画像形成装置及び画像形成方法
【課題】自装置に発生したエラーを解消したユーザに特定のメリットを与えることが可能な複合機100を提供する。
【解決手段】前記エラーの解消が検知されると、エラー解消ユーザIDの入力を受け付けるユーザID入力受付手段506と、前記エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自装置に入力された印刷ジョブのうち、エラー解消ユーザ印刷ジョブがあるか否かを検索するジョブ検索手段507と、前記検索の結果、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブがない場合に、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザIDをユーザID記憶手段510に記憶させるユーザID登録手段509と、前記ユーザID記憶手段510に前記エラー解消ユーザIDが記憶された特定の時点以降に生じたエラー解消ユーザ印刷ジョブを、他の印刷ジョブよりも優先して実行させる優先実行手段508とを備える複合機100を提供する。
【解決手段】前記エラーの解消が検知されると、エラー解消ユーザIDの入力を受け付けるユーザID入力受付手段506と、前記エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自装置に入力された印刷ジョブのうち、エラー解消ユーザ印刷ジョブがあるか否かを検索するジョブ検索手段507と、前記検索の結果、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブがない場合に、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザIDをユーザID記憶手段510に記憶させるユーザID登録手段509と、前記ユーザID記憶手段510に前記エラー解消ユーザIDが記憶された特定の時点以降に生じたエラー解消ユーザ印刷ジョブを、他の印刷ジョブよりも優先して実行させる優先実行手段508とを備える複合機100を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関し、詳しくは、自装置に発生したエラーを解消したユーザに特定のメリットを与えることが可能な画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コンピュータと周辺機器の利用形態の多くは、有線LANや無線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)によって相互に接続され、複数のユーザが限定された資源を共有できるようになっており、プリンタ、複合機などの画像形成装置においてもネットワークによる共有化が進んでいる。又、情報を共有するメリットの大きい一般のオフィスにおいては、特に、このようなネットワークシステムが利用されるようになっている。
【0003】
前記LANなどのネットワークを介して接続された1台の画像形成装置に対して、複数のユーザが手元のパーソナルコンピュータから印刷をほぼ同じ時期に実行した場合、印刷命令を、前記ネットワークを介して画像形成装置側で受信した順番通りに印刷を実行するための実行手段を持っていることが、ユーザにとって望ましい。
【0004】
そこで、ユーザからの印刷要求の順番通りに出力するために、前記ネットワークを介して前記コンピュータから受信した最初の印刷ジョブを出力している最中に、その後の印刷ジョブをリアルタイムに受け付け、前記装置内に大容量の記憶装置に一時的に保持し、受付順番通りに出力する実行手段が、従来から存在している。
【0005】
ところで、前記画像形成装置では、自装置内のエラーが発生して印刷が中断しているときに、あるユーザがそのエラーを解除したとしても、前記装置側で受信した順番通りに印刷を実行するため、必ずしもエラーを解除したユーザの印刷が直ちに実行されるわけではない。そのため、急いで自己の印刷物を手に入れるために、前記装置のエラーを解除したにも関わらず、既に大量の印刷ジョブが保持されている場合、当該エラーを解除したユーザは、自己の印刷ジョブが実行されるまで長時間待たなければならないという問題がある。
【0006】
このような問題を解決する技術として、例えば、特開2010−201896号公報(特許文献1)には、ユーザの特定を行う認証手段と、印刷依頼を行ったユーザに係る情報が付された印刷ジョブを蓄積する印刷キューと、装置に発生したエラーの解除を検知するエラー解除検知手段と、前記エラー解除検知手段がエラーの解除を検知したとき、所定の条件下で、ユーザの印刷ジョブの順位を変更する順位変更手段とを有することを特徴とする画像形成装置が開示されている。これにより、前記順位変更手段が、エラーを解除したユーザの印刷ジョブの印刷順位を第1位に変更するので、エラーを解除したユーザの印刷が直ちに実行されることとなり、エラーを解除したユーザが、自分の印刷処理が実行されるまで長時間待たされるような問題が生じることがないとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−201896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、エラーを解除(解消)したユーザが、既に前記画像形成装置に印刷ジョブを送信(投入)している場合には、有効であるものの、当該画像形成装置に印刷ジョブを送信していないユーザにとっては、エラーを解消するメリットが無く、当該画像形成装置のエラー解消を促すことに繋がらない。そのため、前記画像形成装置に発生したエラーが長期間放置されるという問題がある。
【0009】
一方、前記画像形成装置にエラーが発生した際に、当該画像形成装置のエラーを偶然に気が付いたユーザが当該エラーを解消する場合もある。そのような場合に、前記エラーを解消したユーザに、何らかのメリットを与えるようにすれば、前記印刷ジョブを送信したユーザに限られず、前記画像形成装置の周辺に存在するユーザなどあらゆるユーザに、前記エラーの解消を促すことに繋がる可能性がある。
【0010】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、画像形成装置に発生したエラーの解消をユーザに積極的に行なわせることが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、自装置に発生したエラーが解消したことを検知する画像形成装置を前提とし、以下の構成を採用する。
【0012】
即ち、前記画像形成装置は、前記エラーの解消が検知されると、当該エラーを解消したユーザから、当該ユーザを識別するエラー解消ユーザIDの入力を受け付けるユーザID入力受付手段と、前記エラー解消ユーザIDが入力されると、当該エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自装置に入力されたジョブのうち、当該エラー解消ユーザIDのユーザが入力したエラー解消ユーザジョブがあるか否かを検索するジョブ検索手段とを備える。又、当該画像形成装置は、前記検索の結果、前記エラー解消ユーザジョブがない場合に、当該エラー解消ユーザジョブのエラー解消ユーザIDをユーザID記憶手段に記憶させるユーザID登録手段と、前記ユーザID記憶手段に前記エラー解消ユーザIDが記憶された特定の時点以降に生じたエラー解消ユーザジョブを、他のジョブよりも優先して実行させる優先実行手段とを備える。
【0013】
これにより、前記ジョブを入力していないユーザであっても、画像形成装置に発生したエラーを解消すれば、当該エラーの解消によるメリットを受けることが可能となり、あらゆるユーザに当該エラーの解消を促すことが可能となる。又、前記メリットは、前記エラーが解消された時点以降のエラー解消ユーザジョブに及ぶため、ユーザに対する利便性を向上させ、当該画像形成装置に発生するエラーの長期間放置を防止することが可能となる。
【0014】
又、前記優先実行手段は、前記特定の時点以降に、自装置に接続された他の画像形成装置が、エラー解消ユーザジョブを含む複数のジョブを実行する場合に、当該エラー解消ユーザジョブを、他のジョブよりも優先して実行させる構成を採用することが出来る。
【0015】
又、前記優先実行手段は、前記特定の時点以降に、前記エラー解消ユーザIDのユーザがエラー解消ユーザジョブ又は所定の設定登録を自装置に入力する場合に、当該ユーザに、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定登録を入力可能とする構成を採用することが出来る。
【0016】
又、前記優先実行手段は、前記エラー解消ユーザIDのユーザに、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定登録を入力可能とする際に、当該ユーザが解消したエラーの種類に応じて、入力可能なジョブ又は設定登録の種類を変更する構成を採用することが出来る。
【0017】
又、前記優先実行手段は、エラー解消ユーザジョブが実行されると、当該エラー解消ユーザジョブのエラー解消ユーザIDを前記ユーザID記憶手段から消去する構成を採用することが出来る。
【0018】
又、本発明は、自装置に発生したエラーが解消したことを検知する画像形成装置の画像形成方法として提供することが出来る。即ち、当該画像形成方法は、前記エラーの解消が検知されると、当該エラーを解消したユーザから、当該ユーザを識別するエラー解消ユーザIDの入力を受け付けるユーザID入力受付ステップと、前記エラー解消ユーザIDが入力されると、当該エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自装置に入力されたジョブのうち、当該エラー解消ユーザIDのユーザが入力したエラー解消ユーザジョブがあるか否かを検索するジョブ検索ステップとを有する。又、当該画像形成方法は、前記検索の結果、前記エラー解消ユーザジョブがない場合に、当該エラー解消ユーザジョブのエラー解消ユーザIDをユーザID記憶手段に記憶させるユーザID登録ステップと、前記ユーザID記憶手段に前記エラー解消ユーザIDが記憶された特定の時点以降に生じたエラー解消ユーザジョブを、他のジョブよりも優先して実行させるユーザID優先実行ステップとを有する。当該構成としても、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
【0019】
又、本発明は、電気通信回線などを介して個別に流通する、コンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することができる。この場合、中央演算処理装置(CPU)が、本発明のプログラムに従ってCPU以外の各回路と協働して制御動作を実現する。又、前記プログラム及びCPUを用いて実現される各手段は、専用のハードウェアを用いて構成することもできる。又、当該プログラムは、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で流通させることも可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、自装置に発生したエラーを解消したユーザに特定のメリットを与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る複合機100の内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る画像読取部111の拡大図である。
【図3】本発明に係る操作部103の全体構成を示す概念図である。
【図4】本発明に係る複合機100の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複合機100の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係るユーザにメリットを与える手順を示すための第一のフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るユーザにメリットを与える手順を示すための第二のフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係るユーザにメリットを与える手順を示すための第三のフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る印刷ジョブテーブルの一例を示す図(図9(A))と、本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示されたエラー解消画面の一例を示す図(図9(B))である。
【図10】本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示されたユーザID入力画面の一例を示す図(図10(A))と本発明の実施形態に係るエラー解消ユーザIDテーブルの一例を示す図(図10(B))である。
【図11】本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示されたエラー解消印刷ジョブ入力画面の一例を示す図(図11(A))と本発明の実施形態に係る禁止解除選択テーブルの一例を示す図(図11(B))である。
【図12】本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示された禁止解除入力画面の一例を示す図(図12(A))と本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示された通常印刷ジョブ入力画面の一例を示す図(図12(B))である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0023】
<画像形成装置>
以下に、本発明に係る画像形成装置は、例えば、プリンタ、スキャナ単体、或いはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当する。
【0024】
図1は、本発明に係る複合機100の内部の全体構成を示す概念図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。尚、一例として複合機100を利用して原稿のコピー機能を提供する際の複合機100の動作を簡単に説明する。
【0025】
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿Pを印刷する場合、原稿Pを図1に示す原稿台101、或いは載置台102に配置し、原稿台101近傍に供えられた操作部103に対して印刷の指示を行う。ユーザは前記操作部103を介して、例えば、コピー設定条件(枚数、サイズ等)を複合機100に入力する。前記操作部103を介して(コピー)設定条件の入力とコピーの指示(スタートキーの選択)とがされることによって、所定のジョブ(画像処理)である印刷ジョブが入力(投入、送信、指示)され、以下に示す各部(駆動部)が動作し、コピー機能が行われる。
【0026】
即ち、図1に示すように、本実施形態の複合機100は、本体104と、本体104の上方に取り付けられたプラテンカバー105を備える。本体104の上面は原稿台101が設けられており、原稿台101は、プラテンカバー105によって開閉されるようになっている。プラテンカバー105は、自動原稿給紙装置106と載置台102と排紙台107が設けられている。
【0027】
自動原稿給紙装置106は、プラテンカバー105の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー105の内部に備えられたピックアップローラ109や搬送ローラ110A、110B等で構成される。原稿搬送路108は、載置台102から、本体104に設けられた画像読取部111にて読み取りが行なわれる読取位置Xを経由して、排紙台107に通じる原稿の搬送路である。
【0028】
自動原稿給紙装置106は、載置台102に載置された複数の原稿から1枚ずつ原稿をピックアップローラ109で搬送路内108に引き出し、搬送ローラ等によって引き出した原稿を、読取位置Xを通過させて、搬送ローラ110Bにより排紙台107に排紙する。読取位置Xを通過する時に原稿は画像読取部111にて読み取られる。
【0029】
前記画像読取部111は、原稿台102の下方に設けられており、図2にその詳細が示されている。画像読取部111は、原稿台102を照射する主走査方向に長い光源112と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット113と、原稿台からの光を導くミラー114とを備える第一の移動キャリッジ115や、第一の移動キャリッジ115からの反射光を再度反射するミラー116A、116Bを備える第二の移動キャリッジ117、更にミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群118、当該レンズ群118より補正された光を受光する撮像素子119、撮像素子119にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正処理・画質処理・圧縮処理などを行う画像データ生成部120とで構成されている。
【0030】
自動原稿給紙装置106上の原稿を読み取る場合には、光源112は、読取位置Xを照射できる位置に移動して発光する。光源112からの光は、原稿台101を透過して読取位置Xを通過する原稿にて反射し、スリット113、ミラー114、116A、116B、レンズ群118によって撮像素子119に導かれる。撮像素子119は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部120に送信する。画像データ生成部120には、前記撮像素子119にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部120では、順次変換されたデジタル信号を単位データ(濃度値)とし、これら単位データを補正処理、画質処理、圧縮処理等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
【0031】
又、画像読取部111は、自動原稿給紙装置106で搬送される原稿だけでなく、原稿台101に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台101に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ114は、光源112を発光しながら副走査方向に移動し、光源112から撮像素子119までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ117は第一の移動キャリッジ115の1/2の速度で撮像素子119方向に移動する。
【0032】
撮像素子119は、自動原稿給紙装置106に搬送された原稿のときと同様に、ミラー114、116A、116Bに導かれた光に基づいて原稿台101に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部120が画像データ(文書データ)を生成し、記憶部120Bに記憶する。
【0033】
本体104の記憶部120Bの下方には、ネットワークインターフェイス120Eを介して、ネットワーク120Fに接続された他の端末装置120G(例えば、パーソナルコンピュータ(PC)120G1、他の複合機120G2、複写機、プリンタなどの他の画像形成装置)と通信する通信部120Dを備えている。当該通信部120Dでは、他の端末装置120Gからの画像処理(例えば、印刷ジョブ)を受信したり、複合機100から他の端末装置120Gにジョブを実行する指示等を送信したりする。
【0034】
又、本発明に係る複合機100は、コピー機能の処理を実行する画像形成部121を更に備えている。前記画像形成部121は、本体104の画像読取部111の下方に設けられており、記憶部120Bに記憶された画像データを印刷(出力)する。画像形成部121が印刷できる画像データ(ジョブデータ)は、前記のように画像データ生成部120にて生成されたものや、前記ネットワーク120Fに接続された他の端末装置120Gから受信したものである。
【0035】
画像形成部121が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム122を帯電器123で一様に帯電させ、その後レーザ124で感光ドラム122を照射して感光ドラム122に潜像を形成し、現像器125で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を転写媒体に転写する方式である。
【0036】
尚、フルカラー画像に対応した画像形成装置では、前記現像器(ロータリー現像器)125が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム122の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム122上の潜像が、現像器125が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト126Aに転写される。尚、現像器125は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット125(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。前記中間転写ベルト126Aへの転写を前記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト126A上にフルカラー画像が形成される。可視像が印刷される転写媒体、即ち用紙は、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
【0037】
画像形成部121が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから転写媒体1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した転写媒体を搬送ローラ136やレジストローラ137で中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込む。画像形成部121は、中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込んだ転写媒体に、前記中間転写ベルト126A上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト127で定着部128(定着装置)に転写媒体を送る。定着部128は、ヒータが内蔵された加熱ローラ129と、所定の圧力で加熱ローラ129に押し当てられた加圧ローラ130とで構成されている。加熱ローラ129と加圧ローラ130の間を転写媒体が通過すると、熱と転写媒体への押圧力によって可視像が転写媒体に定着する。定着が行われた転写媒体は排紙トレイ131に排紙される。
【0038】
このような手順にて、複合機100のコピー機能の処理がなされる。
【0039】
尚、当該複合機100には、コピー機能の処理に関連するエラーを検知するエラー検知部(エラー検知センサ、エラーセンサともいう、図示せず)が、当該エラーの種類に応じて各部に予め設けられている。例えば、前記エラーが、前記現像ユニット内の補給トナーが無くなったことを示すトナー補給(エラー)である場合には、当該トナー補給を検知するエラー検知部が当該現像ユニットに内蔵されている。又、前記エラーが、前記転写媒体に対応する用紙の搬送路内の詰まりを示す紙詰り(エラー)(JAMともいう)である場合には、当該紙詰りを検知するエラー検知部が搬送路の各部に設けられている。更に、前記エラーが、前記給紙トレイ内の用紙が無くなったことを示す用紙補給(エラー)である場合には、当該用紙補給を検知するエラー検知部が各給紙トレイに内蔵されている。これらのエラーは、通常、複合機100を利用するユーザが解消可能なエラーである(後述する)。
【0040】
図3は、本発明に係る操作部103の外観の一例を示す概念図である。ユーザは、前記操作部103を用いて、上述のようなコピー機能に関するコピー設定条件、例えば、印刷枚数や用紙のサイズを入力したり、後述するエラー解消ユーザのユーザIDの入力を受け付けたり、入力されたコピー設定条件、エラー解消ユーザID等を確認したり、前記エラーを解消する手順を表示したりする。前記設定条件等が入力される場合、前記操作部103に備えられたタッチパネル301、タッチペン302、操作キー303が用いられる。
【0041】
前記タッチパネル301には、コピー設定条件等を入力する機能と当該コピー設定条件等を表示する機能が兼ね備えられている。例えば、タッチパネル301の背面に予め設置されたディスプレイによりタッチパネル301上に所定の画面が表示され、更に、タッチパネル301上に表示された画面内のキーが押下(選択)されることによって、キーに関連付けられたコピー設定条件が複合機100に入力される。押下されたキー等の背景色は、当該押下に連動して白色から灰色へ変更されるため、キー等の背景色によって、キー等が押下されている状態であるか否かが視認される。所定のユーザID入力も同様である。
【0042】
又、タッチパネル301の近傍には、タッチペン302が備えられており、ユーザがそのタッチペン302の先をタッチパネル301に接触させると、タッチパネル下に設けられたセンサが接触先を検知する。タッチペンの先は、ほぼ点に近いため、前記センサは、例えば、接触先をドット単位(最小単位)で検知することとなる。従って、例えばタッチパネル301内の位置を指で指定する場合と比較すると、タッチペン302で位置指定する方がより細かい位置を正確に指定することができる。ユーザは、指先に代えてタッチペン302によりタッチパネル301上に表示されたキー等を選択することが可能である。
【0043】
更に、タッチパネル301近傍には、所定数の操作ハードキー303が設けられ、例えば、テンキー304、スタートキー305、クリアキー306、ストップキー307、リセットキー308、電源キー309が備えられている。
【0044】
次に、図4を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図4は、本発明に係る複合機100の制御系ハードウェアの構成を示す図である。但し、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0045】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、HDD(Hard Disk Drive)404、各駆動部に対応するドライバ405、前記操作部406(103)、エラー検知センサ407、通信インターフェイス408を内部バス409によって接続している。前記CPU401は、例えば、RAM403を作業領域として利用し、前記ROM402、HDD404等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて前記ドライバ405と前記操作部406と前記エラー検知センサ407からのデータや指示、キーに対応する命令等を授受し、前記図1に示した各駆動部の動作を制御する。又、前記CPU401は、例えば、前記操作部406のタッチパネルの背面に設けられたディスプレイにデータを送信し、所定の画面をタッチパネル上に表示させる。更に、前記駆動部以外の後述する各手段(図5に示す)についても、前記CPU401がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。前記ROM402、HDD404等には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。又、前記通信インターフェイス408は、ネットワーク120F(ネットワーク120Fに接続された通信ケーブル)を介して、他機である他の端末装置120G(ここでは、PC120G1と、他の複合機120G2)と接続している。前記CPU401は、前記通信インターフェイス408を介して他の端末装置120Gと通信し、当該他の端末装置120Gとデータ、指示、命令等の授受を行なっている。
【0046】
<本発明の実施形態>
次に、図5−図8を参照しながら、本発明の実施形態に係る複合機100が、自装置に発生したエラーを解消したユーザにメリットを与える手順について説明する。図5は、本発明の実施形態に係る複合機100の機能ブロック図である。図6−図8は、本発明の実施形態に係る前記ユーザにメリットを与える手順を示すための第一のフローチャートから第三のフローチャートである。
【0047】
まず、ユーザが、複合機100に接続されたPC120G1を用いて、所定のジョブ(所定の画像を用紙に印刷させる印刷ジョブ、例えば、「8枚、1部、説明書」)を当該複合機100に入力(投入)すると、当該複合機100の機能実行手段501が、通信手段502を介して、前記PCから前記印刷ジョブと、当該PCのログイン時に入力される前記ユーザのユーザID(例えば、「A001」)とを受け付け(図6:S101)、印刷ジョブ記憶手段503の印刷ジョブテーブルに、受け付けた印刷ジョブの順番で、当該印刷ジョブと当該印刷ジョブに関連付けられたユーザIDとを記憶させる。
【0048】
前記印刷ジョブテーブル900には、図9(A)に示すように、前記印刷ジョブが前記複合機100に入力された順位(順番)を示す受付順位901と、当該受付順位901における印刷ジョブ902と、当該印刷ジョブを入力したユーザのユーザID903とが関連付けて記憶される。
【0049】
ここで、前記ユーザが前記印刷ジョブを前記複合機100に入力する直前に、例えば、図9(A)に示すように、3つの異なる印刷ジョブ902が当該複合機100に既に入力されていた場合は、新たに入力された印刷ジョブ902a(「8枚、1部、説明書」)は、前記ユーザID「A001」903aとともに、最下位(例えば、四番目の順位を示す「4」901a)で前記印刷ジョブテーブル900に記憶される。
【0050】
新たに入力された印刷ジョブ902aを前記印刷ジョブテーブル900に記憶させると、前記機能実行手段501は、当該印刷ジョブテーブル900の受付順位901の高い順位の印刷ジョブ902を順番に実行する(図6:S102)。ここで、前記受付順位901が最上位である印刷ジョブ902の実行が完了すると、前記機能実行手段501が、前記印刷ジョブテーブル900から実行完了の印刷ジョブ902、対応する受付順位901、ユーザID903を消去し、残存する前記印刷ジョブテーブル900の印刷ジョブ902の受付順位901を一つだけ繰り上げて、再度、最上位の印刷ジョブ902を実行する。これにより、印刷ジョブ902が、複合機100に入力された順番で順次実行される。
【0051】
ここで、前記機能実行手段501が、前記印刷ジョブテーブル900の受付順位901が最上位である印刷ジョブ902(例えば、「3枚、2部、議事録」)を実行中に、何らかの原因により、当該印刷ジョブ902に関するエラー(例えば、紙詰り)が発生すると、エラー検知手段504が、当該エラーの発生を検知して(図6:S103YES)、その旨を前記機能実行手段501に通知し、当該通知を受けた機能実行手段501は、前記印刷ジョブの実行を中断する(図6:S104)。
【0052】
更に、前記機能実行手段501は、エラーが発生した旨を表示受付手段505に通知し、当該通知を受けた表示受付手段505は、発生したエラー(「紙詰り」)に対応するエラー解消画面(「紙詰り解消画面」)をタッチパネル301上に表示する(図6:S105)。
【0053】
前記エラー解消画面904には、図9(B)に示すように、エラーが発生した旨のメッセージ905と、発生したエラーの名称906(「紙詰り」)と、発生したエラーを解消するための手順を示すエラー解消手順907と、OKキー908とが表示される。
【0054】
ここで、前記複合機100の操作部103で印刷ジョブを入力したユーザであれば、当該複合機100に発生したエラーに即時に気付いて、前記エラー解消画面904を見ながら、当該エラーを解消する。一方、上述のように、前記PC120G1から印刷ジョブを前記複合機100に入力したユーザであれば、前記エラーに即時に気付かない場合がある。この場合に、例えば、前記複合機100に偶々通り掛かったユーザなど前記印刷ジョブを入力していないユーザが、当該複合機100のエラーに気付いて、前記エラー解消画面904を見ながら、当該エラーを解消することになる。
【0055】
前記ユーザが、前記エラー解消画面904を見ながら、前記エラーを解消すると、前記エラー検知手段504が、当該エラーの解消を検知して(図6:S106YES)、その旨をユーザID入力受付手段506に通知する。当該通知を受けたユーザID入力受付手段506は、当該エラーを解消したユーザから、当該ユーザを識別するエラー解消ユーザIDの入力を受け付ける(図6:S107)。
【0056】
前記ユーザID入力受付手段506が前記エラー解消ユーザIDの入力を受け付ける方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、当該ユーザID入力受付手段506が、前記エラーの解消が検知された時点で、前記表示受付手段505を介して、前記タッチパネル301上に表示された前記エラー解消画面を、ユーザIDを入力可能なユーザID入力画面に切り替える。
【0057】
前記ユーザID入力画面1000には、図10(A)に示すように、エラーが解消された旨のメッセージ1001と、ユーザIDの入力を促す旨のメッセージ1001と、ユーザIDの入力欄1003と、ユーザIDを入力可能とするキーボードキー1004と、OKキー1005と、キャンセルキー1006が表示される。
【0058】
そこで、ユーザは、前記ユーザID入力画面1000を見ながら、自己のユーザID(例えば、「N001」)を前記キーボードキーにより1004から入力して、OKキー1005を選択すると、前記ユーザID入力受付手段506は、当該ユーザID「N001」をエラー解消ユーザIDとして受け付けて、その旨をジョブ検索手段507に通知する。当該通知を受けたジョブ検索手段507は、前記エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自身に入力された印刷ジョブのうち、当該エラー解消ユーザIDのユーザが入力したエラー解消ユーザ印刷ジョブがあるか否かを検索する(図6:S108)。
【0059】
前記ジョブ検索手段507がエラー解消ユーザ印刷ジョブを検索する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、当該ジョブ検索手段507が、前記エラー解消ユーザIDが入力された時点で、前記印刷ジョブ記憶手段503の印刷ジョブテーブル900を参照する。そして、前記ジョブ検索手段507は、参照した印刷ジョブテーブル900のユーザID903と、先ほど入力されたエラー解消ユーザIDとを照合して、当該エラー解消ユーザIDと一致する印刷ジョブテーブル900のユーザID903が存在するか否かを検索する。
【0060】
前記検索の結果、前記印刷ジョブテーブル900の印刷ジョブ902のうち、エラー解消ユーザ印刷ジョブが存在する場合(図6:S109YES)、例えば、前記操作部103で印刷ジョブを入力したユーザで、当該ユーザが前記エラーを解消した場合、当該ユーザのユーザID(例えば、「A001」)は前記印刷ジョブテーブル900のユーザID903(「A001」)に存在することになるため、前記ジョブ検索手段507は、その旨を優先実行手段508に通知する。当該通知を受けた優先実行手段508は、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブを、他の印刷ジョブよりも優先して実行させる(図6:S110)。
【0061】
具体的には、前記優先実行手段508が、前記機能実行手段501に中断した印刷ジョブの実行を完了させる、又は中断した印刷ジョブを破棄させて、次に、前記印刷ジョブテーブル900のエラー解消ユーザ印刷ジョブの受付順位を、最上位に変更し、他の印刷ジョブの受付順位を一つだけ繰り下げる。そして、前記優先実行手段508は、前記機能実行手段501に、前記受付順位が変更された印刷ジョブテーブル900に基づいて印刷ジョブを実行するよう指示する。これにより、前記機能実行手段501は、受付順位が最上位に変更された(エラー解消ユーザIDに関する)エラー解消ユーザ印刷ジョブを他の印刷ジョブよりも先に実行することとなり、エラーを解消したユーザにメリット(アドバンテージ)を与えることが可能となる。
【0062】
尚、前記機能実行手段501は、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブを実行した後に、優先順位が繰り下げられた他の印刷ジョブ(通常の印刷ジョブ)を順次実行することで、全ての印刷ジョブの実行を完了することになる(図6:S111)。
【0063】
一方、前記検索の結果、前記印刷ジョブテーブル900の印刷ジョブのうち、エラー解消ユーザ印刷ジョブが存在しない場合(図6:S109NO)、例えば、上述のように、印刷ジョブを入力したユーザと、エラーを解消したユーザとが異なる場合、前記ジョブ検索手段507は、その旨をユーザID登録手段509に通知し、当該通知を受けたユーザID登録手段509は、前記エラー検知手段504から解消されたエラーの種類(「紙詰り」)を取得するとともに、ユーザID記憶手段510に記憶されたエラー解消ユーザIDテーブルを参照し、当該エラー解消ユーザIDテーブルに前記エラー解消ユーザIDと前記エラーの種類とを関連付けて記憶させる(図7:S201)。
【0064】
前記エラー解消ユーザIDテーブル1007には、図10(B)に示すように、過去にエラーを解消したユーザのエラー解消ユーザID1008と、当該エラーの種類1009とが関連付けて記憶されている。前記エラーの種類1009は、前記エラー検知手段504が検知可能なエラーの種類であり、例えば、紙詰り、トナー補給、用紙補給などが記憶される。前記ユーザID登録手段509は、例えば、図10(B)に示すように、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザID1008a(「N001」)と、解消されたエラーの種類1009a(「紙詰り」)とを関連付けて、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007の最下段に記憶させる。
【0065】
前記ユーザID登録手段509が、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007に新たなエラー解消ユーザID1008を記憶させると、その旨を前記優先実行手段508に通知する。当該通知を受けた優先実行手段508は、当該エラー解消ユーザIDテーブル1007に前記エラー解消ユーザID1008が記憶された特定の時点(記憶時点)以降に生じるエラー解消ユーザ印刷ジョブを、他の印刷ジョブよりも優先して実行させる。
【0066】
具体的には、前記優先実行手段508が、前記表示受付手段505を介して、前記タッチパネル301上に表示されたユーザID入力画面1000を、前記エラー解消ユーザIDを入力したユーザに新たにエラー解消ユーザ印刷ジョブの入力を促すエラー解消印刷ジョブ入力画面に切り替える(図7:S202)。
【0067】
前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100には、図11(A)に示すように、先ほど記憶(入力)されたエラー解除ユーザID1101(「N001」)と、印刷ジョブの設定条件を入力するための設定条件入力キー1102と、前記エラーを解消したユーザのみが選択することが可能な特定のキー1103(優先実行キー1103a、ネットワーク優先実行キー1103b、禁止解除入力キー1103c)と、当該特定のキー1103の内容を示すためのメッセージ1104とが表示される。
【0068】
ここで、前記優先実行キー1103aは、前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100を介して入力した印刷ジョブを優先して実行させるためのキーである。又、前記ネットワーク優先実行キー1103bは、自身の複合機100に接続された他の複合機120G2が受けた印刷ジョブのうち、(前記エラー解除ユーザIDに関する)エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して実行させるためのキーである。更に、前記禁止解除入力キー1103cは、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定条件を入力するためのキーである。これにより、前記エラーを解消したユーザに、特定の機能を有するキーを選択可能とする権限を与え、ジョブにおける優位性(インセンティブ)を与えることが可能となる。
【0069】
ユーザが、前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100を見ながら、例えば、所定の設定条件入力キー1102を選択して、更に、前記優先実行キー1103aとスタートキー305とを選択すると(図7:S203YES)、前記表示受付手段505が、選択された設定条件入力キー1102に対応する設定条件の印刷ジョブの入力と当該優先実行キー1103aの選択とスタートキー305の選択とを受け付け(図7:S204)、その旨を前記機能実行手段501に通知する。当該通知を受けた機能実行手段501は、受け付けた前記エラー解消ユーザID(「N001」)と(当該エラー解消ユーザIDに関する)エラー解消ユーザ印刷ジョブとを、受け付けた印刷ジョブの順番で前記印刷ジョブテーブル900に関連付けて記憶させる。
【0070】
次に、前記表示受付手段505は、新たなエラー解消ユーザ印刷ジョブが入力された旨を優先実行手段508に通知する。当該通知を受けた優先実行手段508は、前記印刷ジョブ記憶手段503の印刷ジョブテーブル900を参照して、先ほど入力されたエラー解消ユーザ印刷ジョブの受付順位(最下位)を、最上位に変更し、他の印刷ジョブの受付順位を一つだけ繰り下げて、前記機能実行手段501に当該エラー解消ユーザ印刷ジョブを他の印刷ジョブよりも優先的に実行させる(図7:S205)。これにより、前記エラーを解消したユーザにより新たに入力されたエラー解消ユーザ印刷ジョブが即時に実行されることとなり、当該ユーザにメリットを与えることが可能となる。例えば、前記ユーザが、前記エラーを解消した時点で、複数の印刷ジョブが複合機100に蓄積されているにも関わらず、新たなエラー解消ユーザ印刷ジョブを当該複合機100に急遽実行させたい場合に、迅速にエラー解消ユーザ印刷ジョブが実行されるため、特に有効である。
【0071】
さて、前記機能実行手段501が、優先されたエラー解消ユーザ印刷ジョブの実行を完了すると、前記優先実行手段508は、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブの実行完了を検知して、前記ユーザID記憶手段510のエラー解消ユーザIDテーブル1007を参照し、当該エラー解消ユーザIDテーブル1007から当該エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザID1008(「N001」)及びエラーの種類1009(「紙詰り」)を消去する(図7:S206)。これにより、ユーザが前記エラーを解消したことによるメリットが継続することを防止する。
【0072】
尚、前記機能実行手段501は、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブを実行した後に、S111に移行して、上述と同様に、優先順位が繰り下げられた他の印刷ジョブ(通常の印刷ジョブ)を順次実行することで、全ての印刷ジョブの実行を完了することになる(図6:S111)。
【0073】
ところで、S203において、前記エラーを解消したユーザが、ネットワーク120Fを介して前記複合機100に接続された他の複合機120G2に、(当該エラー解消ユーザIDに関する)エラー解消ユーザ印刷ジョブを既に入力している場合に、前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100を見ながら、前記優先実行キー1103aを選択することなく、前記ネットワーク優先実行キー1103bを選択すると(図7:S203NO→S207YES)、前記表示受付手段505が、当該ネットワーク優先実行キー1103bの選択を受け付けて、その旨を優先実行手段508に通知する。当該通知を受けた優先実行手段508は、前記通信手段502を介して、前記他の複合機120G2と通信し、当該他の複合機120G2に既に入力された印刷ジョブのうち、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブが存在するか否かを検索する(図7:S208)。
【0074】
ここで、前記優先実行手段508が、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブが存在するか否かを検索する方法は、上述のように、例えば、当該優先実行手段508が、前記他の複合機120G2の印刷ジョブテーブルを参照して、当該印刷ジョブテーブルのユーザIDに前記エラー解消ユーザIDが存在するか否かを検索することによりなされる。
【0075】
当該検索の結果、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブが存在する場合(図7:S208YES)、前記優先実行手段508は、前記他の複合機120G2に当該エラー解消ユーザ印刷ジョブを他の印刷ジョブよりも優先して実行するように指示する。当該指示を受けた他の複合機120G2は、例えば、自身の印刷ジョブテーブルのエラー解消ユーザ印刷ジョブの受付順位を、最上位に変更し、他の印刷ジョブの受付順位を一つだけ繰り下げて、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブを他の印刷ジョブよりも優先して実行する(図7:S205)。これにより、エラーを解消したユーザは、当該エラーを解消した複合機100だけでなく、当該複合機100に接続された他の複合機120G2でも、上述したメリットを受けることが可能となる。
【0076】
尚、前記他の複合機120G2がエラー解消ユーザ印刷ジョブの実行を完了した場合、前記優先実行手段508は、上述と同様に、実行完了したエラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザIDを前記エラー解消ユーザテーブル1107から消去する(図7:S206)。又、前記複合機100の印刷ジョブテーブル900に、未だに他の印刷ジョブが記憶されている場合には、S111に移行して、前記機能実行手段501が、全ての印刷ジョブを実行することになる(図6:S111)。
【0077】
一方、前記検索の結果、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブが存在しない場合(図7:S208NO)、前記優先実行手段508は、前記表示受付手段505を介して、前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100に、前記他の複合機120G2が優先実行可能な前記エラー解消ユーザ印刷ジョブは存在しない旨のメッセージを表示し(図7:S209)、前記ユーザに他のキー(例えば、禁止解除入力キー1103cなど)の選択を促すことになる。
【0078】
ところで、S207において、ユーザが、前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100を見ながら、前記ネットワーク優先実行キー1103bを選択することなく、前記禁止解除入力キー1103cを選択すると(図7:S207NO→S210YES)、前記表示受付手段505が、当該禁止解除入力キー1103cの選択を受け付けて、その旨を優先実行手段508に通知する。当該通知を受けた優先実行手段508は、禁止解除選択記憶手段511に記憶された禁止解除選択テーブルを参照する。
【0079】
前記禁止解除選択テーブル1104には、図11(B)に示すように、通常のユーザでは入力を禁止されているジョブ又は所定の設定登録を示すキー、言い換えると、管理者などの特定の権限が与えられた特定のユーザにのみ選択可能なジョブ又は設定登録を示す禁止キーの機能項目1105と、当該機能項目1105の内容に応じて予め対応付けられたエラーの種類1106とが関連付けて記憶される。
【0080】
ここで、前記機能項目1105には、例えば、電子メール画像送信、フォルダ送信のための特定のプロトコルであるSMB(Server Message Block)フォルダ送信、電子メールアドレス追加、電話帳などのアドレス帳追加が記憶される。又、前記エラーの種類1106には、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007のエラーの種類1009と共通し、トナー補給、紙詰り、用紙補給が記憶される。
【0081】
前記禁止解除選択テーブル1104を参照した優先実行手段508は、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007から、現時点のユーザのエラー解消ユーザID1008に対応するエラーの種類1009を取得し、前記禁止解除選択テーブル1104から、当該エラーの種類1106に関連付けられた機能項目1105を取得する。
【0082】
例えば、前記エラー解消ユーザID1008が「N001」1008aであれば、対応するエラーの種類1009が「紙詰り」1009aとなるため、図11(B)に示す前記禁止解除選択テーブル1104から取得される機能項目1105は、「電子メール画像送信」1105a、「SMBフォルダ送信」1105bとなる。
【0083】
次に、前記優先実行手段508は、前記表示受付手段505を介して、取得した機能項目1105に対応するキーが選択可能に表示された禁止解除入力画面をタッチパネル301上に表示する(図7:S211)。
【0084】
前記禁止解除入力画面1200には、図12(A)に示すように、通常のユーザでは入力が禁止されているジョブ又は設定登録を入力出来る旨のメッセージ1201と、前記エラー解消ユーザID1202と、通常のユーザでは入力が禁止されているジョブ又は設定登録を入力するためのキー1203と、キャンセルキー1204とが表示される。
【0085】
ここで、前記キー1203は、取得された機能項目1105に対応するキー1203a、上述では、電子メール画像送信キー、SMBフォルダ送信キーが選択可能に表示され、取得されなかった機能項目に対応するキー1203b、上述では、電子メールアドレス追加キー、電話帳などのアドレス帳追加キーが、選択不可であることを示す色(例えば、グレー色)の背景色で表示される。これにより、前記ユーザが解消したエラーの種類に応じて、入力可能なジョブ又は設定登録の種類が変更される。
【0086】
さて、ユーザは、前記禁止解除入力画面1200を見ながら、所定のキー1203a(例えば、電子メール画像送信キー)を選択すると(図7:S212YES)、前記表示受付手段505を介して前記優先実行手段508が、当該電子メール画像送信キーの選択を受け付けて、当該表示受付手段505に所定の電子メール画像送信画面を表示させる。そして、前記ユーザID優先実行508は、前記電子メール画像送信画面を介して、当該電子メール画像送信に関する機能に必要な設定条件(例えば、送信先など)をユーザから受け付け、受け付けた設定条件に基づいて電子メール画像送信に関する機能を前記機能実行手段501に実行させる(図7:S213)。これにより、前記エラーを解消したユーザは、管理者などの特定の権限を与えられていないにも関わらず、通常のユーザでは利用することが出来ないジョブを実行することが可能となる。尚、上述した電子メールアドレス追加やアドレス帳追加などの設定登録であっても、同様である。
【0087】
又、前記禁止のジョブ(上述では、電子メール画像送信)の実行が完了した場合(図7:S213)、前記優先実行手段508は、上述と同様に、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザIDを前記エラー解消ユーザテーブル1007から消去する(図7:S206)。又、前記印刷ジョブテーブル900に、未だに他の印刷ジョブが記憶されている場合には、S111に移行して、前記機能実行手段501が、全ての印刷ジョブを実行することになる(図6:S111)。
【0088】
尚、S212において、ユーザが、前記禁止解除入力画面1200を見ながら、所定のキー1203aを選択することなく、キャンセルキー1204を選択すると(図7:S212NO)、前記表示受付手段505が、当該キャンセルキー1204の選択を受け付けて、前記禁止解除入力画面1200を前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100に切り替え、他のキーの選択を受け付けることになる(図7:S214)。
【0089】
ところで、S210において、ユーザが、前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100を見ながら、前記禁止解除入力キー1103cを選択することなく、所定の設定条件入力キー1102とスタートキー305とを選択すると(図7:S210NO→S214YES)、前記表示受付手段505は、選択された設定条件入力キー1102に対応する設定条件の印刷ジョブの入力とスタートキー305の選択とを受け付ける(図7:S215)。これにより、入力された印刷ジョブが、前記エラー解消ユーザIDに関するエラー解消ユーザ印刷ジョブとしてではなく、通常の印刷ジョブとして入力されたことになる。
【0090】
次に、前記表示受付手段505は、通常の印刷ジョブが入力された旨を機能実行手段501に通知し、当該通知を受けた機能実行手段501は、前記通常の印刷ジョブを受け付けて、前記印刷ジョブテーブル900に、受け付けた通常の印刷ジョブの受付順位901と、当該通常の印刷ジョブ902と、前記エラー解消ユーザID903とを関連付けて記憶させる。そして、S111へ移行し、前記機能実行手段501は、前記印刷ジョブテーブル900に記憶された印刷ジョブ902を受付順位901に従って順次実行する(図6:S111)。
【0091】
この場合、前記優先実行手段508が起動することがなく、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007に記憶された前記エラー解消ユーザIDは消去されない。そのため、前記エラーを解消したユーザは、上述したメリットを、当該エラーを解消した直後に受けることなく、後の印刷ジョブの実行に持ち越して、自己の都合の良い時点で当該メリットを受けることが可能となり、ユーザへの利便性を向上させる。
【0092】
ここで、前記エラー解消ユーザIDのユーザが、前記エラーを解消した時点以外で、上述したメリットを受ける場合は、以下のようになる。
【0093】
即ち、前記エラー解消ユーザIDのユーザが、複合機100を新たに起動した場合、当該複合機100の表示受付手段505は、所定のユーザ認証画面をタッチパネル301上に表示し、当該ユーザから、ユーザIDと、対応するパスワードとの入力を受け付ける(図8:S301)。
【0094】
ユーザが、前記エラー解消ユーザIDに対応するユーザID(「N001」)と、対応するパスワードとを入力すると(図8:S302)、前記表示受付手段505が、入力されたユーザID及びパスワードと、管理者により予め登録された登録ユーザID及び登録パスワードとを照合して(図8:S303)、両者が不一致の場合は(図8:S303NO)、再度、前記ユーザから新たなユーザID又は/及びパスワードの入力を促し、両者が一致した場合には(図8:S303YES)、前記複合機100の使用を許可して(ログイン)、その旨を前記優先実行手段508に通知する。当該通知を受けた優先実行手段508は、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007を参照して、入力されたユーザID(ログインユーザIDとする)と一致するエラー解消ユーザID1008が存在するか否かを検索する(図8:S304)。
【0095】
当該検索の結果、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007に前記ログインユーザID(「N001」)と一致するエラー解消ユーザID1008(「N001」)が存在する場合は(図8:S305YES)、前記優先実行手段508が、S202に移行し、前記表示受付手段505を介して、前記タッチパネル301上に表示されたユーザ認証画面を、図11(A)に示すエラー解消印刷ジョブ入力画面1100に切り替える(図7:S202)。
【0096】
ここで、前記ログインユーザIDと一致するエラー解消ユーザIDが存在した場合に表示されるエラー解消印刷ジョブ入力画面1100には、上述と同様であり、図11(A)に示すように、前記設定条件入力キー1102の他に、前記エラーを解消したユーザのみが選択することが可能な特定のキー1103が選択可能に表示される。これにより、前記エラーを解消したユーザは、当該エラーを解消した直後ではなく、新たに複合機100を利用する場合にも、上述したメリットを受けることが可能となり、前記メリットを後の複合機100の利用時に持ち越すことが可能となる。
【0097】
尚、後の処理については、上述と同様であるため、その説明を省略する。
【0098】
一方、前記検索の結果、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007に前記ログインユーザIDと一致するエラー解消ユーザID1008が存在しない場合は(図8:S305NO)、前記優先実行手段508は起動せず、その旨を前記表示受付手段505に通知し、当該通知を受けた表示受付手段505は、前記タッチパネル301上に表示されたユーザ認証画面を、通常印刷ジョブ入力画面に切り替える(図8:S306)。
【0099】
前記通常印刷ジョブ入力画面1205には、図12(B)に示すように、ログインユーザID1206と、前記設定条件入力キー1207とが表示される。当該通常印刷ジョブ入力画面1205は、コピー機能における通常の初期画面に対応する。これにより、通常のユーザでは、前記エラーを解消したことによるメリットを受けることが出来ず、通常の印刷ジョブのみ入力することが可能となる。
【0100】
尚、後の処理については、ユーザによる設定条件入力キー1207とスタートキー305の選択(図8:S307YES)、通常の印刷ジョブの受付(図8:S308)、通常の印刷ジョブの実行(図8:S309)となり、上述したS214等と同様であるため、その説明を省略する。
【0101】
このように、本発明に係る複合機100は、前記エラーの解消が検知されると、当該エラーを解消したユーザから、当該ユーザを識別するエラー解消ユーザIDの入力を受け付けるユーザID入力受付手段506と、前記エラー解消ユーザIDが入力されると、当該エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自装置に入力された印刷ジョブのうち、当該エラー解消ユーザIDのユーザが入力したエラー解消ユーザ印刷ジョブがあるか否かを検索するジョブ検索手段507とを備える。又、当該複合機100は、前記検索の結果、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブがない場合に、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザIDをユーザID記憶手段510に記憶させるユーザID登録手段509と、前記ユーザID記憶手段510に前記エラー解消ユーザIDが記憶された特定の時点以降に生じたエラー解消ユーザ印刷ジョブを、他の印刷ジョブよりも優先して実行させる優先実行手段508とを備える。
【0102】
これにより、前記印刷ジョブを入力していないユーザであっても、複合機100に発生したエラーを解消すれば、当該エラーの解消によるメリットを受けることが可能となり、あらゆるユーザに当該エラーの解消を促すことが可能となる。又、前記メリットは、前記エラーが解消された時点以降のエラー解消ユーザ印刷ジョブに及ぶため、ユーザに対する利便性を向上させ、当該複合機100に発生するエラーの長期間放置を防止することが可能となる。
【0103】
尚、本発明の実施形態では、前記ユーザID入力受付手段506が、前記エラー解消時に、前記ユーザID入力画面を表示することで、前記エラーを解消したユーザのユーザIDの入力を受け付けるよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記複合機100に、IDカードに記憶されたユーザIDを読み取るカードリーダを予め備え、前記ユーザID入力受付手段506が、前記エラー解消時に、ユーザに、自己の有するIDカードを前記カードリーダで読み取らせるように促し、当該カードリーダにより読み取られたユーザIDを取得して、当該ユーザIDを前記エラー解消ユーザIDとして受け付けるよう構成しても構わない。又、前記ユーザID入力受付手段506が、前記エラー解消時に、所定のエラー解消番号を発行し、前記エラーを解消したユーザに、当該エラー解消番号を確認させ、ユーザがログインする際に、ログインユーザIDとともに、前記エラー解消番号の入力を求め、入力されたエラー解消番号が、発行したエラー解消番号と一致する場合に、入力されたログインユーザIDを前記エラー解消ユーザIDとして受け付けるよう構成しても構わない。
【0104】
又、本発明の実施形態では、前記優先実行手段508が、前記エラー解消ユーザIDのユーザに、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定登録を入力可能とする際に、当該ユーザが解消したエラーの種類に応じて、入力可能なジョブ又は設定登録の種類を変更するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、エラーの種類に対応して所定の得点を設定するとともに、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定登録(禁止ジョブ及び禁止設定登録とする)毎に所定の閾値をそれぞれ設定し、前記ユーザID登録手段509が、エラー解消時に、ユーザが解消したエラーの種類に対応する得点を、当該ユーザのエラー解消ユーザIDに関連付けて記憶させ、前記優先実行手段508が、前記エラー解消ユーザIDのユーザから、禁止ジョブ及び禁止設定登録の入力を受け付ける際に、当該エラー解消ユーザIDの得点の合計と前記閾値とを比較して、当該合計が超過した閾値に対応する禁止ジョブ及び禁止設定登録のみを、前記ユーザに入力可能とするよう構成してもよい。又、前記エラーの種類に得点を対応付ける代わりに、禁止ジョブ及び禁止設定登録の入力可能な回数や期間を対応付けるよう構成してもよい。
【0105】
又、本発明の実施形態では、前記優先実行手段508が、複数の印刷ジョブが存在する場合に、エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して機能実行手段501に実行させるよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記複数の印刷ジョブのうち、緊急性を示す緊急情報が付与された緊急印刷ジョブが存在する場合には、前記優先実行手段508が、前記緊急印刷ジョブの実行の後に、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して機能実行手段501に実行させる、言い換えると、前記緊急印刷ジョブに対しては、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して実行させないよう構成してもよい。
【0106】
又、本発明の実施形態では、前記優先実行手段508が、エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して機能実行手段501に実行させる際に、何ら表示等を実行しない構成としたが、他の構成でも構わない。例えば、前記優先実行手段508が、エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して実行させる際に、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブが優先して実行させる旨を表示した所定の通知画面を、操作部103のタッチパネル301又は前記印刷ジョブテーブル900のユーザID903の端末装置の液晶ディスプレイに表示して、印刷ジョブの順番が変更されたことを表示するよう構成してもよい。又、前記通知画面が表示される際に、エラーの解消により印刷ジョブの順番が変更された旨のメッセージを併せて表示するよう構成してもよい。更に、前記優先実行手段508が、エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して実行させた場合に、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブと通常の印刷ジョブとの順番を示す順番画面を、前記複合機100に接続された端末装置から閲覧出来るよう構成してもよい。
【0107】
又、本発明の実施形態では、前記優先実行手段508は、エラー解消ユーザ印刷ジョブが一回実行されると、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザIDを前記エラー解消ユーザIDテーブル1007から消去する構成としたが、他の構成でも構わない。例えば、ユーザがエラーを解消した場合に入力されるエラー解消ユーザ印刷ジョブに対して所定の閾値を予め設定しておき、エラー解消ユーザ印刷ジョブの実行回数が、当該閾値に達した場合に、前記優先実行手段508が、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザIDを前記エラー解消ユーザIDテーブル1007から消去するよう構成してもよい。
【0108】
又、本発明の実施形態では、所定のジョブとして、コピー機能に対応する印刷ジョブを採用したが、例えば、スキャン機能、プリントボックス機能、ファックス機能などに対応するジョブをジョブとして採用しても構わない。
【0109】
又、本発明の実施形態では、複合機100が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、上記プログラムを複合機に読み出させ、当該複合機が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上のように、本発明に係る画像形成装置及び画像形成方法は、複合機はもちろん、複写機、プリンタ等に有用であり、自装置に発生したエラーを解消したユーザに特定のメリットを与えることが可能な画像形成装置及び画像形成方法として有効である。
【符号の説明】
【0111】
100 複合機
501 機能実行手段
502 通信手段
503 印刷ジョブ記憶手段
504 エラー検知手段
505 表示受付手段
506 ユーザID入力受付手段
507 ジョブ検索手段
508 優先実行手段
509 ユーザID登録手段
510 ユーザID記憶手段
511 禁止解除選択記憶手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関し、詳しくは、自装置に発生したエラーを解消したユーザに特定のメリットを与えることが可能な画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コンピュータと周辺機器の利用形態の多くは、有線LANや無線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)によって相互に接続され、複数のユーザが限定された資源を共有できるようになっており、プリンタ、複合機などの画像形成装置においてもネットワークによる共有化が進んでいる。又、情報を共有するメリットの大きい一般のオフィスにおいては、特に、このようなネットワークシステムが利用されるようになっている。
【0003】
前記LANなどのネットワークを介して接続された1台の画像形成装置に対して、複数のユーザが手元のパーソナルコンピュータから印刷をほぼ同じ時期に実行した場合、印刷命令を、前記ネットワークを介して画像形成装置側で受信した順番通りに印刷を実行するための実行手段を持っていることが、ユーザにとって望ましい。
【0004】
そこで、ユーザからの印刷要求の順番通りに出力するために、前記ネットワークを介して前記コンピュータから受信した最初の印刷ジョブを出力している最中に、その後の印刷ジョブをリアルタイムに受け付け、前記装置内に大容量の記憶装置に一時的に保持し、受付順番通りに出力する実行手段が、従来から存在している。
【0005】
ところで、前記画像形成装置では、自装置内のエラーが発生して印刷が中断しているときに、あるユーザがそのエラーを解除したとしても、前記装置側で受信した順番通りに印刷を実行するため、必ずしもエラーを解除したユーザの印刷が直ちに実行されるわけではない。そのため、急いで自己の印刷物を手に入れるために、前記装置のエラーを解除したにも関わらず、既に大量の印刷ジョブが保持されている場合、当該エラーを解除したユーザは、自己の印刷ジョブが実行されるまで長時間待たなければならないという問題がある。
【0006】
このような問題を解決する技術として、例えば、特開2010−201896号公報(特許文献1)には、ユーザの特定を行う認証手段と、印刷依頼を行ったユーザに係る情報が付された印刷ジョブを蓄積する印刷キューと、装置に発生したエラーの解除を検知するエラー解除検知手段と、前記エラー解除検知手段がエラーの解除を検知したとき、所定の条件下で、ユーザの印刷ジョブの順位を変更する順位変更手段とを有することを特徴とする画像形成装置が開示されている。これにより、前記順位変更手段が、エラーを解除したユーザの印刷ジョブの印刷順位を第1位に変更するので、エラーを解除したユーザの印刷が直ちに実行されることとなり、エラーを解除したユーザが、自分の印刷処理が実行されるまで長時間待たされるような問題が生じることがないとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−201896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、エラーを解除(解消)したユーザが、既に前記画像形成装置に印刷ジョブを送信(投入)している場合には、有効であるものの、当該画像形成装置に印刷ジョブを送信していないユーザにとっては、エラーを解消するメリットが無く、当該画像形成装置のエラー解消を促すことに繋がらない。そのため、前記画像形成装置に発生したエラーが長期間放置されるという問題がある。
【0009】
一方、前記画像形成装置にエラーが発生した際に、当該画像形成装置のエラーを偶然に気が付いたユーザが当該エラーを解消する場合もある。そのような場合に、前記エラーを解消したユーザに、何らかのメリットを与えるようにすれば、前記印刷ジョブを送信したユーザに限られず、前記画像形成装置の周辺に存在するユーザなどあらゆるユーザに、前記エラーの解消を促すことに繋がる可能性がある。
【0010】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、画像形成装置に発生したエラーの解消をユーザに積極的に行なわせることが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、自装置に発生したエラーが解消したことを検知する画像形成装置を前提とし、以下の構成を採用する。
【0012】
即ち、前記画像形成装置は、前記エラーの解消が検知されると、当該エラーを解消したユーザから、当該ユーザを識別するエラー解消ユーザIDの入力を受け付けるユーザID入力受付手段と、前記エラー解消ユーザIDが入力されると、当該エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自装置に入力されたジョブのうち、当該エラー解消ユーザIDのユーザが入力したエラー解消ユーザジョブがあるか否かを検索するジョブ検索手段とを備える。又、当該画像形成装置は、前記検索の結果、前記エラー解消ユーザジョブがない場合に、当該エラー解消ユーザジョブのエラー解消ユーザIDをユーザID記憶手段に記憶させるユーザID登録手段と、前記ユーザID記憶手段に前記エラー解消ユーザIDが記憶された特定の時点以降に生じたエラー解消ユーザジョブを、他のジョブよりも優先して実行させる優先実行手段とを備える。
【0013】
これにより、前記ジョブを入力していないユーザであっても、画像形成装置に発生したエラーを解消すれば、当該エラーの解消によるメリットを受けることが可能となり、あらゆるユーザに当該エラーの解消を促すことが可能となる。又、前記メリットは、前記エラーが解消された時点以降のエラー解消ユーザジョブに及ぶため、ユーザに対する利便性を向上させ、当該画像形成装置に発生するエラーの長期間放置を防止することが可能となる。
【0014】
又、前記優先実行手段は、前記特定の時点以降に、自装置に接続された他の画像形成装置が、エラー解消ユーザジョブを含む複数のジョブを実行する場合に、当該エラー解消ユーザジョブを、他のジョブよりも優先して実行させる構成を採用することが出来る。
【0015】
又、前記優先実行手段は、前記特定の時点以降に、前記エラー解消ユーザIDのユーザがエラー解消ユーザジョブ又は所定の設定登録を自装置に入力する場合に、当該ユーザに、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定登録を入力可能とする構成を採用することが出来る。
【0016】
又、前記優先実行手段は、前記エラー解消ユーザIDのユーザに、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定登録を入力可能とする際に、当該ユーザが解消したエラーの種類に応じて、入力可能なジョブ又は設定登録の種類を変更する構成を採用することが出来る。
【0017】
又、前記優先実行手段は、エラー解消ユーザジョブが実行されると、当該エラー解消ユーザジョブのエラー解消ユーザIDを前記ユーザID記憶手段から消去する構成を採用することが出来る。
【0018】
又、本発明は、自装置に発生したエラーが解消したことを検知する画像形成装置の画像形成方法として提供することが出来る。即ち、当該画像形成方法は、前記エラーの解消が検知されると、当該エラーを解消したユーザから、当該ユーザを識別するエラー解消ユーザIDの入力を受け付けるユーザID入力受付ステップと、前記エラー解消ユーザIDが入力されると、当該エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自装置に入力されたジョブのうち、当該エラー解消ユーザIDのユーザが入力したエラー解消ユーザジョブがあるか否かを検索するジョブ検索ステップとを有する。又、当該画像形成方法は、前記検索の結果、前記エラー解消ユーザジョブがない場合に、当該エラー解消ユーザジョブのエラー解消ユーザIDをユーザID記憶手段に記憶させるユーザID登録ステップと、前記ユーザID記憶手段に前記エラー解消ユーザIDが記憶された特定の時点以降に生じたエラー解消ユーザジョブを、他のジョブよりも優先して実行させるユーザID優先実行ステップとを有する。当該構成としても、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
【0019】
又、本発明は、電気通信回線などを介して個別に流通する、コンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することができる。この場合、中央演算処理装置(CPU)が、本発明のプログラムに従ってCPU以外の各回路と協働して制御動作を実現する。又、前記プログラム及びCPUを用いて実現される各手段は、専用のハードウェアを用いて構成することもできる。又、当該プログラムは、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で流通させることも可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、自装置に発生したエラーを解消したユーザに特定のメリットを与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る複合機100の内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る画像読取部111の拡大図である。
【図3】本発明に係る操作部103の全体構成を示す概念図である。
【図4】本発明に係る複合機100の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複合機100の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係るユーザにメリットを与える手順を示すための第一のフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るユーザにメリットを与える手順を示すための第二のフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係るユーザにメリットを与える手順を示すための第三のフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る印刷ジョブテーブルの一例を示す図(図9(A))と、本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示されたエラー解消画面の一例を示す図(図9(B))である。
【図10】本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示されたユーザID入力画面の一例を示す図(図10(A))と本発明の実施形態に係るエラー解消ユーザIDテーブルの一例を示す図(図10(B))である。
【図11】本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示されたエラー解消印刷ジョブ入力画面の一例を示す図(図11(A))と本発明の実施形態に係る禁止解除選択テーブルの一例を示す図(図11(B))である。
【図12】本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示された禁止解除入力画面の一例を示す図(図12(A))と本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示された通常印刷ジョブ入力画面の一例を示す図(図12(B))である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0023】
<画像形成装置>
以下に、本発明に係る画像形成装置は、例えば、プリンタ、スキャナ単体、或いはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当する。
【0024】
図1は、本発明に係る複合機100の内部の全体構成を示す概念図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。尚、一例として複合機100を利用して原稿のコピー機能を提供する際の複合機100の動作を簡単に説明する。
【0025】
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿Pを印刷する場合、原稿Pを図1に示す原稿台101、或いは載置台102に配置し、原稿台101近傍に供えられた操作部103に対して印刷の指示を行う。ユーザは前記操作部103を介して、例えば、コピー設定条件(枚数、サイズ等)を複合機100に入力する。前記操作部103を介して(コピー)設定条件の入力とコピーの指示(スタートキーの選択)とがされることによって、所定のジョブ(画像処理)である印刷ジョブが入力(投入、送信、指示)され、以下に示す各部(駆動部)が動作し、コピー機能が行われる。
【0026】
即ち、図1に示すように、本実施形態の複合機100は、本体104と、本体104の上方に取り付けられたプラテンカバー105を備える。本体104の上面は原稿台101が設けられており、原稿台101は、プラテンカバー105によって開閉されるようになっている。プラテンカバー105は、自動原稿給紙装置106と載置台102と排紙台107が設けられている。
【0027】
自動原稿給紙装置106は、プラテンカバー105の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー105の内部に備えられたピックアップローラ109や搬送ローラ110A、110B等で構成される。原稿搬送路108は、載置台102から、本体104に設けられた画像読取部111にて読み取りが行なわれる読取位置Xを経由して、排紙台107に通じる原稿の搬送路である。
【0028】
自動原稿給紙装置106は、載置台102に載置された複数の原稿から1枚ずつ原稿をピックアップローラ109で搬送路内108に引き出し、搬送ローラ等によって引き出した原稿を、読取位置Xを通過させて、搬送ローラ110Bにより排紙台107に排紙する。読取位置Xを通過する時に原稿は画像読取部111にて読み取られる。
【0029】
前記画像読取部111は、原稿台102の下方に設けられており、図2にその詳細が示されている。画像読取部111は、原稿台102を照射する主走査方向に長い光源112と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット113と、原稿台からの光を導くミラー114とを備える第一の移動キャリッジ115や、第一の移動キャリッジ115からの反射光を再度反射するミラー116A、116Bを備える第二の移動キャリッジ117、更にミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群118、当該レンズ群118より補正された光を受光する撮像素子119、撮像素子119にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正処理・画質処理・圧縮処理などを行う画像データ生成部120とで構成されている。
【0030】
自動原稿給紙装置106上の原稿を読み取る場合には、光源112は、読取位置Xを照射できる位置に移動して発光する。光源112からの光は、原稿台101を透過して読取位置Xを通過する原稿にて反射し、スリット113、ミラー114、116A、116B、レンズ群118によって撮像素子119に導かれる。撮像素子119は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部120に送信する。画像データ生成部120には、前記撮像素子119にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部120では、順次変換されたデジタル信号を単位データ(濃度値)とし、これら単位データを補正処理、画質処理、圧縮処理等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
【0031】
又、画像読取部111は、自動原稿給紙装置106で搬送される原稿だけでなく、原稿台101に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台101に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ114は、光源112を発光しながら副走査方向に移動し、光源112から撮像素子119までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ117は第一の移動キャリッジ115の1/2の速度で撮像素子119方向に移動する。
【0032】
撮像素子119は、自動原稿給紙装置106に搬送された原稿のときと同様に、ミラー114、116A、116Bに導かれた光に基づいて原稿台101に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部120が画像データ(文書データ)を生成し、記憶部120Bに記憶する。
【0033】
本体104の記憶部120Bの下方には、ネットワークインターフェイス120Eを介して、ネットワーク120Fに接続された他の端末装置120G(例えば、パーソナルコンピュータ(PC)120G1、他の複合機120G2、複写機、プリンタなどの他の画像形成装置)と通信する通信部120Dを備えている。当該通信部120Dでは、他の端末装置120Gからの画像処理(例えば、印刷ジョブ)を受信したり、複合機100から他の端末装置120Gにジョブを実行する指示等を送信したりする。
【0034】
又、本発明に係る複合機100は、コピー機能の処理を実行する画像形成部121を更に備えている。前記画像形成部121は、本体104の画像読取部111の下方に設けられており、記憶部120Bに記憶された画像データを印刷(出力)する。画像形成部121が印刷できる画像データ(ジョブデータ)は、前記のように画像データ生成部120にて生成されたものや、前記ネットワーク120Fに接続された他の端末装置120Gから受信したものである。
【0035】
画像形成部121が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム122を帯電器123で一様に帯電させ、その後レーザ124で感光ドラム122を照射して感光ドラム122に潜像を形成し、現像器125で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を転写媒体に転写する方式である。
【0036】
尚、フルカラー画像に対応した画像形成装置では、前記現像器(ロータリー現像器)125が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム122の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム122上の潜像が、現像器125が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト126Aに転写される。尚、現像器125は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット125(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。前記中間転写ベルト126Aへの転写を前記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト126A上にフルカラー画像が形成される。可視像が印刷される転写媒体、即ち用紙は、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
【0037】
画像形成部121が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから転写媒体1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した転写媒体を搬送ローラ136やレジストローラ137で中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込む。画像形成部121は、中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込んだ転写媒体に、前記中間転写ベルト126A上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト127で定着部128(定着装置)に転写媒体を送る。定着部128は、ヒータが内蔵された加熱ローラ129と、所定の圧力で加熱ローラ129に押し当てられた加圧ローラ130とで構成されている。加熱ローラ129と加圧ローラ130の間を転写媒体が通過すると、熱と転写媒体への押圧力によって可視像が転写媒体に定着する。定着が行われた転写媒体は排紙トレイ131に排紙される。
【0038】
このような手順にて、複合機100のコピー機能の処理がなされる。
【0039】
尚、当該複合機100には、コピー機能の処理に関連するエラーを検知するエラー検知部(エラー検知センサ、エラーセンサともいう、図示せず)が、当該エラーの種類に応じて各部に予め設けられている。例えば、前記エラーが、前記現像ユニット内の補給トナーが無くなったことを示すトナー補給(エラー)である場合には、当該トナー補給を検知するエラー検知部が当該現像ユニットに内蔵されている。又、前記エラーが、前記転写媒体に対応する用紙の搬送路内の詰まりを示す紙詰り(エラー)(JAMともいう)である場合には、当該紙詰りを検知するエラー検知部が搬送路の各部に設けられている。更に、前記エラーが、前記給紙トレイ内の用紙が無くなったことを示す用紙補給(エラー)である場合には、当該用紙補給を検知するエラー検知部が各給紙トレイに内蔵されている。これらのエラーは、通常、複合機100を利用するユーザが解消可能なエラーである(後述する)。
【0040】
図3は、本発明に係る操作部103の外観の一例を示す概念図である。ユーザは、前記操作部103を用いて、上述のようなコピー機能に関するコピー設定条件、例えば、印刷枚数や用紙のサイズを入力したり、後述するエラー解消ユーザのユーザIDの入力を受け付けたり、入力されたコピー設定条件、エラー解消ユーザID等を確認したり、前記エラーを解消する手順を表示したりする。前記設定条件等が入力される場合、前記操作部103に備えられたタッチパネル301、タッチペン302、操作キー303が用いられる。
【0041】
前記タッチパネル301には、コピー設定条件等を入力する機能と当該コピー設定条件等を表示する機能が兼ね備えられている。例えば、タッチパネル301の背面に予め設置されたディスプレイによりタッチパネル301上に所定の画面が表示され、更に、タッチパネル301上に表示された画面内のキーが押下(選択)されることによって、キーに関連付けられたコピー設定条件が複合機100に入力される。押下されたキー等の背景色は、当該押下に連動して白色から灰色へ変更されるため、キー等の背景色によって、キー等が押下されている状態であるか否かが視認される。所定のユーザID入力も同様である。
【0042】
又、タッチパネル301の近傍には、タッチペン302が備えられており、ユーザがそのタッチペン302の先をタッチパネル301に接触させると、タッチパネル下に設けられたセンサが接触先を検知する。タッチペンの先は、ほぼ点に近いため、前記センサは、例えば、接触先をドット単位(最小単位)で検知することとなる。従って、例えばタッチパネル301内の位置を指で指定する場合と比較すると、タッチペン302で位置指定する方がより細かい位置を正確に指定することができる。ユーザは、指先に代えてタッチペン302によりタッチパネル301上に表示されたキー等を選択することが可能である。
【0043】
更に、タッチパネル301近傍には、所定数の操作ハードキー303が設けられ、例えば、テンキー304、スタートキー305、クリアキー306、ストップキー307、リセットキー308、電源キー309が備えられている。
【0044】
次に、図4を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図4は、本発明に係る複合機100の制御系ハードウェアの構成を示す図である。但し、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0045】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、HDD(Hard Disk Drive)404、各駆動部に対応するドライバ405、前記操作部406(103)、エラー検知センサ407、通信インターフェイス408を内部バス409によって接続している。前記CPU401は、例えば、RAM403を作業領域として利用し、前記ROM402、HDD404等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて前記ドライバ405と前記操作部406と前記エラー検知センサ407からのデータや指示、キーに対応する命令等を授受し、前記図1に示した各駆動部の動作を制御する。又、前記CPU401は、例えば、前記操作部406のタッチパネルの背面に設けられたディスプレイにデータを送信し、所定の画面をタッチパネル上に表示させる。更に、前記駆動部以外の後述する各手段(図5に示す)についても、前記CPU401がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。前記ROM402、HDD404等には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。又、前記通信インターフェイス408は、ネットワーク120F(ネットワーク120Fに接続された通信ケーブル)を介して、他機である他の端末装置120G(ここでは、PC120G1と、他の複合機120G2)と接続している。前記CPU401は、前記通信インターフェイス408を介して他の端末装置120Gと通信し、当該他の端末装置120Gとデータ、指示、命令等の授受を行なっている。
【0046】
<本発明の実施形態>
次に、図5−図8を参照しながら、本発明の実施形態に係る複合機100が、自装置に発生したエラーを解消したユーザにメリットを与える手順について説明する。図5は、本発明の実施形態に係る複合機100の機能ブロック図である。図6−図8は、本発明の実施形態に係る前記ユーザにメリットを与える手順を示すための第一のフローチャートから第三のフローチャートである。
【0047】
まず、ユーザが、複合機100に接続されたPC120G1を用いて、所定のジョブ(所定の画像を用紙に印刷させる印刷ジョブ、例えば、「8枚、1部、説明書」)を当該複合機100に入力(投入)すると、当該複合機100の機能実行手段501が、通信手段502を介して、前記PCから前記印刷ジョブと、当該PCのログイン時に入力される前記ユーザのユーザID(例えば、「A001」)とを受け付け(図6:S101)、印刷ジョブ記憶手段503の印刷ジョブテーブルに、受け付けた印刷ジョブの順番で、当該印刷ジョブと当該印刷ジョブに関連付けられたユーザIDとを記憶させる。
【0048】
前記印刷ジョブテーブル900には、図9(A)に示すように、前記印刷ジョブが前記複合機100に入力された順位(順番)を示す受付順位901と、当該受付順位901における印刷ジョブ902と、当該印刷ジョブを入力したユーザのユーザID903とが関連付けて記憶される。
【0049】
ここで、前記ユーザが前記印刷ジョブを前記複合機100に入力する直前に、例えば、図9(A)に示すように、3つの異なる印刷ジョブ902が当該複合機100に既に入力されていた場合は、新たに入力された印刷ジョブ902a(「8枚、1部、説明書」)は、前記ユーザID「A001」903aとともに、最下位(例えば、四番目の順位を示す「4」901a)で前記印刷ジョブテーブル900に記憶される。
【0050】
新たに入力された印刷ジョブ902aを前記印刷ジョブテーブル900に記憶させると、前記機能実行手段501は、当該印刷ジョブテーブル900の受付順位901の高い順位の印刷ジョブ902を順番に実行する(図6:S102)。ここで、前記受付順位901が最上位である印刷ジョブ902の実行が完了すると、前記機能実行手段501が、前記印刷ジョブテーブル900から実行完了の印刷ジョブ902、対応する受付順位901、ユーザID903を消去し、残存する前記印刷ジョブテーブル900の印刷ジョブ902の受付順位901を一つだけ繰り上げて、再度、最上位の印刷ジョブ902を実行する。これにより、印刷ジョブ902が、複合機100に入力された順番で順次実行される。
【0051】
ここで、前記機能実行手段501が、前記印刷ジョブテーブル900の受付順位901が最上位である印刷ジョブ902(例えば、「3枚、2部、議事録」)を実行中に、何らかの原因により、当該印刷ジョブ902に関するエラー(例えば、紙詰り)が発生すると、エラー検知手段504が、当該エラーの発生を検知して(図6:S103YES)、その旨を前記機能実行手段501に通知し、当該通知を受けた機能実行手段501は、前記印刷ジョブの実行を中断する(図6:S104)。
【0052】
更に、前記機能実行手段501は、エラーが発生した旨を表示受付手段505に通知し、当該通知を受けた表示受付手段505は、発生したエラー(「紙詰り」)に対応するエラー解消画面(「紙詰り解消画面」)をタッチパネル301上に表示する(図6:S105)。
【0053】
前記エラー解消画面904には、図9(B)に示すように、エラーが発生した旨のメッセージ905と、発生したエラーの名称906(「紙詰り」)と、発生したエラーを解消するための手順を示すエラー解消手順907と、OKキー908とが表示される。
【0054】
ここで、前記複合機100の操作部103で印刷ジョブを入力したユーザであれば、当該複合機100に発生したエラーに即時に気付いて、前記エラー解消画面904を見ながら、当該エラーを解消する。一方、上述のように、前記PC120G1から印刷ジョブを前記複合機100に入力したユーザであれば、前記エラーに即時に気付かない場合がある。この場合に、例えば、前記複合機100に偶々通り掛かったユーザなど前記印刷ジョブを入力していないユーザが、当該複合機100のエラーに気付いて、前記エラー解消画面904を見ながら、当該エラーを解消することになる。
【0055】
前記ユーザが、前記エラー解消画面904を見ながら、前記エラーを解消すると、前記エラー検知手段504が、当該エラーの解消を検知して(図6:S106YES)、その旨をユーザID入力受付手段506に通知する。当該通知を受けたユーザID入力受付手段506は、当該エラーを解消したユーザから、当該ユーザを識別するエラー解消ユーザIDの入力を受け付ける(図6:S107)。
【0056】
前記ユーザID入力受付手段506が前記エラー解消ユーザIDの入力を受け付ける方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、当該ユーザID入力受付手段506が、前記エラーの解消が検知された時点で、前記表示受付手段505を介して、前記タッチパネル301上に表示された前記エラー解消画面を、ユーザIDを入力可能なユーザID入力画面に切り替える。
【0057】
前記ユーザID入力画面1000には、図10(A)に示すように、エラーが解消された旨のメッセージ1001と、ユーザIDの入力を促す旨のメッセージ1001と、ユーザIDの入力欄1003と、ユーザIDを入力可能とするキーボードキー1004と、OKキー1005と、キャンセルキー1006が表示される。
【0058】
そこで、ユーザは、前記ユーザID入力画面1000を見ながら、自己のユーザID(例えば、「N001」)を前記キーボードキーにより1004から入力して、OKキー1005を選択すると、前記ユーザID入力受付手段506は、当該ユーザID「N001」をエラー解消ユーザIDとして受け付けて、その旨をジョブ検索手段507に通知する。当該通知を受けたジョブ検索手段507は、前記エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自身に入力された印刷ジョブのうち、当該エラー解消ユーザIDのユーザが入力したエラー解消ユーザ印刷ジョブがあるか否かを検索する(図6:S108)。
【0059】
前記ジョブ検索手段507がエラー解消ユーザ印刷ジョブを検索する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、当該ジョブ検索手段507が、前記エラー解消ユーザIDが入力された時点で、前記印刷ジョブ記憶手段503の印刷ジョブテーブル900を参照する。そして、前記ジョブ検索手段507は、参照した印刷ジョブテーブル900のユーザID903と、先ほど入力されたエラー解消ユーザIDとを照合して、当該エラー解消ユーザIDと一致する印刷ジョブテーブル900のユーザID903が存在するか否かを検索する。
【0060】
前記検索の結果、前記印刷ジョブテーブル900の印刷ジョブ902のうち、エラー解消ユーザ印刷ジョブが存在する場合(図6:S109YES)、例えば、前記操作部103で印刷ジョブを入力したユーザで、当該ユーザが前記エラーを解消した場合、当該ユーザのユーザID(例えば、「A001」)は前記印刷ジョブテーブル900のユーザID903(「A001」)に存在することになるため、前記ジョブ検索手段507は、その旨を優先実行手段508に通知する。当該通知を受けた優先実行手段508は、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブを、他の印刷ジョブよりも優先して実行させる(図6:S110)。
【0061】
具体的には、前記優先実行手段508が、前記機能実行手段501に中断した印刷ジョブの実行を完了させる、又は中断した印刷ジョブを破棄させて、次に、前記印刷ジョブテーブル900のエラー解消ユーザ印刷ジョブの受付順位を、最上位に変更し、他の印刷ジョブの受付順位を一つだけ繰り下げる。そして、前記優先実行手段508は、前記機能実行手段501に、前記受付順位が変更された印刷ジョブテーブル900に基づいて印刷ジョブを実行するよう指示する。これにより、前記機能実行手段501は、受付順位が最上位に変更された(エラー解消ユーザIDに関する)エラー解消ユーザ印刷ジョブを他の印刷ジョブよりも先に実行することとなり、エラーを解消したユーザにメリット(アドバンテージ)を与えることが可能となる。
【0062】
尚、前記機能実行手段501は、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブを実行した後に、優先順位が繰り下げられた他の印刷ジョブ(通常の印刷ジョブ)を順次実行することで、全ての印刷ジョブの実行を完了することになる(図6:S111)。
【0063】
一方、前記検索の結果、前記印刷ジョブテーブル900の印刷ジョブのうち、エラー解消ユーザ印刷ジョブが存在しない場合(図6:S109NO)、例えば、上述のように、印刷ジョブを入力したユーザと、エラーを解消したユーザとが異なる場合、前記ジョブ検索手段507は、その旨をユーザID登録手段509に通知し、当該通知を受けたユーザID登録手段509は、前記エラー検知手段504から解消されたエラーの種類(「紙詰り」)を取得するとともに、ユーザID記憶手段510に記憶されたエラー解消ユーザIDテーブルを参照し、当該エラー解消ユーザIDテーブルに前記エラー解消ユーザIDと前記エラーの種類とを関連付けて記憶させる(図7:S201)。
【0064】
前記エラー解消ユーザIDテーブル1007には、図10(B)に示すように、過去にエラーを解消したユーザのエラー解消ユーザID1008と、当該エラーの種類1009とが関連付けて記憶されている。前記エラーの種類1009は、前記エラー検知手段504が検知可能なエラーの種類であり、例えば、紙詰り、トナー補給、用紙補給などが記憶される。前記ユーザID登録手段509は、例えば、図10(B)に示すように、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザID1008a(「N001」)と、解消されたエラーの種類1009a(「紙詰り」)とを関連付けて、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007の最下段に記憶させる。
【0065】
前記ユーザID登録手段509が、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007に新たなエラー解消ユーザID1008を記憶させると、その旨を前記優先実行手段508に通知する。当該通知を受けた優先実行手段508は、当該エラー解消ユーザIDテーブル1007に前記エラー解消ユーザID1008が記憶された特定の時点(記憶時点)以降に生じるエラー解消ユーザ印刷ジョブを、他の印刷ジョブよりも優先して実行させる。
【0066】
具体的には、前記優先実行手段508が、前記表示受付手段505を介して、前記タッチパネル301上に表示されたユーザID入力画面1000を、前記エラー解消ユーザIDを入力したユーザに新たにエラー解消ユーザ印刷ジョブの入力を促すエラー解消印刷ジョブ入力画面に切り替える(図7:S202)。
【0067】
前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100には、図11(A)に示すように、先ほど記憶(入力)されたエラー解除ユーザID1101(「N001」)と、印刷ジョブの設定条件を入力するための設定条件入力キー1102と、前記エラーを解消したユーザのみが選択することが可能な特定のキー1103(優先実行キー1103a、ネットワーク優先実行キー1103b、禁止解除入力キー1103c)と、当該特定のキー1103の内容を示すためのメッセージ1104とが表示される。
【0068】
ここで、前記優先実行キー1103aは、前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100を介して入力した印刷ジョブを優先して実行させるためのキーである。又、前記ネットワーク優先実行キー1103bは、自身の複合機100に接続された他の複合機120G2が受けた印刷ジョブのうち、(前記エラー解除ユーザIDに関する)エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して実行させるためのキーである。更に、前記禁止解除入力キー1103cは、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定条件を入力するためのキーである。これにより、前記エラーを解消したユーザに、特定の機能を有するキーを選択可能とする権限を与え、ジョブにおける優位性(インセンティブ)を与えることが可能となる。
【0069】
ユーザが、前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100を見ながら、例えば、所定の設定条件入力キー1102を選択して、更に、前記優先実行キー1103aとスタートキー305とを選択すると(図7:S203YES)、前記表示受付手段505が、選択された設定条件入力キー1102に対応する設定条件の印刷ジョブの入力と当該優先実行キー1103aの選択とスタートキー305の選択とを受け付け(図7:S204)、その旨を前記機能実行手段501に通知する。当該通知を受けた機能実行手段501は、受け付けた前記エラー解消ユーザID(「N001」)と(当該エラー解消ユーザIDに関する)エラー解消ユーザ印刷ジョブとを、受け付けた印刷ジョブの順番で前記印刷ジョブテーブル900に関連付けて記憶させる。
【0070】
次に、前記表示受付手段505は、新たなエラー解消ユーザ印刷ジョブが入力された旨を優先実行手段508に通知する。当該通知を受けた優先実行手段508は、前記印刷ジョブ記憶手段503の印刷ジョブテーブル900を参照して、先ほど入力されたエラー解消ユーザ印刷ジョブの受付順位(最下位)を、最上位に変更し、他の印刷ジョブの受付順位を一つだけ繰り下げて、前記機能実行手段501に当該エラー解消ユーザ印刷ジョブを他の印刷ジョブよりも優先的に実行させる(図7:S205)。これにより、前記エラーを解消したユーザにより新たに入力されたエラー解消ユーザ印刷ジョブが即時に実行されることとなり、当該ユーザにメリットを与えることが可能となる。例えば、前記ユーザが、前記エラーを解消した時点で、複数の印刷ジョブが複合機100に蓄積されているにも関わらず、新たなエラー解消ユーザ印刷ジョブを当該複合機100に急遽実行させたい場合に、迅速にエラー解消ユーザ印刷ジョブが実行されるため、特に有効である。
【0071】
さて、前記機能実行手段501が、優先されたエラー解消ユーザ印刷ジョブの実行を完了すると、前記優先実行手段508は、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブの実行完了を検知して、前記ユーザID記憶手段510のエラー解消ユーザIDテーブル1007を参照し、当該エラー解消ユーザIDテーブル1007から当該エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザID1008(「N001」)及びエラーの種類1009(「紙詰り」)を消去する(図7:S206)。これにより、ユーザが前記エラーを解消したことによるメリットが継続することを防止する。
【0072】
尚、前記機能実行手段501は、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブを実行した後に、S111に移行して、上述と同様に、優先順位が繰り下げられた他の印刷ジョブ(通常の印刷ジョブ)を順次実行することで、全ての印刷ジョブの実行を完了することになる(図6:S111)。
【0073】
ところで、S203において、前記エラーを解消したユーザが、ネットワーク120Fを介して前記複合機100に接続された他の複合機120G2に、(当該エラー解消ユーザIDに関する)エラー解消ユーザ印刷ジョブを既に入力している場合に、前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100を見ながら、前記優先実行キー1103aを選択することなく、前記ネットワーク優先実行キー1103bを選択すると(図7:S203NO→S207YES)、前記表示受付手段505が、当該ネットワーク優先実行キー1103bの選択を受け付けて、その旨を優先実行手段508に通知する。当該通知を受けた優先実行手段508は、前記通信手段502を介して、前記他の複合機120G2と通信し、当該他の複合機120G2に既に入力された印刷ジョブのうち、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブが存在するか否かを検索する(図7:S208)。
【0074】
ここで、前記優先実行手段508が、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブが存在するか否かを検索する方法は、上述のように、例えば、当該優先実行手段508が、前記他の複合機120G2の印刷ジョブテーブルを参照して、当該印刷ジョブテーブルのユーザIDに前記エラー解消ユーザIDが存在するか否かを検索することによりなされる。
【0075】
当該検索の結果、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブが存在する場合(図7:S208YES)、前記優先実行手段508は、前記他の複合機120G2に当該エラー解消ユーザ印刷ジョブを他の印刷ジョブよりも優先して実行するように指示する。当該指示を受けた他の複合機120G2は、例えば、自身の印刷ジョブテーブルのエラー解消ユーザ印刷ジョブの受付順位を、最上位に変更し、他の印刷ジョブの受付順位を一つだけ繰り下げて、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブを他の印刷ジョブよりも優先して実行する(図7:S205)。これにより、エラーを解消したユーザは、当該エラーを解消した複合機100だけでなく、当該複合機100に接続された他の複合機120G2でも、上述したメリットを受けることが可能となる。
【0076】
尚、前記他の複合機120G2がエラー解消ユーザ印刷ジョブの実行を完了した場合、前記優先実行手段508は、上述と同様に、実行完了したエラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザIDを前記エラー解消ユーザテーブル1107から消去する(図7:S206)。又、前記複合機100の印刷ジョブテーブル900に、未だに他の印刷ジョブが記憶されている場合には、S111に移行して、前記機能実行手段501が、全ての印刷ジョブを実行することになる(図6:S111)。
【0077】
一方、前記検索の結果、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブが存在しない場合(図7:S208NO)、前記優先実行手段508は、前記表示受付手段505を介して、前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100に、前記他の複合機120G2が優先実行可能な前記エラー解消ユーザ印刷ジョブは存在しない旨のメッセージを表示し(図7:S209)、前記ユーザに他のキー(例えば、禁止解除入力キー1103cなど)の選択を促すことになる。
【0078】
ところで、S207において、ユーザが、前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100を見ながら、前記ネットワーク優先実行キー1103bを選択することなく、前記禁止解除入力キー1103cを選択すると(図7:S207NO→S210YES)、前記表示受付手段505が、当該禁止解除入力キー1103cの選択を受け付けて、その旨を優先実行手段508に通知する。当該通知を受けた優先実行手段508は、禁止解除選択記憶手段511に記憶された禁止解除選択テーブルを参照する。
【0079】
前記禁止解除選択テーブル1104には、図11(B)に示すように、通常のユーザでは入力を禁止されているジョブ又は所定の設定登録を示すキー、言い換えると、管理者などの特定の権限が与えられた特定のユーザにのみ選択可能なジョブ又は設定登録を示す禁止キーの機能項目1105と、当該機能項目1105の内容に応じて予め対応付けられたエラーの種類1106とが関連付けて記憶される。
【0080】
ここで、前記機能項目1105には、例えば、電子メール画像送信、フォルダ送信のための特定のプロトコルであるSMB(Server Message Block)フォルダ送信、電子メールアドレス追加、電話帳などのアドレス帳追加が記憶される。又、前記エラーの種類1106には、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007のエラーの種類1009と共通し、トナー補給、紙詰り、用紙補給が記憶される。
【0081】
前記禁止解除選択テーブル1104を参照した優先実行手段508は、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007から、現時点のユーザのエラー解消ユーザID1008に対応するエラーの種類1009を取得し、前記禁止解除選択テーブル1104から、当該エラーの種類1106に関連付けられた機能項目1105を取得する。
【0082】
例えば、前記エラー解消ユーザID1008が「N001」1008aであれば、対応するエラーの種類1009が「紙詰り」1009aとなるため、図11(B)に示す前記禁止解除選択テーブル1104から取得される機能項目1105は、「電子メール画像送信」1105a、「SMBフォルダ送信」1105bとなる。
【0083】
次に、前記優先実行手段508は、前記表示受付手段505を介して、取得した機能項目1105に対応するキーが選択可能に表示された禁止解除入力画面をタッチパネル301上に表示する(図7:S211)。
【0084】
前記禁止解除入力画面1200には、図12(A)に示すように、通常のユーザでは入力が禁止されているジョブ又は設定登録を入力出来る旨のメッセージ1201と、前記エラー解消ユーザID1202と、通常のユーザでは入力が禁止されているジョブ又は設定登録を入力するためのキー1203と、キャンセルキー1204とが表示される。
【0085】
ここで、前記キー1203は、取得された機能項目1105に対応するキー1203a、上述では、電子メール画像送信キー、SMBフォルダ送信キーが選択可能に表示され、取得されなかった機能項目に対応するキー1203b、上述では、電子メールアドレス追加キー、電話帳などのアドレス帳追加キーが、選択不可であることを示す色(例えば、グレー色)の背景色で表示される。これにより、前記ユーザが解消したエラーの種類に応じて、入力可能なジョブ又は設定登録の種類が変更される。
【0086】
さて、ユーザは、前記禁止解除入力画面1200を見ながら、所定のキー1203a(例えば、電子メール画像送信キー)を選択すると(図7:S212YES)、前記表示受付手段505を介して前記優先実行手段508が、当該電子メール画像送信キーの選択を受け付けて、当該表示受付手段505に所定の電子メール画像送信画面を表示させる。そして、前記ユーザID優先実行508は、前記電子メール画像送信画面を介して、当該電子メール画像送信に関する機能に必要な設定条件(例えば、送信先など)をユーザから受け付け、受け付けた設定条件に基づいて電子メール画像送信に関する機能を前記機能実行手段501に実行させる(図7:S213)。これにより、前記エラーを解消したユーザは、管理者などの特定の権限を与えられていないにも関わらず、通常のユーザでは利用することが出来ないジョブを実行することが可能となる。尚、上述した電子メールアドレス追加やアドレス帳追加などの設定登録であっても、同様である。
【0087】
又、前記禁止のジョブ(上述では、電子メール画像送信)の実行が完了した場合(図7:S213)、前記優先実行手段508は、上述と同様に、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザIDを前記エラー解消ユーザテーブル1007から消去する(図7:S206)。又、前記印刷ジョブテーブル900に、未だに他の印刷ジョブが記憶されている場合には、S111に移行して、前記機能実行手段501が、全ての印刷ジョブを実行することになる(図6:S111)。
【0088】
尚、S212において、ユーザが、前記禁止解除入力画面1200を見ながら、所定のキー1203aを選択することなく、キャンセルキー1204を選択すると(図7:S212NO)、前記表示受付手段505が、当該キャンセルキー1204の選択を受け付けて、前記禁止解除入力画面1200を前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100に切り替え、他のキーの選択を受け付けることになる(図7:S214)。
【0089】
ところで、S210において、ユーザが、前記エラー解消印刷ジョブ入力画面1100を見ながら、前記禁止解除入力キー1103cを選択することなく、所定の設定条件入力キー1102とスタートキー305とを選択すると(図7:S210NO→S214YES)、前記表示受付手段505は、選択された設定条件入力キー1102に対応する設定条件の印刷ジョブの入力とスタートキー305の選択とを受け付ける(図7:S215)。これにより、入力された印刷ジョブが、前記エラー解消ユーザIDに関するエラー解消ユーザ印刷ジョブとしてではなく、通常の印刷ジョブとして入力されたことになる。
【0090】
次に、前記表示受付手段505は、通常の印刷ジョブが入力された旨を機能実行手段501に通知し、当該通知を受けた機能実行手段501は、前記通常の印刷ジョブを受け付けて、前記印刷ジョブテーブル900に、受け付けた通常の印刷ジョブの受付順位901と、当該通常の印刷ジョブ902と、前記エラー解消ユーザID903とを関連付けて記憶させる。そして、S111へ移行し、前記機能実行手段501は、前記印刷ジョブテーブル900に記憶された印刷ジョブ902を受付順位901に従って順次実行する(図6:S111)。
【0091】
この場合、前記優先実行手段508が起動することがなく、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007に記憶された前記エラー解消ユーザIDは消去されない。そのため、前記エラーを解消したユーザは、上述したメリットを、当該エラーを解消した直後に受けることなく、後の印刷ジョブの実行に持ち越して、自己の都合の良い時点で当該メリットを受けることが可能となり、ユーザへの利便性を向上させる。
【0092】
ここで、前記エラー解消ユーザIDのユーザが、前記エラーを解消した時点以外で、上述したメリットを受ける場合は、以下のようになる。
【0093】
即ち、前記エラー解消ユーザIDのユーザが、複合機100を新たに起動した場合、当該複合機100の表示受付手段505は、所定のユーザ認証画面をタッチパネル301上に表示し、当該ユーザから、ユーザIDと、対応するパスワードとの入力を受け付ける(図8:S301)。
【0094】
ユーザが、前記エラー解消ユーザIDに対応するユーザID(「N001」)と、対応するパスワードとを入力すると(図8:S302)、前記表示受付手段505が、入力されたユーザID及びパスワードと、管理者により予め登録された登録ユーザID及び登録パスワードとを照合して(図8:S303)、両者が不一致の場合は(図8:S303NO)、再度、前記ユーザから新たなユーザID又は/及びパスワードの入力を促し、両者が一致した場合には(図8:S303YES)、前記複合機100の使用を許可して(ログイン)、その旨を前記優先実行手段508に通知する。当該通知を受けた優先実行手段508は、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007を参照して、入力されたユーザID(ログインユーザIDとする)と一致するエラー解消ユーザID1008が存在するか否かを検索する(図8:S304)。
【0095】
当該検索の結果、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007に前記ログインユーザID(「N001」)と一致するエラー解消ユーザID1008(「N001」)が存在する場合は(図8:S305YES)、前記優先実行手段508が、S202に移行し、前記表示受付手段505を介して、前記タッチパネル301上に表示されたユーザ認証画面を、図11(A)に示すエラー解消印刷ジョブ入力画面1100に切り替える(図7:S202)。
【0096】
ここで、前記ログインユーザIDと一致するエラー解消ユーザIDが存在した場合に表示されるエラー解消印刷ジョブ入力画面1100には、上述と同様であり、図11(A)に示すように、前記設定条件入力キー1102の他に、前記エラーを解消したユーザのみが選択することが可能な特定のキー1103が選択可能に表示される。これにより、前記エラーを解消したユーザは、当該エラーを解消した直後ではなく、新たに複合機100を利用する場合にも、上述したメリットを受けることが可能となり、前記メリットを後の複合機100の利用時に持ち越すことが可能となる。
【0097】
尚、後の処理については、上述と同様であるため、その説明を省略する。
【0098】
一方、前記検索の結果、前記エラー解消ユーザIDテーブル1007に前記ログインユーザIDと一致するエラー解消ユーザID1008が存在しない場合は(図8:S305NO)、前記優先実行手段508は起動せず、その旨を前記表示受付手段505に通知し、当該通知を受けた表示受付手段505は、前記タッチパネル301上に表示されたユーザ認証画面を、通常印刷ジョブ入力画面に切り替える(図8:S306)。
【0099】
前記通常印刷ジョブ入力画面1205には、図12(B)に示すように、ログインユーザID1206と、前記設定条件入力キー1207とが表示される。当該通常印刷ジョブ入力画面1205は、コピー機能における通常の初期画面に対応する。これにより、通常のユーザでは、前記エラーを解消したことによるメリットを受けることが出来ず、通常の印刷ジョブのみ入力することが可能となる。
【0100】
尚、後の処理については、ユーザによる設定条件入力キー1207とスタートキー305の選択(図8:S307YES)、通常の印刷ジョブの受付(図8:S308)、通常の印刷ジョブの実行(図8:S309)となり、上述したS214等と同様であるため、その説明を省略する。
【0101】
このように、本発明に係る複合機100は、前記エラーの解消が検知されると、当該エラーを解消したユーザから、当該ユーザを識別するエラー解消ユーザIDの入力を受け付けるユーザID入力受付手段506と、前記エラー解消ユーザIDが入力されると、当該エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自装置に入力された印刷ジョブのうち、当該エラー解消ユーザIDのユーザが入力したエラー解消ユーザ印刷ジョブがあるか否かを検索するジョブ検索手段507とを備える。又、当該複合機100は、前記検索の結果、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブがない場合に、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザIDをユーザID記憶手段510に記憶させるユーザID登録手段509と、前記ユーザID記憶手段510に前記エラー解消ユーザIDが記憶された特定の時点以降に生じたエラー解消ユーザ印刷ジョブを、他の印刷ジョブよりも優先して実行させる優先実行手段508とを備える。
【0102】
これにより、前記印刷ジョブを入力していないユーザであっても、複合機100に発生したエラーを解消すれば、当該エラーの解消によるメリットを受けることが可能となり、あらゆるユーザに当該エラーの解消を促すことが可能となる。又、前記メリットは、前記エラーが解消された時点以降のエラー解消ユーザ印刷ジョブに及ぶため、ユーザに対する利便性を向上させ、当該複合機100に発生するエラーの長期間放置を防止することが可能となる。
【0103】
尚、本発明の実施形態では、前記ユーザID入力受付手段506が、前記エラー解消時に、前記ユーザID入力画面を表示することで、前記エラーを解消したユーザのユーザIDの入力を受け付けるよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記複合機100に、IDカードに記憶されたユーザIDを読み取るカードリーダを予め備え、前記ユーザID入力受付手段506が、前記エラー解消時に、ユーザに、自己の有するIDカードを前記カードリーダで読み取らせるように促し、当該カードリーダにより読み取られたユーザIDを取得して、当該ユーザIDを前記エラー解消ユーザIDとして受け付けるよう構成しても構わない。又、前記ユーザID入力受付手段506が、前記エラー解消時に、所定のエラー解消番号を発行し、前記エラーを解消したユーザに、当該エラー解消番号を確認させ、ユーザがログインする際に、ログインユーザIDとともに、前記エラー解消番号の入力を求め、入力されたエラー解消番号が、発行したエラー解消番号と一致する場合に、入力されたログインユーザIDを前記エラー解消ユーザIDとして受け付けるよう構成しても構わない。
【0104】
又、本発明の実施形態では、前記優先実行手段508が、前記エラー解消ユーザIDのユーザに、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定登録を入力可能とする際に、当該ユーザが解消したエラーの種類に応じて、入力可能なジョブ又は設定登録の種類を変更するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、エラーの種類に対応して所定の得点を設定するとともに、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定登録(禁止ジョブ及び禁止設定登録とする)毎に所定の閾値をそれぞれ設定し、前記ユーザID登録手段509が、エラー解消時に、ユーザが解消したエラーの種類に対応する得点を、当該ユーザのエラー解消ユーザIDに関連付けて記憶させ、前記優先実行手段508が、前記エラー解消ユーザIDのユーザから、禁止ジョブ及び禁止設定登録の入力を受け付ける際に、当該エラー解消ユーザIDの得点の合計と前記閾値とを比較して、当該合計が超過した閾値に対応する禁止ジョブ及び禁止設定登録のみを、前記ユーザに入力可能とするよう構成してもよい。又、前記エラーの種類に得点を対応付ける代わりに、禁止ジョブ及び禁止設定登録の入力可能な回数や期間を対応付けるよう構成してもよい。
【0105】
又、本発明の実施形態では、前記優先実行手段508が、複数の印刷ジョブが存在する場合に、エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して機能実行手段501に実行させるよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記複数の印刷ジョブのうち、緊急性を示す緊急情報が付与された緊急印刷ジョブが存在する場合には、前記優先実行手段508が、前記緊急印刷ジョブの実行の後に、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して機能実行手段501に実行させる、言い換えると、前記緊急印刷ジョブに対しては、前記エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して実行させないよう構成してもよい。
【0106】
又、本発明の実施形態では、前記優先実行手段508が、エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して機能実行手段501に実行させる際に、何ら表示等を実行しない構成としたが、他の構成でも構わない。例えば、前記優先実行手段508が、エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して実行させる際に、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブが優先して実行させる旨を表示した所定の通知画面を、操作部103のタッチパネル301又は前記印刷ジョブテーブル900のユーザID903の端末装置の液晶ディスプレイに表示して、印刷ジョブの順番が変更されたことを表示するよう構成してもよい。又、前記通知画面が表示される際に、エラーの解消により印刷ジョブの順番が変更された旨のメッセージを併せて表示するよう構成してもよい。更に、前記優先実行手段508が、エラー解消ユーザ印刷ジョブを優先して実行させた場合に、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブと通常の印刷ジョブとの順番を示す順番画面を、前記複合機100に接続された端末装置から閲覧出来るよう構成してもよい。
【0107】
又、本発明の実施形態では、前記優先実行手段508は、エラー解消ユーザ印刷ジョブが一回実行されると、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザIDを前記エラー解消ユーザIDテーブル1007から消去する構成としたが、他の構成でも構わない。例えば、ユーザがエラーを解消した場合に入力されるエラー解消ユーザ印刷ジョブに対して所定の閾値を予め設定しておき、エラー解消ユーザ印刷ジョブの実行回数が、当該閾値に達した場合に、前記優先実行手段508が、当該エラー解消ユーザ印刷ジョブのエラー解消ユーザIDを前記エラー解消ユーザIDテーブル1007から消去するよう構成してもよい。
【0108】
又、本発明の実施形態では、所定のジョブとして、コピー機能に対応する印刷ジョブを採用したが、例えば、スキャン機能、プリントボックス機能、ファックス機能などに対応するジョブをジョブとして採用しても構わない。
【0109】
又、本発明の実施形態では、複合機100が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、上記プログラムを複合機に読み出させ、当該複合機が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上のように、本発明に係る画像形成装置及び画像形成方法は、複合機はもちろん、複写機、プリンタ等に有用であり、自装置に発生したエラーを解消したユーザに特定のメリットを与えることが可能な画像形成装置及び画像形成方法として有効である。
【符号の説明】
【0111】
100 複合機
501 機能実行手段
502 通信手段
503 印刷ジョブ記憶手段
504 エラー検知手段
505 表示受付手段
506 ユーザID入力受付手段
507 ジョブ検索手段
508 優先実行手段
509 ユーザID登録手段
510 ユーザID記憶手段
511 禁止解除選択記憶手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置に発生したエラーが解消したことを検知する画像形成装置において、
前記エラーの解消が検知されると、当該エラーを解消したユーザから、当該ユーザを識別するエラー解消ユーザIDの入力を受け付けるユーザID入力受付手段と、
前記エラー解消ユーザIDが入力されると、当該エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自装置に入力されたジョブのうち、当該エラー解消ユーザIDのユーザが入力したエラー解消ユーザジョブがあるか否かを検索するジョブ検索手段と、
前記検索の結果、前記エラー解消ユーザジョブがない場合に、当該エラー解消ユーザジョブのエラー解消ユーザIDをユーザID記憶手段に記憶させるユーザID登録手段と、
前記ユーザID記憶手段に前記エラー解消ユーザIDが記憶された特定の時点以降に生じたエラー解消ユーザジョブを、他のジョブよりも優先して実行させる優先実行手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記優先実行手段は、前記特定の時点以降に、自装置に接続された他の画像形成装置が、エラー解消ユーザジョブを含む複数のジョブを実行する場合に、当該エラー解消ユーザジョブを、他のジョブよりも優先して実行させる
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記優先実行手段は、前記特定の時点以降に、前記エラー解消ユーザIDのユーザがエラー解消ユーザジョブ又は所定の設定登録を自装置に入力する場合に、当該ユーザに、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定登録を入力可能とする
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記優先実行手段は、前記エラー解消ユーザIDのユーザに、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定登録を入力可能とする際に、当該ユーザが解消したエラーの種類に応じて、入力可能なジョブ又は設定登録の種類を変更する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記優先実行手段は、エラー解消ユーザジョブが実行されると、当該エラー解消ユーザジョブのエラー解消ユーザIDを前記ユーザID記憶手段から消去する
請求項1−4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
自装置に発生したエラーが解消したことを検知する画像形成装置の画像形成方法において、
前記エラーの解消が検知されると、当該エラーを解消したユーザから、当該ユーザを識別するエラー解消ユーザIDの入力を受け付けるユーザID入力受付ステップと、
前記エラー解消ユーザIDが入力されると、当該エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自装置に入力されたジョブのうち、当該エラー解消ユーザIDのユーザが入力したエラー解消ユーザジョブがあるか否かを検索するジョブ検索ステップと、
前記検索の結果、前記エラー解消ユーザジョブがない場合に、当該エラー解消ユーザジョブのエラー解消ユーザIDをユーザID記憶手段に記憶させるユーザID登録ステップと、
前記ユーザID記憶手段に前記エラー解消ユーザIDが記憶された特定の時点以降に生じたエラー解消ユーザジョブを、他のジョブよりも優先して実行させる優先実行ステップと
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記憶したコンピュータに読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】
自装置に発生したエラーが解消したことを検知する画像形成装置において、
前記エラーの解消が検知されると、当該エラーを解消したユーザから、当該ユーザを識別するエラー解消ユーザIDの入力を受け付けるユーザID入力受付手段と、
前記エラー解消ユーザIDが入力されると、当該エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自装置に入力されたジョブのうち、当該エラー解消ユーザIDのユーザが入力したエラー解消ユーザジョブがあるか否かを検索するジョブ検索手段と、
前記検索の結果、前記エラー解消ユーザジョブがない場合に、当該エラー解消ユーザジョブのエラー解消ユーザIDをユーザID記憶手段に記憶させるユーザID登録手段と、
前記ユーザID記憶手段に前記エラー解消ユーザIDが記憶された特定の時点以降に生じたエラー解消ユーザジョブを、他のジョブよりも優先して実行させる優先実行手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記優先実行手段は、前記特定の時点以降に、自装置に接続された他の画像形成装置が、エラー解消ユーザジョブを含む複数のジョブを実行する場合に、当該エラー解消ユーザジョブを、他のジョブよりも優先して実行させる
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記優先実行手段は、前記特定の時点以降に、前記エラー解消ユーザIDのユーザがエラー解消ユーザジョブ又は所定の設定登録を自装置に入力する場合に、当該ユーザに、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定登録を入力可能とする
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記優先実行手段は、前記エラー解消ユーザIDのユーザに、通常のユーザでは入力を禁止しているジョブ又は設定登録を入力可能とする際に、当該ユーザが解消したエラーの種類に応じて、入力可能なジョブ又は設定登録の種類を変更する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記優先実行手段は、エラー解消ユーザジョブが実行されると、当該エラー解消ユーザジョブのエラー解消ユーザIDを前記ユーザID記憶手段から消去する
請求項1−4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
自装置に発生したエラーが解消したことを検知する画像形成装置の画像形成方法において、
前記エラーの解消が検知されると、当該エラーを解消したユーザから、当該ユーザを識別するエラー解消ユーザIDの入力を受け付けるユーザID入力受付ステップと、
前記エラー解消ユーザIDが入力されると、当該エラー解消ユーザIDが入力された時点で、自装置に入力されたジョブのうち、当該エラー解消ユーザIDのユーザが入力したエラー解消ユーザジョブがあるか否かを検索するジョブ検索ステップと、
前記検索の結果、前記エラー解消ユーザジョブがない場合に、当該エラー解消ユーザジョブのエラー解消ユーザIDをユーザID記憶手段に記憶させるユーザID登録ステップと、
前記ユーザID記憶手段に前記エラー解消ユーザIDが記憶された特定の時点以降に生じたエラー解消ユーザジョブを、他のジョブよりも優先して実行させる優先実行ステップと
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記憶したコンピュータに読み取り可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−12908(P2013−12908A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144388(P2011−144388)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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