説明

画像形成装置及び記録媒体

【課題】切断手段とキャリッジとが、省スペースの配置により干渉領域を有していても衝突して破損することがなく、装置の小型化と高い生産性とを実現可能な画像形成装置、記録媒体を提供する。
【解決手段】 ロール紙16と、記録ヘッドを搭載するキャリッジ11と、切断手段12とを備えた画像形成装置において、キャリッジ移動領域内の異物を接触により検知する検知手段と、キャリッジ11及び切断手段12の動作を制御する制御手段とをさらに備え、キャリッジ移動領域21と切断手段移動領域22とが重複する干渉領域23を有し、前記制御手段は、電源投入後の初期動作において、キャリッジ11の位置を初期化するキャリッジ初期動作と切断手段12の位置を初期化する切断手段初期動作とを排他的に行わせる画像形成装置、及び前記キャリッジ初期動作及び前記切断手段初期動作を実行させるプログラムを記録した記録媒体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び記録媒体に関し、詳しくはロール紙上にインクを吐出して画像を形成する記録ヘッドを備えた画像形成装置、及び該画像形成装置に動作を実行させるプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の各種の画像形成装置の中には、ロール
紙に対して画像形成を行うものがあり、インクジェット方式の記録ヘッドを備えた画像形成装置も増えてきている。
【0003】
ロール紙を切断するためには、カッター等の切断手段を設け、切断しようとする部位に沿って該切断手段を走行させながら切断する。一般的に、カッターを作動させるときにはロール紙に当接する位置に配置し、作動させない時には退避させる機構のものが知られている。
【0004】
ロール紙を切断するための機構を別に設けることは、装置の小型化の妨げとなることがある。これに対し、記録ヘッドを搭載したキャリッジに切断手段を一体に設け、キャリッジの移動に応じ、切断部位以外では切断手段のカッター刃を収納する手段を備えた装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載した装置のように、小型化のために記録ヘッドを搭載したキャリッジと切断手段とを一体とした構成においては、部品のメンテナンスが困難になることがあり、また部品コストが上昇し、必ずしも高い生産性が得られないという問題がある。
【0006】
一方、キャリッジと切断手段とを一体化せず、それぞれ別個に設けた場合、装置の小型化を実現するために省スペースの配置が求められる。
省スペースのためにキャリッジと切断手段とが近接して配置される場合、例えば、キャリッジの移動範囲と切断手段の移動範囲とが重複して互いに干渉する領域が生じることがある。このような干渉領域を有する構成においては、物理的にキャリッジと切断手段とが衝突することがあり、破損や故障の原因となる可能性がある。
【0007】
本発明の課題は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、ロール紙を切断する手段と、記録ヘッドを搭載したキャリッジとが、省スペースの配置により干渉しあう領域を有していても衝突して破損することがなく、装置の小型化と高い生産性とを実現可能な画像形成装置を提供することである。
また、該画像形成装置に動作を実行させるプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、
長尺の記録紙がロール状に巻かれたロール紙と、前記ロール紙上にインクを吐出して画像を形成する記録ヘッドと、該記録ヘッドを搭載して前記ロール紙の紙幅方向に往復移動するキャリッジと、前記ロール紙を紙幅方向に切断する移動可能な切断手段とを備えた画像形成装置において、
前記キャリッジの移動領域内の異物を接触により検知する検知手段と、前記キャリッジ及び前記切断手段の動作を制御する制御手段とをさらに備え、
前記キャリッジの移動領域と前記切断手段の移動領域とが重複する干渉領域を有し、
前記制御手段は、電源投入後の初期動作において、前記キャリッジの位置を初期化するキャリッジ初期動作と前記切断手段の位置を初期化する切断手段初期動作とを排他的に行わせることを特徴とする画像形成装置である。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る記録媒体は、
本発明の画像形成装置に前記キャリッジ初期動作及び前記切断手段初期動作を実行させるプログラムを記録した、コンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るインクジェット画像形成装置によれば、ロール紙を切断する手段と、記録ヘッドを搭載したキャリッジとが、省スペースの配置により干渉しあう領域を有していても衝突して破損することがなく、装置の小型化と高い生産性とを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施態様における要部を示す説明図である。
【図2】本発明の画像形成装置の初期動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の画像形成装置の初期動作の一実施態様を示す説明図である。
【図4】本発明の画像形成装置の初期動作の一実施態様を示す説明図である。
【図5】本発明の画像形成装置の初期動作の一実施態様を示す説明図である。
【図6】本発明の画像形成装置の初期動作の一実施態様を示す説明図である。
【図7】本発明の画像形成装置の初期動作の一実施態様を示す説明図である。
【図8】本発明の画像形成装置が構成するシステムの一例を示す説明図である。
【図9】情報処理装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成装置及び記録媒体について、図面を参照して説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0012】
本発明の画像形成装置は、長尺の記録紙がロール状に巻かれたロール紙と、前記ロール紙上にインクを吐出して画像を形成する記録ヘッドと、該記録ヘッドを搭載して前記ロール紙の紙幅方向に往復移動するキャリッジと、前記ロール紙を紙幅方向に切断する移動可能な切断手段とを備え、前記キャリッジの移動領域内の異物を接触により検知する検知手段と、前記キャリッジ及び前記切断手段の動作を制御する制御手段とをさらに備え、前記キャリッジの移動領域と前記切断手段の移動領域とが重複する干渉領域を有する。
本発明に係る画像形成装置の一実施形態について、図1を参照して説明する。図1は、前記キャリッジと前記切断手段との位置関係及び移動領域を示す要部説明図であり、(A)は上面図、(B)は用紙搬送方向前方からの断面図、(C)は側面の断面図である。
【0013】
図1(A)に示すように、ロール紙16は印字台13の上を搬送される。記録ヘッドを搭載したキャリッジ11は、一方の端部(ホーム位置)14と、他方の端部(維持位置)15との間を往復移動する。
切断手段12は、図1(B)及び(C)に示すように、ロール紙16を切断するときは印字台13の上方を一方向に移動し(往路)、切断後は印字台13の下方を一方向に移動してホーム位置14に戻る(復路)。このように切断手段12が印字台13の下方を移動している間はロール紙16の搬送が可能となるため、生産性が向上する。
【0014】
図1(A)に示すように、キャリッジ11の移動領域21と、切断手段12の移動領域22とが重複し、物理的に衝突する可能性を有する干渉領域23が存在する。画像形成装置の電源投入(以下、「起動」ともいう)後、それぞれの初期動作を完了した後であれば、キャリッジ11と切断手段12は位置が判明しており、それぞれ干渉しあうことなく、ロール紙16の切断時にはキャリッジ11を干渉領域23の外に退避させれば物理的な衝突による破損を回避することができる。しかしながら、電源投入後、初期動作実行前は、キャリッジ11の位置と切断手段12の位置が不明であるため、動作開始により干渉領域23における衝突が生じないように制御することが必要となる。
そこで、干渉領域23におけるキャリッジ11と切断手段12との物理的な衝突を回避するために、電源投入後の初期動作において、キャリッジ11の位置を初期化するキャリッジ初期動作と切断手段12の位置を初期化する切断手段初期動作とを排他的に行わせる。
ここで、「排他的に行わせる」とは、一方の初期動作の実行中に、他方の初期動作が行われないようにすることを意味する。
【0015】
キャリッジ11の位置を初期化する前記キャリッジ初期動作は、キャリッジ11をホーム位置へ配置させる動作であり、一方の端部14と他方の端部15との間を移動させてキャリッジ移動領域21内の異物の有無を確認する動作である。具体的には、キャリッジ11を一方の端部(ホーム位置)14の壁に当たるまで移動させて壁を基準位置とした後、他方の端部(維持位置)15へ移動させ、再度ホーム位置14に戻るまでの往復動作であり、該往復動作の過程で移動領域21における異物の有無を確認する。
キャリッジ移動領域21の異物は、キャリッジ11が接触することにより生じるエンコーダセンサの変化により検知することができる。なお、初期動作におけるキャリッジ11の移動速度は、異物に当たっても破損しない程度の低速とすることが好ましい。
【0016】
切断手段12の位置を初期化する前記切断手段初期動作は、切断手段12をホーム位置に配置させる動作であり、ホーム位置に配置されたことは、例えば、ホーム位置にセンサ等を設けて確認することができる。切断手段12のホーム位置は、図1(B)に示す印字台13下部、かつ図の右側端部である。切断手段12が前記センサによりホーム位置に検出されない場合は、図1(B)に示す矢印の方向に移動させ、検出される位置まで移動させることにより完了する。
【0017】
図2は初期動作のフローチャートであり、(A)は干渉領域に異物が存在しない場合のフロー、(B)は干渉領域に異物が存在する場合のフローを示している。
図2(A)に示すように、画像形成装置の起動により開始され、キャリッジ11の初期化が開始され(S01)、キャリッジ初期動作が終了したか判断され(S02)、キャリッジ初期動作が終了した後、切断手段12の初期化が開始される(S03)。さらに切断手段初期動作が終了したか判断され(S04)、切断手段初期動作の終了によりそれぞれ排他的に実行された初期動作が終了する。
【0018】
また、図2(B)に示すように、初期動作は画像形成装置の起動により開始され、キャリッジ11の初期化が開始され(S11)、干渉領域に異物が検出されると(S12)、キャリッジ11は停止または端部へ移動され(S13)、検出された異物は除去されるか、干渉領域から退避され(S14)、キャリッジ初期動作が再開される。キャリッジ初期動作が終了したか判断され(S15)、キャリッジ初期動作が終了した後、切断手段12の初期化が開始される(S16)。さらに切断手段初期動作が終了したか判断され(S17)、切断手段初期動作の終了によりそれぞれ排他的に実行された初期動作が終了する。
【0019】
キャリッジ11をデキャップ状態で長時間放置すると、記録ヘッドの乾燥により破損を招くことがある。よって、図2(B)に示す干渉領域23の異物を除去または干渉領域23の領域外へ退避させるステップに時間を要し、停止させた状態または端部へ移動させた状態のキャリッジに対し、初期動作再開までの間、キャッピングまたは維持動作のいずれかを行なうことが好ましい。キャッピングとは、キャリッジをホーム位置14へ移動させ、前記記録ヘッドにキャップ部材でキャップをする動作であり、維持動作とは、キャリッジを維持位置15へ移動させ、前記記録ヘッドから画像形成に寄与しないインクを空吐出させてノズル詰まりの防止する動作である。
【0020】
このように、前記キャリッジ初期動作と前記切断手段初期動作とを排他的に実行することにより、キャリッジ11と切断手段12との衝突、衝突による破損や故障を回避させることができる。
なお、初期化前のキャリッジ11と切断手段12の位置関係や駆動状態は様々な態様が想定されるため、前記キャリッジ初期動作としては、複数の動作モードが求められる。
本発明の画像形成装置は、前記キャリッジ初期動作の複数の動作モードからいずれか、または複数のモードを選択して設定可能な手段を備えることが好ましい。
以下、前記キャリッジ初期動作の動作モードの例について説明する。
【0021】
〔第1の実施態様〕
図3に示すように、画像形成装置の起動時に、キャリッジ11が切断手段12に対しホーム位置14側にあり、かつ切断手段12が印字台の上面にある場合の実施態様について説明する。
この場合、前記制御手段は、前記キャリッジ初期動作において、キャリッジ11が干渉領域23内で切断手段12を接触により検知したとき、キャリッジ11を停止させ、切断手段12を干渉領域23から退避させた後、前記キャリッジ初期動作を再開させる。
【0022】
具体的な動作は図3(1)〜(4)に示すとおりである。
すなわち、(1)キャリッジ11を一方の端部であるホーム位置14から、他方の端部である維持位置15へ移動させる途中で、(2)切断手段12を接触により検知した位置で、キャリッジ11を停止させ、(3)切断手段12を干渉領域23から印字台の下方へ退避させた後、(4)キャリッジ11の初期動作を再開させ、維持位置15から再度ホーム位置まで移動させる。
【0023】
〔第2の実施態様〕
図4に示すように、画像形成装置の起動時に、キャリッジ11が切断手段12に対し維持位置15側にあり、かつ切断手段12が印字台の上面にある場合の実施態様について説明する。
この場合、前記制御手段は、前記キャリッジ初期動作において、キャリッジ11が干渉領域23内で切断手段12を接触により検知したとき、キャリッジ11を一方の端部へ移動させ、切断手段12を干渉領域23から退避させた後、前記キャリッジ初期動作を再開させる。
【0024】
具体的な動作は、図4(1)〜(5)に示すとおりである。
すなわち、(1)キャリッジ11をホーム位置14へ移動させる途中で、(2)切断手段12を接触により検知し、(3)検知した位置からキャリッジ11を出発位置側の端部である維持位置15へ移動させ、(4)切断手段12を干渉領域23から印字台の下方へ退避させた後、(5)キャリッジ11の初期動作を再開させ、維持位置15からホーム位置14へ移動させる。
【0025】
〔第3の実施態様〕
切断手段12が駆動の異常等により停止し、干渉領域23から退避させることができない場合、キャリッジ11の初期動作を妨げる時間が長くなる。
図5に示すように、キャリッジ11が切断手段12に対しホーム位置14側にあり、かつ切断手段12が印字台の上面にある場合であって、切断手段12が何らかの異常により退避不能となった場合の実施態様について説明する。
この場合、前記制御手段は、前記キャリッジ初期動作において、キャリッジ11が干渉領域内23で切断手段12を接触により検知したとき、キャリッジ11を停止させ、切断手段12の駆動の異常が検知されたとき、キャリッジ11を一方の端部へ退避させ、前記記録ヘッドをキャップ部材によりキャッピングする動作を行わせる。切断手段12の駆動の異常は、異常検知手段により検知される。
【0026】
具体的な動作は、図5(1)〜(4)に示すとおりである。
すなわち、(1)キャリッジ11を一方の端部であるホーム位置14から、他方の端部である維持位置15へ移動させる途中で、(2)切断手段12を接触により検知した位置でキャリッジ11を停止させ、(3)切断手段12が異常により退避不能となったとき、(4)キャリッジ11をホーム位置14へ退避させ、記録ヘッドをキャップ部材によりキャッピングする。
切断手段12の駆動異常が解消し、干渉領域23から退避が完了した後、前記キャリッジ初期動作が再開される。
【0027】
〔第4の実施態様〕
図6に示すように、キャリッジ11が切断手段12に対し維持位置15側にあり、かつ切断手段12が印字台の上面にある場合であって、切断手段12が何らかの異常により退避不能となった場合の実施態様について説明する。
この場合、前記制御手段は、前記キャリッジ初期動作において、キャリッジ11が干渉領域内23で切断手段12を接触により検知したとき、キャリッジ11を停止させ、切断手段12の駆動の異常が検知されたとき、キャリッジ11を一方の端部へ退避させ、前記記録ヘッドに画像形成に寄与しない液滴を空吐出させる維持動作を行わせる。切断手段12の駆動の異常は、異常検知手段により検知される。
【0028】
具体的な動作は、図6(1)〜(5)に示すとおりである。
すなわち、(1)キャリッジ11を一方の端部である維持位置15から、他方の端部であるホーム位置14へ移動させる途中で、(2)切断手段12を接触により検知した位置でキャリッジ11を停止させ、(3)切断手段12が異常により退避不能となったとき、(4)キャリッジ11を維持位置15へ退避させ、記録ヘッドに画像形成に寄与しない液滴を空吐出させる維持動作を行わせる。
切断手段12の駆動異常が解消し、干渉領域23から退避が完了した後、前記キャリッジ初期動作が再開される。
【0029】
〔第5の実施態様〕
干渉領域23に異物が存在することを通知する通知手段を備え、該通知手段により異物の存在がユーザに通知され、通知された異物を除去する操作が行われる場合について説明する。異物を除去する操作としては、例えば、ユーザによる手動の除去を含み、異物としては、例えば、印字台上に配置された切断手段12を含む。
例えば、図7に示すように、キャリッジ11が異物に対して維持位置15側にあり、該異物の存在が、干渉領域に異物が存在することを通知する通知手段によりユーザに通知され、異物を除去する操作が行われる場合の実施態様について説明する。
この場合、前記制御手段は、前記キャリッジ初期動作において、キャリッジ11が干渉領域23内で異物を接触により検知したとき、前記通知手段により通知を行うとともに、キャリッジ11を維持位置15へ退避させて、前記記録ヘッドに画像形成に寄与しない液滴を空吐出させる維持動作を行わせ、前記異物が除去された後、前記キャリッジ初期動作を再開させる。なお、初期動作開始時にキャリッジ11が異物に対してホーム位置14側にある場合には、キャリッジ11はホーム位置14側へ退避させて、前記記録ヘッドをキャップ部材によりキャッピングする動作を行わせる。
【0030】
具体的な動作は、図7(1)〜(6)に示すとおりである。なお、異物が切断手段12である場合を示している。
すなわち、(1)キャリッジ11を一方の端部である維持位置15から、他方の端部であるホーム位置14へ移動させる途中で、(2)異物として切断手段12を接触により検知したとき、(3)キャリッジ11を維持位置15へ退避させ、(4)記録ヘッドに画像形成に寄与しない液滴を空吐出させる維持動作を行わせる。(5)切断手段12を干渉領域23から退避させる操作を行った後、(6)前記キャリッジ初期動作を再開させる。
【0031】
本発明の画像形成装置を、図8に示すように情報処理装置としてのパーソナルコンピュータと接続して画像形成システム(印刷システム)を構成することも好ましい。画像形成システム300は、印刷データ及び当該印刷データを印刷するための印刷条件を含む印刷ジョブを送出するホスト装置である情報処理装置(ホストPC)の一例としてのパーソナルコンピュータ301と、印刷データを印刷する本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタ装置302とが、接続手段としてのケーブル303を介して接続されて構築されている。
【0032】
パーソナルコンピュータ301は、例えば、印刷データ及び印刷するために設定した印刷条件データを印刷ジョブとしてプリンタ装置302に送出する。一方、プリンタ装置302は、パーソナルコンピュータ301から送出される印刷ジョブに従って印刷データの印刷を行う。
【0033】
図9は、情報処理装置としてのパーソナルコンピュータ301の概略構成を示すブロック図である。パーソナルコンピュータ301は、データを入力するための入力部310と、ディスプレイなどの表示部311と、データ通信を行うための通信部312と、装置全体の制御を司る制御手段としてのCPU313と、CPU313のワークエリアとして使用されるRAM314と、記録媒体のデータのリード/ライトを行う記録媒体ドライブ装置315と、CPU313を動作させるための各種プログラム、及び本発明の画像形成装置の初期動作のプログラム等を記憶した本発明の記録媒体316と、音声を出力する音声出力部317とから構成されている。
【0034】
入力部310は、カーソルキー、数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボード、表示部311の表示画面上でキーの選択等を行うためのマウスやスライスパット等からなり、ユーザがCPU313に操作指示を与えるためや、データを入力するためのユーザインターフェースである。
【0035】
表示部311は、CRTやLCD等により構成され、CPU313から入力される表示データに応じた表示が行われる。通信部312は、外部とデータ通信するためのものであり、例えば、ケーブル303を介してプリンタ装置302等とデータ通信を行うためのものである。
【0036】
CPU313は、記録媒体316に格納されているプログラムに従って、装置全体を制御する中央制御ユニットであり、前記制御手段を構成している。
このCPU313には、入力部310、表示部311、通信部312、RAM314、記録媒体ドライブ装置315等が接続されており、データ通信、メモリへのアクセスによるアプリケーションプログラムの読み出しや各種データのリード/ライト、データ/コマンド入力、表示等を制御する。また、CPU313は、入力部310から入力された印刷データ及び当該印刷データの印刷条件データを印刷ジョブとして通信部312を介してプリンタ装置302に送出する。
【0037】
RAM314は、指定されたプログラム、入力指示、入力データ及び処理結果等を格納するワークメモリと、表示部311の表示画面に表示する表示データを一時的に格納する表示メモリとを備えている。
【0038】
本発明の記録媒体316は、前記キャリッジ初期動作及び前記切断手段初期動作を実行させるプログラムを記録した、コンピュータ読取り可能な記録媒体である。
本発明の画像形成装置に係る初期動作を含む各種プログラムは、CPU313が読み取り可能なデータ形態で本発明の記録媒体316に格納されている。
また、各種プログラムは、予め本発明の記録媒体316に記録されている場合やインターネット等の通信回線を介してダウンロードされて本発明の記録媒体316に格納される場合等がある。
【0039】
記録媒体316としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、MOやPCカード等の光学的・磁気的・電気的な記録媒体を用いることができる。
【0040】
また、記録媒体316は、例えば、CPU313が実行可能なOSプログラム(例えば、Microsoft社のオペレーティングシステムWindows(登録商標)XP等)、文書作成用アプリケーションプログラム、プリンタ装置302に対応したプリンタドライバ等の各種プログラムやデータを格納する。
【符号の説明】
【0041】
11 キャリッジ
12 切断手段
13 印字台
14 ホーム位置(キャリッジ移動領域の端部)
15 維持位置(キャリッジ移動領域の端部)
16 ロール紙
21 キャリッジ移動領域
22 切断手段移動領域
23 干渉領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特開平9−71015号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の記録紙がロール状に巻かれたロール紙と、前記ロール紙上にインクを吐出して画像を形成する記録ヘッドと、該記録ヘッドを搭載して前記ロール紙の紙幅方向に往復移動するキャリッジと、前記ロール紙を紙幅方向に切断する移動可能な切断手段とを備えた画像形成装置において、
前記キャリッジの移動領域内の異物を接触により検知する検知手段と、前記キャリッジ及び前記切断手段の動作を制御する制御手段とをさらに備え、
前記キャリッジの移動領域と前記切断手段の移動領域とが重複する干渉領域を有し、
前記制御手段は、電源投入後の初期動作において、前記キャリッジの位置を初期化するキャリッジ初期動作と前記切断手段の位置を初期化する切断手段初期動作とを排他的に行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記キャリッジ初期動作において、前記キャリッジが前記干渉領域内で前記切断手段を接触により検知したとき、前記キャリッジを停止させ、前記切断手段を前記干渉領域から退避させた後、前記キャリッジ初期動作を再開させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記キャリッジ初期動作において、前記キャリッジが前記干渉領域内で前記切断手段を接触により検知したとき、前記キャリッジを一方の端部へ移動させ、前記切断手段を前記干渉領域から退避させた後、前記キャリッジ初期動作を再開させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記切断手段の駆動の異常を検知する異常検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記キャリッジ初期動作において、前記キャリッジが前記干渉領域内で前記切断手段を接触により検知したとき、前記キャリッジを停止させ、
前記切断手段を前記干渉領域から退避させる際、前記異常検知手段により前記切断手段の駆動の異常が検知されたとき、前記キャリッジを一方の端部へ移動させ、前記記録ヘッドをキャップ部材によりキャッピングする動作を行わせることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記切断手段の駆動の異常を検知する異常検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記キャリッジ初期動作において、前記キャリッジが前記干渉領域内で前記切断手段を接触により検知したとき、前記キャリッジを停止させ、
前記切断手段を前記干渉領域から退避させる際、前記異常検知手段により前記切断手段の駆動の異常が検知されたとき、前記キャリッジを一方の端部へ移動させ、前記記録ヘッドに画像形成に寄与しない液滴を空吐出させる維持動作を行わせることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記干渉領域に異物が存在することを通知する通知手段を備え、
前記制御手段は、前記キャリッジ初期動作において、前記キャリッジが前記干渉領域内で異物を接触により検知したとき、前記通知手段により通知を行うとともに、前記キャリッジを一方の端部へ移動させて、前記記録ヘッドに画像形成に寄与しない液滴を空吐出させる維持動作または前記記録ヘッドをキャップ部材によりキャッピングする動作を行わせ、
前記異物が除去された後、前記キャリッジ初期動作を再開させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記キャリッジ初期動作における動作モードを選択して設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置に前記キャリッジ初期動作及び前記切断手段初期動作を実行させるプログラムを記録した、コンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図2】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−56487(P2013−56487A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196747(P2011−196747)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】