説明

画像形成装置及び感光体ドラムの清浄方法

【課題】4つの感光体ドラムが列んで設けられているタンデム型画像形成装置において、払拭用の用紙が例えばA4サイズの様に比較的小型のものであっても、各感光体ドラム表面のクリーニングを行うことができる様にする。
【解決手段】上流側の第1の感光体ドラム31Cに接して用紙11を停止させた状態で、第1の感光体ドラム31Cのみを回転させて表面の汚れを用紙11で拭い取る。次に第2の感光体ドラム31Mに接して用紙11を停止させた状態で、第2の感光体ドラム31Mのみを回転させて表面の汚れを用紙11で拭い取る。続いて第3の感光体ドラム31Y,第4の感光体ドラム31Bについても同様にして表面の汚れを拭い取る。この様に用紙11を順次移動させて感光体ドラムを1つずつ清浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを用いたカラー複写機やカラープリンター等の様なタンデム方式の画像形成部を有する画像形成装置に関するものである。尚以下、プリンターを例に挙げて説明するが、これに限るものではない。
【背景技術】
【0002】
図9はプリンター等(例えば、下記特許文献1に示される画像形成装置)の画像形成部周辺を示す模式図である。上記画像形成部は、電子写真プロセスによって用紙11に所定のトナー像を形成する部分であり、感光性を有する感光体ドラム31の周囲に、その回転方向に沿って順に、帯電器32、露光器33、現像器34、転写器55、除電器37、及びクリーナー36を備えている。
【0003】
用紙への画像形成の方法は、まず帯電器32によって感光体ドラム31表面に所定電位を与え、露光器33から所望の画像に対応する光を照射することにより感光体ドラム31の表面電位を選択的に減衰させて静電潜像を形成し、続いて現像器34により、感光体ドラム31表面の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成し、次いでこのトナー像を転写器55により用紙上に転写する。その後定着部において、トナー像が転写された用紙11を加熱ローラ41と加圧ローラ42で挟んで熱と圧力を加えて上記トナー像を定着し、排紙ローラ(図示せず)によって排紙トレイ上に排出する。
【0004】
上記除電器37は、ランプ光によって感光体ドラム31の表面電荷を除電するもので、またクリーナー36は、ファーブラシやゴムブレードによって、感光体ドラム31の表面に残留したトナーやその添加剤等を除去するものであり、これら除電器37及びクリーナー36によって感光体ドラム31表面を清浄し、再び帯電器32,露光器33,現像器34,転写器55によって画像形成を行う。
【0005】
上記の様にクリーナー36によって感光体ドラム31表面の残留トナー等は除去されているものの、感光体ドラム31表面に融着する様にして付着したトナーにあっては、クリーナー36では除去しきれないことがある。
【0006】
そしてこの感光体ドラム31表面に付着したトナーは、ときおり用紙11に移って、印刷済み用紙11表面を斑点状に汚すという問題がある。特に感光体ドラム31としてアモルファスシリコンドラムを用いた場合は、ドラム表面にトナーが残存し易く、斑点状汚れといった不具合がしばしば生じる。
【0007】
そこで従来のモノクロームプリンターではリフレッシュモードを作動させ、感光体ドラム31表面のクリーニングを行う様にしている。このリフレッシュモードとは、感光体ドラム31の上流側に隣接して位置するレによって用紙を挟んで該用紙を感光体ドラム31対向位置で停止させ、感光体ドラム31のみを回転させて上記用紙上に汚れを擦りつけて取り除くというものである。尚この用紙は払拭用に特別に製造されたものではなく、通常の記録紙が用いられる。そしてこの汚れの擦りつけられた用紙は、排紙トレイに排出され、廃棄される。
【特許文献1】特開2001−222153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この様に感光体ドラムが1つのみの画像形成装置であれば、上記リフレッシュモードによりドラムのクリーニングが可能であるが、タンデム型カラープリンターの様に複数の感光体ドラムが列んで設けられた画像形成装置においては、最上流の感光体ドラムから最下流の感光体ドラムまでの距離が長いので、払拭用の用紙としてこれら複数のドラムに渡る長い用紙(例えば通常のオフィス用プリンターではA3サイズ)が必要となる。従ってこの様な長い用紙をユーザーが持ち合わせていない場合は、リフレッシュモードを作動させることができず、またたとえ持ち合わせていても、画像形成装置内の給紙カセットに常設の用紙サイズでない場合には、その都度給紙カセットの用紙交換を余儀なくされる。また通常使用していないにもかかわらず、長い用紙を準備しておくことは、コストがかかるという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、複数の感光体ドラムが列んで設けられている画像形成装置において、払拭用の用紙を用いずに、各感光体ドラム表面のクリーニングを行うことのできる方法、及びこの方法を実現できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る感光体ドラムの清浄方法は、直列に配置された複数の感光体ドラムの表面を清浄する方法であって、
前記複数の感光体ドラムに対向して設けられて当該各感光体ドラム及びこれに対応する各転写ローラに狭持された状態で走行するベルトの走行を停止すると共に、当該複数の感光体ドラムのうちの任意の感光体ドラムを回転させるものである。この様にして感光体ドラム表面の汚れを上記ベルトによって拭い取る。
【0011】
本発明を実現した画像形成装置としては、直列に配置された複数の感光体ドラムと、
前記複数の感光体ドラムのそれぞれに対応させて、当該各感光体ドラムに対向する位置にそれぞれ設けられた転写ローラと、
前記複数の感光体ドラムに対向して設けられ、前記各感光体ドラム及び各転写ローラによって狭持された状態で走行するベルトと、
前記ベルトを走行させるベルト駆動手段と、
前記ベルト駆動手段によって前記ベルトの走行が停止された状態のときに、前記複数の感光体ドラムのうちの任意の感光体ドラムを回転させるドラム制御手段と
を備えたものが挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
以上の様に本発明に係る画像形成装置,感光体ドラムの清浄方法によれば、複数の感光体ドラムが列んで設けられている画像形成装置において感光体ドラム表面を清浄するにあたり、払拭用用紙として長いものを準備しておく必要がなく、用紙を用いずに感光体ドラム表面を清浄することができる。従って大型用紙の準備によるコストをなくし、またリフレッシュモードにあたっての用紙交換の手間もなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず本発明に係る画像形成装置の一例としてタンデム型カラープリンターについて説明する。図1はこのタンデム型カラープリンターを示す全体断面図である。
【0014】
このカラープリンター100は、用紙11を収納する給紙部10と、電子写真プロセスにより用紙11上に所定のトナー像を形成する4つの画像形成部30C,30M,30Y,30Bと、このトナー像を用紙11上に定着する定着部40と、用紙搬送部20を備えている。
【0015】
給紙部10は、給紙カセット13内に積層載置された用紙11の束を給紙ローラ12の回転動作によって1枚ずつ給紙カセット13の出口側(図1の右側)に送り出し、用紙搬送部20に給紙するようになっている。
【0016】
用紙搬送部20は、給紙部10から給紙された用紙11を、反転ガイド24を介してフィードローラ対22およびレジストローラ対23によって画像形成部30C,30M,30Y,30Bに向けて搬送し、さらに画像形成部から定着部40において画像形成がなされた用紙11を排出ローラ対25によって排出トレイ26上に排出するようになっている。尚上記レジストローラ対23は後述の第1の感光体ドラム31Cの上流側に隣接するローラ対である。
【0017】
上記4つの画像形成部は、それぞれシアン,マゼンダ,イエロー,ブラックのトナーに応じて設けられており、上流側からシアントナーを有する第1画像形成部30C、マゼンダトナーを有する第2画像形成部30M、イエロートナーを有する第3画像形成部30Y、ブラックトナーを有する第4画像形成部30Bが直列に配置されている。これら第1〜4画像形成部30C,30M,30Y,30Bは、それぞれ円筒状の感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bと、帯電器32C,32M,32Y,32B、露光器33C,33M,33Y,33B、現像器34C,34M,34Y,34B、転写ローラ35C,35M,35Y,35B、クリーナー36C,36M,36Y,36Bから構成されている。またこれら第1〜4の感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bと第1〜4の転写ローラ35C,35M,35Y,35Bにより、一繋がりの用紙搬送ベルト38が狭持されている。用紙搬送ベルト38にはベルト駆動ローラ62及びベルト従動ローラ61が取り付けられており、このベルト駆動ローラ62,ベルト従動ローラ61が回転することによって用紙搬送ベルト38が走行し、用紙搬送ベルト38上の用紙を上流側の第1画像形成部30Cから下流側の第4画像形成部30Bに向かって搬送する。尚上記現像器34C,34M,34Y,34Bにはそれぞれのトナータンク39C,39M,39Y,39Bからトナーが適宜供給される構成となっている。
【0018】
上記第4画像形成部30Bの下流側には定着部40が配置され、画像形成部30C,30M,30Y,30Bにおいてトナー像が転写された用紙11を、この定着部40において加熱ローラ41と加圧ローラ42により加熱,加圧し、用紙11上にトナー像を定着させる。
【0019】
また図1には図示していないが、上記カラープリンター100には制御部が備えられており、後述する様にこの制御部からの指令によって上記各部分が制御されている。
【0020】
図2はこの制御部の制御態様を説明する為のブロック図である。
【0021】
制御部110には、プリンター100全体の動作プログラム等を記憶したROM112、記録に用いる画像データ等を格納しておくためのRAM113が接続され、またインタフェイス118を介してPC(パーソナルコンピューター)119も接続されており、このPC119から入力される画像データをRAM113に一旦格納する様になっている。そして制御部110は、画像形成部と繋がっており、上記RAM113からの画像データに基づいて用紙11上に所定のトナー像を形成する。具体的には上記画像形成部30C,30M,30Y,30Bの帯電器32C,32M,32Y,32B、露光器33C,33M,33Y,33B、現像器34C,34M,34Y,34B、転写ローラ35C,35M,35Y,35B、及びドラムモータ51C,51M,51Y,51B(感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bの駆動源)が制御部110と繋がって、これらの駆動が制御されている。尚図2ではこれら転写ローラやドラムモータ等をそれぞれ1つのブロックで表しているが、第1〜4の画像形成部毎(各色のトナー毎)に独立して設けられている。
【0022】
また制御部110は定着部40とも繋がり、加熱ローラ41内のヒータのON/OFFを制御すると共に、加熱ローラ41及び加圧ローラ42の駆動を制御する。
【0023】
更に制御部110は用紙搬送部20の各搬送ローラの駆動も制御しており、即ち上記フィードローラ対22に駆動力を与えるフィードローラモータ122、上記レジストローラ対23に駆動力を与えるレジストローラモータ123、上記ベルト駆動ローラ62,ベルト従動ローラ61に駆動力を与えるベルト用モータ138、並びに排出ローラ対25に駆動力を与える排出用モータ(図示せず)等が接続され、これらの駆動を制御して各ローラを回転/停止できる様になっている。
【0024】
加えて制御部110には、用紙11の存在を検知する用紙センサ111が接続されており、このセンサ111による用紙位置情報に基づいて、上記各部分の駆動タイミングを制御している。尚この用紙センサ111は給紙部10から用紙排出に至る用紙搬送部20の様々な箇所に設けられている。
【0025】
更に制御部110にはリフレッシュスイッチ120が繋がっており、このスイッチ120がONになると制御部110はリフレッシュモードを始動する様になっている。
【0026】
制御部110は表示パネル117にも繋がっており、この表示パネル117上にプリンター100の動作状況等を表示する。
【0027】
尚この制御部110と上記ドラムモータ51C,51M,51Y,51Bによりドラム制御手段が構成され、このドラム制御手段によって各感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bがそれぞれ個別に回転/停止できる様になっている。また制御部110及びベルト用モータ138とベルト駆動ローラ62,ベルト従動ローラ61によりベルト制御手段(ベルト駆動手段)が構成され、ベルト用モータ138の駆動を停止することにより、用紙搬送ベルト38の走行が止められる。更に制御部110並びにレジストローラモータ123,レジストローラ対23及び転写ローラ35C,35M,35Y,35Bと感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bにより用紙停止手段が構成され、それぞれのローラやドラムの回転を止めることによって用紙の走行を停止する。
【0028】
次に上記カラープリンター100における感光体ドラムの清浄方法について述べる。尚清浄方法としては種々の態様があり、以下に代表的なケースについて説明する。
【0029】
<ケース1>
図3はケース1における清浄動作を説明する為の図であり、感光体ドラム31C,31M,31Y,31B及び用紙搬送ベルト38の周辺を表す概略側面図である。また図4は各部位の動作タイミング等を表すタイミングチャートである。尚本ケース1は、払拭用の用紙として横置(用紙の長手方向が用紙搬送路幅方向になる)のA4サイズの用紙を用いる場合の例である。
【0030】
ユーザーがリフレッシュスイッチ120をONにするとリフレッシュモードが始動し、まず給紙ローラ12,フィードローラ対22が駆動して、給紙カセット13から1枚のA4サイズの用紙11が第1の画像形成部30Cに向かって搬送される(図1)。レジストローラ位置の用紙センサ111が用紙11を検知し、用紙11が第1の感光体ドラム31Cの対向位置まで搬送されると、図3(a)に示す様にこの位置で用紙11が一旦停止する。このとき用紙11がそれ以上搬送されない様にする為、レジストローラ対23が停止して用紙11の後端近傍を挟んで掴むと共に、転写ローラ35C,35M,35Y,35B及びベルト駆動ローラ62,ベルト従動ローラ61の回転が停止して用紙搬送ベルト38の走行が止まる。そしてこの様に用紙11が停止された状態で第1の感光体ドラム31Cのみが所定時間(例えば5秒間)回転し(第2〜4の感光体ドラム31M,31Y,31Bは停止状態)、この第1の感光体ドラム31C表面の汚れを用紙11に拭い取る(図4にCで示す間)。
【0031】
次にレジストローラ対23が回転すると共に、転写ローラ35C,35M,35Y,35B及びベルト駆動ローラ62,ベルト従動ローラ61が回転して用紙搬送ベルト38が走行し、図3(b)に示す様に用紙11を第2の感光体ドラム31Mの対向位置まで搬送した後、再び転写ローラ35C,35M,35Y,35B及びベルト駆動ローラ62,ベルト従動ローラ61の回転が停止して用紙搬送ベルト38の走行が止まり、この位置で用紙11が一旦停止する。そしてこの様に用紙11が停止された状態で第2の感光体ドラム31Mのみが所定時間(例えば5秒間)回転し(第1,3,4の感光体ドラム31C,31Y,31Bは停止状態)、この第2の感光体ドラム31M表面の汚れを用紙11に拭い取る(図4にMで示す間)。尚このとき用紙11の後端近傍は、用紙搬送ベルト38を介して第1の転写ローラ35C(停止状態)と第1の感光体ドラム31C(停止状態)とによって挟む様にして掴まれており、用紙11の停止位置が保持されている。
【0032】
続いて図3(c)に示す様に用紙11を第3の感光体ドラム31Yの対向位置まで搬送して停止させ、上記と同様に第3の感光体ドラム31Yのみを所定時間(例えば5秒間)回転させて(第1,2,4の感光体ドラム31C,31M,31Bは停止状態)この第3の感光体ドラム31Y表面の汚れを用紙11に拭い取る(図4にYで示す間)。このとき用紙11の後端近傍は第2の転写ローラ35M(停止状態)と第2の感光体ドラム31M(停止状態)とによって掴まれている。
【0033】
次いで図3(d)に示す様に用紙11を第4の感光体ドラム31Bの対向位置まで搬送して停止させ、上記と同様に第4の感光体ドラム31Bのみを所定時間(例えば5秒間)回転させて(第1〜3の感光体ドラム31C,31M,31Yは停止状態)この第4の感光体ドラム31B表面の汚れを用紙11に拭い取る(図4にBで示す間)。このとき用紙11の後端近傍は第3の転写ローラ35Y(停止状態)と第3の感光体ドラム31Y(停止状態)とによって掴まれている。尚このとき用紙11の先端近傍を定着部40の加熱ローラ41と加圧ローラ42によって挟んで掴む様にしても良い。
【0034】
この様にして各感光体ドラム31C,31M,31Y,31B表面を清浄した後、用紙搬送ベルト38,定着ローラ41,42,排出ローラ対25等を駆動して、上記汚れの擦りつけられた用紙11を排出トレイ26に排出する。
【0035】
以上の様に、複数列んだ感光体ドラムを1つ1つ清浄しているから、たとえ払拭用の用紙11が短いものであっても、良好に汚れを拭い取ることができる。
【0036】
<ケース2>
図5はケース2における清浄動作を説明する為の図であり、感光体ドラム31C,31M,31Y,31B及び用紙搬送ベルト38の周辺を表す概略側面図である。
【0037】
ケース2は4つの感光体ドラムを2つずつ清浄する場合であり、リフレッシュモードが始動すると、まず図5(a)に示す様に、用紙11を第1の感光体ドラム31C及び第2の感光体ドラム31Mの対向位置まで搬送し、この位置で一旦停止させる。そしてこの様に用紙11を停止させた状態で第1の感光体ドラム31C及び第2の感光体ドラム31Mのみを所定時間回転し、これら第1,2の感光体ドラム31C,31M表面の汚れを用紙11に拭い取る。このとき用紙11の後端近傍はレジストローラ対23(停止状態)により掴まれており、上記停止位置を保持している。またこのとき用紙搬送ベルト38も停止している。
【0038】
次に図5(b)に示す様に、用紙11を第3の感光体ドラム31Y及び第4の感光体ドラム31Bの対向位置まで搬送し、この位置で一旦停止させ、この用紙停止状態で第3の感光体ドラム31Y及び第4の感光体ドラム31Bのみを所定時間回転し、これら第3,4の感光体ドラム31Y,31B表面の汚れを用紙11に拭い取る。このとき用紙11の後端近傍は、用紙搬送ベルト38を介して第2の転写ローラ35M(停止状態)と第2の感光体ドラム31M(停止状態)とによって掴まれており、搬送されない様に保持されている。尚このとき用紙搬送ベルト38も停止している。
【0039】
その後、上記汚れの擦りつけられた用紙11は排出トレイ26に排出される。
【0040】
この様に払拭用の用紙11のサイズ及び各感光体ドラムの配置距離によっては、感光体ドラムを2つずつ清浄する方法を採用しても良い。
【0041】
<ケース3>
図6はケース3における清浄動作を説明する為の図であり、感光体ドラム31C,31M,31Y,31B及び用紙搬送ベルト38の周辺を表す概略側面図である。
【0042】
払拭用の用紙11が十分に長く(例えばA3サイズ)、全ての感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bに対向させて位置させることが可能な場合には、図6に示す様に、用紙11を全ての感光体ドラム対向位置で停止させ、レジストローラ対23によって用紙11の後端近傍を掴んだ状態で、感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bを回転させ、ドラム表面の汚れを用紙11に拭い取る。尚このとき転写ローラ35C,35M,35Y,35B及びベルト駆動ローラ62,ベルト従動ローラ61は回転しておらず、用紙搬送ベルト38の走行が停止している。
【0043】
その後、上記汚れの擦りつけられた用紙11を排出トレイ26に排出する。
【0044】
例えば給紙カセット13に長い用紙が収納されている場合に、本ケース3を採用すれば、リフレッシュモード作動時間が短くて済む。
【0045】
<ケース4>
上記ケース2では2つの感光体ドラムに渡るサイズの用紙を用いて、4つの感光体ドラムを2つずつに分けて2段階で清浄する場合を示したが、本ケース4では感光体ドラムを2つずつ清浄する態様であって、且つ感光体ドラムに対する用紙位置を1つずつずらして清浄する方法である。
【0046】
図7は本ケース4における清浄動作を説明する為の図であり、感光体ドラム31C,31M,31Y,31B及び用紙搬送ベルト38の周辺を表す概略側面図である。
【0047】
まず図7(a)に示す様に、用紙11を第1の感光体ドラム31C及び第2の感光体ドラム31Mの対向位置まで搬送し、この位置で一旦停止させ、この用紙停止状態で第1の感光体ドラム31C及び第2の感光体ドラム31Mのみを所定時間回転し、これら第1,2の感光体ドラム31C,31M表面の汚れを用紙11に拭い取る。
【0048】
次に図7(b)に示す様に、用紙11を第2の感光体ドラム31M及び第3の感光体ドラム31Yの対向位置まで搬送して、この位置で一旦停止させる。そしてこの用紙停止状態で第2の感光体ドラム31M及び第3の感光体ドラム31Yのみを所定時間回転し、第2,3の感光体ドラム31M,31Y表面の汚れを用紙11に拭い取る。第2の感光体ドラム31Mについては2回清浄されることになるから、より丹念に清浄されることになる。
【0049】
次いで図7(c)に示す様に、用紙11を第3の感光体ドラム31Y及び第4の感光体ドラム31Bの対向位置まで搬送し、この位置で一旦停止させ、この用紙停止状態で第3,4の感光体ドラム31Y,31Bのみを所定時間回転し、これら第3,4の感光体ドラム31Y,31B表面の汚れを用紙11に拭い取る。第3の感光体ドラム31Yについても2回清浄されることになる。
【0050】
この様に2つの感光体ドラムに渡る用紙を用いつつ、用紙位置を感光体ドラムに対して1つずつズラして清浄しても良く、この場合は中程に位置する感光体ドラムを丹念に清浄することができるから、中程の感光体ドラム表面の汚れがひどいときに有効である。
【0051】
<ケース5>
図8はケース5における清浄動作を説明する為の図であり、感光体ドラム31C,31M,31Y,31B及び用紙搬送ベルト38の周辺を表す概略側面図である。
【0052】
本ケース5は払拭用の用紙を用いずに感光体ドラム表面を清浄する方法であり、転写ローラ35C,35M,35Y,35B及びベルト駆動ローラ62,ベルト従動ローラ61の回転を停止して用紙搬送ベルト38の走行を停止させた状態で、第1〜4の感光体ドラム31C,31M,31Y,31Bを回転させ、用紙搬送ベルト38表面に感光体ドラム表面の汚れを擦りつける。
【0053】
以上の様に本発明に係る画像形成装置及び感光体ドラムの清浄方法に関して、例を示す図面を参照しつつ具体的に説明したが、本発明はもとより上記例に限定される訳ではなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0054】
例えば感光体ドラム清浄方法についての上記ケース1,2,4では用紙11の後端近傍が感光体ドラム対向位置にあるときには、その感光体ドラムと転写ローラによって用紙後端近傍を挟んで掴む構成のものを示したが、感光体ドラム配置間に設けられた搬送ローラ対によって用紙後端近傍を掴む様にしても良い。
【0055】
また上記ケース1,2,4では1枚の用紙により順次感光体ドラムを清浄する場合を示したが、感光体ドラム回転による清浄動作毎に用紙を替えて清浄する様にしても良い。
【0056】
加えてケース3,5では全ての感光体ドラムを一時に回転させる場合を示したが、感光体ドラムを1つずつ或いは複数個ずつ回転させる様にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係るタンデム型カラープリンター(画像形成装置)の一例を示す全体断面図。
【図2】図1に示すカラープリンターにおける制御部の制御態様を説明する為のブロック図。
【図3】本発明に係るケース1の感光体ドラムの清浄方法における清浄動作を説明する為の図。
【図4】ケース1における各部位の動作タイミング等を表すタイミングチャート。
【図5】本発明に係るケース2の感光体ドラムの清浄方法における清浄動作を説明する為の図。
【図6】本発明に係るケース3の感光体ドラムの清浄方法における清浄動作を説明する為の図。
【図7】本発明に係るケース4の感光体ドラムの清浄方法における清浄動作を説明する為の図。
【図8】本発明に係るケース5の感光体ドラムの清浄方法における清浄動作を説明する為の図。
【図9】プリンター等(画像形成装置)の画像形成部周辺を示す模式図。
【符号の説明】
【0058】
11 用紙
23 レジストローラ対
31C 第1の感光体ドラム
31M 第2の感光体ドラム
31Y 第3の感光体ドラム
31B 第4の感光体ドラム
35C 第1の転写ローラ
35M 第2の転写ローラ
35Y 第3の転写ローラ
35B 第4の転写ローラ
38 用紙搬送ベルト
61 ベルト従動ローラ
62 ベルト駆動ローラ
110 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に配置された複数の感光体ドラムと、
前記複数の感光体ドラムのそれぞれに対応させて、当該各感光体ドラムに対向する位置にそれぞれ設けられた転写ローラと、
前記複数の感光体ドラムに対向して設けられ、前記各感光体ドラム及び各転写ローラによって狭持された状態で走行するベルトと、
前記ベルトを走行させるベルト駆動手段と、
前記ベルト駆動手段によって前記ベルトの走行が停止された状態のときに、前記複数の感光体ドラムのうちの任意の感光体ドラムを回転させるドラム制御手段と
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
直列に配置された複数の感光体ドラムの表面を清浄する方法であって、
前記複数の感光体ドラムに対向して設けられて当該各感光体ドラム及びこれに対応する各転写ローラに狭持された状態で走行するベルトの走行を停止すると共に、当該複数の感光体ドラムのうちの任意の感光体ドラムを回転させる感光体ドラムの清浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−102251(P2007−102251A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11646(P2007−11646)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【分割の表示】特願2005−122850(P2005−122850)の分割
【原出願日】平成14年3月29日(2002.3.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】