説明

画像形成装置及びネットワークシステム

【課題】画像データが記憶装置に残存して蓄積されて記憶装置の空き容量が小さくなることがないようにする。
【解決手段】ファクシミリデータの送信者情報と利用者端末の通知先情報とが対応させて登録された記録部13と、受信されたファクシミリデータを画像データに変換するデータ変換部14と、画像データを記録するためのデータ格納部16と、画像データの管理を行うデータ管理部15と、受信された送信者情報、及び記録部にあらかじめ登録された送信者情報に基づいて、ファクシミリデータが受信された旨の情報を所定の利用者端末に送信するデータ転送部17と、送信結果を管理者に通知する情報提供部18とを有する。情報の送信先に利用者が存在していない場合、管理者は送信結果を受けて、画像データについて印刷を行ったり、印刷を行うことなく画像データを削除したりすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置、例えば、ファクシミリと複数の端末とがネットワークを介して接続されたネットワークシステムにおいては、ファクシミリが、例えば、PSTN回線(電話回線)を介してファクシミリデータを受信すると、ファクシミリデータが画像データに変換されて記憶装置としてのデータ格納部に記録され、ファクシミリの利用者の端末、すなわち、利用者端末に、ファクシミリデータが受信された旨の電子メールが送信され、各利用者にファクシミリデータが受信された旨が通知されるようになっている。
【0003】
そして、電子メールを受信すると、利用者は、前記データ格納部に記録された画像データについて利用者端末によって印刷を行い、その後、前記データ格納部の画像データを削除する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−28688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のネットワークシステムにおいては、会社等に配設される場合、利用者が退職したり、異動になったりして電子メールの送信先に存在しなくなると、画像データが、削除されることなくデータ格納部に残存して蓄積され、データ格納部の空き容量が小さくなり、次にファクシミリデータを受信したときに、画像データをデータ格納部に記録することができなくなることがある。
【0006】
そこで、利用者が電子メールの送信先に存在しなくなった場合に、データ格納部に記録された画像データについて自動的に印刷が行われたり、自動的に画像データが削除されたりするようになっている。ところが、ファクシミリデータの内容によらず、自動的に印刷が行われたり、画像データが削除されたりすると、無用な印刷が行われたり、必要な印刷が行われなくなったりしてしまう。
【0007】
本発明は、前記従来のネットワークシステムの問題点を解決して、画像データが記憶装置に残存して蓄積されて記憶装置の空き容量が小さくなることがなく、無用な印刷が行われたり、必要な印刷が行われなくなったりすることがない画像形成装置及びネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の画像形成装置においては、ファクシミリデータを受信し、ネットワークを介して利用者端末と接続されるようになっている。
【0009】
そして、ファクシミリデータの送信者情報と利用者端末の通知先情報とが対応させて登録された記録部と、受信されたファクシミリデータを画像データに変換するデータ変換部と、前記画像データを記録するためのデータ格納部と、該データ格納部に記録された画像データの管理を行うデータ管理部と、前記ファクシミリデータが受信されたときに、ファクシミリデータと共に受信された送信者情報、及び前記記録部にあらかじめ登録された送信者情報に基づいて、ファクシミリデータが受信された旨の情報を所定の利用者端末に送信するデータ転送部と、ファクシミリデータが受信された旨の情報の送信結果を画像形成装置の管理者に通知する情報提供部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置においては、ファクシミリデータを受信し、ネットワークを介して利用者端末と接続されるようになっている。
【0011】
そして、ファクシミリデータの送信者情報と利用者端末の通知先情報とが対応させて登録された記録部と、受信されたファクシミリデータを画像データに変換するデータ変換部と、前記画像データを記録するためのデータ格納部と、該データ格納部に記録された画像データの管理を行うデータ管理部と、前記ファクシミリデータが受信されたときに、ファクシミリデータと共に受信された送信者情報、及び前記記録部にあらかじめ登録された送信者情報に基づいて、ファクシミリデータが受信された旨の情報を所定の利用者端末に送信するデータ転送部と、ファクシミリデータが受信された旨の情報の送信結果を画像形成装置の管理者に通知する情報提供部とを有する。
【0012】
この場合、ファクシミリデータが受信されたときに、ファクシミリデータと共に受信された送信者情報、及び前記記録部に登録された送信者情報に基づいて、ファクシミリデータが受信された旨の情報が所定の利用者端末に送信され、送信結果が画像形成装置の管理者に通知されるので、ファクシミリデータが受信された旨の情報の送信先に利用者が存在していない場合、管理者は送信結果を受けて、画像データについて印刷を行った後、画像データを削除したり、印刷を行うことなく画像データを削除したりすることができる。
【0013】
したがって、画像データについて、無用な印刷が行われたり、必要な印刷が行われなかったりすることがなくなる。
【0014】
また、画像データが削除されるので、次にファクシミリデータが受信されたときに、画像データをデータ格納部に記録することができなくなることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるネットワークシステムの要部を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるネットワークシステムを示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における通知先登録情報の例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるファクシミリの動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるデータ管理情報の例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における通知先登録情報の例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるファクシミリの動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるデータ管理情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、ネットワークシステムにおいて画像形成装置としてファクシミリを使用する場合について説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるネットワークシステムの要部を示すブロック図、図2は本発明の第1の実施の形態におけるネットワークシステムを示すブロック図、図3は本発明の第1の実施の形態における通知先登録情報の例を示す図である。
【0018】
図において、ntはネットワークシステムであり、該ネットワークシステムntは、第1の回線としてのPSTN回線、第2の回線としてのISDN回線等の電話回線に接続されたファクシミリ10、メールサーバ30、複数のパソコン等の利用者端末Pci(i=1、2、…)、ネットワーク(LAN)40等を備え、該ネットワーク40によって、前記ファクシミリ10、メールサーバ30、利用者端末Pci等が接続される。
【0019】
前記ファクシミリ10は、ファクシミリ10の管理者の端末、すなわち、管理者端末として機能し、PSTN回線、ISDN回線等の電話回線を介して他の画像形成装置としてのファクシミリに通信データとしてのファクシミリデータを送信したり、他のファクシミリからのファクシミリデータを受信し、ファクシミリデータを画像データに変換し、画像データについて印刷を行ったり、画像データを利用者端末Pciに送信し、利用者端末Pciにおいて画像データについて印刷を行ったりすることができる。
【0020】
前記メールサーバ30は、ファクシミリ10と利用者端末Pciとの間で電子メールの送受信を行うためのサーバであり、ファクシミリ10用のメールボックス及び各利用者端末Pci用のメールボックスから成るメールボックス部31を備える。
【0021】
そして、図に示されるように、ファクシミリ10は、ファクシミリ10の全体の制御を行う制御部ct、キー、ボタン等の操作要素を備え、操作者としての利用者によって操作される操作部hd、LEDパネル等の表示要素を備え、利用者に対して各種の情報を表示する表示部ds、RAM、ROM、フラッシュメモリ等から成り、各種のデータ、プログラム等を記録するための第1の記憶装置としてのメモリme、前記PSTN回線に接続された第1の回線接続部としてのアナログ回線接続部11、前記ISDN回線に接続された第2の回線接続部としてのディジタル回線接続部12、及びRAMから成り、図3に示されるような通知先登録情報を記録、すなわち、登録するための第2の記憶装置としての記録部13を備える。
【0022】
前記アナログ回線接続部11はPSTN回線を介して、ディジタル回線接続部12はISDN回線を介して他のファクシミリと接続され、アナログ回線接続部11及びディジタル回線接続部12には、他のファクシミリから受信したファクシミリデータを一時的に記録する受信メモリが配設される。
【0023】
前記記録部13に登録される通知先登録情報は、第1の通知先情報としてのファクシミリ10のメールアドレス、ファクシミリ10とのファクシミリデータの送受信がされる他のファクシミリの電話番号(TSI:Transmitting Subscriber Identification)(以下「登録電話番号」という。)、及び各登録電話番号に対応させて設定された第2の通知先情報としての所定の利用者端末Pciのメールアドレス、並びに各メールアドレスがファクシミリ10の管理者のものであるか、利用者端末Pciの利用者のものであるかを示す区分から成る。なお、記録部13には、他のファクシミリの登録電話番号に対応させて少なくとも一つの利用者端末Pciのメールアドレスが登録される。
【0024】
また、前記ファクシミリ10は、他のファクシミリから受信したファクシミリデータを画像データに変換するデータ変換処理手段としてのデータ変換部14、画像データの管理を行うデータ管理処理手段としてのデータ管理部15、HDD等から成り、画像データを格納データとして記録するための第3の記憶装置としてのデータ格納部16、該データ格納部16に記録された画像データを、前記記録部13にメールアドレスが登録された所定の利用者端末Pciに電子メールで送信するデータ転送処理手段としてのデータ転送部17、電子メールの送信が良好に行われたかどうかを、電子メールの送信エラーが発生したかどうかによって判断し、送信が良好に行われなかった場合に、判断結果をファクシミリ10の管理者に通知する情報提供処理手段としての情報提供部18、ファクシミリ10の管理者及び利用者端末Pciの利用者の指示に基づいて、データ格納部16に記録された画像データについて印刷を行うデータ印刷処理手段としてのデータ印刷部19、並びに利用者端末Pciに電子メールを送信するために前記ネットワーク40に接続されたネットワーク接続部20を備える。
【0025】
前記制御部ct、データ変換部14、データ管理部15、データ転送部17、情報提供部18、データ印刷部19等によって制御装置が構成される。
【0026】
次に、前記構成のファクシミリ10の動作について説明する。
【0027】
図4は本発明の第1の実施の形態におけるファクシミリの動作を示すフローチャート、図5は本発明の第1の実施の形態におけるデータ管理情報の例を示す図である。
【0028】
まず、ファクシミリ10の使用開始時、又は他のファクシミリの登録電話番号、ファクシミリ10及び利用者端末Pciのメールアドレス等が変更された場合に、利用者による操作部hdの操作に基づいて、制御部ctの図示されない着信設定処理手段は、着信設定処理を行い、前記メールサーバ30を介して電子メールを送受信するためのメール設定情報、すなわち、ファクシミリ10及び利用者端末Pciのメールアドレスを、記録部13に記録することによって前記通知先登録情報を登録する。
【0029】
続いて、前記制御部ctの図示されない着信待機処理手段は、着信待機処理を行い、アナログ回線接続部11がPSTN回線を介して、又はディジタル回線接続部12がISDN回線を介してファクシミリデータを受信するのを待機する。
【0030】
そして、アナログ回線接続部11又はディジタル回線接続部12がファクシミリデータを受信すると、前記データ管理部15は、データ管理処理を行い、ファクシミリデータからデータ名としてのファイル名を読み込み、ファクシミリデータと共に送信される第1の送信者情報としての他のファクシミリの電話番号(以下「送信者電話番号」という。)、及び第2の送信者情報としての他のファクシミリの管理者を表す送信者名称(TTI:Transmit Terminal Identifier)を読み込むとともに、アナログ回線接続部11又はディジタル回線接続部12からファクシミリデータを受信したときの受信日時を読み込むことによって、ファイル名、送信者電話番号、送信者名称及び受信日時から成る受信情報を取得する。
【0031】
次に、データ変換部14は、データ変換処理を行い、ファクシミリデータを、アナログ回線接続部11又はディジタル回線接続部12の受信メモリから読み出し、画像データに変換し、データ管理部15は、変換された画像データをデータ格納部16に記録するとともに、前記画像データに対応する受信情報に管理番号を付してデータ管理情報とし、データ格納部16に記録する。前記画像データは、データ格納部16に記録するために、TIFF(Tagged Image File Format)、PDF(Portable Document Format)等のような、ファクシミリ10の機種、ファクシミリ10で使用されるフォント等に依存しないファイル形式にされる。
【0032】
続いて、データ転送部17は、データ転送処理を行い、ファクシミリデータが受信された旨を利用者に通知する。そのために、データ転送部17の図示されない通知先決定処理手段は、通知先決定処理を行い、データ管理部15に記録されたデータ管理情報のうちの送信者電話番号を読み込み、送信者電話番号と記録部13に登録された登録電話番号とが一致するかどうかを判断し、送信者電話番号と登録電話番号とが一致する場合、登録電話番号に対応する利用者端末Pciを、ファクシミリデータが受信された旨を通知するための通知先として決定する。
【0033】
続いて、前記データ転送部17の図示されない通知処理手段は、通知処理を行い、記録部13から、通知先として決定した利用者端末Pciのメールアドレスを読み出し、通知先として決定した利用者端末Pciに、ファクシミリデータが受信された旨を通知する電子メール(通知メール)を送信することによって、ファクシミリデータが受信された旨を利用者に通知する。このとき、前記通知処理手段は、電子メールに、ファクシミリデータの先頭のページの画像データを付加情報として添付する。
【0034】
また、送信者電話番号と登録電話番号とが一致しない場合、前記通知先決定処理手段は、ファクシミリ10を、記録部13に登録されていない電話番号からのファクシミリデータが受信された旨を通知するための通知先として決定し、前記通知処理手段は、記録部13からファクシミリ10のメールアドレスを読み出し、ファクシミリ10に、記録部13に登録されていない電話番号からのファクシミリデータが受信された旨を通知する電子メールを送信することによって、記録部13に登録されていない電話番号からのファクシミリデータが受信された旨を管理者に通知する。
【0035】
この場合、ファクシミリ10の管理者は、必要に応じて、記録部13に登録されていない電話番号を、記録部13に追加して登録することができる。
【0036】
ところで、例えば、会社において、利用者が、退職したり、異動になったりして電子メールの送信先に存在しなくなった場合、利用者端末Pciのメールアドレスが変更されたりした場合等において、利用者端末Pciに電子メールが送信されると、送信エラーが発生する。
【0037】
そこで、本実施の形態において、情報提供部18の図示されない送信結果判断処理手段は、送信結果判断処理を行い、電子メールを送信した後、所定の設定時間、本実施の形態においては1〔分〕が経過すると、ネットワーク接続部20を介してメールサーバ30のメールボックス部31におけるファクシミリ10のメールボックスにアクセスし、利用者端末Pciへの電子メールの送信が良好に行われたかどうかを、電子メールの送信エラーが発生しなかったかどうかによって判断する。そのために、制御部ctは計時部材としての図示されないタイマを備え、通知先の利用者端末Pciに電子メールが送信されると、前記タイマによる計時を開始し、前記送信結果判断処理手段は、タイマによる計時時間を読み込み、1〔分〕が経過したかどうかを判断する。
【0038】
電子メールの送信エラーが発生せず、電子メールの送信が良好に行われた場合、前記データ管理部15は、データ格納部16に記録されたデータ管理情報を、電子メールを送信した利用者端末Pciのメールアドレス、及び電子メールの送信結果を追加することによって更新する。
【0039】
また、電子メールの送信エラーが発生し、利用者端末Pciへの電子メールの送信が良好に行われなかった場合、前記情報提供部18は、情報提供処理を行い、記録部13からファクシミリ10のメールアドレスを読み出し、ファクシミリ10に、送信が良好に行われなかった旨を通知する電子メール(情報提供メール)を送信することによって、送信が良好に行われなかった旨を管理者に通知する。そして、前記データ管理部15は、データ格納部16に記録されたデータ管理情報を、電子メールを送信した利用者端末Pciのメールアドレス、及び電子メールの送信結果を追加することによって更新する。
【0040】
また、前記ファクシミリ10の管理者は、電子メールの内容に基づいて、必要に応じて利用者端末Pciのメールアドレスを確認し、修正し、データ管理情報を更新する。
【0041】
なお、データ管理情報における送信結果は、電子メールの送信エラーが発生しなかった場合、OKとされ、電子メールの送信エラーが発生した場合、NGとされる。
【0042】
続いて、制御部ctの図示されない電源監視処理手段は、電源監視処理を行い、ファクシミリ10の電源がオフにされたかどうかを判断する。ファクシミリ10の電源がオフにされた場合、制御部ctは処理を終了し、ファクシミリ10の電源がオフにされていない場合、前記着信待機処理手段は、アナログ回線接続部11がPSTN回線を介して、又はディジタル回線接続部12がISDN回線を介してファクシミリデータを受信するのを再び待機する。
【0043】
このように、本実施の形態においては、ファクシミリデータが受信されると、ファクシミリデータが受信された旨を通知する電子メールが利用者端末Pciに送信されるので、利用者端末Pciの利用者は、ファクシミリ10から電子メールを受信することによって、ファクシミリデータが受信されたことを認識することができる。
【0044】
また、電子メールにファクシミリデータの先頭のページの画像データが添付されるので、利用者端末Pciの利用者は、添付された先頭ページの画像データに基づいて、ファクシミリデータの内容を把握することができる。したがって、利用者は、ファクシミリデータの内容に応じて、画像データについて印刷を行ったり、印刷を行うことなく画像データを削除したりすることができる。そのために、利用者端末Pciは図示されない操作部、制御部等を備え、利用者端末Pciにおいて、利用者が操作部を操作し、画像データについて印刷を指示すると、制御部の印刷指示処理手段は、印刷指示処理を行い、利用者の指示に従って、ファクシミリ10に印刷指示を送る。そして、ファクシミリ10において、データ印刷部19は、データ印刷処理を行い、前記画像データについて印刷を行う。また、利用者が、操作部を操作し、画像データについて印刷を行うことなく、画像データの削除を指示すると、前記制御部の削除指示処理手段は、削除指示処理を行い、利用者の指示に従って、ファクシミリ10に削除指示を送る。そして、ファクシミリ10において、データ管理部15の図示されないデータ削除処理手段は、データ削除処理を行い、データ格納部16の画像データを削除する。
【0045】
なお、前記データ削除処理手段は、利用者の指示に従って印刷が行われた画像データも削除する。
【0046】
このように、利用者の指示に従って印刷が行われたり、画像データが削除されたりするので、無用な印刷が行われたり、必要な印刷が行われなかったりすることがなくなる。
【0047】
また、画像データが、削除されることなくデータ格納部16に残存して蓄積され、データ格納部16の空き容量が小さくなることがないので、次にファクシミリデータが受信されたときに、画像データをデータ格納部16に記録することができなくなることがない。
【0048】
なお、ファクシミリ10に、記録部13に登録されていない電話番号からのファクシミリデータが受信された旨を通知する電子メールが送信されたとき、及びファクシミリ10に、送信エラーが発生した旨を通知する電子メールが送信されたときに、管理者は、ファクシミリデータの内容に応じて、画像データについて印刷を行ったり、印刷を行うことなく画像データを削除したりすることができる。すなわち、管理者が操作部hdを操作し、画像データについて印刷を指示すると、データ印刷部19は画像データについて印刷を行う。また、管理者が操作部hdを操作し、画像データについて印刷を行うことなく、画像データの削除を指示すると、データ管理部15の前記データ削除処理手段は、データ格納部16の画像データを削除する。
【0049】
このように、管理者の指示に従って印刷が行われたり、画像データが削除されたりするので、無用な印刷が行われたり、必要な印刷が行われなかったりすることがなくなるだけでなく、データ格納部16の空き容量が小さくなることがないので、次にファクシミリデータが受信されたときに、画像データをデータ格納部16に記録することができなくなることがない。
【0050】
また、例えば、会社において、電子メールの送信先に利用者が存在しなくなった場合、利用者端末Pciのメールアドレスが変更されたりした場合等に、記録部13の通知先登録情報を更新し、利用者端末Pciのメールアドレスを削除したり、変更したりすることができるので、画像データを適正に利用者端末Pciに送信することができる。
【0051】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 着信設定処理手段は着信設定処理を行う。
ステップS2 着信待機処理手段はファクシミリデータが受信されるのを待機する。ファクシミリデータが受信された場合はステップS3に進む。
ステップS3 データ管理部15は受信情報を取得する。
ステップS4 データ変換部14はデータ変換処理を行う。
ステップS5 データ管理部15はデータ管理情報を記録する。
ステップS6 通知先決定処理手段は通知先決定処理を行う。
ステップS7 通知処理手段は電子メールを送信する。
ステップS8 送信結果判断処理手段は電子メールの送信が良好に行われたかどうかを判断する。電子メールの送信が良好に行われた場合はステップS10に進み、送信が良好に行われなかった場合はステップS9に進む。
ステップS9 情報提供処理手段は送信が良好に行われなかった旨を通知する電子メールを管理者に送信する。
ステップS10 電源監視処理手段は電源がオフにされたかどうかを判断する。電源がオフにされた場合は処理を終了し、電源がオフにされていない場合はステップS2に戻る。
【0052】
次に、画像データについて閾値として保存期間があらかじめ設定され、データ格納部16に画像データが残存する期間、すなわち、残存期間が保存期間より長くなった場合に画像データが削除されるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0053】
図6は本発明の第2の実施の形態における通知先登録情報の例を示す図である。
【0054】
本実施の形態において、操作者としての利用者による操作部hdの操作に基づいて、制御部ctの前記着信設定処理手段は、前記メールサーバ30を介して電子メールを送受信するための、第1の通知先情報としてのファクシミリ10のメールアドレス、及び第2の通知先情報としての利用者端末Pciのメールアドレスを設定し、第2の記憶装置としての記録部13に記録するとともに、通知先登録情報として登録する。
【0055】
この場合、記録部13に登録される通知先登録情報は、第1の通知先情報としてのファクシミリ10のメールアドレス、ファクシミリ10とのファクシミリデータの送受信がされる他のファクシミリの登録電話番号、及び各登録電話番号に対応させて設定された第2の通知先情報としての所定の利用者端末Pciのメールアドレス、各メールアドレスがファクシミリ10の管理者のものであるか、各利用者端末Pciの利用者のものであるかを示す区分、並びに各画像データの保存期間から成る。
【0056】
なお、記録部13には、他のファクシミリの登録電話番号に対応させて少なくとも一つの利用者端末Pciのメールアドレスが登録される。また、画像データの保存期間は、他のファクシミリの各登録電話番号ごとに登録される。さらに、記録部13には、第3の記憶装置としてのデータ格納部16の空き容量の限界値が設定され、記録される。
【0057】
ところで、本実施の形態において、データ管理処理手段としてのデータ管理部15は、第1の実施の形態と同様に、データ格納部16にデータ管理情報を記録したり、記録されたデータ管理情報を更新したりするほかに、定期的に、例えば、1週間に1回、データ格納部16に記録されたすべての画像データについて、残存期間を監視し、残存期間に応じて画像データを削除する。
【0058】
そのために、前記制御部ctの図示されない監視タイミング判断処理手段は、監視タイミング判断処理を行い、あらかじめ設定された1週間に1回の監視タイミングになったかどうかを判断する。前記監視タイミング判断処理手段によって、監視タイミングになったと判断されると、前記制御部ctの図示されない監視指示処理手段は、監視指示処理を行い、データ格納部16に画像データについての監視指示を送る。そして、該監視指示を制御部ctから受けると、データ管理部15の図示されないデータ監視処理手段は、データ監視処理を行い、記録されたすべての画像データについて残存期間を監視し、残存期間に応じて画像データを削除する。
【0059】
次に、前記ファクシミリ10の動作について説明する。
【0060】
図7は本発明の第2の実施の形態におけるファクシミリの動作を示すフローチャート、図8は本発明の第2の実施の形態におけるデータ管理情報の例を示す図である。
【0061】
まず、前記データ監視処理手段の指標判断処理手段は、指標判断処理を行い、データ格納部16に記録されたデータ管理情報を管理番号ごとに参照し、画像データついて、削除する旨がファクシミリ10及び各利用者端末Pciに通知(予告)された画像データであることを示す指標、本実施の形態においては、削除通知済みフラグがオンであるかどうかを判断する。
【0062】
なお、本実施の形態において、図8に示されるように、データ管理情報は、管理番号、ファイル名、送信者電話番号、送信者名称、受信日時、電子メールを送信した利用者端末Pciのメールアドレス、及び電子メールの送信結果のほかに、前回のデータ監視処理においてオン・オフが設定された削除通知済みフラグから成る。
【0063】
そして、前記データ監視処理手段のデータ削除処理手段は、データ削除処理を行い、削除通知済みフラグがオンである画像データを削除する。
【0064】
次に、前記データ監視処理手段の残存期間判断処理手段は、残存期間判断処理を行い、記録部13からファクシミリデータの受信日時、及び画像データの保存期間を読み出し、受信日時に基づいて、次回、データ監視処理が行われる時点の、データ格納部16における画像データの残存時間を次期残存時間として算出し、次期残存期間が保存期間より長いかどうかを判断する。
【0065】
次期残存期間が保存期間より長い場合、データ転送処理手段としての前記データ転送部17の前記通知処理手段は、記録部13からファクシミリ10及び画像データに対応する利用者端末Pciのメールアドレスを読み出し、ファクシミリ10及び画像データに対応する利用者端末Pciに、画像データを削除する旨を通知する電子メール(削除メール)を送信することによって、管理者及び利用者に画像データを削除する旨を通知して、画像データの削除を予告する。
【0066】
続いて、前記データ監視処理手段の指標設定処理手段は、指標設定処理を行い、データ管理情報の削除通知済みフラグをオンにする。
【0067】
次に、情報提供処理手段としての前記情報提供部18の前記送信結果判断処理手段は、画像データを削除する旨を通知する電子メールを送信した後、所定の設定時間、本実施の形態においては1〔分〕が経過すると、ネットワーク接続部20を介してメールサーバ30のメールボックス部31におけるファクシミリ10のメールボックスにアクセスし、利用者端末Pciへの電子メールの送信がすべて良好に行われなかったかどうかを、送信したすべての電子メールの送信エラーが発生したかどうかによって判断する。そのために、制御部ctは計時部材としての図示されないタイマを備え、通知先の利用者端末Pciに電子メールが送信されると、前記タイマによる計時を開始し、前記送信結果判断処理手段は、タイマによる計時時間を読み込み、1〔分〕が経過したかどうかを判断する。
【0068】
利用者端末Pciへの電子メールの送信がすべて良好に行われなかった場合、前記情報提供部18は、記録部13からファクシミリ10のメールアドレスを読み出し、ファクシミリ10に、電子メールの送信がすべて良好に行われなかった旨を通知する電子メール(情報提供メール)を送信することによって、電子メールの送信がすべて良好に行われなかった旨を管理者に通知する。
【0069】
このようにして、すべての画像データについてデータ監視処理が終了すると、データ管理部15の図示されない容量判断処理手段は、容量判断処理を行い、データ格納部16の空き容量を読み込み、該空き容量が記録部13に設定された限界値より小さいかどうかを判断する。
【0070】
そして、空き容量が限界値より小さい場合、前記情報提供部18は、ファクシミリ10に、データ格納部16に記録された画像データの一覧を電子メールで送信する。
【0071】
このように、本実施の形態においては、データ管理部15に画像データを記録しておく保存期間が設定され、定期的に、データ格納部16に記録されたすべての画像データについて、残存期間が監視され、残存期間に応じて画像データが削除されるので、データ格納部16の空き容量が小さくなることがない。したがって、次のファクシミリデータが受信されたときに、画像データをデータ格納部16に記録することができなくなることがない。
【0072】
しかも、画像データを削除する前に、管理者及び利用者に画像データの削除が予告されるので、管理者及び利用者の意図に反して画像データが削除されることがなくなる。
【0073】
また、各利用者端末Pciへの電子メールの送信がすべて良好に行われなかった場合に、ファクシミリ10に、電子メールの送信がすべて良好に行われなかった旨を通知する電子メールが送信されるので、何らかの処理を行う必要があるか、又は削除する必要があるにもかかわらず、利用者が不明であるために、画像データが、何らかの処理も、削除もされないままになるのを防止することができる。
【0074】
さらに、データ格納部16の空き容量が限界値より小さくなると、データ管理部15が管理している画像データの一覧が管理者に電子メールで送信されるので、データ格納部16の空き容量が小さくなることがない。したがって、次のファクシミリデータが受信されたときに、画像データをデータ格納部16に記録することができなくなることがない。
【0075】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップT1 データ監視処理手段は、データ格納部16のすべての画像データについての処理を開始する。
ステップS11 指標判断処理手段は削除通知済みフラグがオンであるかどうかを判断する。削除通知済みフラグがオンである場合はステップS12に、削除通知済みフラグがオンでない場合はステップS13に進む。
ステップS12 データ削除処理手段はデータ格納部16の画像データを削除する。
ステップS13 残存期間判断処理手段は次期残存期間が保存期間より長いかどうかを判断する。次期残存期間が保存期間より長い場合はステップS14に、次期残存期間が保存期間より短い場合は場合はステップS16に進む。
ステップS14 通知処理手段は管理者及び利用者に画像データの削除を予告する。
ステップS15 指標設定処理手段は削除通知済みフラグをオンにする。
ステップS16 送信結果判断処理手段は電子メールの送信がすべて良好に行われなかったかどうかを判断する。電子メールの送信がすべて良好に行われなかった場合はステップS17に、電子メールの送信がすべて良好に行われた場合はステップT2に進む。
ステップS17 情報提供部18は電子メールの送信がすべて良好に行われなかった旨を通知する電子メールをファクシミリ10に送信する。
ステップT2 データ監視処理手段は、データ格納部16のすべての画像データについての処理を終了する。
ステップS18 容量判断処理手段はデータ格納部16の空き容量が限界値より小さいかどうかを判断する。データ格納部16の空き容量が限界値より小さい場合はステップS19に進み、データ格納部16の空き容量が限界値以上である場合は処理を終了する。
ステップS19 情報提供部18はファクシミリ10に画像データの一覧を電子メールで送信し、処理を終了する。
【0076】
前記第1の実施の形態においては、記録部13に登録されていない電話番号からのファクシミリデータが受信された旨、及び電子メールの送信が良好に行われなかった旨を通知する電子メールが、第2の実施の形態においては、電子メールの送信がすべて良好に行われなかった旨を通知する電子メールがファクシミリ10に送信されるようになっているが、ファクシミリ10を管理するための管理者端末をネットワークシステムntに配設し、管理者端末とファクシミリ10と利用者端末Pciとをネットワーク40を介して接続し、メールサーバ30のメールボックス部31に管理者端末のメールボックスを配設することによって、第1の実施の形態においては、記録部13に登録されていない電話番号からのファクシミリデータが受信された旨、及び電子メールの送信が良好に行われなかった旨を通知する電子メールを、第2の実施の形態においては、電子メールの送信がすべて良好に行われなかった旨を通知する電子メールを、管理者端末に送信することができる。
【0077】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0078】
10 ファクシミリ
13 記録部
14 データ変換部
15 データ管理部
16 データ格納部
17 データ転送部
18 情報提供部
40 ネットワーク
Pci 利用者端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリデータを受信し、ネットワークを介して利用者端末と接続された画像形成装置において、
(a)ファクシミリデータの送信者情報と利用者端末の通知先情報とが対応させて登録された記録部と、
(b)受信されたファクシミリデータを画像データに変換するデータ変換部と、
(c)前記画像データを記録するためのデータ格納部と、
(d)該データ格納部に記録された画像データの管理を行うデータ管理部と、
(e)前記ファクシミリデータが受信されたときに、ファクシミリデータと共に受信された送信者情報、及び前記記録部にあらかじめ登録された送信者情報に基づいて、ファクシミリデータが受信された旨の情報を所定の利用者端末に送信するデータ転送部と、
(f)ファクシミリデータが受信された旨の情報の送信結果を画像形成装置の管理者に通知する情報提供部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記データ転送部は、ファクシミリデータと共に受信された送信者情報と前記記録部に登録された送信者情報とが一致するかどうかを判断し、ファクシミリデータと共に受信された送信者情報と前記記録部に登録された送信者情報とが一致する場合に、前記記録部に登録された送信者情報に対応する利用者端末を、ファクシミリデータが受信された旨を通知する通知先として決定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記データ転送部は、ファクシミリデータが受信された旨を通知する電子メールを利用者端末に送信する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記情報提供部は、利用者端末への電子メールの送信が良好に行われたかどうかを判断し、利用者端末への電子メールの送信が良好に行われなかった場合に、利用者端末への電子メールの送信が良好に行われなかった旨を管理者に通知する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記データ管理部は、画像データの残存期間を算出し、残存期間が記録部に登録された保存期間より長い場合に、利用者に画像データを削除する旨を通知する請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ファクシミリデータを受信する画像形成装置と利用者端末とがネットワークを介して接続されたネットワークシステムにおいて、前記画像形成装置は、
(a)ファクシミリデータの送信者情報と利用者端末の通知先情報とが対応させて登録された記録部と、
(b)受信されたファクシミリデータを画像データに変換するデータ変換部と、
(c)前記画像データを記録するためのデータ格納部と、
(d)該データ格納部に記録された画像データの管理を行うデータ管理部と、
(e)前記ファクシミリデータが受信されたときに、ファクシミリデータと共に受信された送信者情報、及び前記記録部にあらかじめ登録された送信者情報に基づいて、ファクシミリデータが受信された旨の情報を所定の利用者端末に送信するデータ転送部と、
(f)ファクシミリデータが受信された旨の情報の送信結果を画像形成装置の管理者に通知する情報提供部とを有することを特徴とするネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−46145(P2013−46145A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181509(P2011−181509)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】