画像形成装置
【課題】 画像が形成された記録材にしわが発生する兆候をより早くより確実に検知することにある。
【解決手段】 画像形成装置100は、不可視トナーを用いて規則的な山形の不可視画像を用紙に形成する。定着処理後にセンサ45によって用紙上の山形の不可視画像を読み取り、その規則性に乱れがあるか否かを判断する。乱れがあると判断された場合には、用紙におけるしわの発生に関連した情報を出力する。よって、画質に重大な影響を及ぼすようなしわが発生する前に、しわ発生に関連する情報をユーザに伝えることができる。
【解決手段】 画像形成装置100は、不可視トナーを用いて規則的な山形の不可視画像を用紙に形成する。定着処理後にセンサ45によって用紙上の山形の不可視画像を読み取り、その規則性に乱れがあるか否かを判断する。乱れがあると判断された場合には、用紙におけるしわの発生に関連した情報を出力する。よって、画質に重大な影響を及ぼすようなしわが発生する前に、しわ発生に関連する情報をユーザに伝えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が形成された記録材にしわが発生する兆候を検知するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラープリンタやカラー複写機等の電子写真方式の画像形成装置は、露光、現像、転写、定着、という幾つかの工程を経ることによって用紙(記録材)にトナー像を形成する。これら各工程のうち定着を行う定着装置は、用紙の搬送路を挟んで対向するように配置された一対のロール部材を備えており、これらのロール部材が互いに接触する領域(ニップ領域)を用紙が通過する際に、その用紙に熱と圧力を加えることによってトナーを用紙に定着させる。
【0003】
ところが、ニップ領域に突入する際の用紙の突入姿勢が悪かったり、用紙における熱や含水率の分布が不均一であったりすると、用紙にしわが発生してしまうことが知られている。このようなしわが連続して発生するようになると、用紙に形成されたトナー像が歪んでしまって画質が極度に劣化してしまうから、画像形成装置はそれ以上の使用に堪えることはできない。このような場合には、ユーザは直ちに、画像形成装置のメンテナンスを専門に行う者に連絡し、装置の修理や調整を依頼する必要がある。
【0004】
そこで、用紙に発生したしわを検知するための技術が従来から幾つか提案されている。その代表的なものとして、例えば特許文献1〜3に記載された技術がある。特許文献1に記載された技術は、しわが発生すると用紙の一部が折れ曲がって用紙の厚みが変化する現象に着目したものである。具体的には、一対の搬送ロールの軸が変位した量を監視しておき、その変位量が極端に大きくなった場合にはしわが発生したと判断する、という仕組みである。また、特許文献2に記載された技術も、特許文献1と同様にしわが発生すると用紙の厚みが変化することに着目し、定着ロールの軸の両端の変位量をセンサで検出してしわの発生を検知するというものである。そして、特許文献3に記載された技術は、しわが発生すると用紙面が凸凹形状になることに着目したものであり、搬送路面から用紙までの距離の変位量(つまり用紙の凸凹形状)をセンサで検出してしわの発生を検知する、という構成を採っている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−24713号公報
【特許文献2】特開平9−269697号公報
【特許文献3】特開平9−202519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3に記載された技術(以下、従来技術という)は、用紙の一部が折れ曲がったり用紙面が凸凹形状になったりする等の比較的明瞭なしわが発生した場合には、それを検知することができる。ただし、そのようなしわが発生したことは、そもそも画質を見れば一目瞭然であるから、ユーザは従来技術に頼らずともしわの存在を自ら認知することができるはずである。要するに、これらの従来技術は、しわが発生したことをユーザに直ちに警告することによって、例えばユーザがしわの発生を見過ごしてしまった状態で連続何十枚〜何百枚もの多数枚の画像形成処理を行ってしまうような無駄を防止する、という効果を奏するにすぎない。
【0007】
本願発明者がしわの発生するメカニズムについて考察したところ、しわは唐突に発生するのではなく、最初は人間の目では知覚できない程度の兆候が徐々に現れ、それから時間が経過するに従って段々と大きなしわが発生する、という事実が解明されている。このようなしわ発生の兆候が現れた段階でそれを検知することが出来れば、その時点ではほとんど視認できない程度でしか画質が劣化していないはずだから、ユーザは当分の間は画像形成装置を使用し続けることができる。そして、その使用期間中に時間的な余裕をもって装置の修理や調整等を依頼すればよい。即ち、しわが発生する兆候をいち早く察知して適切な対応を採ったほうがユーザにとっては利便性が高いと言える。
【0008】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像が形成される記録材にしわが発生する兆候をより早くより確実に検知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、主走査方向及び副走査方向のいずれにも平行でなく且つそれぞれ異なる方向に延びる2本の線分によって山形を表す山形画像を、副走査方向に沿って所定の間隔で像担持体に複数個形成し、該画像を記録材に転写する画像形成手段と、前記記録材の搬送路を挟んで対向する一対の部材が接触するニップ領域において、前記記録材を加熱及び加圧することによって前記山形画像を前記記録材に定着させる定着手段と、前記記録材を副走査方向に搬送しながら、前記定着手段によって記録材に定着させられた複数の前記山形画像を順次読み取る読取手段と、前記読取手段が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で複数の前記山形画像を読み取った場合には、その読み取った時間間隔に応じて、前記記録材の副走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報または前記記録材の主走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する情報出力手段とを備えた画像形成装置を提供する。
【0010】
記録材にしわが発生し始める前には、記録材が不均一に延びたり縮んだりしてくる。例えそれが微少な伸び縮みであっても、記録材に形成されている画像に影響を及ぼし、その規則性が乱れてくる。本発明に係る画像形成装置によれば、読取手段が記録材上の複数の山形を所定の時間間隔で読み取ることができなかった場合には、情報出力手段が、前記記録材におけるしわの発生に関連した情報を出力する。よって、画質に重大な影響を及ぼすようなしわが発生する前に、しわ発生に関連する情報を伝えることができる。
【0011】
また、本発明は、可視画像を像担持体に形成し、該画像を記録材に転写する可視画像形成手段と、主走査方向及び副走査方向のいずれにも平行でなく且つそれぞれ異なる方向に延びる2本の線分によって山形を表す不可視の山形画像を、副走査方向に沿って所定の間隔で像担持体に複数個形成し、該画像を記録材に転写する不可視画像形成手段と、前記記録材の搬送路を挟んで対向する一対の部材が接触するニップ領域において、前記記録材を加熱及び加圧することによって前記可視画像又は前記山形画像を前記記録材に定着させる定着手段と、前記記録材を副走査方向に搬送しながら、前記定着手段によって記録材に定着させられた複数の前記山形画像を順次読み取る読取手段と、前記読取手段が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で複数の前記山形画像を読み取った場合には、その読み取った時間間隔に応じて、前記記録材の副走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報または前記記録材の主走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する情報出力手段とを備えた画像形成装置を提供する。
【0012】
本発明に係る画像形成装置によれば、読取手段が記録材上の複数個の山形画像を所定の時間間隔で読み取ることができなかった場合には、情報出力手段が、記録材におけるしわの発生に関連した情報を出力する。よって、画質に重大な影響を及ぼすようなしわが発生する前に、しわ発生に関連する情報を伝えることができる。
【0013】
なお、本発明において、「可視」および「不可視」とは、記録材に形成された画像が、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により、人間の目で認識し得る程度であるかどうかを意味する。「可視画像」とは、その可視画像を形成する可視現像剤が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性を有するために、可視光領域において目視により認識できる画像である。一方、「不可視の画像」とは、可視光領域以外の領域(例えば赤外光領域)において、例えば赤外光領域の光を光源とした場合にフォトダイオードやCCD等の読取手段により読み取ることができる画像であると共に、その不可視画像を形成する不可視現像剤が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性を有さないために、可視光領域においては目視によりほとんど認識することができない画像を意味する。
【0014】
前述した「連続する個々の山形が前記読取手段によって一定の時間間隔で読み取られなかった場合」とは、例えば、複数の前記山形画像が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で読み取られ、且つ、該山形画像を表す2本の線分のうち一方の線分と他方の線分とがそれぞれ異なる時間間隔で読み取られた場合である。この場合には、例えば図8に示すように、山形画像が主走査方向(図中の矢印n方向)にずれていることになる。山形画像がこのような方向にずれるということは、図8に示しているように、副走査方向(図中の矢印m方向)と略平行な方向に延びる領域(図中の領域R)に、しわの発生する兆候があることを意味している。よって、情報出力手段は、記録材の副走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する。
【0015】
また、上記と別の例は、例えば複数の前記山形画像が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で読み取られ、且つ、該山形画像を表す2本の線分のうち一方の線分と他方の線分とがほぼ同じ時間間隔で読み取られた場合である。この場合には、例えば図9に示すように、山形画像が副走査方向(図中の矢印m方向)にずれていることになる。山形画像がこのような方向にずれるということは、図9に示しているように、主走査方向(図中の矢印n方向)と略平行な方向に延びる領域(図中の領域R)に、しわの発生する兆候があることを意味している。よって、情報出力手段は、記録材の主走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する。
【0016】
また、前記読取手段によって複数の前記山形画像が読み取られた時間間隔と前記所定の時間間隔との時間差を求め、その時間差と前記記録材の搬送速度に基づいて、該記録材の伸縮量を算出する算出手段を備え、前記情報出力手段は、前記算出手段によって算出された伸縮量に応じた内容の情報を出力するようにしてもよい。記録材の伸縮量は、しわが発生する兆候の度合いを示すものであるから、その度合いに応じて、例えばしわが発生する可能性が大きいとか、しわが発生するまでにはまだ時間的な余裕があるといったような情報を出力することが可能となる。
【0017】
また、前記画像形成手段または前記不可視画像形成手段は、各山形画像を副走査方向に沿って一定の距離間隔で配列することによって副走査方向に延びる画像列を形成すると共に、該画像列を主走査方向に複数並べて形成してもよい。この場合、前記読取手段は、前記記録材に形成された山形画像の前記複数の列にそれぞれ対応するように複数配置される。このように複数の例をなすようにして山形画像を形成すれば、記録材のどの箇所にしわの兆候が現れたとしても、それをより正確に検出することができる。
【0018】
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記画像形成手段または前記不可視画像形成手段は、画像形成装置において電源が投入された時に、前記山形画像を像担持体に形成し、該画像を記録材に転写するようにしてもよい。このようにすれば、電源が投入されるたびに、しわの兆候について検査することができる。
【0019】
また、本発明の別の好ましい態様においては、画像が形成された記録材の枚数をカウントするカウント手段を備え、前記画像形成手段または前記不可視画像形成手段は、前記カウント手段によってカウントされた枚数が決められた値に達する毎に、前記山形画像を像担持体に形成し、該画像を記録材に転写するようにしてもよい。このようにすれば、画像が形成される記録材の枚数が決められた値に達する毎に、しわの兆候について検査することができる。
【0020】
本発明の別の好ましい態様においては、時刻を計測する計時手段を備え、前記画像形成手段または前記不可視画像形成手段は、前記計時手段によって計測された時刻が決められた時間間隔を経過する毎に、前記山形画像を像担持体に形成し、該画像を記録材に転写するようにしてもよい。このようにすれば、一定の時間間隔でしわの兆候について検査することができる。
【0021】
本発明の別の好ましい態様においては、前記可視画像形成手段と前記不可視画像形成手段とは、それぞれが像担持体に形成した可視画像及び不可視画像を重ね合わせて同一の記録材に転写するようにしてもよい。このようにすれば、わざわざ不可視画像のみを記録材に転写する必要がない。ただし、この態様においては、読取手段が、重ね合わされて記録材に転写された可視画像及び不可視画像の中から不可視画像だけを正確に読み取る必要がある。このため、不可視画像は、可視光領域においては目視によりほとんど認識することができない画像であると共に、可視光領域以外の領域(例えば赤外光領域)においては、例えば可視光領域の光を光源とした場合にフォトダイオードやCCD(Charge Coupled Device)等の読取手段により読み取ることができないような画像にする必要がある。
【0022】
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記情報出力手段は、前記記録材にしわが発生する可能性があること乃至前記記録材にしわが発生し始めていることを表すメッセージを出力してもよい。このようにすれば、画像形成装置のユーザは、記録材にしわが発生する可能性があること乃至記録材にしわが発生し始めていることを簡単に知ることができ、直ちに適切な対応をとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
以下、実施形態の説明に用いる主要な用語について定義する。
まず、「主走査方向」とは、画像形成装置においてトナー像をライン単位で像担持体に形成する際のそのラインが延びる方向を意味しており、像担持体の回転軸方向と一致する。「副走査方向」とは、像担持体表面が移動(回転)する方向であり、用紙の搬送方向と一致する。これら主走査方向と副走査方向とは互いに直交する関係にある。
次に、しわの方向について定義する。「記録材(用紙)の副走査方向と略平行な方向に延びるしわ」とは、図1の模式図に示したような副走査方向に沿って発生するしわWmを指している。このような方向のしわWmが発生するのは、用紙Pが主走査方向に伸縮するからである。図1では、主走査方向の長さDmが主走査方向にΔdだけ縮んだり伸びたりする様子を図示している。これに対し、「記録材の主走査方向と略平行な方向に延びるしわ」とは、図1に示したような主走査方向に沿って発生するしわWnを指している。このような方向のしわWnが発生するのは、用紙Pが副走査方向に伸縮するからである。図1では、副走査方向の長さDnが副走査方向にΔdだけ縮んだり伸びたりする様子を図示している。
【0024】
(1)装置構成
図2は、実施形態に係る画像形成装置100の全体構成を示した図である。この画像形成装置100は、例えばカラープリンタやカラー複写機、或いはこれらの複数の機能を兼ね備えた複合機等である。図2に示すように、画像形成装置100の構成は、画像形成ユニット10と、画像読取ユニット20と、用紙供給ユニット30とに大別される。さらに、画像形成装置100は、ユーザが各種の操作を行うためのユーザインタフェース装置50を備えている。このユーザインタフェース装置50は、タッチパネルとして機能する液晶ディスプレイを備えており、ユーザはこの液晶ディスプレイに触れることで各種操作を行うことができる。
【0025】
用紙供給ユニット30は、用紙トレイ31a,31b,31c及び手差しトレイ32といった用紙供給源と、この用紙供給源から図中の点線Sによって示される搬送路を経由して画像形成ユニット10へ用紙を搬送するための搬送ロール34a〜34cやレジストロール34dとを備えている。より具体的には、用紙トレイ31a,31b,31cにそれぞれ収容された用紙P1,P2,P3は、各用紙トレイ31a,31b,31cに設けられた給紙ロール311a,311b,311cによって1枚ずつ搬送路Sに送り出され、さらに、搬送ロール34a〜34cやレジストロール34dによって画像形成ユニット10へと搬送される。また、手差しトレイ32の上面には用紙P4が複数枚載置されるようになっている。これらの用紙P4は給紙ロール321によって1枚ずつ搬送路Sに送り出され、さらに、搬送ロール34a〜34cやレジストロール34dによって画像形成ユニット10へと搬送されるようになっている。
【0026】
画像読取ユニット20は、原稿送り装置21と、CCD(Charge Coupled Device)等により構成される光学系部材22とを備えている。画像読取ユニット20は、原稿送り装置21によって図示せぬプラテンガラスに順番に載置される原稿の画像を光学系部材22によって読み取り、読み取った画像を表す画像データを生成する。また、画像形成装置100は図示しない通信インタフェースを介してLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されており、パーソナルコンピュータやサーバマシンなどのホスト装置からLANを経由して送信されてくる画像データを受信する。画像形成ユニット10は、画像読取ユニット20によって生成された画像データや、通信インタフェースを介して受信した画像データに基づいて画像形成処理を行う。また、画像の濃度補正時(いわゆるキャリブレーション)や後述するような「しわ検知モード」において、画像形成装置100は、自身が予め記憶している画像データに基づいて画像形成処理を行うこともできるようになっている。
【0027】
次に、画像形成ユニット10は、感光体ドラム11と、帯電装置12と、露光装置13と、ロータリー現像装置14と、クリーニング装置15と、中間転写ベルト16と、支持ロール17と、一次転写ロール18と、二次転写ロール19と、対向ロール40と、搬送ベルト41と、定着装置42とを備えている。感光体ドラム11の外周面(ドラム表面)には感光層が形成されており、像担持体として機能する。この感光体ドラム11は図示せぬ駆動機構によって図中矢印a方向に回転させられる。帯電装置12は、例えばロール型帯電装置やコロトロン型帯電装置であり、感光体ドラム11の表面を所定の電位に一様に帯電させる。露光装置13は、一様に帯電した感光体ドラム11に対し、画像データに応じて変調されたレーザ光を照射し、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。
【0028】
ロータリー現像装置14は、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のトナー(現像剤)をそれぞれ収容する現像器14Y,14M,14C,14Kの他、不可視トナーを収容する現像器14Fを備えている。本実施形態で用いる不可視トナーは、可視光領域(400nm〜700nm)における吸収率が所定割合以下のために人間の目では認識できない程度であり、近赤外光領域(800nm〜1000nm)における吸収率が所定割合以上のために、赤外光感度を有するセンサによって読み取り可能なものである。このロータリー現像装置14が図示せぬ駆動機構によって図中矢印b方向に回転させられることにより、これら5つの現像器14Y,14M,14C,14K,14Fは順番に感光体ドラム11と近接した位置に移動させられる。そして、各現像器14Y,14M,14C,14K,14Fに収容された各トナーが、それぞれの色(不可視トナーを含む)に対応する静電潜像に電気的に転移させられることによって、感光体ドラム11の表面にトナー像が形成される。図2においては、不可視トナーを収容する現像器14Fが感光体ドラム11と近接する位置にあり、感光体ドラム11の表面に不可視トナー像が形成されている時の様子が示されている。
【0029】
中間転写ベルト16は、無端のベルト部材であり、その内周面を複数の支持ロール17(図2では2つ)と一次転写ロール18と二次転写ロール19とによって張架された状態で、矢印c方向に周回移動させられる。一次転写ロール18は、感光体ドラム11との間で中間転写ベルト16を挟持しつつ、感光体ドラム11表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト16の外周面に転写(一次転写)する。感光体ドラム近傍に設けられたクリーニングブレード15は、一次転写後の感光体ドラム11表面に残ったトナーを除去する。二次転写ロール19は、対向ロール40との間に形成されるニップ領域において、中間転写ベルト16の外周面に転写されているトナー像を用紙へ転写(二次転写)する。二次転写後の中間転写ベルト16の表面に残留しているトナーはベルトクリーナ23によって除去される。
【0030】
定着装置42は、搬送路Sを挟んで互いに対向する定着ロール42a及び加圧ロール42bを備えている。定着ロール42aは、例えばアルミニウム等の金属製コアの周囲にシリコンゴム等の弾性体層が形成され、さらに弾性体層の表面にPFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)チューブ等からなる離型層が形成されたロール部材である。この金属製コアの内部には、例えばハロゲンランプ等の熱源が設けられており、定着ロール42aの表面温度が所定の温度となるようにロールの内部から加熱する。加圧ロール42bは、金属製コアの周囲に弾性体層が形成され、さらにPFAチューブからなる離型層が形成されたロール部材であり、図示せぬ加圧バネ等によって定着ロール42aの方向に付勢されている。定着装置42は、トナー像が二次転写された用紙に対し、定着ロール42a及び加圧ロール42bによって圧力を加えながら急速に加熱することによってトナー像を用紙に定着させる。この定着処理がなされた後に、用紙は排紙ロール43a,43bによって排紙トレイ46に排出される。
【0031】
定着装置42と排紙ロール43a,43bとの間には、用紙搬送路を形成するためのガイド44が設けられている、搬送路上方に設けられたガイドの一部には穴44aが開けられており、その穴44aの上方には赤外光感度を有するセンサ45が設けられている。図2ではセンサ45を1つのみ図示しているが、実際には3つのセンサ45が紙面奥行き方向(主走査方向)に沿って一列に並ぶようにして配置されている。このセンサ45は用紙に現れるしわの兆候を検知するために利用される。
【0032】
次に、図3のブロック図を参照しながら、画像形成装置100の制御系の構成について説明する。図3において、制御部110は、例えばMPU(Micro Processor Unit)や各種の特定用途向けのASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備えている。制御部110は、記憶部120に記憶されている制御プログラムなどに従って、画像形成装置100の画像形成ユニット10、画像読取ユニット20及び用紙供給ユニット30の動作を制御する。画像形成ユニット10には前述したセンサ45が含まれており、制御部110はこのセンサ45からの出力信号に基づいてしわが発生する兆候について監視し、しわ発生の兆候が現れたらその旨のメッセージをユーザインタフェース装置50に表示させる。
【0033】
(2)画像形成装置の動作モード
画像形成装置100の動作モードには、「通常モード」と「しわ検知モード」とがある。これらの動作モードのうち、「通常モード」は通常の画像形成処理を行う動作モードである。即ち、露光装置13によってY,M,C,Kの各色の画像データに対応した静電潜像を感光体ドラム11の表面に形成し、次いで、ロータリー現像装置14によってY,M,C,Kの各色トナーを静電潜像に電気的に転移させて顕像化する。そして、中間転写ベルト16を介してこれら各色のトナー像を重ね合わせるようにして用紙に二次転写し、さらに、定着装置42によってトナー像を用紙に定着させて排紙トレイ46に排出する。
【0034】
一方、「しわ検知モード」とは、前述したような用紙にしわが発生する兆候が現れているか否かを検知する動作モードである。画像形成装置100は、例えば電源投入時とか、所定枚数の用紙に画像を形成する毎とか、或いは、所定時間が経過する毎等の予め決められたタイミングで、動作モードを「しわ検知モード」に遷移させる。このような遷移動作を行うべく、記憶部120に記憶されている制御プログラムには、時刻を計測するための手順が記述されたコンピュータプログラムや、画像が形成された用紙の枚数をカウントするための手順が記述されたコンピュータプログラムなどが含まれている。
【0035】
しわ検知モードにおいて、まず、露光装置13は、画像形成装置100の記憶部120に予め記憶されている画像データに対応した静電潜像を感光体ドラム11の表面に形成する。この画像データは、用紙において規則的に配列される画像を表すデータである。次いで、ロータリー現像装置14は、現像器14Fに収容されている不可視トナーを上記静電潜像に電気的に転移させて顕像化する。この不可視トナー像は中間転写ベルト16に一次転写され、さらに、用紙供給源から搬送されてくる用紙に二次転写される。二次転写された不可視トナー像は定着装置42によって用紙に定着させられる。画像形成装置100は、定着装置42によって不可視トナー像を用紙に定着させてから、センサ45によって用紙上の不可視トナー像を読み取る。用紙が微少に伸び縮みしてしわの兆候が発生し始めると、それによって不可視トナー像の規則性が乱される。画像形成装置100は、その規則性の乱れをセンサ45で検知することによって、しわ発生の兆候をいち早く察知することができる。
【0036】
(3)不可視トナー像
次に、用紙に形成される不可視トナー像について具体的に説明する。
図4は、用紙に不可視トナー像が形成されている様子を示した平面図である。この図4に示すように、山形(Chevron)を表した不可視トナー像ptが副走査方向m(用紙Pの搬送方向)に沿って一定の距離間隔dで規則的に配列されることによって、副走査方向mに延びる画像列が形成されている。さらに、このような不可視トナー像ptによって構成される画像列が主走査方向nに複数個(図4では3列)並ぶようにして形成されている。
【0037】
ここで、図5は、1つの不可視トナー像ptを示した拡大図である。不可視トナー像ptは、互いに異なる方向に延びる線分pt1と線分pt2によって構成されている。これらの線分pt1,pt2はいずれも副走査方向mに平行な方向成分と、主走査方向nに平行な方向成分とを有している。即ち、線分pt1,pt2はいずれも主走査方向及び副走査方向に平行ではない。1つの線分pt1,pt2の各々が上記のような2つの方向成分を有していれば、副走査方向mと略平行な方向に延びるしわの兆候(つまり用紙の主走査方向の伸縮)が現れた場合であっても用紙上の線分pt1,pt2の位置がずれるし、主走査方向nと略平行な方向に延びるしわの兆候(つまり用紙の副走査方向の伸縮)が現れた場合であっても用紙上の線分pt1,pt2の位置がずれることになる。図5には、特に好適な場合を例示しており、線分pt1,pt2は主走査方向mに対し、右側と左側にそれぞれ45°だけ傾いており、線分pt1と線分pt2とは互いに90°をなしている。
【0038】
次に、図6は、センサ45の平面図である。センサ45は4つのフォトダイオードD11,D12,D21,D22によって構成されている。さらに、フォトダイオードD11及びフォトダイオードD12によって1組のセンサD1が構成されており、フォトダイオードD21及びフォトダイオードD22によって1組のセンサD2が構成されている。副走査方向(搬送方向)mの上流側に配置されたフォトダイオードD12,D22は、検出レベルに応じたマイナス方向の出力信号を出力する。一方、副走査方向(搬送方向)mの下流側に配置されたフォトダイオードD11,D21は、検出レベルに応じたプラス方向の出力信号を出力する。フォトダイオードD11,D12,D21,D22は、搬送方向mに対して、それぞれ線分pt1,pt2と同様の角度45°だけ傾くように左右対称で設けられている。このようにフォトダイオードD11,D12,D21,D22は線分pt1,pt2と同様の角度45°だけ傾いて配置されているから、用紙が伸び縮みすることによって線分pt1,pt2の位置がずれた場合、そのずれを正確に検知することができる。また、前述した図5を用いて説明したように、線分pt1,pt2はそれぞれ搬送方向mに対して45°だけ傾いているから、用紙が副走査方向mにΔdだけ伸び縮みした場合には、線分pt1の位置がずれる量と線分pr2の位置がずれる量とはいずれもΔdで、その比は1:1になるはずである。同様に、用紙が主走査方向nにΔdだけ伸び縮みした場合に、線分pt1の位置がずれる量と線分pr2の位置がずれる量とはいずれもΔdで、その比は1:1になるはずである。このような関係を利用して線分pt1,pt2の位置のずれ量を解析すれば、しわ発生の兆候が存在する領域の位置を特定することも可能である。
【0039】
次に、図7は、不可視トナー像が形成された用紙Pが定着装置42を通過する際の様子を図2の矢印x方向から見たときの平面図である。なお、説明をわかりやすくするため、定着装置42と排紙ロール43a,43bとの間に設けられたガイド44は図示していない。図7において、定着ロール42aと排紙ロール43aが図中矢印e方向に回転することによって、用紙Pは副走査方向mへと搬送され、画像形成装置100の筐体1に設けられた排紙口から排紙トレイ46に排出される。また、センサ45として、不可視トナー像の列に対応するように3つのセンサ45a,45b,45cが主走査方向nに沿って並ぶようにして設けられている。これらのセンサ45a,45b,45cは、それぞれに対応する列を構成する不可視トナー像ptを読み取る。
【0040】
ここで、図8は、副走査方向mに平行なしわが発生する兆候が現れた時の様子を模式的に示した図である。図8において連続する個々の山形画像に対しては、図中上から順に、pt−a,pt−b,pt−c,pt−dという符号を付している。図8に示すように、副走査方向mに平行に延びる領域Rにおいて、しわの兆候である微少な縮み(縮み量Δd)が発生した場合、領域Rの発生位置から見て主走査方向nの反対側に存在する不可視トナー像pt−c,pt−dの位置は主走査方向nにΔdだけ移動する。図8では、不可視トナー像pt−c,pt−dが、点線pt−c’,pt−d’で表した本来の位置から、領域Rに近づくように実線で表した位置へと右に移動していることを示している。
【0041】
ここで、点線f1はセンサD1のセンシング面中心を表しており、点線f2はセンサD2のセンシング面中心を表している。センシング面中心f1,f2上の不可視トナー像pt−aと不可視トナー像pt−bとの間隔は一定の距離間隔dである。ところが、不可視トナー像pt−c,pt−dが領域Rに近づく方向にΔdだけずれると、センシング面中心f1上の不可視トナー像pt−bと不可視トナー像pt−cとの間隔はd+Δdとなり、センシング面中心f2上の不可視トナー像pt−bと不可視トナー像pt−cとの間隔はd−Δdとなる。従って、センサD1が不可視トナー像pt−bを読み取ってから不可視トナー像pt−cを読み取るまでの時間間隔と、センサD2が不可視トナー像pt−bを読み取ってから不可視トナー像pt−cを読み取るまでの時間間隔とが異なる値になる。
【0042】
このように、連続する2つの山形をそれぞれ表す2本の線分が予め決められた時間間隔とは異なる時間間隔で読み取られ、且つ、これらの山形を表す一方の線分と他方の線分とが異なる時間間隔で読み取られた場合には、制御部110は、副走査方向mと略平行な方向に延びるしわが発生する兆候がある旨のメッセージをユーザインタフェース装置50に表示させる。なお、図8は、領域Rに縮みが発生した場合で説明したが、これとは逆に、領域Rに伸びが発生した場合も上記と同様の原理に基づいて、制御部110は副走査方向mと略平行な方向に延びるしわが発生する兆候があることを認識することができる。
【0043】
次に、図9は、主走査方向nに平行なしわが発生する兆候が現れた時の様子を模式的に示した図である。図9において連続する個々の山形に対しては、図中上から順に、pt−a,pt−b,pt−c,pt−dという符号を付している。図9に示すように、主走査方向nに平行に延びる領域Rにおいて、しわの兆候である微少な縮み(縮み量Δd)が発生した場合、領域Rの発生位置から見て副走査方向mの反対方向側に存在する不可視トナー像pt−c,pt−dの位置は、副不走査方向mにΔdだけ移動する。図9では、不可視トナー像pt−c,pt−dが、点線pt−c’,pt−d’で表した本来の位置から、領域Rに近づくように実線で表した位置へと上に移動していることを示している。
【0044】
ここで、センシング面中心f1,f2上の不可視トナー像pt−aと不可視トナー像pt−bとの間隔は一定の距離間隔dである。ところが、不可視トナー像pt−c,pt−dが領域Rに近づく方向にΔdだけずれると、センシング面中心f1上の不可視トナー像pt−bと不可視トナー像pt−cとの間隔はd−Δdとなる。同様に、センシング面中心f2上の不可視トナー像pt−bと不可視トナー像pt−cとの間隔もd−Δdとなる。つまり、前述した図8の場合とは異なり、センサD1とセンサD2がそれぞれ不可視トナー像pt−bを読み取ってから不可視トナー像pt−cを読み取るまでの時間間隔が同じ値になる。
【0045】
このように、連続する2つの山形をそれぞれ表す2本の線分が予め決められた時間間隔とは異なる時間間隔で読み取られ、且つ、これらの山形を表す2本の線分が同じ時間間隔で読み取られた場合には、制御部110は、主走査方向nと略平行な方向に延びるしわが発生する兆候がある旨のメッセージをユーザインタフェース装置50に表示させる。なお、図9は、領域Rに縮みが発生した場合で説明したが、これとは逆に、領域Rに伸びが発生した場合も上記と同様の原理に基づいて、制御部110は、主走査方向nと略平行な方向に延びるしわが発生する兆候があることを認識することができる。
【0046】
(4)動作例
図10は、不可視トナー像がセンサ45の検出領域に進入するタイミングと、センサ45によって検知されるレベル山形と、センサ45によって出力される出力信号との関係を例示した図である。前述したように、搬送方向上流側のフォトダイオードD12,D22は、検出レベルに応じたマイナス方向のレベル山形を出力し、搬送方向下流側に配置されたフォトダイオードD11,D21は、検出レベルに応じたプラス方向のレベル山形を出力する。従って、フォトダイオードD12,D22による検出領域に対し、そのフォトダイオードD12,D22の傾きと同じ傾きを持つ不可視トナー像ptが進入すると、まず、マイナス方向のレベル山形が現れる。次いで、その不可視トナー像ptがフォトダイオードD11,D21による検出領域に進入すると、プラス方向のレベル山形が現れる。このセンサ45には予め閾値kが設定されており、レベル山形がこの閾値k未満の場合には、センサ45はロー(L)レベル信号を制御部110に出力する。一方、レベル山形が閾値k以上の場合には、センサ45はハイ(H)レベル信号を制御部110に出力する。
【0047】
制御部110は、この出力信号がローレベルからハイレベルへ立ち上がったタイミングと、その次の立ち上がりのタイミングとの間の時間tが所定の値t0であれば、しわ発生の兆候はないと判断する。即ち、一定の距離間隔dで形成した不可視トナー像を一定の時間間隔t0で読み取った場合には、不可視トナー像が本来の規則性を有しているから、用紙は伸び縮みしておらず、しわ発生の兆候はないというわけである。なお、このt0は、用紙の搬送速度と不可視トナー像の距離dとに基づいて予め計算により求めることができるので、これを予め記憶部120に記憶させておけばよい。また、計測値である時間tは誤差を含む場合もあり得るので、計測値tがt0から一定の微少な値Δt0だけずれたとしても、t0に一致するとみなすようにしてもよい。
【0048】
これに対し、図11に示すように、時間tが所定の値t0ではない値(図ではt1,t2,t3、t4)の場合には、不可視トナー像ptの位置がずれてきていることを意味するので、制御部110はしわ発生の兆候があると判断する。即ち、一定の距離間隔dで形成されたはずの不可視トナー像を一定の時間間隔t0で読み取ることができなかった場合には、不可視トナー像が規則性を有していないから、用紙が伸び縮みしており、しわ発生の兆候があるというわけである。この場合、制御部110は、図8,9を用いて説明したような原理に基づいて、主走査方向と略平行な方向に延びるしわが発生する兆候があるのか、或いは、副走査方向と略平行な方向に延びるしわが発生する兆候があるのかを判断し、その判断結果に応じた情報を出力する。例えば主走査方向に沿ったしわが発生する兆候があれば、制御部110は、その旨を表すメッセージをユーザインタフェース装置50に表示させるし、一方、副走査方向に沿ったしわが発生する兆候があれば、その旨を表すメッセージをユーザインタフェース装置50に表示させるといった具合である。
【0049】
さらに、個々の山形画像が読み取られた時間間隔(t1,t2、t3,t4)と、予め決められた一定の時間間隔t0との時間差に基づいて、しわの発生する兆候の度合いを予測することも可能である。具体的には、時間間隔t1,t2,t3,t4と時間間隔t0との時間差に対して用紙の搬送速度を乗算してΔdを求めれば、そのΔdが用紙(領域R)の伸縮量にほぼ相当することになる。この伸縮量はしわが発生する兆候の度合いを示すものであるから、制御部110は、この度合いに応じて、例えばしわが発生する可能性が大きいとか、しわが発生するまでにはまだ時間的な余裕があるといったような各種情報をユーザインタフェース装置50に表示させればよい。なお、不可視トナー像が読み取られた後の用紙Pはそのまま排紙トレイ46に排出する等すればよい。
【0050】
以上説明したように、用紙にしわが発生し始める前には、用紙が不均一に延びたり縮んだりしてくるため、用紙に形成されている不可視トナー画像の規則性が乱れてくる。本実施形態に係る画像形成装置100は、その規則性に乱れがあるか否かを判断し、乱れがあると判断された場合には、用紙におけるしわの発生に関連した情報を出力する。よって、画質に重大な影響を及ぼすようなしわが発生する前に、しわ発生に関連する情報をユーザに伝えることができる。
【0051】
また、センサD1,D2が、連続する2つの山形をそれぞれ表す2本の線分を予め決められた時間間隔t0とは異なる時間間隔で読み取り、且つ、これらの山形を表す一方の線分と他方の線分とをそれぞれ異なる時間間隔で読み取った場合には、制御部110は副走査方向mと略平行な方向に延びるしわが発生する兆候がある旨のメッセージを出力する。一方、センサD1,D2が、連続する2つの山形をそれぞれ表す2本の線分を予め決められた時間間隔t0とは異なる時間間隔で読み取り、且つ、これらの山形を表す一方の線分と他方の線分とを同じ時間間隔で読み取った場合には、制御部110は、主走査方向nと略平行な方向に延びるしわが発生する兆候がある旨のメッセージを出力する。このように不可視トナー像が読み取られた時間間隔に応じて、発生する可能性のあるしわの方向や位置を特定することが可能となる。さらに、発生するしわの大きさを予測することも可能である。
【0052】
(5)変形例
上述した実施形態は次のような変形が可能である。
実施形態においては、像担持体としての感光体ドラム11とロータリー現像装置14とを備えたいわゆるサイクル方式や画像形成装置を例に挙げて説明したが、この他にも、例えば、複数の感光体ドラムを中間転写ベルトに外周に沿って直列に配置したいわゆるタンデム方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置100はY,M,C,K4色のトナー(現像剤)を用いたカラー画像を形成するものに限定されず、レッド、ブルー、グリーン等の色の現像剤を用いるものであってもよいし、モノクロ画像を形成するものであってもよい。
【0053】
ここで、図12は、タンデム方式の画像形成装置に本発明を適用した場合の画像形成装置101の構成を示した図である。図12において、画像形成エンジン1Y,1M,1C,1Kはそれぞれ、イエロー(Y)色、マゼンダ(M)色、シアン(C)色およびブラック(K)色の各色のトナー像を形成する。また、画像形成エンジン1Fは、不可視トナーを用いた不可視トナー像を形成する。例えば画像形成エンジン1Yは、矢印A方向に回転する感光体11ドラムYと、感光体ドラム11Yを決められた帯電電位に一様に帯電させる帯電装置12Yと、Y,M,C,K各色の画像データのうちY(イエロー)の画像データに応じた光を感光体ドラム11Yに照射して静電潜像を形成する露光装置13Yと、静電潜像にイエローのトナーを供給し感光体ドラム11Yの表面にトナー像を形成させる現像装置14Yと、中間転写ベルト2にトナー像を一次転写するための一次転写ロール15Yと、一次転写後の感光体ドラム11Yの表面に残留するトナーを除去するクリーニング装置16Yとを備えている。また、画像形成エンジン1Fは、感光体ドラム11Fと、感光体ドラム11Fを決められた帯電電位に帯電させる帯電装置12Fと、画像形成装置101によって予め記憶された不可視トナー像を示す画像データに応じた光を感光体11Fに照射して静電潜像を形成する露光装置13Fと、静電潜像に不可視トナーを供給し感光体11Fの表面に不可視トナー像を形成させる現像装置14Fと、中間転写ベルト2に不可視トナー像を一次転写するための一次転写ロール15Fと、一次転写後の感光体11Fの表面に残留するトナーを除去するクリーニング装置16Fとを備えている。これ以外の画像形成エンジン1M,1C,1Kの構成も、トナーの種類が異なる点を除けば、画像形成エンジン1K,1Fとほぼ同様である。
【0054】
中間転写ベルト2は、複数の各種ロール3に掛け渡されており、これらロール3によって矢印B方向に周回移動させられる。このように周回移動させられる中間転写ベルト2には、画像形成エンジン1Y,1M,1C,1Kによって形成されたトナー像が重ね合わされるようにして一次転写される。また、この中間転写ベルト2には、画像形成エンジン1Fによって形成された不可視トナー像が一次転写される。
【0055】
用紙トレイ4には用紙が複数枚収容されており、給紙トレイ4aによって搬送路に送り出された用紙は複数の搬送ロール5によって矢印C方向に搬送される。二次転写ロール6は、上述したように中間転写ベルト2に一次転写されたトナー像を、搬送路上を搬送される用紙にベルト二次転写する。定着装置7は、用紙に二次転写されたトナー像を加熱および加圧することによって用紙に定着させる。定着装置7と排紙ロール8との間には、用紙搬送路を形成するためのガイド9が設けられている、搬送路上方に設けられたガイドの一部には穴9aが開けられており、その穴9aの上方には赤外光感度を有するセンサ9bが設けられている。図12ではセンサ9bを1つのみ図示しているが、実際には3つのセンサ9bが紙面奥行き方向に一列に並ぶようにして配置されている。このセンサ9bは用紙上の不可視トナー像を読み取り、その読み取り結果に応じて図10乃至図11に示すような出力信号を出力する。画像形成装置101の制御部はこのセンサ9bからの出力信号に基づいて、しわが発生する兆候について監視しており、しわ発生の兆候が現れたらその旨のメッセージを画像形成装置101の筐体上面に設けられたユーザインタフェース装置50に表示させる。以上が、タンデム方式の画像形成装置に
本発明を適用した場合の実施例である。
【0056】
不可視トナー像の山形形状や配置パターンは図4に例示したものに限らず、どのようにして山形を表してもよいし、その配置パターンも任意である。
【0057】
また、実施形態では、通常の画像形成モードとは異なるしわ検知モードにおいて、用紙に不可視トナー像のみを形成してしわ発生の兆候を監視するようにしていたが、これに限らない。例えば、通常の画像形成モードにおいて形成される画像に不可視トナー像を重ね合わせてもよい。不可視トナー像の材料として適切なものを選択すれば、例えば特開2003−186238号公報に記載されているように、可視画像と不可視画像とが混在しているような画像であっても、センサは可視画像に邪魔されることなく不可視画像のみを正確に読み取ることが可能である。しわの兆候を検知するための画像が不可視であれば、その不可視画像の存在をユーザに知られる必要がないとか、或いは、その不可視画像が形成された用紙を再度使用することができるといった様々なメリットがある。ただし、これらのメリットを受ける必要がない場合には、しわの兆候を検知するための画像は必ずしも不可視である必要はなく、Y,M,C,K等の可視トナーを用いた可視画像であってもよい。
【0058】
また、センサ45はフォトダイオードに限定されず、画像を読み取ることが可能なセンサであればよい。例えばCCDであっても良い。
【0059】
また、定着装置42は2つのロール部材によって構成されるものに限らず、要は、用紙の搬送路を挟んで対向する一対の部材が接触するニップ領域において、その用紙を加熱及び加圧することによってトナー像を用紙に定着させるような構成であればよい。例えば定着ロールと加圧ロールとの間にベルト部材を挟みこみ、加圧ロールを定着ロール側に付勢することでニップ領域を形成した定着装置であってもよい。また、チューブ部材の内側にパッド乃至ロールを設けておき、そのパッド乃至ロールを、チューブを介して定着ロール側に付勢することでニップ領域を形成した定着装置であってもよい。
【0060】
また、実施形態においては、トナー像が形成される記録材の一例として用紙を挙げて説明したが、これ以外にも、例えばOHPフィルム等のプラスティックや布などの種々の記録材を用いることができる。
【0061】
なお、実施形態で述べた制御部110によって実行される制御プログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、CD(Compact Disk)−ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、RAMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態において発生するしわの方向を説明する模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図3】同画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】同画像形成装置によって用紙に形成される不可視トナー像を示す平面図である。
【図5】不可視トナー像を示す図である。
【図6】センサの構成を示す図である。
【図7】不可視トナー像が形成された用紙が定着装置と排紙ロールとを通過する様子を示した平面図である。
【図8】副走査方向mに平行なしわの兆候が発生したときの様子を模式的に示した図である。
【図9】主走査方向nに平行なしわの兆候が発生したときの様子を模式的に示した図である。
【図10】不可視トナー像がセンサの検出領域に差し掛かるタイミングと、センサによって検知される検知信号の山形及びセンサによって出力される出力信号の山形との関係を例示した図である。
【図11】不可視トナー像がセンサの検出領域に差し掛かるタイミングと、センサによって検知される検知信号の山形及びセンサによって出力される出力信号の山形との関係を例示した図である。
【図12】本発明の変形例に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
100・・・画像形成装置、10・・・画像形成ユニット、11・・・感光体ドラム、12・・・帯電装置、13・・・露光装置、14・・・ロータリー現像装置、14Y,14M,14C,14K,14F・・・現像器、16・・・中間転写ベルト、18・・・一次転写ロール、19・・・二次転写ロール、20・・・画像読取ユニット、30・・・用紙供給ユニット、31a,31b,31c・・・用紙トレイ、42・・・定着装置、43・・・排紙ロール、44・・・ガイド、45(45a,45b,45c)・・・センサ、50・・・ユーザインタフェース装置、110・・・制御部、120・・・記録部、pt・・・不可視トナー像、D11,D12,D21,D22・・・フォトダイオード。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が形成された記録材にしわが発生する兆候を検知するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラープリンタやカラー複写機等の電子写真方式の画像形成装置は、露光、現像、転写、定着、という幾つかの工程を経ることによって用紙(記録材)にトナー像を形成する。これら各工程のうち定着を行う定着装置は、用紙の搬送路を挟んで対向するように配置された一対のロール部材を備えており、これらのロール部材が互いに接触する領域(ニップ領域)を用紙が通過する際に、その用紙に熱と圧力を加えることによってトナーを用紙に定着させる。
【0003】
ところが、ニップ領域に突入する際の用紙の突入姿勢が悪かったり、用紙における熱や含水率の分布が不均一であったりすると、用紙にしわが発生してしまうことが知られている。このようなしわが連続して発生するようになると、用紙に形成されたトナー像が歪んでしまって画質が極度に劣化してしまうから、画像形成装置はそれ以上の使用に堪えることはできない。このような場合には、ユーザは直ちに、画像形成装置のメンテナンスを専門に行う者に連絡し、装置の修理や調整を依頼する必要がある。
【0004】
そこで、用紙に発生したしわを検知するための技術が従来から幾つか提案されている。その代表的なものとして、例えば特許文献1〜3に記載された技術がある。特許文献1に記載された技術は、しわが発生すると用紙の一部が折れ曲がって用紙の厚みが変化する現象に着目したものである。具体的には、一対の搬送ロールの軸が変位した量を監視しておき、その変位量が極端に大きくなった場合にはしわが発生したと判断する、という仕組みである。また、特許文献2に記載された技術も、特許文献1と同様にしわが発生すると用紙の厚みが変化することに着目し、定着ロールの軸の両端の変位量をセンサで検出してしわの発生を検知するというものである。そして、特許文献3に記載された技術は、しわが発生すると用紙面が凸凹形状になることに着目したものであり、搬送路面から用紙までの距離の変位量(つまり用紙の凸凹形状)をセンサで検出してしわの発生を検知する、という構成を採っている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−24713号公報
【特許文献2】特開平9−269697号公報
【特許文献3】特開平9−202519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3に記載された技術(以下、従来技術という)は、用紙の一部が折れ曲がったり用紙面が凸凹形状になったりする等の比較的明瞭なしわが発生した場合には、それを検知することができる。ただし、そのようなしわが発生したことは、そもそも画質を見れば一目瞭然であるから、ユーザは従来技術に頼らずともしわの存在を自ら認知することができるはずである。要するに、これらの従来技術は、しわが発生したことをユーザに直ちに警告することによって、例えばユーザがしわの発生を見過ごしてしまった状態で連続何十枚〜何百枚もの多数枚の画像形成処理を行ってしまうような無駄を防止する、という効果を奏するにすぎない。
【0007】
本願発明者がしわの発生するメカニズムについて考察したところ、しわは唐突に発生するのではなく、最初は人間の目では知覚できない程度の兆候が徐々に現れ、それから時間が経過するに従って段々と大きなしわが発生する、という事実が解明されている。このようなしわ発生の兆候が現れた段階でそれを検知することが出来れば、その時点ではほとんど視認できない程度でしか画質が劣化していないはずだから、ユーザは当分の間は画像形成装置を使用し続けることができる。そして、その使用期間中に時間的な余裕をもって装置の修理や調整等を依頼すればよい。即ち、しわが発生する兆候をいち早く察知して適切な対応を採ったほうがユーザにとっては利便性が高いと言える。
【0008】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像が形成される記録材にしわが発生する兆候をより早くより確実に検知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、主走査方向及び副走査方向のいずれにも平行でなく且つそれぞれ異なる方向に延びる2本の線分によって山形を表す山形画像を、副走査方向に沿って所定の間隔で像担持体に複数個形成し、該画像を記録材に転写する画像形成手段と、前記記録材の搬送路を挟んで対向する一対の部材が接触するニップ領域において、前記記録材を加熱及び加圧することによって前記山形画像を前記記録材に定着させる定着手段と、前記記録材を副走査方向に搬送しながら、前記定着手段によって記録材に定着させられた複数の前記山形画像を順次読み取る読取手段と、前記読取手段が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で複数の前記山形画像を読み取った場合には、その読み取った時間間隔に応じて、前記記録材の副走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報または前記記録材の主走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する情報出力手段とを備えた画像形成装置を提供する。
【0010】
記録材にしわが発生し始める前には、記録材が不均一に延びたり縮んだりしてくる。例えそれが微少な伸び縮みであっても、記録材に形成されている画像に影響を及ぼし、その規則性が乱れてくる。本発明に係る画像形成装置によれば、読取手段が記録材上の複数の山形を所定の時間間隔で読み取ることができなかった場合には、情報出力手段が、前記記録材におけるしわの発生に関連した情報を出力する。よって、画質に重大な影響を及ぼすようなしわが発生する前に、しわ発生に関連する情報を伝えることができる。
【0011】
また、本発明は、可視画像を像担持体に形成し、該画像を記録材に転写する可視画像形成手段と、主走査方向及び副走査方向のいずれにも平行でなく且つそれぞれ異なる方向に延びる2本の線分によって山形を表す不可視の山形画像を、副走査方向に沿って所定の間隔で像担持体に複数個形成し、該画像を記録材に転写する不可視画像形成手段と、前記記録材の搬送路を挟んで対向する一対の部材が接触するニップ領域において、前記記録材を加熱及び加圧することによって前記可視画像又は前記山形画像を前記記録材に定着させる定着手段と、前記記録材を副走査方向に搬送しながら、前記定着手段によって記録材に定着させられた複数の前記山形画像を順次読み取る読取手段と、前記読取手段が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で複数の前記山形画像を読み取った場合には、その読み取った時間間隔に応じて、前記記録材の副走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報または前記記録材の主走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する情報出力手段とを備えた画像形成装置を提供する。
【0012】
本発明に係る画像形成装置によれば、読取手段が記録材上の複数個の山形画像を所定の時間間隔で読み取ることができなかった場合には、情報出力手段が、記録材におけるしわの発生に関連した情報を出力する。よって、画質に重大な影響を及ぼすようなしわが発生する前に、しわ発生に関連する情報を伝えることができる。
【0013】
なお、本発明において、「可視」および「不可視」とは、記録材に形成された画像が、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により、人間の目で認識し得る程度であるかどうかを意味する。「可視画像」とは、その可視画像を形成する可視現像剤が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性を有するために、可視光領域において目視により認識できる画像である。一方、「不可視の画像」とは、可視光領域以外の領域(例えば赤外光領域)において、例えば赤外光領域の光を光源とした場合にフォトダイオードやCCD等の読取手段により読み取ることができる画像であると共に、その不可視画像を形成する不可視現像剤が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性を有さないために、可視光領域においては目視によりほとんど認識することができない画像を意味する。
【0014】
前述した「連続する個々の山形が前記読取手段によって一定の時間間隔で読み取られなかった場合」とは、例えば、複数の前記山形画像が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で読み取られ、且つ、該山形画像を表す2本の線分のうち一方の線分と他方の線分とがそれぞれ異なる時間間隔で読み取られた場合である。この場合には、例えば図8に示すように、山形画像が主走査方向(図中の矢印n方向)にずれていることになる。山形画像がこのような方向にずれるということは、図8に示しているように、副走査方向(図中の矢印m方向)と略平行な方向に延びる領域(図中の領域R)に、しわの発生する兆候があることを意味している。よって、情報出力手段は、記録材の副走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する。
【0015】
また、上記と別の例は、例えば複数の前記山形画像が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で読み取られ、且つ、該山形画像を表す2本の線分のうち一方の線分と他方の線分とがほぼ同じ時間間隔で読み取られた場合である。この場合には、例えば図9に示すように、山形画像が副走査方向(図中の矢印m方向)にずれていることになる。山形画像がこのような方向にずれるということは、図9に示しているように、主走査方向(図中の矢印n方向)と略平行な方向に延びる領域(図中の領域R)に、しわの発生する兆候があることを意味している。よって、情報出力手段は、記録材の主走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する。
【0016】
また、前記読取手段によって複数の前記山形画像が読み取られた時間間隔と前記所定の時間間隔との時間差を求め、その時間差と前記記録材の搬送速度に基づいて、該記録材の伸縮量を算出する算出手段を備え、前記情報出力手段は、前記算出手段によって算出された伸縮量に応じた内容の情報を出力するようにしてもよい。記録材の伸縮量は、しわが発生する兆候の度合いを示すものであるから、その度合いに応じて、例えばしわが発生する可能性が大きいとか、しわが発生するまでにはまだ時間的な余裕があるといったような情報を出力することが可能となる。
【0017】
また、前記画像形成手段または前記不可視画像形成手段は、各山形画像を副走査方向に沿って一定の距離間隔で配列することによって副走査方向に延びる画像列を形成すると共に、該画像列を主走査方向に複数並べて形成してもよい。この場合、前記読取手段は、前記記録材に形成された山形画像の前記複数の列にそれぞれ対応するように複数配置される。このように複数の例をなすようにして山形画像を形成すれば、記録材のどの箇所にしわの兆候が現れたとしても、それをより正確に検出することができる。
【0018】
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記画像形成手段または前記不可視画像形成手段は、画像形成装置において電源が投入された時に、前記山形画像を像担持体に形成し、該画像を記録材に転写するようにしてもよい。このようにすれば、電源が投入されるたびに、しわの兆候について検査することができる。
【0019】
また、本発明の別の好ましい態様においては、画像が形成された記録材の枚数をカウントするカウント手段を備え、前記画像形成手段または前記不可視画像形成手段は、前記カウント手段によってカウントされた枚数が決められた値に達する毎に、前記山形画像を像担持体に形成し、該画像を記録材に転写するようにしてもよい。このようにすれば、画像が形成される記録材の枚数が決められた値に達する毎に、しわの兆候について検査することができる。
【0020】
本発明の別の好ましい態様においては、時刻を計測する計時手段を備え、前記画像形成手段または前記不可視画像形成手段は、前記計時手段によって計測された時刻が決められた時間間隔を経過する毎に、前記山形画像を像担持体に形成し、該画像を記録材に転写するようにしてもよい。このようにすれば、一定の時間間隔でしわの兆候について検査することができる。
【0021】
本発明の別の好ましい態様においては、前記可視画像形成手段と前記不可視画像形成手段とは、それぞれが像担持体に形成した可視画像及び不可視画像を重ね合わせて同一の記録材に転写するようにしてもよい。このようにすれば、わざわざ不可視画像のみを記録材に転写する必要がない。ただし、この態様においては、読取手段が、重ね合わされて記録材に転写された可視画像及び不可視画像の中から不可視画像だけを正確に読み取る必要がある。このため、不可視画像は、可視光領域においては目視によりほとんど認識することができない画像であると共に、可視光領域以外の領域(例えば赤外光領域)においては、例えば可視光領域の光を光源とした場合にフォトダイオードやCCD(Charge Coupled Device)等の読取手段により読み取ることができないような画像にする必要がある。
【0022】
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記情報出力手段は、前記記録材にしわが発生する可能性があること乃至前記記録材にしわが発生し始めていることを表すメッセージを出力してもよい。このようにすれば、画像形成装置のユーザは、記録材にしわが発生する可能性があること乃至記録材にしわが発生し始めていることを簡単に知ることができ、直ちに適切な対応をとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
以下、実施形態の説明に用いる主要な用語について定義する。
まず、「主走査方向」とは、画像形成装置においてトナー像をライン単位で像担持体に形成する際のそのラインが延びる方向を意味しており、像担持体の回転軸方向と一致する。「副走査方向」とは、像担持体表面が移動(回転)する方向であり、用紙の搬送方向と一致する。これら主走査方向と副走査方向とは互いに直交する関係にある。
次に、しわの方向について定義する。「記録材(用紙)の副走査方向と略平行な方向に延びるしわ」とは、図1の模式図に示したような副走査方向に沿って発生するしわWmを指している。このような方向のしわWmが発生するのは、用紙Pが主走査方向に伸縮するからである。図1では、主走査方向の長さDmが主走査方向にΔdだけ縮んだり伸びたりする様子を図示している。これに対し、「記録材の主走査方向と略平行な方向に延びるしわ」とは、図1に示したような主走査方向に沿って発生するしわWnを指している。このような方向のしわWnが発生するのは、用紙Pが副走査方向に伸縮するからである。図1では、副走査方向の長さDnが副走査方向にΔdだけ縮んだり伸びたりする様子を図示している。
【0024】
(1)装置構成
図2は、実施形態に係る画像形成装置100の全体構成を示した図である。この画像形成装置100は、例えばカラープリンタやカラー複写機、或いはこれらの複数の機能を兼ね備えた複合機等である。図2に示すように、画像形成装置100の構成は、画像形成ユニット10と、画像読取ユニット20と、用紙供給ユニット30とに大別される。さらに、画像形成装置100は、ユーザが各種の操作を行うためのユーザインタフェース装置50を備えている。このユーザインタフェース装置50は、タッチパネルとして機能する液晶ディスプレイを備えており、ユーザはこの液晶ディスプレイに触れることで各種操作を行うことができる。
【0025】
用紙供給ユニット30は、用紙トレイ31a,31b,31c及び手差しトレイ32といった用紙供給源と、この用紙供給源から図中の点線Sによって示される搬送路を経由して画像形成ユニット10へ用紙を搬送するための搬送ロール34a〜34cやレジストロール34dとを備えている。より具体的には、用紙トレイ31a,31b,31cにそれぞれ収容された用紙P1,P2,P3は、各用紙トレイ31a,31b,31cに設けられた給紙ロール311a,311b,311cによって1枚ずつ搬送路Sに送り出され、さらに、搬送ロール34a〜34cやレジストロール34dによって画像形成ユニット10へと搬送される。また、手差しトレイ32の上面には用紙P4が複数枚載置されるようになっている。これらの用紙P4は給紙ロール321によって1枚ずつ搬送路Sに送り出され、さらに、搬送ロール34a〜34cやレジストロール34dによって画像形成ユニット10へと搬送されるようになっている。
【0026】
画像読取ユニット20は、原稿送り装置21と、CCD(Charge Coupled Device)等により構成される光学系部材22とを備えている。画像読取ユニット20は、原稿送り装置21によって図示せぬプラテンガラスに順番に載置される原稿の画像を光学系部材22によって読み取り、読み取った画像を表す画像データを生成する。また、画像形成装置100は図示しない通信インタフェースを介してLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されており、パーソナルコンピュータやサーバマシンなどのホスト装置からLANを経由して送信されてくる画像データを受信する。画像形成ユニット10は、画像読取ユニット20によって生成された画像データや、通信インタフェースを介して受信した画像データに基づいて画像形成処理を行う。また、画像の濃度補正時(いわゆるキャリブレーション)や後述するような「しわ検知モード」において、画像形成装置100は、自身が予め記憶している画像データに基づいて画像形成処理を行うこともできるようになっている。
【0027】
次に、画像形成ユニット10は、感光体ドラム11と、帯電装置12と、露光装置13と、ロータリー現像装置14と、クリーニング装置15と、中間転写ベルト16と、支持ロール17と、一次転写ロール18と、二次転写ロール19と、対向ロール40と、搬送ベルト41と、定着装置42とを備えている。感光体ドラム11の外周面(ドラム表面)には感光層が形成されており、像担持体として機能する。この感光体ドラム11は図示せぬ駆動機構によって図中矢印a方向に回転させられる。帯電装置12は、例えばロール型帯電装置やコロトロン型帯電装置であり、感光体ドラム11の表面を所定の電位に一様に帯電させる。露光装置13は、一様に帯電した感光体ドラム11に対し、画像データに応じて変調されたレーザ光を照射し、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。
【0028】
ロータリー現像装置14は、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のトナー(現像剤)をそれぞれ収容する現像器14Y,14M,14C,14Kの他、不可視トナーを収容する現像器14Fを備えている。本実施形態で用いる不可視トナーは、可視光領域(400nm〜700nm)における吸収率が所定割合以下のために人間の目では認識できない程度であり、近赤外光領域(800nm〜1000nm)における吸収率が所定割合以上のために、赤外光感度を有するセンサによって読み取り可能なものである。このロータリー現像装置14が図示せぬ駆動機構によって図中矢印b方向に回転させられることにより、これら5つの現像器14Y,14M,14C,14K,14Fは順番に感光体ドラム11と近接した位置に移動させられる。そして、各現像器14Y,14M,14C,14K,14Fに収容された各トナーが、それぞれの色(不可視トナーを含む)に対応する静電潜像に電気的に転移させられることによって、感光体ドラム11の表面にトナー像が形成される。図2においては、不可視トナーを収容する現像器14Fが感光体ドラム11と近接する位置にあり、感光体ドラム11の表面に不可視トナー像が形成されている時の様子が示されている。
【0029】
中間転写ベルト16は、無端のベルト部材であり、その内周面を複数の支持ロール17(図2では2つ)と一次転写ロール18と二次転写ロール19とによって張架された状態で、矢印c方向に周回移動させられる。一次転写ロール18は、感光体ドラム11との間で中間転写ベルト16を挟持しつつ、感光体ドラム11表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト16の外周面に転写(一次転写)する。感光体ドラム近傍に設けられたクリーニングブレード15は、一次転写後の感光体ドラム11表面に残ったトナーを除去する。二次転写ロール19は、対向ロール40との間に形成されるニップ領域において、中間転写ベルト16の外周面に転写されているトナー像を用紙へ転写(二次転写)する。二次転写後の中間転写ベルト16の表面に残留しているトナーはベルトクリーナ23によって除去される。
【0030】
定着装置42は、搬送路Sを挟んで互いに対向する定着ロール42a及び加圧ロール42bを備えている。定着ロール42aは、例えばアルミニウム等の金属製コアの周囲にシリコンゴム等の弾性体層が形成され、さらに弾性体層の表面にPFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)チューブ等からなる離型層が形成されたロール部材である。この金属製コアの内部には、例えばハロゲンランプ等の熱源が設けられており、定着ロール42aの表面温度が所定の温度となるようにロールの内部から加熱する。加圧ロール42bは、金属製コアの周囲に弾性体層が形成され、さらにPFAチューブからなる離型層が形成されたロール部材であり、図示せぬ加圧バネ等によって定着ロール42aの方向に付勢されている。定着装置42は、トナー像が二次転写された用紙に対し、定着ロール42a及び加圧ロール42bによって圧力を加えながら急速に加熱することによってトナー像を用紙に定着させる。この定着処理がなされた後に、用紙は排紙ロール43a,43bによって排紙トレイ46に排出される。
【0031】
定着装置42と排紙ロール43a,43bとの間には、用紙搬送路を形成するためのガイド44が設けられている、搬送路上方に設けられたガイドの一部には穴44aが開けられており、その穴44aの上方には赤外光感度を有するセンサ45が設けられている。図2ではセンサ45を1つのみ図示しているが、実際には3つのセンサ45が紙面奥行き方向(主走査方向)に沿って一列に並ぶようにして配置されている。このセンサ45は用紙に現れるしわの兆候を検知するために利用される。
【0032】
次に、図3のブロック図を参照しながら、画像形成装置100の制御系の構成について説明する。図3において、制御部110は、例えばMPU(Micro Processor Unit)や各種の特定用途向けのASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備えている。制御部110は、記憶部120に記憶されている制御プログラムなどに従って、画像形成装置100の画像形成ユニット10、画像読取ユニット20及び用紙供給ユニット30の動作を制御する。画像形成ユニット10には前述したセンサ45が含まれており、制御部110はこのセンサ45からの出力信号に基づいてしわが発生する兆候について監視し、しわ発生の兆候が現れたらその旨のメッセージをユーザインタフェース装置50に表示させる。
【0033】
(2)画像形成装置の動作モード
画像形成装置100の動作モードには、「通常モード」と「しわ検知モード」とがある。これらの動作モードのうち、「通常モード」は通常の画像形成処理を行う動作モードである。即ち、露光装置13によってY,M,C,Kの各色の画像データに対応した静電潜像を感光体ドラム11の表面に形成し、次いで、ロータリー現像装置14によってY,M,C,Kの各色トナーを静電潜像に電気的に転移させて顕像化する。そして、中間転写ベルト16を介してこれら各色のトナー像を重ね合わせるようにして用紙に二次転写し、さらに、定着装置42によってトナー像を用紙に定着させて排紙トレイ46に排出する。
【0034】
一方、「しわ検知モード」とは、前述したような用紙にしわが発生する兆候が現れているか否かを検知する動作モードである。画像形成装置100は、例えば電源投入時とか、所定枚数の用紙に画像を形成する毎とか、或いは、所定時間が経過する毎等の予め決められたタイミングで、動作モードを「しわ検知モード」に遷移させる。このような遷移動作を行うべく、記憶部120に記憶されている制御プログラムには、時刻を計測するための手順が記述されたコンピュータプログラムや、画像が形成された用紙の枚数をカウントするための手順が記述されたコンピュータプログラムなどが含まれている。
【0035】
しわ検知モードにおいて、まず、露光装置13は、画像形成装置100の記憶部120に予め記憶されている画像データに対応した静電潜像を感光体ドラム11の表面に形成する。この画像データは、用紙において規則的に配列される画像を表すデータである。次いで、ロータリー現像装置14は、現像器14Fに収容されている不可視トナーを上記静電潜像に電気的に転移させて顕像化する。この不可視トナー像は中間転写ベルト16に一次転写され、さらに、用紙供給源から搬送されてくる用紙に二次転写される。二次転写された不可視トナー像は定着装置42によって用紙に定着させられる。画像形成装置100は、定着装置42によって不可視トナー像を用紙に定着させてから、センサ45によって用紙上の不可視トナー像を読み取る。用紙が微少に伸び縮みしてしわの兆候が発生し始めると、それによって不可視トナー像の規則性が乱される。画像形成装置100は、その規則性の乱れをセンサ45で検知することによって、しわ発生の兆候をいち早く察知することができる。
【0036】
(3)不可視トナー像
次に、用紙に形成される不可視トナー像について具体的に説明する。
図4は、用紙に不可視トナー像が形成されている様子を示した平面図である。この図4に示すように、山形(Chevron)を表した不可視トナー像ptが副走査方向m(用紙Pの搬送方向)に沿って一定の距離間隔dで規則的に配列されることによって、副走査方向mに延びる画像列が形成されている。さらに、このような不可視トナー像ptによって構成される画像列が主走査方向nに複数個(図4では3列)並ぶようにして形成されている。
【0037】
ここで、図5は、1つの不可視トナー像ptを示した拡大図である。不可視トナー像ptは、互いに異なる方向に延びる線分pt1と線分pt2によって構成されている。これらの線分pt1,pt2はいずれも副走査方向mに平行な方向成分と、主走査方向nに平行な方向成分とを有している。即ち、線分pt1,pt2はいずれも主走査方向及び副走査方向に平行ではない。1つの線分pt1,pt2の各々が上記のような2つの方向成分を有していれば、副走査方向mと略平行な方向に延びるしわの兆候(つまり用紙の主走査方向の伸縮)が現れた場合であっても用紙上の線分pt1,pt2の位置がずれるし、主走査方向nと略平行な方向に延びるしわの兆候(つまり用紙の副走査方向の伸縮)が現れた場合であっても用紙上の線分pt1,pt2の位置がずれることになる。図5には、特に好適な場合を例示しており、線分pt1,pt2は主走査方向mに対し、右側と左側にそれぞれ45°だけ傾いており、線分pt1と線分pt2とは互いに90°をなしている。
【0038】
次に、図6は、センサ45の平面図である。センサ45は4つのフォトダイオードD11,D12,D21,D22によって構成されている。さらに、フォトダイオードD11及びフォトダイオードD12によって1組のセンサD1が構成されており、フォトダイオードD21及びフォトダイオードD22によって1組のセンサD2が構成されている。副走査方向(搬送方向)mの上流側に配置されたフォトダイオードD12,D22は、検出レベルに応じたマイナス方向の出力信号を出力する。一方、副走査方向(搬送方向)mの下流側に配置されたフォトダイオードD11,D21は、検出レベルに応じたプラス方向の出力信号を出力する。フォトダイオードD11,D12,D21,D22は、搬送方向mに対して、それぞれ線分pt1,pt2と同様の角度45°だけ傾くように左右対称で設けられている。このようにフォトダイオードD11,D12,D21,D22は線分pt1,pt2と同様の角度45°だけ傾いて配置されているから、用紙が伸び縮みすることによって線分pt1,pt2の位置がずれた場合、そのずれを正確に検知することができる。また、前述した図5を用いて説明したように、線分pt1,pt2はそれぞれ搬送方向mに対して45°だけ傾いているから、用紙が副走査方向mにΔdだけ伸び縮みした場合には、線分pt1の位置がずれる量と線分pr2の位置がずれる量とはいずれもΔdで、その比は1:1になるはずである。同様に、用紙が主走査方向nにΔdだけ伸び縮みした場合に、線分pt1の位置がずれる量と線分pr2の位置がずれる量とはいずれもΔdで、その比は1:1になるはずである。このような関係を利用して線分pt1,pt2の位置のずれ量を解析すれば、しわ発生の兆候が存在する領域の位置を特定することも可能である。
【0039】
次に、図7は、不可視トナー像が形成された用紙Pが定着装置42を通過する際の様子を図2の矢印x方向から見たときの平面図である。なお、説明をわかりやすくするため、定着装置42と排紙ロール43a,43bとの間に設けられたガイド44は図示していない。図7において、定着ロール42aと排紙ロール43aが図中矢印e方向に回転することによって、用紙Pは副走査方向mへと搬送され、画像形成装置100の筐体1に設けられた排紙口から排紙トレイ46に排出される。また、センサ45として、不可視トナー像の列に対応するように3つのセンサ45a,45b,45cが主走査方向nに沿って並ぶようにして設けられている。これらのセンサ45a,45b,45cは、それぞれに対応する列を構成する不可視トナー像ptを読み取る。
【0040】
ここで、図8は、副走査方向mに平行なしわが発生する兆候が現れた時の様子を模式的に示した図である。図8において連続する個々の山形画像に対しては、図中上から順に、pt−a,pt−b,pt−c,pt−dという符号を付している。図8に示すように、副走査方向mに平行に延びる領域Rにおいて、しわの兆候である微少な縮み(縮み量Δd)が発生した場合、領域Rの発生位置から見て主走査方向nの反対側に存在する不可視トナー像pt−c,pt−dの位置は主走査方向nにΔdだけ移動する。図8では、不可視トナー像pt−c,pt−dが、点線pt−c’,pt−d’で表した本来の位置から、領域Rに近づくように実線で表した位置へと右に移動していることを示している。
【0041】
ここで、点線f1はセンサD1のセンシング面中心を表しており、点線f2はセンサD2のセンシング面中心を表している。センシング面中心f1,f2上の不可視トナー像pt−aと不可視トナー像pt−bとの間隔は一定の距離間隔dである。ところが、不可視トナー像pt−c,pt−dが領域Rに近づく方向にΔdだけずれると、センシング面中心f1上の不可視トナー像pt−bと不可視トナー像pt−cとの間隔はd+Δdとなり、センシング面中心f2上の不可視トナー像pt−bと不可視トナー像pt−cとの間隔はd−Δdとなる。従って、センサD1が不可視トナー像pt−bを読み取ってから不可視トナー像pt−cを読み取るまでの時間間隔と、センサD2が不可視トナー像pt−bを読み取ってから不可視トナー像pt−cを読み取るまでの時間間隔とが異なる値になる。
【0042】
このように、連続する2つの山形をそれぞれ表す2本の線分が予め決められた時間間隔とは異なる時間間隔で読み取られ、且つ、これらの山形を表す一方の線分と他方の線分とが異なる時間間隔で読み取られた場合には、制御部110は、副走査方向mと略平行な方向に延びるしわが発生する兆候がある旨のメッセージをユーザインタフェース装置50に表示させる。なお、図8は、領域Rに縮みが発生した場合で説明したが、これとは逆に、領域Rに伸びが発生した場合も上記と同様の原理に基づいて、制御部110は副走査方向mと略平行な方向に延びるしわが発生する兆候があることを認識することができる。
【0043】
次に、図9は、主走査方向nに平行なしわが発生する兆候が現れた時の様子を模式的に示した図である。図9において連続する個々の山形に対しては、図中上から順に、pt−a,pt−b,pt−c,pt−dという符号を付している。図9に示すように、主走査方向nに平行に延びる領域Rにおいて、しわの兆候である微少な縮み(縮み量Δd)が発生した場合、領域Rの発生位置から見て副走査方向mの反対方向側に存在する不可視トナー像pt−c,pt−dの位置は、副不走査方向mにΔdだけ移動する。図9では、不可視トナー像pt−c,pt−dが、点線pt−c’,pt−d’で表した本来の位置から、領域Rに近づくように実線で表した位置へと上に移動していることを示している。
【0044】
ここで、センシング面中心f1,f2上の不可視トナー像pt−aと不可視トナー像pt−bとの間隔は一定の距離間隔dである。ところが、不可視トナー像pt−c,pt−dが領域Rに近づく方向にΔdだけずれると、センシング面中心f1上の不可視トナー像pt−bと不可視トナー像pt−cとの間隔はd−Δdとなる。同様に、センシング面中心f2上の不可視トナー像pt−bと不可視トナー像pt−cとの間隔もd−Δdとなる。つまり、前述した図8の場合とは異なり、センサD1とセンサD2がそれぞれ不可視トナー像pt−bを読み取ってから不可視トナー像pt−cを読み取るまでの時間間隔が同じ値になる。
【0045】
このように、連続する2つの山形をそれぞれ表す2本の線分が予め決められた時間間隔とは異なる時間間隔で読み取られ、且つ、これらの山形を表す2本の線分が同じ時間間隔で読み取られた場合には、制御部110は、主走査方向nと略平行な方向に延びるしわが発生する兆候がある旨のメッセージをユーザインタフェース装置50に表示させる。なお、図9は、領域Rに縮みが発生した場合で説明したが、これとは逆に、領域Rに伸びが発生した場合も上記と同様の原理に基づいて、制御部110は、主走査方向nと略平行な方向に延びるしわが発生する兆候があることを認識することができる。
【0046】
(4)動作例
図10は、不可視トナー像がセンサ45の検出領域に進入するタイミングと、センサ45によって検知されるレベル山形と、センサ45によって出力される出力信号との関係を例示した図である。前述したように、搬送方向上流側のフォトダイオードD12,D22は、検出レベルに応じたマイナス方向のレベル山形を出力し、搬送方向下流側に配置されたフォトダイオードD11,D21は、検出レベルに応じたプラス方向のレベル山形を出力する。従って、フォトダイオードD12,D22による検出領域に対し、そのフォトダイオードD12,D22の傾きと同じ傾きを持つ不可視トナー像ptが進入すると、まず、マイナス方向のレベル山形が現れる。次いで、その不可視トナー像ptがフォトダイオードD11,D21による検出領域に進入すると、プラス方向のレベル山形が現れる。このセンサ45には予め閾値kが設定されており、レベル山形がこの閾値k未満の場合には、センサ45はロー(L)レベル信号を制御部110に出力する。一方、レベル山形が閾値k以上の場合には、センサ45はハイ(H)レベル信号を制御部110に出力する。
【0047】
制御部110は、この出力信号がローレベルからハイレベルへ立ち上がったタイミングと、その次の立ち上がりのタイミングとの間の時間tが所定の値t0であれば、しわ発生の兆候はないと判断する。即ち、一定の距離間隔dで形成した不可視トナー像を一定の時間間隔t0で読み取った場合には、不可視トナー像が本来の規則性を有しているから、用紙は伸び縮みしておらず、しわ発生の兆候はないというわけである。なお、このt0は、用紙の搬送速度と不可視トナー像の距離dとに基づいて予め計算により求めることができるので、これを予め記憶部120に記憶させておけばよい。また、計測値である時間tは誤差を含む場合もあり得るので、計測値tがt0から一定の微少な値Δt0だけずれたとしても、t0に一致するとみなすようにしてもよい。
【0048】
これに対し、図11に示すように、時間tが所定の値t0ではない値(図ではt1,t2,t3、t4)の場合には、不可視トナー像ptの位置がずれてきていることを意味するので、制御部110はしわ発生の兆候があると判断する。即ち、一定の距離間隔dで形成されたはずの不可視トナー像を一定の時間間隔t0で読み取ることができなかった場合には、不可視トナー像が規則性を有していないから、用紙が伸び縮みしており、しわ発生の兆候があるというわけである。この場合、制御部110は、図8,9を用いて説明したような原理に基づいて、主走査方向と略平行な方向に延びるしわが発生する兆候があるのか、或いは、副走査方向と略平行な方向に延びるしわが発生する兆候があるのかを判断し、その判断結果に応じた情報を出力する。例えば主走査方向に沿ったしわが発生する兆候があれば、制御部110は、その旨を表すメッセージをユーザインタフェース装置50に表示させるし、一方、副走査方向に沿ったしわが発生する兆候があれば、その旨を表すメッセージをユーザインタフェース装置50に表示させるといった具合である。
【0049】
さらに、個々の山形画像が読み取られた時間間隔(t1,t2、t3,t4)と、予め決められた一定の時間間隔t0との時間差に基づいて、しわの発生する兆候の度合いを予測することも可能である。具体的には、時間間隔t1,t2,t3,t4と時間間隔t0との時間差に対して用紙の搬送速度を乗算してΔdを求めれば、そのΔdが用紙(領域R)の伸縮量にほぼ相当することになる。この伸縮量はしわが発生する兆候の度合いを示すものであるから、制御部110は、この度合いに応じて、例えばしわが発生する可能性が大きいとか、しわが発生するまでにはまだ時間的な余裕があるといったような各種情報をユーザインタフェース装置50に表示させればよい。なお、不可視トナー像が読み取られた後の用紙Pはそのまま排紙トレイ46に排出する等すればよい。
【0050】
以上説明したように、用紙にしわが発生し始める前には、用紙が不均一に延びたり縮んだりしてくるため、用紙に形成されている不可視トナー画像の規則性が乱れてくる。本実施形態に係る画像形成装置100は、その規則性に乱れがあるか否かを判断し、乱れがあると判断された場合には、用紙におけるしわの発生に関連した情報を出力する。よって、画質に重大な影響を及ぼすようなしわが発生する前に、しわ発生に関連する情報をユーザに伝えることができる。
【0051】
また、センサD1,D2が、連続する2つの山形をそれぞれ表す2本の線分を予め決められた時間間隔t0とは異なる時間間隔で読み取り、且つ、これらの山形を表す一方の線分と他方の線分とをそれぞれ異なる時間間隔で読み取った場合には、制御部110は副走査方向mと略平行な方向に延びるしわが発生する兆候がある旨のメッセージを出力する。一方、センサD1,D2が、連続する2つの山形をそれぞれ表す2本の線分を予め決められた時間間隔t0とは異なる時間間隔で読み取り、且つ、これらの山形を表す一方の線分と他方の線分とを同じ時間間隔で読み取った場合には、制御部110は、主走査方向nと略平行な方向に延びるしわが発生する兆候がある旨のメッセージを出力する。このように不可視トナー像が読み取られた時間間隔に応じて、発生する可能性のあるしわの方向や位置を特定することが可能となる。さらに、発生するしわの大きさを予測することも可能である。
【0052】
(5)変形例
上述した実施形態は次のような変形が可能である。
実施形態においては、像担持体としての感光体ドラム11とロータリー現像装置14とを備えたいわゆるサイクル方式や画像形成装置を例に挙げて説明したが、この他にも、例えば、複数の感光体ドラムを中間転写ベルトに外周に沿って直列に配置したいわゆるタンデム方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置100はY,M,C,K4色のトナー(現像剤)を用いたカラー画像を形成するものに限定されず、レッド、ブルー、グリーン等の色の現像剤を用いるものであってもよいし、モノクロ画像を形成するものであってもよい。
【0053】
ここで、図12は、タンデム方式の画像形成装置に本発明を適用した場合の画像形成装置101の構成を示した図である。図12において、画像形成エンジン1Y,1M,1C,1Kはそれぞれ、イエロー(Y)色、マゼンダ(M)色、シアン(C)色およびブラック(K)色の各色のトナー像を形成する。また、画像形成エンジン1Fは、不可視トナーを用いた不可視トナー像を形成する。例えば画像形成エンジン1Yは、矢印A方向に回転する感光体11ドラムYと、感光体ドラム11Yを決められた帯電電位に一様に帯電させる帯電装置12Yと、Y,M,C,K各色の画像データのうちY(イエロー)の画像データに応じた光を感光体ドラム11Yに照射して静電潜像を形成する露光装置13Yと、静電潜像にイエローのトナーを供給し感光体ドラム11Yの表面にトナー像を形成させる現像装置14Yと、中間転写ベルト2にトナー像を一次転写するための一次転写ロール15Yと、一次転写後の感光体ドラム11Yの表面に残留するトナーを除去するクリーニング装置16Yとを備えている。また、画像形成エンジン1Fは、感光体ドラム11Fと、感光体ドラム11Fを決められた帯電電位に帯電させる帯電装置12Fと、画像形成装置101によって予め記憶された不可視トナー像を示す画像データに応じた光を感光体11Fに照射して静電潜像を形成する露光装置13Fと、静電潜像に不可視トナーを供給し感光体11Fの表面に不可視トナー像を形成させる現像装置14Fと、中間転写ベルト2に不可視トナー像を一次転写するための一次転写ロール15Fと、一次転写後の感光体11Fの表面に残留するトナーを除去するクリーニング装置16Fとを備えている。これ以外の画像形成エンジン1M,1C,1Kの構成も、トナーの種類が異なる点を除けば、画像形成エンジン1K,1Fとほぼ同様である。
【0054】
中間転写ベルト2は、複数の各種ロール3に掛け渡されており、これらロール3によって矢印B方向に周回移動させられる。このように周回移動させられる中間転写ベルト2には、画像形成エンジン1Y,1M,1C,1Kによって形成されたトナー像が重ね合わされるようにして一次転写される。また、この中間転写ベルト2には、画像形成エンジン1Fによって形成された不可視トナー像が一次転写される。
【0055】
用紙トレイ4には用紙が複数枚収容されており、給紙トレイ4aによって搬送路に送り出された用紙は複数の搬送ロール5によって矢印C方向に搬送される。二次転写ロール6は、上述したように中間転写ベルト2に一次転写されたトナー像を、搬送路上を搬送される用紙にベルト二次転写する。定着装置7は、用紙に二次転写されたトナー像を加熱および加圧することによって用紙に定着させる。定着装置7と排紙ロール8との間には、用紙搬送路を形成するためのガイド9が設けられている、搬送路上方に設けられたガイドの一部には穴9aが開けられており、その穴9aの上方には赤外光感度を有するセンサ9bが設けられている。図12ではセンサ9bを1つのみ図示しているが、実際には3つのセンサ9bが紙面奥行き方向に一列に並ぶようにして配置されている。このセンサ9bは用紙上の不可視トナー像を読み取り、その読み取り結果に応じて図10乃至図11に示すような出力信号を出力する。画像形成装置101の制御部はこのセンサ9bからの出力信号に基づいて、しわが発生する兆候について監視しており、しわ発生の兆候が現れたらその旨のメッセージを画像形成装置101の筐体上面に設けられたユーザインタフェース装置50に表示させる。以上が、タンデム方式の画像形成装置に
本発明を適用した場合の実施例である。
【0056】
不可視トナー像の山形形状や配置パターンは図4に例示したものに限らず、どのようにして山形を表してもよいし、その配置パターンも任意である。
【0057】
また、実施形態では、通常の画像形成モードとは異なるしわ検知モードにおいて、用紙に不可視トナー像のみを形成してしわ発生の兆候を監視するようにしていたが、これに限らない。例えば、通常の画像形成モードにおいて形成される画像に不可視トナー像を重ね合わせてもよい。不可視トナー像の材料として適切なものを選択すれば、例えば特開2003−186238号公報に記載されているように、可視画像と不可視画像とが混在しているような画像であっても、センサは可視画像に邪魔されることなく不可視画像のみを正確に読み取ることが可能である。しわの兆候を検知するための画像が不可視であれば、その不可視画像の存在をユーザに知られる必要がないとか、或いは、その不可視画像が形成された用紙を再度使用することができるといった様々なメリットがある。ただし、これらのメリットを受ける必要がない場合には、しわの兆候を検知するための画像は必ずしも不可視である必要はなく、Y,M,C,K等の可視トナーを用いた可視画像であってもよい。
【0058】
また、センサ45はフォトダイオードに限定されず、画像を読み取ることが可能なセンサであればよい。例えばCCDであっても良い。
【0059】
また、定着装置42は2つのロール部材によって構成されるものに限らず、要は、用紙の搬送路を挟んで対向する一対の部材が接触するニップ領域において、その用紙を加熱及び加圧することによってトナー像を用紙に定着させるような構成であればよい。例えば定着ロールと加圧ロールとの間にベルト部材を挟みこみ、加圧ロールを定着ロール側に付勢することでニップ領域を形成した定着装置であってもよい。また、チューブ部材の内側にパッド乃至ロールを設けておき、そのパッド乃至ロールを、チューブを介して定着ロール側に付勢することでニップ領域を形成した定着装置であってもよい。
【0060】
また、実施形態においては、トナー像が形成される記録材の一例として用紙を挙げて説明したが、これ以外にも、例えばOHPフィルム等のプラスティックや布などの種々の記録材を用いることができる。
【0061】
なお、実施形態で述べた制御部110によって実行される制御プログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、CD(Compact Disk)−ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、RAMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態において発生するしわの方向を説明する模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図3】同画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】同画像形成装置によって用紙に形成される不可視トナー像を示す平面図である。
【図5】不可視トナー像を示す図である。
【図6】センサの構成を示す図である。
【図7】不可視トナー像が形成された用紙が定着装置と排紙ロールとを通過する様子を示した平面図である。
【図8】副走査方向mに平行なしわの兆候が発生したときの様子を模式的に示した図である。
【図9】主走査方向nに平行なしわの兆候が発生したときの様子を模式的に示した図である。
【図10】不可視トナー像がセンサの検出領域に差し掛かるタイミングと、センサによって検知される検知信号の山形及びセンサによって出力される出力信号の山形との関係を例示した図である。
【図11】不可視トナー像がセンサの検出領域に差し掛かるタイミングと、センサによって検知される検知信号の山形及びセンサによって出力される出力信号の山形との関係を例示した図である。
【図12】本発明の変形例に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
100・・・画像形成装置、10・・・画像形成ユニット、11・・・感光体ドラム、12・・・帯電装置、13・・・露光装置、14・・・ロータリー現像装置、14Y,14M,14C,14K,14F・・・現像器、16・・・中間転写ベルト、18・・・一次転写ロール、19・・・二次転写ロール、20・・・画像読取ユニット、30・・・用紙供給ユニット、31a,31b,31c・・・用紙トレイ、42・・・定着装置、43・・・排紙ロール、44・・・ガイド、45(45a,45b,45c)・・・センサ、50・・・ユーザインタフェース装置、110・・・制御部、120・・・記録部、pt・・・不可視トナー像、D11,D12,D21,D22・・・フォトダイオード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向及び副走査方向のいずれにも平行でなく且つそれぞれ異なる方向に延びる2本の線分によって山形を表す山形画像を、副走査方向に沿って所定の間隔で像担持体に複数個形成し、該画像を記録材に転写する画像形成手段と、
前記記録材の搬送路を挟んで対向する一対の部材が接触するニップ領域において、前記記録材を加熱及び加圧することによって前記山形画像を前記記録材に定着させる定着手段と、
前記記録材を副走査方向に搬送しながら、前記定着手段によって記録材に定着させられた複数の前記山形画像を順次読み取る読取手段と、
前記読取手段が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で複数の前記山形画像を読み取った場合には、その読み取った時間間隔に応じて、前記記録材の副走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報または前記記録材の主走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する情報出力手段と
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
可視画像を像担持体に形成し、該画像を記録材に転写する可視画像形成手段と、
主走査方向及び副走査方向のいずれにも平行でなく且つそれぞれ異なる方向に延びる2本の線分によって山形を表す不可視の山形画像を、副走査方向に沿って所定の間隔で像担持体に複数個形成し、該画像を記録材に転写する不可視画像形成手段と、
前記記録材の搬送路を挟んで対向する一対の部材が接触するニップ領域において、前記記録材を加熱及び加圧することによって前記可視画像又は前記山形画像を前記記録材に定着させる定着手段と、
前記記録材を副走査方向に搬送しながら、前記定着手段によって記録材に定着させられた複数の前記山形画像を順次読み取る読取手段と、
前記読取手段が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で複数の前記山形画像を読み取った場合には、その読み取った時間間隔に応じて、前記記録材の副走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報または前記記録材の主走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する情報出力手段と
を備えた画像形成装置。
【請求項3】
前記情報出力手段は、前記読取手段によって複数の前記山形画像が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で読み取られ、且つ、該山形画像を表す2本の線分のうち一方の線分と他方の線分とがそれぞれ異なる時間間隔で読み取られた場合には、副走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記情報出力手段は、前記読取手段によって複数の前記山形画像が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で読み取られ、且つ、該山形画像を表す2本の線分のうち一方の線分と他方の線分とがほぼ同じ時間間隔で読み取られた場合には、主走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記読取手段によって複数の前記山形画像が読み取られた時間間隔と前記所定の時間間隔との時間差を求め、その時間差と前記記録材の搬送速度に基づいて、該記録材の伸縮量を算出する算出手段を備え、
前記情報出力手段は、前記算出手段によって算出された伸縮量に応じた内容の情報を出力する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項1】
主走査方向及び副走査方向のいずれにも平行でなく且つそれぞれ異なる方向に延びる2本の線分によって山形を表す山形画像を、副走査方向に沿って所定の間隔で像担持体に複数個形成し、該画像を記録材に転写する画像形成手段と、
前記記録材の搬送路を挟んで対向する一対の部材が接触するニップ領域において、前記記録材を加熱及び加圧することによって前記山形画像を前記記録材に定着させる定着手段と、
前記記録材を副走査方向に搬送しながら、前記定着手段によって記録材に定着させられた複数の前記山形画像を順次読み取る読取手段と、
前記読取手段が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で複数の前記山形画像を読み取った場合には、その読み取った時間間隔に応じて、前記記録材の副走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報または前記記録材の主走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する情報出力手段と
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
可視画像を像担持体に形成し、該画像を記録材に転写する可視画像形成手段と、
主走査方向及び副走査方向のいずれにも平行でなく且つそれぞれ異なる方向に延びる2本の線分によって山形を表す不可視の山形画像を、副走査方向に沿って所定の間隔で像担持体に複数個形成し、該画像を記録材に転写する不可視画像形成手段と、
前記記録材の搬送路を挟んで対向する一対の部材が接触するニップ領域において、前記記録材を加熱及び加圧することによって前記可視画像又は前記山形画像を前記記録材に定着させる定着手段と、
前記記録材を副走査方向に搬送しながら、前記定着手段によって記録材に定着させられた複数の前記山形画像を順次読み取る読取手段と、
前記読取手段が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で複数の前記山形画像を読み取った場合には、その読み取った時間間隔に応じて、前記記録材の副走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報または前記記録材の主走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する情報出力手段と
を備えた画像形成装置。
【請求項3】
前記情報出力手段は、前記読取手段によって複数の前記山形画像が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で読み取られ、且つ、該山形画像を表す2本の線分のうち一方の線分と他方の線分とがそれぞれ異なる時間間隔で読み取られた場合には、副走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記情報出力手段は、前記読取手段によって複数の前記山形画像が所定の時間間隔とは異なる時間間隔で読み取られ、且つ、該山形画像を表す2本の線分のうち一方の線分と他方の線分とがほぼ同じ時間間隔で読み取られた場合には、主走査方向と略平行な方向に延びるしわの発生に関連した情報を出力する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記読取手段によって複数の前記山形画像が読み取られた時間間隔と前記所定の時間間隔との時間差を求め、その時間差と前記記録材の搬送速度に基づいて、該記録材の伸縮量を算出する算出手段を備え、
前記情報出力手段は、前記算出手段によって算出された伸縮量に応じた内容の情報を出力する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−15614(P2006−15614A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195927(P2004−195927)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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