説明

画像形成装置及び処理装置

【課題】筐体内の構造に制約されにくいリンク機構を有する画像形成装置及び処理装置を提供することが課題である。
【解決手段】内部空間に連通する開口部を開閉するためのカバー部材を含む筐体と、駆動力を発生させる駆動部と、駆動力の伝達を断続させるクラッチ機構と、を備え、クラッチ機構は、駆動部から駆動力を受ける第1伝達部と画像形成部と噛み合う第2伝達部とを含む伝達部材と、伝達部材を、画像形成部から離れる第1方向と、第1方向とは反対の第2方向とに移動させるリンク機構と、カバー部材とリンク機構とを接続する可撓性の連結部材と、を含み、カバー部材が開口部を開くとき、連結部材によってカバー部材と連動されるリンク機構は、伝達部材を第1方向に移動させ、カバー部材が開口部を閉じるとき、カバー部材に連動するリンク機構は、伝達部材を第2方向に移動させることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像をシートに形成する画像形成装置及び所定の処理を行う処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、機械装置は、画像形成や他の処理を行うための部品や構造体を収容する筐体を備える。筐体内への設備の取付や筐体内に配設された設備の補修や交換のために、多くの場合、筐体には開口部が形成される。また、使用者に対する安全性の観点から、筐体に形成された開口部を閉塞するためのカバーが筐体に取り付けられる。
【0003】
筐体内の設備がモーターといった駆動源に接続されているならば、筐体内の設備を取り外すために、駆動源と筐体内の設備との機械的な接続は解除される必要がある。カバーの開閉に連動して、駆動源と筐体内の設備との間の機械的な接続が解除されるならば、補修作業や交換作業は効率的になる。特許文献1及び2は、カバーの開閉と連動して、駆動源と筐体内の設備との機械的な接続を解除することができるリンク機構を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−208024号公報
【特許文献2】特開2008−304704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリンク機構は、カバーが開閉される角度範囲やカバーとリンク機構との間の位置関係といった制約を受ける。このため、筐体やリンク機構を介してカバーに接続される設備の設計によっては、従来のリンク機構の原理が適用できない場合も多い。
【0006】
本発明は、筐体内の構造に制約されにくいリンク機構を有する画像形成装置及び処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、画像を形成する画像形成部が配設される内部空間に連通する開口部を開閉するための回動可能なカバー部材を含む筐体と、該画像形成部を駆動するための駆動力を発生させる駆動部と、該駆動部から前記画像形成部への前記駆動力の伝達を断続させるクラッチ機構と、を備える。該クラッチ機構は、前記駆動部から前記駆動力を受ける第1伝達部と前記画像形成部と噛み合う第2伝達部とを含む伝達部材と、該伝達部材を、前記画像形成部から離れる第1方向と、該第1方向とは反対の第2方向とに移動させるリンク機構と、前記カバー部材と前記リンク機構とを接続する可撓性の連結部材と、を含む。前記カバー部材が前記開口部を開くとき、前記連結部材によって前記カバー部材と連動される前記リンク機構は、前記伝達部材を前記第1方向に移動させる。前記カバー部材が前記開口部を閉じるとき、前記カバー部材に連動する前記リンク機構は、前記伝達部材を前記第2方向に移動させる(請求項1)。
【0008】
上記構成によれば、筐体の内部空間に画像を形成するための画像形成部が配設される。筐体には、内部空間に連通する開口部が形成される。回動可能なカバー部材は、開口部を開閉する。したがって、使用者は、開口部を通じて、画像形成部にアクセスすることができる。
【0009】
画像形成部は、駆動部が発生された駆動力によって駆動される。クラッチ機構は、駆動部から画像形成部への駆動力の伝達を断続させる。クラッチ機構は、駆動部から駆動力を受ける第1伝達部と画像形成部と噛み合う第2伝達部とを有する伝達部材を含む。リンク機構は、伝達部材を、画像形成部から離れる第1方向と、第1方向とは反対の第2方向とに移動させる。カバー部材とリンク機構とを接続する連結部材は、可撓性であり、筐体内の構造に応じて変形可能である。したがって、リンク機構は、筐体内の構造に制約を受けにくくなる。
【0010】
カバー部材が前記開口部を開くとき、連結部材によってカバー部材と連動されるリンク機構は、伝達部材を第1方向に移動させる。また、カバー部材が開口部を閉じるとき、カバー部材に連動するリンク機構は、伝達部材を第2方向に移動させる。したがって、カバー部材の開閉に応じて、駆動部から画像形成部への駆動力の伝達は断続される。この結果、画像形成部の補修や交換といった作業は効率化される。
【0011】
上記構成において、前記第2伝達部は、前記第1伝達部から前記画像形成部に向けて突出する噛合シャフトを含んでもよい。前記筐体は、前記リンク機構を支持する支持構造体を含んでもよい。前記リンク機構は、前記噛合シャフトが挿入される挿入穴を規定する内面と、該内面とは反対側の外面と、前記カバー部材が前記開口部を開くときに前記伝達部材に接触し、前記伝達部材を第1方向に押し出す突出面と、前記画像形成部に向けて突出する第1接続ピンと、を含むクラッチリングと、前記第1接続ピンが接続される第1接続部位が形成された第1接続部と、前記連結部材が接続される第2接続部と、を有するアーム部と、前記第2方向に向けて前記伝達部材を付勢する付勢部材と、を含んでもよい。前記外面は、該外面の周方向に延び、前記突出面に近づくように傾斜する傾斜面を含んでもよい。前記支持構造体は、前記傾斜面に接触する爪部を含んでもよい。前記カバー部材が前記開口部を開くときに前記連結部材によって変位される前記アーム部は、前記クラッチリングを前記挿入穴周りに第1回転方向に回転させてもよい。前記クラッチリングが前記第1回転方向に回転している間、前記傾斜面上を摺動する前記爪部は、前記クラッチリングを前記第1方向に押し出し、前記噛合シャフトと前記画像形成部との噛み合いを解除してもよい(請求項2)。
【0012】
上記構成によれば、第2伝達部は、第1伝達部から画像形成部に向けて突出する噛合シャフトを含む。リンク機構は、クラッチリングを含む。クラッチリングは、噛合シャフトが挿入される挿入穴を規定する内面と、内面とは反対側の外面と、カバー部材が前記開口部を開くときに伝達部材に接触し、伝達部材を第1方向に押し出す突出面と、画像形成部に向けて突出する第1接続ピンと、を含む。筐体は、リンク機構を支持する支持構造体を含む。リンク機構は、アーム部を含む。アーム部は、第1接続ピンが挿入される第1接続部位が形成された第1接続部と、連結部材が接続される第2接続部と、を有する。リンク機構は、第2方向に向けて伝達部材を付勢する付勢部材を更に含む。
【0013】
クラッチリングの外面は、外面の周方向に延び、突出面に近づくように傾斜する傾斜面を含む。支持構造体は、傾斜面に接触する爪部を含む。カバー部材が開口部を開くときに連結部材によって変位されるアーム部は、クラッチリングを挿入穴周りに第1回転方向に回転させる。この結果、爪部は、傾斜面上を摺動し、クラッチリングを第1方向に押し出す。かくして、噛合シャフトと画像形成部との噛み合いは適切に解除されることとなる。
【0014】
上記構成において、前記第1接続部から前記開口部を閉じる前記カバー部材に向けて延びるアーム部は、前記カバー部材が前記開口部を開くときに前記開口部を介して前記筐体から突出する先端部を含んでもよい。前記開口部を閉じるように回動する前記カバー部材は、前記先端部に接触し、前記アーム部を変位させてもよい。前記カバー部材によって変位された前記アーム部は、前記クラッチリングを、前記挿入穴周りに前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転させてもよい。前記クラッチリングが前記第2回転方向に回転している間、前記付勢部材は、前記伝達部材及び前記クラッチリングを前記第2方向に変位させてもよい(請求項3)。
【0015】
上記構成によれば、アーム部は、第1接続部から開口部を閉じるカバー部材に向けて延びる。アーム部の先端部は、カバー部材が開口部を開くときに、開口部を介して筐体から突出する。開口部を閉じるように回動するカバー部材は、先端部に接触し、アーム部を変位させる。カバー部材によって変位されたアーム部は、クラッチリングを、挿入穴周りに第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転させる。クラッチリングが第2回転方向に回転している間、付勢部材は、伝達部材及びクラッチリングを第2方向に変位させるので、噛合シャフトは、画像形成部に適切に噛み合うこととなる。
【0016】
上記構成において、前記アーム部は、前記第1接続部と前記第2接続部との間に形成された第3接続部を含んでもよい。前記支持構造体は、前記アーム部を支持する支持板と、該支持板に接続される基軸部と、前記第3接続部に形成された第2接続部位に接続される第2接続ピンと、を有する支持片と、を含んでもよい。前記第1接続ピン及び前記第2接続ピンは、前記アーム部を一定の軌跡に沿って変位させてもよい(請求項4)。
【0017】
上記構成によれば、アーム部は、第1接続部と第2接続部との間に形成された第3接続部を含む。支持構造体は、アーム部を支持する支持板及び支持片を含む。支持片は、支持板に接続される基軸部と、第3接続部に形成された第2接続部位に挿入される第2接続ピンと、を有する。第1接続ピン及び第2接続ピンは、アーム部を一定の軌跡に沿って変位させるので、カバー部材の開閉に伴うクラッチ機構の動作が円滑に行われる。
【0018】
上記構成において、前記第1接続ピン及び前記第2接続ピンは、前記支持板に形成された弧状の案内部に接続されてもよい。前記アーム部が変位している間、前記第1接続ピン及び前記第2接続ピンは、前記案内部に沿って移動してもよい(請求項5)。
【0019】
上記構成によれば、第1接続ピン及び第2接続ピンは、支持板に形成された弧状の案内部に挿入される。第1接続ピン及び第2接続ピンは、案内部に沿って移動するので、アーム部の変位は安定化する。
【0020】
上記構成において、前記伝達部材と前記アーム部との間に配設された前記支持板は、前記伝達部材に対向する第1面と、前記画像形成部に対向する第2面と、を含んでもよい。前記クラッチリング及び前記噛合シャフトは、前記支持板を貫いて前記第2面から突出してもよい(請求項6)。
【0021】
上記構成によれば、伝達部材とアーム部との間に配設された支持板は、伝達部材に対向する第1面と、画像形成部に対向する第2面と、を含む。カバー部材が開口部を閉じている間、第1面は、第2方向への伝達部材の変位を規制する。また、付勢部材は、伝達部材を第2方向へ付勢する。したがって、駆動力が伝達されている間の伝達部材の変位は小さくなり、駆動力の伝達が安定化する。
【0022】
上記構成において、前記支持構造体は、前記支持板を介して前記第2面から突出する前記噛合シャフトに挿入された前記クラッチリングを支持する支持ブロックを含んでもよい。該支持ブロックは、前記クラッチリングが収容される切欠部を規定する切欠面を含んでもよい。前記爪部は、前記切欠面から突出してもよい(請求項7)。
【0023】
上記構成によれば、支持構造体の支持ブロックは、支持板に形成された貫通穴を介して第2面から突出する噛合シャフトに挿入されたクラッチリングを支持する。支持ブロックは、クラッチリングが収容される切欠部を規定する切欠面を含む。爪部は、切欠面から突出するので、爪部は、カバー部材が開口部を開くときに、傾斜面上を摺動し、クラッチリングを第1方向に押し出すことができる。したがって、カバー部材が開口部を開くときに、噛合シャフトと画像形成部との噛み合いは適切に解除されることとなる。
【0024】
上記構成において、前記支持構造体は、前記切欠面を取り巻くように形成されたC型リングを含んでもよい。該C型リングは、前記爪部として用いられる端部を含んでもよい(請求項8)。
【0025】
上記構成によれば、支持構造体は、切欠面を取り巻くように形成されたC型リングを含む。C型リングの端部は、爪部として用いられるので、支持構造体の形成が容易となる。
【0026】
上記構成において、前記クラッチリングは、前記画像形成部に対向する対向端を含んでもよい。前記噛合シャフトは、前記対向端から突出し、前記画像形成部に前記駆動力を伝達するように前記画像形成部と噛み合う噛合端を含んでもよい(請求項9)。
【0027】
上記構成によれば、クラッチリングは、画像形成部に対向する対向端を含む。噛合シャフトの噛合端は、対向端から突出するので、画像形成部に適切に噛み合い、駆動力を伝達することができる。
【0028】
本発明の他の実施形態に係る処理装置は、所定の処理を行う処理部を収容する内部空間に連通する開口部を開閉するための回動可能なカバー部材を含む筐体と、該処理部を駆動するための駆動力を発生させる駆動部と、該駆動部から前記処理部への前記駆動力の伝達を断続させるクラッチ機構と、を備える。該クラッチ機構は、前記駆動部から前記駆動力を受ける第1伝達部と前記処理部と噛み合う第2伝達部とを含む伝達部材と、該伝達部材を、前記処理部から離れる第1方向と、該第1方向とは反対の第2方向とに移動させるリンク機構と、前記カバー部材と前記リンク機構とを接続する可撓性の連結部材と、を含む。前記カバー部材が前記開口部を開くとき、前記リンク機構は、前記伝達部材を前記第1方向に移動させる。前記カバー部材が前記開口部を閉じるとき、前記リンク機構は、前記伝達部材を前記第2方向に移動させる(請求項10)。
【0029】
上記構成によれば、筐体の内部空間に所定の処理を行う処理部が配設される。筐体には、内部空間に連通する開口部が形成される。回動可能なカバー部材は、開口部を開閉する。したがって、使用者は、開口部を通じて、処理部にアクセスすることができる。
【0030】
処理部は、駆動部が発生された駆動力によって駆動される。クラッチ機構は、駆動部から処理部への駆動力の伝達を断続させる。クラッチ機構は、駆動部から駆動力を受ける第1伝達部と処理部と噛み合う第2伝達部とを有する伝達部材を含む。リンク機構は、伝達部材を、処理部から離れる第1方向と、第1方向とは反対の第2方向とに移動させる。カバー部材とリンク機構とを接続する連結部材は、可撓性であるので、筐体内の構造に応じて変形可能である。したがって、リンク機構は、筐体内の構造に制約を受けにくくなる。
【0031】
カバー部材が前記開口部を開くとき、連結部材によってカバー部材と連動されるリンク機構は、伝達部材を第1方向に移動させる。また、カバー部材が開口部を閉じるとき、カバー部材に連動するリンク機構は、伝達部材を第2方向に移動させる。したがって、カバー部材の開閉に応じて、駆動部から処理部への駆動力の伝達は断続される。この結果、処理部の補修や交換といった作業は効率化される。
【発明の効果】
【0032】
本発明に従う画像形成装置及び処理装置は、筐体内の構造に制約されにくいリンク機構を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】画像形成装置として例示されるプリンターの概略図である。
【図2】図1に示されるプリンターの筐体の概略的な斜視図である。
【図3】図1に示されるプリンターの感光体ドラムを駆動するための駆動構造の概略的な斜視図である。
【図4】図1に示されるプリンターのクラッチ機構の概略的な展開斜視図である。
【図5】図1に示されるプリンターの内壁に取り付けられたクラッチリングの概略的な斜視図である。
【図6A】図5に示されるクラッチリングを有するクラッチ機構の概略的な斜視図であり、クラッチリングは、第1回転方向に回転している。
【図6B】図5に示されるクラッチリングを有するクラッチ機構の概略的な斜視図であり、クラッチリングは、第2回転方向に回転している。
【図7A】図3に示される駆動構造のリンク機構の概略的な斜視図であり、手差トレイは、筐体の開口部を開く位置に存する。
【図7B】図3に示される駆動構造のリンク機構の概略的な斜視図であり、手差トレイは、筐体の開口部を閉じる位置に存する。
【図8】図7A及び図7Bに示されるリンク機構のアーム部とワイヤーとの連結構造の概略的な斜視図である。
【図9A】図5に示される内壁の第1面の概略的な斜視図である。
【図9B】図5に示される内壁の第1面の概略的な斜視図である。
【図10A】図6Aに示される第1接続ピン周りの概略的な拡大斜視図である。
【図10B】図6Bに示される第1接続ピン周りの概略的な拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面を用いて、画像形成装置が説明される。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、画像形成装置の原理を何ら限定するものではない。
【0035】
(全体構成)
図1は、画像形成装置として例示されるプリンター100の概略図である。図1を用いて、プリンター100が説明される。尚、コピー機やシートに画像を形成することができる他の装置が画像形成装置として用いられてもよい。
【0036】
プリンター100は、シートSに画像を形成するための様々な装置を収容する筐体200を備える。筐体200は、筐体200の上面を規定する上壁210と、筐体200の底面を規定する底壁220と、上壁210と底壁220との間で直立する背面壁230と、背面壁230とは反対側に取り付けられた手差トレイ240と、を含む。手差トレイ240は、上下に回動可能である。図1に示されるように、手差トレイ240が下方に回動されると、筐体200に形成された開口部290が開放される。開口部290は、筐体200の内部空間260に連通する。したがって、使用者は、開口部290を介して、筐体200の内部空間260に収容された様々な装置にアクセスすることができる。手差トレイ240が上方に回動すると、開口部290は閉じられる。この結果、使用者の不必要な内部空間260へのアクセスは防止される。本実施形態において、手差トレイ240は、カバー部材として例示される。代替的に、筐体に形成された開口部を開閉するための他の部品がカバー部材として用いられてもよい。
【0037】
プリンター100は、シートSを収容するカセット110を更に備える。カセット110は、シートSを支持するリフト板111を備える。リフト板111は、シートSの先頭縁を押し上げるように傾斜する。
【0038】
プリンター100は、リフト板111によって押し上げられたシートSの先頭縁上に配置されたピックアップローラー112を更に備える。ピックアップローラー112が回転すると、シートSはカセット110から引き出される。
【0039】
プリンター100は、ピックアップローラー112の下流に配設された給紙ローラー113を更に備える。給紙ローラー113は、シートSを更に下流に送り出す。
【0040】
使用者は、上述の手差トレイ240の上にシートSを載置してもよい。プリンター100は、手差トレイ240上のシートSを筐体200内に引き込む給紙ローラー114を更に備える。
【0041】
プリンター100は、給紙ローラー113,114の下流に配設された搬送ローラー115を更に備える。搬送ローラー115は、給紙ローラー113,114によって送り出されたシートSを更に下流へ搬送する。
【0042】
プリンター100は、シートS上に形成される画像の位置を調整するためのレジストローラー対116と、シートSに画像を形成する画像形成部120を更に備える。レジストローラー対116は、画像形成部120による画像形成のタイミングに合わせて、シートSを画像形成部120に供給する。
【0043】
画像形成部120は、略円筒状の感光体ドラム121と、感光体ドラム121の周面を略一様に帯電させる帯電器122と、を含む。画像形成部120は、帯電器122によって帯電された感光体ドラム121の周面にレーザ光を照射する露光装置123を更に備える。露光装置123は、プリンター100に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータといった外部装置(図示せず)から出力された画像データに従って、レーザ光を照射する。この結果、感光体ドラム121の周面には、画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0044】
画像形成部120は、静電潜像が形成された感光体ドラム121の周面にトナーを供給する現像装置124と、現像装置124へトナーを供給するためのトナーコンテナー125と、を更に含む。トナーコンテナー125は、現像装置124に順次又は必要に応じてトナーを供給する。現像装置124がトナーを感光体ドラム121に供給すると、感光体ドラム121の周面に形成された静電潜像が現像(可視化)される。この結果、感光体ドラム121の周面に、トナー画像が形成されることとなる。
【0045】
画像形成部120は、感光体ドラム121の周面に押し当てられた転写ローラー126を更に含む。レジストローラー対116は、感光体ドラム121と転写ローラー126との間にシートSを送り込む。シートSが感光体ドラム121と転写ローラー126との間を通過するときに、感光体ドラム121の周面に形成されたトナー画像はシートSに転写される。
【0046】
画像形成部120は、シートSへトナー画像が転写された後に感光体ドラム121の周面に残るトナーを除去するクリーニング装置127を更に含む。クリーニング装置127によって清浄化された感光体ドラム121の周面は、再度、帯電器122の下方を通過し、一様に帯電される。その後、上述のトナー画像の形成が新たに行われる。
【0047】
プリンター100は、シートS上のトナー画像を定着させる定着装置130を更に備える。定着装置130は、シートS上のトナーを溶融させる加熱ローラー131と、シートSを加熱ローラー131に密着させる圧力ローラー132と、を備える。シートSが加熱ローラー131と圧力ローラー132との間を通過すると、トナー画像は、シートSに定着される。
【0048】
プリンター100は、定着装置130の下流に配設された複数の搬送ローラー対133と、搬送ローラー対133の下流に配設された排出ローラー対134と、を更に備える。シートSは、搬送ローラー対133によって上方に搬送され、最終的に、排出ローラー対134によって、筐体200から排出される。筐体200から排出されたシートSは、上壁210上に積み重ねられる。
【0049】
上述のプリンター100の構造は、例示的なものである。他の構造を有するプリンターが画像形成装置として用いられてもよい。
【0050】
(筐体)
図2は、筐体200の概略的な斜視図である。図1及び図2を用いて、筐体200が説明される。
【0051】
筐体200は、上壁210、底壁220、背面壁230及び手差トレイ240に加えて、上壁210及び背面壁230に対して直交する内壁250を更に含む。内壁250は、内部空間260内に配設される様々な装置(例えば、画像形成部120)を支持するために用いられる。
【0052】
筐体200は、上壁210と背面壁230とに直交する左壁280と、左壁280とは反対側の右壁270と、を更に含む。内部空間260内に配設される様々な装置(例えば、画像形成部120)を駆動するための駆動設備は、内壁250と右壁270との間に配設される。回動可能な手差トレイ240は、右壁270と左壁280とに取り付けられる。
【0053】
上壁210は、手差トレイ240の上方で上下に回動する上カバー211を含む。使用者は、上カバー211を上方に回動させ、トナーコンテナー125に容易にアクセスすることができる。
【0054】
(駆動構造)
図3は、感光体ドラム121を駆動するための駆動構造の概略的な斜視図である。図1及び図3を用いて、感光体ドラム121に対する駆動構造が説明される。
【0055】
プリンター100は、画像形成部120の感光体ドラム121を駆動するための駆動力を発生させる駆動モーター300と、駆動モーター300から感光体ドラム121への駆動力の伝達を断続させるクラッチ機構400と、を更に備える。上述の内壁250は、クラッチ機構400の一部として利用される。内壁250は、駆動モーター300に対向する第1面251と、感光体ドラム121に対向する第2面252と、を含む。
【0056】
クラッチ機構400は、駆動モーター300を支持するための略矩形箱状のカバーケース410を備える。駆動モーター300は、第1面251に向けて突出する回転シャフト310を備える。カバーケース410は、回転シャフト310が挿入される開口部411が形成された支持板412と、支持板412の周縁から第1面251に向けて折り曲げられた周板413と、を含む。周板413によって、第1面251と支持板412との間に空間が形成される。
【0057】
カバーケース410は、支持板412から第1面251に向けて突出する支持ピン414を更に備える。支持ピン414は、第1面251と支持板412との間に形成された空間内で、クラッチ機構400の様々な部品を支持する。
【0058】
図4は、クラッチ機構400の概略的な展開斜視図である。図3及び図4を用いて、クラッチ機構400が説明される。
【0059】
図4には、図3に関連して説明されたカバーケース410の支持ピン414及び駆動モーター300の回転シャフト310が示されている。回転シャフト310にはギア歯が形成されている。クラッチ機構400は、支持ピン414が挿入されるコイルバネ420と、回転シャフト310に噛み合う伝達ギア430と、を備える。クラッチ機構400が組み立てられると、コイルバネ420は、伝達ギア430と支持板412との間で圧縮される。この結果、コイルバネ420は、第1面251に向けて(即ち、感光体ドラム121に近づく方向に、伝達ギア430を付勢する。以下の説明において、第1面251から離れる方向(即ち、感光体ドラム121から離れる方向)は、「第1方向」と称される。第1方向とは反対の方向(即ち、第1面251及び感光体ドラム121に近づく方向)は、「第2方向」と称される。本実施形態において、コイルバネ420は付勢部材として例示される。代替的に、伝達ギアや駆動力を伝達するための他の要素を第2方向に付勢することができる他の部品が付勢部材として用いられてもよい。
【0060】
伝達ギア430は、回転シャフト310と噛み合い、駆動力を受けるギア環部431と、ギア環部431を支持するフランジ部435と、フランジ部435から第1面251(即ち、感光体ドラム121)に向けて突出するシャフト部432と、を含む。シャフト部432は、鋸刃状に輪郭付けられた先端部433を含む。また、感光体ドラム121の基端部129も、シャフト部432の先端部433に対応して、鋸刃状に輪郭付けられる(図3参照)。シャフト部432の先端部433は、感光体ドラム121の基端部129に突き合わせられる。この結果、シャフト部432の先端部433及び感光体ドラム121の基端部129は、互いに噛み合い、カップリング構造を形成する。ギア環部431の中心にはフランジ部435とシャフト部432を貫通する軸穴436が形成されている。伝達ギア430は軸穴436により支持ピン414に回転自在に支持される。したがって、駆動モーター300からの駆動力は、感光体ドラム121に適切に伝達される。本実施形態において、シャフト部432の先端部433は、噛合端として例示される。
【0061】
駆動モーター300の回転シャフト310が回転すると、回転シャフト310に噛み合うギア環部431が回転する。ギア環部431の回転に伴って、シャフト部432も回転する。この結果、シャフト部432の先端部433と噛み合う感光体ドラム121も回転することとなる。本実施形態において、伝達ギア430は、伝達部材として例示される。代替的に、モーターといった駆動源からの駆動力を画像形成部に伝達することができる他の部品(例えば、プーリー)が伝達部材として用いられてもよい。
【0062】
本実施形態において、ギア環部431は、第1伝達部として例示される。また、シャフト部432は、第2伝達部又は噛合シャフトとして例示される。
【0063】
クラッチ機構400は、C型のワッシャ440を更に備える。支持ピン414の先端部には、ワッシャ440が嵌め込まれる溝部415が形成される。支持ピン414がコイルバネ420及び伝達ギア430に挿入された後、ワッシャ440が溝部415に嵌め込まれると、伝達ギア430は、ワッシャ440とカバーケース410の支持板412との間で保持されることとなる。
【0064】
ギア環部431は、伝達ギア430に対向する第1面251に向けて突出する環状の突出リブ434を含む。伝達ギア430と感光体ドラム121との接続が保たれている間、突出リブ434は、第1面251に近接する。図3に示される如く、クラッチ機構400は、伝達ギア430を第1方向及び第2方向に移動させるリンク機構500を更に備える。上述のコイルバネ420は、リンク機構500の一部として用いられ、伝達ギア430を第1方向に移動させる役割を果たす。
【0065】
図4に示される如く、リンク機構500は、伝達ギア430を第1方向に移動させる役割を主に担うクラッチリング510を含む。クラッチリング510は、伝達ギア430のシャフト部432が挿入される略円形の挿入穴511を規定する内面512と、内面512とは反対側の外面513と、を含む。尚、クラッチリング510は、挿入穴511に挿入されたシャフト部432の回転動作には連動しない。
【0066】
クラッチリング510は、略円筒形状の外面513から半径方向に突出する舌片514と、舌片514から感光体ドラム121に向けて突出する第1接続ピン515と、を更に含む。後述されるリンク機構500の動作は、第1接続ピン515を介して、クラッチリング510の回転動作に変換される。第1接続ピン515が所定の方向に向かうようにクラッチリング510が挿入穴511周りに回転されると、クラッチリング510は、第1方向に変位する。第1接続ピン515が反対方向に挿入穴511周りに回転されると、コイルバネ420によって、クラッチリング510は、第2方向に変位する。以下の説明において、クラッチリング510が第1方向に変位するときのクラッチリング510の回転方向は、「第1回転方向」と称される。クラッチリング510が第2方向に変位するときのクラッチリング510の回転方向は、「第2回転方向」と称される。第1方向及び第2方向へのクラッチリング510の変位は、後述される。
【0067】
クラッチリング510は、挿入穴511から半径方向の外側に延びて伝達ギア430に対向する突出面516を更に含む。クラッチリング510の伝達ギア430側の端部および突出面516は、伝達ギア430のフランジ部435の一部に接触する。クラッチリング510が第1回転方向に回転している間、上述の如く、第1方向に変位するので、クラッチリング510は、伝達ギア430を第1方向に押し出すこととなる。
【0068】
図5は、内壁250に取り付けられたクラッチリング510の概略的な斜視図である。図3乃至図5を用いて、リンク機構500が更に説明される。
【0069】
リンク機構500は、クラッチリング510を支持するための支持構造体600を更に備える。上述の内壁250は、支持構造体600の一部として用いられる。図3に示されるように、内壁250には、貫通穴253が形成される。図5に示される如く、伝達ギア430のシャフト部432が挿入されたクラッチリング510は、貫通穴253を介して第2面252から突出する。
【0070】
支持構造体600は、内壁250に加えて、内壁250の第2面252に固定される支持ブロック610を備える。支持ブロック610は、クラッチリング510が収容される切欠部611を規定する略C型の切欠面612を含む。切欠面612は、クラッチリング510を支持する。上述の第1回転方向及び第2回転方向へのクラッチリング510の回転は、切欠部611内で行われる。また、感光体ドラム121と伝達ギア430との間でのカップリング構造も切欠部611内に形成される。
【0071】
図4に示される如く、支持構造体600は、C型リング625を更に備える。C型リング625は、C形状をした板状部材であり、両端部に一対の爪部621を含む。爪部621は、C型リング625の端部において内方に折り曲げられている。切欠面612の円周方向の両端付近には、C型リング625の板厚の幅のスリット開口部(図示せず)が形成される。C型リング625が切欠面612を裏側から取り巻くように支持ブロック610に嵌め込まれると、爪部621は、切欠面612に形成されたスリット開口部を通して、切欠面612から突出する。
【0072】
図4に示される如く、支持構造体600は、C型リング625を更に備える。C型リング625は、一対の爪部621を含む。爪部621は、C型リング625の端部において内方に折り曲げられている。切欠面612には、開口部(図示せず)が形成される。C型リング625が切欠面612を取り巻くように支持ブロック610に嵌め込まれると、爪部621は、切欠面612に形成された開口部を介して、切欠面612から突出する。
【0073】
図6Aは、第1回転方向に回転するクラッチリング510を有するクラッチ機構400の概略的な斜視図である。図6Bは、第2回転方向に回転するクラッチリング510を有するクラッチ機構400の概略的な斜視図である。図3、図4、図6A及び図6Bを用いて、クラッチリング510とC型リング625の爪部621との関係が説明される。
【0074】
クラッチリング510は、感光体ドラム121に対向する対向端517を更に含む。伝達ギア430のシャフト部432の先端部433は、対向端517から突出する。この結果、先端部433は、感光体ドラム121の基端部129に連結する。
【0075】
クラッチリング510の外面513は、周方向に延びる一対の傾斜面518を含む。傾斜面518は、対向端517から突出面516に近づく。傾斜面518の傾斜方向は、第1回転方向に回転するクラッチリング510が第1方向に変位するように定められる。一対の傾斜面518は、一対の爪部621に対応する。
【0076】
一対の傾斜面518の間には、感光体ドラム121に最も近接する平坦面519が形成される。図6Aに示される如く、クラッチリング510が第1回転方向に回転されると、爪部621は、平坦面519に乗り上げる。図6Bに示される如く、クラッチリング510が第2回転方向に回転されると、爪部621は、傾斜面518上を摺動する。
【0077】
上述の如く、爪部621を有するC型リング625は、支持ブロック610に固定される。したがって、C型リング625は、支持ブロック610に対して変位しない。一方、クラッチリング510は、コイルバネ420の圧縮及び伸長に応じて、第1方向及び第2方向に変位可能である。したがって、クラッチリング510が第1回転方向に回転している間、爪部621は傾斜面518上を平坦面519に向けて摺動し、クラッチリング510を第1方向に押し出すことができる。第1方向に押し出されたクラッチリング510は、伝達ギア430を第1方向に押し出す。この結果、伝達ギア430のシャフト部432は、感光体ドラム121の基端部129から離間する。かくして、伝達ギア430と感光体ドラム121との噛み合いが解除される。
【0078】
クラッチリング510が第2回転方向に回転すると、爪部621は平坦面519から傾斜面518に乗り移る。上述の第1方向へのクラッチリング510の変位の結果、コイルバネ420は圧縮されているので、コイルバネ420は第2方向へ伝達ギア430並びにクラッチリング510を第2方向へ押し出すこととなる。この結果、爪部621が傾斜面518に沿って摺動すると、第2回転方向に回転されるクラッチリング510は、伝達ギア430とともに第2方向に変位することとなる。
【0079】
図7A及び図7Bは、リンク機構500の概略的な斜視図を示す。図2乃至図4並びに図7A及び図7Bを用いて、リンク機構500が更に説明される。
【0080】
図3、図7A及び図7Bには、手差トレイ240の一部が示されている。図3及び図7Aに示される手差トレイ240は、筐体200の開口部290(図2参照)を開く位置に存する。図7Bに示される手差トレイ240は、筐体200の開口部290を閉じる位置に存する。
【0081】
リンク機構500は、略L字型のアーム部520を更に備える。アーム部520は、クラッチリング510の第1接続ピン515が挿入される第1接続穴521が形成された第1接続部522を含む。第1接続穴521には、クラッチリング510の第1接続ピン515が挿入される。図7A及び図7Bに示される如く、第1接続穴521は、第1接続ピン515の第1方向及び第2方向への往復動を可能にする。
【0082】
図7Bに示される如く、アーム部520は、第1接続部522から筐体200の開口部290を閉じる手差トレイ240に向けて延びる。図3に示される如く、クラッチ機構400は、手差トレイ240とアーム部520とを接続する可撓性のワイヤー700を更に備える。本実施形態において、ワイヤー700は、連結部材として例示される。代替的に、カバー部材とリンク機構とを接続することができる他の可撓性部材が連結部材として用いられてもよい。
【0083】
図8は、アーム部520とワイヤー700との連結構造の概略的な斜視図である。図2乃至図4並びに図7A乃至図8を用いて、アーム部520とワイヤー700との連結構造が説明される。
【0084】
アーム部520は、ワイヤー700が接続される第2接続部523を含む。ワイヤー700の両端部は、アーム部520の第2接続部523と手差トレイ240とに、それぞれ適切に結ばれる。図7Bに示される如く、アーム部520は、筐体200の開口部290を閉じる手差トレイ240に近接する先端部524を更に含む。
【0085】
図9A及び図9Bは、内壁250の第1面251の概略的な斜視図である。図2、図3、図7A乃至図9Bを用いて、手差トレイ240とアーム部520との関係が説明される。尚、図9Aに示される手差トレイ240は、筐体200の開口部290(図2参照)を開く位置に存する。図9Bに示される手差トレイ240は、筐体200の開口部290を閉じる位置に存する。
【0086】
内壁250は、筐体200の開口部290を閉じる手差トレイ240に近接する前縁254を含む。したがって、アーム部520の先端部524が前縁254を超えて突出することは、アーム部520が筐体200の開口部290を介して、筐体200から突出していることを意味する。
【0087】
図7A及び図9Aに示される如く、手差トレイ240が筐体200の開口部290を開いている間、アーム部520の先端部524は、開口部290を介して、筐体200から突出する。したがって、手差トレイ240が開口部290を閉じるように回動すると、手差トレイ240は、アーム部520の先端部524に接触する。この結果、アーム部520は、筐体200の内部空間260(図2参照)に押し込まれるように変位する。
【0088】
支持構造体600は、内壁250及び支持ブロック610に加えて、ワイヤー700が挿通される保護ブロック620を備える。保護ブロック620は、内壁250の第2面252に固定される。手差トレイ240が上方に回動されると、ワイヤー700は一時的に弛む。保護ブロック620は、弛んだワイヤー700がプリンター100の他の要素に絡まることを防止する。
【0089】
手差トレイ240がアーム部520の先端部524に接触し、アーム部520を筐体200の内部空間260に押し込むと、ワイヤー700の弛みは解消される。したがって、手差トレイ240が、再度、筐体200の開口部290を開くように回動すると、ワイヤー700によって手差トレイ240に連結されたアーム部520は、筐体200から突出するように変位する。
【0090】
アーム部520は、第1接続部522と第2接続部523との間に形成された第3接続部525を更に含む。第3接続部525には、第2接続穴526が形成される。
【0091】
図3に示される如く、支持構造体600は、伝達ギア430とアーム部520との間に配設された内壁250に接続される支持片630を更に備える。内壁250は、支持片630を介して、アーム部520を支持する。本実施形態において、内壁250は、支持板として例示される。
【0092】
図9A及び図9Bに示される如く、支持片630は、内壁250に接続される基軸部631を備える。図7A及び図7Bに示される如く、支持片630はアーム部520の第3接続部525に形成された第2接続穴526に挿入される第2接続ピン632を更に備える。図3及び図7Bに示される如く、支持片630は、基軸部631と第2接続ピン632とを接続する接続板633を更に含む。支持片630は、アーム部520の変位に伴って、基軸部631周りに回転運動する。手差トレイ240の回動に伴うアーム部520の変位は、第1接続ピン515と第2接続ピン632とによって、一定の軌跡を辿ることになる。この結果、アーム部の変位は安定化される。
【0093】
内壁250には、弧状の案内穴255,256が形成される。案内穴255には、第1接続ピン515が挿入される。図9A及び図9Bに示される如く、案内穴256には、第2接続ピン632が挿入される。尚、第1接続ピン515に対応する案内穴255は、本実施形態において、貫通穴253に連結されている。代替的に、第1接続ピンに対応する案内穴は、貫通穴とは独立して形成されてもよい。
【0094】
図7Aに示される如く、手差トレイ240が下方に回動されると、アーム部520は、支持ブロック610及び保護ブロック620の上面に横たわる。支持ブロック610及び保護ブロック620の上面は、アーム部520に沿う形状をなす。したがって、手差トレイ240が下方に回動されたとき、筐体200から突出するアーム部520の先端部524に下向きの外力が加わっても、第1接続ピン515及び第2接続ピン632に過度に大きな応力が生じにくくなる。
【0095】
手差トレイ240が上方に回動されると、アーム部520の先端部524は手差トレイ240に接触する。その後、アーム部520は手差トレイ240に押され、筐体200の内部空間260内に押し込まれる。上述の如く、アーム部520の変位に伴って、第1接続ピン515及び第2接続ピン632は、案内穴255,256に沿って移動する。したがって、図7Bに示される如く、アーム部520は上方に変位し、支持ブロック610及び保護ブロック620の上面から離間する。
【0096】
図10Aは、第1回転方向に回転する第1接続ピン515周りの概略的な拡大斜視図である。図10Bは、第2回転方向に回転する第1接続ピン515周りの概略的な拡大斜視図である。図2、図3、図6A、図6B、図7A、図7B、図10A及び図10Bを用いて、クラッチリング510の回転運動が説明される。
【0097】
図7A及び図7Bに示される如く、手差トレイ240が筐体200の開口部290を開くように回動されると、ワイヤー700によって手差トレイ240に連動されるアーム部520は下方に変位する。このとき、第1接続ピン515は、案内穴255に沿って下方移動する。この結果、クラッチリング510は第1回転方向に回転する。図6A及び図6Bに関連して説明された如く、第1回転方向に回転するクラッチリング510は、第1方向に変位し、伝達ギア430に接触するので、伝達ギア430の第1方向に変位する。
【0098】
図7A及び図7Bに示される如く、手差トレイ240が筐体200の開口部290を閉じるように回動されると、手差トレイ240に押され、筐体200の内方に押し込まれたアーム部520は上方に変位する。このとき、第1接続ピン515は、案内穴255に沿って上方に移動する。この結果、クラッチリング510は第2回転方向に回転する。図6A及び図6Bに関連して説明された如く、第2回転方向に回転するクラッチリング510は、第2方向に変位する。この結果、コイルバネ420は、伸長し、伝達ギア430及びクラッチリング510を第2方向に変位させる。
【0099】
本実施形態の原理は、画像形成部120の感光体ドラム121に適用されている。代替的に、本実施形態の原理は、画像形成装置の他の設備(例えば、トナー画像を定着させる定着装置)の駆動に適用されてもよい。更に代替的に、本実施形態の原理は、画像形成以外の所定の処理を行う処理装置に適用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本実施形態の原理は、画像形成や他の処理を行う装置の駆動力を断続する機構に好適に適用される。
【符号の説明】
【0101】
100・・・・・プリンター(画像形成装置)
120・・・・・画像形成部
200・・・・・筐体
240・・・・・手差トレイ(カバー部材)
250・・・・・内壁(支持板)
251・・・・・第1面
252・・・・・第2面
253・・・・・貫通穴
255・・・・・案内穴
256・・・・・案内穴
260・・・・・内部空間
290・・・・・開口部
300・・・・・駆動モーター(駆動部)
400・・・・・クラッチ機構
420・・・・・コイルバネ(付勢部材)
430・・・・・伝達ギア(伝達部材)
431・・・・・ギア環部(第1伝達部)
432・・・・・シャフト部(第2伝達部:噛合シャフト)
433・・・・・先端部(噛合端)
500・・・・・リンク機構
510・・・・・クラッチリング
511・・・・・挿入穴
512・・・・・内面
513・・・・・外面
515・・・・・第1接続ピン
516・・・・・突出面
517・・・・・対向端
518・・・・・傾斜面
520・・・・・アーム部
521・・・・・第1接続穴
522・・・・・第1接続部
523・・・・・第2接続部
524・・・・・先端部
525・・・・・第3接続部
526・・・・・第2接続穴
600・・・・・支持構造体
610・・・・・支持ブロック
611・・・・・切欠部
612・・・・・切欠面
621・・・・・爪部
625・・・・・C型リング
630・・・・・支持片
631・・・・・基軸部
632・・・・・第2接続ピン
700・・・・・ワイヤー(連結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成部が配設される内部空間に連通する開口部を開閉するための回動可能なカバー部材を含む筐体と、
該画像形成部を駆動するための駆動力を発生させる駆動部と、
該駆動部から前記画像形成部への前記駆動力の伝達を断続させるクラッチ機構と、を備え、
該クラッチ機構は、
前記駆動部から前記駆動力を受ける第1伝達部と前記画像形成部と噛み合う第2伝達部とを含む伝達部材と、
該伝達部材を、前記画像形成部から離れる第1方向と、該第1方向とは反対の第2方向とに移動させるリンク機構と、
前記カバー部材と前記リンク機構とを接続する可撓性の連結部材と、を含み、
前記カバー部材が前記開口部を開くとき、前記連結部材によって前記カバー部材と連動される前記リンク機構は、前記伝達部材を前記第1方向に移動させ、
前記カバー部材が前記開口部を閉じるとき、前記カバー部材に連動する前記リンク機構は、前記伝達部材を前記第2方向に移動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2伝達部は、前記第1伝達部から前記画像形成部に向けて突出する噛合シャフトを含み、
前記筐体は、前記リンク機構を支持する支持構造体を含み、
前記リンク機構は、
前記噛合シャフトが挿入される挿入穴を規定する内面と、該内面とは反対側の外面と、前記カバー部材が前記開口部を開くときに前記伝達部材に接触し、前記伝達部材を第1方向に押し出す突出面と、前記画像形成部に向けて突出する第1接続ピンと、を含むクラッチリングと、
前記第1接続ピンが接続される第1接続部位が形成された第1接続部と、前記連結部材が接続される第2接続部と、を有するアーム部と、
前記第2方向に向けて前記伝達部材を付勢する付勢部材と、を含み、
前記外面は、該外面の周方向に延び、前記突出面に近づくように傾斜する傾斜面を含み、
前記支持構造体は、前記傾斜面に接触する爪部を含み、
前記カバー部材が前記開口部を開くときに前記連結部材によって変位される前記アーム部は、前記クラッチリングを前記挿入穴周りに第1回転方向に回転させ、
前記クラッチリングが前記第1回転方向に回転している間、前記傾斜面上を摺動する前記爪部は、前記クラッチリングを前記第1方向に押し出し、前記噛合シャフトと前記画像形成部との噛み合いを解除することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1接続部から前記開口部を閉じる前記カバー部材に向けて延びるアーム部は、前記カバー部材が前記開口部を開くときに前記開口部を介して前記筐体から突出する先端部を含み、
前記開口部を閉じるように回動する前記カバー部材は、前記先端部に接触し、前記アーム部を変位させ、
前記カバー部材によって変位された前記アーム部は、前記クラッチリングを、前記挿入穴周りに前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転させ、
前記クラッチリングが前記第2回転方向に回転している間、前記付勢部材は、前記伝達部材及び前記クラッチリングを前記第2方向に変位させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記アーム部は、前記第1接続部と前記第2接続部との間に形成された第3接続部を含み、
前記支持構造体は、
前記アーム部を支持する支持板と、
該支持板に接続される基軸部と、前記第3接続部に形成された第2接続部位に接続される第2接続ピンと、を有する支持片と、を含み、
前記第1接続ピン及び前記第2接続ピンは、前記アーム部を一定の軌跡に沿って変位させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1接続ピン及び前記第2接続ピンは、前記支持板に形成された弧状の案内部に接続され、
前記アーム部が変位している間、前記第1接続ピン及び前記第2接続ピンは、前記案内部に沿って移動することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記伝達部材と前記アーム部との間に配設された前記支持板は、前記伝達部材に対向する第1面と、前記画像形成部に対向する第2面と、を含み、
前記クラッチリング及び前記噛合シャフトは、前記支持板を貫いて前記第2面から突出することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記支持構造体は、前記支持板を介して前記第2面から突出する前記噛合シャフトに挿入された前記クラッチリングを支持する支持ブロックを含み、
該支持ブロックは、前記クラッチリングが収容される切欠部を規定する切欠面を含み、
前記爪部は、前記切欠面から突出することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記支持構造体は、前記切欠面を取り巻くように形成されたC型リングを含み、
該C型リングは、前記爪部として用いられる端部を含むことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記クラッチリングは、前記画像形成部に対向する対向端を含み、
前記噛合シャフトは、前記対向端から突出し、前記画像形成部に前記駆動力を伝達するように前記画像形成部と噛み合う噛合端を含むことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
所定の処理を行う処理部を収容する内部空間に連通する開口部を開閉するための回動可能なカバー部材を含む筐体と、
該処理部を駆動するための駆動力を発生させる駆動部と、
該駆動部から前記処理部への前記駆動力の伝達を断続させるクラッチ機構と、を備え、
該クラッチ機構は、
前記駆動部から前記駆動力を受ける第1伝達部と前記処理部と噛み合う第2伝達部とを含む伝達部材と、
該伝達部材を、前記処理部から離れる第1方向と、該第1方向とは反対の第2方向とに移動させるリンク機構と、
前記カバー部材と前記リンク機構とを接続する可撓性の連結部材と、を含み、
前記カバー部材が前記開口部を開くとき、前記リンク機構は、前記伝達部材を前記第1方向に移動させ、
前記カバー部材が前記開口部を閉じるとき、前記リンク機構は、前記伝達部材を前記第2方向に移動させることを特徴とする処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2013−109340(P2013−109340A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236602(P2012−236602)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】