説明

画像形成装置

【課題】無線通信技術を適用した画像形成装置において、良好な通信状態の確保を実現すること目的とする。又、良好な通信状態を確保するに当たって、電気ノイズ対策の効果低減や同軸ケーブルを使用しないことでの低コスト化、ユーザビリティーの向上、外観的な見栄え悪化を伴わないことを目的とする。
【解決手段】装置本体内に記録材を給紙する給紙手段と、記録材に画像を形成する画像形成部と、装置本体外に記録材を排紙する排紙手段とを有し、給紙手段と画像形成部が金属板から成る2つの側板の間に配置されている画像形成装置において、2つの側板の片側一方の側板の前記給紙手段側の上部に切り欠き部を有し、切り欠き部に外部情報機器からの画像出力データや画像形成装置のエラー等の情報を送受信する無線通信手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【0002】
ここで画像形成装置としては、例えば電子写真複写機・プリンタ・ワードプロセッサ及びファクシミリ装置等が含まれる。
【背景技術】
【0003】
以下に画像形成装置の一例としてレーザービームプリンターを例に挙げて説明する。
【0004】
従来の画像形成装置の例として、図6を用いて概略構成を説明する。図6は従来の画像形成装置の主要機構部の概略斜視図である。
【0005】
図6において、画像形成装置1は、給紙手段である装置本体の底部に設けられたカセット給紙装置8と、画像形成部の一部であり装置本体から着脱可能なプロセスカートリッジ13を有している。19は排紙手段である排紙ローラ対であり、11はレーザースキャナーであり、レーザースキャナー保持ステー23に固定されている。カセット給紙装置8と、画像形成部と、レーザースキャナー保持ステー23は、板金で構成された右側板24と、板金で構成された左側板25とに挟まれて装置本体の枠体を構成している。左側板25の装置本体外側には、ホストコンピューター等の外部情報機器からの画像作成要求情報を処理するビデオコントローラボード26が設置してある。ビデオコントローラボード26は、外部接続用ケーブルコネクタ36により外部情報機器と接続されている。
【0006】
ところで、近年では、無線通信技術が発達してコンピューター等の情報処理装置にも多く搭載され始めている。そして、画像形成装置1に関しても、当然、無線通信技術が応用され、ケーブルコネクタレスで画像形成装置1を使用することが考えられる。
【0007】
従来の画像形成装置1に無線通信技術を採用する場合には、無線通信用アンテナや無線通信用回路を、外部接続用のインターフェース機能を持つビデオコントローラボード26に実装することが考えられる。
【0008】
又、無線通信技術を採用したプリンタの例として、特許文献1の図1のように無線通信用アンテナとプリンタを同軸ケーブルで接続しているものがある。
【0009】
【特許文献1】特開平11−138944号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来例のように、画像形成装置1に、無線通信用アンテナや無線通信用回路を、外部接続用のインターフェース機能を持つビデオコントローラボード26に実装すると、無線通信用アンテナが左側板の本体外側に配置されるため、電波が左側板に遮断されて、装置本体の右側板の外側領域では、良好な通信状態が確保できないという問題が発生する。
【0011】
又、ホストコンピューター等の外部情報機器からの画像作成要求情報を処理する電子回路を実装されたビデオコントローラボード26は、電気ノイズ対策のため金属板から成るシールドケース内に配置されることもある。無線通信用アンテナや無線通信用回路を、実装したビデオコントローラボード26が電気ノイズ対策のシールドケース内に配置されると、良好な通信状態を確保するためにシールドケースに開口を設ける必要がある。しかし、シールドケースに開口を設けると電気ノイズ対策の効果が低減するため、良好な通信状態の確保と電気ノイズ対策を両立するのは難しかった。
【0012】
又、無線通信技術を採用したプリンタの例として、特許文献1の図1のように無線通信用アンテナとプリンタを同軸ケーブルで接続しているものがあり、同軸ケーブルを用いて無線通信用アンテナを装置本体より引き出して使用することにより、良好な通信状態を確保する技術も提案されている。
【0013】
しかしながら、この構成では、同軸ケーブルを使用することでコストアップする。又、同軸ケーブルを用いて無線通信用アンテナを装置本体より引き出して使用することにより設置手番が増えるため、ユーザビリティ―が低下するとともに、外観的に見栄えが悪くなってしまっていた。
【0014】
本発明では、無線通信技術を適用した画像形成装置において、良好な通信状態の確保を実現すること目的とする。又、良好な通信状態を確保するに当たって、電気ノイズ対策の効果低減や同軸ケーブルを使用しないことでの低コスト化、ユーザビリティーの向上、外観的な見栄え悪化を伴わないことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は、装置本体内に記録材を給紙する給紙手段と、記録材に画像を形成する画像形成部と、装置本体外に記録材を排紙する排紙手段とを有して、給紙手段と画像形成部が金属板から成る2つの側板の間に配置されている画像形成装置において、2つの側板の片側一方の側板の前記給紙手段側の上部に切り欠き部を有し、切り欠き部に外部情報機器からの画像出力データや画像形成装置のエラー等の情報を送受信する無線通信手段を設けたことを特徴とする。
【0016】
又、無線通信手段は、アンテナ素子を実装した無線通信基板から成り、切り欠き部に無線通信基板を保持するモールド樹脂材で成形された無線通信基板保持部材を有していることを特徴とする。
【0017】
又、画像形成装置は無線通信基板で受信した信号を画像出力するために演算処理する電子回路を持つコントローラ基板を有して、無線通信基板とコントローラ基板は、装置本体の同一側面に配置され、コントローラ基板はシールド部材に収納されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、2つの側板の片側一方の側板の給紙手段側の上部に切り欠き部を有し、切り欠き部に外部情報機器からの情報を送受信する無線送受信手段を設けたことにより電波が側板で遮断されることなく、良好な送受信状態を確保することができる。
【0019】
又、無線送受信手段は、アンテナ素子を実装した無線送受信基板から成り、切り欠き部に無線送受信基板を保持するモールド樹脂材で成形された無線送受信基板保持部材を有していることにより、電波が側板で遮断されることなく、良好な送受信状態を確保することができる。
【0020】
又、画像形成装置は前記無線通信基板で受信した信号を画像出力するために演算処理する電子回路を持つコントローラ基板を有して、無線通信基板とコントローラ基板は、装置本体の同一側面に配置され、コントローラ基板はシールド部材に収納されていることにより、電波が側板で遮断されることなく、又、コントローラ基板から発生する電気ノイズで電波が乱れることなく、良好な送受信状態を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<実施の形態1>
以下に本発明の画像形成装置の一実施例を感光体にレーザー光を走査して記録する電子写真方式を採用するレーザービームプリンタを例に説明する。
【0022】
図1は本発明に係る画像形成装置1の断面図、図2は同画像形成装置1の主要機構部の斜視図である。
【0023】
本実施の形態に係るレーザービームプリンタの概略構成を以下に説明する。
【0024】
図中、2は画像形成装置内に給送される記録材である記録紙Pを収納する記録材収納手段の給紙カセットであり、該給紙カセット2に収納された記録紙Pは、給紙カセット2の上部前端側に配設された給紙手段である給紙ローラ3に押圧部材である加圧板4により押圧され、ピックアップされる。そして、分離手段を構成する分離パッド5と給紙ローラ3によって1枚ずつ分離され、第1搬送ローラ対6に向けて給紙される。第1搬送ローラ対6は、湾曲した搬送路7中に設けられ給紙装置8から給紙された記録紙Pを第2搬送ローラ対9に搬送する。そして、記録紙Pは、第2搬送ローラ対9により転写部に搬送される。10はレジストセンサーであり、これは記録紙Pの先端位置と露光光源であるレーザースキャナ11の発光タイミングを同期させ、記録紙P上の所定位置から画像の描き出しをするものである。12は折り返しミラーである。
【0025】
13は感光体14、現像器、クリーナ、帯電ローラ等の画像形成手段から成るプロセスカートリッジであり、15は感光体14上の顕画像を記録材P上に転写させる転写ローラ、16は転写後の記録材Pを定着器17まで案内する搬送ガイドであり、定着器17は、記録材P上の顕画像を加熱定着する。18は加熱定着後の記録紙Pの記録紙先端位置と記録紙後端位置を検出して、ジャム検知する排紙センサーである。
【0026】
加熱定着後の記録材Pは、排紙ローラ対19により外装カバー20と一体で形成されている排紙トレイ21上に排出される。
【0027】
(記録材搬送路について)
図1に示すように、給紙カセット2は、装置本体の下部(図1の下部分)に設けられ、排紙トレイ21が装置本体の上部に設けられている。そして、給紙カセット2の先端部と排紙トレイ21の後端部とは、画像形成部、定着器17を含めて構成される搬送路で連結されており、これらは全体としてS字のパスを構成している。給紙カセット2を装置本体の下部、排紙トレイ21を装置本体の上部としたS字パスの搬送路とすることで、装置本体をコンパクトにまとめ、設置面積を低減している。
【0028】
(レーザースキャナ配置について)
図1に示すようにレーザースキャナ11は、ユニット配置としてはそれぞれスキャナーポリゴン11aから右上がりの配置となっている。ここで、画像形成装置の大きさを出来るだけ小型にするためには、図1に示すように給紙装置〜転写手段〜定着器にかけての記録材搬送経路に対して略垂直な方向から感光体14にレーザー光を入射することが最も有効である。このような構成とすることによって、画像形成装置の奥行き及び高さを最小の寸法に収めることが可能となっている。
【0029】
(電装系レイアウトについて)
22はAC電源及びDC電源、高圧電源から成る電装部である。図1に示すように現像部〜定着器にかけての記録材搬送経路の下部で、給紙カセット2の上部に配置することで、装置本体のスペースを無駄なく利用して電装部22による設置面積の増大を防いでいる。又、現像部〜定着器にかけての記録材搬送経路の下部に電装部を配置することにより、転写ローラ15や定着器17との電気的接続に必要な束線類の簡略化することができる。
【0030】
(本体枠体構成について)
図1及び図2に示すように、画像形成装置1は、装置本体の底部に給紙カセット2、給紙ローラ3を含むカセット給紙装置8と、画像形成部の一部であり装置本体から着脱可能なプロセスカートリッジ13と、記録材搬送路16、レーザースキャナー11、定着器17、排紙ローラ対19、電装部22を有している。レーザースキャナー11は、レーザースキャナー保持ステー23に固定されている。カセット給紙装置8と、画像形成部と、記録材搬送路と、レーザースキャナー11と、定着器17と、排紙ローラ対19と、電装部22の主要機構部は板金で構成された右側板24と、板金で構成された左側板25とに挟まれて装置本体の枠体を構成している。板金で構成された右側板24と、板金で構成された左側板25で主要機構部を挟み本体枠体を構成することで、製品剛性を確保すると共に、電装部22から発生する電気ノイズを低減している。
【0031】
(ビデオロントローラボードと無線通信用基板の配置について)
ホストコンピュータ等の外部情報機器からの画像作成要求情報を処理するビデオコントローラボード26は、左側板25の装置本体外側に取り付けられている。図3に装置本体の左側面図を示す。
【0032】
図3に示すように、左側板25は、装置本体の給紙側の上部に切り欠き部27を設けていて、この切り欠き部27に無線通信用基板28を保持する非導電樹脂材質から成る無線通信用基板ホルダー29を設置している。無線通信用基板28には、アンテナ素子30が装置本体の上方側に実装されている。無線通信用基板28とビデオコントローラボード26はコネクタケーブル31により接続されていて、無線通信用基板28で受信した外部情報は、ビデオコントローラボード26で処理され装置本体の電装部22に送られる。ビデオコントローラボード26と電装部22は、コネクタ32で接続されている。
【0033】
本発明の無線通信技術を適用した画像形成装置1においては、左側板25は、装置本体の給紙側の上部に切り欠き部27を設けていて、この切り欠き部27に非導電樹脂材質から成る無線通信用基板ホルダー29を設置して、無線通信用基板ホルダー29に無線通信用基板28を配置することにより、左側板25による電波の遮断がなく良好な受信状態が確保でき、装置本体の設置場所の自由度が増える効果がある。
【0034】
又、本実施の形態では、左側板25の装置本体給紙側上部に切り欠き部27を設けていて、無線通信用基板28を配置したが、右側板24の装置本体給紙側上部に切り欠き部を設けて、無線通信用基板28を配置しても同様な効果がある。
【0035】
<実施の形態2>
次に、本発明に係る給紙装置の実施の形態2について説明する。
【0036】
図4は本発明に係る画像形成装置1の実施の形態2の主要機構部の斜視図であり、実施の形態1との違いのみ述べることにして、その他についての説明は省略する。
【0037】
図4に示す画像形成装置1では、ビデオコントローラボード26は、電気ノイズ対策のため板金で構成されたシールドケース33に収納されている。
【0038】
本発明の無線通信技術を適用した画像形成装置1においても、左側板25は、装置本体の給紙側の上部に切り欠き部27を設けていて、この切り欠き部27に非導電樹脂材質から成る無線通信用基板ホルダー29を設置して、無線通信用基板ホルダー29に無線通信用基板28を配置することにより、左側板25による電波の遮断がなく良好な受信状態が確保でき、装置本体の設置場所の自由度が増える効果がある。又、ビデオコントローラボード26の動作時に発生する電気ノイズによる電波の乱れも低減することができ、より良好な受信状態を維持することができる。
【0039】
<実施の形態3>
次に、本発明に係る給紙装置の実施の形態3について説明する。
【0040】
図5(a),(b)は本発明に係る画像形成装置1の実施の形態3を示す概略斜視図である。以下、実施の形態1,2との違いのみ述べ、その他についての説明は省略する。
【0041】
図5(a)に示す画像形成装置1では、B面を装置本体正面として構成され、給紙カセット2は装置本体正面方向(矢印A方向)に着脱可能になっている。34は開閉可能な開閉カバーであり、図5(b)に示すように、開いた状態でプロセスカートリッジ13を取り出すことができる。装置本体上面部の外装カバー20は、排紙トレイ21を一体で成形されていて、排紙トレイ21上に排紙された用紙は、装置本体正面から容易に回収することができる。又、本実施の形態においても、無線通信用基板28は左側板25の装置本体の給紙側の上部に切り欠き部27を設けていて、この切り欠き部27に配置している。そして、無線通信用基板28とビデオコントローラボード8を含む装置本体左側面は、左カバー35でカバーされている。
【0042】
本発明の無線通信技術を適用した画像形成装置1においても、左側板25は、装置本体の給紙側の上部に切り欠き部27を設けていて、この切り欠き部27に無線通信用基板28を配置することにより、左側板25による電波の遮断がなく良好な受信状態が確保でき、装置本体の設置場所の自由度が増える効果がある。又、装置本体外部に突出するようなアンテナや同軸ケーブルを用いたアンテナがなくても良好な受信状態が確保できるため、見栄えも良く、外観的にコンパクトにまとまった画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の主要機構部の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の左側面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の主要機構部の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る画像形成装置の概略斜視図である。
【図6】従来の画像形成装置の主要機構部の斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 画像形成装置
2 給紙カセット
3 給紙ローラ
4 加圧板
5 分離パッド
6 第1搬送ローラ対
7 湾曲した搬送路
8 給紙装置
9 第1搬送ローラ対
10 レジストセンサー
11 レーザースキャナー
12 折り返しミラー
13 プロセスカートリッジ
14 感光体
15 転写ローラ
16 搬送ガイド
17 定着器
18 排紙センサー
19 排紙ローラ対
20 外装カバー
21 排紙トレイ
22 電装部
23 レーザースキャナー保持ステー
24 右側板
25 左側板
26 ビデオコントローラボード
27 切り欠き部
28 無線通信用基板
29 無線通信用基板ホルダー
30 アンテナ素子
31 コネクタケーブル
32 コネクタ
33 シールドケース
34 開閉カバー
35 左カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内に記録材を給紙する給紙手段と、記録材に画像を形成する画像形成部と、装置本体外に記録材を排紙する排紙手段とを有して、前記給紙手段と前記画像形成部が金属板から成る2つの側板の間に配置されている画像形成装置において、
前記2つの側板の片側一方の側板の前記給紙手段側の上部に切り欠き部を有し、前記切り欠き部に外部情報機器からの画像出力データや前記画像形成装置のエラー等の情報を送受信する無線通信手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記無線通信手段は、アンテナ素子を実装した無線通信基板から成り、前記切り欠き部に前記無線通信基板を保持するモールド樹脂材で成形された無線通信基板保持部材を有していることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は前記無線通信基板で受信した信号を画像出力するために演算処理する電子回路を持つコントローラ基板を有して、前記無線通信基板と前記コントローラ基板は、装置本体の同一側面に配置され、前記コントローラ基板はシールド部材に収納されていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−56017(P2006−56017A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237170(P2004−237170)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】