説明

画像形成装置用ベルト及びそれを用いた画像形成装置

【課題】記録媒体の凹凸に追従して転写、定着することができ、転写部材や定着部材表面の傷が画像に影響を及ぼしにくい画像形成装置用ベルトを提供する。
【解決手段】電子写真方式で画像形成する画像形成装置1に用いる画像形成装置用ベルト50が、ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含み、これによって、凹凸の顕著な記録媒体9にも追従し良好に転写することができ、また、凹凸の顕著な記録媒体9上のトナーをムラなく定着することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる画像形成装置用ベルトとその画像形成装置用ベルトを用いた画像形成装置に関する。特に、記録媒体を搬送する搬送ベルト、感光体上に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する中間転写ベルト、そして記録媒体上に載ったトナーを定着させる定着装置に用いる定着ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な電子写真方式の画像形成装置に用いられる画像形成装置用ベルト(以下、単に「ベルト」と記すことがある。)としては中間転写ベルト、転写搬送ベルト等の転写部材として、ポリイミド樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム等の合成樹脂製フィルムが用いられている。
また、以下のような課題のため、合成樹脂製フィルムとしては弾性層を有するものも用いられている(特許文献1)。
トナー画像を記録する記録媒体としては、紙や布など、表面に凹凸があるものが多い。このために、中間転写ベルト等の合成樹脂製フィルムのように表面が硬いと、この凹凸にベルト表面が追従せず、不均一転写となり、結果的に画像に抜けが生じるという問題がある。これは、紙の凸部のみがベルト上に載ったトナーと接し、紙の凹部はトナーと接触しないため、紙の凹部に対抗する部分のトナーが転写できないためである。
ベルト表面は、紙やクリーニング手段などによって、傷つけられることが多々あり、ベルト表面の傷は、トナー層に欠陥をもたらし、画像に欠陥を生じる場合がある。
【0003】
また、従来の一般的な電子写真画像形成装置用の定着装置としては様々な定着方式のものが提案され、また実施されているが、そのうちでもベルト又はローラ定着タイプのもの、特に、ベルト又はローラ対の少なくとも一方が熱源によって加熱される加熱ベルト又はローラである加熱ベルト又はローラ定着装置が主流をなしている。
ここで一対のベルト又はローラのうち、記録媒体の画像担持側の面に接するベルト又はローラを定着ベルト又はローラと、他方のベルト又はローラを加圧ベルト又はローラと記す。
これらの定着ベルト又はローラ及び加圧ベルト又はローラ等の定着部材としては、シリコーンゴムなどから成る弾性層を有するものが広く用いられている(特許文献2)。
従来の定着部材が表層に弾性層を有しない剛体で形成された場合は、定着時接触面は紙などの記録媒体上の微小な凹凸に対しては追従しないので、密着接触ができずに微小な光沢ムラなどの画質劣化の問題が生じる。
そして、弾性層を有する定着部材は、弾性層を有しない定着部材よりも、弾性層が間に入った分、表面側の硬さが柔らかくなるので、例えば吸湿した紙を定着すると、定着装置内で紙にシワが寄り、そのために、離型層の表面を傷つけることや、また、紙のエッジで離型層の表面を傷つけることがあり、それらの結果、定着装置のトナー定着能力を損なうという問題が発生している。
【0004】
一方、近年、斬新な手法を用いて物理ゲル、化学ゲルのいずれにも分類されない新しい種類のゲル、即ち「環動ゲル又はトポロジカルゲル」が提案されており、このような環動ゲルにはポリロタキサンが用いられている。
ロタキサンは環状化合物とこの環状化合物の空洞を貫通する直鎖状高分子体からなり、この直鎖状高分子体の両末端をキャップした構造を持つ概念的化合物として知られている(特許文献3)。
このロタキサンを複数架橋して、環動ゲルに適用可能な架橋ポリロタキサンが開示されている。この架橋ロタキサンは直鎖状分子に串刺し状に貫通されている環状分子が当該直鎖状に沿って移動可能(滑車効果)な為に粘弾性を有し、張力が加わっても、この滑車効果によって当該張力を均一に分散させることができるので、従来の架橋ポリマーとは異なり、クラックや傷が極めて生じ難いという優れた性質を有するものである。
こうしたポリロタキサンとして、傷が残りにくく、ソフト感を付与することができる塗料(特許文献4)、直鎖状分子や環状分子が疎水性の修飾基を備える親油性ポリロタキサンを用い、ソフトな触感が得られる塗料(特許文献5)、伸縮性及び/又は粘弾性を有しつつ、かつ酸素透過性、耐熱性、耐薬品性、耐環境性及び/又は耐久性を有するポリロタキサン(特許文献6)などが知られている。
しかしながらこのロタキサン、架橋ロタキサンの電子写真画像形成装置用ベルトへの応用は知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、紙など、転写材等の記録媒体の凹凸に追従して転写、定着することができ、転写部材や定着部材表面の傷が画像に影響を及ぼしにくい画像形成装置用ベルト及びそれを用いた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像形成装置用ベルトは、電子写真方式で画像形成する画像形成装置に用いる画像形成装置用ベルトにおいて、ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含むことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置用ベルトは、さらに、前記ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンが親油性であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置用ベルトは、さらに、前記ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含む層と、伸縮しない基材層との少なくとも2層から成ることを特徴とする。
【0007】
本発明の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー像を記録媒体に直接又は中間転写体を介して転写する転写装置と、前記記録媒体に転写されたトナー像を定着する定着装置とを有する画像形成装置において、前記転写装置は、上記のいずれかに記載の画像形成装置用ベルトを中間転写体として用いることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー像を記録媒体に直接又は中間転写体を介して転写する転写装置と、前記記録媒体に転写されたトナー像を定着する定着装置とを有する画像形成装置において、前記定着装置は、複数のローラに支持された無端状の定着ベルトと、該定着ベルト表面を加圧する加圧ローラとを備え、かつ、上記いずれかに記載の画像形成装置用ベルトを定着ベルトとして用いることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、画像形成動作に応じて、前記画像形成装置用ベルトを対向する装置に対して接離動作させる接離手段を備えている。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記画像形成装置用ベルトの表面を平滑化する平滑化手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明によれば、画像形成装置用ベルトを構成する層にポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含むため、凹凸の顕著な記録媒体にも追従し、トナーをベルトから記録媒体に良好に転写することができ、凹凸の顕著な記録媒体上のトナーをムラなく定着することができ、紙や、ベルトに接触する部材により傷つけられても、傷があまり残らないため、劣化が少なく、且つ機械的耐久性が非常に良好であり、長期的に安定した画像形成を行うことができる電子写真画像形成装置用ベルト及びそれを用いた画像形成装置が提供することができる。
また、ポリロタキサン、架橋ポリロタキサンが持つ修飾基が疎水性で、すなわち、親油性であることにより、湿度などの環境に左右されにくい画像形成装置用ベルトを得ることができる。
また、画像形成装置用ベルトが、前記ポリロタキサン、架橋ポリロタキサンを含む層と、伸縮しない基材層との少なくとも2層から成ることにより、凹凸の顕著な記録媒体にも追従し、トナーをベルトから記録媒体に良好に転写することができ、凹凸の顕著な記録媒体上のトナーをムラなく定着することができ、ベルトが伸びて装置から外れたり、画像を引き伸ばしたりすることがない。
また、画像形成装置用ベルトを、中間転写ベルトとして用いることにより、凹凸の顕著な記録媒体にも追従し、トナーをベルトから記録媒体に良好に転写することができ、紙や、ベルトに接触する部材により傷つけられても、傷があまり残らないため、劣化が少なく、且つ機械的耐久性が非常に良好であり、長期的に安定した画像形成を行うことができる。
また、画像形成装置用ベルトを、定着ベルトとして用いることにより、凹凸の顕著な記録媒体上のトナーをムラなく定着することができ、紙や、ベルトに接触する部材により傷つけられても、傷があまり残らないため、劣化が少なく、且つ機械的耐久性が非常に良好であり、長期的に安定した画像形成を行うことができる。
また、画像形成動作に応じて、ベルトを対向装置に対して接離動させる接離手段を備えていることにより、ベルトが塑性変形して、画像をみだすことがない。
また、ベルト表面平滑化手段を備えていることにより、紙のシワや紙の持つ凹凸、クリーニングブレードなどベルトに触れるものによって変形したベルト表面を平滑化し、劣化が少なく、且つ機械的耐久性が非常に良好であり、長期的に安定した画像形成を行うことができる画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の画像形成装置用ベルトの構成を示す図であり、(1)は斜視図、(2)は一つの実施形態の断面図、(3)及び(4)は他の実施形態の断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置用ベルトを適用する画像形成装置の構成を示す図である。
【図3】像担持体である感光体まわりを拡大して構成を示す図である。
【図4】本発明の画像形成装置用ベルトを適用する定着装置の構成を示す概略図である。
【図5】本発明の画像形成装置用ベルトを適用する定着装置の構成を示す概略図である。
【図6】本発明の画像形成装置に用いるベルトの平滑化手段の構成を示す概略図である。
【図7】本発明の画像形成装置に用いる接離手段の構成を示す概略図である。
【図8】スミア試験器(摩擦試験機I型、JIS L 0823)の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0011】
図1は、本発明の画像形成装置用ベルトの構成を示す図であり、(1)は斜視図、(2)は一つの実施形態の断面図、(3)及び(4)は他の実施形態の断面図である。
ここで、本発明の画像形成装置用ベルト50を転写装置60の中間転写ベルト61に適用した実施形態で説明する。
この中間転写ベルト61は、従来からフッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等が使用されてきていたが、近年図1に示すような構成にすることができる。
図1(1)、(3)に示すベルト50は、基材層51と、ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含む樹脂から成る弾性層52とから構成されている。また、図1(2)に示すベルト50は、ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含む樹脂から成る弾性層52から構成されている。また、図1(4)に示すベルト50は、基材層51と、ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含む樹脂から成る弾性層52と、離型層53から構成されている。
以下、図1(3)に示すベルト50で説明する。なお、このベルト50は、凹凸の顕著な記録媒体9にも追従し、クラックや傷が生じ難いという優れた特性を活かすためには、ポリロタキサンが表面にあることがより望ましい。
【0012】
図2は、本発明の画像形成装置用ベルトを適用する画像形成装置の構成を示す図である。
図3は、像担持体である感光体まわりを拡大して構成を示す図である。
図3において電子写真感光体1は、図示しない駆動装置により回転駆動され、その表面が近接帯電方式の帯電装置20の帯電ローラ21により所定の極性に帯電される。帯電された電子写真用感光体11の表面は、露光装置12によって露光され画像情報に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置30から感光体11の表面に供給される現像剤としてのトナーにより現像されて、トナー像として可視像化される。
次に、図2に示した中間転写ベルト61に、一次転写ローラ62によってトナー像が転写される。中間転写ベルト61上には、複数色のトナーが転写され重ねられる。一方、給紙部2からは記録媒体9としての記録媒体9が中間転写ベルト61に向けて給送される。この記録媒体9には、中間転写ベルト61に対向配置されている二次転写ローラ63によって中間転写ベルト61上のトナー像が記録媒体9上に転写される。
【0013】
トナー像が転写された記録媒体9は、中間転写ベルト61から分離した後、定着装置70に搬送されて、トナー像が定着される。記録媒体9にトナー像を転写した後の電子写真感光体11や中間転写ベルト61上に残留している残留トナーとしての転写残トナーは、クリーニング装置40によって電子写真感光体11上から、クリーニング装置64によって中間転写ベルト61から除去される。
また、転写残トナーが除去された後の電子写真用感光体表面の残留電荷は、除電装置により除去される。このようにして、電子写真感光体11は繰り返し使用される。
また、本実施形態の画像形成装置1では、感光体11、帯電装置20、現像装置30、クリーニング装置40が一体に構成され、画像形成装置本体から着脱可能なプロセスカートリッジ10として構成されていてもよい。
【0014】
中間転写ベルト61は、転写部でトナー層、平滑性の悪い用紙に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して中間転写ベルト61は変形するため、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ文字の中抜けの無い、平面性の悪い用紙に対しても均一性の優れた転写画像を得ることが出来る。
基材層611は、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
【0015】
弾性層612は、ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含んでいる。
ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを用いることにより、その滑車効果に基づく、優れた伸縮性や粘弾性、機械的強度を有していることで、記録媒体9の凹凸に対して追従して転写抜けのない高品位の画像を得ることができ、記録媒体9の端部などによる傷に対して、高い耐久性を有している。
また、中間転写ベルト61に、図7及び後述する当接・離間する接離手段700を備え、画像形成装置本体の制御部にて、任意に感光体や二次転写ローラ等に対して当接・離間させることができる。また、図6及び後述する中間転写ベルト61の表面を平滑化する平滑化手段681を設けることで、トナーの高い転写性を長期にわたって維持することができる。
ポリロタキサンは、多数の環状分子の開口部を直鎖状分子が串刺し状に貫通すると共に、この直鎖状分子の両末端に封鎖基が結合して、環状分子の直鎖状分子からの脱離を防止する構造を備え、外的応力が加わった場合に、上記環状分子が直鎖状分子に沿って自由に移動する(滑車効果)ことから、伸縮性や粘弾性に優れ、クラックや傷が生じ難いという優れた特性を備えている。
【0016】
なお、一般に、架橋ポリロタキサンは、ポリロタキサン単体と他のポリマーとが架橋したものを言う。ポリロタキサンの環状分子を介してポリロタキサンとポリマーとが結合している。
架橋ポリロタキサンは、ポリロタキサンとポリマーとを有しており、このポリロタキサンは、環状分子を介して架橋点によってポリマー及びその他のポリマーと結合している。なお、環状分子は、親油性修飾基を有している。
このような構成を有する架橋ポリロタキサンに対し、ある方向に変形応力が負荷されると、架橋ポリロタキサンは、変形してこの応力を吸収することができる。
すなわち、環状分子は滑車効果によって直鎖状分子に沿って移動可能であるため、容易に変形することができ、上記応力の内部吸収が可能となる。
このように、架橋ポリロタキサンは、滑車効果を有するものであり、従来の樹脂などに比し優れた伸縮性や粘弾性、機械的強度を有するものである。
また、弾性層612は抵抗値調節用導電剤を含有することがある。抵抗値調節用導電剤として、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を含有したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではない。
【0017】
また、図1(4)に示すように、第3層として表面に、離型性を有する離型層613を設けてもよい。
弾性材料による感光体11への汚染防止と、中間転写ベルト61表面への表面摩擦抵抗を低減させてトナーの付着力を小さくしてクリーニング性、2次転写性を高めるものが要求される。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素又は、2酸化チタン、シリコンカーバイド等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上又は粒径を異ならしたものを分散させ使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
【0018】
ここで、中間転写ベルト61の製造方法について説明する。
回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、液体塗料を噴霧し膜を形成させるスプレイ塗工法、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型、外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け、加硫研磨を行う方法等があるがこれに限定されるものではなく、複数の製法を組み合わせてベルトを製造することが一般的である。なお、ベルトの製造方法は限定されるものではない。
【0019】
中間転写ベルト61として伸びを防止する方法として、上記実施例のように伸縮の小さい又は伸縮しない芯体の基材層611にゴム層を形成する方法、芯体の基材層611に伸縮の小さい又は伸縮しない材料を入れる方法等があるが、特に製法に関わるものではない。伸縮の小さい又は伸縮しない芯体の基材層611を構成する材料は、例えば、綿、絹、などの天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン(登録商標)繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維などの合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維などの無機繊維、鉄繊維、銅繊維などの金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用い織布状あるいは糸状のものができる。もちろん上記材料に限定されるものではない。
糸は1本又は複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり当然導電処理を施すこともできる。
【0020】
図4は、本発明の画像形成装置用ベルトを適用する定着装置の構成を示す概略図である。
定着装置70は、無端ベルトの一例である定着ベルト74を有し、この定着ベルト74は、定着ローラ71と加熱ローラ73の2つのローラに巻き掛けられている。
無端ベルトを3以上のローラに巻き掛けることもできる。
定着ベルト74の表面には、加圧部材の一例である加圧ローラ72が圧接しており、図示した例では、加圧ローラ72は、定着ローラ71に巻き付いた定着ベルト部分に圧接している。
定着ローラ71は、図示していないモータによって回転駆動され、その回転が図示していないギアを介して加圧ローラ72に伝えられ、その加圧ローラ72が回転駆動される。
また、定着ローラ71の回転により、定着ベルト74が走行駆動され、これによって加熱ローラ73が従動回転する。
上述のように、定着装置70は、複数のローラに巻き掛けられて走行駆動される無端ベルトを有し、図示した例では、その無端ベルトが、定着ローラ71と加熱ローラ73の少なくとも2つのローラに巻き掛けられた定着ベルト74より成り、その定着ベルト74の表面には、加圧ローラ72より成る加圧部材が圧接している。加圧部材として、加圧ベルトなどを用いることもできる。
定着ベルト74は、図示しないが、中間転写ベルト61と同様に、例えば、ポリイミドから成る基材層と、その基材上に設けられた架橋ポリロタキサンを含む樹脂から成る弾性層とにより構成されている。
また、定着ローラ71は、例えば、金属より成る中空の芯金22と、その芯金22の表面に設けられたシリコーンゴムより成る弾性層23と、さらにその弾性層23の表面に積層されたフッ素樹脂より成る表層24とによって構成されている。
また、加熱ローラ73は、例えばアルミニウム製の金属ローラより成る。加熱ローラ73をアルミニウムにより構成した場合には、その外面にアルマイト処理により酸化アルミニウム層を形成することが好ましい。
さらに、加圧ローラ72は、中空状の芯金721と、その表面に設けられた架橋ポリロタキサンによる弾性層722とによって構成されている。図4では、ハロゲンヒータ等の熱源を各ローラに設けた例を示したが、熱源はいずれか一本以上のローラに設けてもよい。
このように弾性層722を有する加圧ローラ72と、同じく弾性層712を有する定着ローラ71が、定着ベルト74を介して圧接することにより、定着ベルト74と加圧ローラ72との間に比較的幅広のニップが形成される。
【0021】
定着動作時に、定着ローラ71、定着ベルト74、加熱ローラ73及び加圧ローラ72は、それぞれの方向に回転し、しかも定着ベルト74と加圧ローラ72の温度がトナー像の定着に適した温度に保たれる。
この状態で、図4に示すように、未定着トナー像Tを担持した記録媒体9が、定着装置70に送り込まれ、定着ベルト74と加圧ローラ72の間のニップを通過する。
このときトナー像に熱と圧力が加えられ、トナーが溶融して、当該トナー像が記録媒体9に定着される。記録媒体9上のトナー像が、熱と圧力の作用により記録媒体9に定着されるのである。ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンは、その滑車効果に基づく、優れた伸縮性や粘弾性、機械的強度を有していることで、記録媒体9の凹凸に対して追従して定着を行うことができ、記録媒体9の端部などによる傷に対して、高い耐久性を有しており、定着むらのない高品位の画像を得ることができる。
また、定着ベルト74を加圧ローラ72等に当接・離間する接離手段700を備え、画像形成装置本体の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。また、定着ベルト74の表面を平滑化する平滑化手段681を設けることで、トナーの高い定着性を長期にわたって維持することができる。
【0022】
図5は、本発明の画像形成装置用ベルトを適用する定着装置の構成を示す概略図である。
本発明の定着装置70は、図5に示すように、定着手段の一つである定着ローラ71は、ステンレス、アルミニウム等の金属製の芯金711の外周に、ニップを形成するために、例えば環状に成型加工された弾性層712を備える。
この弾性層712に、ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含んでいる。弾性層712は、紙などの記録媒体9の凹凸に対して追従して転写、定着を行う事ができ、紙の端部などによる傷に対して、高い耐久性を有し、優れた伸縮性や粘弾性、機械的強度を有している。
弾性層712の表層には、記録紙及びトナーの離型性を良くするために離型層713を設けてもよい。離型層713には、耐熱性があり表面エネルギーの小さい材料が使用され、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などの高分子樹脂、からなる耐熱性チューブとして使用される。定着ローラ71の芯金中には定着ローラ71の温度上昇を加速させるためのハロゲンヒータ等の熱源が配設される。
加圧ローラ72は、ステンレス、アルミニウム等の金属製の芯金721の外周にフッ素系ゴム、シリコーンゴム等の耐熱弾性材料からなる弾性層722を適度な厚みで備え、定着ローラ71と同様に、表層にフッ素系樹脂、等からなる離型層723を備える。また、加圧ローラ72は、定着ローラ71に向けて図示しないバネ等の加圧部材により押圧されており、弾性層722を弾性変形させることにより定着ローラ71との間で、一定時間トナーを加圧・加熱できるニップ部を形成する。
【0023】
図2には中間転写ベルトを有した代表的なタンデム型画像形成装置を一例に挙げており、本発明は以下の構成のみに捉われるものではない。
本実施形態の画像形成装置1は、画像記録媒体である記録媒体9上に形成された未定着のトナー画像を加熱することで、固定されたトナー画像を記録媒体9上に形成する装置である。画像記録媒体としては、用紙やフィルム等のシート状部材を用いることができる。
本発明の画像形成装置1は、上の方から、置かれた原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)5、原稿を読み取るスキャナ部(読取装置)4、トナー画像を形成する画像形成部3、及び記録媒体9が収納された給紙部2が配置されている。
画像形成装置1は、その中央部に画像形成部3が配置されている。画像形成部3では、その内部の略中央に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応した4つのプロセスカートリッジとしての作像ユニット10が水平な横方向に並列に並べたタンデム型に配列されている。
4つの作像ユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、帯電した各感光体11の表面に各色の画像データに基づいて露光を潜像を形成する露光装置12が備えられている。また、4つの作像ユニット10Y、10M、10C、10Kの下方には、ポリイミドやポリアミド等の耐熱性材料からなり且つ中抵抗に調整された基体からなる無端状の中間転写ベルト61を備える転写装置60が配置されている。中間転写ベルト61はローラ651、652、653に掛け回され、回転駆動される。
いずれの作像ユニット10でも同様の構成であるので、この図においては、色の区別に関係ない場合はY、C、M、Kの表示を省略する。各作像ユニット10Y、10M、10C、10Kは、感光体11Y、11M、11C、11Kを有し、各感光体11の周りには、感光体11表面に電荷を与える帯電装置20、感光体11表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置30、感光体11表面に、図示しない潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置、トナー像転写後の感光体11表面のクリーニングをするクリーニングブレードを備えるクリーニング装置40がそれぞれ配置されている。これで、1つの作像ユニット10を形成している。
【0024】
感光体11は、アモルファスシリコン、セレン等の金属、又は、有機感光体であり、ここでは、有機感光体で説明する。有機感光体としては、導電性支持体上に、フィラー分散した樹脂層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層、その表面にフィラーを分散させた保護層を有する。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型が感度、耐久性において優れている。
電荷発生層は、電荷発生能を有する顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。結着樹脂としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
また、電荷輸送層は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散させ、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層を設け、耐久性を向上させることによって、高感度で異常欠陥のない感光体を有用に用いることができる。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上、好ましくは10質量%以上、50質量%以下、好ましくは30質量%以下程度が良好である。
【0025】
帯電装置20は、帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ21を備える。帯電ローラ21は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。このイオンを放電する帯電ローラ21では、材質としては弾性樹脂ローラが用いられている。また、帯電ローラ21は電気抵抗の調整のために、カーボンブラック等の無機導電材、イオン導電材を含有することがある。
また、帯電ローラ21は、感光体11に対して微小な間隙をもって配設される。この微小な間隙は、例えば、帯電ローラ21の両端部の非画像形成領域に一定の厚みを有するスペーサ部材を巻き付けるなどして、スペーサ部材の表面を感光体11表面に当接させることで、設定することができる。また、帯電ローラ21は、感光体に近接させずに、接触させてもよい。ローラ形状であり、感光体11に近接している部分で、放電して、感光体11を帯電させることができる。また、近接させて非接触にすることで、帯電ローラ21の転写残トナーによる汚れの発生を抑えることができる。また、帯電ローラ21には、帯電ローラ21表面に接触してクリーニングする図示しない帯電クリーナローラが設けられている。
現像装置30は、感光体11と対向する位置に、図示しないが内部に磁界発生手段を備える現像スリーブが配置されている。現像スリーブの下方には、図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像スリーブへ汲み上げる機構を併せて有する攪拌・搬送スクリューが備えられている。現像スリーブによって搬送されるトナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤は、規制部材によって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブに担持される。現像スリーブは、感光体11との対向位置において同方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを感光体11に供給する。また、未使用のトナーが収納された各色のトナーカートリッジが、着脱可能に感光体11上部の空間に収納される。図示しないモーノポンプ(ヘイシンモーノポンプ:登録商標)やエアポンプなどのトナー搬送手段により、各現像装置30に必要に応じトナーを供給するようになっている。
【0026】
クリーニング装置40は、クリーニングブレード及びそのブレードを保持するホルダー等で構成され、感光体11に対してそのブレード部材を圧接させることにより、感光体11から残留トナーを除去する。また、クリーニングブレードが感光体11と当接・離間する機構を備え、画像形成装置1の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。クリーニングブレードをカウンタ方式で、感光体11に当接させ、これによって、感光体11上に残留するトナー、汚れとして付着している記録媒体のタルク、カオリン、炭酸カルシウム等の添剤を感光体11から除去してクリーニングする。除去したトナー等は、図示しない廃トナー回収コイルで、図示しない廃トナー容器に搬送し、貯留する。
クリーニング装置40によりクリーニングされて感光体11から取り除かれたトナーは、トナー搬送部材によって、サービスマンなどにより回収されるか、あるいはリサイクルトナーとして現像装置などに運ばれ現像に使用される。
【0027】
転写装置60は、トナー像が積層される中間転写ベルト61、感光体11上のトナー像を中間転写ベルト61に転写・積層させる一次転写ローラ62、積層されたトナー像を記録媒体9に転写する二次転写ローラ63等を備えている。さらに、転写装置60では、二次転写ローラ63に対向する部分で、中間転写ベルト61の内側に対向部材となる支持ローラ653が設けられている。
中間転写ベルト61を挟んで、各感光体11と対向する位置には、感光体11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト61上に一次転写する一次転写ローラ62がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ62は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性とし、感光体11から中間転写ベルト61側に引き寄せ移行させることで、一次転写する。また、この一次転写ローラ62には、電気抵抗の調整のためにカーボンブラック等の無機導電材やイオン導電材を含有させ、半導電性にすることが好ましい。一次転写ローラ62の抵抗値が異なっていても転写効率はほとんど変わらないが、画像面積比が異なると転写効率は大きく異なってくるため、安定して転写効率を維持できない。これは、転写ニップ部においてトナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう結果、画像面積比が小さい場合には転写電圧値が低くなって転写に必要な電界が十分得られなくなるためである。特に、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合には転写部に介在するトナーの抵抗値の影響が大きくなるため、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合ほど顕著になる。このように定電流制御を採用する場合には一次転写ローラ62として抵抗値の高いものを使用することが望まれるが、その抵抗値が5×10Ωを越えると電流のリークによってトナー像を乱すおそれが強まる。したがって、一次転写ローラ62の抵抗値は、1×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものを用いるのが好ましい。トナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう現象は、上述のトナー抵抗によるだけでなく、一次転写ローラ62の中心に設けられている芯金に印加される一次転写電圧と感光体11との電位差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きいために、より大きな電位差の方に転写電流が流れ易いことにもよる。これは、トナー像が感光体11の帯電極性と同じで、感光体11の像露光を受けて感光体電位が除電された個所にトナーが現像されることで感光体11上にトナー像を形成する画像形成装置の場合に発生する。トナー像の形成されていない個所の感光体電位が高く、トナー像の形成された個所の感光体電位は低いが、転写電位は感光体電位とは逆極性なので、一次転写電圧と感光体電位との差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きくなる。この場合一次転写ローラ62の抵抗値は、望ましくは、5×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものが好ましい。
【0028】
また、中間転写ベルト61に積層されたトナー像は、二次転写ローラ63で記録媒体9に二次転写される。二次転写ローラ63には、一次転写ローラ62と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性で、中間転写ベルト61から、搬送されてきた記録媒体側に引き寄せ移行させることで、二次転写する。
二次転写ローラ63は、金属よりなる円筒状の芯金と、この芯金の外周面に形成された弾性層と、この弾性層の外周面に形成された樹脂材料からなる表面層とから構成されている。
芯金を構成する金属としては、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金などの金属材料が用いられる。芯金の上に形成される弾性層には一般的にゴム材料が使用されゴム層となっている。これは、二次転写ローラ63を変形させて二次転写ニップ部を確保のために二次転写ローラ63には弾性機能が要求されることに起因するものであり、JIS−A硬度で70[°]以下が望ましい。
また、二次転写ローラ63のクリーニング手段としてクリーニングブレードを使用しているため、弾性層が柔らかすぎると、クリーニングブレードの当接状態が不安定となり適正なクリーニング角度が得られなくなる。よって、弾性層の硬度としてはJIS−A40[°]以上が望ましい。
また、二次転写ローラ63が絶縁体ではトナー画像を記録体に転写するという機能が果たしえないため、導電機能を付与された発泡樹脂剤で、厚さは2mm〜10mmであることが好ましい。導電機能を付与する材料としては、カーボンブラックが分散されたEPDMやSiゴム、またイオン導電機能を有するNBR、ウレタンゴム等を使用してもよい。
弾性層に用いられる発泡樹脂剤の多くがトナーに対し化学的親和性が高く、摩擦係数が大きいため、クリーニングブレードが接触している表面層に必要な機能としては、低摩擦係数、トナー離型性が必要となることから、二次転写ローラ63の表面層は、フッ素樹脂系樹脂に抵抗制御材を加えて抵抗調整し用いられる。
また、中間転写ベルト61の周囲には、二次転写後の中間転写ベルト61の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置64が設けられている。
また、支持ローラ653が中間転写ベルト61と当接・離間する機構を備え、画像形成装置本体の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。また、中間転写ベルト61の表面を平滑化する平滑化手段を設けることで、トナーの高い転写性等を長期にわたって維持することができる。
【0029】
さらに、この画像形成装置1には、中間転写ベルト61に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置67が設けられている。潤滑剤塗布装置67は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤と、固形潤滑剤に接触して潤滑剤を削り取り、中間転写ベルト61に塗布するブラシローラとブラシローラで塗布された潤滑剤を均す潤滑剤塗布ブレードを備える。固形潤滑剤は、直方体状に形成されており、加圧バネによってブラシローラ側に付勢されている。固形潤滑剤はブラシローラによって削り取られ消耗し、経時的にその厚みが減少するが、加圧バネで加圧されているために常時ブラシローラに当接している。ブラシローラは、回転しながら削り取った潤滑剤を中間転写ベルト61表面に塗布する。
なお、同様の機能を有する潤滑剤塗布装置を感光体11に対して配設してもよい。
本実施形態においては、上記ブラシローラによる潤滑剤塗布位置に対して移動方向の下流側の中間転写ベルト61表面に潤滑剤均し手段としての不図示の潤滑剤塗布ブレードを当接させている。潤滑剤塗布ブレードは弾性体であるゴムから構成されているものであり、クリーニング手段としての機能も持たせ、中間転写ベルト61の移動方向に対してカウンタ方向に当接してある。上記固形潤滑剤としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸、オレイン酸、パルチミン酸等の脂肪酸基を有する金属化合物なども使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどのワックス等も使用できる。
【0030】
図2では、転写装置60の左方には、記録媒体9上のトナー像を記録媒体9に半永久的に定着させる定着装置70が備えられている。
定着装置70は、詳細には上述しているが、ここでは定着ベルト74を用いないローラ方式を説明する。内部にハロゲンヒータを有する定着ローラ71と、これに対向し、圧接して配置される加圧ローラ72とから構成されている。定着装置70は、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより定着条件を制御したり、記録媒体9の種類に応じて最適な定着条件となるよう、不図示の制御手段により制御される。上述したように、ローラ方式でも、定着ローラ71、加圧ローラ72の弾性層に用いる弾性体として、ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含んでいる。
画像形成部3に、給紙カセット80a、そして排紙ユニット86が接続される。いずれかの給紙カセット80aからピックアップローラ82により給紙された記録媒体9は分離ローラ81によって1枚に分離された後、停止状態にあるレジストローラ84に突き当てられて待機する。その後、感光体11のトナー像に一致するタイミングで送り出される。
【0031】
また、本発明の画像形成装置1では、ベルト50の表面を平滑にする平滑化手段681を設けている。
この平滑化手段681としては、ベルト50の表面に接触させる回転状部材又は当接部材を用いる。さらに、回転状部材としては、平滑化ローラ681がある。
ベルト50表面に圧接した状態で回転することによってベルト50上の細かな凹凸をより平滑化するものである。
平滑化ローラ681を設ける位置としては、特に制限はないが、トナー像や転写残トナーがない位置がより好ましい。
以下は、中間転写ベルト61の表面に接して平滑化ローラ681を設けた例である。
図6は、本発明の画像形成装置に用いるベルトの平滑化手段の構成を示す概略図である。
この際、中間転写ベルト61と平滑化ローラ681との間に速度差を持たせることによって剪断力を作用させて平滑化を補助することも可能である。
しかしながら、速度差を持たせると中間転写ベルト61表面と平滑化ローラ681表面の間に滑りを発生させることになり、中間転写ベルト61表面を傷つける原因となることもある。
そこで本実施形態では、平滑化ローラ681の回転が中間転写ベルト61と略等速になるようにして、平滑化ローラ681との摺動による中間転写ベルト61表面の傷の発生を防止している。
また、平滑化ローラ681表面に異物やトナーが付着する場合もあるので、それらを除去するためにクリーニング部材としてブレードを当接させてもよい。
平滑化ローラ681の表面は、付着した液体現像剤を除去しやすくするためにフッ素系の材料を表面に含んでいると良い。例えばポリテトラフルオロエチレン、FEP、PFA、PTFE、PVDFなどのフッ素高分子や、これらの粒子を含んだ溶剤(例えば旭化成のルミフロン等)などをコート剤などで表面を処理することでクリーニング性を向上できる。
平滑化ローラのクリーニングブレードとしては、ウレタン樹脂のゴムブレードを適当な圧力で当接させて除去している。
平滑化ローラ681の母材としてはゴム材や樹脂材などでも構わないが、中間転写ベルト61自体が弾性を有しているので特に弾性層を設けなくてもローラ間にニップを形成できることから、耐久性を考慮して金属ローラであると良い。
金属ローラは一般に導電性であり、そのまま中間転写ベルト61に当接した場合、転写電界を損なうおそれがあるので表面に高抵抗層を備えると良い。例えば、アルミ合金でローラを作成し、表面を陽極酸化処理すると表面に薄い高抵抗層(アルマイト)を形成でき、表面の硬度も高くできるので、平滑化ローラ681表面への傷の発生を防ぐことができる。
本実施形態では、アルミ合金(A5056)の表面に30μm程度のアルマイト層を形成したローラを平滑化ローラ681として用いている。
中間転写ベルト61の耐久性を考えると、平滑化ローラ681は中間転写ベルト61に対して略等速となるように回転することが望ましい。中間転写ベルト61に対して平滑化ローラ681が連れ回りすれば、略等速で回転することが可能である。平滑化ローラ681は中間転写ベルト61と略等速に回転するように強制駆動されてもよい。この際、平滑化ローラ681を中間転写ベルト61とは全く別の駆動装置(モータ)で駆動することも可能である。
また、平滑化ローラ681には、中間転写ベルト61を介して斥力ローラ682を設けることで、中間転写ベルト61表面を効率的に平滑化することができる。
【0032】
また、本発明の画像形成装置1では、ベルト50を対向する装置・部材等に接触・離間させる接離手段700を設けている。
図7は、本発明の画像形成装置に用いる接離手段の構成を示す概略図である。
定着装置70の接離手段700として、加圧ローラの回転軸724に当接する位置に回転可能に設けた偏心カム700を用いている。
偏心カム700を回転させて向きを変えることによって加圧ローラの回転軸724の位置を移動させ、加圧ローラ72と定着ローラ71とを接離可能にしたものである。
この図7(a)の位置から偏心カム700を反時計方向に少し回転させて停止させると、図7(b)に示すように加圧ローラの回転軸724が定着ローラの回転軸方向に近づき、加圧ローラ表面が定着ローラ表面に圧接されて定着ローラ表面への食い込み、定着ニップ幅が形成される。
逆に、この図7(b)の位置から偏心カム700を時計方向に少し回転させて停止させると、図7(a)に示すように加圧ローラの回転軸724が定着ローラの回転軸の方向から遠ざかり、加圧ローラ表面が定着ローラ表面から離間する。
この機構により、作像時のみ加圧ローラ72を定着ローラ表面に当接させて非現像時には図7(a)に示すように離間させておくことができ、非現像時に各部材に掛かるストレスを低減して耐久性を向上させることができる。
上記、定着における加圧ローラ72と定着ローラ71とを接離させるための構成を、中間転写ベルト61対感光体11、中間転写ベルト61対二次転写ローラ63の間にも採用できる。
【0033】
上記の構成においてフルカラー画像を形成する動作について説明する。
ここで例示した画像形成装置1は、原稿等を自動で搬送する自動原稿搬送装置(ADF)5、原稿等の画像を読み取るスキャナ部(読取装置)4、画像を形成するための作像ユニットとなるプロセスカートリッジ10等を備える画像形成部3、給紙カセット81等で記録媒体を有する給紙部2を備えている。このスキャナ部4は、原稿を載置するためのコンタクトガラス、原稿を予め定めた位置に置くための規制板と光学走査系を有する。光学走査系は、キセノンランプ等の露光ランプ、第1ミラー、第2ミラーと第3ミラー、結像レンズ、フルカラーCCDからなる読取センサ等を有する。コンタクトガラス上の原稿が光学的に走査され、レンズにより読取センサの受光面に結像されて光電変換される。フルカラーの読取センサにより赤(R)、緑(G)及び青(B)の各色に分離された画像信号は、画像処理回路によりA/D変換等された後に、図示しない画像処理部により各種の画像処理が施される。
【0034】
画像形成動作は、まず、負荷電極性の感光体11に対し、露光装置12のレーザビームにより各感光体11の表面に形成された色毎の静電潜像が形成される。つぎに、現像装置40で、感光体11の帯電極性と同極性(負極性)の所定の色のトナーで現像され、顕像となる反転現像がおこなわれる。このときに、無端状の中間転写ベルト61が、複数のローラ651〜653により支持されて、感光体11Y、11C、11M、11Kの上部に設けられて、各感光体11Y、11C、11M、11Kの現像工程後の一部が接触するように張架、配置されて、走行している。また、中間転写ベルト61には、各感光体11Y、11C、11M、11Kに形成されたトナー画像を1次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kで、中間転写ベルト61上に転写され、トナー画像が重ねられて、未定着の画像が形成される。
中間転写ベルト61の外周部には、ベルトクリーニング装置64が設けられている。このベルトクリーニング装置64は、中間転写ベルト61の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。
さらに、中間転写ベルト61の外周で、支持ローラ653の対向する位置には、2次転写ローラ63が設けてある。中間転写ベルト61と2次転写ローラ63の間に記録媒体9を通過させながら、2次転写ローラ63、支持ローラ653にバイアスを印加することで中間転写ベルト61が担持するトナー画像が記録媒体9に転写される。このときに、中間転写ベルト61がポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含んでいることで、凹凸の顕著な記録媒体9にも追従し、トナーを中間転写ベルト61から記録媒体9に良好に転写することができ、記録媒体9や、中間転写ベルト61に接触する部材により傷つけられても、傷があまり残らないため、劣化が少なく、且つ機械的耐久性が非常に良好であり、長期的に安定した画像形成を行うことができる。また、ポリロタキサン、架橋ポリロタキサンが持つ修飾基が疎水性で、すなわち、親油性であることにより、中間転写ベルト61が記録媒体9や機内の湿度などの環境に左右されにくく良好に転写することができる。これによって、転写での画像の乱れが少なく、かつ、転写ニップ部の広い範囲で転写率を高くすることができ、高品位の画像を記録媒体9に転写することができる。
2次転写ローラ63に印加される転写電圧の極性は、トナーの極性と逆のプラス極性である。これらの中間転写ベルト61に関連する部材は、中間転写ベルト61とともに転写装置60として一体的に構成してあり、画像形成装置1に対し着脱が可能となっている。
画像形成装置1の下側には記録媒体9を供給可能に収納した給紙カセット81を備える給紙装置80が配備されている。この給紙カセット81から、確実に記録媒体9の一枚だけが搬送ローラ82によりレジストローラ84に送られる。更に、二次転写ローラ63を通過した記録媒体9は、搬送方向下流に備えられた定着装置70まで搬送される。定着後の記録媒体9は、排紙ローラ85により、画像形成装置1の外に設けた排紙トレイに排紙、スタックさせる。
本発明の画像形成装置1によって、転写での画像の乱れが少なく、かつ、転写率が高くすることができ、高濃度で、高品位な画像を得ることができる。
【0035】
また、中間転写ベルト61等の画像形成装置用ベルト50の弾性層52に親油性のポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを用いる。
親油性ポリロタキサンは、直鎖状分子と、環状分子であるシクロデキストリンと、直鎖状分子の両末端に配置された封鎖基を有し、直鎖状分子は環状分子の開口部を貫通して環状分子を包接している。そして、シクロデキストリンは、疎水性修飾基を有している。このため、本発明に用いるポリロタキサンは有機溶剤に可溶である。
かかる親油性の発現は、従来は水系溶剤や有機系溶剤に難溶性ないしは不溶性であったポリロタキサンに対し、有機溶剤という反応場、典型的には架橋場を提供するものである。即ち、本発明に用いるポリロタキサンは、有機溶剤の存在下で他のポリマーとの架橋や修飾基による修飾が容易に行える反応性を向上したものである。
上記修飾基は、疎水基又は疎水基と親水基を有し、全体として疎水性であればよい。かかる疎水基としては、例えば、アルキル基、ベンジル基(ベンゼン環)及びベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基、トシル基などがある。かかる親水基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、アミノ基(一級〜三級)、四級アンモニウム塩基、ヒドロキシアルキル基などがある。
環状分子としては、上述の如き直鎖状分子に包接されて滑車効果を奏するものである限り特に限定されるものではなく、種々の環状物質を挙げることができる。
環状分子としては、水酸基を有するものが多い。環状分子は実質的に環状であれば十分であり、「C」字状のように完全な閉環ではないものも含まれる。
反応基を有するものが好ましく、これにより、他のポリマーとの架橋及び修飾基との結合が行い易くなる。反応基としては、適宜変更することができるが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基及びアルデヒド基などを例示できる。反応基としては、後述する封鎖基を形成する(ブロック化反応)際に、この封鎖基と反応しない基が好ましい。
【0036】
シクロデキストリンの水酸基に疎水性の修飾基を導入すれば、親油性ポリロタキサンの溶剤可溶性を更に向上させることができる。
このとき、上記疎水性修飾基による修飾度は、シクロデキストリンの水酸基が修飾され得る最大数を1とすると、0.02以上であることが好ましく、0.04以上であることがより好ましく、0.06以上であることが更に好ましい。0.02未満であると、有機溶剤への溶解性が十分なものとならない。
シクロデキストリンの水酸基が修飾され得る最大数とは、修飾する前にシクロデキストリンが有していた全水酸基数のことである。修飾度とは、修飾された水酸基数の全水酸基数に対する比のことである。
なお、疎水基は少なくとも1つでよいが、シクロデキストリン環1つに対して1つの疎水基を有するのが望ましい。
また、官能基を有している疎水基を導入することにより、他のポリマーとの反応性を向上させることが可能になる。
環状分子への疎水性修飾基の導入方法について説明する。ポリロタキサンの環状分子としてシクロデキストリンを用い、シクロデキストリンの水酸基にプロピレンオキシドを用いてヒドロキシプロピル化し、その後、ε−カプロラクトンを添加し、2−エチルへキサン酸スズを添加する。
さらに、環状分子への疎水性修飾基の修飾率制御方法として、このときのε−カプロラクトンの添加量を変更することで修飾率を任意に制御できる。
【0037】
環状分子の包接量について説明する。
直鎖状分子に包接される環状分子の個数(包接量)は、その最大包接量を1とすると、0.06〜0.61が好ましく、0.11〜0.48が更に好ましく、0.24〜0.41がいっそう好ましい。0.06未満では滑車効果が低下することで弾性層の伸び率が低下し、弾性が不十分となることがある。0.61を超えると、環状分子が密に配置され過ぎて環状分子の可動性が低下することがあり、弾性層の伸び率が低下し、弾性が不十分となることがある。
環状分子の包接量は、例えば、以下のようにして制御することができる。
DMF(ジメチルホルムアミド)に、BOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート)、HOBt、アダマンタンアミン、ジイソプロピルエチルアミンを、この順番で添加し溶液とする。
一方、DMF/DMSO(ジメチルスルホキシド)混合溶媒に、直鎖状分子に環状分子が串刺された包接錯体を分散させた溶液を得る。
これら両者を混合し、このときのDMF/DMSOの混合比率を変更することで、環状分子の包接量を任意に制御できる。
なお、DMF/DMSO比が高いほど環状分子の包接量は大きくなる。
【0038】
環状分子の具体例としては、種々のシクロデキストリン類、例えばα−シクロデキストリン(グルコース数:6個)、β−シクロデキストリン(グルコース数:7個)、γ−シクロデキストリン(グルコース数:8個)、ジメチルシクロデキストリン、グルコシルシクロデキストリン及びこれらの誘導体又は変性体、並びにクラウンエーテル類、ベンゾクラウン類、ジベンゾクラウン類、ジシクロヘキサノクラウン類及びこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
環状分子の組み合わせ。環状分子(シクロデキストリン等の)は、その1種を単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
環状分子として良好なものとしては、上記した種々の環状分子の中では、特にα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンが挙げられ、とりわけ、被包接性の観点からはα−シクロデキストリンが好ましい。
【0039】
直鎖状分子は、実質的に直鎖であればよく、回転子である環状分子が回動可能で滑車効果を発揮できるように包接できる限り、分岐鎖を有していてもよい。直鎖状分子の長さは、環状分子の大きさにも影響を受けるが、環状分子が滑車効果を発揮できる限り特に限定されない。
直鎖状分子としては、その両末端に反応基を有するものが好ましく、これにより、上記封鎖基と容易に反応させることができるようになる。反応基としては、採用する封鎖基の種類などに応じて適宜変更することができるが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びチオール基などを例示することができる。
直鎖状分子の具体例としては、特に限定されるものではなく、ポリアルキル類、ポリカプロラクトンなどのポリエステル類、ポリエーテル類、ポリアミド類、ポリアクリル類及びベンゼン環を有する直鎖状分子を挙げることができる。
具体的には、ポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
直鎖状分子として良好なものとしては、これら直鎖状分子のうち、特にポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンがある。
直鎖状分子の重量平均分子量は、1,000〜100,000とすることが望ましく、10,000〜60,000が好ましく、30,000〜50,000が更に好ましい。
重量平均分子量が1,000未満では、滑車効果が低下することで弾性層52の伸び率が低下し、弾性が不十分となることがある。
重量平均分子量が100,000を超えると、製膜性が低下し、製膜後に平滑性などの外観が低下することがある。
【0040】
封鎖基は、上記のような直鎖状分子の両末端に配置されて、環状分子が直鎖状分子によって串刺し状に貫通された状態を保持できる基でさえあれば、どのような基であっても差し支えない。このような基としては、「嵩高さ」を有する基又は「イオン性」を有する基などを挙げることができる。
なお、ここで「基」とは、分子基及び高分子基を含む種々の基を意味する。
「嵩高さ」を有する基としては、球形をなすものや、側壁状の基を例示することができる。
また、「イオン性」を有する基のイオン性と、環状分子の有するイオン性とが相互に影響を及ぼし合い、例えば反発し合うことにより、環状分子が直鎖状分子に串刺しにされた状態を保持することができる。
封鎖基の具体例としては、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基などのジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類及びピレン類、並びにこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
【0041】
親油性ポリロタキサンの製造方法について説明する。
親油性ポリロタキサンは、代表的には以下のように製造できる。
(1)環状分子と直鎖状分子とを混合し、環状分子の開口部を直鎖状分子で串刺し状に貫通して直鎖状分子に環状分子を包接させる工程と、
(2)得られた擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)を封鎖基で封鎖して、環状分子が串刺し状態から脱離しないように調製する工程と、
(3)得られたポリロタキサンの環状分子が有する水酸基を疎水性修飾基で修飾する工程、で処理することにより得られる。
なお、上記(1)工程において、環状分子として、予め環状分子が有する水酸基を疎水性修飾基で修飾したものを用いることによっても、疎水性修飾ポリロタキサンを得ることができ、その場合には、上記(3)工程を省略することができる。
以上のような製造方法によって、上述の如く有機溶剤に対する溶解性に優れたポリロタキサンが得られる。
有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、イソプロピルアルコールやブチルアルコールなどのアルコール類、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルやジオキサンなどのエーテル類、トルエンやキシレンなどの炭化水素溶剤などを挙げることができ、該親油性ポリロタキサンは、これらの2種以上を混合した溶媒についても良好な溶解性を示す。
なお、本発明においては、有機系溶剤に可溶である限りにおいて親油性ポリロタキサンが架橋しているものであってもよく、かかる親油性架橋ポリロタキサンを、非架橋の親油性ポリロタキサンの代わりに又はこれに混合して用いることができる。
親油性架橋ポリロタキサンとしては、比較的低分子量のポリマー、代表的には分子量が数千程度のポリマーと架橋した親油性ポリロタキサンを挙げることができる。
【0042】
なお、本発明では、疎水性修飾基の全部又は一部が官能基を有することが望ましい。他のポリマーとの反応性を向上させるという観点から、官能基は、環状分子、例えばシクロデキストリンの外側にあることが立体構造的に好ましく、ポリマーと結合又は架橋する際、この官能基を用いて容易に反応を行うことができる。
官能基を選択するときに、架橋剤を用いない場合の官能基は、架橋剤を用いない場合には、例えば用いる溶媒の種類に応じて適宜変更することができる。
官能基を選択するときに、架橋剤を用いる場合には、その用いる架橋剤の種類に応じて適宜変更することができる。官能基の具体例として、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、チオール基及びアルデヒド基などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
官能基の組み合わせとしては、疎水性修飾ポリロタキサンにおいては、上述の官能基を、その1種を単独で又は2種以上を組み合わせて有していてもよい。
官能基の組み合わせの具体例として、例えば、かかる官能基としては、特にシクロデキストリンの水酸基と結合した化合物の残基であり、当該残基が、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基を有するものが良好であり、反応の多様性の観点からは水酸基が好ましい。
官能基を形成する化合物としては、例えばプロピレンオキシドなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
例えば、当該疎水性修飾ポリロタキサンの有機溶剤への溶解性向上効果をあまり低下させなければ、官能基を形成する化合物がポリマーであってもよく、溶解性の観点からは、例えば、分子量が数千程度であることが望ましい。
なお、上述の官能基としては、後述する封鎖基が脱離しない反応条件において反応する基であることが好ましい。
【0043】
また、この架橋ポリロタキサンの前駆体である親油性ポリロタキサンは、上述の如く有機溶剤への溶解性が改善されており、有機溶剤中での架橋などが容易である。
よって、架橋ポリロタキサンは、有機溶剤が存在する条件下で容易に得ることができ、特に、親油性ポリロタキサンと有機溶剤可溶性の膜形成成分とを架橋させることにより、容易に製造することができる。
また別の観点からは、架橋ポリロタキサンは、親油性ポリロタキサンの架橋対象である樹脂成分の物性を損なうことなく、樹脂成分とポリロタキサンとを複合体化したものである。
なお、架橋ポリロタキサンは、架橋対象が疎水性であり、その分子量が余り大きくない場合、例えば分子量が数千程度までなら有機溶剤に溶解する。
【0044】
ここで、架橋ポリロタキサンの形成方法について説明する。
架橋ポリロタキサンは、代表的には、
(a)親油性ポリロタキサンを他の弾性層形成成分と混合し、
(b)当該弾性層形成成分の少なくとも一部を物理的及び/又は化学的に架橋させ、
(c)当該弾性層形成成分の少なくとも一部と親油性ポリロタキサンとを環状分子を介して結合させる(硬化反応)、ことにより形成できる。
なお、親油性ポリロタキサンは、有機溶剤に可溶であるため、(a)工程〜(c)工程を有機溶剤中で円滑に行うことができる。
また、これらの工程は硬化剤を用いることでより円滑に行うことができる。
また、(b)、(c)工程においては、化学架橋することが好ましく、例えば、これは上述の如き親油性ポリロタキサンの環状分子が有する水酸基と、弾性層形成成分の一例であるポリイソシアネート化合物とが、ウレタン結合を繰り返し形成することによって、架橋ポリロタキサンが得られる。
また、(b)工程と(c)工程はほぼ同時に実施してもよい。
(a)工程の混合工程は、用いる弾性層形成成分に依存するが、溶媒無しで又は溶媒中で行うことができる。
また、溶媒は弾性層形成時に加熱処理などで除去できる。
【0045】
また、上記親油性ポリロタキサンは、弾性層形成成分(樹脂固形分など)に対して質量換算で30〜80%含まれることが好ましい。
より好ましくは40〜80%であり、特に好ましくは50〜70%であることがよい。
30%より少ないと、滑車効果が低下することで弾性層の伸び率が低下、記録媒体9の凹凸への追従が不十分となることがある。
80%を超えると、弾性層52が軟質化するため、記録媒体9の凹凸や、記録媒体9の端部、その他異物などにより生じる圧痕の戻りが遅くなることがある。
【実施例】
【0046】
以下本発明を実施例により説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
以下のように電子写真画像形成装置用ベルトとして、中間転写ベルトを作製した。
<基材層>
ポリオール成分として、ポリテトラメチレングリコール(保工ケ谷化学製、PTMG1000SN、商品名)98部に導電性付与剤としてのケッチンブラック2部を混練し、前記ポリオール50部に、低分子量の芳香族アミンとして、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(イハラケミカル工業製、MOCA、商品名)を50部を混合し、120℃で溶解脱水し、触媒として東ソー製、TEDA33LV(商品名)を0.1部添加した。
また、3官能基を有する脂肪族イソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート変成体(住友バイエルウレタン製、スミジュールN3500、商品名)と、2官能基を有する脂肪族イソシアネートとして、イソホロンジイソシアネート(住友バイエルウレタン製、デスモジュールI、商品名)とを35:65の割合で混合し、このブレンドしたイソシアネートを、前記芳香族アミンを添加したポリオールに対し、ポリオール中の活性水素のモル数[H*]がイソシアネート中のイソシアネート基のモル数[NCO]に対し、0.95になるように添加して基材層用ポリウレタン原液とした。
【0047】
<弾性層>
一方、導電性カーボンを分散させ、硬化後の硬度が50Aとなるポリウレタン原液とポリロタキサン溶液Aとを40:60の割合で混合したものを弾性層用原液とし、120℃に保温した金型に弾性層用原液を所定量注入し、金型を30分回転し、金型内面上に弾性層用原液を半硬化し、この上に基材層用原液を所定量注入し、30分150℃に加熱しながら回転し、弾性層と基材層とを一体的に硬化させ、脱型後110℃で12時間アフターキュアして2層構造の中間転写ベルトを得た。ここで硬度50Aは、JISに従うA硬度をいう。
【0048】
なお、上記ポリロタキサン溶液Aは以下の方法で調製した。(特許文献5参照)
修飾したポリロタキサンの合成水酸基をヒドロキシプロピル基で修飾したヒドロキシプロピル化ポリロタキサン500mgに、モレキュラーシーブで乾燥させたε−カプロラクトン10mLを加え、室温で30分撹拌して浸透させた。
その後、2−エチルヘキサン酸スズ0.2mLを加え、100℃で1〜8時間反応させた。
反応終了後、試料を50mLのトルエンに溶解させ、撹拌した450mLのヘキサン中に滴下して析出させ回収した。
得られたポリロタキサンをトルエンで10%になるように溶解した。
【0049】
(比較例1)
ポリロタキサン溶液Aを混合しないこと以外は全て実施例1と同様にして中間転写ベルトを作製した。
【0050】
(実機通紙試験)
作製した中間転写ベルトを、リコー製imagio Neo C600を用いて、実機作像試験(A4、NBSリコー製My Paper)を実施し、耐擦傷性、画像(日本画像学会発行のテストチャート、サンプル番号「NO.5−1」)特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

本発明の好適形態である実施例1のポリロタキサンを含む中間転写ベルト表面は、耐擦傷性の向上が認められ、画像は記録媒体の凹凸に沿った転写がなされ、抜けのない良好な画像であった。
【0052】
(実施例2)
以下のように電子写真画像形成装置用ベルトとして、定着ベルトを作製した。
予め成形された直径60mm、面長315mm及び厚み90μmのポリイミド円筒体よりなる基材の外表面にプライマーを塗布し、このプライマーを塗布した基材に、2液反応型のシリコーンゴム液(東レ社製 DX35−2120)とポリロタキサン溶液Aとを40:60の割合で混合したものを弾性層用原液とし、塗布して弾性層を形成した後、この弾性層を150℃の温度に加熱して硬化させることにより200μm厚の弾性層を形成した。
【0053】
(比較例2)
ポリロタキサン溶液Aを混合しないこと以外は全て実施例2と同様にして定着ベルトを作製した。
【0054】
(実機通紙試験)
作製した定着ベルトを、リコー製imagio Neo C600を用いて、実機作像試験(A4、NBSリコー製My Paper)を実施し、耐擦傷性、画像(日本画像学会発行のテストチャート、サンプル番号「NO.5−1」)特性評価を行った。結果を表2に示す。
【0055】
【表2】

本発明の好適形態である実施例2のポリロタキサンを含む定着ベルト表面は、耐擦傷性の向上が認められ、記録媒体の凹部でも良好な定着性を示し、良好な画像であった。
【0056】
定着性を評価するための、スミア定着試験測定法について説明する。
図8は、スミア試験器(摩擦試験機I型、JIS L 0823)の概略構成図である。
まず、サンプル103の測定部のベタ画像濃度(Dinit)を濃度計で5ヶ所測定する。
次に、スミア試験器の摩擦子105(直径d1=15mm)のエッジを丸めるために厚さ1.6mmの両面テープ102を貼り付ける。
そして、両面テープ102を貼り付けた摩擦子105に測定布101(白綿布(JISL 0803 綿3号)、サイズ:25×25mm前後)を繊維方向が、摩擦子105の稼動方向と平行になるように貼り付ける。
その後、測定布101をクリップ104で摩擦子105に固定する。
次に、サンプル103を試験台の乗せ、濃度を測定した箇所を含む摺動距離L1(=50mm)を5往復、連続動作にて擦る。
動作が終了したら、測定布101を摩擦子105からはがし、擦った面を上にして白紙(ダルアート紙)上に貼り付ける。
そして、測定布101のサンプル103と接触せずにトナーが付着していない地肌部の1ヶ所の濃度(Dbg)を濃度計で測定する。
更に、サンプル103と接触していたため、トナーが付着している摩擦子跡部の4ヶ所の濃度(以下、スミア濃度と言う)(Dsmear)を濃度計で測定する。
なお、スミア濃度に特異点がある場合は、その点を測定値から外す。
そして、スミア定着性測定値(Smear)を、スミア濃度の平均値(Dsmear)から測定布101の地肌濃度(Dbg)を差し引いた値を、擦る前のサンプル103のベタ画像濃度の平均値で割った値とする。
すなわち以下の計算式で求めることができる。
Smear=(Dsmear−Dbg)/Dinit
この時、スミア定着性測定値(Smear)が小さければ小さいほど定着性に優れており、スミア定着性測定値(Smear)<0.1となることが望ましい。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置
2 給紙部
3 画像形成部
4 スキャナ部
5 原稿自動搬送装置(ADF)
9 記録媒体
10 作像ユニット(プロセスカートリッジ)
11 感光体
12 露光装置
20 帯電装置
21 帯電ローラ
30 現像装置
40 クリーニング装置
50 画像形成装置用ベルト
51 基材層
52 弾性層
53 離型層
60 転写装置
61 中間転写ベルト
611 基材層
612 弾性層
613 離型層
62 一次転写ローラ
63 二次転写ローラ
64 中間転写ベルトクリーニング装置
651 従動ローラ
652 駆動ローラ
653 支持/テンションローラ
66 搬送ベルト
67 潤滑剤塗布装置
681 平滑化手段/平滑化ローラ
682 斥力ローラ
70 定着装置
700 接離手段/偏心カム
71 定着ローラ
711 芯金
712 弾性層
713 表層
72 加圧ローラ
721 芯金
722 弾性層
723 表層
724 回転軸
73 加熱ローラ
74 定着ベルト
80 給紙装置
80a 給紙カセット
81 分離ローラ
82 ピックアップローラ
83 搬送ローラ
84 レジストローラ
85 排紙ローラ
86 排紙ユニット
87 搬送経路
88 記録媒体収納装置
89 記録媒体反転搬送装置
100 スミア試験器
101 測定布
102 両面テープ
103 サンプル
104 クリップ
105 摩擦子
T トナー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特許第4209055号公報
【特許文献2】特許第4250043号公報
【特許文献3】特許第3475252号公報
【特許文献4】特許第4379734号公報
【特許文献5】特開2007−099991
【特許文献6】WO2008/155953

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式で画像形成する画像形成装置に用いる画像形成装置用ベルトにおいて、
前記画像形成装置用ベルトは、
ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含む
ことを特徴とする画像形成装置用ベルト。
【請求項2】
前記ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンが親油性である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項3】
前記画像形成装置用ベルトは、
前記ポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含む層と、
伸縮しない基材層との少なくとも2層から成る
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項4】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体上のトナー像を記録媒体に直接又は中間転写体を介して転写して、記録媒体を搬送ベルトで搬送する転写装置と、
前記記録媒体に転写されたトナー像を定着する定着装置とを有する画像形成装置において、
前記転写装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置用ベルトを、
トナー像を記録媒体に転写する中間転写体及び/又は記録媒体を搬送する搬送ベルトとして用いる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体上のトナー像を記録媒体に直接又は中間転写体を介して転写して、記録媒体を搬送ベルトで搬送する転写装置と、
前記記録媒体に転写されたトナー像を定着する定着装置とを有する画像形成装置において、
前記定着装置は、複数のローラに支持された無端状の定着ベルトと、該定着ベルト表面を加圧する加圧ローラとを備え、かつ、
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置用ベルトを定着ベルトとして用いる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
画像形成動作に応じて、前記画像形成装置用ベルトを対向する装置に対して接離動作させる接離手段を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
前記画像形成装置用ベルトの表面を平滑化する平滑化手段を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−29632(P2013−29632A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165016(P2011−165016)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】