説明

画像形成装置及び画像形成システム

【課題】画像データに基づく画像の秘密性を維持しつつ、画像形成処理を素早く実行させることが可能な画像形成装置及び画像形成システムを提供する。
【解決手段】画像形成装置は、画像データを記憶部80の任意の階層に記憶させる記憶制御部91と、記憶制御部91によって画像データが記憶部80に記憶された場合に、画像データが記憶された記憶部80の階層を示す情報と画像データに関する情報とを含む第1情報を端末装置に送信する送信制御部92と、挿入部110に挿入されたUSBメモリーに端末装置を介して第1情報が記憶されている場合に、USBメモリーから第1情報を読み込む読込部93と、読込部93によって読み込まれた第1情報に含まれる記憶部80の階層を示す情報と画像データに関する情報とに基づいて、画像データに基づく画像を用紙に形成するようエンジン部3を制御する画像形成制御部94と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに基づく画像を被画像形成媒体に形成することが可能な画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成システムは、複合機等の画像形成装置と、通信ネットワークを介して画像形成装置に接続する端末装置(パーソナルコンピューター)とを備える。画像形成装置には、通信ネットワークを介して端末装置から送信された画像データに基づく画像を被画像形成媒体としての用紙に形成する場合に、まず、IC(Integrated Cirsuit)カードに記録され、画像データと対応付けされた認証情報に基づいて認証を行い、認証の結果に基づいてログイン処理を行うものがある。そして、その画像形成装置は、例えば、ログイン処理を行った場合に、認証に利用された認証情報に対応する画像データ(ジョブ)を全て表示部に表示し、いずれかの画像データ(ジョブ)がユーザーによって選択されると、その選択された画像データに基づく画像を用紙に形成させる(ジョブを実行させる)ようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−301383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置には、認証情報に基づいて認証を行う場合に、ユーザーにパスワードの入力を要求するものがある。このような画像形成装置では、ユーザーによってパスワードが入力されるときに、そのパスワードが他人に見られてしまうおそれがある。そして、パスワードが他人に見られてしまった場合には、画像データに基づく画像の秘密性を維持することができないおそれがある。
【0005】
また、特許文献1に記載された画像形成装置では、表示部に表示された複数の画像データ(ジョブ)の中からいずれかの画像データ(ジョブ)をユーザーに選択させているため、画像形成装置の前で操作する時間が長くなる可能性がある。すなわち、その画像形成装置では、画像形成処理を実行させるまでに時間がかかる可能性がある。
【0006】
本発明は、画像データに基づく画像の秘密性を維持しつつ、画像形成処理を素早く実行させることが可能な画像形成装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、通信ネットワークを介して端末装置に接続する画像形成装置であって、被画像形成媒体に画像を形成するエンジン部と、記憶部と、画像データを前記記憶部の任意の階層に記憶させる記憶制御部と、前記記憶制御部によって画像データが前記記憶部に記憶された場合に、画像データが記憶された前記記憶部の階層を示す情報と画像データに関する情報とを含む第1情報を前記端末装置に送信する送信制御部と、外部記憶部が挿入される挿入部と、前記挿入部に挿入された前記外部記憶部に前記端末装置を介して前記第1情報が記憶されている場合に、前記外部記憶部から前記第1情報を読み込む読込部と、前記読込部によって読み込まれた前記第1情報に含まれる前記記憶部の階層を示す情報と画像データに関する情報とに基づいて、画像データと、当該画像データが記憶される前記記憶部の階層とを特定し、当該画像データに基づく画像を被画像形成媒体に形成するよう前記エンジン部を制御する画像形成制御部と、を備える画像形成装置に関する。
【0008】
また、画像形成装置は、認証情報に基づいてログイン認証を行う認証部と、前記認証部によるログイン認証の結果に基づいて、ログイン処理を行うログイン処理部と、をさらに備え、前記第1情報は、さらに認証情報を含み、前記認証部は、前記読込部によって第1情報が読み込まれた場合に、第1情報に含まれる認証情報に基づいてログイン認証を行うことが好ましい。
【0009】
また、前記第1情報は、さらに画像形成に関する設定情報を含むことが好ましい。
【0010】
また、本発明は、画像形成装置と、通信ネットワークを介して前記画像形成装置に接続する端末装置とを備える画像形成システムであって、前記画像形成装置は、被画像形成媒体に画像を形成するエンジン部と、記憶部と、画像データを前記記憶部の任意の階層に記憶させる記憶制御部と、前記記憶制御部によって画像データが前記記憶部に記憶された場合に、画像データが記憶された前記記憶部の階層を示す情報と画像データに関する情報とを含む第1情報を前記端末装置に送信する送信制御部と、外部記憶部が挿入される挿入部と、前記挿入部に挿入された前記外部記憶部に前記端末装置を介して前記第1情報が記憶されている場合に、前記外部記憶部から前記第1情報を読み込む読込部と、前記読込部によって読み込まれた前記第1情報に含まれる前記記憶部の階層を示す情報と画像データに関する情報とに基づいて、画像データと当該画像データが記憶される前記記憶部の階層とを特定し、当該画像データに基づく画像を被画像形成媒体に形成するよう前記エンジン部を制御する画像形成制御部と、を備える画像形成システムに関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像データに基づく画像の秘密性を維持しつつ、画像形成処理を素早く実行させることが可能な画像形成装置及び画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの全体構成を説明するための図である。
【図2】画像形成装置の一実施形態に係る複合機の全体構成を説明するための図である。
【図3】複合機の機能構成を示すブロック図である。
【図4】複合機の動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成システムの一実施形態について説明する。まず、図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システム300の全体構成を説明するための図である。図2は、画像形成装置の一実施形態に係る複合機1の全体構成を説明するための図である。
【0014】
図1に示すように、画像形成システム300は、画像形成装置の一例としての複合機1と、端末装置200を備える。
端末装置200は、パーソナルコンピューター等で構成される。端末装置200は、ローカルエリアネットワーク等の通信ネットワークNWを介して複合機1と通信を行う。端末装置200では、記憶部201を備える。記憶部201には、通信ネットワークNWを介して複合機1から送信された後述する第1情報が記憶される。また、端末装置200は、端末装置側挿入部(例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート202)に外部記憶部の一例としてのUSBメモリー400が挿入された場合に、記憶部201に記憶される第1情報をUSBメモリー400にコピーする。なお、外部記憶部は、USBメモリー400に限定されることはない。
【0015】
図2に示すように、本発明の画像形成装置の一実施形態に係る複合機1は、原稿搬送部10と、原稿読取部20と、用紙搬送部30と、画像形成部40と、転写部50と、定着部60とを備える。
原稿搬送部10は、ADF(Automatic Document Feeder)であり、原稿載置部11と、第1送りローラー12と、ガイド13と、タイミングローラー対14と、原稿排出部15とを備える。第1送りローラー12は、原稿載置部11に載置された原稿Gを1枚ずつ順にタイミングローラー対14に供給する。タイミングローラー対14は、原稿読取部20が原稿Gの画像を読み取るタイミングと、原稿Gの画像が原稿読取部20によって読み取られる位置(ガイド13が配置されている位置)に原稿Gを供給するタイミングとを合わせるために、原稿Gの搬送又は原稿Gの搬送停止を行う。ガイド13は、搬送された原稿Gを後述する第1読取面21aに導く。原稿排出部15は、原稿読取部20によって画像が読み取られた(ガイド13を通過した)原稿Gを複合機本体2の外部に排出する。
原稿排出部15における複合機本体2の外側には、原稿集積部16が形成される。原稿集積部16には、原稿排出部15から排出された原稿Gが積層して集積される。
【0016】
原稿読取部20は、第1読取面21aと、第2読取面22aとを備える。第1読取面21aは、ガイド13に対向して配置された第1コンタクトガラス21の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。第2読取面22aは、第1読取面21aに隣接して(図2に示す場合では、第1読取面21aの右側の大部分に亘って)配置される。第2読取面22aは、原稿搬送部10を用いずに原稿Gの画像を読み取る場合に用いられる。第2読取面22aは、原稿Gが載置される第2コンタクトガラス22の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。
【0017】
また、原稿読取部20は、照明部23と、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27と、撮像部28とを複合機本体2の内部に備える。照明部23と第1ミラー24とは、それぞれ副走査方向Xに移動する。第2ミラー25と第3ミラー26とは、図2において照明部23及び第1ミラー24の左側に配置される。さらに、第2ミラー25及び第3ミラー26は、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27とを介した第1読取面21a又は第2読取面22aから撮像部28までの距離(光路長)を一定に保ちつつ、それぞれ副走査方向Xに移動する。
【0018】
照明部23は、原稿Gに光を照射する光源である。第1ミラー24、第2ミラー25及び第3ミラー26は、光路長を一定に保ちつつ、原稿Gによって反射された光を結像レンズ27に導くためのミラーである。結像レンズ27は、第3ミラー26から入射した光を撮像部28に結像させる。撮像部28は、入射された光を電気信号に変換することにより、結像された光像に基づいて画像データを得るための撮像素子であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサーである。
【0019】
用紙搬送部30は、第2送りローラー31と、第3送りローラー32と、レジストローラー対33と、用紙排出部34とを備える。第2送りローラー31は、給紙カセット36に収容される用紙T(被画像形成媒体)を転写部50に供給する。第3送りローラー32は、手差しトレイ37に載置される用紙T(被画像形成媒体)を転写部50に供給する。レジストローラー対33は、転写部50にトナー画像が到達するタイミングと、転写部50に用紙Tを供給するタイミングとを合わせるために、用紙Tの搬送又は用紙Tの搬送停止を行う。また、レジストローラー対33は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正を行う。用紙排出部34は、トナー画像が定着された用紙Tを複合機本体2の外部に排出する。
用紙排出部34における複合機本体2の外側には、排紙集積部35が形成される。排紙集積部35には、用紙排出部34から排出された用紙Tが積層して集積される。
【0020】
画像形成部40は、トナー画像を形成するためのものであり、感光体ドラム41と、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45と、トナーカートリッジ46と、1次転写ローラー47と、中間転写ベルト48と、対向ローラー49とを備える。
感光体ドラム41(41a,41b,41c,41d)は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローそれぞれのトナー画像を形成するために、感光体又は像担持体として機能する。各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの周囲には、感光体ドラム41の回転方向に沿って上流側から下流側へ順に、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45とが配置される。帯電部42は、感光体ドラム41の表面を帯電させる。レーザースキャナーユニット43は、感光体ドラム41の表面から離れて配置され、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに関する画像データに基づいて感光体ドラム41の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム41の表面には、露光された部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。現像器44は、感光体ドラム41の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。クリーニング部45は、除電器(図示せず)によって感光体ドラム41の表面が除電された後のその表面に残るトナー等を除去する。
トナーカートリッジ46は、現像器44に供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ46と現像器44とは、トナー供給路(図示せず)により接続されている。
【0021】
1次転写ローラー47(47a,47b,47c,47d)は、中間転写ベルト48における各感光体ドラム41a,41b,41c,41dとは反対側にそれぞれ配置される。中間転写ベルト48は、画像形成部40及び転写部50を通過するベルトである。中間転写ベルト48の一部分は、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dと各1次転写ローラー47a,47b,47c,47dとの間に挟み込まれ、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの表面に形成されたトナー画像が1次転写される。対向ローラー49は、環状形状の中間転写ベルト48の内側に配置され、中間転写ベルト48を図2に示す矢印A方向に進行させるための駆動ローラーである。
【0022】
転写部50は、2次転写ローラー51を備える。2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48における対向ローラー49とは反対側に配置され、中間転写ベルト48の一部分を対向ローラー49との間に挟みこむ。さらに、2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる。
【0023】
定着部60は、加熱回転体61と、加圧回転体62とを備える。加熱回転体61と加圧回転体62とは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで、トナーを溶融及び加圧し、そのトナーを用紙Tに定着させる。
【0024】
次に、複合機1の機能構成について説明する。図3は、複合機1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、複合機1は、上述した構成要素(原稿搬送部10、原稿読取部20、用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60)を備える。用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60によりエンジン部3が構成される。エンジン部3は、用紙Tに画像データに基づく画像を形成する。なお、図2を用いて説明した構成要素については、その説明を省略する。
さらに、複合機1は、上述した機能構成に加えて、操作部70と、記憶部80と、インターフェイス部100と、挿入部110と、制御部90とを備える。
【0025】
操作部70は、テンキー(図示せず)、タッチパネル(図示せず)及びスタートキー(図示せず)等を備える。テンキーは、印刷部数等の数字を入力するために操作される。タッチパネルは、種々の機能(一例として、印刷倍率の設定機能や、複数のページを1枚の用紙Tに割り付ける機能(2in1等))が割り当てられた複数のキー等を表示する。タッチパネルに表示されたキーは、種々の機能のうちのいずれかを複合機1に実行させるために操作される。スタートキーは、印刷を実行させるために操作される。操作部70は、いずれかのキーが操作されることにより、このキーが操作されたことを表す信号を制御部90に供給する。
【0026】
記憶部80は、ハードディスクや半導体メモリー等から構成される。記憶部80は、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに基づく画像データを記憶する。また、記憶部80は、通信ネットワークNWを介して端末装置200から送信された画像データを記憶する。さらに、記憶部80は、複合機1において利用される制御プログラム、及びこの制御プログラムによって利用されるデータ等を記憶する。
【0027】
インターフェイス部100には、通信ネットワークNW(図1参照)が接続される。
挿入部110には、外部記憶部の一例としてのUSBメモリー400(図1参照)が挿入される。挿入部110は、例えば、USBポートである。
【0028】
制御部90は、原稿搬送部10、原稿読取部20、エンジン部3、操作部70等を制御する。
また、制御部90は、記憶制御部91と、送信制御部92と、読込部93と、画像形成制御部94と、認証部95と、ログイン処理部96とを備える。
【0029】
記憶制御部91は、画像データを記憶部80の任意の階層に記憶させる。すなわち、記憶部80には、階層型のフォルダが作成されている。記憶制御部91は、階層型のフォルダのいずれか1つに、通信ネットワークNWを介して端末装置200から入力された画像データを記憶させる。記憶制御部91は、画像データを記憶部80におけるある1つの階層に記憶させた場合、記憶させた階層を示す情報と、画像データに関する情報とを送信制御部92に送信する。画像データに関する情報は、画像データを特定するための情報であり、例えば、画像データのファイル名である。
【0030】
送信制御部92は、記憶制御部91によって画像データが記憶部80に記憶された場合に、画像データが記憶された記憶部80の階層を示す情報と画像データに関する情報とを含む第1情報を端末装置200に送信する。送信制御部92は、記憶制御部91から送信された記憶部80の階層を示す情報と画像データに関する情報とを受け付けると、それらの情報を含む第1情報を、インターフェイス部100を利用して端末装置200に送信する。第1情報の送信先となる端末装置200は、画像データを複合機1に送信した端末装置200となる。
【0031】
読込部93は、挿入部110に挿入されたUSBメモリー400(外部記憶部)に端末装置200を介して第1情報が記憶されている場合に、USBメモリー400から第1情報を読み込む。
すなわち、端末装置200は、第1情報を受け付けると、記憶部201に記憶させる。複合機1の記憶部80に記憶された画像データに基づく画像を用紙Tに形成する場合には、端末装置200は、その画像データに対応する第1情報を記憶部201からUSBポート202に挿入されたUSBメモリー400にコピーする。この場合、端末装置200は、ユーザーによって設定された設定情報に基づいて、第1情報にさらに画像形成に関する設定情報を含ませることが好ましい。画像形成に関する設定情報は、用紙Tに形成される画像の濃度、及び、複数のページを1枚の用紙Tに割り付ける機能を利用するか否かの設定等についての情報である。
また、読込部93は、挿入部110にUSBメモリー400が挿入されると、自動的にUSBメモリー400に記憶される情報を読み込むようになっている。このため、読込部93は、そのUSBメモリー400が挿入部110に挿入されると、USBメモリー400に記憶される第1情報を自動的に読み込む。
【0032】
画像形成制御部94は、読込部93によって読み込まれた第1情報に含まれる記憶部80の階層を示す情報と画像データに関する情報とに基づいて、画像データと、その画像データが記憶される記憶部80の階層とを特定し、その画像データに基づく画像を用紙Tに形成するようエンジン部3を制御する。すなわち、画像形成制御部94は、記憶部80の階層を示す情報に基づいて、印刷対象となる画像データが記憶される記憶部80の階層(フォルダ)を特定する。さらに、画像形成制御部94は、画像データに関する情報に基づいて、印刷対象となる画像データを特定する。そして、画像形成制御部94は、エンジン部3によって、特定された印刷対象となる画像データに基づく画像を用紙Tに形成させる。なお、第1情報に画像形成に関する情報が含まれている場合には、画像形成制御部94は、画像形成に関する情報に基づいて、画像を用紙Tに形成させる。
【0033】
また、端末装置200は、複合機1の記憶部80に記憶された画像データに基づく画像を用紙Tに形成する場合には、記憶部80の階層を示す情報及び画像データに関する情報等に加えて、認証情報を含ませた第1情報をUSBメモリー400に記憶させることが好ましい。認証情報は、後述する認証部95においてログイン認証が行われる場合に利用される。具体的には、認証情報は、ユーザーID(Identification)及びログイン認証に必要なパスワードについての情報である。ユーザーIDは、端末装置200の入力手段が利用されることにより端末装置200に入力され、又は、端末装置200に予め記憶されている。パスワードは、端末装置200のキーボード等が利用されることにより端末装置200に入力される。
【0034】
認証部95は、認証情報に基づいてログイン認証を行う。すなわち、読込部93によって第1情報が読み込まれた場合に、まず、認証部95は、第1情報に含まれる認証情報に基づいてログイン認証を行う。具体的な一例としては、読込部93は、第1情報に含まれるユーザーID及びパスワードと、複合機1に予め記憶されるユーザーID及びパスワードとを比較することに基づいて、ログイン認証を行う。
【0035】
ログイン処理部96は、認証部95によるログイン認証の結果に基づいて、ログイン処理を行う。具体的な一例としては、ログイン処理部96は、第1情報に含まれるユーザーID及びパスワードと、複合機1に予め記憶されるユーザーID及びパスワードとが一致する場合には、ログイン処理を行う。
【0036】
画像形成制御部94は、ログイン処理部96によってログイン処理が行われた後に、画像データに基づく画像を用紙Tに形成するようエンジン部3を制御する。
【0037】
次に、本実施形態における複合機1の動作について説明する。図4は、複合機1の動作について説明するためのフローチャートである。
【0038】
ステップST1において、記憶制御部91は、画像データを記憶部80の任意の階層に記憶させる。
【0039】
ステップST2において、送信制御部92は、ステップST1にて画像データを記憶させた記憶部80の階層を示す情報と、その画像データに関する情報とを含む第1情報を端末装置200に送信する。ここで、端末装置200は、第1情報を受け付けると、その第1情報を記憶部201に記憶させる。そして、端末装置200は、USBメモリー400がUSBポート202に挿入された場合には、記憶部201に記憶される第1情報をUSBメモリー400にコピーする。
【0040】
ステップST3において、読込部93は、挿入部110にUSBメモリー400が挿入されたか否かを判断する。挿入部110にUSBメモリー400が挿入されていない場合(No)には、ステップST3の判断が再度行われる。挿入部110にUSBメモリー400が挿入されている場合(Yes)には、処理は、ステップST4に進む。
【0041】
ステップST4において、読込部93は、USBメモリー400に記憶される第1情報を読み込む。
【0042】
ステップST5において、認証部95は、第1情報に含まれる認証情報に基づいてログイン認証を行う。
【0043】
ステップST6において、ログイン処理部96は、認証部95によるログイン認証の結果に基づいて、ログイン処理を行う。
【0044】
ステップST7において、画像形成制御部94は、第1情報に含まれる記憶部80の階層を示す情報と画像データに関する情報とに基づいて、画像データと、その画像データが記憶される記憶部80の階層とを特定し、その画像データに基づく画像を用紙Tに形成させる。
なお、制御部90は、挿入部110からUSBメモリー400が抜かれた場合には、ログアウト処理を行うことが好ましい。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の複合機1及び画像形成システム300によれば、以下の効果が奏される。
すなわち、本実施形態の複合機1は、画像データを記憶部80の任意の階層に記憶させる記憶制御部91と、記憶制御部91によって画像データが記憶部80に記憶された場合に、画像データが記憶された記憶部80の階層を示す情報と画像データに関する情報とを含む第1情報を端末装置200に送信する送信制御部92と、挿入部110に挿入されたUSBメモリー400に端末装置200を介して第1情報が記憶されている場合に、USBメモリー400から第1情報を読み込む読込部93と、読込部93によって読み込まれた第1情報に含まれる記憶部80の階層を示す情報と画像データに関する情報とに基づいて、画像データと、その画像データが記憶される記憶部80の階層とを特定し、その画像データに基づく画像を用紙Tに形成するようエンジン部3を制御する画像形成制御部94と、を主に備える。これにより、複合機1は、USBメモリー400に第1情報が記憶される場合には、その第1情報に対応する画像を自動的に用紙Tに形成するので、ユーザーによる画像形成の対象となる画像データの選択等の操作を必要としない。よって、複合機1では、画像形成処理を実行するまでに時間がかかることはなく、画像形成処理を素早く実行することができる。
【0046】
また、複合機1は、読込部93によって第1情報が読み込まれた場合に、第1情報に含まれる認証情報に基づいてログイン認証を行う認証部95と、認証部95によるログイン認証の結果に基づいて、ログイン処理を行うログイン処理部96と、をさらに備える。これにより、複合機1は、第1情報が記憶されているUSBメモリー400が挿入部110に挿入されると、自動的にログイン認証とログイン処理とを行うので、パスワードを入力するために複合機1の上述したテンキーの操作を必要としない。よって、複合機1は、画像データに基づく画像の秘密性を維持することができる。
【0047】
また、複合機1は、第1情報に画像形成に関する設定情報が含まれている場合には、その設定情報に基づいた画像形成を行う。これにより、複合機1は、ユーザーの意図した画像形成を行うことができる。
【0048】
また、画像形成システム300は、複合機1の挿入部110に挿入されたUSBメモリー400に第1情報が記憶される場合には、その第1情報に対応する画像を複合機1のエンジン部3によって自動的に用紙Tに形成させるので、ユーザーによる画像形成の対象となる画像データの選択等の操作を必要としない。よって、画像形成システム300では、画像形成処理を実行するまでに時間がかかることはなく、画像形成処理を素早く実行することができる。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の形態で実施することができる。
本実施形態の複合機1は、カラー複合機であるが、この形態に限定されることはなく、モノクロ複合機であってもよい。
また、本実施形態の複合機1は、中間転写ベルト48を介して用紙Tにトナー画像を転写している(間接転写方式)が、この形態に限定されることはなく、感光体ドラムに形成されたトナー画像を直接に用紙Tに転写してもよい(直接転写方式)。
また、本実施形態の複合機1は、用紙Tの片面を印刷する構成であるが、これに限定されることはなく、用紙の両面を印刷する構成であってもよい。
【0050】
また、本発明の画像形成装置は、上述した複合機1に限定されることはない。すなわち、本発明の画像形成装置は、コピー機やプリンターであってもよい。
また、本発明の画像形成装置によってトナー画像が定着される被画像形成媒体は用紙Tに限定されることはなく、例えば、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)シート等のフィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…複合機(画像形成装置)、3…エンジン部、80…記憶部、91…記憶制御部、92…送信制御部、93…読込部、94…画像形成制御部、95…認証部、96…ログイン処理部、110…挿入部、300…画像形成システム、400…USBメモリー(外部記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して端末装置に接続する画像形成装置であって、
被画像形成媒体に画像を形成するエンジン部と、
記憶部と、
画像データを前記記憶部の任意の階層に記憶させる記憶制御部と、
前記記憶制御部によって画像データが前記記憶部に記憶された場合に、画像データが記憶された前記記憶部の階層を示す情報と画像データに関する情報とを含む第1情報を前記端末装置に送信する送信制御部と、
外部記憶部が挿入される挿入部と、
前記挿入部に挿入された前記外部記憶部に前記端末装置を介して前記第1情報が記憶されている場合に、前記外部記憶部から前記第1情報を読み込む読込部と、
前記読込部によって読み込まれた前記第1情報に含まれる前記記憶部の階層を示す情報と画像データに関する情報とに基づいて、画像データと、当該画像データが記憶される前記記憶部の階層とを特定し、当該画像データに基づく画像を被画像形成媒体に形成するよう前記エンジン部を制御する画像形成制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
認証情報に基づいてログイン認証を行う認証部と、
前記認証部によるログイン認証の結果に基づいて、ログイン処理を行うログイン処理部と、をさらに備え、
前記第1情報は、さらに認証情報を含み、
前記認証部は、前記読込部によって第1情報が読み込まれた場合に、第1情報に含まれる認証情報に基づいてログイン認証を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1情報は、さらに画像形成に関する設定情報を含む
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置と、通信ネットワークを介して前記画像形成装置に接続する端末装置とを備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
被画像形成媒体に画像を形成するエンジン部と、
記憶部と、
画像データを前記記憶部の任意の階層に記憶させる記憶制御部と、
前記記憶制御部によって画像データが前記記憶部に記憶された場合に、画像データが記憶された前記記憶部の階層を示す情報と画像データに関する情報とを含む第1情報を前記端末装置に送信する送信制御部と、
外部記憶部が挿入される挿入部と、
前記挿入部に挿入された前記外部記憶部に前記端末装置を介して前記第1情報が記憶されている場合に、前記外部記憶部から前記第1情報を読み込む読込部と、
前記読込部によって読み込まれた前記第1情報に含まれる前記記憶部の階層を示す情報と画像データに関する情報とに基づいて、画像データと当該画像データが記憶される前記記憶部の階層とを特定し、当該画像データに基づく画像を被画像形成媒体に形成するよう前記エンジン部を制御する画像形成制御部と、
を備える画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−29887(P2013−29887A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163579(P2011−163579)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】