説明

画像形成装置及びプリンタドライバ

【課題】画像の公開ランクが透かしとして画像に埋め込まれている場合の印刷処理。
【解決手段】画像形成装置において、デコード手段は、画像に透かしとして埋め込まれた公開期限データをデコードすることによって、公開期限を認識する。
デコードされた公開期限に基づいて、比較手段は画像形成するか否かを決定し、印刷手段を制御する。また、画像形成装置と接続された端末に搭載されるプリンタドライバにおいて、デコード手段は、公開期限データが透かしとして埋め込まれた画像データをデコードして、公開期限を認識する。比較手段は上記デコード手段によってデコードされた公開期限に基づいて印刷制御手段を起動するか否かを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及びプリンタドライバに関し、特に、公開期限が透かしとして埋め込まれた画像データを印刷する画像形成装置及びプリンタドライバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は従来の画像形成装置の概念図である。
【0003】
画像形成装置1はスキャナ110を備え、スキャナ110で読み込んだ画像データに対応する画像を印刷手段130で生成して出力することができるようになっている。また、上記のように読み込まれた画像データを画像形成装置1に備える記憶手段105に記憶することができることはもちろんである。更に、当該画像形成装置1に対してはネットワーク104を介して複数の端末102(パーソナルコンピュータ、以下単に端末という)を接続することが可能になっており、各端末102から転送された画像データもI/F200bを介して当該画像形成装置に入力され、上記記憶手段105に記憶できるようになっている。
【0004】
記憶手段105への画像データの書き込み、読み出し、および印刷処理を制御するためのCPU、ROM、RAMよりなるコントローラ100が備えられ、ROMに記憶されたプログラムを必要に応じてRAMに呼び出して以下に説明する各種機能を発揮するようになっている。すなわち、下記画像管理手段180、デコード手段150、比較手段160、すかし埋め込み手段170がCPUとROMに記憶されたプログラムによって実現されることになる。
【0005】
上記記憶手段105への画像データの書き込み、読み出しを制御するために上記画像管理手段180が設けられる。また、上記書き込まれた画像データには画像IDが付されて、図5に示すように、当該画像ID140aと登録日140b、画像作成日140c、ファイル名140dといった事項が画像管理テーブル140に登録され、上記画像管理手段180は上記画像管理テーブルの内容を参照して、画像データの書き込み、読み出しを制御するようになっている。
【0006】
ところで、端末102あるいは画像形成装置1のユーザは、当該ユーザが、端末の記憶装置(図3、参照番号305)や画像形成装置1の記憶手段105に格納している画像データを一定期間のみ公開できるようにし、それ以外の期間は公開を禁止したい場合がある。このような場合に対応して、上記のように記憶手段105に記憶させた画像データに対して公開期限を設定することができるようになっている。
【0007】
すなわち、上記画像管理テーブル140には公開期限欄140eが設けられ、ユーザが上記のように記憶手段105に書き込んだ画像データに対して公開期限に制限を設けたいときには、特定の画像データの記憶処理とともに当該公開期限データを端末102から入力するようになっている。このように入力された公開期限は、上記公開期限欄140eに書き込まれることになる。更に、公開対象(特定の人、特定の部門、特定の役職)があるときには、公開対象欄140fにその旨の登録がなされる。
【0008】
このような画像形成装置1から特定の画像データを印刷するときは、まず端末102から印刷対象の画像データを指定する。この指定された印刷対象データに公開期限があるとき、すなわち、上記公開期限欄140eにデータが入っているときは、画像管理手段180は、当該公開期限を公開期限制御手段190に渡す(図5(1))。これによって、公開制御手段150は当該公開期限と現在の日付を比較し、このとき、公開期限が現在の日付を超えているときは、印刷手段130に印刷禁止をかけるようになっている。
【0009】
上記においては、画像形成装置1の画像記憶手段105に記憶されているデータについてのみ記述したが、端末102に記憶されている画像データであって、公開期限を持つ画像データが画像形成装置1で印刷される場合も同様に扱われる。
【0010】
一方、透かしを画像データに埋め込む技術が利用されることがある。例えば、特開平2001-177717号公報にはデジタル画像データに透かしデータを合成して出力する内容が開示されている。特開平2001-22239号公報には画像データに透かし情報が埋め込まれている場合であって、その透かし情報がマル秘情報である時にはユーザに対して特定の処理を要求することが開示されている。更に、特開平2003-134327公報には、画像データに当該画像データの出所源を示すデータを埋め込むことが開示されている。
【特許文献1】特開平2001-177717号公報
【特許文献2】特開平2001-22239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記記憶手段105に記憶された画像データは画像形成装置1からネットワーク104で接続されている端末102へ、あるいは、別の画像形成装置1への移動が可能である。移動先の端末102あるいは画像形成装置1では、新たな管理テーブル140が設けられており、移動元の管理テーブル140xにある画像IDや日付等の属性データは移動先の管理テーブル140yには移されないで、移動先では新たな画像IDや日付を付して管理することになる。従って、上記公開期限に関するデータも移動先の端末102等に移動しないので、ユーザが新たに公開期限を入力しない限り移動先では公開期限の管理ができないことになる。
【0012】
更に、同一機器内でのファイル形式を変換するとき、公開期限を管理テーブルに持っているときは、当該管理テーブル内のデータは変換先の管理テーブルには移動しない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、画像データが機器間で移動しても、公開制限に関するデータが保持できる画像形成装置1を提供することを目的とするものである。
【0014】
本発明は、公開期限が画像自体に透かしとして埋め込まれていることを前提とする。この前提の下に、本発明の画像形成装置は、画像埋め込まれた透かしをデコードするデコード手段を備えて、上記透かしとして埋め込まれた画像データの公開期限をデコードし、このようにデコードされた公開期限に基づいて比較手段で当該画像データの印刷に禁止をかけるか否かを判断するようになっている。
【0015】
本発明は画像形成装置の構成として採用することはもちろん、画像形成装置を駆動する端末に搭載されたドライバーの構成としても採用できる。
【発明の効果】
【0016】
上記構成により画像データが、特定の端末や画像形成装置から他の端末あるいは画像形成装置に移動しても、当該画像の印刷は公開期限を越えると必ず禁止されることになる。
【0017】
また、公開期限が画像に透かしとして埋め込まれているので、ファイル形式が異なっても、変換先の画像データに透かしが有効に生き、更に、画像への埋め込みは数センチ平方の狭い領域で足り、また、埋め込んだデータは不可視であるため、公開期限が第三者に読み取られる恐れは極めて少ないというメリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明が適用される画像形成装置1の一実施態様を示す機能ブロック図である。
【0019】
まず、公開期限を透かしとして画像に埋め込む手順は以下のようになっている。
【0020】
端末102より画像形成装置1に、特定の画像について、記憶指示が出されると、画像形成装置1の画像管理手段180は当該画像を記憶手段105に記憶するとともに、当該画像にIDを付して、テーブルに登録する。上記記憶指示過程において、ユーザは必要であれば公開期限を入力することができる。
【0021】
すなわち、図2に示すように、ユーザが特定の画像について記憶指示を出すと、公開期限を入力するか否かについての問合せを、画像形成装置1の画像管理手段180がユーザに問い合わせる。これに応じて端末102は画面121aを表示してユーザに公開期限が必要か否かの入力をうながす。ここでユーザが「はい」キーをオンすると、公開期限を入力するための画面121bを表示し、ユーザに公開期限を入力させるようになっている。
【0022】
ユーザが公開期限を入力し、決定キー122をオンするか、あるいは、上記公開期限を入力するか否かについての問合せについて、「いいえ」キーをオンすると、当該特定の画像が画像形成装置1の記憶手段105に記憶される。ここで、公開期限を入力したときは、画像管理手段180は上記端末102から入力された公開期限を透かし埋め込み手段170に転送する。透かし埋め込み手段170は、この公開期限と、端末102から転送される画像データに基づいて、当該画像データに対して公開期限に対応する透かしを埋め込んだ画像を生成する。次いで、画像管理手段180は上記のように透かし埋め込み手段170で生成された画像を記憶手段105に格納するように指示を出す。
【0023】
尚、上記のように公開期限を画像の透かしとして埋め込む指示とともに、公開対象(特定の人、役職、)等を画像の透かしとして埋め込む指示を端末から入力できるようにしてもよいことはもちろんである。更に、当該公開期限等を画像に埋め込む指示とともに、これらの情報を上記管理テーブル140に属性として当該画像データのIDとともに登録してもよいことはもちろんである。
【0024】
このようにして記憶手段105に記憶された公開期限が埋め込まれた画像データを印刷する手順は以下のようになる。
【0025】
端末102から画像形成装置1の記憶手段105に格納されている特定の画像に対して印刷指示を出すと、画像管理手段140が記憶手段105より当該指定された画像データを読み出し、透かしデコード手段150と印刷手段130に転送する。透かしデコード手段150では、上記公開期限の他、画像に埋め込まれている透かしの内容がデコードされ、ここでデコードされた内容は比較手段160に転送される。公開期限が透かしとして入力されている場合は、比較手段160は当該透かしが示す公開期限と現在の時間を比較し、公開期限より現在の時間が経過しているときは比較手段160が、印刷手段130に対して印刷禁止の指示を出すようになっている。公開期限が現在の時間を経過していないとき、あるいは、公開期限が埋め込まれていないとき、上記比較手段160は印刷手段130に対して印刷指示を出すことはもちろんである。
【0026】
上記においては記憶手段105に記憶されている画像データを印刷する場合についてのみ記述したが、本発明は、端末102に記憶している画像データであって、上記公開期限を透かしとして持つ画像データに対しても当然適用することができる。すなわち、端末102の記憶手段に記憶されている画像データであって、公開期限が透かしとして記憶されている画像データを画像形成装置1で印刷しようとするとき、端末102のユーザは、まず端末102から、印刷すべき画像データと使用する画像形成装置1を特定して、画像形成装置1に印刷対象データを転送する。このようにして画像形成装置1に入力された画像データは、デコード手段150と印刷手段130に入力される(図1(2))。上記でコード手段150では、上記と同様に透かしとして埋め込まれた期限データがデコードされる。ここで、デコードされた公開期限と現在の日付とが比較手段160で比較され、公開期限内であれば印刷手段130に印刷指示をだし、公開期限を越えている場合は印刷禁止指示を出すことになる。
【0027】
更に、本発明は、スキャナ110で読み取られた画像データに対しても適用できることはもちろんである。
【0028】
すなわち、上記印刷処理で端末102より特定された画像が公開期限内であるときは、上記比較手段160は印刷を実行する。これによって、公開期限が透かしとして埋め込まれた画像が印刷されることになる。このように公開期限が透かしとして埋め込まれた画像を、画像形成装置1のスキャナ110で読み込むと、当該画像データはデコード手段150と印刷手段130に入力される(図1(3))。デコード手段150では、上記と同様にデコードされ、デコードされた公開期限と現在の日付とが比較手段160で比較され、公開期限内であれば印刷指示をだし、公開期限を越えている場合は印刷禁止指示を出すことになる。
【0029】
図3は本発明の他の実施の形態を示すブロック図である。
【0030】
ネットワーク104に接続されたスキャナ300等で形成された画像データに対して、図2で説明したような手順で、端末102に搭載した透かし埋め込み手段170を利用して公開期限を埋め込んだ画像データを端末1の記憶手段305に記憶させることもできる。この場合、上記したように画像形成装置側で公開期限の管理をすることも可能であるが、各端末102に公開期限を管理させることもできる。
【0031】
すなわち、印刷指示に従って記憶手段305から読み出された画像データは、上記の場合と同様、デコード手段150に入力され、ここで、画像に埋め込まれた公開期限がデコードされる。この公開期限は比較手段160に入力され、ここで現在時間と比較される。ここで、現在時間が公開期限を越えているときは、印刷制御手段211を起動しないように指示を出す。上記期限を越えていない場合、あるいは、公開期限が画像に埋め込まれていない場合には、印刷制御手段211を起動させることになる。印刷制御手段211が起動されると、プリンタ(画像形成装置1)が起動し、記憶手段305から画像データがプリンタにインターフェイス200a、200bを介して送出され、印刷されることになる。
【0032】
尚、上記印刷制御手段211は従来からのプリンタドライバそのものであるが、この実施の形態では、プリンタドライバ210が上記印刷制御手段211に加えて、更に、デコード手段150と比較手段160を備えた構成となっている。
【0033】
さらに、ネットワーク104に接続されたスキャナ300で読み取った画像データ(もちろん上記公開期限が埋め込まれている)を端末102の指示に基づいて直接(記憶手段305を介さないで)画像形成装置1に印刷させる場合にも適用できることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上説明したように、本発明は画像に埋め込まれた公開期限をデコードして印刷するか否かを決定するようになっているので、画像データが機器間で移動して移動元の画像管理テーブルに登録されていた公開期限が移動先の画像管理テーブルで消失しても、公開期限を保持することができる。また、一旦印刷物になった画像データを複写するときにも、当該画像に埋め込まれた公開期限をデコードすることができるので、上記効果を保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の1実施の形態を示す機能ブロック図である。
【図2】公開期限を入力する画面を示す図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【図4】従来技術の構成を示す図である。
【図5】従来技術の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
1 画像形成装置
102 端末
105 記憶手段
110 スキャナ
130 印刷手段
150 デコード手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置において、
公開期限データが透かしとして埋め込まれた画像データをデコードすることによって、公開期限を認識するデコード手段と、
上記デコード手段によってデコードされた公開期限に基づいて印刷手段を起動するか否かを決定する比較手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記画像データが画像形成装置の記憶手段に記憶されている画像データである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記画像データが画像形成装置のスキャナから読み込まれた画像データである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記画像データが画像形成装置に接続された端末より画像形成装置に入力される画像データである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置と接続された端末に搭載されるプリンタドライバにおいて、
公開期限データが透かしとして埋め込まれた画像データをデコードすることによって、公開期限を認識するデコード手段と、
上記デコード手段によってデコードされた公開期限に基づいて印刷制御手段を起動するか否かを決定する比較手段を備えたことを特徴とするプリンタドライバ。
【請求項6】
上記画像データが端末の記憶手段に記憶されている画像データである請求項5に記載のプリンタドライバ。
【請求項7】
上記画像データがネットワーク上のスキャナから読み込まれた画像データである請求項5に記載のプリンタドライバ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−266885(P2007−266885A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87890(P2006−87890)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】