説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】非純正の交換部品を使用した場合であっても、ユーザの利便性を損なうことなく、印字率の増加を抑制し、カブリの発生を防止し定着部の汚れ、未定着トナーの飛散を防止することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、画像を形成する画像形成部103と、画像形成部103の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部101aと、画像形成条件の設定操作を含むユーザ操作を受け付ける操作受付部(例えば操作パネル102)と、操作受付部から設定された画像形成条件に基づき画像形成部103での画像形成を制御する制御部101とを備える。画像形成装置100では、非純正品判定部101aにより画像形成部103の交換部品が非純正品と判定された場合、制御部101が、画像形成条件の設定操作のうち白黒反転印刷を行うための設定操作を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関し、より詳細には、交換部品が非純正品か否かを判定する機能を備えた画像形成装置、及びその画像形成装置における画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像形成装置に使用される感光体ドラム、転写ベルト、トナーカートリッジなどの交換部品は印刷品位を保証するために、装置の販売メーカが純正のサプライ品を供給しているが、販売メーカ以外の第3者によって互換部品としてサプライ品を販売するケースが増加している。互換部品は安価で供給されているものの印刷品位について全く保証されたものではなく、互換部品の販売者により機器のメンテナンスも行なわれていないのが現状である。また、画像形成装置自体も非純正のサプライ品までサポートするように設計されていない。よって、非純正品を用いた場合、高温・高湿、低温・低湿など環境条件により印刷のカスレ、カブリ等が顕著に発生してしまい、印刷品位が低下してしまう。
【0003】
例えば、画像形成装置において非純正品のトナーが用いられると、トナーの特性と現像バイアスの設定が十分でないため、感光体ドラムに付着するトナー量が多くなり、記録紙上ではカブリとなってしまう場合がある。
【0004】
また、非純正トナーが画像形成装置本体の設定と適合していない場合には、記録紙上に転写されたトナーが定着部で、十分に溶融されずにトナーが記録紙に固着されない場合や、定着部で溶融されすぎて文字がつぶれてしまう場合がある。このようにトナーの特性と定着部の加熱温度が適切でない場合(より具体的にはトナーと定着部の加熱温度が不一致の場合)には、何れもトナーが加熱ローラに付着することで、次に印刷を行う記録紙を汚してしまったり、加圧ローラ側にトナーが付着することで記録紙の表裏を汚してしまうなど印刷画像に悪影響を及ぼしてしまう。
【0005】
このような問題に対して、例えば特許文献1には、交換部品が純正品か否かを識別可能な画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、トナーカートリッジに内蔵されているメモリタグからトナーの製造元社名情報を読み出し、読み出した社名情報と、予め記憶している社名情報とを比較し、一致する場合には、装着されているトナーカートリッジは純正品であると判定して表示部に社名情報を表示し、画像濃度補正動作を実行し、一方、一致しない場合には、装着されているトナーカートリッジは非純正品であると判定し、表示部に社名情報を表示せず、かつ、画像濃度補正動作を実行しない旨を表示する。
【0006】
また、特許文献2には、純正の消耗品の使用を前提とする第1モードと非純正の消耗品の使用を許可する第2モードとが選択可能な画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、装着されている消耗品が純正か非純正かを判定する消耗品判定手段と、印刷指示を受け付ける印刷ジョブ受付手段と、第1モードが選択された場合において、印刷ジョブ受付手段で印刷指示された色を再現するために使用する消耗品が、消耗品判定手段により非純正と判定された消耗品を含む場合は、非純正と判定された消耗品を使用することなく、純正と判定された消耗品のみを使用して画像を形成するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−266588号公報
【特許文献2】特開2009−300694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、画像形成装置において非純正品のトナーが用いられたときに発生する上記のカブリの発生率は、特に温度、湿度が高まる程、画像濃度が高くなるため増加し、また、印字率が高くなるにつれて増加する傾向にある。
【0009】
実際、一般的な書面では、記録紙全体の面積に対するトナーの付着面積(印字率)が5〜6%であるため、白黒反転印刷を行うと記録紙全体の面積に対するトナーの付着面積比率が多くなり、上記した定着部での加熱ローラに付着するトナー量が増大し良好な画像が得られない。また、トナー量の増大によって記録紙上のトナーが確実に固着されていないと、トナーが利用者の手に付着したり、トナー飛散したりするといったトナーによる汚染の問題もある。
【0010】
なお、画像形成装置において非純正品のトナーが用いられた場合だけでなく、トナー以外の交換部品に非純正品が用いられた場合においても、適確な印字が望めないことから上記のカブリは印字率が高くなるにつれて増加する可能性がある。
【0011】
ところで、上記のサプライ品は管理者によって交換や補充が行なわれるために、一般利用者は良好な印刷が行われるものとして印刷を行っているのが現状である。従って、非純正の交換部品が搭載された画像形成装置を利用して一般利用者が白黒反転印刷を行った場合には、カブリの発生率が印字率が高くなるにつれて増加することは事前に知らないため、再度の操作により白黒反転しない印刷を行うか、あるいはサプライ品を純正品に交換してからの印刷を行う必要が生じ、結果的に余計な手間や記録紙、電力が必要になってしまう。
【0012】
これに対して、上述の特許文献1,2に記載された技術は、トナーカートリッジが非純正品であることを検出すると良好な印刷が行えないことを理由に、画像濃度補正を禁止したり、あるいは、高画質が要求された場合には非純正品を使用せずに純正品のみで印刷を行うようにしたものであるが、非純正品と印字率の関係については何ら考慮されていない。また、非純正品が使用されている場合には、印刷動作を禁止するという方法も考えられるが、一律に禁止してしまうと、ユーザの利便性を大きく損ねてしまうことになる。
【0013】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、非純正の交換部品を使用した場合であっても、ユーザの利便性を損なうことなく、印字率の増加を抑制し、カブリの発生を防止し定着部の汚れ、未定着トナーの飛散を防止することが可能な画像形成装置、及びその画像形成装置における画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、画像形成条件の設定操作を含むユーザ操作を受け付ける操作受付部と、該操作受付部から設定された画像形成条件に基づき前記画像形成部での画像形成を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、前記非純正品判定部により前記画像形成部の交換部品が非純正品と判定された場合、前記制御部は、前記画像形成条件の設定操作のうち白黒反転印刷を行うための設定操作を禁止することを特徴としたものである。
【0015】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記画像形成部の交換部品はトナーカートリッジであることを特徴としたものである。
【0016】
第3の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記操作受付部は、白黒判定印刷の項目を含む設定項目を表示させる機能を有し、前記制御部は、前記画像形成部の交換部品が非純正品と判定された場合、前記白黒反転印刷の項目をマスク処理した状態で、前記操作受付部に設定項目を表示させることを特徴としたものである。
【0017】
第4の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記操作受付部は、白黒判定印刷の項目を含む設定項目を表示させる機能を有し、前記制御部は、前記画像形成部の交換部品が非純正品と判定された場合、前記操作受付部に表示させる設定項目のうち、前記白黒反転印刷の項目を非表示にすることを特徴としたものである。
【0018】
第5の技術手段は、画像を形成する画像形成部と、設定された画像形成条件に基づき前記画像形成部での画像形成を制御する制御部と、前記画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部とを備えた画像形成装置による画像形成方法であって、前記非純正品判定部が、前記画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する判定ステップと、前記制御部が、前記判定ステップで前記画像形成部の交換部品が非純正品と判定された場合、前記画像形成条件の設定操作のうち白黒反転印刷を行うための設定操作を禁止する禁止ステップと、前記画像形成部が、前記設定された画像形成条件に基づいて、画像形成を行う画像形成ステップと、を有することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像形成装置内部にメーカが供給する純正品以外の交換部品(つまり、非純正の交換部品)が使用されていると判定された場合に、トナー付着率が高くなる白黒反転印刷を禁止にするため、非純正の交換部品を使用した場合であっても、印字率の増加を抑制し、それにより、記録紙へのトナー付着量の増加を防止し、カブリの発生を防止し定着部の汚れ、未定着トナーの飛散を防止することが可能になる。また、これにより、再度の操作により白黒反転しない印刷を行うか、あるいはサプライ品を純正品に交換してからの印刷を行う必要がないため、結果的に余計な手間や記録紙、電力が必要になることもない。また、本発明によれば、非純正品が使用されている場合に印刷動作を一律に禁止するといった処理を行わないため、ユーザの利便性を損なうこともない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による画像形成装置を複合機として構成した実施形態を示す図である。
【図2】本発明による画像形成装置とそれに接続された情報処理装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図3】交換部品であるトナーカートリッジの一例を示す図である。
【図4】画像形成装置による白黒反転印刷の一例を示す図である。
【図5】本発明の画像形成装置による画像形成方法の一例を説明するためのフロー図である。
【図6】本発明の画像形成装置による画像形成方法の他の例を説明するためのフロー図である。
【図7】画像形成装置が備える操作パネルの外観の一例を示す図である。
【図8】図7の操作パネルに表示させるコピーモード時の初期画面の一例を示す図である。
【図9】図8の初期画面から「特別機能」ボタンが選択されたときの設定画面の一例を示す図である。
【図10】トナーカートリッジが純正品の場合に、図9の設定画面から「画像編集」ボタンが選択されたときに表示される設定画面の一例を示す図である。
【図11】トナーカートリッジが非純正品の場合に、図9の設定画面から「画像編集」ボタンが選択されたときに表示される設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の画像形成装置及び画像形成方法の好適な実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明による画像形成装置を複合機として構成した実施形態を示す図で、スキャナ機能を備えた複合機として構成された画像形成装置の一例を示すものである。
画像形成装置100は、外部から伝送され、もしくはスキャナ(画像読み取り手段)で読み取った画像データを記録紙に画像形成するもので、装置本体130と、自動原稿処理装置120とにより構成されている。
【0023】
装置本体130は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等を有する。
装置本体130の上部には、透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、その上側には原稿載置台92に原稿を自動搬送する自動原稿処理装置120が取り付けられる。自動原稿処理装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0024】
装置本体130は、筐体内に収容される画像読取手段90を有している。画像読取手段90は、光源及び第1ミラーを保持する光源ユニット93と、第2及び第3ミラーを保持するミラーユニット94と、レンズ及びCCD95とから構成された縮小光学系の画像読取手段である。また、装置本体130には、図示しない操作パネルが設けられ、ユーザによる操作入力が可能となっている。また装置本体130には、外部接続された装置から画像データを入力する手段、あるいは可搬型の記録媒体から画像データを読み取る手段(いずれも図示せず)を備えている。
【0025】
画像形成装置100において扱われる画像データは、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。従って、現像器2、感光体ドラム(像担持体)3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、これらにより4つの画像ステーションが構成されている。
【0026】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
露光ユニット1には、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット1は、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。また、露光ユニット1としては、この他にも発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いる手法も採用できる。
【0027】
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0028】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、Y,M,C,Kの各色に対応して4本設けられている。
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。また、各中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
【0029】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0030】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本構成例では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0031】
上記のように各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化された静電像は、中間転写ベルト61で積層される。このように積層された静電像は、中間転写ベルト61の回転によって、後述の用紙と中間転写ベルト61の接触位置に配置される二次転写機構部である転写ローラ10によって記録紙に転写される。二次転写機構部としては、転写ローラに限らず、コロナチャージャや転写ベルトを用いることも可能である。
【0032】
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10は所定ニップで圧接されるとともに、転写ローラ10にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ10は、上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10若しくは中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)としている。
【0033】
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、若しくは転写ローラ10によって記録紙に転写が行われず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0034】
給紙カセット81は、画像形成に使用する記録紙(シート)を蓄積しておくためのトレイであり、装置本体130の露光ユニット1の下側に設けられている。また、手差し給紙カセット82にも画像形成に使用する記録紙を置くことができる。装置本体110の上方に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みの記録紙をフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0035】
また、装置本体110には、給紙カセット81及び手差し給紙カセット82の記録紙を転写ローラ10や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状の用紙搬送路S1が設けられている。給紙カセット81ないし手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの用紙搬送路S1の近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d,レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
【0036】
搬送ローラ12a〜12dは、記録紙の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路S1に沿って複数設けられている。また、ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から記録紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路S1に供給する。同様に、ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82から記録紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路S1に供給する。
【0037】
また、レジストローラ13は、用紙搬送路S1を搬送されている記録紙を一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と記録紙の先端を合わせるタイミングで記録紙を転写ローラ10に搬送する機能を有している。
【0038】
定着ユニット7は、ヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えている。ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、記録紙を挟んで回転するようになっている。またヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御手段によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーを記録紙に熱圧着することにより、記録紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、記録紙に対して熱定着させる機能を有している。また、ヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
【0039】
次に、記録紙の搬送経路をより具体的に説明する。上述のように、画像形成装置100には、予め記録紙を収納する給紙カセット81、及び手差し給紙カセット82が設けられている。これら給紙カセット81,82から記録紙を給紙するために、各々ピックアップローラ11a,11bが配置され、記録紙を1枚ずつ用紙搬送路S1に導くようになっている。
【0040】
各給紙カセット81,82から搬送される記録紙は、用紙搬送路S1の搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、記録紙の先端と中間転写ベルト61上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、記録紙上に画像情報が書き込まれる。その後、記録紙は定着ユニット7を通過することによって記録紙上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、その後に配された搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
【0041】
上記の搬送経路は、記録紙に対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求のときは、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過した記録紙の後端が最終の搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによって記録紙を搬送ローラ12c,12dが配された搬送路S2に導く。そして、搬送路S2は搬送路S1に合流して、記録紙はレジストローラ13から転写ローラ10に搬送される。このとき、搬送路S2からS1に合流する段階で記録紙の表裏が反転されているため、転写ローラ10では記録紙の裏面に印刷が行わる。そして裏面に印刷された記録紙は定着ユニット7で定着され、排紙トレイ91に排出される。
【0042】
図2は、本発明による画像形成装置とそれに接続された情報処理装置の要部構成例を示すブロック図である。画像形成装置100は、例えば、上述の複合機として構成され、画像形成装置100の各機能を制御し内部にCPU,ROM(及び/またはEEPROM),RAM等を有するマイクロコンピュータによって実現される制御部101と、操作部102a及び表示部102bからなる操作パネル102と、制御部101の制御に従って画像データが示す画像を記録紙上に形成する画像形成部103と、ネットワークNを介して情報処理装置200と接続するための通信部104と、ハードディスクなどの記憶部105と、トナーカートリッジ108に付与されたICチップからID情報を読み取る読取部106と、各種センサ及びセンサからの信号を加工する周辺回路からなるセンサ回路107と、交換部品の一例であるトナーカートリッジ108と、温度及び/または湿度を検出する検出部109とを備えて構成される。
【0043】
上記マイクロコンピュータには、所謂、画像形成装置100のファームウェア(プログラム)が実行可能に格納されている。このファームウェアは、例えば上記EEPROMに書き換え可能な状態で格納されているか、上記ROMに格納されている。なお、このプログラムはそれをコンピュータ読み取り可能に記録した可搬の記録媒体やネットワークを介して流通させることができる。また、図2では図示しないが、画像形成装置100は図1で例示したようにスキャナ等の他の構成要素を備えている。また、印刷対象となる上記画像データとしては、このスキャナで読み取られたデータや、通信部104から印刷ジョブとして受信したデータが挙げられる。
【0044】
操作パネル102は、画像形成条件の設定操作を含むユーザ操作を受け付ける操作受付部の一例であり、操作部102aと表示部102bによって、操作画面に対して入力操作が可能なタッチパネルが構成されている。操作パネル102の操作部102aは、ユーザ操作を受け付けて制御部101に出力する。また、操作パネル102の表示部102bは、操作画面や各種情報を表示させる。画像形成条件を設定する操作を行う設定画面も含め、表示部102bに表示される各操作画面は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)画像として、例えば記憶部105など、表示部102bに出力可能な記憶領域に格納されている。制御部101は、例えばスキャナで読み取った画像データや記憶部105内に格納されている画像データを印刷するに際し、操作パネル102から設定された画像形成条件に基づいて画像形成部103での画像形成を制御することになる。なお、スキャナで読み取った画像を印刷するとはコピーを実行することを指す。
【0045】
また、情報処理装置200は、例えば、汎用的なPC(パーソナルコンピュータ)であり、ネットワークNを介して画像形成装置100と接続するための通信部201と、情報処理装置200の各機能を制御するためのCPU,RAM,ROM等からなる演算処理部202と、画像形成装置100用のプリンタドライバ203aがインストールされたハードディスクなどの記憶部203と、キーボードやマウスなどの入力部204と、液晶ディスプレイ等の表示部205とを備えて構成される。プリンタドライバ203aは、画像形成装置100を制御して、画像形成処理(印刷処理)を実行させるためのソフトウェア(プログラム)である。このプリンタドライバ203aは、印刷実行時に、演算処理部202によって記憶部203から読み出され、演算処理部202のRAM上で展開され実行される。なお、このプリンタドライバ203aはそれをコンピュータ読み取り可能に記録した可搬の記録媒体やネットワークを介して流通させることができる。
【0046】
画像形成装置100の制御部101は、例えば情報処理装置200で作成された文書ファイルなどの画像データを印刷するに際し、プリンタドライバ203aで設定された画像形成条件に基づいて画像形成部103での画像形成を制御することになる。画像形成装置100では、この画像データと画像形成条件を1つの印刷ジョブとして受信して、印刷を実行する。
【0047】
本発明に係る画像形成装置100は、交換部品に非純正品を使用した場合であっても、ユーザの利便性を損なうことなく、印字率の増加を抑制し、カブリの発生を防止し定着部の汚れ、未定着トナーの飛散を防止することを、主たる目的とする。
【0048】
印字率が増加する(つまりトナー付着率が高くなる)ような印刷方法として、白黒反転印刷が挙げられる。本来、白黒反転印刷の機能は黒い部分の多い原稿をコピーする際に、白黒反転することでトナーの消費量を削減するものであるが、図形等でも記録紙全体の面積に対するトナーの付着面積(印字率)が然程高くないことから、白黒反転印刷を行うと記録紙全体の面積に対するトナーの付着面積比率が多くなり、大量のトナーが定着部を通過することで、定着ユニット7の加熱ローラ(ヒートローラ71)の熱が奪われ記録紙上のトナーの全てを溶融させることが困難な場合が存在する。
【0049】
そのような場合には、良好な画像が得られないと共に、記録紙に固着されなかったトナーがヒートローラ71に付着し、ヒートローラ71を汚染してしまうこととなる。さらには、ヒートローラ71に付着したトナーは、記録紙が通過した後にヒートローラ71と加圧ローラ72との後回転によって、ヒートローラ71から加圧ローラ72にトナーが付着することで、定着ユニット7を汚し、次に搬送された記録紙の表裏にトナーが付着し記録紙を汚してしまう。また、ヒートローラ71によってトナーが溶融しすぎた場合には、溶融したトナーが記録紙前面に広がり溶融トナーが記録紙の搬送方向先端部に達した際には、記録紙の先端部とヒートローラ71が密接することで、剥離爪で記録紙の先端部を剥離することができない場合も存在し、記録紙がヒートローラ71に巻き付いた状態となり、一般利用者では対応できず、また、ヒートローラ71の損傷も大きくなるといった問題がある。
【0050】
そこで、本発明では、白黒反転印刷を行うような設定操作がなされる場合は、白黒反転印刷の本来の目的とは異なりトナーの付着量が増加すると予測し、かつ非純正品が使用された際には特に増加すると予測し、非純正品が使用された際には白黒反転印刷を行うための設定操作を禁止することで、上記の問題点を解決する。
【0051】
すなわち、上記の印字率の増加を抑制するといった目的を達成するための構成として、画像形成装置100は、画像形成部103の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部101aを備え、非純正品判定部101aにより画像形成部103の交換部品が非純正品と判定された場合、制御部101が、画像形成条件の設定操作のうち白黒反転印刷を行うための設定操作を禁止する。ここで、白黒反転印刷とは、図4で例示するように、読取原稿151に対して、その黒い部分と白い部分との白/黒を反転させて記録紙152のように印刷するものである。なお、制御部101のこの禁止処理は、例えばファームウェアの一処理として搭載しておけばよい。また、非純正品判定部101aが制御部101の一機能として実現される例を挙げているが、非純正品判定部101aは制御部101とは独立に設けられてもよい。
【0052】
上記において、交換部品とは、機能から見れば装置の一部を構成し、交換により性能が回復・保持できるものをいう。例えば、画像形成装置100の場合、トナーカートリッジ(あるいは現像カートリッジ)、感光体カートリッジ、現像部材と感光体が一体的に形成されたカートリッジ、インクカートリッジ、インクタンクと印字ヘッドが一体的に形成されたカートリッジ、熱転写方式用のインクシートカートリッジ等が相当する。そして、これらの交換部品をサプライ品と呼ぶ場合がある。
【0053】
本例では、交換部品としてトナーカートリッジ108を例示して説明するが、これに限定されるものではなく、また上述したいずれかのカートリッジに限ったものでもない。但し、トナーカートリッジが最もカブリに影響を与えるため、非純正品判定部101aで判定対象とする画像形成部103の交換部品はトナーカートリッジであること、つまり、非純正品として検出するのは非純正のトナーカートリッジであることが好ましく、少なくとも判定対象にはトナーカートリッジを含むことが好ましい。よって、以下では交換部品がトナーカートリッジ108である例を挙げる。
【0054】
図2において、非純正品判定部101aは、画像形成装置100に装着されたトナーカートリッジ108が純正品か、非純正品かの判定を行う。非純正品の判定方法としては、前述の特許文献1,2に記載の技術をはじめ、例えば、特開2002−202697号公報、特開2009−145396号公報など従来公知の技術を用いて実現することができ、その方法について特に限定されるものではない。以下、非純正品判定部101aによる非純正品の判定方法として、画像形成装置100内で判定を行う場合を例示して説明するが、外部のサーバ装置等を利用して判定を行うようにしてもよい。
【0055】
トナーカートリッジ108には、トナーカートリッジ108を個別に特定し得る固有のID情報が記録されている。例えば、図3に示すように、ICチップ108aとして搭載し、その中のEEPROM、強誘電体メモリ等の不揮発性メモリにID情報を予め記録しておく。あるいは、このID情報をバーコードなどの簡易な方法により構成してもよい。ID情報としては、少なくとも純正品を提供する製造メーカであることが分かればよいため、製造メーカの識別番号などであってもよい。そして、読取部106は、トナーカートリッジ108に付与されたID情報の形態によって異なり、バーコードの場合にはバーコードリーダであり、また、ICチップの場合には電気的あるいは高周波による読み取り手段で構成される。
【0056】
また、記憶部105には、トナーカートリッジの純正品のID情報が予め格納されており、トナーカートリッジ108の交換装着が確認されると、非純正品判定部101aは、読取部106で読み取られたトナーカートリッジ108のID情報と、記憶部105に格納されている純正品のID情報とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。なお、画像形成装置100の製造メーカは、その製造段階において、画像形成装置100に適用可能な純正品のトナーカートリッジのID情報を全て記憶部105に格納しておけばよく、またファームウェアのバージョンアップに合わせて新製品のトナーカートリッジのID情報も新たに格納可能にしておけばよい。ID情報が一致した場合には、純正品と判定され、ID情報が一致しない場合には、非純正品と判定される。なお、非純正品の中には、ID情報が付与されていない場合も考えられるため、読取部106で読み取り不能であった場合も非純正品と判定するようにする。
【0057】
上記において、トナーカートリッジ108の交換装着は、センサ回路107により検知することができる。センサ回路107は、前述したように、各種センサ及びセンサからの信号を加工する周辺回路からなる。センサとしては、機械式あるいは光学式の扉センサ、カートリッジセンサで構成される。扉センサは、画像形成装置100の扉の開閉状態を検出するセンサであり、また、カートリッジセンサは、トナーカートリッジ108が画像形成装置100に装着されているか否かを検出するためのセンサである。周辺回路としては、センサ出力の波形整形を行う波形整形回路、フィルタ回路、2値化回路、電圧レベル調整回路等が含まれ、センサ出力を、例えば、0−5Vの論理レベルを有するデジタル信号に変換する。
【0058】
制御部101は、センサ回路107でトナーカートリッジ108の交換があったことを検知した場合には、ICチップ108aにアクセスし、ID情報を読み取るように、読取部106に指示する。そして、非純正品判定部101aは、読取部106で読み取られたID情報と、記憶部105に記憶されているID情報とを比較することで、交換されたトナーカートリッジ108が純正品か、非純正品かの判定を行う。このようにして、非純正品判定部101aによりID情報の一致/不一致を判定することができる。読取部106で読み取り不能な場合にも、不一致、つまり、非純正品と判定されるものとする。
【0059】
そして、制御部101は、非純正品判定部101aにより画像形成部103の交換部品が非純正品と判定された場合、上述したように、画像形成条件の設定操作のうち白黒反転印刷を行うための設定操作を禁止する。交換部品がトナーカートリッジ108である例を挙げている。一方で、画像形成装置100が複数の部品が交換可能な構成の場合、同様に1つの交換部品だけを判定対象として処理してもよいが、各交換部品について上述のような非純正品か否かの判定を行い、少なくとも1つの交換部品が非純正品であると判定された場合に、白黒反転印刷を行うための設定操作を禁止するようにしてもよい。
【0060】
このように、白黒反転印刷を実行すると、非純正のサプライ品が画像形成装置100の設定と適合していない場合に、高温、高湿など使用環境によりカブリが発生し良好な印刷が行えない可能性があるため、本発明の画像形成装置100では、画像形成装置内部にメーカが供給する純正品以外の交換部品(つまり、非純正の交換部品)が使用されていると判定された場合に、トナー付着率が高くなる白黒反転印刷を禁止にする。これにより、本発明の画像形成装置100では、非純正の交換部品を使用した場合であっても、印字率の増加を抑制し、それにより、記録紙へのトナー付着量の増加を防止し、カブリの発生を防止し定着部の汚れ、未定着トナーの飛散を防止することができる。これにより、再度の操作により白黒反転しない印刷を行うか、あるいはサプライ品を純正品に交換してからの印刷を行う必要がないため、結果的に余計な手間や記録紙、電力が必要になることもない。また、本発明の画像形成装置100では、非純正品が使用されている場合に印刷動作を一律に禁止するといった処理を行わないため、ユーザの利便性を損なうこともない。
【0061】
なお、図2では、画像形成装置100と情報処理装置200とがネットワークNを介して接続された画像形成システムの例を挙げているが、ここで説明するように、画像形成装置100が単独で操作パネル102からの白黒反転印刷の設定操作を禁止するような構成であるため、本発明の画像形成装置100は、情報処理装置200との接続を前提とするものではなく、通信部104を具備しなくてもよい。また、白黒反転印刷の機能は通常、情報処理装置200からの印刷で行うことは少ないため、特に詳述しないが、上述したまたは後述する白黒反転印刷の設定操作の禁止処理は、情報処理装置200から印刷を行う際のプリンタドライバ203aの設定画面(GUI画像)にも適用することができる。
【0062】
次に、図5を参照しながら、本発明の画像形成装置による画像形成方法の一例を説明する。
本例では、図2の画像形成装置100の構成に基づき、センサ回路107がトナーカートリッジ108の装着を検出した際に、ID情報読み出し命令を発生させる場合について説明する。但し、画像形成装置100の電源がONされた場合や、周囲に設けられたメンテナンス時に開けるためのカバーが開閉されるなどにより画像形成装置100がリセットされた際に、ID情報読み出し命令を発生させてもよい。
【0063】
まず、制御部101は、トナーカートリッジ108の装着に伴い、センサ回路107からのID情報読み出し命令が発生したか否かを判定し(ステップS11)、ID情報読み出し命令が発生したと判定した場合(YESの場合)、読取部106に対して、トナーカートリッジ108のID情報の読み出しを指示し、読み出しを実行させる(ステップS12)。なお、読み出す情報はID情報でなくても、画像形成装置100のメーカー名であってもよく、また、同時にトナーの使用量等の情報を読み出す指示を出してもよい。次に、制御部101(非純正品判定部101a)は、読取部106により読み出したID情報と、記憶部105に記憶されているID情報(登録済みID情報)とを比較する(ステップS13)。そして、制御部101は、両者が一致するか否かを判定する(ステップS14)。
【0064】
両者が一致する場合(ステップS14でYESの場合)、トナーカートリッジ108が純正品であると判断されたことを意味する。その場合、制御部101は、ユーザによる所定の操作(コピー操作または印刷操作)に従って、画像形成条件の禁止がない通常の画像形成条件の設定画面(GUI画像)を操作パネル102に表示し(ステップS16)、ステップS17に移行する。
【0065】
そして、制御部101は、このような通常の設定画面において、「OK」ボタンが押下されたか否かを判定し(ステップS17)、「OK」ボタンが押下されたと判定した場合(YESの場合)、ユーザによる所定の操作(例えば、ボタン142,143等のコピー開始ボタンまたは印刷開始ボタンの押下など)に従って、ステップS16で表示された設定画面から入力された画像形成条件に基づき、画像形成部103に画像形成を指示する(ステップS18)。この場合、通常の設定画面であるため、白黒反転印刷を行うような画像形成条件も設定可能となっている。
【0066】
ステップS16,S17では、「OK」ボタンの押下を、画像形成条件の設定操作を受け付け可能なGUI画像を設定画面として表示した状態で待ちながら、操作に応じたGUI画像に遷移させていく。また、設定画面においては、「キャンセル」ボタンが押下可能に表示されている。なお、操作パネル102の近隣に同様のハードウェアキーを設けておいてもよい。「キャンセル」ボタンが押下された場合には、初期画面または一つ前の画面に戻るとよい。
【0067】
一方で、ステップS14において、一致しない、あるいは、読取部106で読取不能であった場合(NOの場合)、トナーカートリッジ108は非純正品と判断され、制御部101は、画像形成装置100の設定画面について、画像形成条件の設定操作のうち白黒反転印刷を行うための設定操作を禁止にし(ステップS15)、その禁止にした状態の設定画面を表示させる(ステップS16)。
【0068】
ステップS16の後、制御部101は、白黒反転印刷を禁止した設定画面において、「OK」ボタンが押下されたか否かを判定し(ステップS17)、「OK」ボタンが押下されたと判定した場合(YESの場合)、ユーザによる所定の操作(例えば、ボタン143等のコピー開始ボタンまたは印刷開始ボタンの押下など)に従って、ステップS16で表示された設定画面から入力された画像形成条件に基づき、画像形成部103が画像形成を行う(ステップS18)。白黒反転印刷を禁止した設定画面においても、ステップS16,S17では、画像形成条件の設定操作を受け付け可能な設定画面を表示した状態で待ちながら、操作に応じたGUI画像に遷移させていく。
【0069】
白黒反転印刷を禁止した設定画面においても、同様に「キャンセル」ボタンが押下可能に表示されており、この「キャンセル」ボタンが押下された場合には、初期画面または一つ前の画面に戻ればよい。白黒反転印刷を禁止した設定画面においてこの「キャンセル」ボタンは、画像形成条件の設定画面上に所望の画像形成条件が表示されていないため、印刷自体をキャンセルしたい場合にも押下される。この場合、ユーザは、禁止の理由の報知により、トナーカートリッジ108が非純正品であるために白黒反転印刷ができないことを認識しているため、印刷を実行前に非純正品のトナーカートリッジ108を純正品に再度交換するなどの処置を行うことが考えられる。そして、純正品のトナーカートリッジに交換された場合、図4のフローが再度実行され、所望の画像形成条件で画像形成を行うことが可能となる。
【0070】
このように、ステップS15で禁止がなされた場合には、ステップS16において白黒反転印刷を禁止した設定画面を表示させる際に、その設定画面上に、白黒反転印刷を禁止する理由がユーザに分かるように、トナーカートリッジ108が非純正品であるために白黒反転印刷が禁止される旨をメッセージ等で表示して報知することが望ましい。
【0071】
また、ステップS11において、ID情報読み出し命令が発生していないと判定した場合(NOの場合)には、ステップS16へ進み、制御部101が、以前の設定に従い、禁止した設定画面または禁止していない設定画面を表示する。
【0072】
また、図2では、画像形成装置100は、画像形成装置100が設置されている環境下の温度及び/または湿度を検出する検出部109を備えた例を挙げている。この検出部109は次のような処理のために用いられる。
【0073】
すなわち、トナーカートリッジ108が非純正品であると判定され、且つ、検出部109により検出された温度及び/または湿度が所定範囲内にない場合、制御部101は、画像形成条件の設定操作を全て禁止し、画像形成処理を実行できないようにしてもよい。トナーカートリッジ108が非純正品である場合、所定範囲を超える高温・高湿、あるいは、低温・低湿の環境下では良好な画像形成処理を行うことは難しい。従って、画像形成条件の設定操作を全て禁止することで、無駄な画像形成処理が実行されないようにする。この場合も、画像形成処理を実行できない理由をユーザに報知し、トナーカートリッジの純正品への交換を促すことが望ましい。
【0074】
次に、図6を参照しながら、本発明の画像形成装置による画像形成方法の他の例を説明する。
まず、制御部101は、画像形成装置100の電源がONされたか、あるいは前扉、給紙カセットなどカバーが閉状態に移行したことを検出する(ステップS21)。ステップS21でYESの場合、制御部101は、画像形成装置100の内部のセンサを稼働させ、検知を行わせる(ステップS22)。内部のセンサは、用紙ジャムなどの装置異常と、トナーカートリッジ(現像槽)108、記録紙、トナー残量など装置の状態を検知するセンサ群である。そして、制御部101は、内部のセンサの検出結果を得て、異常無しのユニットが装着されているか否かを判定する(ステップS23)。なお、ここでの判定にはトナーカートリッジが純正品か否かの判定は含まない。
【0075】
ステップS23でNOの場合、つまり画像形成装置100や定着ユニット7等の各ユニットに異常が検出されると、制御部101は、定着ユニット7、モータなどの駆動系への通電を停止し(ステップS29)、装置異常である旨のエラーメッセージを操作パネル102に表示し(ステップS30)、画像形成装置100自体の停止処理を行う。
【0076】
一方、ステップS23でYESの場合、つまり画像形成装置100や定着ユニット7等の各ユニットに異常が検出されなかった場合には、非純正品判定部101aを含む制御部101は、トナーカートリッジ108または読取部106と通信を行い(ステップS24)、トナーカートリッジ108に備えられた不揮発性メモリから現像装置/トナーに関する保有情報を読み出す(ステップS25)。トナーカートリッジ108から直接または読取部106から読み出される保有情報の代表例としては、トナーカートリッジの製造メーカー、型名、トナー残量(またはトナーの使用量)、現像バイアス(前回使用した装置で設定されたバイアス値)、リサイクル状況(リサイクルされた際の内部部品の交換履歴)等の情報である。非純正品判定部101aは、これらの情報から、装着されたトナーカートリッジ/トナーが画像形成装置本体のメーカが提供する純正品であるか否かの判定を行う(ステップS26)。
【0077】
ステップS26でYESの場合、つまり純正品と判定された場合には、何ら制限が加えられることなくコピーを行うことができる。一方、ステップS26でNOの場合、つまり非純正品と判定された場合には、制御部101は、白黒反転印刷の設定項目を選択不能にしたり、白黒反転印刷の設定項目を表示させないことで、白黒反転印刷の設定操作を禁止させる(ステップS27)。必要であれば他の画像形成条件の設定操作がなされた後に、コピー開始ボタンの押下によってコピー処理が実行される(ステップS28)。
【0078】
次に、画像形成装置100のコピー処理における操作パネル102(表示部102b)の画面遷移例について説明する。図7は、画像形成装置100が備える操作パネル102の外観の一例を示す図である。操作パネル102は、前述したように、操作部102a及び表示部102bで構成され、表示部102bはタッチパネルになっている。コピーを行う場合、ユーザは、操作部102aの一部として設けられたハードウェアキーであるコピーモード選択ボタン141を押下すると、図8に示すような、コピーモード時の初期画面が表示部102bに表示される。なお、図8は、図7の操作パネルに表示させるコピーモード時の初期画面の一例を示す図である。無論、操作部102aは表示部102b上のタッチセンサも含む。この状態で、ハードウェアキーであるカラー印刷ボタン142、白黒印刷ボタン143が押下されると、原稿台もしくは自動原稿処理装置に搭載された原稿について、それぞれカラー印刷、白黒印刷が実行される。
【0079】
図8の初期画面では、「特別機能」ボタン170を含む各ボタンが選択可能に表示されており、また画面中央に装置の外形を示したレイアウトイメージが表示され、給紙カセット1〜4、手差しトレイにそれぞれセットされた記録紙のサイズが表示される。なお、この図8の画面例では、デフォルトでA4用紙が収容された給紙カセット1が選択されている。
【0080】
そして、ユーザが、図8の初期画面から「特別機能」ボタン170をタッチすると、図9に示すように、特別機能に含まれる各機能を設定するための項目の一覧が表示される。図9は、図8の初期画面から「特別機能」ボタンが選択されたときの設定画面の一例を示す図である。図9の設定画面には、上記の一覧の一つとして「画像編集」ボタン172が選択可能に表示されており、また、設定を完了して前画面または初期画面に戻るための「OK」ボタン174も選択可能に表示されている。また、図9の設定画面で示す一覧は、特別機能に含まれる機能群のうち、前ページボタンや次ページボタン171の操作により、4ページ中の3ページ目の機能群を表示した状態を示している。「画像編集」ボタン172は白黒反転印刷を実行するための項目を含むが、他の機能も含む画像編集機能を集めた設定画面に移行するためのボタンである。よって、図9の設定画面は、トナーカートリッジ108が純正品であるか非純正品であるかに拘わらず表示される画面例と言える。
【0081】
図10及び図11を参照しながら、「画像編集」ボタン172が選択されたときの設定画面について説明する。図10及び図11は、図9の設定画面から「画像編集」ボタンが選択されたときに表示される設定画面の一例を示す図で、図10はトナーカートリッジが純正品の場合に、図11はトナーカートリッジが非純正品の場合に、それぞれ表示される設定画面の例を示す図である。
【0082】
図9の設定画面において、「画像編集」ボタン172がタッチされると、トナーカートリッジ108が純正品の場合には、図10に示すように、「白黒反転」ボタン173を含むボタン群と、このボタン群のいずれかのボタンを選択状態にしてその選択したボタンに対応する項目を設定して設定操作を完了させるための「OK」ボタン174も選択可能に表示されている。ここで、図9では、「白黒反転」ボタン173がタッチにより選択されて、そのボタン自体の表示形態を白黒反転させた状態を示しており、この状態からユーザにより「OK」ボタン174がタッチされることで、白黒反転印刷を行うという設定操作が完了する。この状態から、ユーザにより白黒印刷ボタン143が押下されることで、原稿台もしくは自動原稿処理装置に搭載された原稿について、白黒反転した白黒印刷が実行される。なお、カラー印刷に反転印刷を適用するように構成することもできる。その場合、ユーザがカラー印刷を行う場合には、上述したような白黒反転印刷の設定操作を行ってからカラー印刷ボタン142の押下を行うと、制御部101の制御により、画像の各色について反対色での印刷が実行されるように構成しておけばよい。
【0083】
一方、トナーカートリッジ108が非純正品の場合には、図9の設定画面において、「画像編集」ボタン172がタッチされると、図11に示すように、図10に表示したボタン群のうち、「白黒反転」ボタン173が非表示となり(消去されており)、選択不可になっている。あるいは、「白黒反転」ボタン173をグレイアウト表示等によりマスク処理を施してもよい。また、図11の設定画面では、トナーカートリッジ108が非純正品であることから白黒反転が制限されている旨のメッセージ175を、表示により報知した例を挙げている。
【0084】
以上説明したように、制御部101は、画像形成部103の交換部品が非純正品と判定された場合、操作パネル102に表示させる設定項目のうち白黒反転印刷の項目を非表示にすること、つまり白黒反転印刷の設定項目が表示されないようにすることが好ましい。無論、操作パネル102は、白黒判定印刷の項目を含む設定項目を表示させる機能を有することを前提とする。もしくは、制御部101は、画像形成部103の交換部品が非純正品と判定された場合、白黒反転印刷の項目をグレーアウト等によりマスク処理した状態で、操作パネル102に設定項目を表示させるようにしてもよい。
【0085】
以上のように、本発明では、非純正品トナーが使用されていることを検出した場合に、画像形成装置100でのコピー時や印刷時において、トナー付着率が高くなる白黒反転印刷を制限することができるので、非純正品トナーの印刷品位が悪い状態であっても、印字率の増加を抑制することができる。よって、本発明では、記録紙へのトナー付着量の増加を防止することができるため、カブリの発生を防止し定着部の汚れ、未定着トナーの飛散を防止することができ、再度の印刷による記録紙などの消耗品の無駄を抑制し、コピー/印刷などのやり直しを最低限に留めることができるので、利用者の利便性を向上させることができる。
【0086】
また、本発明は、画像形成装置、画像形成システムにおける制御の流れを例示したように、上述のような画像形成装置による画像形成方法としての形態も採り得る。図2を参照しながら説明すると、この画像形成方法は、非純正品判定部101aが、画像形成部103の交換部品が非純正品か否かを判定する判定ステップと、制御部101が、上記判定ステップで画像形成部103の交換部品が非純正品と判定された場合、画像形成条件の設定操作のうち白黒反転印刷を行うための設定操作を禁止する禁止ステップと、画像形成部103が、上記設定された画像形成条件に基づいて、画像形成を行う画像形成ステップと、を有する。その他の応用例については、画像形成装置について説明した通りである。
【符号の説明】
【0087】
1…露光ユニット、2…現像器、3…感光体ドラム、4…クリーナユニット、5…帯電器、6…中間転写ベルトユニット、7…定着ユニット、10…転写ローラ、11a,11b…ピックアップローラ、12a,12b,12c,12d…搬送ローラ、13…レジストローラ、61…中間転写ベルト、62…中間転写ベルト駆動ローラ、63…中間転写ベルト従動ローラ、64…中間転写ローラ、65…中間転写ベルトクリーニングユニット、71…ヒートローラ、72…加圧ローラ、73…外部加熱ベルト、81…給紙カセット、82…手差し給紙カセット、90…画像読取手段、91…排紙トレイ、92…原稿載置台、93…光源ユニット、94…ミラーユニット、95…CCD、100…画像形成装置、101…制御部、101a…非純正品判定部、102…操作パネル、102a…操作部、102b,205…表示部、103…画像形成部、104,201…通信部、105,203…記憶部、106…読取部、107…センサ回路、108…トナーカートリッジ、108a…ICチップ、109…検出部、120…自動原稿処理装置、130…装置本体、200…情報処理装置、201…通信部、202…演算処理部、203…記憶部、203a…プリンタドライバ、203b…設定画面、204…入力部、205…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部と、画像形成条件の設定操作を含むユーザ操作を受け付ける操作受付部と、該操作受付部から設定された画像形成条件に基づき前記画像形成部での画像形成を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記非純正品判定部により前記画像形成部の交換部品が非純正品と判定された場合、前記制御部は、前記画像形成条件の設定操作のうち白黒反転印刷を行うための設定操作を禁止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部の交換部品はトナーカートリッジであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記操作受付部は、白黒判定印刷の項目を含む設定項目を表示させる機能を有し、
前記制御部は、前記画像形成部の交換部品が非純正品と判定された場合、前記白黒反転印刷の項目をマスク処理した状態で、前記操作受付部に設定項目を表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記操作受付部は、白黒判定印刷の項目を含む設定項目を表示させる機能を有し、
前記制御部は、前記画像形成部の交換部品が非純正品と判定された場合、前記操作受付部に表示させる設定項目のうち、前記白黒反転印刷の項目を非表示にすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像を形成する画像形成部と、設定された画像形成条件に基づき前記画像形成部での画像形成を制御する制御部と、前記画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する非純正品判定部とを備えた画像形成装置による画像形成方法であって、
前記非純正品判定部が、前記画像形成部の交換部品が非純正品か否かを判定する判定ステップと、
前記制御部が、前記判定ステップで前記画像形成部の交換部品が非純正品と判定された場合、前記画像形成条件の設定操作のうち白黒反転印刷を行うための設定操作を禁止する禁止ステップと、
前記画像形成部が、前記設定された画像形成条件に基づいて、画像形成を行う画像形成ステップと、
を有することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−76813(P2013−76813A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216116(P2011−216116)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】