説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成部と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成部と、を用いて両面印刷を行うことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置(100)は、電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成部(101)と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成部(102)と、を有し、第1の画像形成部(101)と第2の画像形成部(102)との間の搬送経路(105)には、記録媒体(S)を停止させて記録媒体(S)を撓ませ、第1の画像形成部(101)と第2の画像形成部(102)との処理速度差を吸収する撓み部(104)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成手段と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成手段と、を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置としては、トナーを用いた電子写真方式と、インクを用いたインクジェット方式と、がある。
【0003】
電子写真方式は、画像形成処理を高速にできるという利点がある。一方、インクジェット方式は、インクの色再現性に優れているという利点がある。
【0004】
このため、双方の長所を活用するため、電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成手段と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成手段と、を兼ね備えた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1:特許第3701581号公報、特許文献2:特開平11-268257号公報参照)。
【0005】
例えば、特許文献1には、図8に示すように、電子写真方式によるモノクロ画像形成を行う第1画像形成部20と、インクジェット方式によるカラー画像形成を行う第2画像形成部50と、を用紙搬送経路中(41,42)に配置した構成例について開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、図9に示すように、電子写真方式によるモノクロ画像形成を行う電子写真作像エンジン13と、インクジェット方式によるカラー画像形成を行うインクジェットプリンティングエンジン4と、を用紙搬送経路中(3,3b,17)に配置した構成例について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1、2に開示されている画像形成装置は、電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成手段と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成手段と、の双方の画像形成方式を兼ね備えている。
【0008】
しかし、双方の画像形成方式は、画像を形成する処理速度が各々異なり、各々を同時に使用することが困難であるため、各々を排他的に使用している。このため、上記特許文献1、2でも、両面印刷時に双方の画像形成方式を同時に使用しない方式を採用している。
【0009】
例えば、特許文献1の画像形成装置は、図8に示すように、両面印刷を行う際は、第1面に対する画像形成を受けた記録用紙Pの後端が搬送ローラ52aを通過した時点で、フラッパ56が図8中破線で示す状態に移動する。そして、搬送ローラ51a,52a及び排紙ローラ25aが図8中時計方向に逆転し、記録用紙Pは副搬送路43内に導かれ、記録用紙Pの全面が副搬送路43内に移動した時点で、フラッパ56は図8中実線で示す状態に移動する。副搬送路43を通過した記録用紙Pは、主搬送路41の上流側を経由して表裏面を反転した状態で第1画像形成部20に導かれ、第2面に対する画像形成を受けた後、図8中反時計方向に回転する搬送ローラ51a,52a及び排紙ローラ25aによって排紙トレイ39上に排出される。即ち、特許文献1の画像形成装置は、両面印刷を行う際は、電子写真方式によるモノクロ画像形成を行う第1画像形成部20のみを用いて行っている。
【0010】
また、特許文献2の画像形成装置は、図9に示すように、両面印刷を行う際は、2つのインクジェットプリンティングエンジン4を同時に駆動制御し、記録媒体2の表裏面に同時に画像を記録している。即ち、特許文献2の画像形成装置は、両面印刷を行う際は、インクジェット方式によるカラー画像形成を行うインクジェットプリンティングエンジン4のみを用いて行っている。
【0011】
このようなことから、電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成手段と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成手段と、を用いて両面印刷を行うようにする仕組の開発が必要視される。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成手段と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成手段と、を用いて両面印刷を行うことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有する。
【0014】
本発明にかかる画像形成装置は、
電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成手段と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成手段と、を有する画像形成装置であって、
前記第1の画像形成手段は、記録媒体を搬送する搬送経路に搬送された前記記録媒体の一方の面側に位置するように前記搬送経路に設けられており、
前記第2の画像形成手段は、前記搬送経路に搬送された前記記録媒体の他方の面側に位置し、且つ、前記第1の画像形成手段よりも下流側に位置するように前記搬送経路に設けられており、
前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段とは、前記記録媒体に画像を形成する処理速度が異なり、
前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段との間の前記搬送経路には、前記記録媒体を停止させて前記記録媒体を撓ませ、前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段との前記処理速度差を吸収する撓み手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成手段と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成手段と、を用いて両面印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の画像形成装置100の概略構成例を示す図である。
【図2】用紙撓み部104の構成例を示す図である。
【図3】本実施形態の画像形成装置100の制御機構の構成例を示す図である。
【図4】本実施形態の画像形成装置100の処理動作例を示す図である。
【図5】第2の実施形態の処理動作例を示す図である。
【図6】第3の実施形態の処理動作例を示す図である。
【図7】第4の実施形態の処理動作例を示す図である。
【図8】従来の画像形成装置の処理動作例を説明するための第1の図である。
【図9】従来の画像形成装置の処理動作例を説明するための第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<本実施形態の画像形成装置100の概要>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の画像形成装置100の概要について説明する。
【0018】
本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成部101と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成部102と、を有する画像形成装置100である。
【0019】
第1の画像形成部101は、記録媒体Sを搬送する搬送経路105に搬送された記録媒体Sの一方の面側に位置するように搬送経路105に設けられている。第2の画像形成部102は、搬送経路105に搬送された記録媒体Sの他方の面側に位置し、且つ、第1の画像形成部101よりも下流側に位置するように搬送経路105に設けられている。また、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とは、記録媒体Sに画像を形成する処理速度が異なる。
【0020】
本実施形態の画像形成装置100は、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との間の搬送経路105には、記録媒体Sを停止させて記録媒体Sを撓ませ、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収する撓み部(用紙撓み部104に相当)が設けられている。
【0021】
本実施形態の画像形成装置100は、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度が異なっているが、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との間の搬送経路105に撓み部104が設けられており、その撓み部104で記録媒体Sを撓ませ、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収するようにしている。その結果、処理速度が各々異なる第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを同時に動作させ、その第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを用いて両面印刷を行うことができる。
【0022】
一般的に、電子写真方式は、像担持体上に形成した1ページ分のトナー像を記録媒体Sに転写して定着させる一連の処理を、記録媒体Sを停止させずに行う必要がある。
【0023】
一方、インクジェット方式は、記録ヘッドを主走査方向(記録媒体Sの搬送方向と直交する方向)に移動しながら、インクを吐出して記録媒体Sに画像を形成するため、記録媒体Sに画像を形成する処理速度が画像の種類やドット数によって異なる。
【0024】
このため、従来は、双方の方式を同時に動作させて記録媒体Sに画像を形成することが出来なかった。
【0025】
本実施形態の画像形成装置100は、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との間の搬送経路105に撓み部104を設け、その撓み部104で記録媒体Sを撓ませ、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収するようにしている。その結果、処理速度が各々異なる第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを同時に動作させ、その第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを用いて両面印刷を行うことができる。
【0026】
また、第1の画像形成部101は、記録媒体Sを搬送する搬送経路105に搬送された記録媒体Sの一方の面側に位置するように搬送経路105に設けられており、第2の画像形成部102は、搬送経路105に搬送された記録媒体Sの他方の面側に位置し、且つ、第1の画像形成部101よりも下流側に位置するように搬送経路105に設けられているため、記録媒体Sを反転させる動作を行わなくても、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを同時に動作させて記録媒体Sの両面に印刷を行うことができる。また、記録媒体Sを反転させる機構を省き画像形成装置100の小型化を図ることもできる。
【0027】
また、本実施形態の画像形成装置100は、第2の画像形成部102で画像形成を行う画像データを基に、その画像データに応じた、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との画像形成処理を同時に動作させるための動作条件を取得し、その取得した動作条件に従って、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との画像形成処理を同時に動作させることにしている。これにより、記録媒体Sを反転させる動作を行わなくても、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを同時に動作させ、その第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを用いて両面印刷を行うことができる。
【0028】
なお、動作条件としては、第1の画像形成部101で複数の記録媒体Sに印刷を行うときの記録媒体Sの印刷間隔、または、第1の画像形成部101で記録媒体Sに印刷を行うときの印刷速度が挙げられる。本実施形態の画像形成装置100は、その印刷間隔または印刷速度に従って第1の画像形成部101を制御し、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との画像形成処理を同時に動作させることになる。これにより、記録媒体Sを反転させる動作を行わなくても、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを同時に動作させ、その第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを用いて両面印刷を行うことができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の画像形成装置100について詳細に説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
<画像形成装置100の構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の画像形成装置100の構成例について詳細に説明する。
【0030】
本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成部101と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成部102と、定着部103、用紙撓み部104、廃トナーボックス41、排紙トレイ32等を有して構成する。
【0031】
第1の画像形成部101は、電子写真方式で画像形成を行うものであり、公知の機構である。第1の画像形成部101は、光書込ユニット39と、作像ユニットを内蔵したカートリッジ35(K),36(C),37(M),38(Y)と、1次転写体である中間転写ベルト10と、2次転写体である2次転写ローラ11等から構成する。なお、Y、M、C、Kは、各々イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色を意味する。
【0032】
光書込ユニット39は、カートリッジ35(K)〜38(Y)の上側に配置される。光書込ユニット39は、YMCK各色の画像データに対応するレーザ光を各感光体45〜48の表面に向けて照射し、各感光体45〜48の表面に静電潜像を形成する。本実施形態では光書込ユニット39として、レーザ光源とポリゴンミラー等を用いたレーザスキャン方式のものを示したが、LEDアレイと結像手段とを組み合わせた方式のものを用いることも可能である。
【0033】
カートリッジ35(K)〜38(Y)は、各々異なる色のトナー像を形成する。但し、カートリッジ35(K)〜38(Y)の構造は同じあり、回転自在な像担持体である感光体45〜48と、この感光体45〜48の周囲に静電写真プロセスの順に配置された帯電ローラと、現像装置と、クリーニング装置等により構成される。
【0034】
4つの感光体45〜48は互いに平行であって、等間隔に配置される。これらの感光体45〜48は、画像形成動作の際にモータによって、例えば、周速150mm/sで回転駆動される。帯電ローラは、感光体45〜48に圧接されており、感光体45〜48に対して従動回転する。帯電ローラは、図示しない高圧電源により、ACおよびDCバイアスが印加されることで、感光体45〜48の表面を一様に帯電させる。
【0035】
現像装置は、一成分現像を実行する。これらの現像装置は、図示しない高圧電源から供給される所定の現像バイアスによって、感光体45〜48の表面に形成された静電潜像をトナー像として顕像化する。カートリッジ35(K)〜38(Y)内のクリーニング装置では、感光体45〜48の表面の転写残トナーのクリーニングを行う。
【0036】
中間転写ベルト10は、駆動ローラと支持ローラとにより張架されている。中間転写ベルト10は、モータによって回転駆動される。中間転写ベルト10の内側には、1次転写体である4つの1次転写バイアスローラが設けられている。上記4つの1次転写バイアスローラは、中間転写ベルト10を介して各々感光体45〜48の転写位置に対向配置されている。1次転写バイアスローラは、転写バイアス印加部を構成する1次転写バイアス印加部によって1次転写バイアスが印加され、感光体45〜48の表面のトナー像を中間転写ベルト10の表面に転写する。ここで、1次転写バイアス印加部は、高圧電源である。さらに、この中間転写ベルト10をクリーニングするクリーニング機構12が設けられている。
【0037】
2次転写ローラ11は、中間転写ベルト10を介して支持ローラに対向配置されている。この2次転写ローラ11は、転写バイアス印加部を構成する2次転写バイアス印加部によって2次転写バイアスが印加され、中間転写ベルト10と挟持した記録媒体S上に、中間転写ベルト10上のトナー像を転写(2次転写)する。2次転写バイアス印加部は高圧電源である。
【0038】
給紙カセット32内には記録媒体Sが収容保持されており、給紙ローラ20により一枚ずつ分離給紙された記録媒体Sは、レジストローラ22によって、2次転写位置に搬送される。第1の画像形成部101は、2次転写位置に搬送された記録媒体Sの一方の面にトナー像を記録する。なお、給紙カセット32から給紙された記録媒体Sの副走査長はレジストセンサ25によって計測される。
【0039】
定着部103は、上述した第1の画像形成部101で記録媒体S上に記録したトナー像を記録媒体S上に定着させるものであり、公知の機構である。定着部103は、第1の画像形成部101によりトナー像が記録された記録媒体Sに熱と圧力とを加えることで、そのトナー像を記録媒体Sに定着することができる。
【0040】
用紙撓み部104は、定着部103でトナー像を定着させた記録媒体Sを撓ませるものである。第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とは、記録媒体Sに画像を形成する処理速度が異なるため、用紙撓み部104で記録媒体Sを撓ませ、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収することにしている。これにより、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を用紙撓み部104で吸収し、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを同時に動作させることができる。
【0041】
用紙撓み部104は、図2に示すように、タイミングローラ1041、タイミングセンサ1042、レジストローラ1043、スキューセンサ1044で構成する。本実施形態の用紙撓み部104は、タイミングローラ1041で記録媒体Sを下流側に搬送し、タイミングローラ1041より下流側に配置されたタイミングセンサ1042で記録媒体Sの先端を検出し、記録媒体Sの先端がレジストローラ1043に到達するまで搬送したタイミングでレジストローラ1043を停止し、レジストローラ1043の停止から、タイミングローラ1041を所定の時間だけ回転させ、タイミングローラ1041とレジストローラ1043との間で記録媒体Sに所定の撓みを付与する。これにより、用紙撓み部104は、記録媒体Sを撓ませることができる。記録媒体Sの撓み量(用紙撓み量L)は、レジストローラ1043の停止からタイミングローラ1041を回転させた回転時間ΔTと、タイミングローラ1041の単位時間当たりの回転量αと、を基に算出することができる(L=α×ΔT)。用紙撓み部104は、用紙撓み量測定部(図示せず)を有し、用紙撓み量測定部は、この用紙撓み量Lを算出し、用紙撓み部104で現在発生している記録媒体Sの撓み量(用紙撓み量L)を測定する。なお、用紙撓み部104は、所定の撓み量だけ記録媒体Sを撓ませた後は、レジストローラ1043を一定量だけ逆転して戻し、記録媒体Sの先端をレジストローラ1043のニップから開放した後に、記録媒体Sの先端をレジストローラ1043に倣わせて斜行を補正し停止する。そして、後述する制御部からの指示により、タイミングローラ1041とレジストローラ1043とを同時に回転させ、第2の画像形成部102に記録媒体Sを搬送する。タイミングローラ1041とレジストローラ1043との回転は、レジストローラ1043より下流に位置するスキューセンサ1044での記録媒体Sの先端検出タイミングで制御する。
【0042】
第2の画像形成部102は、インクジェット方式で画像形成を行うものであり、公知の機構である。第2の画像形成部102は、記録ヘッドを搭載したキャリッジを主走査方向(記録媒体Sの搬送方向と直交する方向)に往復移動させ、その往復移動時に記録ヘッドのノズル列からインクを吐出し、用紙撓み部104から搬送された記録媒体Sの他方の面に像(ドット)を記録する。そして、搬送ローラ等を用いて記録媒体Sを副走査方向(記録媒体Sの搬送方向)に搬送し、主走査方向の記録を繰り返し、記録媒体S上に画像を形成する。
【0043】
<両面印刷時の処理動作例>
次に、図1に示す画像形成装置100の処理動作例について説明する。なお、以下の動作は、両面印刷時の処理動作例について説明する。
【0044】
本実施形態の画像形成装置100は、光書込ユニット39の半導体レーザから画像データに応じたレーザ光が出射され、このレーザ光が各感光体45〜48の表面に照射され、帯電済みの各感光体45〜48の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像に対して、各現像装置から供給されたトナーが付着し、トナー像として顕像化される。このトナー像は、感光体45〜48と同期して移動する中間転写ベルト10の表面に、1次転写バイアスが印加された各1次転写バイアスローラの転写作用で、順次1次転写される。このように、各感光体45〜48の表面に形成された異なる色のトナー像が、中間転写ベルト10上に順次重ね合わせて転写(1次転写)されることで、中間転写ベルト10上にカラートナー像が形成される。なお、単色モードの場合には色は1つとなり、トナー像の重ね合わせはない。
【0045】
中間転写ベルト10上のトナー像は、給紙カセット32から給紙されて2次転写ローラ11と中間転写ベルト10との間の転写位置に送り込まれた記録媒体Sに転写(2次転写)される。2次転写は、2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ11の転写作用で実行される。これにより、第1の画像形成部101を用いて記録媒体Sの一方の面にトナー像が形成される。
【0046】
トナー像が形成された記録媒体Sは、定着部103で定着処理される。定着部103でトナー像が定着された記録媒体Sは、用紙撓み部104で記録媒体Sを撓ませ、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収する。
【0047】
第2の画像形成部102は、用紙撓み部104で第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収した記録媒体Sの他方の面に対して記録ヘッドのノズル列からインクを吐出し、記録媒体Sの他方の面に画像を形成する。これにより、記録媒体Sの両面に画像が形成される。
【0048】
両面に画像が形成された記録媒体Sは、排紙センサ26で検知され、排紙ローラ26から画像形成装置100本体に設けられた排紙トレイ33に排紙される。
【0049】
本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成部101と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成部102と、を有し、双方の画像形成部101,102を用いて両面印刷を行う。
【0050】
第1の画像形成部101は、記録媒体Sを停止させずに印刷処理を行い、第2の画像形成部102は、記録媒体Sを停止させて印刷処理を行うため、第2の画像形成部102は、第1の画像形成部101で形成したトナー像を記録媒体Sに定着させる定着部103の下流側に設けられている。
【0051】
また、定着部103と第2の画像形成部102との間の搬送経路105に用紙撓み部104を設け、定着部103でトナー像が定着された記録媒体Sを撓ませ、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収している。
【0052】
一般的に、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成部102は、電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成部101よりも処理速度が遅いため、用紙撓み部104で記録媒体Sの搬送を停止し、記録媒体Sを撓ませることで、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収することができる。これにより、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを同時に動作させて両面印刷を可能にしている。
【0053】
<画像形成装置100の制御構成例>
次に、図3を参照しながら、本実施形態の画像形成装置100の制御構成例について説明する。
【0054】
本実施形態の画像形成装置100は、制御部1と、記憶部2と、操作部3と、第1の画像形成部101と、第2の画像形成部102と、定着部103と、用紙撓み部104と、用紙撓み量測定部106と、を有して構成する。
【0055】
制御部1は、画像形成装置100を制御する。本実施形態の制御部1は、記憶部2から取得した印刷画像データと、用紙撓み量測定部106から取得した用紙撓み量と、を基に、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102と定着部103と用紙撓み部104とを制御する。
【0056】
また、本実施形態の制御部1は、第2の画像形成部102で画像形成を行う画像データを基に、その画像データに応じた、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との画像形成処理を同時に動作させるための動作条件を取得する機能(取得手段)と、動作条件に従って、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との画像形成処理を同時に動作させる機能(制御手段)と、を実現する。
【0057】
記憶部2は、各種情報(印刷画像データ、印刷条件等)を記憶する。操作部3は、各種情報(印刷条件等)を画像形成装置100に設定する。
【0058】
第1の画像形成部101は、電子写真方式で画像形成を行う。第2の画像形成部102は、インクジェット方式で画像形成を行う。定着部103は、第1の画像形成部101で記録媒体S上に記録したトナー像を記録媒体S上に定着させる。用紙撓み部104は、定着部103で定着させた記録媒体Sを撓ませ、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収する。用紙撓み量測定部106は、用紙撓み部104で記録媒体Sを撓ませた量(用紙撓み量L)を測定する。
【0059】
<画像形成装置100の処理動作例>
次に、図3、図4を参照しながら、本実施形態の画像形成装置100の処理動作例について説明する。なお、図3に示す記憶部2には、図4の処理動作例で用いる以下の変数が記憶されているものとする。
【0060】
第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収可能な用紙撓み部104での用紙撓み量La(例えば、10mm〜80mm)
第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの第1の平均所要印刷時間Ta(例えば、0.5s)
第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの第2の平均所要印刷時間Tb(Tb>Ta)(例えば、1.0s)
第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの第3の平均所要印刷時間Tc(Tc>Tb)(例えば、2.0s)
第1の画像形成部101で印刷する際の基準設定値(例えば、印刷速度=150mm/s、印刷間隔=80mm)
第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件を補正するための補正値(例えば、印刷速度の補正値Aa=10mm/s,Ab=30mm/s,Ac=80mm/s、印刷間隔の補正値Aa=10mm,Ab=30mm,Ac=60mm)
【0061】
制御部1は、両面印刷指示を受け付けた場合に(ステップS0/Yes)、第2の画像形成部102で印刷する画像データを基に、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出して取得する(ステップS1)。1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tは、記録媒体Sに印刷する画像データ量に比例しており、画像データ量が多い場合(記録媒体Sに印刷する画像領域が多い場合)は、平均所要印刷時間が長くなり、画像データ量が少ない場合(記録媒体Sに印刷する画像領域が少ない場合)は、平均所要印刷時間が短くなる。
【0062】
次に、制御部1は、ステップS1で算出した平均所要印刷時間Tと、第1の平均所要印刷時間Taと、を比較し(ステップS2)、平均所要印刷時間TがTa未満の場合は(ステップS2/Yes)、用紙撓み部104により現在発生している記録媒体Sの用紙撓み量Lを用紙撓み量測定部106から取得する(ステップS3)。
【0063】
制御部1は、ステップS3で取得した用紙撓み量Lと、用紙撓み部104で吸収可能な用紙撓み量Laと、を比較し(ステップS4)、用紙撓み量LがLa未満の場合は(ステップS4/Yes)、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を、用紙撓み部104で発生させる用紙撓み量で吸収可能と判断し、補正値=0を取得する(基準設定値のまま)(ステップS5)。
【0064】
また、用紙撓み量LがLa以上の場合は(ステップS4/No)、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を、用紙撓み部104で発生させる用紙撓み量で吸収不可能と判断する。この場合、制御部1は、第1の画像形成部101で記録媒体Sに印刷を行うときの印刷速度を下げるか、または、第1の画像形成部101で複数の記録媒体Sに印刷を行うときの記録媒体Sの印刷間隔を長くする必要があるため、第1の平均所要印刷時間Taに応じた補正値Aaを取得する(ステップS6)。
【0065】
また、ステップS2において、平均所要印刷時間TがTa以上の場合は(ステップS2/No)、平均所要印刷時間Tと、第2の平均所要印刷時間Tbと、を比較し(ステップS7)、平均所要印刷時間TがTb未満の場合は(ステップS7/Yes)、制御部1は、第2の平均所要印刷時間Tbに応じた補正値Abを取得する(ステップS8)。
【0066】
また、ステップS7において、平均所要印刷時間TがTb以上の場合は(ステップS7/No)、第2の平均所要印刷時間Tbに応じた補正値Abを用いても第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収できないため、制御部1は、平均所要印刷時間が最大である第3の平均所要印刷時間Tcに応じた補正値Acを取得する(ステップS9)。
【0067】
これにより、制御部1は、第2の画像形成部102で印刷する画像データを基に、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出し、その算出した平均所要印刷時間Tに応じて、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収するための補正値(0〜Ac)を取得することができる。
【0068】
次に、制御部1は、上記取得した補正値(0〜Ac)を基に、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件を補正する(ステップS10)。
【0069】
例えば、動作条件として第1の画像形成部101で記録媒体Sに印刷を行うときの印刷速度を補正する場合は、以下の式(1)を用いて補正する。
【0070】
印刷速度=基準設定値−補正値・・・式(1)
印刷速度:第1の画像形成部101で記録媒体Sに印刷を行うときの印刷速度
基準設定値:第1の画像形成部101で印刷する際の基準設定値(150mm/s)
補正値(0〜Ac):(0mm/s,Aa=10mm/s,Ab=30mm/s,Ac=80mm/s)
【0071】
第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tが長い場合は、第1の画像形成部101で記録媒体Sに印刷を行うときの印刷速度が遅くなるように補正する。印刷速度を補正することで、後述する印刷間隔を補正する場合に比べて記録媒体Sの撓み量を抑えることができる。
【0072】
また、動作条件として第1の画像形成部101で記録媒体Sに印刷を行うときの印刷間隔を補正する場合は、以下の式(2)を用いて補正する。
【0073】
印刷間隔=基準設定値+補正値・・・(式2)
印刷間隔:第1の画像形成部101で記録媒体Sに印刷を行うときの記録媒体Sの印刷間隔
基準設定値:第1の画像形成部101で印刷する際の基準設定値(80mm)
補正値(0〜Ac):(0mm,Aa=10mm,Ab=30mm,Ac=60mm)
【0074】
第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tが長い場合は、第1の画像形成部101で記録媒体Sに印刷を行うときの印刷間隔が長くなるように補正する。印刷間隔を補正することで、第1の画像形成部101の画像形成処理の条件を変更する必要がない。このため、印刷間隔を補正する場合に比べて第1の画像形成部101の画像形成処理制御を簡略化することができる。
【0075】
なお、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件として、第1の画像形成部101で記録媒体Sに印刷を行うときの印刷速度、または、印刷間隔を使用するかは予め画像形成装置100に設定しておく。例えば、操作部3から何れかの動作条件を任意に設定したり、画像形成装置100に何れかの動作条件を機種に応じて固定で設定しておくようにしたりすることが可能である。
【0076】
次に、制御部1は、補正後の動作条件に従って第1の画像形成部101を制御すると共に、第2の画像形成部102を制御し、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との画像形成処理を同時に動作させる(ステップS11)。
【0077】
これにより、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との画像形成処理を同時に動作させて記録媒体Sの両面に印刷を行うことができる。
【0078】
<本実施形態の画像形成装置100の作用・効果>
このように、本実施形態の画像形成装置100は、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との間の搬送経路105に用紙撓み部104を設け、その用紙撓み部104で記録媒体Sを撓ませ、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との処理速度差を吸収するようにしている。その結果、処理速度が各々異なる第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを同時に動作させ、その第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを用いて両面印刷を行うことができる。
【0079】
また、第1の画像形成部101は、記録媒体Sを搬送する搬送経路105に搬送された記録媒体Sの一方の面側に位置するように搬送経路105に設けられており、第2の画像形成部102は、搬送経路105に搬送された記録媒体Sの他方の面側に位置し、且つ、第1の画像形成部101よりも下流側に位置するように搬送経路105に設けられているため、記録媒体Sを反転させる動作を行わなくても、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを同時に動作させて記録媒体Sの両面に印刷を行うことができる。また、記録媒体Sを反転させる機構を省き画像形成装置100の小型化を図ることもできる。
【0080】
また、本実施形態の画像形成装置100は、第2の画像形成部102で画像形成を行う画像データを基に、その画像データに応じた、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との画像形成処理を同時に動作させるための動作条件を取得し、その取得した動作条件に従って、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との画像形成処理を同時に動作させる。これにより、記録媒体Sを反転させる動作を行わなくても、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを同時に動作させ、その第1の画像形成部101と第2の画像形成部102とを用いて両面印刷を行うことができる。
【0081】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0082】
第1の実施形態の画像形成装置100は、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件として、第1の画像形成部101で記録媒体Sに印刷を行うときの印刷速度、または、印刷間隔を使用した。
【0083】
第2の実施形態では、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件として使用する印刷速度または印刷間隔を、人手操作で任意に設定可能にしたことを特徴とする。これにより、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件として使用する印刷速度、または、印刷間隔を人手操作で任意に設定することができる。以下、図5を参照しながら、第2の実施形態の処理動作例について説明する。
【0084】
<動作条件設定方法例>
制御部1は、動作条件設定指示を受け付けた場合は(ステップA1/Yes)、その受け付けた設定指示が印刷速度か印刷間隔か判定する(ステップA2)。なお、動作条件設定指示は、画像形成装置100の操作部3から行ったり、画像形成装置100とネットワークを介して接続された端末から行ったりすることが可能である。
【0085】
印刷速度の設定指示を受け付けた場合は(ステップA2/印刷速度)、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件として印刷速度を使用するように設定する(ステップA3)。これにより、図4に示す処理動作で使用する補正値や動作条件を印刷速度にすることができる。
【0086】
また、印刷間隔の設定指示を受け付けた場合は(ステップA2/印刷間隔)、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件として印刷間隔を使用するように設定する(ステップA4)。これにより、図4に示す処理動作で使用する補正値や動作条件を印刷間隔にすることができる。
【0087】
<本実施形態の画像形成装置100の作用・効果>
このように、本実施形態の画像形成装置100は、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件として使用する印刷速度、または、印刷間隔を人手操作で任意に設定可能にする。これにより、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件として使用する印刷速度、または、印刷間隔を人手操作で任意に設定することができる。
【0088】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0089】
第1の実施形態では、第2の画像形成部102で印刷する画像データを基に、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出し、その算出した平均所要印刷時間Tに応じて、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件(印刷速度、印刷間隔)を補正することにした。
【0090】
第3の実施形態では、第2の画像形成部102で印刷するジョブ単位の画像データを基に、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出し、その算出した平均所要印刷時間Tに応じて、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件(印刷速度、印刷間隔)を補正する。これにより、ジョブ単位の画像データを基に、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件を補正することができる。その結果、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件をジョブ単位で設定することができるため、動作条件を変更するために必要な待ち時間を低減することができる。以下、図6を参照しながら、第3の実施形態の処理動作例について説明する。
【0091】
制御部1は、両面印刷指示を受け付けた場合に(ステップB1/Yes)、第2の画像形成部102で印刷する1ジョブ単位の全ての画像データが確定したか否かを判定する(ステップB2)。
【0092】
第2の画像形成部102で印刷する1ジョブ単位の全ての画像データが確定した場合は(ステップB2/Yes)、その第2の画像形成部102で印刷する1ジョブ単位の全ての画像データを基に、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出する。そして、その算出した1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tに応じた補正値(0〜Ac)を決定し、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件を補正する(ステップB3)。なお、動作条件の補正方法は、図4に示すステップS1〜S10と同様な処理動作を行うことになる。これにより、第2の画像形成部102で印刷する1ジョブ単位の全ての画像データを基に、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件を補正することができる。
【0093】
次に、制御部1は、補正後の動作条件に従って第1の画像形成部101を制御すると共に、第2の画像形成部102を制御し、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との画像形成処理を同時に動作させる(ステップB4)。なお、ステップB4の処理は、図4に示すステップS11と同様な処理動作を行うことになる。
【0094】
これにより、ジョブ単位の画像データを基に、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件を補正し、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との画像形成処理を同時に動作させることができる。
【0095】
<本実施形態の画像形成装置100の作用・効果>
このように、本実施形態の画像形成装置100は、第2の画像形成部102で印刷するジョブ単位の画像データを基に、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件(印刷速度、印刷間隔)を補正する。その結果、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件をジョブ単位で設定することができるため、動作条件を変更するために必要な待ち時間を低減することができる。
【0096】
なお、上記の処理動作では、第2の画像形成部102で印刷する1ジョブ単位の全ての画像データを基に、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出し、その算出した1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tに応じた補正値(0〜Ac)を決定し、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件を補正した(ステップB3)。
【0097】
しかし、第2の画像形成部102で印刷する1ジョブ単位の各画像データ毎に、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出する。そして、その算出した平均所要印刷時間Tに応じた補正値(0〜Ac)を各画像データ毎に決定する。そして、各画像データ毎の補正値(0〜Ac)の中で最も補正量の多い補正値を採用し、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件を補正することも可能である。この場合も、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件をジョブ単位で設定するため、動作条件を変更するために必要な待ち時間を低減することができる。
【0098】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
【0099】
第4の実施形態は、第2の画像形成部102で印刷するページ単位の画像データを基に、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出し、その算出した平均所要印刷時間Tに応じて、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件(印刷速度、印刷間隔)を補正する。これにより、ページ単位の画像データ毎に第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件(印刷速度、印刷間隔)を補正して動作することができるため、第3の実施形態のように全ての画像データが確定しなくても印刷動作を開始することができる。また、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位の画像データを基に、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出するため、1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出する際に使用する画像データのデータ量を少なくすることができる。以下、図7を参照しながら、第4の実施形態について詳細に説明する。
【0100】
制御部1は、両面印刷指示を受け付けた場合に(ステップC1/Yes)、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位の画像データが確定したか否かを判定する(ステップC2)。
【0101】
第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位の画像データが確定した場合は(ステップC2/Yes)、その第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位の画像データを基に、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出する。そして、その算出した1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tに応じた補正値(0〜Ac)を決定し、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件を補正する(ステップC3)。なお、動作条件の補正方法は、図4に示すステップS1〜S10と同様な処理動作を行うことになる。これにより、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位の画像データを基に、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件を補正することができる。
【0102】
次に、制御部1は、補正後の動作条件に従って第1の画像形成部101を制御すると共に、第2の画像形成部102を制御し、第1の画像形成部101と第2の画像形成部102との画像形成処理を同時に動作させる(ステップC4)。なお、ステップC4の処理は、図4に示すステップS11と同様な処理動作を行うことになる。
【0103】
次に、制御部1は、第2の画像形成部102で印刷する次のページがあるか否かを判定し(ステップC5)、次のページがない場合は(ステップC5/No)、両面印刷が終了したと判断し、処理を終了する(End)。
【0104】
また、第2の画像形成部102で印刷する次のページがある場合は(ステップC5/Yes)、第2の画像形成部102で印刷する次のページ単位の画像データが確定したか否かを判定し(ステップC6)、次のページ単位の画像データが確定した場合は(ステップC6/Yes)、その第2の画像形成部102で印刷する次のページ単位の画像データを基に、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出する。そして、その算出した1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tに応じた補正値(0〜Ac)を決定し、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件を補正する(ステップC7)。そして、再び、ステップC5に移行し、第2の画像形成部102で印刷する次のページがあるか否かを判定し(ステップC5)、第2の画像形成部102で印刷する次のページがなくなるまでステップC5〜C7の処理を繰り返す。これにより、ページ単位の画像データを基に、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件をページ単位で補正することができる。
【0105】
<本実施形態の画像形成装置100の作用・効果>
このように、本実施形態の画像形成装置100は、第2の画像形成部102で印刷するページ単位の画像データを基に、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件(印刷速度、印刷間隔)をページ単位で補正する。その結果、第1の画像形成部101で印刷する際の動作条件をページ単位で設定することができるため、第3の実施形態のように全ての画像データが確定しなくても印刷動作を開始することができる。また、第2の画像形成部102で印刷するページ単位の画像データを基に、第2の画像形成部102で印刷する1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出するため、1ページ単位当たりの平均所要印刷時間Tを算出する際に使用する画像データのデータ量を少なくすることができる。
【0106】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0107】
例えば、上述した本実施形態の画像形成装置100を構成する各部における制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0108】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0109】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
【0110】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
【0111】
また、本実施形態における画像形成装置100は、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。例えば、上述した実施形態では、制御部1が図4〜図7に示す一連の処理動作を行うことにした。しかし、図4〜図7に示す一連の処理動作を各々異なる機能部で行うようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0112】
100 画像形成装置
101 第1の画像形成部
102 第2の画像形成部
103 定着部
104 用紙撓み部(撓み手段)
105 搬送経路
106 用紙撓み量測定部
S 記録媒体
1 制御部(取得手段、制御手段)
2 記憶部
3 操作部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】
【特許文献1】特許第3701581号公報
【特許文献2】特開平11-268257号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成手段と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成手段と、を有する画像形成装置であって、
前記第1の画像形成手段は、記録媒体を搬送する搬送経路に搬送された前記記録媒体の一方の面側に位置するように前記搬送経路に設けられており、
前記第2の画像形成手段は、前記搬送経路に搬送された前記記録媒体の他方の面側に位置し、且つ、前記第1の画像形成手段よりも下流側に位置するように前記搬送経路に設けられており、
前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段とは、前記記録媒体に画像を形成する処理速度が異なり、
前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段との間の前記搬送経路には、前記記録媒体を停止させて前記記録媒体を撓ませ、前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段との前記処理速度差を吸収する撓み手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の画像形成手段で画像形成を行う画像データを基に、前記画像データに応じた、前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段との画像形成処理を同時に動作させるための動作条件を取得する取得手段と、
前記動作条件に従って、前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段との画像形成処理を同時に動作させる制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記第2の画像形成手段で画像形成を行うジョブ単位の画像データ、または、前記第2の画像形成手段で画像形成を行うページ単位の画像データを基に、前記画像データに応じた前記動作条件を取得することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記動作条件は、前記第1の画像形成手段で複数の前記記録媒体に印刷を行うときの前記記録媒体の印刷間隔、または、前記第1の画像形成手段で前記記録媒体に印刷を行うときの印刷速度であり、
前記取得手段は、前記画像データに応じた前記印刷間隔または前記印刷速度を取得し、
前記制御手段は、前記印刷間隔または前記印刷速度に従って前記第1の画像形成手段を制御し、前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段との画像形成処理を同時に動作させることを特徴とする請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項5】
電子写真方式で画像形成を行う第1の画像形成手段と、インクジェット方式で画像形成を行う第2の画像形成手段と、を有し、前記第1の画像形成手段は、記録媒体を搬送する搬送経路に搬送された前記記録媒体の一方の面側に位置するように前記搬送経路に設けられており、前記第2の画像形成手段は、前記搬送経路に搬送された前記記録媒体の他方の面側に位置し、且つ、前記第1の画像形成手段よりも下流側に位置するように前記搬送経路に設けられており、前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段とは、前記記録媒体に画像を形成する処理速度が異なり、前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段との間の前記搬送経路には、前記記録媒体を停止させて前記記録媒体を撓ませ、前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段との前記処理速度差を吸収する撓み手段が設けられた画像形成装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記第2の画像形成手段で画像形成を行う画像データを基に、前記画像データに応じた、前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段との画像形成処理を同時に動作させるための動作条件を取得する取得処理と、
前記動作条件に従って、前記第1の画像形成手段と前記第2の画像形成手段との画像形成処理を同時に動作させる制御処理と、を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−107363(P2013−107363A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256154(P2011−256154)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】