が関連付けられた画像形成ジョブを実行させる第1の画像形成制御部と、
前記時間判断部により前記経過時間が前記設定時間を越えていると判断されると、前記ジョブ記憶部において、前記経過時間が前記設定時間以内の他の画像形成ジョブが記憶されているか否かを判断する他ジョブ監視部と、
前記他ジョブ監視部により前記設定時間以内の他の画像形成ジョブが前記ジョブ記憶部に記憶されていないと判断されたとき、前記ユーザ識別情報が関連付けられた画像形成ジョブを実行させる第2の画像形成制御部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ユーザ検出器は、各ユーザがそれぞれ携帯するRFIDタグに問合せ電波を送信し、この問合せ電波に応答した前記RFIDタグからユーザ識別情報を非接触で読み取る質問器であり、
前記制御部は、前記経過時間が前記設定時間以内の画像形成ジョブが前記ジョブ記憶部に記憶されている間において、前記設定時間以内の他の画像形成ジョブが前記ジョブ記憶部に記憶されていないときよりも前記問合せ電波の出力を高く制御する出力制御部を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ジョブ記憶部に記憶されている画像形成ジョブに、関連付けられたユーザ識別情報が前記ユーザ検出器によって検出されることのないまま前記経過時間が前記設定時間を越えた画像形成ジョブを検索するジョブ検索部と、
このジョブ検索部により該当する画像形成ジョブが検出されると、
この画像形成ジョブ送信元の端末に対して所定の時間が経過したことを通知する時間経過通知部とを含むことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記時間経過通知部は、画像形成結果の回収を催促するために時間経過の通知を周期的に繰り返すように構成されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ジョブ記憶部に記憶されている画像形成ジョブが前記設定時間を越えている画像形成ジョブであることを検出する前記ジョブ検索部と、この画像形成ジョブ送信元の端末に対して所定の時間が経過したことを通知する時間経過通知部とを含むことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部はユーザにより操作される操作部、及び前記操作部の操作に応じてオプション設定を行うオプション設定部を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記オプション設定部は前記操作部により入力される枚数を越える枚数の画像形成ジョブを前記優先的実行の対象から除外するオプション処理を行うように構成されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記オプション設定部は前記操作部により入力される上限値未満のジョブ頻度において前記優先的実行の制御を有効にするオプション処理を行うように構成されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記オプション設定部は前記ジョブ記憶部に記憶された画像形成ジョブの順番待ちリストを表示させるオプション処理を行うように構成されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記オプション設定部は前記ユーザ検出器で検出されたユーザ識別情報に対応する画像形成ジョブのジョブ順位を繰り上げるオプション処理を行うよう構成されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部はトラブルが前記画像形成部において発生した場合に前記優先的実行の制御をキャンセルするように構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
端末から受信した画像形成ジョブを、その端末のユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けて記憶するジョブ記憶部と、前記ジョブ記憶部で記憶した画像形成ジョブを実行する画像形成部とを備える画像形成装置の制御方法であって、
各接近ユーザのユーザ識別情報を検出し、
複数のユーザ識別情報の検出に伴ってこれらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられてジョブ記憶部に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間を算出し、
これら経過時間を比較し、
経過時間が最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように画像形成部を制御することを特徴とする制御方法。
【請求項14】
前記ユーザ検出器によりユーザ識別情報が検出されると、そのユーザ識別情報に関連付けられた画像形成ジョブに関して、受信時刻からの経過時間が予め設定した設定時間以内か否かを判断することを特徴とする請求項13に記載の制御方法。
【請求項15】
前記経過時間が前記設定時間以内であった場合には、前記ユーザ識別情報が関連付けられた画像形成ジョブを実行させることを特徴とする請求項14に記載の制御方法。
【請求項16】
前記経過時間が前記設定時間を越えていた場合に、前記ジョブ記憶部に、受信時刻からの経過時間が前記設定時間以内の他の画像形成ジョブが記憶されているか否かを判断することを特徴とする請求項15に記載の制御方法。
【請求項17】
受信時刻からの経過時間が前記設定時間以内の他の画像形成ジョブが記憶されていない場合に、前記ユーザ識別情報が関連付けられた画像形成ジョブを実行させることを特徴とする請求項16に記載の制御方法。
【請求項18】
受信時刻からの経過時間が前記設定時間以内の他の画像形成ジョブが記憶されている場合に、その経過時間が前記設定時間を越えるのを待って、前記ユーザ識別情報が関連付けられた画像形成ジョブを実行させることを特徴とする請求項17に記載の制御方法。
【請求項19】
端末から受信した画像形成ジョブを、その端末のユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けて記憶するジョブ記憶手段と、
前記ジョブ記憶部で記憶した画像形成ジョブを実行する画像形成手段と、
各接近ユーザのユーザ識別情報を検出するユーザ検出手段と、
前記ユーザ検出手段による複数のユーザ識別情報の検出に伴ってこれらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられて前記ジョブ記憶手段に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間を算出し、これら経過時間を比較し、経過時間が最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように前記画像形成手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
端末から受信した画像形成ジョブを、その端末のユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けて記憶するジョブ記憶部と、
前記ジョブ記憶部で記憶した画像形成ジョブを実行する画像形成部と、
各接近ユーザのユーザ識別情報を検出するユーザ検出器と、
前記ユーザ検出器による複数のユーザ識別情報の検出に伴ってこれらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられて前記ジョブ記憶部に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間を算出し、これら経過時間を比較し、経過時間が最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように前記画像形成部を制御する制御部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記経過時間が予め設定した設定時間以内か否かを判断する時間判断部と、
前記時間判断部により前記経過時間が前記設定時間以内であると判断されると、前記ユーザ識別情報が関連付けられた画像形成ジョブを実行させる第1の画像形成制御部と、
前記時間判断部により前記経過時間が前記設定時間を越えていると判断されると、前記ジョブ記憶部において、前記経過時間が前記設定時間以内の他の画像形成ジョブが記憶されているか否かを判断する他ジョブ監視部と、
前記他ジョブ監視部により前記設定時間以内の他の画像形成ジョブが前記ジョブ記憶部に記憶されていないと判断されたとき、前記ユーザ識別情報が関連付けられた画像形成ジョブを実行させる第2の画像形成制御部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ユーザ検出器は、各ユーザがそれぞれ携帯するRFIDタグに問合せ電波を送信し、この問合せ電波に応答した前記RFIDタグからユーザ識別情報を非接触で読み取る質問器であり、
前記制御部は、前記経過時間が前記設定時間以内の画像形成ジョブが前記ジョブ記憶部に記憶されている間において、前記設定時間以内の他の画像形成ジョブが前記ジョブ記憶部に記憶されていないときよりも前記問合せ電波の出力を高く制御する出力制御部を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ジョブ記憶部に記憶されている画像形成ジョブに、関連付けられたユーザ識別情報が前記ユーザ検出器によって検出されることのないまま前記経過時間が前記設定時間を越えた画像形成ジョブを検索するジョブ検索部と、
このジョブ検索部により該当する画像形成ジョブが検出されると、
この画像形成ジョブ送信元の端末に対して所定の時間が経過したことを通知する時間経過通知部とを含むことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記時間経過通知部は、画像形成結果の回収を催促するために時間経過の通知を周期的に繰り返すように構成されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ジョブ記憶部に記憶されている画像形成ジョブが前記設定時間を越えている画像形成ジョブであることを検出する前記ジョブ検索部と、この画像形成ジョブ送信元の端末に対して所定の時間が経過したことを通知する時間経過通知部とを含むことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部はユーザにより操作される操作部、及び前記操作部の操作に応じてオプション設定を行うオプション設定部を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記オプション設定部は前記操作部により入力される枚数を越える枚数の画像形成ジョブを前記優先的実行の対象から除外するオプション処理を行うように構成されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記オプション設定部は前記操作部により入力される上限値未満のジョブ頻度において前記優先的実行の制御を有効にするオプション処理を行うように構成されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記オプション設定部は前記ジョブ記憶部に記憶された画像形成ジョブの順番待ちリストを表示させるオプション処理を行うように構成されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記オプション設定部は前記ユーザ検出器で検出されたユーザ識別情報に対応する画像形成ジョブのジョブ順位を繰り上げるオプション処理を行うよう構成されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部はトラブルが前記画像形成部において発生した場合に前記優先的実行の制御をキャンセルするように構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
端末から受信した画像形成ジョブを、その端末のユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けて記憶するジョブ記憶部と、前記ジョブ記憶部で記憶した画像形成ジョブを実行する画像形成部とを備える画像形成装置の制御方法であって、
各接近ユーザのユーザ識別情報を検出し、
複数のユーザ識別情報の検出に伴ってこれらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられてジョブ記憶部に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間を算出し、
これら経過時間を比較し、
経過時間が最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように画像形成部を制御することを特徴とする制御方法。
【請求項14】
前記ユーザ検出器によりユーザ識別情報が検出されると、そのユーザ識別情報に関連付けられた画像形成ジョブに関して、受信時刻からの経過時間が予め設定した設定時間以内か否かを判断することを特徴とする請求項13に記載の制御方法。
【請求項15】
前記経過時間が前記設定時間以内であった場合には、前記ユーザ識別情報が関連付けられた画像形成ジョブを実行させることを特徴とする請求項14に記載の制御方法。
【請求項16】
前記経過時間が前記設定時間を越えていた場合に、前記ジョブ記憶部に、受信時刻からの経過時間が前記設定時間以内の他の画像形成ジョブが記憶されているか否かを判断することを特徴とする請求項15に記載の制御方法。
【請求項17】
受信時刻からの経過時間が前記設定時間以内の他の画像形成ジョブが記憶されていない場合に、前記ユーザ識別情報が関連付けられた画像形成ジョブを実行させることを特徴とする請求項16に記載の制御方法。
【請求項18】
受信時刻からの経過時間が前記設定時間以内の他の画像形成ジョブが記憶されている場合に、その経過時間が前記設定時間を越えるのを待って、前記ユーザ識別情報が関連付けられた画像形成ジョブを実行させることを特徴とする請求項17に記載の制御方法。
【請求項19】
端末から受信した画像形成ジョブを、その端末のユーザを識別するユーザ識別情報と関連付けて記憶するジョブ記憶手段と、
前記ジョブ記憶部で記憶した画像形成ジョブを実行する画像形成手段と、
各接近ユーザのユーザ識別情報を検出するユーザ検出手段と、
前記ユーザ検出手段による複数のユーザ識別情報の検出に伴ってこれらユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられて前記ジョブ記憶手段に記憶された画像形成ジョブの受信時刻からの経過時間を算出し、これら経過時間を比較し、経過時間が最も短い画像形成ジョブを優先的に実行するように前記画像形成手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−52427(P2010−52427A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178331(P2009−178331)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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