説明

画像形成装置及び制御プログラム

【課題】高速印字を可能とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】搬送方向Xに同位置の画素領域Aに係る印字データ60を送信手段45から受信手段46へ順次送信するに際し、当該印字データ60の送信を開始してから次の印字データ60の送信を開始するまでの間に、伝送エラーが検出された当該印字データ60の一部を送信可能とする所定時間T2を設け、当該所定時間T2内に、搬送方向Xの上流側に位置する吐出口20に対応する画素領域Aに係る印字データ60が先に送信されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字データに基づき記録媒体に画像を形成するための液体を吐出する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ等の画像形成装置は、形成すべき画像に係る画像データを外部から入力し、液体吐出ヘッドを駆動するための印字データを画像データに基づき生成する。画像形成装置は、印字データを生成する機能部分に送信部を有し、液体吐出ヘッドを制御する機能部分に受信部を有し、生成された印字データが送信部から受信部へと送信される。液体吐出ヘッドは、受信された印字データに基づき適宜タイミングで用紙上に規定された画素領域に液体を吐出するよう制御され、それにより画像が記録媒体に形成される。用紙上の画素領域は、用紙の搬送方向及びこれに直交する直交方向に区画されて規定される。
【0003】
受信された印字データに欠損や誤りがあると、欠損や誤りがある印字データに係る画素領域に適切に液体が吐出されず、画質を低下させるおそれがある。そこで、インクジェットプリンタ等の画像形成装置にも、特許文献1に開示されるように、受信された印字データについて欠損や誤りなどの伝送エラーを検知し、伝送エラーがあるとされた印字データを送信部に再送要求する技術を適用し、それにより画質の低下を防止することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−93659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示される自動再送要求技術を画像形成装置の印字データの転送に適用すると、ラインデータの欠損分についての再送が完了してから次のラインデータの転送を開始することになる。したがって、ラインデータ間に設定される再送可能時間を十分に大きくする必要が生ずる。再送可能時間が大きくなると、記録媒体の搬送速度を遅くせざるを得なくなるので、結果として印字速度の低下を招く。
【0006】
そこで本発明は、印字データの転送を開始してから画像の形成を完了するまでの時間を短縮し、高速で印字可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件発明者は、多くのラインヘッドが、ヘッドの小型化を実現するために、複数の吐出口を用紙の搬送方向と直交する方向だけでなく用紙の搬送方向にも異なる位置に配列した構成を採用している点、及び、この構成を採用したラインヘッドによれば、同一のラインデータに基づいていても、全ての吐出口より同時に液体が吐出されない点に着眼し、且つ、この構成で再送技術を改善することにより、ラインデータの転送時間の短縮の余地がある点を発見した。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送機構と、記録媒体に記録される画像の前記搬送方向の解像度と前記搬送方向に直交する直交方向の解像度に対応して記録媒体上に区画されて規定された複数の画素領域に係る印字データに基づいて記録媒体に画像を形成する液体を吐出するための複数の吐出口が形成され、前記複数の吐出口が前記直交方向の前記複数の画素領域に対応して前記直交方向に等間隔で並び、且つ、前記複数の吐出口の少なくとも一部が前記搬送方向に関して異なる位置に配置された液体吐出ヘッドと、前記印字データを、前記液体吐出ヘッドに向けて送信する送信手段と、前記液体吐出ヘッドに設けられ、前記送信手段により送信された前記印字データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記印字データを記憶する印字データ記憶手段と、前記受信手段により受信された前記印字データの伝送エラーを検出するエラー検出手段と、前記搬送機構、前記液体吐出ヘッド、前記送信手段を制御する制御手段と、を有する画像形成装置であって、前記制御手段は、前記搬送方向に同じ前記複数の画素領域に係る前記印字データを前記受信手段に対して送信させる際に、当該印字データの送信を開始してから次の前記搬送方向に同じ前記複数の画素領域に係る前記印字データの送信を開始するまでの間に、前記エラー検出手段により伝送エラーが検出された当該印字データの一部を送信可能とする所定時間を設けさせ、前記所定時間において前記複数の吐出口のうち前記搬送方向上流側に位置する上流側吐出口に対応した前記複数の画素領域に係る当該印字データが先に送信されるように前記送信手段を制御し、前記印字データ記憶手段に記憶されている前記印字データ及び前記所定時間に送信された前記印字データに基づいて記録媒体に前記印字データに係る画像が形成されるよう前記液体吐出ヘッド及び前記搬送機構を制御することを特徴としている。
【0009】
本発明に係る画像形成装置の制御プログラムは、記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送機構と、記録媒体に記録される画像の前記搬送方向の解像度と前記搬送方向に直交する直交方向の解像度に対応して記録媒体上に区画されて規定された複数の画素領域に係る印字データに基づいて記録媒体に画像を形成する液体を吐出するための複数の吐出口が形成され、前記複数の吐出口が前記直交方向の前記複数の画素領域に対応して前記直交方向に等間隔で並び、且つ、前記複数の吐出口の少なくとも一部が前記搬送方向に関して異なる位置に配置された液体吐出ヘッドと、前記搬送機構及び前記液体吐出ヘッドの動作を制御する制御手段と、を備える画像形成装置の前記制御手段によって実行可能な制御プログラムであって、前記搬送方向に同位置にある前記画素領域に係る印字データの送信を開始するステップと、当該印字データの伝送エラーを検出するステップと、当該印字データの送信の開始から次の前記搬送方向に同位置にある前記画素領域に係る印字データの送信を開始するまでの間に当該印字データの一部を送信可能となるよう設定した所定時間内に、前記複数の吐出口のうち前記搬送方向上流側に位置する上流側吐出口に対応した前記複数の画素領域に係る印字データを先に送信していくステップと、前記印字データ記憶手段に記憶されている前記印字データ及び前記所定時間に送信された前記印字データに基づいて記録媒体に前記印字データに係る画像が形成されるよう前記液体吐出ヘッド及び前記搬送機構を制御するステップと、を有することを特徴としている。
【0010】
前記構成によれば、主走査方向の1列分のデータごとに設ける再送可能時間を小さくし、印字までの時間が短い印字データを優先して再送させるので、印字データの送信開始から記録媒体が画像形成完了までの時間が短くなり、画像記録の高速化を図れる。
【発明の効果】
【0011】
上記のように、本発明によれば、印字データの転送を開始してから画像の形成を完了するまでの時間を短縮することができ、これにより、高速で印字可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの模式的斜視図である。
【図2】図1に示すヘッド本体の部分断面図である。
【図3】図1に示すインク吐出ヘッドのヘッド本体の底面を示す模式図と、印字データの構成を示す模式図と、記録媒体の画素領域を示す模式図とを組み合わせた図であり、インク吐出ヘッドに形成された吐出口と印字データと画素領域との間の関係を説明するための説明図である。
【図4】図1に示すインクジェットプリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示す制御装置が実行する制御プログラムにより指示される印字データの転送方法の手順を示すフローチャートである。
【図8】図6に示す補完処理の説明図である。
【図9】本発明の実施形態の変形例に係るインクジェットプリンタにおいて、インク吐出ヘッドに形成された吐出口と印字データと画素領域との間の関係を説明するための説明図である。
【図10】本発明の実施形態の変形例に係るインクジェットプリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について、画像を形成する液体としてインクを吐出するインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」と称す)に適用した場合を例にして説明する。全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一符号を付して重複する詳細な説明を省略する。
【0014】
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るプリンタ1は、搬送機構2及びインク吐出ヘッド3を備えている。搬送機構2は、例えば、ローラ対と、該ローラ対を回転駆動する搬送モータ(図示せず)とを備えており、回転するローラ対の間に用紙Pを通過させ、用紙Pを水平な一方向X(以下、「搬送方向」と称す)に搬送する。用紙Pは、その縦方向を搬送方向Xに向け、その横方向を搬送方向Xと直交する水平な方向Y(以下、「直交方向」と称す)に向け、その記録面を上に向けるようにして搬送される。用紙Pに画像を形成するため、用紙Pの記録面上には、複数の画素領域Aが、縦横に格子状に規定される。画素領域Aは、形成されるべき画像の搬送方向Xの解像度と直交方向Yの解像度とに対応して区画される。
【0015】
インク吐出ヘッド3は、直交方向Yに長尺のヘッド本体10を備えている。このプリンタ1は、いわゆるラインプリンタであり、インク吐出ヘッド3の直交方向Yの寸法は、用紙Pの横方向の寸法よりも大きい(搬送機構により搬送されている状態では用紙PのY方向の寸法よりも大きい)。ヘッド本体10は、インクを吐出するための複数の吐出口20(図2参照)が形成された吐出面10aを有する。吐出面10aは、搬送方向Xに搬送される用紙Pと上下に近接対向し得るように水平に配置される。
【0016】
図2に示すように、インク吐出ヘッド3のヘッド本体10は、流路ユニット11及びアクチュエータユニット12を有している。流路ユニット11は、複数の金属プレートの積層体であり、流路ユニット11の下端面が前記吐出面10aを成す。流路ユニット11内には、インク供給源(図示せず)からのインクが供給されるマニホールド13と、アパーチャ14及び圧力室15を有したインク流路16とが形成される。インク流路16は、吐出口20に個別に設けられ、対応した吐出口20をマニホールド13に接続している。アクチュエータユニット12は、互いに独立して動作及び停止可能に構成された複数のアクチュエータ(図示せず)を有する。各アクチュエータは、圧力室15と一対一の関係で設けられ、そのため吐出口20とも一対一の関係で設けられる。なお、アクチュエータは、ユニモルフ型のピエゾアクチュエータやバイモルフタイプのアクチュエータであってもよいし、サーマル式等、他の方式で吐出エネルギー付与するアクチュエータであってもよい。
【0017】
図3に示すように、複数の吐出口20は、直交方向Yに一列を成す画素領域Aに対応して設けられている(図3ではこの対応関係の一部が矢印で示されている)。吐出口20の個数は、このプリンタ1で使用可能な用紙Pの種類のうち横方向に最大のサイズを有するものに規定され得る直交方向Yの画素領域Aの個数に相当している。なお、図3では、説明の容易化のため、吐出口20の配置及び個数が模式的に示されているに過ぎず、実際の吐出口及び画素領域は、図示したものと比べて格段に高密に配列される。
【0018】
複数の吐出口20は、吐出面10a内において複数の吐出口20の少なくとも一部が、吐出面10a内で搬送方向Xに異なる位置に配置されている。一方、仮にこれら複数の吐出口20が直交方向Yの位置を変えることなく搬送方向Xに同じ位置に並べられたとすると、これら複数の吐出口20は、直交方向Yに等間隔をおいて並べられる。この間隔(1/N)は画素領域Aの直交方向Yの解像度の逆数に相当する。
【0019】
例えば、複数の吐出口20は、複数の吐出口列を成すよう配置され、各吐出口列は、直交方向Yに複数の吐出口20を並べるようにして形成される。4つの吐出口列は、搬送方向Xに等間隔をおいて並べられ、隣り合う2つの吐出口列の間の距離Mは、画素領域Aの搬送方向Xの寸法(すなわち、画素領域Aの搬送方向Xの解像度の逆数)よりも大きい。以降では、複数の吐出口列に関し、搬送方向Xの最も上流側から順に、「第1吐出口列」、「第2吐出口列」、…と称する場合がある。
【0020】
搬送機構2及びインク吐出ヘッド3の動作は、図4に示す制御装置4によって制御される。制御装置4による動作の制御を通じて、用紙Pが吐出面10aの下方を搬送されていく過程で、インク吐出ヘッド3よりインクが下向きに吐出され、搬送方向Xの上流側に規定されている画素領域Aから先にインクが着弾していく。これにより、用紙Pの記録面に画像が形成される。本実施形態では、複数の吐出口20の少なくとも一部が搬送方向Xに異なる位置に配置されているので、搬送方向Xに同じ位置にある画素領域に対し、同時にはインクが着弾しないことになる。
【0021】
制御装置4は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書替え可能に記憶する不揮発メモリと、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含む。制御プログラムは、磁気記録媒体、CD−ROM、メモリカード等の各種記録媒体に保存され、これらの記録媒体から不揮発メモリにインストールされる。そして、この制御プログラムがCPUで実行されることにより、制御装置4を構成する各機能部が実行される。なお、記録媒体に記録された制御プログラムは、制御装置4で直接実行可能なものであってもよいし、不揮発メモリにインストールすることによって初めて実行可能となるものでもよい。
【0022】
制御装置4は、入力部41、データ生成部42、データ記憶部43、送信制御部44、送信部45、受信部46、印字データ記憶部47、エラー検出部48、ヘッド制御部49及び搬送制御部50を有する。
【0023】
入力部41は、外部のパーソナルコンピュータ6、プリンタ1に付属されたスキャナ7、プリンタ1に取外し可能に取り付けられる記録端末8、及びプリンタ1に設けられた操作パネル9などと通信可能に接続される。パーソナルコンピュータ6、スキャナ又は記録端末8などから、入力部41に、形成されるべき画像に係る画像データが入力される。パーソナルコンピュータ6又は操作パネル9から、入力部41に、印字指令が入力される。なお、入力された画像データは、データ記憶部43に記憶されてもよい。画像データは、CMYK4色系のイメージデータ又はRGB系のイメージデータであってもよい。
【0024】
データ生成部42は、入力された画像データに基づいてインク吐出ヘッド3を駆動するための印字データを生成する。例えば、データ生成部42は、画像データ(例えば、各画素領域に256階調の値を有する)を既知の誤差拡散処理などを用いて多値のドットデータを生成する。当該データは、各画素領域に所定数階調を割り当てた印字データを生成する。例えば、印字データは、各画素領域に、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「不吐出」の4階調のうちいずれかの値を割り当てたデータ(以下、「4値データ」と称す)を有する。
【0025】
印字データ60は、送信部45から受信部46に送信される際、複数本のラインデータ62に分けて送信される(図3参照)。各ラインデータ62は、複数の画素領域Aのうち、直交方向Yに一列を成した画素領域に対応したデータである。このため、印字データ60に含まれたラインデータ62の本数は、搬送方向Xに並ぶ画素領域Aの個数に相当する。
【0026】
各ラインデータ62は、複数のフレームデータ64が集合されて成る。各フレームデータ64は、直交方向Yに一列を成した画素領域のうち、一部の画素領域に対応したデータである。各フレームデータ64は、当該一部の画素領域をそれぞれ特定するための複数の画素識別符号66、画素識別符号66に個別に関連付けされた複数の4値データ67、及び伝送エラーを検知するために用いられるエラー識別符号68を有する。
【0027】
各フレームデータ64は、搬送方向Xに同じ位置にある吐出口20に対応する画素領域を対象としている。言い換えると、あるフレームデータ64に含まれた画素識別符号66により特定される画素領域Aが、搬送方向Xに同じ位置にある。データ生成部42は、このようなフレームデータ64を形成するため、ドットデータ生成に、データの配列を並び替える処理を行ってもよい。なお、フレームデータ64は、対象とする画素領域Aが吐出面10a内で搬送方向Xのどこに配置されているのかを表す位置識別符号69を含んでいてもよい。この場合、位置識別符号69を参照することにより、後述する再送されるべきフレームデータの抽出を容易に行うことができる。
【0028】
図4に戻り、送信部45は、データ生成部42により生成された印字データ60を、受信部46に送信する。送信部45及び受信部46は、インターフェイスを介して接続される関係にあり、送信部45から受信部46にデータを送信する際に、欠損又は誤りなどの伝送エラーが生じ得る。受信部46は、インク吐出ヘッド3に設けられている。なお、この「インク吐出ヘッド3に設けられる」とは、受信部46がインク吐出ヘッド3との間で伝送エラーを生じないようにインターフェイス等を介在させることなくインク吐出ヘッド3と電気的に接続されることを意味しており、インク吐出ヘッド3の筐体内に収容される場合、筐体の外面に取り付けられる場合、及びインク吐出ヘッド3から物理的に離れて設けられる場合を含む。
【0029】
送信制御部44は、送信部45による印字データ60の送信を制御する。送信制御部44は、印字データを受信部46に送信するにあたって、印字データを成す複数のラインデータを1本ずつ所定時間(以下、便宜的に「転送周期」と称す)おきに送信するように、送信部45の動作を制御する。このとき、送信制御部44は、搬送方向Xの下流側の画素領域に係るラインデータから先に送信するように、送信部45の動作を制御する。また、送信制御部44は、1本のラインデータを送信するにあたって、ラインデータを成す複数のフレームデータを1つずつ送信するように、送信部45の動作を制御する。
【0030】
受信部46は、送信部45から印字データ60を受信し、印字データ記憶部47は、受信された印字データ60を記憶する。エラー検出手段48は、フレームデータ64に含まれるエラー識別符号68を利用し、フレームデータ64毎に伝送エラーの有無を検出する。なお、エラー検出手段48による伝送エラーの検知方法は特に限定されず、エラー識別符号68を参照して行うものや、パリティなどのエラー検知法が適宜実行される。
【0031】
送信制御部44は、エラー検出手段48によりフレームデータ64の伝送エラーが検知されると、当該フレームデータ64を待機させ又は再送するように、送信部45の動作を制御する。フレームデータ64の再送は、1本のラインデータ62の受信を完了してから、次のラインデータ62の送信を開始するまでの所定時間(以下、「再送可能期間」と称す)内で行われる。
【0032】
ヘッド制御部49は、印字データ記憶部47に記憶された印字データ60の4値データ67に基づき、各画素領域Aに所要量のインクが吐出されるように又はインクが吐出されないように、インク吐出ヘッド3の動作を制御する。搬送制御部50は、用紙Pが所定の目標搬送速度で搬送されるように、搬送機構2の動作を制御する。
【0033】
図5を参照して、印字データ60の転送方法について詳しく説明する。送信部45が1本のラインデータ62の送信を開始し(ステップS1)、受信部46が当該ラインデータ62の受信を完了すると(ステップS2)、受信されたラインデータ62が印字データ記憶部47に記憶される(ステップS3)。以下、1本のラインデータ62を送信開始してから受信完了するまでに要する時間を「転送必要時間T1」と称す。
【0034】
次に、フレームデータ62毎に伝送エラーがあるか否かがチェックされる(ステップS4)。チェック後、送信制御部44は、伝送エラーがあるとされ未だ再送されていないフレームデータ(以下、「未再送データ」と称す)の全てを、再送可能時間T2内に送信可能であるか否かを判断する(ステップS5)。再送可能時間T2は、ラインデータ62の転送周期Tから、転送必要時間T1を差し引いた時間に相当する。
【0035】
全ての未再送データを再送可能時間T2内に送信可能であると判断されると(S5:YES)、送信制御部44は、全ての未再送データが再送されるよう、送信部45の動作を制御する(ステップS6)。受信部46が再送されたフレームデータ64を受信すると、受信されたフレームデータ64が印字データ記憶部47に記憶される(ステップS7)。そして、全てのラインデータ62の送信が完了したか否かが判断され(ステップS8)、送信されていないラインデータ62があるときには(S8:YES)、ステップS1に戻って次のラインデータ62の送信が開始される。全てのラインデータ62の送信が完了していれば(S8:NO)、印字データ60の転送が終了する。
【0036】
ここで、本実施形態では、印字データ記憶部47に記憶させなくてはならないラインデータ62の本数をなるべく少なくするため、ある1本のラインデータ62が送信されると、受信された当該ラインデータ62に基づいて比較的短い期間内に搬送方向Xの最も上流側に位置する吐出口20(前述した図3の例示では、第1吐出口列を成す吐出口)よりインクを吐出させるようにしている。送信制御部44、ヘッド制御部49及び搬送制御部50は、このようなタイミングでインクを吐出することができるように、送信部45、インク吐出ヘッド3及び搬送機構2の動作を制御する。例えば、印字指令があると、送信部45が印字データの作成と搬送機構2による用紙Pの搬送が同時的に行われ、搬送機構Xの最も下流側に位置する画素領域がインク吐出ヘッド3の下方に到達する直前に1本目のラインデータが受信部に受信されるようなタイミングで、印字データ60の転送と、用紙Pの搬送とインクの吐出とが行われる。
【0037】
全ての未再送データを再送可能時間T2内に送信できないと判断されると(S5:NO)、優先して再送されるべき未再送データを抽出し、当該抽出された未再送データの全てを再送可能時間T2内に送信可能であるか否かが判断される(ステップS9)。
【0038】
再送の優先順位に関し、まず、用紙Pの搬送速度V[inch/sec]は、画素領域Aの搬送方向Xの長さ(すなわち、画素領域Aの搬送方向Xの解像度N[dpi]の逆数)をラインデータ62の転送周期T[sec]で除算した値とすることができる(V=1/N×1/T)。ここで、隣り合う2つの吐出口列間の搬送方向の距離M[inch]は、搬送方向Xの解像度Nの逆数、すなわち画素領域の搬送方向Xの長さよりも十分に大きい値となっている(M>1/N)。この場合、直交方向Yに一列を成した画素領域群に着目すると、隣り合う2つの吐出口列のうちの一方の吐出口列に対応する画素領域Aにインクを吐出する時点と、他方の吐出口列に対応する画素領域Aにインクを吐出する時点との間の時間差G[sec]は、M/V=M×N×T、すなわち、転送周期Tに解像度N及び距離Mを乗算した値となる。したがって、ある1本のラインデータ62の受信を完了した直後に第1吐出口列から即座にインクを吐出する必要があるとすれば、第2吐出口列からは、その後M×N回のラインデータ62の転送に要する時間が経過して初めてインクが吐出されることになる(以降、「M×N」を「K」に置き換えて説明する)。第3吐出口列については、2×K回のラインデータ62の転送に要する時間が経過して初めてインクが吐出される。
【0039】
そこで、送信制御部44は、優先して再送されるべきフレームデータとして、直近に送信されたラインデータ62に含まれるフレームデータ64のうち、第1吐出口列に対応する画素領域に係るフレームデータを抽出する。第2吐出口列に対応する画素領域に係るフレームデータ64は、その後、K回のラインデータ62の転送を行う間に再送されればよいことになる。つまり、第2吐出口列に対応する画素領域に係るフレームデータ64に伝送エラーが検出されても、そのフレームデータ64に基づきインクを吐出する必要が生じるまでの間に、当該フレームデータ62を再送する機会が少なくともK回保障される。なお、解像度Nを600dpi、距離Mを0.1inchとした場合、Kが60となる。
【0040】
このように多数の再送機会が保障されるため、伝送エラーの発生確率との関係から言って殆ど有り得ないとも言えるが、第2吐出口列に対応する画素領域に係るフレームデータ64であっても、当該フレームデータ64が、K回前に送信されたラインデータ62に含まれていた場合(すなわち、K回の再送機会の全てにおいて再送し得なかった場合)は、即座にインクが吐出される必要があるので、次の再送機会に再送を先送りすることができなくなる。したがって、送信制御部44は、最優先して再送されるべきフレームデータとして、当該フレームデータ62も抽出する。なお、以上では、第2吐出口列についてのみ述べているが、第3吐出口列及び第4吐出口列についても、第1吐出口列からの距離2×M及び3×Mをそれぞれ考慮して、同様のことが言える。
【0041】
このように、未再送データの再送は、基本的には、未再送データに係る画素領域に実際にインクを吐出する必要が生じるまでの時間が短いものから優先して行われる。同一のラインデータに含まれるフレームデータ同士を比較した場合、すなわち、対象とする画素領域の搬送方向Xの位置が同じもの同士を比較した場合には、未再送データに係る画素領域に対応する吐出口の位置が搬送方向Xに上流側に位置するものから先に再送される。同一の吐出口に対応する画素領域のフレームデータ同士を比較した場合には、先に転送されていたラインデータに含まれるフレームデータから先に、すなわち、搬送方向Xに下流側に位置する画素領域に係るフレームデータから先に再送される。この2つの観点を組み合わせることにより、未再送データの再送優先順位を決めることができる。
【0042】
図5を参照すると、優先して再送されるべき未再送データの全てを再送可能時間T2内に再送可能であると判断されると(S9:YES)、送信制御部44は、当該未再送データの全てが再送され、且つ、前回以前の再送機会で送信されなかった未再送データが時間T2の限りできるだけ多く再送されるように、送信部45の動作を制御する(ステップS7)。このステップS7において、再送されなかった未再送データの残りは、次の再送機会まで再送されるのを待機することとなる。その後、前述同様に再送されたデータが印字データ記憶部に記憶され(ステップS7)、ステップS8の判断処理が行われる。
【0043】
一方、優先して再送されるべき未再送データの全てを再送可能時間T2内に再送することができなければ(S6:NO)、ヘッド制御部49は、インク吐出ヘッド3の動作を停止し、また、搬送制御部50は、搬送機構2の動作を停止する(ステップS11)。すなわち、印字を中止し、データの転送を一旦終了する。
【0044】
このように、インク吐出ヘッド3の構成及び作用の特性に着眼し、フレームデータ64に伝送エラーが生じたときに、搬送方向Xの上流側に位置する吐出口20に対応した画素領域に係るフレームデータ64から先に再送するようにし、また、インクを吐出するまでに時間があるフレームデータ64については、インクを吐出すべき時間までの間の再送機会で再送するようにしている。したがって、再送可能時間T2を、1本のラインデータ62の全部を再送するために必要とされる時間より、短く設定することができる。つまり、再送可能時間T2が、1本のラインデータ62の一部を再送可能な時間に設定されていればよくなる。したがって、転送周期Tが短くなり、用紙Pの搬送速度Vを高くすることも可能となる。これにより、高速印字可能なプリンタ1を提供することができる。
【0045】
また、再送可能時間T2は、1本のラインデータ62のうち、搬送方向Xの最も上流側に位置する複数の吐出口に対応した画素領域に係る印字データを再送するために必要な時間まで短縮することができる。図3の例示においては、1つの吐出口列に含まれる吐出口の個数が互いに等しいので、吐出口列数の逆数倍だけ再送可能時間T2を短縮することができる。このように短縮したときには、転送周期Tをなるべく短くしつつも、第1吐出口列に対応した画素領域に係るフレームデータ64の全てに伝送エラーがあってもこれらを確実に再送することができる。もちろん、伝送エラーの発生確率を考慮して、再送可能時間T2をこれよりも短く設定することも可能である。
【0046】
また、優先して再送されるべき未再送データの全てを再送可能時間T2内に再送することができない場合には、印字が中止されるので、不完全な画像が形成されるのを防止することができる。
【0047】
なお、以上では、再送可能時間T2を一定としているが、再送可能時間T2は可変的に設定されていてもよい。例えば、2つの異なる時間が交互に設定されてもよい。
【0048】
また、再送可能時間T2として設定した時間が経過するまでの間に、再送されるべきフレームデータ64を全て再送可能である場合、再送が完了した時点で次のラインデータ62の送信を開始するようにしてもよい。このように次のラインデータ62の送信開始時点を繰り上げたときには、繰り上げられた期間を記憶しておき、次回以降の再送機会で再送可能時間T2内に全ての未再送データを再送できないようなときに、当該再送機会における再送可能時間T2に当該繰り上げられた期間の全部又は一部を附加してもよい。すなわち、未再送データが少ないときには次のラインデータ62の送信開始時点を繰り上げ、未再送データが多いときに次のラインデータ62の送信開始時点を以前に繰り上げた時間を消費する範囲内で繰り下げてもよい。
【0049】
また、以上では、複数の吐出口のうち、搬送方向の上流側の末端に位置する吐出口に対応した画素領域に係るフレームデータが先に送信されるようにしているが、これに限定されず、搬送方向の上流側の末端及び末端付近に位置する上流側吐出口に対応した複数の画素領域に係るフレームデータが、搬送方向下流側に位置する吐出口に対応した画素領域に係るフレームデータよりも先に送信するようにしてもよい。
【0050】
[第2実施形態]
図6に示す第2実施形態に係る制御装置104は、前述の制御装置4の構成に補完部51が追加されている。第1実施形態では、再送可能時間T2内に優先して再送されるべきデータを送信できないときに印字が停止されるが(図5中S9,S10参照)、本実施形態では、図7に示すように、同様の状況において、優先して再送されるべき未再送データをできる限り送信するとともに、優先して再送されるべき未再送データのうち再送されなかったデータに係る画素領域の4値データを、隣接する画素領域の4値データに基づき補完する(ステップS21)。なお、補完処理においては、補完対象の画素領域を挟む2つの画素領域の4値データが比較される。2つの4値データが同値であれば、補完対象にも同値が補完され、2つの4値データが1値違いで異なっていれば、補完対象には何れかの値が補完され、2つの4値データが2値以上離れて異なっていれば、補完対象には2つの4値データの間の適宜値が補完される。このようにして補完されたデータは、印字データ記憶部47に記憶され(ステップS22)、ヘッド制御部49は、補完された4値データに基づき、再送されなかったフレームデータに係る画素領域に対して所要量のインクが吐出され又はインクが吐出されないように、インク吐出ヘッド3の動作を制御する。このように、優先して再送されるべき未再送データが送信されなくても、補完処理によってデータが補完されるので、印字停止のおそれを低減しながらも、再送可能時間T2を更に短縮することができるようになる。
【0051】
図8を参照しながら、補完が行われる状況の一例について説明する。なお、図8も、図3と同様、説明の便宜のため、吐出口20及び画素領域Aの個数及び配置を模式的に示している。ここで、左端のフレームデータから順に第1フレームデータ64A、第2フレームデータ64B、・・・と称し、第1〜第3フレームデータ64A〜64Cが第1吐出口列に対応し、第4〜第6フレームデータ64D〜64Fが第2吐出口列に対応し、第7〜第9フレームデータ64G〜64Iが第3吐出口列に対応し、第10〜第12フレームデータ64J〜64Lが第4吐出口列に対応するものとする。第1フレームデータ64Aは、左端から数えて1番目、5番目、9番目及び13番目の画素領域に係る4値データを有し、第12フレームデータ64Lは、36番目、40番目、44番目及び48番目の画素領域に係る4値データを有する。
【0052】
また、再送可能時間T2が、短縮化を図るべく2つのフレームデータのみを再送可能な時間に設定されているものとし、第1、第2、第3、第5及び第6フレームデータ64A,64B,64C,64E,64Fに伝送エラーがあり、その他のフレームデータに伝送エラーがなく、再送を待機していた未再送データがないものとする。この場合、優先して再送されるべきフレームデータが3つ存在するので、そのうち(第1〜第3フレームデータ64A〜64C)の2つを再送し、1つを補完する。また、第5及び第6フレームデータ64E,64Fの再送は、次回以降の再送機会まで待機される。なお、第1フレームデータ64Aに係る4つの画素領域のうち少なくとも1つは、第4フレームデータ64Dに係る4つの画素領域及び第10フレームデータ64Jに係る4つの画素領域の何れかと直交方向に隣接する。第2フレームデータ64Bは、第5フレームデータ64E及び第10フレームデータ64Jとの間に、同様の関係性を有し、第3フレームデータ64Cは、第6フレームデータ64F及び第11フレームデータ64Kとの間に、同様の関係性を有する。他方、補完部51は、再送しないフレームデータに係る画素領域に係る4値データを、これと隣接する画素領域に係る4値データに基づき補完する。
【0053】
第5及び第6フレームデータ64E,64Fは、伝送エラーがあるとされ次回以降の再送機会まで待機するとしているため、第2及び第3フレームデータ64B,64Cについては、隣接する画素領域に係る印字データを用いた補完を行うことができなくなる。そこで、この場合、送信制御部44は、第1及び第2フレームデータ64A,64Bを再送することとする。補完部51は、第1フレームデータ64Aに係る画素領域Aの4値データを、印字データ記憶部47に記憶された第4フレームデータ及び第10フレームデータの4値データに基づいて補完する。これにより、高速で印字可能にしながら、補完処理を適切に行うことができ、画像の形成を継続して行うことができる。なお、優先して再送されるべきフレームデータの中に、再送されず補完することもできないデータが残るような場合には、印字を停止してもよい。
【0054】
[変形例]
図9に示す印字データ160は、第1実施形態及び第2実施形態の変形例である。この印字データ160は、第1吐出口及び第2吐出口に対応する画素領域をまとめて対象とするフレームデータ164と、第3吐出口及び第4吐出口に対応する画素領域をまとめて対象とするフレームデータ164とが集合されて成る。このように、各フレームデータ164は、必ずしも搬送方向Xに同じ位置にある画素領域のみを対象としていなくてもよい。
【0055】
また、図示を省略するが、印字データは、前述したもののように、複数の画素領域Aを対象とするフレームデータが集合されて成るものである必要もない。印字データは、画素領域に一対一で対応するフレームデータが集合されて成るものであってもよく、この場合、各フレームデータがエラー識別符号を含んでいてもよい。このように印字データが構成されるときには、前述したもののように、ドットデータ生成処理の後にデータの並び替え処理を行う必要がなくなる。
【0056】
図10に示す制御装置204は、第1及び第2実施形態の変形例である。この制御装置204は、第1制御装置31及び第2制御装置32を有している。第1制御装置31及び第2制御装置32の各々が、CPUをそれぞれ有している。この場合、外部からの画像データ及び印字指令が入力される入力部41を有した第1制御装置31に、データ生成部42、データ記憶部43、送信制御部44及び送信部45が設けられる。また、ヘッド制御部49を有した第2制御装置32に、受信部46、印字データ記憶部47、エラー検出部48、搬送制御部50及び補完部51が設けられる。このように制御装置204が分散的に構成される場合、受信部46及びエラー検出部47を有する第2制御装置42に、エラー検出部47により伝送エラーが有るとされたフレームデータがあるときに当該フレームデータの再送を送信制御部に要求する再送要求部52を設けることが好ましい。
【0057】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能である。上記説明では、説明の簡略化のため、プリンタ1がインク吐出ヘッド3を一つのみ備えるものとしているが、本発明は、互いに異なるインクを吐出する複数のインク吐出ヘッドを備えるプリンタにも好適に適用され、また、インクを吐出するヘッドの他に処理液を吐出するヘッドを液体吐出ヘッドとして備えるプリンタにも好適に適用される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、印字データの再送のため確保する時間を短くすることができ、それにより高速で印字可能な画像形成装置を提供することができるという作用効果を奏し、インクジェットプリンタなどの画像を形成するための液体を吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置に適用すると有益である。
【符号の説明】
【0059】
1 インクジェットプリンタ
2 搬送機構
3 インク吐出ヘッド
4 制御装置
20 吐出口
44 送信制御部
45 送信部
46 受信部
47 印字データ記憶部
48 エラー検出部
49 ヘッド制御部
50 搬送制御部
51 補完部
52 再送要求部
60 印字データ
62 ラインデータ
64 フレームデータ
66 画素識別符号
67 4値データ
68 エラー識別符号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送機構と、
記録媒体に記録される画像の前記搬送方向の解像度と前記搬送方向に直交する直交方向の解像度に対応して記録媒体上に区画されて規定された複数の画素領域に係る印字データに基づいて記録媒体に画像を形成する液体を吐出するための複数の吐出口が形成され、前記複数の吐出口が前記直交方向の前記複数の画素領域に対応して前記直交方向に等間隔で並び、且つ、前記複数の吐出口の少なくとも一部が前記搬送方向に関して異なる位置に配置された液体吐出ヘッドと、
前記印字データを、前記液体吐出ヘッドに向けて送信する送信手段と、
前記液体吐出ヘッドに設けられ、前記送信手段により送信された前記印字データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記印字データを記憶する印字データ記憶手段と、
前記受信手段により受信された前記印字データの伝送エラーを検出するエラー検出手段と、
前記搬送機構、前記液体吐出ヘッド、前記送信手段を制御する制御手段と、を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、
前記搬送方向に同じ前記複数の画素領域に係る前記印字データを前記受信手段に対して送信させる際に、当該印字データの送信を開始してから次の前記搬送方向に同じ前記複数の画素領域に係る前記印字データの送信を開始するまでの間に、前記エラー検出手段により伝送エラーが検出された当該印字データの一部を送信可能とする所定時間を設けさせ、前記所定時間において前記複数の吐出口のうち前記搬送方向上流側に位置する上流側吐出口に対応した前記複数の画素領域に係る当該印字データが先に送信されるように前記送信手段を制御し、
前記印字データ記憶手段に記憶されている前記印字データ及び前記所定時間に送信された前記印字データに基づいて記録媒体に前記印字データに係る画像が形成されるよう前記液体吐出ヘッド及び前記搬送機構を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記所定時間に送信できなかった前記伝送エラーが検出された印字データの残りについて、その後に設定される所定時間に送信させ、且つ、当該印字データの残りに基づいて前記液体吐出ヘッドが記録媒体に対して液体を吐出すべき時間までに当該印字データの残りを送信させるように前記送信手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、当該印字データの残りに基づいて前記液体吐出ヘッドが記録媒体に対して液体を吐出すべき時間までに当該印字データの残りを送信できない場合に、記録媒体への画像形成を停止することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定時間に送信できなかった前記伝送エラーが検出された前記印字データの残りについて、前記印字データの残りに隣接する前記印字データを用いて補完する補完手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記直交方向に隣り合う前記画素領域に係る前記印字データが前記印字データの残りに含まれないように前記送信手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記所定時間は、前記搬送方向に同じ前記複数の画素領域に係る前記印字データの送信が完了してから、次の前記搬送方向に同じ前記複数の画素領域に係る前記印字データの送信を開始させるまでの間に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送方向に同じ前記複数の画素領域に係る前記印字データは、複数のフレームデータから成り、前記複数のフレームデータの各々に、エラー検知用の識別符号が含まれ、前記エラー検知手段は、前記識別符号を参照して当該識別符号を含むフレームデータのエラーを検知する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送機構と、
記録媒体に記録される画像の前記搬送方向の解像度と前記搬送方向に直交する直交方向の解像度に対応して記録媒体上に区画されて規定された複数の画素領域に係る印字データに基づいて記録媒体に画像を形成する液体を吐出するための複数の吐出口が形成され、前記複数の吐出口が前記直交方向の前記複数の画素領域に対応して前記直交方向に等間隔で並び、且つ、前記複数の吐出口の少なくとも一部が前記搬送方向に関して異なる位置に配置された液体吐出ヘッドと、
前記搬送機構及び前記液体吐出ヘッドの動作を制御する制御手段と、を備える画像形成装置の前記制御手段によって実行可能な制御プログラムであって、
前記搬送方向に同位置にある前記画素領域に係る印字データの送信を開始するステップと、
当該印字データの伝送エラーを検出するステップと、
当該印字データの送信の開始から次の前記搬送方向に同位置にある前記画素領域に係る印字データの送信を開始するまでの間に当該印字データの一部を送信可能となるよう設定した所定時間内に、前記複数の吐出口のうち前記搬送方向上流側に位置する上流側吐出口に対応した前記複数の画素領域に係る印字データを先に送信していくステップと、
前記印字データ記憶手段に記憶されている前記印字データ及び前記所定時間に送信された前記印字データに基づいて記録媒体に前記印字データに係る画像が形成されるよう前記液体吐出ヘッド及び前記搬送機構を制御するステップと、を有することを特徴とする画像形成装置の制御プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−139913(P2012−139913A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294043(P2010−294043)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】