説明

画像形成装置及びその給紙カセット

【課題】装置本体の設置面積を可及的に小さくした画像形成装置を提供する。
【解決手段】給紙カセット3bは左側面外装部50の上部に形成された二本のレール47をプリンタ1の筐体フレーム45に形成された断面が逆コの字形の案内溝46に係合させてプリンタ1に装着される。プリンタ1の筐体44の左側面の下部の前後に形成された指掛け開口部9の内側上部に指掛け取っ手48が配設され、給紙カセット3bは左側面外装部50の指掛け開口部9との対向面には切り欠き部51が形成され、切り欠き部51の奥方向(図の右方向)にはカセット本来の給紙機能を損なうことのない空間52が形成される。装置本体を持ち運ぶとき作業者は指掛け開口部9に手を差し入れて手のひら又は指の根元を指掛け取っ手48に掛け、指を切り欠き部51より奥の空間52に差し入れて指先を曲げることにより装置本体を確実に持ち上げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体の設置面積を可及的に小さくした画像形成装置及びその給紙カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体の下部にある給紙カセット装着部に対し給紙カセットを抜き差しする構成の比較的小型の画像形成装置が知られている。比較的小型という意味は、例えば事務机程度の大きさのテーブル上に載置可能な大きさという意味である。
【0003】
このような大きさの画像形成装置では、工場からオフイスに搬入して新たに設置するとき又は従来から使用していた設置場所から移動させる場合には、例えば二人掛かりで装置本体の両脇にある取っ手を持って移動させる。
【0004】
そのようなときのために、少ないスペースを有効に活用し、簡単な構成で運搬者の手の滑りを確実に防止する取っ手を備える画像形成装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
また、プリンタや複写機等の電子機器の運搬時に、下方に連結されている増設ユニットを同時に運搬しようとして上部の電子機器を落下させる不具合を防止するために、下部の増設ユニットの筐体の取っ手に指を掛けることを禁止する防止装置を備えた増設ユニットを持つ装置が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−189752号公報
【特許文献2】特開2007−106034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の画像形成装置の取っ手の構成をみると、装置本体の前面側と後面側に、装置本体の筐体をえぐるように取っ手への指挿入領域が形成されている。
【0008】
この指挿入領域が形成されている位置の装置本体の内部には、種々の内部装置や部材が配設されている。したがって、取っ手構造の領域は、内部装置や部材との干渉を避けるため、内部装置や部材から外部に離れる方向に、又は内部装置や部材の間隙に配置する必要がある。
【0009】
取っ手構造の領域を内部装置や部材から外部に離れる方向に設けるのは、装置本体が大型化する。また、取っ手構造の領域を内部装置や部材の間隙に配置するのは、持ち易さに難のある位置にしか取っ手構造を配置できない、又は設計に大きな制約が加わる。いずれにしても特許文献1には設置面積を小さくするという配慮は見られない。
【0010】
また、特許文献2の増設ユニットを持つ装置は、同じく電子機器の運搬用の取っ手についての提案であるが、親の電子機器と増設ユニットとを個別に運搬するよう強制するものであって、設置面積を小さくするという特段の配慮は見られない。
【0011】
ところが、近年、画像形成装置(画像形成装置)に限らずオフイスに設置される電子機器は、その設置面積が小さければ小さいほど好ましいとされる。一方、運搬用の取っ手の開口部は、手掛かりを確実にするために十分な奥行きを必要とする。
【0012】
このため運搬用の取っ手の開口部は、装置本体を大型化する要因となる半面、運搬時以外は、常には必要としない不要な機能部分であるという他の面もある。ここに、設計に特段の制約を加えることなく簡単な構成で、運搬用の取っ手の開口部による装置本体の大型化を可及的に抑止しなければならないという課題がある。
【0013】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、装置本体を運搬するための指掛け開口部の取っ手領域を、装置本体側と内部部材側とに分散させて装置本体の設置面積を可及的に小さくした画像形成装置及びその給紙カセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、装置本体下部に給紙カセットを着脱自在に備えると共に、上記装置本体下部側面に上記装置本体を運搬するための指掛け開口部を備える画像形成装置において、上記指掛け開口部は、上記給紙カセットが上記装置本体下部に装着された際に該給紙カセットの側面に対向する位置に形成され、上記給紙カセットは、上記指掛け開口部が対向する位置にカセット側指掛け空間部を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、装置本体を運搬するための指掛け開口部の取っ手領域を装置本体側と装置本体に装着される内部部材側とに分散させて設けるので、装置本体の設置面積を可及的に小さくした画像形成装置及びその給紙カセットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1に係る運搬用の指掛け開口部を備えたフルカラーの画像形成装置(プリンタ)の外観斜視図である。
【図2】実施例1に係るプリンタの内部構成を説明する断面図である。
【図3】実施例1に係るプリンタの下方の給紙カセットの左端部(給紙端に対して反対側端部)の形状と装置本体左端部の形状を示す図である。
【図4】下方の給紙カセットの平面図を、二点鎖線で仮想的に示す装置本体筐体の外郭とハッチングで仮想的に示す指掛け開口部の取っ手領域の輪郭と共に示す図である。
【図5】実施例1のプリンタとの比較のため従来型の給紙カセットの平面図を、二点鎖線で仮想的に示す装置本体筐体の外郭とハッチングで仮想的に示す指掛け開口部の取っ手領域の輪郭と共に示す図である。
【図6】実施例2に係るプリンタの下方の給紙カセットの左端部(給紙端に対して反対側端部)の形状と装置本体左端部の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係る運搬用の指掛け開口部を備えたフルカラーの画像形成装置(プリンタ)の外観斜視図である。図1に示すように、プリンタ1は、前方に前扉2を備え、前扉2の下方には2個の給紙カセット3(3a、3b)が装着されている。
【0019】
2個の給紙カセット3(3a、3b)は、それぞれ取っ手4を備え、これらの取っ手4により、詳しくは後述する装置本体側の案内レールに沿って位置決めされながら、装置本体の前方方向に抜き差しして装着部に対し着脱される。
【0020】
また、プリンタ1は、上面右方に操作パネル5が配設され、更に画像形成媒体(以下単に「用紙」という)の排紙部6が形成されている。
【0021】
操作パネル5は、特には番号を付して明示しないが複数のキーが配設されたキー操作部と、不図示の制御部から出力される表示情報に基づき表示を行う液晶ディスプレイで構成されている。
【0022】
排紙部6の右端部上方には、排紙口7と、この排紙口7に配置された排紙ローラ8が設けられている。排紙ローラ8は後述する画像形成ユニットによりカラー画像を形成された用紙を、排紙口7から順次排出して排紙部6上に積載する。
【0023】
また、プリンタ1の左側面の下部には、前後の二箇所に装置本体(プリンタ1)を運搬するための指掛け開口部9が形成されている。この指掛け開口部9については、詳しくは後述する。
【0024】
図2は、上記外観を有する実施例1に係るプリンタ1の内部構成を説明する断面図である。同図に示すように、プリンタ1は、画像形成部11、ベルトユニット12、両面印刷用搬送ユニット13、給紙部14、及び定着部15で構成されている。
【0025】
上記画像形成部11は、同図の右から左へ4個の画像形成ユニット16(16M、16C、16Y、16K)を多段式に並設した構成からなる。画像形成ユニット16Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0026】
また、上記4個の画像形成ユニット16のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット16M、16C及び16Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成する。
【0027】
上記の各画像形成ユニット16は、トナー容器(トナーカートリッジ)に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット16Kを例にしてその構成を説明する。
【0028】
画像形成ユニット16は、最下部に感光体ドラム17を備えている。この感光体ドラム17は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。
【0029】
この感光体ドラム17の周面に接して又は近傍を取り巻いて、クリーナ18、帯電ローラ19、光書込ヘッド21、及び現像器22の現像ローラ23が配置されている。
【0030】
現像器22は、上部のトナー容器に同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備えている。
【0031】
また、現像器22の下部には側面開口部に上述した現像ローラ23を備え、内部にはトナー撹拌部材、現像ローラ23にトナーを供給するトナー供給ローラ24、現像ローラ23上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0032】
ベルトユニット12は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト25と、この転写ベルト25を掛け渡されて転写ベルト25を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ26と従動ローラ27を備えている。
【0033】
上記の転写ベルト25は、トナー像を直接ベルト面に転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送するので、ここではユニット全体を中間転写ベルトユニットと言っている。
【0034】
このベルトユニット12は、上記扁平なループ状の転写ベルト25のループ内にベルト位置制御機構28を備えている。ベルト位置制御機構28は、転写ベルト25を介して感光体ドラム17の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ29を備えている。
【0035】
ベルト位置制御機構28は、マゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット16M、16C及び16Yに対応する3個の一次転写ローラ29を鉤型の支持軸を中心に同一周期で回転移動させる。
【0036】
そして、ベルト位置制御機構28は、ブラック(K)の画像形成ユニット16Kに対応する1個の一次転写ローラ29を上記3個の一次転写ローラ29の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて転写ベルト25を感光体ドラム17から離接させる。
【0037】
すなわち、ベルト位置制御機構28は、ベルトユニット12の転写ベルト25の位置を、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ29が転写ベルト25に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット16Kに対応する一次転写ローラ29のみが転写ベルト25に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ29が転写ベルト25から離れる)に切換える。
【0038】
上記のベルトユニット12には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット16Mの更に上流側に、ベルトクリーニング部31が配置されている。また、ベルトユニット12の下面部に沿い付けて、平らで薄型の廃トナー回収容器32が着脱自在に配置されている。
【0039】
ベルトクリーニング部31と廃トナー回収容器32は、特には図示しないが、一時貯留部、廃トナー搬送スクリュー、及び落下筒を介して連結されている。
【0040】
給紙部14は、図1にも示した上下2段に配置された2個の給紙カセット3(3a、3b)を備えている。2個の給紙カセット3の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ33、給送ローラ34、捌きローラ35、待機搬送ローラ対36が配置されている。
【0041】
待機搬送ローラ対36の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト25を介して従動ローラ27に圧接する二次転写ローラ37が配設されている。これら転写ベルト25、従動ローラ27及び二次転写ローラ37により、用紙への二次転写部が形成されている。
【0042】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニットからなる前述した定着部15が配置されている。定着部15の更に下流側には、定着後の用紙を定着部15から搬出する搬出ローラ対38、搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー39に排紙する排紙ローラ対41が配設されている。
【0043】
両面印刷用搬送ユニット13は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の右側面カバーとしての開閉部材を兼ねている。両面印刷用搬送ユニット13は、搬出ローラ対38と排紙ローラ対41との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した返送路を備えている。
【0044】
この返送路は、開始返送路42a、下方に曲がる中間返送路42b、左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路42c、及びこれら返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対43a、43b、43c、43dを備えている。
【0045】
上記終端返送路42cの出口は、給紙部14の下方の給紙カセット3bに対応する待機搬送ローラ対36への搬送路に連絡している。
【0046】
このプリンタ1は、図2に示したように、画像形成ユニット16から用紙に直接トナー像を転写する方式ではなく、待機搬送ローラ対36により二次転写部まで鉛直方向に搬送される用紙に中間転写ベルト25を介してトナー像を二次転写する方式となっている。
【0047】
したがって、用紙ジャム等の不具合はキット類の配設部では発生しないので、図2の左側に集中するキット類などの消耗品の着脱の操作は、図1に示す前扉2を開いて、キット類を装置本体の前後方向に入れ替え操作するだけで良いように構成されている。
【0048】
これにより、キット間の寸法は、可及的に縮小されており、装置本体全体の小型化、特に横幅の小型化が図られている。また、光書込みヘッド自体も小型化され、感光体ドラムに、より近接している構成となっている。
【0049】
ここで本例のプリンタ1では、更なる横幅の小型化が図られている。以下、これについて説明する。
図3は、図1及び図2に示した2個の給紙カセット3の下方の給紙カセット3bの左端部(給紙端に対して反対側端部)の形状と、装置本体左端部の形状を示す図である。
【0050】
図3に示すように、装置本体の筐体44の内部には、筐体44の内面に密着して筐体フレーム45が形成されている。装置本体の最下端部には図1に示した指掛け開口部9が形成されている。
【0051】
指掛け開口部9の内側の上部には、垂直の筐体フレーム45の下部を内側に直角に曲げた張出部45aの下面に密着して、指掛け取っ手48が形成されている。
【0052】
筐体フレーム45の内面には、指掛け開口部9の上方において、断面が逆コの字形の案内溝46が形成されている。この案内溝46に、給紙カセット3bの2本の着脱係合レール47が係合している。
【0053】
給紙カセット3bの左側面外装部50は、2本の着脱係合レール47より下方の中央部の、後述する用紙左端部規制部材が最左端部に在るときの位置に対応する外装部分の前後において、指掛け開口部9に対向する部分が切り欠かれて、切り欠き部51が形成されている。
【0054】
この切り欠き部51の奥方向(図の右方向)の空間52は、詳しくは更に後述するが、上記の用紙左端部規制部材(以下、縦規制部材ともいう)が最左端部に在るときの左端中央内装部53と前後の外装部との間の空き領域に当たる部分である。
【0055】
作業者が装置本体を持ち運ぶときは、作業者は、指掛け開口部9に手を差し入れて、手のひら又は指の根元を指掛け取っ手48に掛け、指を切り欠き部51より奥の空間52に差し入れて指先を曲げることにより、装置本体を確実に持ち上げることができる。
【0056】
図4は給紙カセット3bの平面図を、二点鎖線で仮想的に示す装置本体筐体44の外郭とハッチングで仮想的に示す指掛け開口部9の取っ手領域の輪郭と共に示す図である。
【0057】
尚、図4では、断面図であるため、指掛け開口部9よりも上方に配置される図3に示した案内溝46と着脱係合レール47は見えない。この給紙カセット3bの用紙収納面の大きさは本例の最大サイズのA3判用紙を長手方向に搬送可能に収納する大きさである。
【0058】
給紙カセット3bにA3判よりも小サイズのB4判、A4判、B5判等の用紙が収容されるときは、用紙の搬送方向の横方向(装置本体に対して前後方向、図の上下方向)に対してはカセット右方の前後に2つある横規制部材54が移動して用紙の位置を規制する。
【0059】
また、用紙の搬送方向の縦方向に対する規制は、搬送方向前端部は給紙カセット3bの右側内装部55の内面によって規制される。そして、用紙の搬送方向後端部は縦規制部材(用紙左端部規制部材)56によって位置決めされて位置を規制される。
【0060】
図4に示す縦規制部材56の位置は、A4判用紙を横向に搬送するように給紙カセット3bに収容したときの、用紙の搬送方向後端部の規制位置である。
【0061】
給紙カセット3bにプリンタ1で使用可能な最大サイズのA3判用紙を収容したときは、用紙の搬送前方向横位置はカセット右方の横規制部材54により規制され、搬送後方向横位置はカセット左端の前後の内装部57(57a、57b)の内面により規制される。
【0062】
そして、最大サイズのA3判用紙に対する搬送方向前端部位置は給紙カセット3bの右側内装部55の内面によって規制される。また、搬送方向後端部位置は給紙カセット3bの左端両脇内装部58(58a、58b)の内面により規制される。
【0063】
このとき、縦規制部材56は、給紙カセット3bの左端中央に形成されている左端中央内装部53により形成される退避位置59まで後退して退避する。
【0064】
給紙カセット3bの左端中央内装部53は、縦規制部材56が、左端両脇内装部58(58a、58b)で位置規制されたA3判用紙の後端部(図では左端部)よりも更に左方に移動して退避する場所であるので、給紙カセット3bの内装の最左端部となっている。
【0065】
この左端中央内装部53は、最大サイズの用紙収容時に縦規制部材56が退避する場所であるので給紙カセット3bにとっては必須の構成領域であるが、縦規制部材56が退避するだけの場所であるので大きな空間領域は必要がない。
【0066】
したがって、左端中央内装部53の前後には、内装部と外装部との間に空間52が形成される。この空間52はカセット本来の給紙機能を損なうものではない。この空間52に、図3に示す外装部の切り欠き部51を介して指掛け開口部9を連通させる。
【0067】
このように、本例のプリンタ1では、装置本体を運搬するための指掛け開口部9の取っ手領域の有効領域を、装置本体側の取っ手48と内部部材である給紙カセット3b側の空間52とに分散して形成する。
【0068】
したがって、本来であれば給紙カセット3bの左端面外装部50より左外側に配置すべき指掛け開口部9の取っ手領域(指掛け取っ手48と空間52)を、約1/2を給紙カセット3b側の空間52に分散して配置するので、その分だけ装置本体の横幅が減少する。
【0069】
すなわち、給紙カセット3bの左端面外装部50と装置本体筐体44との間隙aは、指掛け開口部9の取っ手領域(指掛け取っ手48と空間52)の約1/2である。
【0070】
図5は、本例のプリンタ1との比較のため、従来型の給紙カセットの平面図を、二点鎖線で仮想的に示す装置本体筐体の外郭とハッチングで仮想的に示す指掛け開口部の取っ手領域の輪郭と共に示す図である。
【0071】
従来型では、給紙カセット3b´の左端面外装部50´と装置本体筐体44´との間隙bは、指掛け開口部9´の取っ手領域(ハッチング部分)をそのまま形成するだけの間隙を必要とする。図5に示す間隙bは、図4に示す間隙aの約2倍である。
【実施例2】
【0072】
図6は、実施例2に係るプリンタの下方の給紙カセットの左端部(給紙端に対して反対側端部)の形状と装置本体左端部の形状を示す図である。実施例1では、指掛け取っ手48の取付部を、垂直の筐体フレーム45の下端を直角に折り曲げて構成した。
【0073】
この実施例2では、図6に示すように、垂直の筐体フレーム45の下端は曲げ加工せずにそのままとし、代わりに、断面が逆コの字形の案内溝46を指掛け開口部9の上端部まで下げて配置し、その案内溝46の下方の張出部を指掛け取っ手48の取付部とする。
【0074】
このように本発明においては、いずれの実施例においても、装置本体を運搬するための指掛け開口部の取っ手領域を装置本体側と装置本体に装着される内部部材側とに分散させて設けるので、装置本体の設置面積を可及的に小さくしたプリンタ及びその給紙カセットが実現する。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0076】
装置本体下部に給紙カセットを着脱自在に備えると共に、前記装置本体下部側面に前記装置本体を運搬するための指掛け開口部を備える画像形成装置において、
前記指掛け開口部は、前記給紙カセットが前記装置本体下部に装着された際に該給紙カセットの側面に対向する位置に形成され、
前記給紙カセットは、前記指掛け開口部が対向する位置にカセット側指掛け空間部を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
[付記2]
【0077】
装置本体下部側面に該装置本体を運搬するための指掛け開口部を備えた画像形成装置に着脱自在な給紙カセットにおいて、
前記画像形成装置本体に装着された際に、前記指掛け開口部に対向する位置にカセット側指掛け空間部を備える、
ことを特徴とする給紙カセット。
[付記3]
【0078】
前記カセット側指掛け空間部は、前記給紙カセットに最大サイズの用紙が収容されたとき用紙後端位置を規制する規制部材が退避する部位の前記画像形成装置本体に対する前後に形成される、ことを特徴とする付記2記載の給紙カセット。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、装置本体の設置面積を可及的に小さくした画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置(プリンタ)
2 前扉
3(3a、3b) 給紙カセット
4 取っ手
5 操作パネル
6 排紙部
7 排紙口
8 排紙ローラ
9 指掛け開口部
11 画像形成部
12 ベルトユニット
13 両面印刷用搬送ユニット
14 給紙部
15 定着部
16(16M、16C、16Y、16K) 画像形成ユニット
17 感光体ドラム
18 クリーナ
19 帯電ローラ
21 光書込ヘッド
22 現像器
23 現像ローラ
24 トナー供給ローラ
25 転写ベルト
26 駆動ローラ
27 従動ローラ
28 ベルト位置制御機構
29 一次転写ローラ
31 ベルトクリーニング部
32 廃トナー回収容器
33 用紙取出ローラ
34 給送ローラ
35 捌きローラ
36 待機搬送ローラ対
37 二次転写ローラ
38 搬出ローラ対
39 排紙トレー
41 排紙ローラ対
42a 開始返送路
42b 中間返送路
42c 終端返送路
43a、43b、43c、43d 返送ローラ対
44 装置本体筐体
45 筐体フレーム
45a 張出部
46 案内溝
47 着脱係合レール
48 指掛け取っ手
50 左側面外装部
51 切り欠き部
52 空間
53 左端中央内装部
54 横規制部材
55 右側内装部
56 縦規制部材(用紙左端部規制部材)
57(57a、57b) 左端前後の内装部
58(58a、58b) 左端両脇内装部
59 退避位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体下部に給紙カセットを着脱自在に備えると共に、前記装置本体下部側面に前記装置本体を運搬するための指掛け開口部を備える画像形成装置において、
前記指掛け開口部は、前記給紙カセットが前記装置本体下部に装着された際に該給紙カセットの側面に対向する位置に形成され、
前記給紙カセットは、前記指掛け開口部が対向する位置にカセット側指掛け空間部を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
装置本体下部側面に該装置本体を運搬するための指掛け開口部を備えた画像形成装置に着脱自在な給紙カセットにおいて、
前記画像形成装置本体に装着された際に、前記指掛け開口部に対向する位置にカセット側指掛け空間部を備える、
ことを特徴とする給紙カセット。
【請求項3】
前記カセット側指掛け空間部は、前記給紙カセットに最大サイズの用紙が収容されたとき用紙後端位置を規制する規制部材が退避する部位の前記画像形成装置本体に対する前後に形成される、ことを特徴とする請求項2記載の給紙カセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−40988(P2013−40988A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176026(P2011−176026)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】