説明

画像形成装置

【課題】 カバーの開閉動作等により発生する振動で起こり得るHDDの誤動作、故障を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像読取部と、画像読取部を覆う開閉可能なプラテンカバーと、プラテンカバーの開閉動作を検出するカバーセンサ(1)10と、プリンタと、プリンタに開閉可能に設けられたプリンタカバーと、プリンタカバーが開いていることを検出するカバーセンサ(2)19と、開閉可能なジャム解除カバーと、ジャム解除カバーが開いていることを検出するジャム解除カバーセンサ20と、データを記憶するHDD23とを備える。MPU1は、カバーセンサ(1)でプラテンカバーの開閉動作が検出されたとき、カバーセンサ(2) でプリンタカバーの開状態が検出されたとき、又はジャム解除カバーセンサ20でジャム解除カバーの開状態が検出されたとき、HDD23の読み書きを停止する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファクシミリ、コピー機、プリンタ、スキャナ、或いはこれらの機能を備えた複合機等として使用される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ、コピー機、プリンタ、スキャナ、或いはこれらの機能を備えた複合機では、多量の画像データを格納できるようにハードディスクドライブ(HDD)を備えたものがある。HDDは、データの読み出し、書き込み中に振動が与えられると、機械的に故障するだけでなく、誤ったデータの読み出し、書き込みにもつながる。そこで、HDD収納部のカバーが開放されたときには、HDDの読み書きを停止するようにした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−281205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、振動が発生するのは、HDD収納部のカバーが開放されたときだけでなく、プラテンカバーの開閉時、特に原稿自動搬送装置(ADF)が組み込まれている場合には、その重量が大となっているため、大きな振動が発生する。また、プリンタカバーやペーパージャム解除カバーが開かれた時にも、トナーボトルやドラムの交換のためやジャム解除のために振動が発生する。これらの振動もHDDに影響を与える恐れがある。しかしながら、上記特許文献1記載の画像形成装置を始めとして、これまでの画像形成装置にはそのような振動の対策が施されていないのが実状である。
【0004】
この発明は、そのような問題点に着目してなされたもので、カバーの開閉動作等により発生する振動で起こり得るHDDの誤動作、故障を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の画像形成装置は、画像読取部と、画像読取部を覆う開閉可能なプラテンカバーと、データを記憶するHDDとを備えたものにおいて、プラテンカバーの開閉動作を検出するセンサと、このセンサでプラテンカバーの開閉動作が検出されたとき、HDDの読み書きを停止する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の画像形成装置は、画像形成部と、画像形成部に開閉可能に設けられたカバーと、データを記憶するHDDとを備えたものにおいて、画像形成部のカバーが開いていることを検出するセンサと、このセンサでカバーが開いていることが検出されたとき、HDDの読み書きを停止する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の画像形成装置においては、更に、ジャム解除カバーと、ジャム解除カバーが開いていることを検出するセンサとを備え、制御手段は、センサでジャム解除カバーが開いていることが検出されたときにも、HDDの読み書きを停止することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、プラテンカバーの開閉動作によって生じる振動により起こり得るHDDの誤動作、故障を防止することができる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、画像形成部のカバーが開いているときには、トナーボトルの着脱や、ドラムユニット、現像ユニットの交換、詰まった用紙の除去等の操作が行われるが、HDDの読み書きが停止されていることにより、それらの操作による振動で起こり得るHDDの誤動作、故障を防止することができる。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、画像形成部のカバーとは別にジャム解除カバーが設けられている場合には、詰まった用紙の除去のために振動が発生するが、このような振動に対しても、HDDの誤動作や故障を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態により、この発明を更に詳細に説明する。
【0012】
その実施形態に係る画像形成装置の全体の概略構成ブロック図を図1に示す。この画像形成装置は、ファクシミリ機能とコピー機能とを備えたいわゆる複合機として構成したものである。
【0013】
図1において、制御手段としてのMPU(中央処理装置)1は、この複合機全体を制御する。
【0014】
このMPU1には、NCU(Network Control Unit)2、MODEM3、CODEC(符号化・復号器:Coder and Decoder )4、読取画像処理回路5、スキャナ機構制御回路7、操作部11、表示部12、ROM13、RAM14、画像メモリ15、プリント用画像処理回路16、プリンタ機構制御回路18、HDDI/F(E-IDE)22がバス25を介して接続されている。
【0015】
NCU2は、MPU1により制御されて、回線24と当該複合機との接続を制御すると共に、通信相手の電話番号に応じたダイヤルパルスを送出する機能及び着信を検出する機能を有する。なお、回線24は一般公衆電話回線網(PSTN)に接続されている。MODEM3は、送受信データの変復調、具体的には本来はデジタル信号である送信データをアナログの音声信号に変調してNCU2を介して回線24に送出し、また逆に回線24からNCU2を介して受信したアナログの音声信号をデジタル信号に復調する。CODEC4は、画像メモリ15に記憶された送信すべき画像データを符号化し、また受信した画像データを復号して画像メモリ15に記憶する。
【0016】
読取画像処理回路5は、画像読取部においてCCD6でスキャンした画像を処理する。スキャナ機構制御回路7は、画像読取部において走査用の光源8の点灯・消灯、CCD6を有するスキャナを走査するためのモータ9の動作等を制御する。このスキャナ機構制御回路7には、当該複合機に設けられた画像読取部を覆う開閉可能なプラテンカバー(図示せず) の開閉動作を検出するカバーセンサ(1)10からの信号(プラテンカバーの開閉動作検出信号)が取り込まれる。MPU1は、カバーセンサ(1)10でプラテンカバーの開閉動作が検出されたとき、HDD23の読み書きを停止する制御を行う。なお、画像読取部は、フラットベッドスキャナに載せた原稿を読み取る機構や、原稿自動搬送装置(ADF)を利用して原稿を連続的に読み取る機構を含む。
【0017】
操作部11は、電話番号、FAX番号を入力するためのテンキー、相手先の電話番号をワンタッチで呼び出すワンタッチキー、FAXの開始等を指示するスタートキー、動作等の停止を指示するストップキー等を有する。表示部12は、操作部11の操作により入力された電話番号やFAX番号、プリンタのトナー残量等の種々の情報を表示する。この表示部12としては、CRTディスプレイやLCD(液晶表示装置)が用いられる。
【0018】
ROM13は、この複合機全体の動作を制御するためのプログラム等を予め記憶してある。RAM14は、MPU1による制御に必要なデータ及び制御動作時に一時記憶が必要なデータ等を記憶する。画像メモリ15は、CCD6が読み取って読取画像処理回路5により画像変換された画像データを圧縮状態で記憶し、また外部から回線24とMODEM3を介して受信した画像データも圧縮状態で記憶する。
【0019】
プリント用画像処理回路16は、プリンタ(画像形成部)に供給する画像データをプリンタの解像度に応じた画像データに変換すると共に、プリント時にプリンタの感光ドラム(図示せず)に画像データに応じた静電潜像を形成するようにLEDプリントヘッド17を制御する。
【0020】
プリンタ機構制御回路18は、プリンタにおける露光、現像、転写、定着、用紙搬送に係る各部を制御する。このプリンタ機構制御回路18には、プリンタに開閉可能に設けられたプリンタカバー(図示せず)が開いていることを検出するカバーセンサ(2)19からの信号(カバーの開検出信号)と、当該プリンタに開閉可能に設けられたジャム解除カバー(図示せず)が開いていることを検出するジャム解除カバーセンサ20からの信号(ジャム解除カバーの開検出信号)とが取り込まれる。MPU1は、カバーセンサ(2)19でプリンタカバーが開いていることが検出されたとき、又はジャム解除カバーセンサ20でジャム解除カバーが開いていることが検出されたとき、いずれもHDD23の読み書きを停止する制御を行う。
【0021】
また、プリンタ機構制御回路18は、プリンタの感光ドラム、現像ローラ、転写ローラ、加熱ローラ、加圧ローラ、搬送ローラ等を回転駆動するモータ21の動作等を制御する。データ記憶用のHDD23は、HDDI/F22を介してバス25に接続されている。
【0022】
次に、この複合機においてプラテンカバーの開閉時の動作について、図2のフロー図を参照して説明する。まずステップST1において、カバーセンサ(1)の出力Sをスキャナ機構制御回路7に取り込む。ステップST2においては、その出力Sが直前の出力S0と異なるのか判定する。S=S0であるとき(判定NOのとき)は、プラテンカバーを開閉していないことになるので、当該処理を終了する。
【0023】
S≠S0のとき(判定YESのとき)は、すなわちプラテンカバーが閉じている状態で原稿のコピーを行うためにプラテンカバーを開けたとき、又は原稿をフラットベッドスキャナに載せた後にプラテンカバーを閉じたときは、ステップST3において、HDDアクセス禁止フラグF=1とし、HDDの読み書きを禁止する。
【0024】
次いで、ステップST4において、タイマTをリセットしてから、ステップST5において、タイマTをスタートさせ、ステップST6において、タイマTがタイムアップしたか判定し、タイムアップするまで待機する。このタイマTがタイムアップするまでの間、つまり、プラテンカバー開閉後のしばらくの間は、HDDの読み書きを禁止する。これにより、プラテンカバーの開閉動作によって生じる振動により起こり得るHDDの誤動作、故障を防止することができる。タイマTがタイムアップすると、ステップST7において、HDDアクセス禁止フラグF=0とし、HDDの読み書きを許可し、当該処理を終了する。
【0025】
この複合機においてプリンタカバー及びジャム解除カバーの開閉時の動作について、図3のフロー図を参照して説明する。但し、ここではカバーが閉じているときのセンサの出力がオンであるものとする。ステップST11において、カバーセンサ(2)の出力がオフか判定する。出力オフのときは、プリンタカバーが開けられたことになるので、ステップST12において、HDDアクセス禁止フラグF=1とし、HDDの読み書きを禁止し、当該処理を終了する。
【0026】
カバーセンサ(2)の出力がオンのとき(プリンタカバーが閉じているとき)は、続いてステップST13において、ジャム解除カバーセンサの出力がオフか判定する。出力オフのときは、ジャム解除カバーが開けられたことになるので、ステップST12において、HDDアクセス禁止フラグF=1とし、HDDの読み書きを禁止し、当該処理を終了する。ジャム解除カバーセンサの出力がオンのときは、ジャム解除カバーが閉じているので、ステップST14において、HDDアクセス禁止フラグF=0とし、HDDの読み書きを許可し、当該処理を終了する。
【0027】
この処理では、プリンタカバーが開いているときに、トナーボトルの着脱や、ドラムユニット、現像ユニットの交換、詰まった用紙の除去等の操作を行っても、HDDの読み書きが停止されているので、それらの操作による振動で起こり得るHDDの誤動作、故障を防止することができる。また、ジャム解除カバーが開いているときに、詰まった用紙の除去のために振動が発生するが、このような振動に対しても、HDDの誤動作や故障を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の全体の概略構成ブロック図である。
【図2】同複合機においてプラテンカバーの開閉時の動作を示すフロー図である。
【図3】同複合機においてプリンタカバー及びジャム解除カバーの開閉時の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0029】
1 MPU(制御手段)
5 読取画像処理回路
7 スキャナ機構制御回路
10 プラテンカバーの開閉動作を検出するカバーセンサ(1)
18 プリンタ機構制御回路
19 プリンタカバーが開いていることを検出するカバーセンサ(2)
20 ジャム解除カバーが開いていることを検出するジャム解除カバーセンサ
23 HDD






【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取部と、画像読取部を覆う開閉可能なプラテンカバーと、データを記憶するHDDとを備えた画像形成装置において、
プラテンカバーの開閉動作を検出するセンサと、このセンサでプラテンカバーの開閉動作が検出されたとき、HDDの読み書きを停止する制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成部と、画像形成部に開閉可能に設けられたカバーと、データを記憶するHDDとを備えた画像形成装置において、
画像形成部のカバーが開いていることを検出するセンサと、このセンサでカバーが開いていることが検出されたとき、HDDの読み書きを停止する制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
ジャム解除カバーと、ジャム解除カバーが開いていることを検出するセンサとを備え、前記制御手段は、センサでジャム解除カバーが開いていることが検出されたときにも、HDDの読み書きを停止することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−135821(P2006−135821A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324567(P2004−324567)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】