説明

画像形成装置及びトナー補給方法

【課題】印刷物の生産性を向上させる。
【解決手段】トナー消費量算出部303が、静電潜像の現像により現像部から消費されるトナー消費量を算出する。第1補給判断部307が、現像部内のトナー量から現像部にトナーを補給するか否かを判断する。補給制御部309が、前回のトナー補給開始後から第1補給判断部307によりトナーを補給すると判断されるまでの間に算出されたトナー消費量の累積をトナー補給量として補給部から現像部にトナーを補給させる。第2補給判断部311が、現像部へのトナー補給中に算出されたトナー消費量の累積がトナー補給量以上の場合に現像部にトナーを補給すると判断する。補給制御部309が、第2補給判断部311によりトナーを補給すると判断された場合、現像部へのトナー補給中に算出されたトナー消費量の累積をトナー補給量として補給部から現像部に更にトナーを補給させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びトナー補給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、トナー容器から現像部にトナーが補給され、現像部が現像部内のトナーを用いて感光体ドラム上の静電潜像を現像しトナー像を形成する。
【0003】
トナー容器から補給されるトナーと現像部内のトナーとでは劣化状態が異なるため、その比率が大きく崩れると、現像プロセスが不安定になる。この結果、例えば、地肌汚れ(地カブリ)や濃度変動などが生じてしまう。このため、このような画像形成装置では、現像部内のトナー残量を検知し、検知したトナー残量が閾値を下回ると、トナー容器から現像部へ所定量のトナーを補給し、トナー容器から補給されるトナーと現像部内のトナーとの比率を一定に制御している(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術では、印刷動作とトナー補給動作とが別々に実行されている。このため、トナー補給動作を実行する場合には、印刷動作が間欠になり、印刷物の生産性が低下してしまう。また、通常、トナー残量の検知中も印刷動作は実行されないため、トナー残量の検知回数を減らすことができれば、印刷物の生産性の向上が期待できる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、印刷物の生産性を向上させることができる画像形成装置及びトナー補給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる画像形成装置は、静電潜像の現像により現像部から消費されるトナー消費量を算出するトナー消費量算出部と、前記現像部内のトナー量又は前回のトナー補給開始後に前記トナー消費量算出部により算出されたトナー消費量の累積から、前記現像部にトナーを補給するか否かを判断する第1補給判断部と、前回のトナー補給開始後から前記第1補給判断部によりトナーを補給すると判断されるまでの間に前記トナー消費量算出部により算出されたトナー消費量の累積をトナー補給量として、補給部から前記現像部にトナーを補給させる補給制御部と、前記現像部へのトナー補給中に前記トナー消費量算出部により算出されたトナー消費量の累積が前記トナー補給量以上の場合に、前記現像部にトナーを補給すると判断する第2補給判断部と、を備え、前記補給制御部は、前記第2補給判断部によりトナーを補給すると判断された場合、前記現像部へのトナー補給中に前記トナー消費量算出部により算出されたトナー消費量の累積を前記トナー補給量として、前記補給部から前記現像部に更にトナーを補給させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の態様にかかるトナー補給方法は、トナー消費量算出部が、静電潜像の現像により現像部から消費されるトナー消費量を算出するトナー消費量算出ステップと、第1補給判断部が、前記現像部内のトナー量又は前回のトナー補給開始後に前記トナー消費量算出ステップにより算出されたトナー消費量の累積から、前記現像部にトナーを補給するか否かを判断する第1補給判断ステップと、補給制御部が、前回のトナー補給開始後から前記第1補給判断ステップによりトナーを補給すると判断されるまでの間に前記トナー消費量算出ステップにより算出されたトナー消費量の累積をトナー補給量として、補給部から前記現像部にトナーを補給させる第1補給制御ステップと、第2補給判断部が、前記現像部へのトナー補給中に前記トナー消費量算出ステップにより算出されたトナー消費量の累積が前記トナー補給量以上の場合に、前記現像部にトナーを補給すると判断する第2補給判断ステップと、前記補給制御部が、前記第2補給判断ステップによりトナーを補給すると判断された場合、前記現像部へのトナー補給中に前記トナー消費量算出ステップにより算出されたトナー消費量の累積を前記トナー補給量として、前記補給部から前記現像部に更にトナーを補給させる第2補給制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷物の生産性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施形態の印刷装置の一例を示す機械的構成図である。
【図2】図2は、本実施形態の現像装置の一例を示す機械的構成図である。
【図3】図3は、本実施形態の循環部の一例を示す図である。
【図4】図4は、劣化トナー及び未劣化トナーの混合割合と地汚れレベルとの関係を示すグラフである。
【図5】図5は、本実施形態の印刷装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図6】図6は、本実施形態の印刷装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図7】図7は、本実施形態の印刷装置のトナー補給処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる画像形成装置及びトナー補給方法の実施形態を詳細に説明する。以下の各実施形態では、本発明の画像形成装置を電子写真方式のカラー印刷装置、具体的には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色の画像を形成する印刷装置に適用した場合を例に取り説明するが、これに限定されるものではない。本発明の画像形成装置は、電子写真方式で画像を形成する装置であれば、カラー、モノクロを問わず適用でき、例えば、電子写真方式のファクシミリ装置、複写機、及び複合機(MFP:Multifunction Peripheral)などにも適用できる。なお、複合機とは、印刷機能、複写機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する装置である。
【0011】
まず、本実施形態の印刷装置の構成について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の印刷装置1の一例を示す機械的構成図である。図1に示すように、印刷装置1は、画像形成部10と、光走査部30と、中間転写ベルト40と、支持ローラ41、42と、給紙部50と、給紙ローラ51と、パッド52と、搬送ローラ対53と、二次転写ローラ60と、定着部70と、排紙ローラ対80と、排紙台81とを、備える。
【0013】
画像形成部10は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色それぞれに対応したプロセスカードリッジ11Y、11M、11C、及び11Kにより構成される。プロセスカードリッジ11Y、11M、11C、及び11Kは、それぞれ作像部12Y、12M、12C、12Kを有しており、図1に示すように、中間転写ベルト40の移動方向(矢印S方向)の上流側から、作像部12Y、12M、12C、12Kの順番で中間転写ベルト40に沿って配置されている。このように本実施形態の印刷装置1では、いわゆるタンデム方式を用いているが、これに限定されるものではない。
【0014】
作像部12Yは、感光体ドラム13Yと、帯電ローラ14Yと、現像装置20Yと、一次転写ローラ15Yと、クリーニング装置16Yとを、備える。作像部12Y及び光走査部30は、感光体ドラム13Y上で作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及びクリーニング工程)を行うことにより、感光体ドラム13Y上にイエローのトナー画像を形成し、中間転写ベルト40に転写する。
【0015】
なお、作像部12M、12C、及び12Kは、いずれも作像部12Yと共通の構成要素を備えており、作像部12Mは、作像プロセスを行うことによりマゼンタのトナー画像を形成し、作像部12Cは、作像プロセスを行うことによりシアンのトナー画像を形成し、作像部12Kは、作像プロセスを行うことによりブラックのトナー画像を形成する。このため、以下では、作像部12Yの構成要素についての説明を主に行い、作像部12M、12C、及び12Kの構成要素については、作像部12Yの構成要素の符号に付したYに替えてそれぞれM、C、Kを付すに留め、その説明を省略する。また本実施形態では、トナーは、非磁性の1成分トナーを用いるものとするが、これに限定されるものではない。
【0016】
感光体ドラム13Yは、像担持体であり、図示せぬ感光体ドラム駆動装置により矢印a方向に回転駆動される。
【0017】
まず、帯電工程では、感光体ドラム13Yに当接している帯電ローラ14Yは、回転駆動されている感光体ドラム13Yの表面を暗中にて一様に高電位で初期化帯電する。
【0018】
続いて、露光工程では、光走査部30は、感光体ドラム13Yの帯電面に光変調されたレーザ光Lを、画像データに基づき選択的に露光走査し、感光体ドラム13Yの表面にイエローの色成分画像に対応した静電潜像を形成する。この結果、レーザ光Lで露光走査され感光体ドラム13Yの表面部分の電位が減衰した低電位部が静電潜像(画像部)となり、レーザ光Lが照射されず電位が変わらない高電位部が地肌部となる。なお、光走査部30は、感光体ドラム13Mについては、マゼンタに対応したレーザ光Lで露光し、感光体ドラム13Cについては、シアンに対応したレーザ光Lで露光し、感光体ドラム13Kについては、ブラックに対応したレーザ光Lで露光する。
【0019】
続いて、現像工程では、現像装置20Yは、感光体ドラム13Y上に形成された静電潜像をイエロートナーで現像し、感光体ドラム13Y上にイエローのトナー画像を形成する。具体的には、現像装置20Yは、感光体ドラム13Yの低電位部にイエロートナーを転移させて静電潜像を可視像化することにより、感光体ドラム13Y上にイエローのトナー像を形成する。なお、現像装置20Yは、感光体ドラム13Yの高電位部にイエロートナーを転移させて、感光体ドラム13Y上にイエローのトナー像を形成してもよい。
【0020】
続いて、転写工程では、一次転写ローラ15Yは、感光体ドラム13Y上に形成されたイエローのトナー画像を中間転写ベルト40に転写する。なお、感光体ドラム13Y上には、トナー画像の転写後においても未転写トナーが僅かながら残存する。
【0021】
続いて、クリーニング工程では、クリーニング装置16Yは、感光体ドラム13Y上に残存している未転写トナーを払拭する。
【0022】
中間転写ベルト40は、支持ローラ41、42などの複数のローラに掛け回されたエンドレスのベルトであり、支持ローラ41、42の一方が回転駆動させられることにより矢印S方向に無端移動する。中間転写ベルト40には、まず、作像部12Yによりイエローのトナー画像が転写され、続いて、作像部12Mによりマゼンタのトナー画像、作像部12Cによりシアンのトナー画像、作像部12Kによりブラックのトナー画像が順次重畳して転写される。これにより、中間転写ベルト40上にフルカラーのトナー画像が形成される。
【0023】
給紙部50には、複数の記録紙が重ね合わせて収容される。給紙ローラ51は、給紙部50の最上部に位置する記録紙に当接されており、当接している記録紙を給紙する。パッド52は、給紙ローラ51により複数枚の記録紙が給紙された場合、1枚の記録紙に分離する。搬送ローラ対53は、給紙ローラ51により給紙された記録紙を、支持ローラ41と二次転写ローラ60との間に所定のタイミングで搬送する。
【0024】
二次転写ローラ60は、中間転写ベルト40により搬送されたフルカラーのトナー画像を、搬送ローラ対53により搬送された記録紙上に一括転写する。
【0025】
定着部70は、フルカラーのトナー像が転写された記録紙を加熱及び加圧することにより、フルカラーのトナー像を記録紙に定着する。
【0026】
排紙ローラ対80は、定着部70によりフルカラーのトナー像が定着された記録紙を排紙台81に排紙する。
【0027】
図2は、本実施形態の現像装置20Yの一例を示す機械的構成図である。図2に示すように、現像装置20Yは、現像部21Yと、残量センサ22Yと、トナー容器23Yとを、備える。
【0028】
現像部21Yは、トナーを貯留し、貯留しているトナーを用いて、感光体ドラム13Y上の静電潜像を現像するものであり、ハウジング210Yと、現像ローラ211Yと、供給ローラ212Yと、現像ブレード213Yと、循環部(図示省略)と、透過窓215Ya、215Ybと、を備える。
【0029】
ハウジング210Yは、現像剤として用いられるトナーを貯留する現像槽であり、上部に開口が設けられている。
【0030】
現像ローラ211Yは、トナー担持体であり、現像工程では、矢印b方向に回転する。これにより、感光体ドラム13Y上の静電潜像をトナーで可視像化する。現像ローラ211Yは、金属の芯金を有し、外周は体積抵抗値を約10E5〜10E7Ω程度に調整した導電性ゴム(例えば、導電性ウレタンゴムやシリコーンゴム)で構成されている。本実施形態では、現像ローラ211は、ゴム硬度Hs75、芯金径φ6、ゴム部外径φ12とするが、これに限定されるものではない。
【0031】
供給ローラ212Yは、トナー供給部材であり、現像ローラ211Yに回転可能に当接されている。供給ローラ212Yは、例えば、金属製の芯金の外周にカーボンを混合させることで半導電化させた発泡ポリウレタンを付着させたスポンジローラなどが適当である。本実施形態では、供給ローラ212Yは、芯金径φ6、ゴム部外径φ12であり、現像ローラ211Yとの間のニップが2mm、回転数比が1に設定されているものとするが、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態では、供給ローラ212Yと現像ローラ211Yとの間の当接ニップを約1〜3mm程度に設定して、供給ローラ212Yを現像ローラ211Yに対して矢印c方向に回転させることで、ハウジング210Y内部のトナーを現像ローラ211Yの表層まで効率よく搬送する機能が得られる。
【0032】
現像ブレード213Yは、現像ローラ211Yに当接されることにより、供給ローラ212Yにより搬送された現像ローラ211Y表面上のトナーの層厚を所定量に制御し、同時に、現像ローラ211Y表面上のトナーを摩擦荷電する。本実施形態では、現像ブレード213Yは、板厚0.1mmのSUS材で構成され、線圧45N/m、ニップ位置が先端から0.2mm、支持端部から自由端までの長さ(自由長)が14mmに設定されているものとするが、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態では、現像ブレード213Yを金属板で構成でき、現像ブレード213Yの現像ローラ211Yに対する当接圧を通常線圧20〜60N/m、当接ニップ位置を現像ブレード213Yの先端から0.5±0.5mm程度に設定することで、現像ローラ211Y上に安定したトナー薄層を形成させることができるが、これらの値は、使用するトナー、現像ローラ、供給ローラなどの特性に合わせて適宜決定される。
【0033】
循環部は、トナー容器23Yから補給されたトナーを循環させることにより、補給されたトナーを攪拌しながら残量センサ22Yのトナー検知位置を介して供給ローラ212Yまで搬送する。図3に、循環部の一例を示す。循環部は、例えば、図3に示すようなスクリュー部材により実現できる。なお本実施形態では、循環部の攪拌周期は、500msecであるものとする。また、循環部のプロセス速度は、感光体ドラム13Yの周速度に対応し、150mm/secであるものとする。また、プロセス速度におけるトナー搬送速度は80mm/secであるものとする。また、トナー補給位置から残量センサ22Yのトナー検知位置までは200mmであるものとする。但し、これらに限定されるものではない。なお、プロセス速度とトナー搬送速度とは比例関係にあり、プロセス速度を200mm/secとした場合、循環部は、トナー容器23Yから補給されたトナーを残量センサ22Yのトナー検知位置まで搬送するのに1.8秒を要することとなる。
【0034】
透過窓215Ya、215Ybは、ハウジング210Yの側壁の一部を構成し、対向して配置されている。
【0035】
残量センサ22Yは、現像部21Y内に貯留されているトナー量を検知するセンサであり、現像部21Y内に貯留されているトナー量が第1閾値であることを検知する第1センサ220Yと、現像部21Y内に貯留されているトナー量が第1閾値よりも小さい第2閾値であることを検知する第2センサ221Yとを有する。
【0036】
第1センサ220Yは、透過窓215Yaの上側に配置された発光素子220Yaと、透過窓215Ybの上側に配置された受光素子220Ybとを備え、第2センサ221Yは、透過窓215Yaの下側に配置された発光素子221Yaと、透過窓215Ybの下側に配置された受光素子221Ybとを備える。発光素子220Ya及び受光素子220Ybは、発光素子220Yaから発生した光が透過窓215Ya、215Ybを透過して受光素子220Ybに受光されるように配置され、発光素子221Ya及び受光素子221Ybは、発光素子221Yaから発生した光が透過窓215Ya、215Ybを透過して受光素子221Ybに受光されるように配置されている。
【0037】
ハウジング210Y内部にトナーが十分残っている場合、発光素子220Ya、221Yaから発生した光は、それぞれ、ハウジング210Y内部のトナーに遮られて受光素子220Yb、221Ybまで到達しない。しかし、印刷装置1が印刷動作を繰り返し、ハウジング210Y内部のトナーの消費が進むと、ハウジング210Y内部のトナーの喫水面が低下し、まず、発光素子220Yaから発生した光が受光素子220Ybに到達する(受光される)ようになり、その後、発光素子221Yaから発生した光も受光素子221Ybに到達する(受光される)ようになる。
【0038】
本実施形態では、発光素子220Yaから発生した光が受光素子220Ybに到達するようになった時点でのハウジング210Y内部のトナー残量が第1閾値として設定されており、発光素子221Yaから発生した光が受光素子221Ybに到達するようになった時点でのハウジング210Y内部のトナー残量が第2閾値として設定されている。このため本実施形態では、受光素子220Yb、221Ybの光の検知の有無からハウジング210Y内部のトナー残量が第1閾値となったか否か、第2閾値となったか否かを把握することができる。
【0039】
なお本実施形態では、残量センサ22Yを光センサで実現する例について説明したが、圧電振動素子を用いた粉体検知センサで実現するようにしてもよい。粉体検知センサは、検知面が常に微小振動しており検知面にトナーが接触すると振動が抑えられるため、トナーの有無を検知できる。残量センサ22Yを光センサで実現すればコストを抑えることができ、残量センサ22Yを粉体検知センサで実現すれば高精度にトナー残量を検知できる。
【0040】
トナー容器23Y(補給部の一例)は、現像部21Yに補給するトナーを収容している容器であり、ハウジング210Yの上部に着脱可能に取り付けられるようになっている。トナー容器23Yは、アジテータ230Yと、トナー補給ローラ231Yとを備える。
【0041】
アジテータ230Yは、矢印e方向に回転し、トナー容器23Y内部のトナーをほぐす。アジテータ230Yは、例えば、回転軸にシート状のハネを接着した部材などにより実現できる。なお、アジテータ230Yとトナー補給ローラ231Yとは、同期して駆動する。
【0042】
トナー補給ローラ231Yは、回転することにより、トナー容器23Yに収容されているトナーを現像部21Yのハウジング210Yの上部に設けられた開口を介してハウジング210Yに補給する。ここで、トナー容器23Yから現像部21Yへのトナー補給量は、トナー補給ローラ231Yの駆動時間により定まる。例えば本実施形態では、トナー補給ローラ231Yが1回転することにより、0.5gのトナーが現像部21Yに補給されるように設計されている、但し、これに限定されるものではない。このため、トナー補給ローラ231Yの駆動時間を制御することでトナー容器23Yから現像部21Yへのトナー補給量を制御でき、駆動時間を長くすればトナー補給量が増え、駆動時間を短くすればトナー補給量が減る。
【0043】
なお、トナー補給ローラ231Yの回転速度が可変である場合は、トナー補給ローラ231Yの駆動時間を固定したままでも回転速度を変更することでトナー補給量を制御でき、回転速度を速くすればトナー補給量が増え、回転速度を遅くすればトナー補給量が減る。
【0044】
なお、現像装置20M、20C、及び20Kについては、トナー色が異なる点を除き、現像装置20Yと共通の構成要素を備えているため、詳細な説明は省略する。但し、以下の説明では、現像装置20M、20C、及び20Kの構成要素が、現像装置20Yの構成要素の符号に付したYをそれぞれM、C、Kに替えて登場する場合がある。
【0045】
図4は、劣化トナー及び未劣化トナーの混合割合と地汚れレベルとの関係を示すグラフである。ここで、劣化トナーとは、現像部内に貯留されているトナーを指す。現像部内に貯留されているトナーは、現像部の駆動に伴い物理的なストレスを受けており、全くの未使用状態のトナーに比べて特性が劣化しているため、ここでは、このように称する。また、未劣化トナーとは、トナー容器から現像部へ補給されるトナーを指す。トナー容器は、トナー補給時のみ駆動し、収容しているトナーにストレスを与える部材がほとんどなく、全くの未使用状態のトナーと比較しても特性の劣化がほとんどないため、ここでは、このように称する。
【0046】
なお、図4に示すグラフは、印刷耐久後に現像部内部に残っている劣化トナーとトナー容器に収容されている未劣化トナーとを混合し、再度現像部内に充填して地汚れを測定した結果を示したものである。なお、図4に示す例では、非磁性1成分トナーを使用しており、劣化トナーとして、通常の使用状態による劣化を想定した印刷耐久時間25時間後のトナーと、より劣化レベルの悪化した状態を想定した印刷耐久時間50時間後のトナーとの2種類を用いている。図4に示すグラフの横軸は、劣化トナー及び未劣化トナーを混合した混合トナーに占める劣化トナーの割合を示し、図4に示すグラフの縦軸は、未劣化トナー100%の状態の地汚れを1(基準)とした場合の地汚れレベルを示している。
【0047】
図4に示すグラフからは、未劣化トナーのみを(未劣化トナーを100%)使用した場合が地汚れレベルが最も良く、劣化トナーのみを(劣化トナーを100%)使用した場合、未劣化トナーのみを使用した場合よりも地汚れレベルが悪化することが分かる。これは、現像部内の劣化トナーは、物理的なストレスが掛け続けられており、トナーの外添剤が剥がれ落ちたり、トナー自体が割れたりすることで、未劣化トナーに対して特性(特に、荷電性や流動性)が変化(劣化)しているためである。具体的には、現像部内の劣化トナーは、通常、供給ローラによって現像ローラに搬送され、現像ブレードにより現像ローラ上の付着量が適正化された後、感光体とのニップ部で現像され、現像に用いられなかった劣化トナーは、再び供給ローラによって回収されるというプロセスが繰り返されることにより、物理的なストレスが掛け続けられる。
【0048】
また図4に示すグラフからは、劣化トナー及び未劣化トナーを混合すると、劣化トナーのみを使用した場合よりも地汚れレベルが更に悪化することが分かる。これは、劣化トナー及び未劣化トナーが混合されると、互いのトナーが相互作用してしまい、トナーの荷電性がより不安定となるためである。
【0049】
ここで、実使用上許容できる画像上の地汚れレベルは、通常、0.97以上となるため、通常の使用状態によるトナーの劣化を想定した場合、良好な画質を維持するためには、混合トナーに占める劣化トナーの割合を78%以上又は35%以下とする必要がある。これは、トナー容器から現像部へのトナー補給比率に換算すると、22%以下又は65%以上ということになる。なお、トナー補給比率とは、トナー容器から現像部へ1回の補給で補給されるトナー(未劣化トナー)と、現像部内に貯留されているトナー(劣化トナー)との比率を指し、具体的には、劣化トナーに対する未劣化トナーの割合を指す。
【0050】
トナー補給比率を65%以上とすると、トナー容器から現像部への1回のトナー補給量が多くなってしまい、現像装置の大型化を招いてしまう。また、1回のトナー補給量が多くなってしまうと、補給前後で例えば現像バイアスなどの適切に設定されるべき現像条件が大きく変化してしまい、作像システムが不安定になるため、好ましくない。
【0051】
これに対し、トナー補給比率を22%以下とすると、トナー容器から現像部への1回のトナー補給量を少なくすることができ、現像装置を小型化することができる。また、1回のトナー補給量が少ないと、補給前後で現像部内部のトナー特性の変動が少ないため、作像システムを安定に維持することができる。
【0052】
つまり、トナー補給比率は、小さい方が好ましい。なお、劣化トナーの劣化状態が更に悪化すると(印刷耐久時間50時間以上になると)、地汚れレベルを許容することができるトナー補給比率はより狭い領域になることから、トナー補給比率は15%未満にすることが望ましい。
【0053】
なお、図4に示す例で使用したトナーは、体積平均粒径8.5μm、ポリエステル系樹脂を主成分とし、ワックス及び顔料が混粘粉砕して作成されたトナー母体100部に対してシリカ1部を外添処理して製作したもので、一般的なレーザビームプリンタなどで使用されている様々なトナーとほぼ同じ特性を有する。
【0054】
また、図4に示す例では、非磁性1成分粉砕トナーを使用したが、図4で示されるトナーの特性は非磁性1成分トナーにおいては一般的な特性であり、重合トナーであってもほぼ同じ特性を示す。また、使用するトナーが磁性1成分トナー又は2成分トナーであっても、トナー補給前後でのトナー特性の変化を抑えるために、1回のトナー補給量が少量であることが好ましい。従って、非磁性1成分粉砕トナーではなく他のトナーを用いてもよく、非磁性1成分粉砕トナーを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0055】
図5は、本実施形態の印刷装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。印刷装置1は、操作パネルI/F101と、操作パネル103と、NVRAM(Non Volatile Random Access Memory)105Y、105M、105C、及び105Kと、外部I/F107と、画像処理IC109と、I/O111と、ROM(Read Only Memory)113と、RAM115と、CPU(Central Processing Unit)117とを、備えており、これらの各デバイスは、システムバス119を介して互いに接続されている。また印刷装置1は、残量センサ22Y、22M、22C、及び22K、トナー補給駆動モータ123、並びにトナー補給クラッチ125Y、125M、125C、及び125Kなどの電装品なども備えている。
【0056】
なお、以降の説明では、各色の現像部を各々区別する必要がない場合、単に現像部21と称する場合があり、各色の残量センサを各々区別する必要がない場合、単に残量センサ22と称する場合があり、各色のトナー容器を各々区別する必要がない場合、単にトナー容器23と称する場合があり、各色のトナー補給ローラを各々区別する必要がない場合、単にトナー補給ローラ231と称する場合があり、各色のトナー補給クラッチを各々区別する必要がない場合、単にトナー補給クラッチ125と称する場合がある。
【0057】
操作パネルI/F101は、操作パネル103とシステムバス119とのインタフェースである。操作パネル103は、操作パネルI/F101を介してCPU117に対して印刷装置1の各種モードの設定入力を行う。
【0058】
NVRAM105Y、105M、105C、105Kは、それぞれトナー容器23Y、23M、23C、23Kに搭載されており、それぞれ現像部21Y、21M、21C、21Kの累積トナー消費量などを記憶する。
【0059】
外部I/F107は、ホストコンピュータなどの外部装置(図示省略)との通信I/Fである。
【0060】
画像処理IC109は、コントローラ(図示省略)により生成されたイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの画像データをそれぞれ画素画像信号に変換してパルス幅変調回路(図示省略)に入力する。そしてパルス幅変調回路は、入力された画素画像信号毎に、そのレベルに対応した幅(時間長)のレーザ駆動パルスを光走査部30に供給する。これにより、光走査部30は、パルス幅に対応する時間だけレーザ駆動パルスに対応する色のレーザ光を照射する。つまり、レーザ光は、高濃度画素に対してはより長い時間駆動され、低濃度画素に対してはより短い時間駆動されることになる。このため画像処理IC109は、取得したブラック、シアン、マゼンタ、イエローの画像データのドット数(画素数)をそれぞれカウントすることで、対応する色の静電潜像の画像印字比率に応じたビデオカウントを算出する。
【0061】
I/O111は、残量センサ22Y、22M、22C、及び22K、トナー補給駆動モータ123、並びにトナー補給クラッチ125Y、125M、125C、及び125Kなどの電装品とシステムバス119とのインタフェースである。
【0062】
残量センサ22Y、22M、22C、及び22Kは、それぞれ現像部21Y、21M、21C、21Kに設置されており、設置されている現像部21内に貯留されているトナーの残量を検知する。
【0063】
トナー補給駆動モータ123は、トナー補給ローラ231Y、231M、231C、及び231Kの駆動源であり、トナー補給クラッチ125Y、125M、125C、及び125Kは、それぞれトナー補給ローラ231Y、231M、231C、及び231Kの駆動源である。
【0064】
ROM113は、CPU117により実行される制御プログラムなどを記憶する。RAM115は、CPU117の主メモリ及びワークエリアなどに利用され、具体的には、NVRAM105Y、105M、105C、及び105K並びにROM113に記憶されているデータの展開領域や、残量センサ22Y、22M、22C、及び22Kにより検知されたデータの一時格納領域などに用いられる。なお、RAM115は、増設ポート(図示省略)に接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができる。CPU117は、ROM113に記憶されている制御プログラムなどに基づいて、システムバス119に接続されている各デバイスとのアクセスを総括的に制御するとともに、I/O111を介して接続されている電装品などとの入出力を制御する。またCPU117は、外部I/F107を介してホストコンピュータなどの外部装置と通信する。
【0065】
図6は、本実施形態の印刷装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。印刷装置1は、記憶部301と、トナー消費量算出部303と、累積トナー消費量算出部305と、第1補給判断部307と、補給制御部309と、第2補給判断部311とを、備える。本実施形態では、記憶部301は、NVRAM105Y、105M、105C、及び105K、並びにRAM115などにより実現され、トナー消費量算出部303、累積トナー消費量算出部305、補給判断部307、補給制御部309、及び第2補給判断部311は、CPU117により実現されるものとするが、これに限定されるものではない。
【0066】
記憶部301は、後述の累積トナー消費量算出部305により算出される各色の累積トナー消費量などを記憶する。
【0067】
トナー消費量算出部303は、静電潜像の現像により消費されるトナー消費量を算出する。本実施形態では、トナー消費量算出部303は、画像処理IC109によりカウントされたイエローの画像データのドット数(ビデオカウント)から、当該画像データに基づいて形成された静電潜像を現像することにより現像部21Yから消費されるイエロートナーのトナー消費量を算出する。同様に、トナー消費量算出部303は、マゼンタの画像データのドット数から、当該画像データに基づいて形成された静電潜像を現像することにより現像部21Mから消費されるマゼンタトナーのトナー消費量を算出する。同様に、トナー消費量算出部303は、シアンの画像データのドット数から、当該画像データに基づいて形成された静電潜像を現像することにより現像部21Cから消費されるシアントナーのトナー消費量を算出する。同様に、トナー消費量算出部303は、ブラックの画像データのドット数から、当該画像データに基づいて形成された静電潜像を現像することにより現像部21Kから消費されるブラックトナーのトナー消費量を算出する。なお本実施形態では、画像印字比率2%チャートで0.03g/Pageのトナーが消費されるものとするが、これに限定されるものではない。このように本実施形態では、トナー消費量算出部303は、画像データのドット数(ビデオカウント)からトナー消費量を算出するため、トナー消費量を高精度に算出できる。
【0068】
累積トナー消費量算出部305は、トナー消費量算出部303により算出されたトナー消費量を累積して累積トナー消費量を算出し、記憶部301に格納する。具体的には、累積トナー消費量算出部305は、トナー消費量算出部303により算出された各色のトナー消費量を、それぞれ記憶部301に格納されている対応する色の累積トナー消費量に加算することにより、記憶部301に格納されている累積トナー消費量を更新する。
【0069】
ここで本実施形態では、後述の第1補給判断部307により現像部21にトナーを補給すると判断された場合、及び後述の第2補給判断部311により現像部21にトナーを補給すると判断された場合に、記憶部301に格納されている対応する色の累積トナー消費量が初期化される。つまり、累積トナー消費量算出部305は、トナー補給開始後から次のトナー補給が開始されるまでの累積トナー消費量を算出する。
【0070】
第1補給判断部307は、現像部21Y、21M、21C、21K内のトナー量から、それぞれ、現像部21Y、21M、21C、21Kにトナーを補給するか否かを判断する。具体的には、第1補給判断部307は、現像部21に設置されている残量センサ22によりトナー量が閾値以下になったことが検知された場合に、当該現像部21にトナーを補給すると判断し、閾値以下になったことが検知されなかった場合に、当該現像部21にトナーを補給しないと判断する。
【0071】
ここで本実施形態では、現像部21内のトナーを循環部(スクリュー)で循環させているため、循環部の回転角度によってトナー喫水面が変動する。このトナー喫水面の変動の影響を抑えるため、本実施形態では、残量センサ22は、現像部21内に貯留されているトナー量を循環部の攪拌周期毎に検知し、第1補給判断部307は、残量センサ22が連続5回中4回以上、トナー量が閾値以下になったことを検知した場合に、当該現像部21にトナーを補給すると判断する。
【0072】
なお、第1補給判断部307は、現像部21にトナーが補給されていない場合に、当該現像部21にトナーを補給するか否かを判断する。また本実施形態では、残量センサ22によりトナー量が閾値以下になったことが検知された場合を、第2センサ221Yによりトナー量が第2閾値以下になったことが検知された場合とするが、これに限定されるものではない。
【0073】
また第1補給判断部307は、現像部21への補給が完了され、第2補給判断部311によりにトナーを補給しないと判断された場合に、当該現像部21にトナーを補給するか否かを判断する。
【0074】
補給制御部309は、現像部21への前回のトナー補給開始後から第1補給判断部307により当該現像部21にトナーを補給すると判断されるまでの間に累積トナー消費量算出部305により算出された当該現像部21に対応する色のトナー消費量の累積をトナー補給量とする。そして補給制御部309は、トナー補給量のトナーを対応するトナー容器23から当該現像部21に補給させる。具体的には、補給制御部309は、第1補給判断部307により現像部21にトナーを補給すると判断されると、当該現像部21に対応する色の累積トナー消費量を記憶部301から読み出す。そして補給制御部309は、読み出した累積トナー消費量をトナー補給量とし、トナー補給駆動モータ123及び当該現像部21に対応するトナー補給クラッチ125を駆動し、トナー補給量のトナーを対応するトナー容器23から当該現像部21に補給させる。
【0075】
また補給制御部309は、第2補給判断部311により現像部21にトナーを補給すると判断された場合、当該現像部21へのトナー補給中に累積トナー消費量算出部305により算出された当該現像部21に対応する色のトナー消費量の累積をトナー補給量とする。そして補給制御部309は、トナー補給量のトナーを対応するトナー容器23から当該現像部21に更に補給させる。具体的には、補給制御部309は、第2補給判断部311により現像部21にトナーを補給すると判断されると、当該現像部21に対応する色の累積トナー消費量を記憶部301から読み出す。そして補給制御部309は、読み出した累積トナー消費量をトナー補給量とし、トナー補給駆動モータ123及び当該現像部21に対応するトナー補給クラッチ125を駆動し、トナー補給量のトナーを対応するトナー容器23から当該現像部21に補給させる。
【0076】
なお補給制御部309は、トナー容器23に備えられているトナー補給ローラ231の回転速度を変更できる。これにより、補給制御部309は、トナー容器23から対応する現像部21へのトナーの補給時間を変更することができる。
【0077】
第2補給判断部311は、現像部21へのトナー補給中に累積トナー消費量算出部305により算出された当該現像部21に対応する色のトナー消費量の累積がトナー補給量以上の場合に、当該現像部21にトナーを補給すると判断し、トナー補給量未満の場合に、当該現像部21にトナーを補給しないと判断する。
【0078】
次に、本実施形態の印刷装置の動作について説明する。
【0079】
以下では、トナー量の上限(第1閾値)が100g、トナー量の下限(第2閾値)が90gであり、現像部21に貯留されているトナー残量が90g〜100gを推移するものとする。なお、この場合、トナー補給比率は、10/90%となるため、15%未満となる。
【0080】
現像部の構成によっても異なるが、本実施形態のような一般的な現像部の構成では、ベタ画像などの画像印字比率の高い画像に対して良好な画質を維持するためには、現像部内に30〜40g以上のトナーを残しておく必要がある。また、トナー容器が空であると判断されるまでに消費されるトナーや、トナー容器が空となってから新たなトナー容器に交換されるまでの間に消費されるトナーなども考慮する必要がある。このため第1実施形態では、上述したような数値を設定しているが、各数値はこれに限定されるものではなく、適宜設定できる。
【0081】
図7は、本実施形態の印刷装置1のトナー補給処理の一例を示すフローチャートである。なお、図7に示す例では、イエロートナーのトナー補給処理について説明するが、シアントナー、マゼンタトナー、及びブラックトナーの補給についても、同様の処理を適用できる。
【0082】
印刷装置1が印刷を開始すると、光走査部30は、感光体ドラム13Yへの露光を開始し、感光体ドラム13Yへの印刷対象ページのイエローの画像データに基づく静電潜像の形成を開始する(ステップS100)。
【0083】
続いて、トナー消費量算出部303は、印刷対象ページのイエローの画像データのドット数から、トナー消費量を算出する(ステップS102)。
【0084】
続いて、累積トナー消費量算出部305は、トナー消費量算出部303により算出されたトナー消費量を記憶部301に格納されているイエロー(イエローの画像データ)の累積トナー消費量に加算することにより、記憶部301に格納されている累積トナー消費量を更新する(ステップS104)。
【0085】
続いて、第1補給判断部307は、現像部21Yにより印刷対象ページのイエローの画像データに基づく静電潜像の現像が終了されると、残量センサ22Yによりイエロートナーのトナー量が閾値以下になったことが検知されたか否か確認する(ステップS106)。
【0086】
現像部21Yに閾値を超える量のイエロートナーがあり(ステップS106でYes)、次ページの印刷がある場合には(ステップS108でYes)、ステップS100に戻り、次ページの印刷が行われる。また、現像部21Yに閾値を超える量のイエロートナーがあり(ステップS106でYes)、次ページの印刷がない場合には(ステップS108でNo)、処理が終了となる。
【0087】
一方、現像部21Yに閾値を超える量のイエロートナーがない場合(ステップS106でNo)、補給制御部309は、記憶部301からイエローの累積トナー消費量を読み出し、トナー補給量に代入する(ステップS110)。
【0088】
続いて、補給制御部309は、記憶部301に格納されているイエローの累積トナー消費量を初期化する(ステップS112)。
【0089】
続いて、補給制御部309は、トナー補給駆動モータ123及びトナー補給クラッチ125Yを駆動し、トナー容器23Yから現像部21Yへのトナー補給量のイエロートナーの補給を開始させる(ステップS114)。
【0090】
続いて、次ページの印刷要求がある場合(ステップS116でYes)、光走査部30は、感光体ドラム13Yへの露光を開始し、感光体ドラム13Yへの印刷対象の次ページのイエローの画像データに基づく静電潜像の形成を開始する(ステップS118)。なお、次ページの印刷要求がない場合(ステップS116でNo)、ステップS124へ進む。
【0091】
続いて、トナー消費量算出部303は、印刷対象の次ページのイエローの画像データのドット数から、トナー消費量を算出する(ステップS120)。
【0092】
続いて、累積トナー消費量算出部305は、トナー消費量算出部303により算出されたトナー消費量を記憶部301に格納されているイエロー(イエローの画像データ)の累積トナー消費量に加算することにより、記憶部301に格納されている累積トナー消費量を更新する(ステップS122)。
【0093】
続いて、イエロートナーの補給が完了していなければ(ステップS124でNo)、ステップS116に戻る。一方、イエロートナーの補給が完了していれば(ステップS124でYes)、第2補給判断部311は、記憶部301に格納されているイエローの累積トナー消費量を読み出してトナー補給量と比較する(ステップS126)。これにより、第2補給判断部311は、トナー補給中に消費されたトナー量が補給されたトナー量よりも多いか否かを判断する。
【0094】
そして、読み出したイエローの累積トナー消費量がトナー補給量以上である場合(ステップS126でYes)、つまり、消費されたトナー量が補給されたトナー量よりも多い場合、ステップS110に戻る。これにより、トナー補給中に累積トナー消費量算出部305により算出された累積トナー消費量がトナー補給量に代入され、前回のイエロートナーの補給に継続して、トナー補給量のイエロートナーの補給が行われる。
【0095】
一方、読み出したイエローの累積トナー消費量がトナー補給量以上でない場合(ステップS126でNo)、つまり、消費されたトナー量が補給されたトナー量よりも多くない場合、ステップS106に戻る。そして、第1補給判断部307は、現像部21Yに閾値を超える量のイエロートナーがあるか否かを判定する。
【0096】
以上のように本実施形態によれば、トナー補給中であってもページの印刷を実行するため、印刷物の生産性の低下を防ぎ、印刷物の生産性を向上させることができる。そして本実施形態では、トナー補給完了後にトナー補給中の累積トナー消費量とトナー補給量とを用いて現像部のトナー残量を推測し、必要があればトナー残量の検出よりもトナー補給を優先させるため、印刷物の生産性を更に向上させることができる。
【0097】
特に本実施形態のように、現像部内のトナーを循環部(スクリュー)で循環させている場合、循環部の回転角度によってトナー喫水面が変動するため、この影響を抑えるためには、特定のタイミングにおいてトナー残量を検出しなければならず、トナー残量の検出に時間を要してしまう。このため本実施形態によれば、印刷物の生産性を更に向上させることができる。
【0098】
(変形例)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0099】
例えば上記実施形態では、トナー消費量算出部303は、画像データのドット数(ビデオカウント)からトナー消費量を算出したが、コントローラから画像データの印字比率を取得可能であれば、取得した印字比率からトナー消費量を算出するようにしてもよい。このようにすれば、現像前にトナー消費量を算出できるため、印刷対象ページの画像データの印刷前にトナー補給の可否を判断することが可能となる。
【0100】
また例えば上記実施形態では、第1補給判断部307は、現像部21にトナーを補給するか否かを、残量センサ22を用いて判断していたが、前回のトナー補給開始後に累積トナー消費量算出部305により算出されたトナー消費量の累積から判断するようにしてもよい。具体的には、記憶部301に閾値を格納しておき、第1補給判断部307は、前回のトナー補給開始後に累積トナー消費量算出部305により算出されたトナー消費量の累積を記憶部301格納されている閾値と比較し、閾値を超える場合に現像部21にトナーを補給すると判断するようにしてもよい。このようにすれば、印刷物の生産性の低下をより抑えることができる。
【0101】
この場合、複数の閾値を記憶部301に格納しておき、第1補給判断部307は、複数の閾値を用いて、トナーを補給するか否かを段階的に判断し、補給制御部309は、第1補給判断部307によるトナーを補給するとの判断に用いられた閾値に応じた補給時間で、トナー容器23から現像部21にトナーを補給させるようにしてもよい。このようにすれば、より短い周期でのトナー補給が可能となり画質安定につながる。
【0102】
また前述したとおり、本実施形態では、トナー補給やトナー循環時にプロセス線速を上げることで、補給時間、循環時間を短縮することができる。このため、印刷装置1は、印刷後の補給時など、プロセス線速を上げても画像不良が発生しないタイミングでの補給時にはプロセス線速を上げるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 印刷装置
10 画像形成部
11Y、11M、11C、11K プロセスカードリッジ
12Y、12M、12C、12K 作像部
13Y、13M、13C、13K 感光体ドラム
14Y、14M、14C、14K 帯電ローラ
15Y、15M、15C、15K 一次転写ローラ
16Y、16M、16C、16K クリーニング装置
20Y、20M、20C、20K 現像装置
21Y 現像部
22Y、22M、22C、22K 残量センサ
23Y トナー容器
30 光走査部
40 中間転写ベルト
41、42 支持ローラ
50 給紙部
51 給紙ローラ
52 パッド
53 搬送ローラ対
60 二次転写ローラ
70 定着部
80 排紙ローラ対
81 排紙台
101 操作パネルI/F
103 操作パネル
105K、105C、105M、105Y NVRAM
107 外部I/F
109 画像処理IC
111 I/O
113 ROM
115 RAM
117 CPU
119 システムバス
123 トナー補給駆動モータ
125K、125C、125M、及び125Y トナー補給クラッチ
210Y ハウジング
211Y 現像ローラ
212Y 供給ローラ
213Y 現像ブレード
215Ya、215Yb 透過窓
220Y 第1センサ
221Y 第2センサ
220Ya、221Ya 発光素子
220Yb、221Yb 受光素子
230Y アジテータ
231Y トナー補給ローラ
301 記憶部
303 トナー消費量算出部
305 累積トナー消費量算出部
307 第1補給判断部
309 補給制御部
311 第2補給判断部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2009−75574号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像の現像により現像部から消費されるトナー消費量を算出するトナー消費量算出部と、
前記現像部内のトナー量又は前回のトナー補給開始後に前記トナー消費量算出部により算出されたトナー消費量の累積から、前記現像部にトナーを補給するか否かを判断する第1補給判断部と、
前回のトナー補給開始後から前記第1補給判断部によりトナーを補給すると判断されるまでの間に前記トナー消費量算出部により算出されたトナー消費量の累積をトナー補給量として、補給部から前記現像部にトナーを補給させる補給制御部と、
前記現像部へのトナー補給中に前記トナー消費量算出部により算出されたトナー消費量の累積が前記トナー補給量以上の場合に、前記現像部にトナーを補給すると判断する第2補給判断部と、を備え、
前記補給制御部は、前記第2補給判断部によりトナーを補給すると判断された場合、前記現像部へのトナー補給中に前記トナー消費量算出部により算出されたトナー消費量の累積を前記トナー補給量として、前記補給部から前記現像部に更にトナーを補給させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2補給判断部は、前記現像部へのトナー補給中に前記トナー消費量算出部により算出されたトナー消費量の累積が前記トナー補給量未満の場合に、前記現像部にトナーを補給しないと判断し、
前記第1補給判断部は、前記第2補給判断部によりトナーを補給しないと判断された場合、トナー補給完了後に、前記現像部にトナーを補給するか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー消費量算出部は、前記静電潜像の生成元の画像データのドット数又は印字率からトナー消費量を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像部のトナー量が閾値以下になったことを検知する検知部を更に備え、
前記第1補給判断部は、前記検知部により前記閾値以下になったことが検知された場合に前記現像部にトナーを補給すると判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知部は、光検知方式又は粉体検知方式を用いて、前記現像部のトナー量が閾値以下になったことを検知することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1補給判断部は、前回のトナー補給開始後に前記トナー消費量算出部により算出されたトナー消費量の累積が閾値を超える場合に前記現像部にトナーを補給すると判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記閾値は、複数設定されており、
前記補給制御部は、前記第1補給判断部によるトナーを補給するとの判断に用いられた閾値に応じた補給時間で、前記補給部から前記現像部にトナーを補給させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像部は、前記補給部から補給されたトナーを攪拌しながら循環させる循環部を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記補給部は、補給ローラを備え、
前記補給制御部は、前記補給ローラの回転速度を変更することで、前記補給部から前記現像部へのトナーの補給時間を変更することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
トナー消費量算出部が、静電潜像の現像により現像部から消費されるトナー消費量を算出するトナー消費量算出ステップと、
第1補給判断部が、前記現像部内のトナー量又は前回のトナー補給開始後に前記トナー消費量算出ステップにより算出されたトナー消費量の累積から、前記現像部にトナーを補給するか否かを判断する第1補給判断ステップと、
補給制御部が、前回のトナー補給開始後から前記第1補給判断ステップによりトナーを補給すると判断されるまでの間に前記トナー消費量算出ステップにより算出されたトナー消費量の累積をトナー補給量として、補給部から前記現像部にトナーを補給させる第1補給制御ステップと、
第2補給判断部が、前記現像部へのトナー補給中に前記トナー消費量算出ステップにより算出されたトナー消費量の累積が前記トナー補給量以上の場合に、前記現像部にトナーを補給すると判断する第2補給判断ステップと、
前記補給制御部が、前記第2補給判断ステップによりトナーを補給すると判断された場合、前記現像部へのトナー補給中に前記トナー消費量算出ステップにより算出されたトナー消費量の累積を前記トナー補給量として、前記補給部から前記現像部に更にトナーを補給させる第2補給制御ステップと、
を含むことを特徴とするトナー補給方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−256006(P2012−256006A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130428(P2011−130428)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】