説明

画像形成装置及び画像情報の表示方法

【課題】USBメモリーに記憶されている画像データを基にして形成される画像のサムネイルについて、その画像の内容のセキュリティーを確保している状態で表示する設定がされている場合に、ユーザーの利便性を向上させる。
【解決手段】USBメモリー701に記憶されている画像データには、予め指定された画像形成装置を特定する特定情報を含むセキュリティー設定が付加されている。その特定情報を用いて、画像形成装置1が予め指定された画像形成装置か否かが判断される。画像形成装置1が予め指定された画像形成装置と判断されない場合、画像のセキュリティーを確保しているサムネイルを表示部403に表示させる。画像形成装置1が予め指定された画像形成装置と判断された場合、画像のセキュリティーを確保していないサムネイルを表示部403に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USB(Universal Serial Bus)メモリー等の携帯型外部記憶装置から画像データを読み出して、画像を印刷できる画像形成装置及びその画像を特定する画像情報の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サムネイルは画像を特定する画像情報の一例であり、複合機のような画像形成装置には、画像の内容のセキュリティーを確保している状態でサムネイルを表示する機能を有するものがある。この種の画像形成装置の一例として、ユーザーが指定した画像に対しては、低解像度のサムネイルを表示する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、この種の画像形成装置の他の例として、ユーザーが指定した画像に対しては、画像の一部を示すサムネイルを表示する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−182746号公報
【特許文献2】特開2010−224739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
USBメモリーのような記憶装置は、携帯可能な外部記憶装置である(携帯型外部記憶装置)。このため、携帯型外部記憶装置に画像データを記憶させて、携帯型外部記憶装置を不特定の画像形成装置に接続し、その画像データを読み出して画像を印刷することが可能である。不特定の者がサムネイルを見ることができる環境下(写真屋等)では、画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルを、画像形成装置の表示部に表示させたいというユーザーの要請がある。一方、不特定の者がサムネイルを見ることができない環境下(自宅等)では、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイル(通常のサムネイル)を、画像形成装置の表示部に表示させる方がユーザーにとって便利である。
【0005】
画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルを表示する設定(セキュリティー設定)がされていれば、画像形成装置の操作部を操作してセキュリティー設定を解除することができる。画像形成装置の操作部はパソコンに比べて、操作性がよくないので、セキュリティー設定の解除に手間を要することがある。
【0006】
本発明は、携帯型外部記憶装置に記憶されている画像データを基にして形成される画像を特定する画像情報について、画像の内容のセキュリティーを確保している状態で表示する設定がされている場合に、ユーザーの利便性を向上させることができる画像形成装置及び画像情報の表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の一局面に係る画像形成装置は、携帯型外部記憶装置に記憶されている画像データを読み出して、前記画像データを基にして形成される画像を用紙に印刷できる画像形成装置であって、予め指定された画像形成装置を特定する特定情報を含むセキュリティー設定がされた前記画像データを記憶している前記携帯型外部記憶装置と接続可能な接続部と、前記接続部に接続されている前記携帯型外部記憶装置から前記画像データを読み出す読出部と、前記読出部が読み出した前記画像データの前記セキュリティー設定に含まれる前記特定情報を用いて、前記画像形成装置が前記予め指定された画像形成装置か否かを判断する判断部と、表示部と、前記判断部によって前記画像形成装置が前記予め指定された画像形成装置と判断されない場合、前記画像データを基にして形成される前記画像を特定する画像情報を、前記画像の内容のセキュリティーを確保している状態で前記表示部に表示させ、前記判断部によって前記画像形成装置が前記予め指定された画像形成装置と判断された場合、前記画像情報を前記画像の内容のセキュリティーを確保していない状態で前記表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一局面に係る画像形成装置において、携帯型外部記憶装置に記憶されている画像データには、予め指定された画像形成装置を特定する特定情報を含むセキュリティー設定が可能にされている。その特定情報を用いて、携帯型外部記憶装置が接続されている画像形成装置が、予め指定された画像形成装置か否かが判断される。画像形成装置が予め指定された画像形成装置と判断されない場合、画像の内容のセキュリティーを確保している状態の画像情報を表示部に表示させる。一方、画像形成装置が予め指定された画像形成装置と判断された場合、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態の画像情報を表示部に表示させる。
【0009】
従って、本発明によれば、セキュリティー設定(すなわち、画像の内容のセキュリティーを確保している状態の画像情報を表示させる設定)を、自動的に解除するか否かを画像形成装置に応じてユーザーが予め選択しておくことができる。このため、ユーザーが予め指定した画像形成装置では、ユーザーが画像形成装置の操作部を操作してセキュリティー設定を解除する作業を不要にすることができる。よって、携帯型外部記憶装置に記憶されている画像データを基にして形成される画像を特定する画像情報について、セキュリティー設定がされている場合に、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0010】
本発明において、画像の内容のセキュリティーを確保している状態の画像情報とは、以下の通りである。その画像の画像データを携帯型外部記憶装置に記憶させる操作をした者は、画像情報を見ることにより、どのような画像かを理解することが可能であるが、他の者は理解できないように処理された画像情報である。例えば、他の者が画像の内容を理解できない程度に解像度を低下させたサムネイルや画像の一部のみを示すサムネイルが該当する。また、画像データのファイル名、更新日時及びデータの大きさ等の書誌的事項を示す文字画像も画像情報に該当する。
【0011】
一方、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態の画像情報とは、その画像の画像データを携帯型外部記憶装置に記憶させる操作をした者及び他の者が、画像情報を見ることにより、どのような画像かを理解できるように処理された画像情報をいう。他の者が画像の内容を理解できる程度の解像度で縮小した画像(通常のサムネイル)がこれに該当する。
【0012】
特定情報とは、複数の画像形成装置の中からユーザーが予め指定した画像形成装置を特定できる情報である。例えば、各画像形成装置に割り当てられたIPアドレスが該当する。
【0013】
上記構成において、操作部と、画像データが記憶される画像データ記憶部と、前記画像データ記憶部に記憶されている画像データに対して、前記セキュリティー設定をして前記携帯型外部記憶装置に記憶させるときに、前記操作部が操作されることにより、前記特定情報の入力を受け付ける受付部と、前記画像データ記憶部に記憶されている画像データに対して、前記受付部で受け付けられた前記特定情報を含む前記セキュリティー設定をするセキュリティー設定部と、前記セキュリティー設定部で前記セキュリティー設定がされた前記画像データを、前記携帯型外部記憶装置に記憶させる記憶処理部と、を備える。
【0014】
この構成によれば、画像形成装置の画像データ記憶部に記憶されている画像データに対して、特定情報を含むセキュリティー設定をし、その画像データを携帯型外部記憶装置に記憶させる処理を、パソコンを用いることなく、画像形成装置を用いて実行することができる。
【0015】
上記構成において、前記予め指定された画像形成装置の候補となる複数の画像形成装置のそれぞれに割り当てられた複数の前記特定情報を予め記憶している特定情報記憶部を備え、前記表示制御部は、前記画像データ記憶部に記憶されている画像データに対して、前記セキュリティー設定をして前記携帯型外部記憶装置に記憶させるときに、複数の前記特定情報を前記表示部に表示させ、前記受付部は、前記操作部が操作されることにより、前記表示部に表示された複数の前記特定情報の中から一つ又は二つ以上の前記特定情報を選択する入力を受け付ける。
【0016】
この構成によれば、予め指定された画像形成装置の候補となる画像形成装置が複数ある場合に、これらの画像形成装置の特定情報を予め記憶しておき、ユーザーは複数の特定情報の中から一つ又は二つ以上の特定情報を選択することができる。これにより、ユーザーは操作部のテンキー等を操作して、一つ又は二つ以上の特定情報を入力する手間を省くことができる。
【0017】
本発明の他の局面に係る画像情報の表示方法は、携帯型外部記憶装置に記憶されている画像データを読み出して、前記画像データを基にして形成される画像を用紙に印刷できる画像形成装置の表示部に、前記画像を特定する画像情報を表示する方法であって、予め指定された画像形成装置を特定する特定情報を含むセキュリティー設定がされた前記画像データを前記携帯型外部記憶装置から読み出す読出ステップと、前記読出ステップで読み出された前記画像データの前記セキュリティー設定に含まれる前記特定情報を用いて、前記画像形成装置が前記予め指定された画像形成装置か否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップによって前記画像形成装置が前記予め指定された画像形成装置と判断されない場合、前記画像情報を前記画像の内容のセキュリティーを確保している状態で前記表示部に表示させ、前記判断ステップによって前記画像形成装置が前記予め指定された画像形成装置と判断された場合、前記画像情報を前記画像の内容のセキュリティーを確保していない状態で前記表示部に表示させる表示制御ステップと、を備える。
【0018】
本発明の他の局面に係る画像情報の表示方法は、本発明の一局面に係る画像形成装置と同様の作用及び効果を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、携帯型外部記憶装置に記憶されている画像データを基にして形成される画像を特定する画像情報について、画像の内容のセキュリティーを確保している状態で表示する設定がされている場合に、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の内部構造の概略を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態においてUSBメモリーに記憶された画像データの一例を示す図である。
【図4】図2に示す画像形成装置が予め指定された画像形成装置でない場合に、表示部に表示されたサムネイルの一例を示す図である。
【図5】図2に示す画像形成装置が予め指定された画像形成装置である場合に、表示部に表示されたサムネイルの一例を示す図である。
【図6】USBメモリーに記憶されている画像データを基に形成される画像のサムネイルを表示させる処理を説明するフローチャートである。
【図7】図2に示す画像形成装置を用いて、USBメモリーに画像データを記憶させる処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1は例えば、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリーの機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100、装置本体100の上に配置された原稿読取部200、原稿読取部200の上に配置された原稿給送部300及び装置本体100の上部前面に配置された操作部400を備える。
【0022】
原稿給送部300は自動原稿送り装置として機能し、原稿載置部301に置かれた複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送ることができる。
【0023】
原稿読取部200は露光ランプ等を搭載したキャリッジ201、ガラス等の透明部材により構成された原稿台203、不図示のCCD(Charge Coupled Device)センサー及び原稿読取スリット205を備える。原稿台203に載置された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿台203の長手方向に移動させながらCCDセンサーにより原稿を読み取る。これに対して、原稿給送部300から給送された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿読取スリット205と対向する位置に移動させて、原稿給送部300から送られてきた原稿を、原稿読取スリット205を通してCCDセンサーにより読み取る。CCDセンサーは読み取った原稿を画像データとして出力する。
【0024】
装置本体100は用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備える。用紙貯留部101は装置本体100の最下部に配置されており、用紙の束を貯留することができる用紙トレイ107を備える。用紙トレイ107に貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラー109の駆動により、用紙搬送路111へ向けて送出される。用紙は用紙搬送路111を通って、画像形成部103へ搬送される。
【0025】
画像形成部103は搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103は感光体ドラム113、露光部115、現像部117及び転写部119を備える。露光部115は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリー受信の画像データ等)に対応して変調された光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム113の周面に照射する。これにより、感光体ドラム113の周面には画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム113の周面に現像部117からトナーを供給することにより、周面には画像データに対応するトナー画像が形成される。このトナー画像は転写部119によって先ほど説明した用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
【0026】
トナー画像が転写された用紙は定着部105に送られる。定着部105において、トナー画像と用紙に熱と圧力が加えられて、トナー画像は用紙に定着される。用紙はスタックトレイ121又は排紙トレイ123に排紙される。
【0027】
操作部400は操作キー部401と表示部403を備える。表示部403はタッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザーは画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
【0028】
操作キー部401にはハードキーからなる操作キーが設けられている。具体的にはスタートキー405、テンキー407、ストップキー409、リセットキー411、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリーを切り換えるための機能切換キー413等が設けられている。
【0029】
スタートキー405はコピー、ファクシミリー送信等の動作を開始させるキーである。テンキー407はコピー部数、ファクシミリー番号等の数字を入力するキーである。ストップキー409はコピー動作等を途中で中止させるキーである。リセットキー411は設定された内容を初期設定状態に戻すキーである。
【0030】
機能切換キー413はコピーキー及び送信キー等を備えており、コピー機能、送信機能等を相互に切り替えるキーである。コピーキーを操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キーを操作すれば、ファクシミリー送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
【0031】
図2は、図1に示す画像形成装置1の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、制御部500、通信部600、USBコネクター700及びHDD(Hard Disk Drive)800が、バスによって相互に接続された構成を有する。装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300及び操作部400に関しては既に説明したので、説明を省略する。
【0032】
通信部600はファクシミリー通信部601及びネットワークI/F部603を備える。ファクシミリー通信部601は相手先ファクシミリーとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリー通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリー通信部601は電話回線605に接続される。
【0033】
ネットワークI/F部603はLAN(Local Area Network)607に接続される。ネットワークI/F部603はLAN607に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。
【0034】
USBコネクター700はUSBメモリー701が接続可能な接続部として機能する。USBコネクター700は装置本体100のケースに取り付けられている。USBコネクター700は携帯型外部記憶装置と接続可能な接続部の一例である。携帯型外部記憶装置としては、USBメモリー以外にCD(compact disc)、SDメモリー(SD Memory)、外付けHDD等でもよい。
【0035】
HDD800は画像データ記憶部の一例であり、画像形成装置1に内蔵されている。HDD800は原稿読取部200から出力された画像データ、通信部700を介してパソコンから送信された画像データ、通信部700を介してファクシミリー受信された画像データ等の保存に利用される。HDD800の記憶領域の一部がドキュメントボックス801として利用される。ドキュメントボックス801では上記画像データ等を蓄積することができる。
【0036】
制御部500はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び画像メモリー等を備える。CPUは画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、装置本体100等の画像形成装置1の上記構成要素に対して実行する。ROMは画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMはソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。画像メモリーは画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリー受信の画像データ等)を一時的に記憶する。
【0037】
制御部500は機能ブロックとして、特定情報記憶部501、読出部503、判断部505、表示制御部507、受付部509、セキュリティー設定部511及び記憶処理部513を備える。
【0038】
特定情報記憶部501は予め指定された画像形成装置の候補となる複数の画像形成装置のそれぞれに割り当てられた複数の特定情報を予め記憶している。読出部503はUSBコネクター700に接続されているUSBメモリー701から画像データを読み出す。判断部505は読出部503が読み出した画像データのセキュリティー設定に含まれる特定情報を用いて、画像形成装置1が予め指定された画像形成装置か否かを判断する。
【0039】
表示制御部507は判断部505によって画像形成装置1が予め指定された画像形成装置と判断されない場合、画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルを表示部403に表示させる。また、表示制御部507は判断部505によって画像形成装置1が予め指定された画像形成装置と判断された場合、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイルを表示部403に表示させる。さらに、表示制御部507はHDD800に記憶されている画像データに対して、セキュリティー設定をしてUSBメモリー701に記憶させるときに、特定情報記憶部501に記憶されている複数の特定情報を表示部403に表示させる。
【0040】
受付部509はHDD800に記憶されている画像データに対して、セキュリティー設定をしてUSBメモリー701に記憶させるときに、操作部400が操作されることにより、特定情報の入力を受け付ける。また、受付部509は操作部400が操作されることにより、表示部403に表示された複数の特定情報の中から一つ又は二つ以上の特定情報を選択する入力を受け付ける。
【0041】
セキュリティー設定部511はHDD800に記憶されている画像データに対して、受付部509で受け付けられた特定情報を含むセキュリティー設定をする。記憶処理部513はセキュリティー設定部511でセキュリティー設定がされた画像データを、USBメモリー701に記憶させる。
【0042】
図3は、本実施形態においてUSBメモリー701に記憶された画像データの一例を示す図である。USBメモリー701には画像A〜画像Gのそれぞれの画像データが記憶されている。各画像データはセキュリティー設定の有無及び特定情報と対応づけて記憶されている。第1画像形成装置及び第2画像形成装置は、予め指定された画像形成装置の例である。
【0043】
セキュリティー設定とは、画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルを表示させる設定をいう。
【0044】
予め指定された画像形成装置とは、USBメモリー701に記憶されている画像データにセキュリティー設定がされていても、セキュリティー設定を自動的に解除し、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイルを表示部403に表示させる画像形成装置をいう。
【0045】
サムネイルは画像情報の一例である。画像情報とは、画像データを基にして形成される画像を特定する情報をいう。画像データのファイル名、更新日時及びデータの大きさ等の書誌的事項を示す文字画像も画像情報に該当する。
【0046】
特定情報とは、予め指定された画像形成装置を特定する情報をいう。本実施形態では画像形成装置1を含む複数の画像形成装置のそれぞれに割り当てられたIPアドレスを特定情報としている。
【0047】
画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルとは、以下の通りである。その画像の画像データをUSBメモリー701に記憶させる操作をした者は、サムネイルを見ることにより、どのような画像かを理解することが可能であるが、他の者は理解できないように処理されたサムネイルである。例えば、他の者が画像の内容を理解できない程度に解像度を低下させたサムネイルや画像の一部のみを示すサムネイルが該当する。
【0048】
これに対して、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイルとは、その画像の画像データをUSBメモリー701に記憶させる操作をした者及び他の者が、サムネイルを見ることにより、どのような画像かを理解できるように処理されたサムネイルをいう。他の者が画像の内容を理解できる程度の解像度で縮小した画像(通常のサムネイル)がこれに該当する。
【0049】
画像A、画像E及び画像Fの画像データは、セキュリティー設定がされていない。従って、画像形成装置1が予め指定された画像形成装置か否かを問わずに、画像A、画像E及び画像Fについては、これらの画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイルが表示される。
【0050】
これに対して、画像B、画像C、画像D及び画像Gの画像データは、セキュリティー設定がされている。画像B及び画像Gの画像データにおいて、特定情報は第1画像形成装置のIPアドレス及び第2画像形成装置のIPアドレスである。従って、画像形成装置1が第1画像形成装置又は第2画像形成装置であれば、画像B及び画像Gについては、これらの画像のセキュリティーを確保していない状態のサムネイルが表示される。一方、画像形成装置1が第1画像形成装置及び第2画像形成装置以外であれば、画像B及び画像Gについては、これらの画像のセキュリティーを確保している状態のサムネイルが表示される。
【0051】
画像C及び画像Dの画像データにおいて、特定情報は第2画像形成装置のIPアドレスである。従って、画像形成装置1が第2画像形成装置であれば、画像C及び画像Dについては、これらの画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイルが表示される。一方、画像形成装置1が第2画像形成装置以外であれば、画像C及び画像Dについては、これらの画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルが表示される。
【0052】
図4は、画像形成装置1が予め指定された画像形成装置でない場合に、表示部403に表示されたサムネイル11a〜11gの一例を示す図である。画像B、画像C、画像D及び画像Gの画像データはセキュリティー設定がされているので、これらの画像については、画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイル11b,11c,11d,11gが表示される。画像A、画像E及び画像Fの画像データはセキュリティー設定がされていないので、これらの画像については、画像のセキュリティーを確保していない状態のサムネイル11a,11e,11fが表示される。
【0053】
図5は、画像形成装置1が予め指定された画像形成装置(ここでは第2画像形成装置)である場合に、表示部403に表示されたサムネイル12a〜12gの一例を示す図である。画像B、画像C、画像D及び画像Gの画像データはセキュリティー設定がされているが、設定が解除される。よって、これらの画像については、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイル12b,12c,12d,12gが表示される。画像A、画像E及び画像Fの画像データはセキュリティー設定がされていないので、これらの画像については、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイル12a,12e,12fが表示される。
【0054】
なお、画像形成装置1が第1の画像形成装置(予め指定された画像形成装置の一例)である場合、画像C及び画像Dについて、セキュリティー設定が解除されず、これらの画像については、画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルが表示される。一方、画像B及び画像Gについて、セキュリティー設定が解除され、これらの画像については、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイルが表示される。
【0055】
次に、USBメモリー701に記憶されている画像データを基に形成される画像のサムネイルを表示させる処理を説明する。図6は、この処理を説明するフローチャートである。
【0056】
USBメモリー701がUSBコネクター700に接続された状態で、操作部400が操作されることにより、USBメモリー701から画像データを読み出して画像を印刷するジョブが選択される(ステップS1)。これにより、読出部503はUSBメモリー701に記憶されている全ての画像データを読み出す。
【0057】
判断部505はUSBメモリー701から読み出された画像データの数を特定し、n=1を設定する(ステップS2)。n=1は1番目に読み出された画像データを指定している。判断部505は1番目に読み出された画像データにセキュリティー設定がされているか否か判断する(ステップS3)。
【0058】
判断部505が、1番目に読み出された画像データにセキュリティー設定がされていると判断しない場合(ステップS3でNo)、表示制御部507は、1番目に読み出された画像データを用いて、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイルを生成する(ステップS4)。
【0059】
判断部505は、1番目に読み出された画像データが最後に読み出された画像データか否か判断する(ステップS5)。判断部505が、1番目に読み出された画像データが最後に読み出された画像データと判断しない場合(ステップS5でNo)、判断部505は、n+1をnにする設定をして(ステップS6)、ステップS3へ進む。従って、2番目以降に読み出された画像データについても、ステップS3以降の処理がされる。
【0060】
一方、判断部505が、1番目に読み出された画像データにセキュリティー設定がされていると判断した場合(ステップS3でYes)、判断部505は、そのセキュリティー設定に特定情報が含まれるか否か判断する(ステップS7)。
【0061】
判断部505が、セキュリティー設定に特定情報が含まれると判断しない場合(ステップS7でNo)、表示制御部507は、1番目に読み出された画像データについて、画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルを生成する(ステップS8)。そして、ステップS5へ進む。
【0062】
判断部505が、1番目に読み出された画像データについて、セキュリティー設定に特定情報が含まれると判断した場合(ステップS7でYes)、判断部505はその特定情報を用いて、画像形成装置1が予め指定された画像形成装置か否か判断する(ステップS9)。具体的には、特定情報であるIPアドレスが画像形成装置1に割り当てられているIPアドレスか否か判断する。
【0063】
判断部505が、画像形成装置1が予め指定された画像形成装置と判断しない場合(ステップS9でNo)、表示制御部507は、1番目に読み出された画像データについて、画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルを生成する(ステップS10)。これはステップS8と同様の処理である。そして、ステップS5へ進む。
【0064】
判断部505が、画像形成装置1が予め指定された画像形成装置と判断した場合(ステップS9でYes)、表示制御部507は、1番目に読み出された画像データを用いて、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイルを生成する(ステップS11)。これはステップS4と同様の処理である。そして、ステップS5へ進む。
【0065】
判断部505が、n番目に読み出された画像データが最後に読み出された画像データと判断した場合(ステップS5でYes)、表示制御部507はステップS4、ステップS8、ステップS10及びステップS11で生成されたサムネイルを表示部403に表示させる。
【0066】
図4は上述したように、画像形成装置1が予め指定された画像形成装置でない場合に、表示部403に表示されたサムネイル11a〜11gの一例である。図5は上述したように、画像形成装置1が予め指定された画像形成装置(ここでは第2画像形成装置)の場合に、表示部403に表示されたサムネイル12a〜12gの一例を示す図である。
【0067】
次に、画像形成装置1を用いて、USBメモリー701に画像データを記憶させる処理を説明する。図7は、この処理を説明するフローチャートである。
【0068】
画像形成装置1に内蔵されたHDD800(図2)には、複数の画像データが記憶されている。USBメモリー701がUSBコネクター700に接続された状態で、操作部400が操作されることにより、HDD800に記憶されている複数の画像データのうち、USBメモリー701に記憶させる画像データが選択される(ステップS21)。
【0069】
制御部500は、操作部400が操作されることにより、セキュリティー設定が選択されたか否かを判断する(ステップS22)。制御部500が、セキュリティー設定が選択されたと判断しない場合(ステップS22でNo)、記憶処理部513はステップS21で選択された画像データをUSBメモリー701に記憶させる(ステップS23)。この場合、画像形成装置1又は他の画像形成装置を用いて、USBメモリー701から画像データを読み出して画像を印刷するジョブをする際に、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイルが表示部403に表示される。
【0070】
制御部500が、セキュリティー設定が選択されたと判断した場合(ステップS22でYes)、表示制御部507は特定情報記憶部501に記憶されている特定情報を読み出し、表示部403に表示させる(ステップS24)。特定情報とは、例えば、画像形成装置1のIPアドレス、図3の第1画像形成装置のIPアドレス、第2画像形成装置のIPアドレス等である。
【0071】
受付部509は、操作部400が操作されることにより、表示部403に表示された複数の特定情報の中から一つ又は二つ以上の特定情報の入力がされたか否か判断する(ステップS25)。
【0072】
受付部509が、特定情報の入力がされたと判断しない場合(ステップS25でNo)、セキュリティー設定部511は、ステップS21で選択された画像データに対して、特定情報を含まないセキュリティー設定をする(ステップS26)。記憶処理部513は、この画像データをUSBメモリー701に記憶させる処理をする(ステップS27)。この場合、画像形成装置1又は他の画像形成装置を用いて、USBメモリー701から画像データを読み出して画像を印刷するジョブをする際に、画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルが表示部403に表示される。
【0073】
受付部509が、特定情報の入力がされたと判断した場合(ステップS25でYes)、セキュリティー設定部511は、ステップS21で選択された画像データに対して、入力された特定情報を含むセキュリティー設定をする(ステップS28)。記憶処理部513は、この画像データをUSBメモリー701に記憶させる処理をする(ステップS29)。この場合、画像形成装置1又は他の画像形成装置を用いて、USBメモリー701から画像データを読み出して画像を印刷するジョブをする際に、画像形成装置に応じてサムネイルが異なる。すなわち、特定情報で特定される画像形成装置(すなわち予め指定された画像形成装置)であれば、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイルが表示部403に表示される。一方、特定情報で特定される画像形成装置以外(予め指定された画像形成装置以外)であれば、画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルが表示部403に表示される。
【0074】
本実施形態の主な効果を説明する。本実施形態において、USBメモリー701に記憶されている画像データには、予め指定された画像形成装置を特定する特定情報を含むセキュリティー設定が可能にされている。その特定情報を用いて、USBメモリー701が接続されている画像形成装置1について、予め指定された画像形成装置か否かが判断される。画像形成装置1が予め指定された画像形成装置と判断されない場合、画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルを画像形成装置1の表示部403に表示させる。一方、画像形成装置1が予め指定された画像形成装置と判断された場合、画像の内容のセキュリティーを確保していない状態のサムネイルを画像形成装置1の表示部403に表示させる。
【0075】
従って、本実施形態によれば、セキュリティー設定(すなわち、画像の内容のセキュリティーを確保している状態のサムネイルを表示させる設定)を、自動的に解除するか否かを画像形成装置に応じてユーザーが予め選択しておくことができる。このため、ユーザーが予め指定した画像形成装置では、ユーザーが画像形成装置の操作部を操作してセキュリティー設定を解除する作業を不要にすることができる。よって、USBメモリー等の携帯型外部記憶装置に記憶されている画像データを基にして形成される画像のサムネイル(画像情報)について、セキュリティー設定がされている場合に、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、図7のステップS21〜ステップS29で説明したように、HDD800に記憶されている画像データに対して、特定情報を含むセキュリティー設定をし、その画像データをUSBメモリー701に記憶させる処理を、パソコンを用いることなく、画像形成装置1を用いて実行することができる。
【0077】
さらに、本実施形態によれば、図7のステップS24で説明したように、予め指定された画像形成装置の候補となる画像形成装置が複数ある場合に、これらの画像形成装置の特定情報(IPアドレス)を予め記憶しておき、ユーザーは複数の特定情報の中から一つ又は二つ以上の特定情報を選択することができる。これにより、ユーザーは操作部400のテンキー等を操作して、一つ又は二つ以上の特定情報を入力する手間を省くことができる。
【符号の説明】
【0078】
1 画像形成装置
700 USBコネクター(接続部の一例)
11a〜11g サムネイル(画像情報の一例)
12a〜12g サムネイル(画像情報の一例)
701 USBメモリー(携帯型外部記憶装置の一例)
800 HDD(画像データ記憶部の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型外部記憶装置に記憶されている画像データを読み出して、前記画像データを基にして形成される画像を用紙に印刷できる画像形成装置であって、
予め指定された画像形成装置を特定する特定情報を含むセキュリティー設定がされた前記画像データを記憶している前記携帯型外部記憶装置と接続可能な接続部と、
前記接続部に接続されている前記携帯型外部記憶装置から前記画像データを読み出す読出部と、
前記読出部が読み出した前記画像データの前記セキュリティー設定に含まれる前記特定情報を用いて、前記画像形成装置が前記予め指定された画像形成装置か否かを判断する判断部と、
表示部と、
前記判断部によって前記画像形成装置が前記予め指定された画像形成装置と判断されない場合、前記画像データを基にして形成される前記画像を特定する画像情報を、前記画像の内容のセキュリティーを確保している状態で前記表示部に表示させ、前記判断部によって前記画像形成装置が前記予め指定された画像形成装置と判断された場合、前記画像情報を前記画像の内容のセキュリティーを確保していない状態で前記表示部に表示させる表示制御部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
操作部と、
画像データが記憶される画像データ記憶部と、
前記画像データ記憶部に記憶されている画像データに対して、前記セキュリティー設定をして前記携帯型外部記憶装置に記憶させるときに、前記操作部が操作されることにより、前記特定情報の入力を受け付ける受付部と、
前記画像データ記憶部に記憶されている画像データに対して、前記受付部で受け付けられた前記特定情報を含む前記セキュリティー設定をするセキュリティー設定部と、
前記セキュリティー設定部で前記セキュリティー設定がされた前記画像データを、前記携帯型外部記憶装置に記憶させる記憶処理部と、を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記予め指定された画像形成装置の候補となる複数の画像形成装置のそれぞれに割り当てられた複数の前記特定情報を予め記憶している特定情報記憶部を備え、
前記表示制御部は、前記画像データ記憶部に記憶されている画像データに対して、前記セキュリティー設定をして前記携帯型外部記憶装置に記憶させるときに、複数の前記特定情報を前記表示部に表示させ、
前記受付部は、前記操作部が操作されることにより、前記表示部に表示された複数の前記特定情報の中から一つ又は二つ以上の前記特定情報を選択する入力を受け付ける請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
携帯型外部記憶装置に記憶されている画像データを読み出して、前記画像データを基にして形成される画像を用紙に印刷できる画像形成装置の表示部に、前記画像を特定する画像情報を表示する方法であって、
予め指定された画像形成装置を特定する特定情報を含むセキュリティー設定がされた前記画像データを前記携帯型外部記憶装置から読み出す読出ステップと、
前記読出ステップで読み出された前記画像データの前記セキュリティー設定に含まれる前記特定情報を用いて、前記画像形成装置が前記予め指定された画像形成装置か否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップによって前記画像形成装置が前記予め指定された画像形成装置と判断されない場合、前記画像情報を前記画像の内容のセキュリティーを確保している状態で前記表示部に表示させ、前記判断ステップによって前記画像形成装置が前記予め指定された画像形成装置と判断された場合、前記画像情報を前記画像の内容のセキュリティーを確保していない状態で前記表示部に表示させる表示制御ステップと、を備える画像情報の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−115686(P2013−115686A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261468(P2011−261468)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】