説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】トナー粒子から遊離した外添剤をトナー粒子と共に像保持体の表面から除去する画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー粒子と体積平均粒径70nm以上400nm以下で平均円形度0.5以上0.9以下の外添剤とを有する静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像剤を収納し、前記静電荷像現像剤により静電荷像が表面に形成される像保持体の表面に接触してクリーニングする静電ブラシであって、直流成分(DC)に周波数0.5kHz以上2.0kHz以下の交流成分(AC)を重畳した印加電圧を印加された状態でクリーニングする静電ブラシを備える画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静電電位の差による潜像が無端状の周面に形成される像保持体と、像保持体上の潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を、搬送される記録媒体に直接転写するか、又は中間転写体に一旦転写した後、搬送される記録媒体に転写する転写装置と、トナー像を転写した後の像保持体上に残るトナーを除去するクリーニングブレードと、像保持体に接触するブラシ状部材と、を有し、前記トナーには、少なくともシリカ、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)及び潤滑剤が添加され、クリーニングブレードは、像保持体の周面の移動方向における上流側に先端を向けるとともに、先端が下方を向くように配置されており、ブラシ状部材は、像保持体の周面に付着して負極性に帯電しているシリカを除去するように交流バイアス電圧が印加されるものであることを特徴とする画像形成装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−230772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、トナー粒子から遊離した外添剤をトナー粒子と共に像保持体の表面から除去する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
トナー粒子と体積平均粒径70nm以上400nm以下で平均円形度0.5以上0.9以下の外添剤とを有する静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像剤が収納され、前記静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記像保持体の表面に接触してクリーニングするクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードよりも前記像保持体の回転方向上流側の前記像保持体の表面に接触してクリーニングする静電ブラシであって、直流成分(DC)に周波数0.5kHz以上2.0kHz以下の交流成分(AC)を重畳した印加電圧を印加された状態でクリーニングする静電ブラシと、を有するクリーニング手段と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、
前記外添剤の体積平均粒径が80nm以上150nm以下である請求項1に記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項3に係る発明は、
前記外添剤の平均円形度が0.5以上0.7以下である請求項1又は2に記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項4に係る発明は、
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
トナー粒子と体積平均粒径70nm以上400nm以下で平均円形度0.5以上0.9以下の外添剤とを有する静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
クリーニングブレードにより前記像保持体の表面をクリーニングすると共に、前記クリーニングブレードよりも前記像保持体の回転方向上流側で、直流成分(DC)に周波数0.5kHz以上2.0kHz以下の交流成分(AC)を重畳した印加電圧を印加した静電ブラシにより、前記像保持体の表面に接触してクリーニングするクリーニング工程と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、体積平均粒径70nm以上400nm以下で平均円形度0.5以上0.9以下の外添剤を有するトナーを含有する静電荷像現像剤を用いた画像形成装置において、静電ブラシに印加する交流成分の周波数を0.5kHz以上2.0kHz以下の範囲外とした場合に比べ、トナー粒子から遊離した外添剤をトナー粒子と共に像保持体の表面から除去する画像形成装置が得られる。
請求項2に係る発明によれば、体積平均粒径80nm以上150nm以下の範囲外である外添剤を有するトナーを用いた画像形成装置に比べ、外添剤のトナー粒子からの遊離を抑制しつつ、外添剤のトナー粒子への埋没を抑制し、転写性を維持する画像形成装置が得られる。
請求項3に係る発明によれば、平均円形度が0.5以上0.7以下の範囲内である外添剤を有するトナーを含有する静電荷像現像を用いた画像形成装置であっても、静電ブラシに印加する交流成分の周波数を0.5kHz以上2.0kHz以下の範囲外とした場合に比べ、トナー粒子から遊離した外添剤をトナー粒子と共に像保持体の表面から除去する画像形成装置が得られる。
請求項4に係る発明によれば、体積平均粒径70nm以上400nm以下で平均円形度0.5以上0.9以下の外添剤を有するトナーを含有する静電荷像現像剤を用いた画像形成方法において、静電ブラシに印加する交流成分の周波数を0.5kHz以上2.0kHz以下の範囲外とした場合に比べ、トナー粒子から遊離した外添剤をトナー粒子と共に像保持体の表面から除去する画像形成方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】他の本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
【0012】
[画像形成装置]
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、形成した静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に転写した後の像保持体表面に残っている静電荷像現像用トナーを除去するクリーニング手段と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。
ここで、現像手段は、トナー粒子と体積平均粒径70nm以上400nm以下で平均円形度0.5以上0.9以下の外添剤とを有する静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像剤が収納されている。
また、クリーニング手段は、像保持体の表面に接触してクリーニングするクリーニングブレードと、クリーニングブレードよりも像保持体の回転方向上流側の前記像保持体の表面に接触してクリーニングする静電ブラシとを有している。
そして、静電ブラシには、直流成分(DC)に重畳した交流成分(AC)が周波数0.5kHz以上2.0kHz以下の印加電圧が印加される。
【0013】
本実施形態に係る画像形成装置は、上記の構成をとることにより、トナー粒子から遊離した外添剤をトナー粒子と共に像保持体の表面から除去する。
【0014】
従来、トナーの外添剤として使用されてきた大径で球状の外添剤は、トナーに対する経時での外部負荷により外添剤がトナー粒子に埋没することで生じる転写性低下の抑制に有効とされている。
一方、外添剤は、粒径が小さいほうがトナー粒子表面から脱離しにくく、球状よりも異形であるほうがクリーニングブレードをすり抜けにくくなるので、トナー粒子から脱離し難くなると共に、脱離したとしても、クリーニングブレードをすり抜け、繰り返しクリーニングブレードによって摺擦されることによって、像保持体へ固着することが抑制される。
しかし、異形状の外添剤は、球状の外添剤に比べ像保持体への付着力が強まり、クリーニングブレードにより除去し難くなることがある。
また、トナー粒子から遊離した異形状の外添剤のクリーニング性を向上させる目的として、クリーニングブレード上流に静電ブラシを設置する事が考えられるが、従来の静電ブラシでは、トナー粒子はクリーニングできても、トナー粒子から遊離した外添剤を共に除去し難いのが現状である。
【0015】
これに対して、本実施形態に係る画像形成装置においては、体積平均粒径が70nm以上400nm以下であり、平均円形度が0.5以上0.9以下の外添剤、つまり、小径で、異形の外添剤を有する静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像剤を収納することで、外添剤が、トナー粒子へ埋没したり、トナー粒子から脱離してクリーニングブレードですり抜けることを、抑制する。
これにより、トナーの転写維持性が向上し、外添剤の像保持体への固着が抑制される。
加えて、クリーニング手段において、クリーニングブレードよりも像保持体の回転方向上流側でクリーニングする静電ブラシに対し、直流成分(DC)に周波数0.5kHz以上2.0kHz以下の交流成分(AC)を重畳した印加電圧を印加した状態とし、該静電ブラシによりクリーニングすることで、その後、クリーニングブレードにより像保持体の表面から、トナー粒子と共にトナー粒子から遊離した外添剤が除去され易くなる。
【0016】
これは、小径で、異形の外添剤は、直流成分(DC)に周波数0.5kHz以上2.0kHz以下の交流成分(AC)を重畳した印加電圧を印加した静電ブラシに接触すると、静電ブラシ自体の物理的な掻き取り力が付与されると共に、トナー粒子とトナー粒子から遊離した外添剤に共通して静電的作用が働くことになり、外添剤の像保持体に対する付着力が弱められ、その結果、静電ブラシよりも像保持体の回転方向下流側にあるクリーニングブレードにより除去されると考えられるためである。
【0017】
以上から、本実施形態に係る画像形成装置では、トナー粒子から遊離した外添剤が、トナー粒子と共に像保持体の表面から除去されると考えられる。
【0018】
以下、本実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
本実施形態に係る画像形成装置101は、図1に示すように、例えば、矢印Aで示すように、時計回り方向に回転する電子写真感光体10(像保持体として)と、電子写真感光体10の上方に、電子写真感光体10に相対して設けられ、電子写真感光体10の表面を帯電させる帯電装置20(帯電手段の一例)と、帯電装置20により帯電した電子写真感光体10の表面に露光して、静電荷像を形成する露光装置30(静電荷像形成手段の一例)と、露光装置30により形成された静電荷像に現像剤に含まれるトナーを付着させて電子写真感光体10の表面にトナー像を形成する現像装置40(現像手段の一例)と、記録紙P(被転写媒体)をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて記録紙Pに電子写真感光体10上のトナー像を転写させる転写装置50と、電子写真感光体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70(トナー除去手段の一例)とを備える。そして、トナー像が形成された記録紙Pを搬送しつつ、トナー像を定着させる定着装置60が設けられている。
【0020】
以下、本実施形態に係る画像形成装置101における主な構成部材の詳細について説明する。
【0021】
(電子写真感光体)
電子写真感光体10は、導電性支持体上に下引層が設けられ、下引層の上に感光層として電荷発生層及び電荷輸送層が設けられ、さらに最表面層となる表面保護層が設けられたものが挙げられる。
また、電子写真感光体10は、電荷発生層と電荷輸送層とに機能が分離された感光層を備えているが、下引層の上に電荷輸送層、電荷発生層、表面保護層が順次設けられているものであってもよい。
さらに、電子写真感光体10は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層、すなわち単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)に含有し、感光層の上には表面保護層が設けられていてもよい。
電子写真感光体10としては、特に制限なく、公知の感光体が適用されるが、電荷発生層と電荷輸送層を分離した、いわゆる機能分離型と呼ばれる構造の有機感光体が好適に適用される。また、電子写真感光体10は、その表面層が電荷輸送性を有し架橋構造を有する保護層で被覆されているものも好適に適用される。この保護層の架橋成分としてシロキサン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、アクリル樹脂で構成された感光体も好適に適用される。
【0022】
(帯電装置)
帯電装置20としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。また、帯電装置20としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も挙げられる。帯電装置20としては、接触型帯電器がよい。
【0023】
(露光装置)
露光装置30としては、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザーの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
【0024】
(静電荷像現像剤)
現像装置40に使用される静電荷像現像剤について説明する。
静電荷像現像剤は、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称する場合がある)を少なくとも含むものであり、トナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
トナーは、トナー粒子と、外添剤と、を含んで構成されており、外添剤は、体積平均粒径が70nm以上400nm以下で、平均円形度が0.5以上0.9以下である。
【0025】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア、樹脂分散型キャリア等が挙げられる。
【0026】
前記二成分現像剤における、本実施形態に係るトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲が望ましく、3:100乃至20:100程度の範囲がより望ましい。
【0027】
まず、外添剤について説明する。
外添剤は、体積平均粒径が70nm以上400nm以下で、平均円形度が0.5以上0.9以下である。
【0028】
外添剤の体積平均粒径は、70nm以上400nm以下であるが、望ましくは80nm以上150nm以下で、より望ましくは90nm以上120nm以下である。
外添剤の体積平均粒径を70nm以上とすることにより、外添剤としての機能(スペーサー機能)が確保される。
一方、外添剤の体積平均粒径を400nm以下とすることにより、トナー粒子からの遊離が抑制されると共に、機械的負荷による欠損が抑制される。
さらに、外添剤の体積平均粒径は、80nm以上150nm以下となることで、外添剤のトナー粒子からの遊離の抑制と共に、外添剤のトナー粒子への埋没の抑制との両立が実現すると考えられる。
これにより、トナーの転写維持性が向上し、外添剤の像保持体への固着が抑制されると考えられる。
【0029】
外添剤の体積平均粒径は、トナー粒子にシリカ粒子を分散させた後のシリカ粒子の一次粒子100個をSEM(Scanning Electron Microscope)装置により観察し、一次粒子の画像解析によって粒子ごとの最長径、最短径を測定し、この中間値から球相当径を測定する。得られた球相当径の累積頻度における50%径(D50v)を外添剤の体積平均粒径とする。
【0030】
外添剤の平均円形度は、0.5以上0.9以下であるが、0.5以上0.7以下が望ましく、0.55以上0.65以下がより望ましい。
外添剤の平均円形度を0.5以上とすることにより、機械的負荷が加わった場合に応力集中を抑制し、機械的負荷による欠損が抑えられる。
一方、外添剤の平均円形度を0.9以下とすることにより、外添剤が異形状となり、クリーニングブレードと像保持体との接触部での外添剤のすり抜けが抑制される。
また、本実施形態に係る画像形成装置においては、外添剤の平均円形度が0.5以上0.7以下といった異形の度合いが高まると、像保持体表面への接触面積が高まり易く、像保持体から除去しにくくなる傾向となるが、この場合においても、クリーニングブレードと共に像保持体表面のトナー粒子及び外添剤を除去する静電ブラシに印加する交流成分の周波数を0.5kHz以上2.0kHz以下とすることにより、トナー粒子から遊離した外添剤が、トナー粒子と共に像保持体の表面から除去され易くなると考えられる。
【0031】
外添剤の円形度は、トナー粒子にシリカ粒子を分散させた後の外添剤の一次粒子を、SEM装置により観察し、得られた一次粒子の画像解析から、下記式により算出される「100/SF2」として得られる。
円形度(100/SF2)=4π×(A/I
〔式中、Iは画像上におけるシリカ粒子の一次粒子の周囲長を示し、Aは外添剤の一次粒子の投影面積を表す。SF2は形状係数を表す。
そして、外添剤の平均円形度は、上記画像解析によって得られた一次粒子100個の円相当径の累積頻度における50%円形度として得られる。
【0032】
外添剤としては、上記特性を満たす、無機粒子、有機粒子等、周知のものが挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ(例えば、フュームドシリカ、ゾルゲルシリカ等)、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム、酸化スズ、酸化鉄等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。
有機粒子としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。
これら外添剤は、表面に疎水化処理が施されていることがよい。
【0033】
これら外添剤の中でも、外添剤としては、シリカ粒子であることが望ましい。
シリカ粒子としては、例えば、水ガラスを原料としてシリカゾルを得る方法や、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物を原料とし、ゾルゲル法によって粒子を生成する、いわゆる湿式方法によって製造してもよいが、上記特性を満たす異形状のシリカ粒子を得る観点から、下記シリカ粒子の製造方法(以下、本シリカ粒子の製造方法と称する)により得られたものであることがよい。
【0034】
以下、本シリカ粒子の製造方法について説明する。
本シリカ粒子の製造方法は、アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上0.87mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程(以下、「アルカリ触媒溶液準備工程」と称することがある)と、前記アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランを供給すると共に、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1mol当たりに対して0.1mol以上0.4mol以下でアルカリ触媒を供給する工程(以下、「粒子生成工程」と称することがある)と、を有する。
【0035】
つまり、本シリカ粒子の製造方法では、上記濃度のアルカリ触媒が含まれるアルコールの存在下に、原料であるテトラアルコキシシランと、別途、触媒であるアルカリ触媒と、をそれぞれ上記関係で供給しつつ、テトラアルコキシシランを反応させて、シラン粒子を生成する方法である。
本シリカ粒子の製造方法では、上記手法により、粗大凝集物の発生が少なく、上記特性を満たす異形状のシリカ粒子が得られる。
特に、本シリカ粒子の製造方法では、表面が湾曲状で構成された丸みを帯びた異形状のシリカ粒子が得られることから、乾式の製法で得られる表面が鋭角状で尖った突起を持つ異形状のシリカ粒子に比べ、トナー粒子に対する接触面積が大きくなり、異形状のシリカ粒子であっても、トナー粒子からの離脱が抑制され易く、又は、機械的負荷による欠損も抑制され易く、その結果、静電荷像保持体の磨耗を抑えつつ、色筋の発生が抑制され易くなる。
この理由は、定かではないが以下の理由によるものと考えられる。
【0036】
まず、アルコールを含む溶媒中に、アルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備し、この溶液中にテトラアルコキシシランとアルカリ触媒とをそれぞれ供給すると、アルカリ触媒溶液中に供給されたテトラアルコキシシランが反応して、核粒子が生成される。このとき、アルカリ触媒溶液中のアルカリ触媒濃度が上記範囲にあると、2次凝集物等の粗大凝集物の生成を抑制しつつ、円形度の低い核粒子が生成すると考えられる。これは、アルカリ触媒は、触媒作用の他に、生成される核粒子の表面に配位し、核粒子の形状、分散安定性に寄与するが、その量が上記範囲内であると、アルカリ触媒が核粒子の表面を均一に覆わないため(つまりアルカリ触媒が核粒子の表面に偏在して付着するため)、核粒子の分散安定性は保持するものの、核粒子の表面張力及び化学的親和性に部分的な偏りが生じ、円形度の低い核粒子が生成されると考えられるためである。
【0037】
そして、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給をそれぞれ続けていくと、テトラアルコキシシランの反応により、生成した核粒子が成長し、シラン粒子が得られる。ここで、このテトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給を、その供給量を上記関係で維持しつつ行うことで、2次凝集物等の粗大凝集物の生成を抑制しつつ、円形度の低い核粒子がその異形性を保ったまま粒子成長し、結果、円形度の低いシリカ粒子が生成されると考えられる。これは、このテトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給量を上記関係とすることで、核粒子の分散を保持しつつも、核粒子表面における張力と化学的親和性の部分的な偏りが保持されることから、異形性を保ちながらの核粒子の粒子成長が生じると考えられるためである。
【0038】
以上から、本シリカ粒子の製造方法では、粗大凝集物の発生が少なく、異形状のシリカ粒子が得られると考えられる。
そして、本シリカ粒子の製造方法では、異形性を保ちながらの核粒子の粒子成長が生じることから、表面が湾曲状で構成された丸みを帯びた異形状のシリカ粒子が得られると考えられる。
【0039】
ここで、テトラアルコキシシランの供給量は、シリカ粒子の粒度分布や円形度に関係すると考えられる。テトラアルコキシシランの供給量を、0.002mol/(mol・m in)以上0.009mol/(mol・min)以下とすることで、滴下されたテトラアルコキシシランと核粒子との接触確率を下げ、テトラアルコキシシラン同士の反応が起こる前に、テトラアルコキシシランが核粒子に偏りなく供給されると考えられる。従って、テトラアルコキシシランと核粒子との反応を偏り無く生じさせ得ると考えられる。その結果、粒子成長のバラツキを抑制し、分布幅の小さいシリカ粒子を製造し得ると考えられる。
なお、シリカ粒子の体積平均粒径は、テトラアルコキシシランの総供給量に依存すると考えられる。
【0040】
また、本シリカ粒子の製造方法では、異形状の核粒子を生成させ、この異形状を保ったまま核粒子を成長させてシリカ粒子が生成されると考えられることから、機械的負荷に対する形状安定性が高い異形状のシリカ粒子が得られると考えられる。
また、本シリカ粒子の製造方法では、生成した異形状の核粒子が異形状を保ったまま粒子成長され、シリカ粒子が得られると考えられることから、機械的負荷に強く、壊れ難いシリカ粒子が得られると考えられる。
【0041】
また、本シリカ粒子の製造方法では、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とをそれぞれ供給することで、テトラアルコキシシランの反応を生じさて、粒子生成を行っていることから、従来のゾルゲル法による異形シリカ粒子を製造する場合に比べ、総使用アルカリ触媒量が少なくなり、その結果、アルカリ触媒の除去工程の省略も実現される。これは、特に、高純度が求められる製品にシリカ粒子を適用する場合に有利である。
【0042】
次に、アルカリ触媒溶液準備工程について説明する。
アルカリ触媒溶液準備工程は、アルコールを含む溶媒を準備し、これにアルカリ触媒を添加して、アルカリ触媒溶液を準備する。
【0043】
アルコールを含む溶媒は、アルコール単独の溶媒であってもよいし、必要に応じて水、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の他の溶媒との混合溶媒であってもよい。
混合溶媒の場合、アルコールの他の溶媒に対する量は80質量%以上(望ましくは90質量%以上)であることがよい。
なお、アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
【0044】
一方、アルカリ触媒としては、テトラアルコキシシランの反応(加水分解反応、縮合反応)を促進させるための触媒であり、例えば、アンモニア、尿素、モノアミン、四級アンモニウム塩等の塩基性触媒が挙げられ、特にアンモニアが望ましい。
【0045】
アルカリ触媒の濃度(含有量)は、0.6mol/L以上0.87mol/Lであり、望ましくは0.63mol/L以上0.78mol/Lであり、より望ましくは0.66mol/L以上0.75mol/Lである。
アルカリ触媒の濃度が、0.6mol/Lより少ないと、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成されたり、ゲル化状となったりして、粒度分布が悪化することがある。
一方、アルカリ触媒の濃度が、0.87mol/Lより多いと、生成した核粒子の安定性が過大となり、真球状の核粒子が生成され、平均円形度が0.90以下の異形状の核粒子が得ることが困難となることがある。
なお、アルカリ触媒の濃度は、アルコール触媒溶液(アルカリ触媒+アルコールを含む溶媒)に対する濃度である。
【0046】
粒子生成工程について説明する。
粒子生成工程は、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランと、アルカリ触媒と、をそれぞれ供給し、当該アルカリ触媒溶液中で、テトラアルコキシシランを反応(加水分解反応、縮合反応)させて、シリカ粒子を生成する工程である。
この粒子生成工程では、テトラアルコキシシランの供給初期に、テトラアルコキシシランの反応により核粒子が生成した後(核粒子生成段階)、この核粒子の成長を経て(核粒子成長段階)、シリカ粒子が生成する。
【0047】
アルカリ触媒溶液中に供給するテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられるが、反応速度の制御性や得られるシリカ粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランがよい。
【0048】
テトラアルコキシシランの供給量は、アルカリ触媒溶液中のアルコールに対して、0.002mol/(mol・min)以上0.009mol/(mol・min)以下とする。
これは、アルカリ触媒溶液を準備する工程で用いたアルコール1molに対して、1分間当たり0.002mol以上0.009mol以下の供給量でテトラアルコキシシランを供給することを意味する。
なお、シリカ粒子の粒径については、テトラアルコキシシランの種類や、反応条件にもよるが、粒子生成の反応に用いるテトラアルコキシシランの総供給量を、例えばシリカ粒子分散液1Lに対し0.756mol以上とすることで、粒径が70nm以上の一次粒子が得られ、シリカ粒子分散液1Lに対し4.4mol以下とすることで、粒径が400nm以下の一次粒子が得られる。
【0049】
テトラアルコキシシランの供給量が、0.002mol/(mol・min)より少ないと、滴下されたテトラアルコキシシランと核粒子との接触確率をより下げることにはなるが、テトラアルコキシシランの総供給量を滴下し終わるまでに長時間を要し、生産効率が悪い。
テトラアルコキシシランの供給量が0.009mol/(mol・min)を超えると、滴下されたテトラアルコキシシランと核粒子とが反応する前に、テトラアルコキシシラン同士の反応を生じさせることになると考えられる。そのため、核粒子へのテトラアルコキシシラン供給の偏在化を助長し、核粒子形成のバラツキをもたらす。
【0050】
テトラアルコキシシランの供給量は、0.002mol/(mol・min)以上0.0045mol/(mol・min)以下が望ましく、より望ましくは、0.002mol/(mol・min)以上0.0035mol/(mol・min)以下である。
【0051】
一方、アルカリ触媒溶液中に供給するアルカリ触媒は、上記例示したものが挙げられる。この供給するアルカリ触媒は、アルカリ触媒溶液中に予め含まれるアルカリ触媒と同じ種類のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよいが、同じ種類のものであることがよい。
【0052】
アルカリ触媒の供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1mol当たりに対して0.1mol以上0.4mol以下とし、望ましくは0.14mol以上0.35mol以下、より望ましくは0.18mol以上0.30mol以下である。
アルカリ触媒の供給量が、0.1molより少ないと、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成したり、ゲル化状となったりして、粒度分布が悪化することがある。
一方、アルカリ触媒の供給量が、0.4molより多いと、生成した核粒子の安定性が過大となり、核粒子生成段階で円形度の低い核粒子が生成されても、その核粒子成長段階で核粒子が球状に成長し、円形度の低いシリカ粒子が得られない場合がある。
【0053】
ここで、粒子生成工程において、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランと、アルカリ触媒と、をそれぞれ供給するが、この供給方法は、連続的して供給する方式であってもよいし、間欠的に供給する方式であってもよい。
【0054】
また、粒子生成工程において、アルカリ触媒溶液中の温度(供給時の温度)は、例えば、5℃以上50℃以下であることがよく、望ましくは15℃以上40℃以下の範囲である。
【0055】
以上の工程を経て、シリカ粒子が得られる。この状態で、得られるシリカ粒子は、分散液の状態で得られるが、溶媒を除去してシリカ粒子の粉体として取り出して用いられる。
【0056】
シリカ粒子分散液の溶媒除去方法としては、例えば、1)濾過、遠心分離、蒸留などにより溶媒を除去した後、真空乾燥機、棚段乾燥機などにより乾燥する方法、2)流動層乾燥機、スプレードライヤーなどによりスラリーを直接乾燥する方法など、公知の方法が挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、望ましくは200℃以下である。200℃より高いとシリカ粒子表面に残存するシラノール基の縮合による一次粒子同士の結合や粗大粒子の発生が起こり易くなる。
乾燥されたシリカ粒子は、必要に応じて解砕、篩分により、粗大粒子や凝集物の除去を行うことがよい。解砕方法は、特に限定されないが、例えば、ジェットミル、振動ミル、ボールミル、ピンミルなどの乾式粉砕装置により行う。篩分方法は、例えば、振動篩、風力篩分機など公知のものにより行う。
【0057】
ここで、本シリカ粒子の製造方法により得られるシリカ粒子は、疎水化処理剤によりシリカ粒子の表面を疎水化処理して用いていてもよい。
疎水化処理剤としては、例えば、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を有する公知の有機珪素化合物が挙げられ、具体例には、例えば、シラザン化合物(例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなどのシラン化合物、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等)等が挙げられる。疎水化処理剤は、1種で用いてもよいし、複数種用いてもよい。
【0058】
これら疎水化処理剤の中も、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのトリメチル基を有する有機珪素化合物が好適である。
疎水化処理剤の使用量は、特に限定はされないが、疎水化の効果を得るためには、例えば、シリカ粒子に対し、1質量%以上100質量%以下、望ましくは5質量%以上80質量%以下である。
【0059】
疎水化処理剤による疎水化処理が施された疎水性シリカ粒子分散液を得る方法としては、例えば、シリカ粒子分散液に疎水化処理剤を必要量添加し、攪拌下において30℃以上80℃以下の温度範囲で反応させることで、シリカ粒子に疎水化処理を施し、疎水性シリカ粒子分散液を得る方法が挙げられる。この反応温度が30℃より低温では疎水化反応が進行し難く、80℃を越えた温度では疎水化処理剤の自己縮合による分散液のゲル化やシリカ粒子同士の凝集などが起り易くなることがある。
一方、粉体の疎水性シリカ粒子を得る方法としては、上記方法で疎水性シリカ粒子分散液を得た後、上記方法で乾燥して疎水性シリカ粒子の粉体を得る方法、シリカ粒子分散液を乾燥して親水性シリカ粒子の粉体を得た後、疎水化処理剤を添加して疎水化処理を施し、疎水性シリカ粒子の粉体を得る方法、疎水性シリカ粒子分散液を得た後に乾燥して疎水性シリカ粒子の粉体を得た後、更に疎水化処理剤を添加して疎水化処理を施し、疎水性シリカ粒子の粉体を得る方法等が挙げられる。
【0060】
ここで、粉体のシリカ粒子を疎水化処理する方法としては、ヘンシェルミキサーや流動床などの処理槽内で粉体の親水性シリカ粒子を攪拌し、そこに疎水化処理剤を加え、処理槽内を加熱することで疎水化処理剤をガス化して粉体のシリカ粒子の表面のシラノール基と反応させる方法が挙げられる。処理温度は、特に限定されないが、例えば、80℃以上300℃以下がよく、望ましくは120℃以上200℃以下である。
【0061】
以上説明した外添剤は、後述のトナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上5.0質量部以下で添加することが望ましく、より望ましくは0.7質量部以上4.0質量部以下であり、さらに望ましくは0.9質量部以上3.5質量部以下である。
【0062】
次に、トナー粒子について説明する。
トナー粒子として具体的には、例えば、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
【0063】
結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体、さらにはこれらの混合物が挙げられる。また、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合樹脂、又は、これらと前記ビニル樹脂との混合物や、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。
【0064】
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂は、例えば、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体を、単独又は組み合わせて公知の方法により得られる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分との中から好適なものを選択して組合せ、例えば、エステル交換法又は重縮合法等、従来公知の方法を用いて合成することで得られる。
【0065】
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂及びこれらの共重合樹脂を結着樹脂として使用する場合、重量平均分子量Mwが20,000以上100,000以下、数平均分子量Mnが2,000以上30,000以下の範囲のものを使用することが好ましい。他方、ポリエステル樹脂を結着樹脂として使用する場合は、重量平均分子量Mwが5,000以上40,000以下、数平均分子量Mnが2,000以上10,000以下の範囲のものを使用することが好ましい。
【0066】
結着樹脂のガラス転移温度は、40℃以上80℃以下の範囲にあるのが望ましい。ガラス転移温度が上記範囲であることにより、最低定着温度が維持され易くなる。
【0067】
着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料が挙げられる。
【0068】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0069】
着色剤の含有量としては、結着樹脂の全質量に対して、1質量%以上30質量%以下の範囲が望ましい。
【0070】
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0071】
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが望ましく、60℃以上であることがより望ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが望ましく、100℃以下であることがより望ましい。
【0072】
離型剤の含有量は、1質量%以上15質量%以下が望ましく、2質量%以上12質量%以下がより望ましく、3質量%以上10質量%以下がさらにより望ましい。
【0073】
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等が挙げられる。
【0074】
トナー粒子の形状係数SF1が125以上140以下(望ましくは125以上135以下、より望ましくは130以上135以下)であり、形状係数SF2が105以上130以下(望ましくは110以上125以下、より望ましくは115以上120以下)であることがよい。
【0075】
トナー粒子の形状係数SF1は、は、下記式により求められる。
・式:形状係数SF1=(ML/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出する。すなわち、スライドガラス表面に散布したトナー粒子の光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個のトナー粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0076】
トナー粒子の形状係数SF2は、次のようにして求める。
走査型電子顕微鏡(例えば日立株式会社製:S−4100など)を用いトナー粒子を観察して画像を撮影し、この画像を画像解析装置(例えばLUZEXIII、ニレコ社製)に取り込み100個の各々のトナー粒子について、次式に基づいてSF2を算出し、その平均値を求めて、形状係数SF2とする。なお、電子顕微鏡は1視野中に外添剤が3個以上20個以下程度写るように倍率を調整し、複数視野の観察を合わせて次式に基づいてSF2を算出した。
・式:形状係数SF2=「PM/(4・A・π)」×100
ここで、式中、PMは、トナー粒子の周囲長を示す。Aは、トナー粒子の投影面積を示す。πは、円周率を示す。
【0077】
トナー粒子の体積平均粒径としては、2μm以上10μm以下が望ましく、4μm以上8μm以下がより望ましい。
【0078】
トナー粒子の体積平均粒径の測定は、コールターマルチサイザー−II型(ベックマン−コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で測定する。この時、測定は、トナー粒子を電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5乃至50mg加え、これを前記電解液100乃至150ml中に添加する。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で1分間分散処理を行い、粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000である。
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径を体積平均粒径と定義する。
【0079】
次に、トナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤としての外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子の製造方法としては、湿式造粒法により行われることが望ましい。湿式造粒法としては、例えば、公知の溶融懸濁法、乳化凝集・合一法、溶解懸濁法等の方法が挙げられる。
得られたトナー粒子に外添剤を外添する方法としては、例えば、V型ブレンダーやヘンシェルミキサーやレディゲミキサー等の公知の混合機によって混合する方法が挙げられる。
【0080】
(転写装置)
転写装置50としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
【0081】
(クリーニング装置)
クリーニング装置70は、例えば、筐体71と、クリーニングブレード72と、クリーニングブレード72の電子写真感光体10回転方向上流側に配置される静電ブラシ73と、を含んで構成されている。
【0082】
まず、静電ブラシ73について説明する。
静電ブラシ73は、クリーニングブレード72の電子写真感光体10の回転方向上流側に、電子写真感光体10と接触して配置されている。
【0083】
静電ブラシ73は、静電ブラシに電圧を印加する手段として、電源73−1が接続されている。
【0084】
電源73−1により静電ブラシ73に印加する印加電圧は、直流成分(DC)に交流成分(AC)を重畳したものである。重畳する交流成分(AC)の周波数は、0.5kHz以上2.0kHz以下であり、0.8kHz以上1.5kHz以下が望ましく、1.0kHz以上1.2kHz以下がより望ましい。
交流成分(AC)のピーク間電圧としては、例えば、0.5KV以上1.5KV以下がよく、0.7KV以上1.3KV以下が望ましく、0.8KV以上1.2KV以下がより望ましい。
直流成分(DC)は、例えば、0V以上300V以下がよく、50V以上200V以下が望ましく、100V以上150V以下がより望ましい。
重畳する交流成分(AC)の周波数が上記範囲内である印加電圧で印加した静電ブラシで像保持体の表面をクリーニングすることによって、その後、クリーニングブレードによる像保持体表面のトナー粒子とトナー粒子から遊離した外添剤との除去が容易になると考えられる。
【0085】
静電ブラシ73の構成としては、繊維が円柱状(又は円筒状)や板状といった形状の基材の外周に束になって突出して設けられたものが挙げられるが、基材はこれらの形状に限定されるものではない。なお、本実施形態においては、円柱状(円筒状)の基材に、繊維が束となって突出して設けられたロール状の静電ブラシを示している。
静電ブラシ73における繊維の材料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物等の導電性フィラーを含有させた、例えば、ナイロン、アクリル、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂、又は、前記導電性フィラーを表面に被覆した繊維が挙げられる。
【0086】
静電ブラシ73の繊維は、例えば、繊維密度が15×103本/inch2以上120×103本/inch2以下(23.4本/mm2以上186本/mm2以下)、繊維長さが1.0mm以上7.0mm以下、繊維の太さが0.5デニール以上30デニール以下のものが採用される。
静電ブラシ73における繊維の電子写真感光体10の表面への進入量は例えば0.3mm以上1.5mm以下がよい。
【0087】
静電ブラシ73の回転速度は、電子写真感光体10の周速に応じて変えるのがよいが、例えば、電子写真感光体10との相対速度比が0.5以上1.5以下であることがよい。また、静電ブラシ73の回転方向は、電子写真感光体10の回転方向と同方向でも、逆方向であってもよい。
【0088】
次に、クリーニングブレード72について説明する。
クリーニングブレード72は、電子写真感光体10の回転軸に沿った方向に延びた板状のものであって、電子写真感光体10の回転方向(矢印A)の上流側に、先端部が圧力を掛けつつ接触されるように設けられている。
【0089】
ここで、電子写真感光体10とクリーニングブレード72との間にキャリアが挟まっても、電子写真感光体10の表面に傷や偏磨耗が生じるのを抑制する観点から、クリーニングブレード72は以下に説明する各設定で配置することがよい。
【0090】
クリーニングブレード72の構成としては、単層構成であっても、複層構成であってもよい。
クリーニングブレード72を構成する材料としては、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、プロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。これらの中で、ウレタンゴムがよい。
ウレタンゴム(ポリウレタン)は、例えば、通常ポリウレタンの形成に用いられるものであれば特に限定されないが、例えばポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどのポリエステルポリオールなどのポリオールとジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー及びたとえば1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの架橋剤を原料とするものよい。
【0091】
クリーニングブレード72を上記ウレタンゴム(ポリウレタン)から製造する際には、通常、用いられるポリウレタン成形方法を用いればよく、例えば、以下に示す方法等を挙げられる。まず、脱水処理を行った上記ポリオールと上記イソシアネートとを混合し、温度100℃以上120℃以下で30分間以上90分間以下反応させて得られるプレポリマーに、上記架橋剤等を加えて、140℃に予熱した遠心成形機の金型内に注入し、30分間以上60分間以下硬化させる。上記硬化反応後、金型から取り出すことにより、厚さ2mm以上3mm以下の円柱状のシート体を得る。これを短冊状にカットし、クリーニングブレード72を得る。
【0092】
なお、各クリーニングブレードの特性(永久伸びやヤング率等)は、その構成材料種等により調整される。
【0093】
以下、本実施形態に係る画像形成装置101の動作について説明する。まず、電子写真感光体10が矢印aで示される方向に沿って回転すると同時に、帯電装置20により負に帯電する。
【0094】
帯電装置20によって表面が負に帯電した電子写真感光体10は、露光装置30により露光され、表面に静電荷像が形成される。
【0095】
電子写真感光体10における静電荷像の形成された部分が現像装置40に近づくと、現像装置40(現像ロール41)により、静電荷像にトナーが付着し、トナー像が形成される。
【0096】
トナー像が形成された電子写真感光体10が矢印aの方向にさらに回転すると、転写装置50によりトナー像は記録紙Pに転写される。これにより、記録紙Pにトナー像が形成される。
【0097】
画像が形成された記録紙Pは、定着装置60でトナー像が定着される。
【0098】
つまり、本実施形態に係る画像形成装置101によれば、感光体(像保持体の一例として)の表面を帯電する帯電工程と、帯電した前記感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、トナー粒子と体積平均粒径70nm以上400nm以下で平均円形度0.5以上0.9以下の外添剤とを有する静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像剤により静電荷像を現像してトナー像を形成する現像工程と、トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、クリーニングブレードにより感光体の表面をクリーニングすると共に、クリーニングブレードよりも感光体の回転方向上流側で、直流成分(DC)に周波数0.5kHz以上2.0kHz以下の交流成分(AC)を重畳した印加電圧を印加した静電ブラシにより、感光体の表面に接触してクリーニングするクリーニング工程と、記録媒体にトナー像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
上記画像形成方法により、トナー粒子から遊離した外添剤がトナー粒子と共に感光体の表面から除去される。
【0099】
なお、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限られず、例えば、電子写真感光体10の周囲であって、転写装置50よりも電子写真感光体10の回転方向下流側でクリーニング装置70よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、残留したトナーの極性を揃え、静電ブラシで除去しやすくするための第1除電装置を設けた形態であってもよいし、クリーニング装置70よりも電子写真感光体の回転方向下流側で帯電装置20よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、電子写真感光体10の表面を除電する第2除電装置を設けた形態であってもよい。
【0100】
また、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限られず、周知の構成、例えば、電子写真感光体10に形成したトナー像を中間転写体に転写した後、記録紙Pに転写する中間転写方式の画像形成装置を採用してもよいし、タンデム方式の画像形成装置を採用してもよい。
【実施例】
【0101】
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお以下の説明において、特に断りがない限り、「部」「%」は全て「質量部」「質量%」を意味する。
【0102】
[トナー粒子1の作製]
−樹脂粒子分散液1の調製−
スチレン(和光純薬製):320部
nブチルアクリレート(和光純薬製):80部
βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製):9部
1’10デカンジオールジアクリレート(新中村化学製):1.5部
ドデカンチオール(和光純薬製):2.7部
【0103】
上記成分を混合溶解したものに、アニオン性界面活性剤ダウファックス(ダウケミカル社製)4部をイオン交換水550部に溶解した溶液を加えてフラスコ中で分散、乳化し10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、さらに、過硫酸アンモニウム6部を溶解したイオン交換水50部を投入した。次いでフラスコ内の窒素置換を行った後、フラスコ内の溶液を攪拌しながらオイルバスで70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、固形分量41%のアニオン性の樹脂粒子分散液1を得た。
【0104】
樹脂粒子分散液1中の樹脂粒子は、中心粒径が196nm、ガラス転移温度が51.5℃、重量平均分子量Mwが32400であった。
【0105】
−樹脂粒子分散液2の調製−
スチレン(和光純薬製):280部
nブチルアクリレート(和光純薬製):120部
βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製):9部
【0106】
上記成分を混合溶解したものに、アニオン性界面活性剤ダウファックス(ダウケミカル社製)1.5部をイオン交換水550部に溶解した溶液をフラスコ中で分散、乳化し10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、さらに、過硫酸アンモニウム0.4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。次いでフラスコ内の窒素置換を行った後、フラスコ内の溶液を攪拌しながらオイルバスで70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、固形分量42%のアニオン性の樹脂粒子分散液2を得た。
【0107】
樹脂粒子分散液2中の樹脂粒子は中心粒径が150nm、ガラス転移温度が53.2℃、重量平均分子量Mwが41000、数平均分子量Mnが25000であった。
【0108】
−着色剤粒子分散液1の調製−
C.I.Pigment Yellow74顔料:30部
アニオン性界面活性剤(日本油脂(株)製:ニュ−レックスR):2部
イオン交換水:220部
【0109】
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分予備分散した後に、アルティマイザー(対抗衝突型湿式粉砕機:杉野マシン製)を用い圧力245Mpaで15分間分散処理を行い、着色剤粒子中心粒径が169nmで固形分が22.0%の着色剤粒子分散液1を得た。
【0110】
−離型剤粒子分散液1の調製−
パラフィンワックス HNP9(融解温度75℃:日本精鑞製):45部
カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5部
イオン交換水:200部
【0111】
上記成分を混合し100℃に加熱して、ウルトラタラックスT50(IKA製)にて分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離型剤粒子の中心粒径が196nm、固形分量が22.0%の離型剤粒子分散液1を得た。
【0112】
樹脂粒子分散液1:106部
樹脂粒子分散液2:36部
着色剤粒子分散液1:30部
離型剤粒子分散液1:91部
【0113】
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中においてウルトラタラックスT50(IKA製)で混合・分散した溶液を得た。
次いで、この溶液にポリ塩化アルミニウム0.4部を加えてコア凝集粒子を作製し、ウルトラタラックスを用いて分散操作を継続した。さらに加熱用オイルバスでフラスコ内の溶液を攪拌しながら49℃まで加熱し、49℃で60分保持した後、ここに樹脂粒子分散液1を36部追加し、コア/シェル凝集粒子を作製した。その後、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶液のpHを5.6にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら96℃まで加熱し、5時間保持した後、冷却し、イエローのトナー粒子を得た。
【0114】
次に溶液中に分散した状態のトナー粒子を、濾過し、イオン交換水で洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3Lに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.01、電気伝導度9.8μS/cm、表面張力が71.1Nmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行い、得られた固形物を、12時間かけて真空乾燥させた体積平均粒径6.4μmのトナー粒子1を得た。
【0115】
[外添剤1の作製]
<疎水性シリカ粒子の製造>
(造粒工程)
−アルカリ触媒溶液準備工程〔アルカリ触媒溶液の調製〕−
金属製撹拌棒、滴下ノズル(テフロン(登録商標)製マイクロチューブポンプ)、及び、温度計を有した容積3Lのガラス製反応容器にメタノール300質量部、10%アンモニア水を49.1質量部入れ、攪拌混合して、アルカリ触媒溶液を得た。
【0116】
−粒子生成工程〔シリカ粒子懸濁液の調製〕−
次に、アルカリ触媒溶液の温度を25℃に調整し、アルカリ触媒溶液を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液を撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)450質量部と、触媒(NH)濃度が4.44%のアンモニア水270質量部とを、下記供給量で、同時に滴下を行いシリカ粒子の懸濁液(シリカ粒子懸濁液)を得た。
ここで、テトラメトキシシランの供給量は、5.9質量部/min、4.44%アンモニア水の供給量は、3.54質量部/minとした。
【0117】
(乾燥工程)
次に、得られた親水性シリカ粒子の懸濁液(親水性シリカ粒子分散液)を、スプレードライにより乾燥して、溶媒を除去し、親水性シリカ粒子の粉末を得た。
【0118】
(疎水化処理工程)
得られた親水性シリカ粒子の粉末100質量部をミキサーに入れ、窒素雰囲気下で200℃に加熱しながら200rpmで撹拌し、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を親水性シリカ粒子の粉末に対し、30質量部滴下し2時間反応させた。その後、冷却させ疎水化処理された疎水性シリカ粒子の粉末(S1)を得た。
疎水性シリカ粒子の粉末(S1)を外添剤1とした。
【0119】
[外添剤2〜9の作製]
表1に従って、アルカリ触媒溶液準備工程における10%アンモニア水の量、粒子生成工程におけるテトラメトキシシランの供給量及び4.44%アンモニア水の供給量を変更した以外は、外添剤1と同様にして疎水性シリカ粒子の粉末を作製し、外添剤2〜9とした。
【0120】
[トナー1の作製]
外添剤1(2.0部)をトナー粒子1(100部)に添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して、トナー1を作製した。
【0121】
得られたトナー1の外添剤1について、既述の方法で測定したところ、外添剤1の体積平均粒径が130nm、平均円形度が0.8であった。
【0122】
[静電荷像現像剤1の作製]
上記トナー1(4部)と下記キャリア1(96部)とをV−ブレンダーを用いて40rpmで20分間攪拌し、目開き250μmのシーブで篩って静電荷像現像剤1を作製した。
【0123】
(キャリア1の作製)
フェライト粒子(平均粒径:50μm): 100部
トルエン: 14部
スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分比:90/10): 2部
カーボンブラック(R330:キャボット社製): 0.2部
【0124】
まず、フェライト粒子以外の上記成分を10分間スターラーで撹拌させ、分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れ、60℃で30分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリア1を作製した。
【0125】
[現像剤2〜9の作製]
表2に従って、外添剤を変更した以外は、上記静電荷像現像剤1と同様にして作製した。
【0126】
[実施例1]
まず、上記の静電荷像現像剤1を、富士ゼロックス社製「700DigitalColorPress」改造機(クリーニングブレードと、クリーニングブレードよりも感光体の回転方向下流側に静電ブラシを備えた装置であって、静電ブラシに印加する電圧を可変できるように改造したもの)に収納した。
そして、上記改造機を、交流成分(AC)、直流成分(DC)及び交流成分(AC)のピーク間電圧(KV)が表2の条件になるよう設定し、画像形成した。
【0127】
<評価>
以下の項目について評価し、得られた結果を表2に示す。
【0128】
(1次転写効率の評価)
上記の改造機を用いて、1次転写効率の評価を行った。この画像形成装置は、トナー転写前に強制的に装置を停止させ、感光体上、中間転写体上、紙上(未定着)のトナー量を測定できるようにしたものである。また、定着ロール表面温度を130℃にしたものである。
【0129】
1次転写効率の評価では、29℃85%RHの環境で、富士ゼロックス社製C2紙を用いて、5cm×5cmのパッチを描き、1万枚後の各トナー重量を測定し、下記式により1次転写効率を算出した。
なお、1次転写効率は、95%以上で許容できる範囲とする。
式)1次転写効率=(中間転写体上トナー重量)/(感光体上トナー重量)×100
【0130】
(感光体表面に付着する外添剤量の評価)
画像部と非画像部との、感光体表面に付着する外添剤量は、以下のようにして画像濃度差を測定することで、評価した。
10℃15%RHの環境における同一プロセス方向上で、面積階調率(Cin)100%の画像を10枚出力後、Cin20%の画像を出力し、画像部・非画像部の濃度差を評価。
濃度差は、0.03以下で、許容できる範囲とする。
【0131】
(クリーニング不良の評価)
静電ブラシ及びクリーニングブレードによる感光体表面のクリーニング不良(トナー粒子及びトナー粒子から遊離した外添剤の、クリーニングブレードにおけるすり抜け)の評価は、感光体表面について目視で行った。
【0132】
[実施例2〜7、比較例1〜6]
実施例1の外添剤1を、下記表2に従って外添剤1〜9のいずれかに代えて静電荷像現像剤1〜9を作製し、交流成分(AC)、直流成分(DC)及び交流成分(AC)のピーク間電圧(KV)を表2に従って変更した画像形成装置に収納した以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。
【0133】
【表1】

【0134】
【表2】

【0135】
表2の結果より、本実施例においては、1次転写効率、感光体付着による画像・非画像部の濃度差、クリーニング不良において、比較例に比べて良好な結果が得られた。
【符号の説明】
【0136】
10 電子写真感光体
20 帯電装置
30 露光装置
40 現像装置
41 現像ロール
50 転写装置
60 定着装置
70 クリーニング装置
71 筐体
72 クリーニングブレード
72A 支持部材
73 静電ブラシ
73−1 電源
101 画像形成装置
P 記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
トナー粒子と体積平均粒径70nm以上400nm以下で平均円形度0.5以上0.9以下の外添剤とを有する静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像剤が収納され、前記静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記像保持体の表面に接触してクリーニングするクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードよりも前記像保持体の回転方向上流側の前記像保持体の表面に接触してクリーニングする静電ブラシであって、直流成分(DC)に周波数0.5kHz以上2.0kHz以下の交流成分(AC)を重畳した印加電圧を印加された状態でクリーニングする静電ブラシと、を有するクリーニング手段と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記外添剤の体積平均粒径が80nm以上150nm以下である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記外添剤の平均円形度が0.5以上0.7以下である請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
トナー粒子と体積平均粒径70nm以上400nm以下で平均円形度0.5以上0.9以下の外添剤とを有する静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
クリーニングブレードにより前記像保持体の表面をクリーニングすると共に、前記クリーニングブレードよりも前記像保持体の回転方向上流側で、直流成分(DC)に周波数0.5kHz以上2.0kHz以下の交流成分(AC)を重畳した印加電圧を印加した静電ブラシにより、前記像保持体の表面に接触してクリーニングするクリーニング工程と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−114006(P2013−114006A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259609(P2011−259609)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】