説明

画像形成装置及びトナー容器

【課題】製造工程の煩雑化や製造コストの上昇を抑制し、スペース上の問題が生じるのを回避しつつ、トナー容器の内部を確実に冷却してトナーの固化を防止可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、トナーを収容するコンテナ18と、コンテナ18を着脱可能に収納する収納部26と、を備えた画像形成装置1であって、コンテナ18には、複数のトナー容器側リブ35が設けられ、収納部26には、トナー容器側リブ35と対応する位置に複数の収納部側リブ41が設けられ、コンテナ18が収納部26に装着されたときに、トナー容器側リブ35及び収納部側リブ41によって連続する仕切壁48が複数形成され、複数の仕切壁48の間にコンテナ18を冷却するためのダクト50が形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置及びこの画像形成装置に対して着脱可能に設けられるトナー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置が知られている。この画像形成装置の内部には定着ユニット等の発熱源が存在しており、画像形成動作の繰り返しに伴って上記した発熱源が発熱し、画像形成装置内部の温度が上昇する虞が有る。そこで、画像形成装置内に冷却ファンを設置し、この冷却ファンからの風を、ダクトを介して発熱源に吹き付けることで、発熱源を冷却する構成が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記した画像形成装置には、画像形成動作に用いられるトナーを収容するトナー容器が着脱可能に設けられている。このトナー容器の内部が高温化すると、トナー容器に収納されたトナーが固化してしまい、良好な出力画像を得ることが困難になる。そこで、トナー容器を冷却することが求められるが、このトナー容器の冷却を確実に行うためには、前記従来技術と同様に、冷却ファンからの風を、ダクトを介してトナー容器に吹き付けるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−140884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トナー容器を冷却するためのダクトを画像形成装置の内部に独立して設置すれば、その分部品点数が増加して製造工程の煩雑化及び製造コストの上昇を招く虞が有る。また、新設したダクトと既存の部品との間でスペース上の問題が生じる虞も有る。
【0006】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、製造工程の煩雑化や製造コストの上昇を抑制し、スペース上の問題が生じるのを回避しつつ、トナー容器の内部を確実に冷却してトナーの固化を防止可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、トナーを収容するトナー容器と、該トナー容器を着脱可能に収納する収納部と、を備えた画像形成装置であって、前記トナー容器には、複数のトナー容器側リブが設けられ、前記収納部には、前記トナー容器側リブと対応する位置に複数の収納部側リブが設けられ、前記トナー容器が前記収納部に装着されたときに、前記トナー容器側リブ及び前記収納部側リブによって連続する仕切壁が複数形成され、該複数の仕切壁の間に前記トナー容器を冷却するためのダクトが形成されることを特徴とする。
【0008】
このようにトナー容器を冷却するためのダクトを形成することで、トナー容器の内部を確実に冷却することが可能となり、トナー容器内に収納されたトナーの固化を抑制して、良好な出力画像を得ることが可能となる。また、既存の部材であるトナー容器及び収納部にそれぞれリブを設けるだけの簡易な構成でダクトを形成しているため、製造工程の煩雑化や製造コストの上昇を抑制することが可能になると共に、ダクトと既存の部品との間でスペース上の問題が生じるのを回避することが可能となる。
【0009】
本発明の画像形成装置は、前記トナー容器側リブ及び前記収納部側リブは、仕向地ごとに異なる位置に設けられても良い。
【0010】
このような構成を採用することで、正規の仕向地のトナー容器が収納部に装着された場合に限り、ダクトを流れる風でトナー容器を冷却することが可能となる。また、仕向地ごとに異なる位置にトナー容器側リブ及び収納部側リブを設けることで、それぞれの地域や環境に合った仕様でダクトを形成することが可能となる。これに伴って、トナー容器をそれぞれの地域や環境に合った最適な温度に保つことが可能となる。
【0011】
本発明の画像形成装置は、前記トナー容器側リブには、仕向地ごとに異なる位置にトナー容器側係合部が設けられ、前記収納部側リブには、仕向地ごとに異なる位置に収納部側係合部が設けられても良い。
【0012】
このような構成を採用することで、仕向地の異なるトナー容器が収納部に装着されるのを防止することが可能となり、トナー容器の誤装着に伴う不具合を抑制することが可能となる。
【0013】
本発明の画像形成装置は、前記トナー容器は、異なる色のトナーを収容するものが複数設けられ、前記収納部は、トナーの色ごとに複数設けられ、前記トナー容器側リブは、前記トナー容器ごとに異なる位置に設けられ、前記収納部側リブは、前記収納部ごとに異なる位置に設けられ、色の一致する前記収納部に前記トナー容器が装着された場合に限り、前記ダクトが形成されても良い。
【0014】
このような構成を採用することで、色の一致する収納部にトナー容器が装着された場合に限り、ダクトに流れる風でトナー容器を冷却することが可能となる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、前記トナー容器は、異なる色のトナーを収容するものが複数設けられ、前記収納部は、トナーの色ごとに複数設けられ、前記トナー容器側リブには、前記トナー容器ごとに異なる位置にトナー容器側係合部が設けられ、前記収納部側リブには、前記収納部ごとに異なる位置に収納部側係合部が設けられ、色の一致する前記収納部に前記トナー容器が装着される場合に限り、前記トナー容器側係合部と前記収納部側係合部が係合して、前記トナー容器の前記収納部への装着が可能となるように構成されても良い。
【0016】
このような構成を採用することで、トナー容器が色の一致しない収納部に装着されるのを防止することが可能となり、トナー容器の誤装着に伴う不具合を抑制することが可能となる。
【0017】
本発明の画像形成装置は、前記収納部の上方には排紙トレイが設けられ、該排紙トレイには風抜き穴が形成され、前記ダクトを流れる風が前記風抜き穴を介して前記排紙トレイ上に吹き出すように構成されても良い。
【0018】
このような構成を採用することで、ダクト内を流れる風によって、トナー容器だけでなく排紙トレイ上に排出される転写紙も冷却することが可能となり、転写紙同士がトナーの粘性で貼り付いてしまうのを抑制することが可能となる。
【0019】
本発明の画像形成装置は、前記トナー容器とは別個に形成される被冷却部と、該被冷却部と風路部材を介して接続される冷却ファンと、を備え、前記風路部材には前記ダクトに連通する開口部が形成され、該開口部を介して前記ダクトに前記冷却ファンからの風が流れ込むように構成されても良い。
【0020】
このような構成を採用することで、被冷却部を冷却するための冷却ファンをトナー容器の冷却に併用することが可能となり、トナー容器を冷却するために新たな冷却ファンを設置する必要が無い。そのため、部品点数の増加を抑制して製造コストの更なる低廉化を図ることが可能となる。
【0021】
本発明のトナー容器は、トナーを収容し、画像形成装置に設けられた収納部に着脱可能に収納されるトナー容器であって、該トナー容器には、複数のトナー容器側リブが設けられ、前記トナー容器が前記収納部に装着されたときに、前記トナー容器側リブの間に前記トナー容器を冷却するためのダクトが形成されることを特徴とする。
【0022】
このようにトナー容器を冷却するためのダクトを形成することで、トナー容器の内部を確実に冷却することが可能となり、トナー容器内に収納されたトナーの固化を抑制して、良好な出力画像を得ることが可能となる。また、トナー容器側リブの間にダクトを形成するという簡易な構成であるため、製造工程の煩雑化や製造コストの上昇を抑制することが可能になると共に、ダクトと既存の部品の間でスペース上の問題が生じるのを回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、製造工程の煩雑化や製造コストの上昇を抑制し、スペース上の問題が生じるのを回避しつつ、トナー容器の内部を確実に冷却してトナーの固化を防止可能な画像形成装置を提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、プリンター本体の上部を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、各収納部にトナー容器を収納した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、コンテナ(M)を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、コンテナ(M)を収納部(M)に収納した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、コンテナ(C)を収納部(C)に収納した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、コンテナ(Y)を収納部(Y)に収納した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、正規の仕向地のコンテナが色の一致する収納部に装着された場合の風の流れを示す模式図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、色の一致しない収納部にコンテナが装着された場合を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
まず、図1を用いて画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。尚、本明細書中及び図面において適宜表示される(M)、(C)、(Y)、(K)の記号は、それぞれ、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの色を示している。
【0026】
カラープリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には転写紙(図示せず)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。排紙トレイ4の詳細については後述する。
【0027】
プリンター本体2の上部には、像担持体としての中間転写ベルト5が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト5の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器10が配置され、中間転写ベルト5の下部に沿って4個の画像形成部6(M)、6(C)、6(Y)、6(K)(以下、「画像形成部6」と表示する。)がトナーの色ごとに設けられている。
【0028】
各画像形成部6には、感光体ドラム7が回転可能に設けられており、感光体ドラム7の周囲には、帯電器8と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。
【0029】
現像器11の下部には一対の攪拌ローラー15が設けられ、攪拌ローラー15の斜め上方には磁気ローラー16が設けられ、磁気ローラー16の斜め上方には現像ローラー17が設けられている。現像器11の上方には、各画像形成部6と対応する4個のトナー容器としてのコンテナ18(M)、18(C)、18(Y)、18(K)(以下、色を指定して説明を行う場合を除き、「コンテナ18」と表示する。)が、トナーの色ごとに設けられている。コンテナ18の詳細については後述する。
【0030】
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、転写紙の搬送経路20が設けられている。搬送経路20の上流端には給紙部21が設けられ、搬送経路20の中流部には中間転写ベルト5の一端(図面上右端)に二次転写部22が設けられ、搬送経路20の下流部には定着部23が設けられ、搬送経路20の下流端には排紙口24が設けられている。
【0031】
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。カラープリンター1に電源が投入されると、各種パラメータ−が初期化され、定着部23の温度設定等の初期設定が実行される。そして、カラープリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0032】
まず、帯電器8によって感光体ドラム7の表面が帯電された後、露光器10からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム7に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム7の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器11がトナーにより対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト5の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部6が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト5上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム7上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
【0033】
一方、給紙部21によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された転写紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部22へと搬送され、二次転写部22において、中間転写ベルト5上のフルカラーのトナー像が転写紙に二次転写される。トナー像を二次転写された転写紙は、搬送経路20を下流側へと搬送されて定着部23に進入し、この定着部23において転写紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された転写紙は、排紙口24から排紙トレイ4の上に排出される。
【0034】
次に、図2〜図9を用いて、コンテナ18及びその周辺部について説明する。以下、便宜上、図2における左手前側を各部材の正面側として説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、プリンター本体の上部を示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、各収納部にトナー容器を収納した状態を示す斜視図である。図4は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、コンテナ(M)を示す斜視図である。図5は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、コンテナ(M)を収納部(M)に収納した状態を示す斜視図である。図6は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、コンテナ(C)を収納部(C)に収納した状態を示す斜視図である。図7は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、コンテナ(Y)を収納部(Y)に収納した状態を示す斜視図である。図8は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、正規の仕向地のコンテナが色の一致する収納部に装着された場合の風の流れを示す模式図である。図9は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、色の一致しない収納部にコンテナが装着された場合を示す模式図である。
【0035】
図2、図3に示されるように、プリンター本体2の上部には、4個のコンテナ18と、各コンテナ18を着脱可能に収納する4個の収納部26(M)、26(C)、26(Y)、26(K)(以下、色を指定して説明を行う場合を除き「収納部26」と表示する。)と、各収納部26の上方に設けられる排紙トレイ4と、収納部26よりも右方に配置される冷却ファン27と、が設けられている。
【0036】
各コンテナ18には、それぞれ異なる色のトナーが収容されている。このトナーは、例えば磁性トナー及びキャリアにより構成される2成分現像剤である。図4に示されるように、各コンテナ18は、上面が開口された容器本体28と、容器本体28の開口を閉止する蓋部材30と、を備えている。なお、図4では、コンテナ18の一例としてコンテナ18(M)が表示されている。
【0037】
容器本体28は、前後方向に沿って細長の形状を成しており、容器本体28の前端には取手29が設けられ、容器本体28の上端にはフランジ部31が設けられている。容器本体28の後下部には排出口32が設けられ、排出口32は、コンテナ18を収納部26に装着していない状態において、スライド式のシャッター(図示せず)により閉止されている。そして、コンテナ18が収納部26に装着されるのに連動してシャッターがスライドして排出口32が開放され、コンテナ18の内部空間と現像器11の内部空間が連通するように構成されている。なお、本実施形態ではこのようにスライド式のシャッターを用いているが、他の異なる実施形態では、コンテナ18が収納部26に装着されることでレバーのロックが解除された後、ユーザーのレバー操作に連動してシャッターが回転して排出口32が開放される回転式のシャッターを用いても良い。
【0038】
容器本体28には、排出口32の上方に搬送スクリュー(図示せず)が回転可能に設けられ、搬送スクリューの左方には、攪拌パドル(図示せず)が回転可能に設けられている。そして、コンテナ18を収納部26に装着するのに連動して、収納部26の後方に設けられたトナー容器駆動ユニット(図示せず)に搬送スクリュー及び攪拌パドルが接続され、搬送スクリュー及び攪拌パドルが回転可能となる。
【0039】
蓋部材30の外周にはフランジ部34が設けられ、このフランジ部34は容器本体28のフランジ部31に超音波溶着されている。蓋部材30の上面には、平板状のトナー容器側リブ35が、前後方向に並ぶようにして4個立設されている。トナー容器側リブ35は、コンテナ18の仕向地(出荷地域)ごとに異なる位置に形成されている。つまり、本実施形態のコンテナ18とは仕向地が異なるコンテナ18には、本実施形態とは異なる位置にトナー容器側リブ35が立設されている。
【0040】
図3に示されるように、各コンテナ18に設けられたトナー容器側リブ35のうち、前端のトナー容器側リブ35は、左右方向(図3の二点鎖線参照)に沿って設けられている。これに対して、前端以外のトナー容器側リブ35は、左右方向に対して傾斜して形成されている。本実施形態では、前から2番目のトナー容器側リブ35、3番目のトナー容器側リブ35、4番目のトナー容器側リブ(後端のトナー容器側リブ)35の順に左右方向に対する傾斜角度が大きくなっている。また、前から2〜4番目のトナー容器側リブ35は、コンテナ18ごとに前後方向の位置が異なるように形成されている。
【0041】
図5に最も良く示されるように、コンテナ18(M)の各トナー容器側リブ35の左上隅部には、凹部状のトナー容器側係合部36が形成されている。図6に最も良く示されるように、コンテナ18(C)の各トナー容器側リブ35の左端部には、上下方向中央部に凹部状のトナー容器側係合部36が形成されている。図7に最も良く示されるように、コンテナ18(Y)の各トナー容器側リブ35の右端部には、上下方向中央部に凹部状のトナー容器側係合部36が形成されている。このように、トナー容器側係合部36は、各コンテナ18(M)、18(C)、18(Y)ごとに異なる位置に設けられている。なお、コンテナ18(K)の各トナー容器側リブ35には、凹部状のトナー容器側係合部36が設けられていない。
【0042】
トナー容器側係合部36は、コンテナ18の仕向地ごとに異なる位置に形成されている。つまり、本実施形態のコンテナ18とは仕向地が異なるコンテナ18には、本実施形態とは異なる位置にトナー容器側係合部36が設けられている。
【0043】
図2、図3に示されるように、4個の収納部26は、プリンター本体2の上部に左右方向に並ぶようにして設けられている。収納部26は、各画像形成部6に対応してトナーの色ごとに設けられている。
【0044】
各収納部26の底部は、板金部材で構成される底壁(図示せず)によって覆われている。各収納部26の左右両側には左右両側壁37、38が設けられ、この左右両側壁37、38の対向面の上部には凹部状のガイドレール39が前後方向に沿って設けられている。そして、このガイドレール39にコンテナ18のフランジ部31、34を係合させた状態で、コンテナ18をガイドレール39に沿って前後方向にスライドさせることで、コンテナ18を収納部26に対して着脱できるように構成されている。図5〜図7に示されるように、各収納部26の前端には、コンテナ18を着脱するための取出口49が設けられ、各収納部26の左右両側壁37、38の前端面には、取出口49の両側にガイド片40が設けられている。
【0045】
図3に最も良く示されるように、収納部26の左右両側壁37、38の上端面には、コンテナ18のトナー容器側リブ35と対応する位置に収納部側リブ41が4個ずつ突設されている。そして、この収納部側リブ41とトナー容器側リブ35によって、直線状に連続する仕切壁48が4個形成され、各仕切壁48の間にダクト50が形成されている。本実施形態では、仕切壁48がダクト50の上流側(本実施形態では右側)から下流側(本実施形態では左側)に向かって放射状に形成されており、各ダクト50は下流側に行くに従って幅広になっている。
【0046】
収納部側リブ41は、ガイドレール39の上方に設けられており、プリンター本体2の仕向地ごとに異なる位置に形成されている。つまり、本実施形態のプリンター本体2とは仕向地が異なるプリンター本体2の収納部26には、本実施形態とは異なる位置に収納部側リブ41が設けられている。
【0047】
収納部26に設けられた収納部側リブ41のうち、前端の収納部側リブ41は、前端のトナー容器側リブ35と同様に、左右方向に沿って設けられている。これに対して、前端以外の収納部側リブ41は、左右方向に対して傾斜して形成されている。本実施形態では、前から2番目の収納部側リブ41、3番目の収納部側リブ41、4番目の収納部側リブ(後端の収納部側リブ)41の順に左右方向に対する傾斜角度が大きくなっており、前から2〜4番目の収納部側リブ41の傾斜角度は、それぞれ前から2〜4番目のトナー容器側リブ35の傾斜角度と対応している。前から2〜4番目の収納部側リブ41は、収納部26ごとに前後方向の位置が異なるように形成されている。
【0048】
図5に最も良く示されるように、収納部26(M)の左側壁37の前端に設けられた収納部側リブ41の上部には、コンテナ18(M)の凹部状のトナー容器側係合部36と対応する位置に、突起状の収納部側係合部42が形成されている。図6に最も良く示されるように、収納部26(C)の左側壁37の前端に設けられた収納部側リブ41の下部には、コンテナ18(C)の凹部状のトナー容器側係合部36と対応する位置に、突起状の収納部側係合部42が形成されている。図7に最も良く示されるように、収納部26(Y)の右側壁38の前端部に設けられた収納部側リブ41には、コンテナ18(Y)の凹部状のトナー容器側係合部36と対応する位置に、突起状の収納部側係合部42が形成されている。このように、収納部側係合部42は、各収納部26(M)、26(C)、26(Y)ごとに異なる位置に設けられている。なお、収納部26(K)の収納部側リブ41には、突起状の収納部側係合部42が設けられていない。
【0049】
収納部側係合部42は、プリンター本体2の仕向地ごとに異なる位置に形成されている。つまり、本実施形態のプリンター本体2とは仕向地が異なるプリンター本体2には、本実施形態とは異なる位置に収納部側係合部42が設けられている。
【0050】
図2に示されるように、排紙トレイ4は、各収納部26の上方を覆うようにして設けられている。排紙トレイ4の右部には、下方に向かって窪み43が形成され、窪み43には多数の風抜き穴44が穿設されている。排紙トレイ4の左端面には、横長形状のスリット45が縦横3段ずつ計9個形成されており、このスリット45を介して、ダクト50の下流端部(本実施形態では左端部)とプリンター本体2の外部が連通している。
【0051】
冷却ファン27は、プリンター本体2の右上部に支持されている。図3に示されるように、冷却ファン27の後方には、風路部材46が前後方向に設けられており、この風路部材46の内部空間を介して、冷却ファン27の吹出口(図示せず)が、被冷却部としての定着部23と連通している。風路部材46の左側部には、収納部26(K)の上方に向かって開口部47が形成されており、この開口部47は、ダクト50の上流端部と連通している。
【0052】
上記の如く構成されたものにおいて、前述した画像形成動作に伴って冷却ファン27を稼働させると、この冷却ファン27から風路部材46を介して定着部23に移送される風の一部が、図8に点線で示されるように、風路部材46の開口部47の前側部分から各ダクト50の上流端部に流れ込み、ダクト50内を上流端部から下流端部まで吹き抜けた後、排紙トレイ4のスリット45からプリンター本体2の外部に排出される。これに伴って、各コンテナ18の前部から前後方向中央部が主に冷却される。また、上記した風の一部は、風路部材46の開口部47の後側部分から、後端のダクト50の後方の空間51に流れ込み、各コンテナ18の後部を主に冷却する。更に、ダクト50内を吹き抜ける風の一部は、風抜き穴44を介して排紙トレイ4の上に吹き出し、排紙トレイ4の上に排出される転写紙を冷却する。
【0053】
本実施形態ではこのように、コンテナ18を冷却するためのダクト50を形成することで、コンテナ18の内部を偏りなく確実に冷却することを可能としている。そのため、コンテナ18内に収納されたトナーの固化を抑制して、良好な出力画像を得ることが可能となる。また、既存の部品であるコンテナ18及び収納部26にそれぞれトナー容器側リブ35、収納部側リブ41を設けるだけの簡易な構成でダクト50を形成している。そのため、製造工程の煩雑化や製造コストの上昇を抑制することが可能となると共に、ダクト50と既存の部品の間でスペース上の問題が生じるのを回避することが可能となる。
【0054】
また、ダクト50内を流れる風が風抜き穴44を介して排紙トレイ4の上に吹き出す構成となっている。そのため、ダクト50内を流れる風によって、コンテナ18だけでなく排紙トレイ4上に排出される転写紙も冷却することが可能となり、転写紙同士がトナーの粘性で貼り付いてしまうのを抑制することが可能となる。
【0055】
また、定着部23の周囲を冷却するための冷却ファン27をコンテナ18及び転写紙の冷却に併用しているため、コンテナ18及び転写紙を冷却するために新たな冷却ファン27を設置する必要が無い。そのため、部品点数の増加を抑制して製造コストの更なる低廉化を図ることが可能となる。
【0056】
また、本実施形態では、仕切壁48が放射状に形成されており、各ダクト50は、下流側に向かって幅広となるように形成されている。このような構成を採用することで、ダクト50内における風の流れが良好となり、コンテナ18の冷却効果を一層高めることが可能となる。
【0057】
また、本実施形態では、仕向地ごとに異なる位置にトナー容器側リブ35及び収納部側リブ41を設けることで、それぞれの地域や環境に合った仕様でダクト50を形成することが可能となる。これに伴って、コンテナ18をそれぞれの地域や環境に合った最適な温度に保つことが可能となる。
【0058】
また、上記の如く構成されたものにおいて、コンテナ18を収納部26に装着するには、各収納部26のガイドレール39に各コンテナ18のフランジ部31、34を係合させた状態で、コンテナ18をガイドレール39に沿って後方にスライドさせる。
【0059】
その際、正規の仕向地のコンテナ18を色の一致する収納部26に装着する場合に限り、図5〜図7に示されるようにトナー容器側係合部36と収納部側係合部42が係合し、コンテナ18の収納部26への装着が可能となる。換言すれば、仕向地の異なるコンテナ18を収納部26に装着しようとしたり、コンテナ18を色の一致しない収納部26に装着しようとしたりすると、トナー容器側係合部36と収納部側係合部42が係合せず、トナー容器側リブ35と収納部側リブ41が干渉して、コンテナ18の収納部26への装着が防止される。このような構成を採用することで、コンテナ18の誤装着を防止することが可能となり、これに伴って、上記した誤装着に伴う不具合を抑制することが可能となる。
【0060】
一方で、トナー容器側係合部36や収納部側係合部42が何らかの理由で破損し、コンテナ18の誤装着防止機能が発揮されない場合には、上記したコンテナ18の収納部26への装着に際して、正規の仕向地のコンテナ18を色の一致する収納部26に装着する場合に限り、仕切壁48及びダクト50が形成される(図3、図8参照)。換言すれば、仕向地の異なるコンテナ18を収納部26に装着したり、コンテナ18を色の一致しない収納部26に装着したりすると、仕切壁48及びダクト50が形成されないようになっている。一例として、コンテナ18(Y)を誤って収納部26(M)に装着し、コンテナ18(M)を誤って収納部26(Y)に装着した場合のトナー容器側リブ35及び収納部側リブ41の配置を、図9に示す。
【0061】
本実施形態では、連続する仕切壁48が直線状に形成される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、連続する仕切壁48が曲線状に形成されても良い。なお、「連続する仕切壁48」には、隙間なく連続するものだけでなく、本実施形態のように僅かな隙間を介して連続するものが含まれる。本実施形態では、下流側に向かって幅広となるようにダクト50を形成したが、他の異なる実施形態では、上流側から下流側までダクト50を同一幅で形成しても良い。
【0062】
本実施形態では、前端のトナー容器側リブ35及び収納部側リブ41を左右方向に沿って設けると共に、その他のトナー容器側リブ35及び収納部側リブ41を左右方向から傾斜させたが、他の異なる実施形態では、すべてのトナー容器側リブ35及び収納部側リブ41を左右方向に対して傾斜させることも可能である。
【0063】
本実施形態では、トナー容器側係合部36を凹部状とし、収納部側係合部42を突起状としたが、他の異なる実施形態では、トナー容器側係合部36を突起状とし、収納部側係合部42を凹部状としても良い。
【0064】
本実施形態では前述のように、ブラックのコンテナ18(K)のトナー容器側リブ35にはトナー容器側係合部36が設けられておらず、ブラックの収納部26(K)の収納部側リブ41には、収納部側係合部42が設けられていない。これは、ブラックのコンテナ18(K)は、カラーのコンテナ18(M)、18(C)、18(Y)に比べて容量及び形状が大きく設計されているため、ブラックのコンテナ18(K)をカラーの収納部26(M)、26(C)、26(Y)に誤装着したり、カラーのコンテナ18(M)、18(C)、18(Y)をブラックの収納部26(K)に誤装着したりする虞が無いからである。これに対して、カラーのコンテナ18(M)、18(C)、18(Y)は、互いに同一の容量及び形状で設計されているため、誤装着の虞が有り、それを防止するために、カラーのコンテナ18(M)、18(C)、18(Y)のトナー容器側リブ35にはトナー容器側係合部36が設けられ、カラーの収納部26(M)、26(C)、26(Y)の収納部側リブ41には収納部側係合部42が設けられている。
【0065】
なお、他の異なる実施形態において、ブラックのコンテナ18(K)をカラーのコンテナ18(M)、18(C)、18(Y)と同一の容量及び形状で形成する場合には、すべてのコンテナ18の各トナー容器側リブ35にトナー容器側係合部36を設け、すべての収納部26の収納部側リブ41に収納部側係合部42を設けても良い。
【0066】
本実施形態では、ガイドレール39を備えた収納部26に対して前方からコンテナ18を装着する構成に本発明を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、収納部26に対して上方からコンテナ18を装着する構成に本発明を適用しても良い。この場合には、収納部26にガイドレール39が設けられていなくても良い。
【0067】
本実施形態では、定着部23を被冷却部とする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えば、露光器10、電源部、基板等を被冷却部としても良い。本実施形態では、コンテナ18を直接現像器11に接続する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、コンテナ18を中間ホッパー等の他のトナー容器を介して現像器11に接続しても良い。この場合には、中間ホッパー等の他のトナー容器に本発明の構成を適用しても良い。
【0068】
本実施形態では、タンデム式のカラープリンター1に本発明を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ロータリー式のカラープリンター、モノクロプリンター、複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の他の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 カラープリンター(画像形成装置)
4 排紙トレイ
18 コンテナ(トナー容器)
23 定着部(被冷却部)
26 収納部
27 冷却ファン
35 トナー容器側リブ
36 トナー容器側係合部
41 収納部側リブ
42 収納部側係合部
44 風抜き穴
46 風路部材
47 開口部
48 仕切壁
50 ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容するトナー容器と、該トナー容器を着脱可能に収納する収納部と、を備えた画像形成装置であって、
前記トナー容器には、複数のトナー容器側リブが設けられ、
前記収納部には、前記トナー容器側リブと対応する位置に複数の収納部側リブが設けられ、
前記トナー容器が前記収納部に装着されたときに、前記トナー容器側リブ及び前記収納部側リブによって連続する仕切壁が複数形成され、該複数の仕切壁の間に前記トナー容器を冷却するためのダクトが形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー容器側リブ及び前記収納部側リブは、仕向地ごとに異なる位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー容器側リブには、仕向地ごとに異なる位置にトナー容器側係合部が設けられ、
前記収納部側リブには、仕向地ごとに異なる位置に収納部側係合部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー容器は、異なる色のトナーを収容するものが複数設けられ、
前記収納部は、トナーの色ごとに複数設けられ、
前記トナー容器側リブは、前記トナー容器ごとに異なる位置に設けられ、
前記収納部側リブは、前記収納部ごとに異なる位置に設けられ、
色の一致する前記収納部に前記トナー容器が装着された場合に限り、前記ダクトが形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー容器は、異なる色のトナーを収容するものが複数設けられ、
前記収納部は、トナーの色ごとに複数設けられ、
前記トナー容器側リブには、前記トナー容器ごとに異なる位置にトナー容器側係合部が設けられ、
前記収納部側リブには、前記収納部ごとに異なる位置に収納部側係合部が設けられ、
色の一致する前記収納部に前記トナー容器が装着される場合に限り、前記トナー容器側係合部と前記収納部側係合部が係合して、前記トナー容器の前記収納部への装着が可能となることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記収納部の上方には排紙トレイが設けられ、該排紙トレイには風抜き穴が形成され、前記ダクトを流れる風が前記風抜き穴を介して前記排紙トレイ上に吹き出すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナー容器とは別個に形成される被冷却部と、該被冷却部と風路部材を介して接続される冷却ファンと、を備え、
前記風路部材には前記ダクトに連通する開口部が形成され、該開口部を介して前記ダクトに前記冷却ファンからの風が流れ込むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
トナーを収容し、画像形成装置に設けられた収納部に着脱可能に収納されるトナー容器であって、
該トナー容器には、複数のトナー容器側リブが設けられ、
前記トナー容器が前記収納部に装着されたときに、前記トナー容器側リブの間に前記トナー容器を冷却するためのダクトが形成されることを特徴とするトナー容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−255977(P2012−255977A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130038(P2011−130038)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】