説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】画像データの一部分を鮮明な状態のまま可視可能な画像形成装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】端末で作成された画像データを含むジョブ情報、及び画像データに関する可視認証情報をそれぞれ取得するデータ取得部12と、認証情報が付加された1つの画像データのうち、可視を許可する箇所と可視を許可しない箇所とをそれぞれ設定する可視許可部14と、可視を許可する箇所については鮮明に可視させる可視実行部16とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタや複合機等に用いられる画像形成装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置は、複数の端末とともに、例えばLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されている。そして、画像形成装置は、この端末からジョブ情報を受信し、この情報の画像データに基づくトナー像を用紙に印刷している。
ここで、印刷内容を端末毎に予め制限する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。印刷内容を予め制限しておけば、パスワードの管理が容易になるからである。
【0003】
【特許文献1】特開2003−87454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、画像データの全体について許可・制限されており、これでは、当該画像データの総てが鮮明、或いは不鮮明になって、画像データの一部分だけは鮮明な状態のままで印刷し、残りの部分は不鮮明にしたいとの要求に応ずることができないとの問題がある。
【0005】
また、当該問題は印刷のみならず、このデータを端末の画面に表示するプレビュー表示についても同様に存在する。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、画像データの一部分を鮮明な状態のまま可視させる画像形成装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための第1の発明は、端末で作成された画像データを含むジョブ情報、及び画像データに関する可視認証情報をそれぞれ取得するデータ取得部と、認証情報が付加された1つの画像データのうち、可視を許可する箇所と可視を許可しない箇所とをそれぞれ設定する可視許可部と、可視を許可する箇所については鮮明に可視させる可視実行部とを具備する。
【0007】
第1の発明によれば、画像形成装置はデータ取得部、可視許可部、及び可視実行部を有しており、まず、データ取得部は、端末で作成された画像データを含むジョブ情報の他、画像データに関する可視認証情報も端末から取得している。
ここで、可視許可部は、一部許可、つまり、可視認証情報が付加された1つの画像データのうち、可視を許可する箇所と可視を許可しない箇所とをそれぞれ設定できる。そして、可視実行部は、可視を許可する箇所については端末で鮮明に可視可能にする。
このように、ジョブ情報と可視認証情報との組み合わせにより、当該画像データの一部分を鮮明な状態のまま可視できるので、従来に比して鮮明に可視された箇所を有効に利用できる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明の構成において、可視実行部は、可視を許可しない箇所の可視が要求された場合には、可視実行部は、可視を許可しない箇所については画像処理を施して鮮明には可視させないことを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、可視を許可しない箇所の可視が要求された場合には、この要求に応じて鮮明に可視させることは好ましくない。そこで、可視実行部は、この可視を許可しない箇所については画像処理を施して鮮明には可視させず、不鮮明な可視は可能にする。よって、その後における当該箇所の有効利用を防止できる。
【0009】
第3の発明は、第1の発明の構成において、可視実行部は、可視を許可しない箇所の可視が要求された場合には、可視実行部は、可視を許可しない箇所については出力対象から除いて可視させないことを特徴とする。
第3の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、可視を許可しない箇所の可視が要求されても、この可視を許可しない箇所については出力対象から除いているので、可視させるために要する処理期間が短縮可能になる。
【0010】
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、可視実行部は、画像形成装置または端末以外の端末へ可視させることを特徴とし、第5の発明は、第1から第4の発明の構成において、可視とは印刷またはプレビューであることを特徴とする。
【0011】
第6の発明は、端末で作成された画像データを他の端末に可視させる画像形成装置のプログラムである。そして、このプログラムは、画像形成装置のコンピュータに備えられており、コンピュータに、画像データを含むジョブ情報、及び画像データに関する可視認証情報をそれぞれ取得する手順と、認証情報が付加された1つの画像データのうち、可視を許可する箇所と可視を許可しない箇所とをそれぞれ設定する手順と、可視を許可する箇所については鮮明に可視させる手順とを実行させる。
【0012】
第6の発明によれば、端末で作成された画像データは、可視を許可する箇所と可視を許可しない箇所とがそれぞれ設定され、当該画像データの一部分を鮮明な状態のまま可視できるので、可視認証情報を有していない従来に比して鮮明に可視された箇所を有効に利用できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ジョブ情報と認証情報との組み合わせにより、画像データの一部分を鮮明な状態のまま可視できる画像形成装置及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施例に係る画像形成装置4を有したシステムの構成図であり、当該システム1は、例えばLAN等のネットワーク2を用いて構成され、1台の装置4及び計4台のPC(端末、他の端末)6A,6B,6C,6Dがネットワーク2にそれぞれ接続されている。
【0015】
図2は画像形成装置の概略構成図である。当該装置4は、ネットワークインタフェース(IF)26を介してネットワーク2に接続され、さらに、公衆回線にも接続されている。また、この装置4はデジタル複合機であり、いわゆる多機能周辺機器(Multiple Function Peripheral、以下、MFPと称する)である。そして、MFP4はプログラムの命令にしたがって各種動作を実行する。
【0016】
MFP4は、コントローラ10を有する。更にMFP4は、HDD32、ネットワークインタフェース26、FAX通信部24、スキャナ部22、プリントエンジン20、操作パネル28及びメモリ30を有しており、それぞれ、コントローラ10とバスを介して接続されている。
HDD32は、ハードディスクドライブ等の書き込み可能な不揮発性の記憶装置であり、スキャナ部22で読み込まれた画像データ、PC6A等から送信された画像データや、FAX通信部24にて受信した画像データ、画像データに関するジョブ情報等の種々の電子ファイルを逐次保存する。また、HDD32は、上述した種々の電子ファイルの他、PC6A等を操作する各ユーザの可視認証情報等も保存する。
【0017】
ネットワークインタフェース26は、SNMP(Simple Network Management Protocol)やSOAP(Simple Object Access Protocol)等のプロトコルを用い、ネットワーク2を介して各種データの通信を行なう。例えば、リモートPC6から送信されたデータを受信する。また、ネットワークインタフェース26は、HDD32に保存されたデータをネットワーク2を介して相手先に送信する。
このFAX通信部24は電話回線又はネットワーク2に接続されており、外部からファクシミリ送信されてきたデータを受信する。逆にHDD32に保存されたデータを相手先にファクシミリ送信する。
スキャナ部22は、原稿を画像読取位置に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)を有しており、複数枚の原稿の画像を順次、読み取る。
プリントエンジン20は、HDD32に保存された画像データを用紙に印刷する。
なお、本実施例のプリントエンジン20は、原稿をスキャナ部22の画像読取位置に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)、用紙を供給する用紙供給部、画像を用紙に転写する画像形成部、転写済みの用紙にソート、穴開けやステープル処理等を行う後処理装置等に接続されている。
【0018】
また、MFP4は操作パネル28を備えており、このパネル28はタッチ操作用のボタンを有し、ユーザの操作を受け付けて各種のサービスをPC6A等に提供するし、MFP4の設定変更も実行できる。さらに、このパネル28は、文字情報や案内画像等を用いて当該ユーザへのメッセージも表示可能である。また、操作パネル28は、HDD32に保存された画像データをプレビュー表示する機能も備えている。
MFP4はメモリ30を備え、このメモリ30はROMやRAM等を有しており、印刷等に伴う設定データや、各種のプログラムが格納されている。
【0019】
なお、HDD32のボックス領域34には、上述した種々の電子ファイルの他、各ユーザが使用するPC6A等のIPアドレス等も保存される。
このMFP4の各種動作はコントローラ10で制御される。このコントローラ10はコンピュータとして機能する要素であり、CPU等のハードウエア資源を有している。そして、コントローラ10は、このハードウエア資源を用いて所定のプログラムを実行しており、上述のプリントエンジン20、スキャナ部22やFAX通信部24を操作する。
【0020】
ところで、本実施例のコントローラ10は、PC6A等への画像データの可視(例えば印刷)の一部許可を設定することができる。
詳しくは、図2に示されるように、このコントローラ10はデータ取得部12を有し、このデータ取得部12は、例えばPC6Aで作成された画像データを含むジョブ情報をHDD32から取得している。
【0021】
このジョブ情報とは、当該画像データの他、そのファイル名、ファイルサイズ、ユーザが使用するPCのIPアドレス等のジョブ内容を特定可能な情報であり、作成者であるPC6Aから送信され、HDD32に予め保存されている。
また、データ取得部12は、この画像データに関する可視認証情報も取得しており、この可視認証情報を可視許可部14に出力する。
【0022】
本実施例の可視認証情報とは、守秘義務を有する者を証明するユーザ認証情報である。より具体的には、仮に、PC6Aで作成された計10ページ分の画像データのうち第3ページ目だけについては、守秘義務を有する者であることを条件として印刷を許可する場合を想定すると、この可視認証情報には、守秘義務を有する者のユーザが使用するPCのIPアドレスが可視対象ページ(例えば第3ページ)とともに記載されている。
【0023】
次に、可視許可部14は、この可視認証情報が付加された1つの画像データにつき、PC6B,6C,6Dへの可視を総て許可する(全部許可)、又は、総て許可しない(不許可)、或いは、一部許可、すなわち、PC6B,6C,6Dへの可視を許可する箇所と可視を許可しない箇所とをそれぞれ設定することができる。
【0024】
上述の例で云えば、可視許可部14は、第3ページ目が可視を許可する箇所に設定し、他のページは可視を許可しない箇所に設定しており、この設定結果を可視実行部16に出力する。
なお、この可視許可部14は、画像データ中の所定ページに対する許可の他、このページ中の下半分の許可も可能である。
【0025】
そして、可視実行部16は、この可視を許可する箇所については、直前の印刷条件を用いて鮮明に可視させる旨を決定し、この決定結果をプリントエンジン20に出力する。
一方、この可視実行部16は、可視を許可しない箇所については、画像処理を施して鮮明には可視させない、或いは、印刷の出力対象から除いて可視させない旨を決定し、この決定結果をプリントエンジン20に出力することになる。
【0026】
より詳しくは、図3は、プログラムがコントローラ10に実行させる処理を示しており、以下、上記の如く構成されたMFP4の本発明に係る作用について説明する。
ここで、上述した計10ページ分の画像データがPC6Aで作成された例を用い、MFP4が、このPC6A以外の他のPC6B,6C,6Dからの要求により、この画像データを印刷する場合を想定する。
【0027】
具体的には、これらPC6A,6B,6C,6Dは同じ部署に属しているが、PC6Bは、PC6Aで作成された画像データの総てについて守秘義務を有する者であり、このPC6Aは作成した画像データをPC6Bに開示しても良いものとする。
また、PC6Cは、この画像データのうち、第3ページ目については守秘義務を有する者である。つまり、PC6Aは当該画像データのうち、第3ページ目だけについてはPC6Cに開示しても良いものとする。
【0028】
これに対し、PC6Dは、第3ページ目についても守秘義務を有しない者であって、PC6Aは当該画像データの総てをPC6Dには開示しないものとする。
まず、MFP4がPC6Aから上記画像データを含むジョブ情報及び可視認証情報を取得し、HDD32に保存する。ここで、本実施例の可視認証情報は、PC6Bに対しては全部許可(可視対象ページは全ページ)、PC6Cに対しては一部許可(可視対象ページは第3ページ)、PC6Dに対しては不許可に設定されている。
【0029】
上記例で云えば、この可視認証情報には、PC6BのユーザIPアドレスがファイル名の対象ページ(例えば第1〜第10ページ)とともに記載され、また、PC6CのユーザIPアドレスがファイル名の対象ページ(例えば第3ページ)とともに記載されている。このIPアドレス(以下、ユーザIPアドレスと記述する。)が、PC6Bを使用するユーザを特定するユーザ認証情報として扱われる。
続いて、上述のPC6Bが、当該画像データを印刷すべくMFP4にアクセスすると、同図のステップS301では、データ取得部12がHDD32からこのジョブ情報を取得してステップS302に進む。
【0030】
このステップS302では、可視許可部14がHDD32から可視認証情報を取得し、当該画像データの総てを鮮明に印刷できるか否かを判別する。そして、PC6Bは画像データの総てについて守秘義務を有する者であるため、このデータの印刷を認め、YESと判定してステップS303に進み、可視実行部16が当該データの印刷をプリントエンジン20に指示して一連のルーチンを抜ける。これにより、総てのページが鮮明に印刷される。
【0031】
一方、上述したPC6DがMFP4にアクセスしたときには、ステップS301にて、データ取得部12がジョブ情報を取得し、ステップS302にて、可視許可部14が可視認証情報を取得し、当該画像データを印刷できるか否かを判別することになるが、このPC6Dは、上述のように当該画像データに関して全く守秘義務を有しない者である。
【0032】
そこで、ステップS302からステップS304に進み、可視許可部14は、当該画像データの一部を印刷できるか否かを判別する。
しかし、やはり当該PC6Dは、いずれのページについても守秘義務を有しない者である故、一部の印刷も認められず、NOと判定してステップS312に進む。そして、可視実行部16が当該PC6Dの画面に「このデータに対する印刷が許可されていない旨」のエラーを表示して一連のルーチンを抜ける。
【0033】
これに対し、上述のPC6Cが、当該画像データを印刷すべくMFP4にアクセスすると、データ取得部12がジョブ情報を取得し(ステップS301)、可視許可部14が可視認証情報を取得し、当該画像データを印刷できるか否かを判別する(ステップS302)。
ここで、このPC6Cは、上述のように第3ページ目については守秘義務を有する者である。よって、ステップS302からステップS304に進むことになるが、このステップS304では、可視許可部14は、当該画像データの一部の印刷を認め、すなわち、YESと判定してステップS305に進む。
【0034】
本実施例のステップS305では、可視許可部14は、可視を許可しない箇所のみの印刷が要求されているか否かを判別しており、仮に、PC6Cが可視を許可しない箇所だけ(例えば第2ページ目のみ、若しくは、第3ページ目を除く総てのページ)を指定していた場合、すなわち、YESと判定したときにはステップS306に進む。
【0035】
このステップS306では、可視実行部16がPC6Cに指定された画像データをデータ取得部12から取得してステップS307に進み、可視を許可しない箇所の印刷方法を選択する。
当該箇所の印刷方法としては、該当ページの解像度を下げる、或いはフィルターをかけるような画像処理が施される。
【0036】
そして、仮に、解像度の変換がパネル28等にて予め設定されていた場合にはステップS308に進み、可視実行部16は、可視を許可しない箇所(例えば第2ページ目のみ、若しくは、第3ページ目を除く総てのページ)の解像度を印刷しても読み取ることができない程度に下げてステップS309に進む。
このステップS309では、可視実行部16が印刷画像を生成し、続いて、当該データの印刷をプリントエンジン20に指示し(ステップS303)、一連のルーチンを抜ける。これにより、PC6Cに指定されていても、可視を許可しないページが不鮮明に印刷される。
【0037】
また、仮に、画像の合成が予め設定されていた場合にはステップS310に進む。このときの可視実行部16は、可視を許可しない箇所(例えば第2ページ目のみ、若しくは、第3ページ目を除く総てのページ)にフィルターをかけ、当初の画像に他の画像を重ね合わせる。そして、可視実行部16は印刷画像を生成し(ステップS309)、当該データの印刷をプリントエンジン20に指示し(ステップS303)、一連のルーチンを抜ける。この場合にも可視を許可しないページは不鮮明に印刷される。
【0038】
一方、仮に、PC6Cが、例えば第3ページ目のみを指定した場合、又は、画像データの総てのページを指定する如く、この第3ページ目を少なくとも含んで指定していた場合には、可視許可部14はNOと判定してステップS311に進む。
そして、このステップS311では、可視実行部16が、可視を許可しない箇所、つまり、第3ページ目以外のページを出力対象から除き、ステップS309に進んで印刷画像を生成する。
【0039】
よって、この場合の可視実行部16は、可視を許可する箇所だけの印刷をプリントエンジン20に指示して一連のルーチンを抜けるので、可視を許可するページのみが鮮明に印刷され、可視を許可しないページは印刷されないことになる。
ところで、可視とは、上述した印刷の他、その操作パネル28にデータを表示するプレビュー表示であっても良い。
【0040】
詳しくは、図4のフローチャートに沿って説明する。図4は、プログラムがコントローラ10に実行させる処理を示している。図4に示された例もまた、上記実施例(図3に示された例)と同様に、ジョブ情報の取得(ステップS401)からプレビュー表示の全部許可(ステップS402,S403)、或いは、不許可(ステップS402,S404,S412)の他、一部許可、つまり、上述したPC6Cへの可視を許可する箇所と可視を許可しない箇所とをそれぞれ設定することができる(ステップS402,S404,S405〜411)。ここで、各ユーザは、上記実施例でPC6B等からMFP4にアクセスする代わりに、操作パネル28にユーザIDを入力することにより、MFP4にアクセスする。このユーザIDは、上記実施例におけるユーザIPアドレスに相当するもので、PC6B等を使用するユーザのユーザ認証情報として扱われる。なお、本実施例においては、各ユーザをPC6B等のPC名で記述するものとし、各ユーザに対する可視認証情報は上記実施例(図3に示された例)で名称が一致するPCと同様とする。
【0041】
そして、この一部許可の場合には、上記実施例と同様に、ステップS405にて、可視を許可しない箇所のみのプレビュー表示が要求されていた場合には、該当ページの解像度を下げる、或いはフィルターをかけて表示されるし(ステップS408,S410)、可視を許可する箇所を少なくとも含んだプレビュー表示が要求されていた場合には、可視を許可する箇所以外を出力対象から除いて表示される(ステップS411)。
なお、操作パネル28の画面は通常、画像データを縮小しなければ全体を表示できないので、画像データの一部を表示するか、解像度を下げて画像データ全体を表示することになる。従って、ステップS408では、可視を許可されている箇所を表示する場合よりも、更に解像度を下げることになる。
【0042】
以上のように、本実施例によれば、MFP4はデータ取得部12、可視許可部14、及び可視実行部16を有しており、まず、データ取得部12は、PC6Aで作成された画像データを含むジョブ情報の他、画像データに関する可視認証情報もPC6AからHDD32を経由して取得している。
ここで、可視許可部14は、一部許可、つまり、可視認証情報が付加された1つの画像データのうち、上記例で云えばPC6Cへの可視(印刷・プレビュー表示)を許可する箇所と可視を許可しない箇所とをそれぞれ設定できる。そして、可視実行部16は、可視を許可する箇所についてはPC6Cで鮮明に可視可能にする。
【0043】
このように、ジョブ情報と可視認証情報との組み合わせにより、当該画像データの一部分を鮮明な状態のまま可視できるので、ジョブ情報のみであってユーザ認証を有していない故、画像データの総てが鮮明、或いは不鮮明になる従来に比して、鮮明に可視された箇所を有効に利用でき、MFP4の汎用性向上に寄与する。
【0044】
また、上述したPC6Cが可視を許可しない箇所を指定していた場合には、この指定した箇所を鮮明に可視させることは好ましくない。そこで、可視実行部16は、この可視を許可しない箇所については、データの解像度を下げて、若しくはフィルターをかけて当初の画像に他の画像を重ね合わせる如くの画像処理を施して鮮明には可視させない。よって、その後における当該箇所の有効利用を防止できる。
【0045】
さらに、このPC6Cが可視を許可する箇所の他、可視を許可しない箇所についても指定していた場合には、可視実行部16は、この可視を許可しない箇所については出力対象から除いているので、可視させるために要する処理期間が短縮可能になるし、無駄な印字や用紙も抑えられる。
また、上記実施例ではPC6B等からMFP4にアクセスして画像データを印刷する場合、およびユーザが操作パネル28からMFP4にアクセスして画像データを操作パネル28にプレビューする場合について記載したが、本発明はユーザが操作パネル28からMFP4にアクセスして画像データを印刷する場合、およびPC6B等からMFP4にアクセスして画像データをPC6等の画面にプレビューする場合にも適用可能である。この場合、MFP4へのアクセスについては、上記実施例と同様に行えばよい。
【0046】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施例の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
また、上述したMFP4は画像形成装置の一例であり、本発明は、複写機、プリンタ、スキャナやファクシミリ等にも当然に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施例に係る画像形成装置を有したシステムの構成図である。
【図2】図1の画像形成装置の概略構成図である。
【図3】図2のコントローラによる印刷処理のフローチャートである。
【図4】図2のコントローラによるプレビュー表示のフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
4 MFP(画像形成装置)
6A PC(端末)
6C PC(他の端末)
10 コントローラ(コンピュータ)
12 データ取得部
14 可視許可部
16 可視実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末で作成された画像データを含むジョブ情報、及び前記画像データに関する可視認証情報をそれぞれ取得するデータ取得部と、
前記認証情報が付加された1つの画像データのうち、可視を許可する箇所と可視を許可しない箇所とをそれぞれ設定する可視許可部と、
前記可視を許可する箇所については鮮明に可視させる可視実行部と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記可視実行部は、前記可視を許可しない箇所の可視が要求された場合には、前記可視実行部は、前記可視を許可しない箇所については画像処理を施して鮮明には可視させないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記可視実行部は、前記可視を許可しない箇所の可視が要求された場合には、前記可視実行部は、前記可視を許可しない箇所については出力対象から除いて可視させないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記可視実行部は、前記画像形成装置または前記端末以外の端末へ可視させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記可視とは印刷またはプレビューであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
端末で作成された画像データを他の端末に可視させる画像形成装置のプログラムであって、
前記プログラムは、前記画像形成装置のコンピュータに備えられており、前記コンピュータに、
前記画像データを含むジョブ情報、及び前記画像データに関する可視認証情報をそれぞれ取得する手順と、
前記認証情報が付加された1つの画像データのうち、可視を許可する箇所と可視を許可しない箇所とをそれぞれ設定する手順と、
前記可視を許可する箇所については鮮明に可視させる手順と
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−74713(P2010−74713A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242241(P2008−242241)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】