説明

画像形成装置

【課題】 画像形成を行う際、湿気を帯びたロール紙の先端をカッターでカットすることで、白抜けやしわの発生を防止する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 用紙先端を排出する設定がされていた場合には(S10;Y)、給紙ユニット内の湿度と(S11)、前回そのロール紙で給紙動作が行われてからの経過時間をチェックする(S12)。この結果、設定値(白抜け、しわの原因になる状態)を超えていた場合(S11;Y、S12;Y)、操作部に表示を出すことにより、用紙先端をカットし排出するか否かをユーザーに問いあわせる(S13)。そして、ユーザーが排出を選択すると(S13;Y)、画像形成装置は給紙を開始し、給紙ユニット内で外気に触れている用紙長分をカッター22でカットし、機外に排出する(S14)。給紙段が複数ある画像形成装置に関しては(S15;Y)、給紙段毎に上記制御を繰り返す(S16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成に用いる用紙のしわ・白抜けを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ装置などの画像形成装置は、装置に保持されている所定の用紙に印字することにより画像形成を行っている。
この用紙を保持している給紙ユニット内が、湿度が高い状態で保たれた場合、中にあるロール紙は湿気を帯びてしまい、その用紙で画像形成を行うと、白抜けやしわの原因となってしまっていた。
このような白抜けやしわを防止する技術としては、以下の特許文献1ないし特許文献3に記載の発明をあげることができる。
【特許文献1】特開平5−8908号公報
【特許文献2】特開平8−151152号公報
【特許文献3】特開平8−282886号公報
【0003】
特許文献1および特許文献2では、給紙ユニット内の湿度を一定に保つ制御方法が開示されている。また、特許文献3には、用紙先端位置を変更して白抜けやしわを防止する方法が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロール紙を用いて画像形成を行う際、白抜けやしわが発生するのは、用紙の先端部の外気に触れているところに画像形成をしたときに発生するのが大部分である。従って、ロール紙の外気に触れていた部分のみを事前にカッターでカットして画像形成を行えば、白抜けやしわの発生を概ね防止できることとなる。
そこで、本発明の第1の目的は、画像形成を行う際、湿気を帯びたロール紙の先端をカッターでカットすることで、白抜けやしわの発生を防止する画像形成装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、湿度が低い時などのロール紙が湿気を帯びていない場合に、一律にロール紙先端を自動排出すると、ロール紙が無駄になってしまうので、必要な場合のみロール紙に先端をカッターでカットする画像形成装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、外気に触れている部分のみをカットして、白抜けやしわの対策を行う画像形成装置を提供することである。
本発明の第4の目的は、ロール紙先端を排出するにあたり、定着加圧温度の上昇を待つことなく、ロール紙先端をカットして排出できる画像形成装置を提供することである。
本発明の第5の目的は、ユーザーの選択により、白抜けやしわを防ぐ機能を用いるか否かを決定できる画像形成装置を提供することである。
本発明の第6の目的は、ユーザーの選択により、白抜けやしわを防ぐ機能を用いるタイミングを決定できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、給紙ユニット内のロール紙を所定のカッターでカットして給紙して、ここに画像を形成する画像形成装置であって、給紙待機時に給紙ユニット内で水分を吸収したロール紙の先端部を、前記カッターにて切断し、機外に排出することにより、前記第1の目的を達成する。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記給紙ユニット内の湿度を検知する湿度検知手段と、前回最後に行われた給紙動作からの時間を測定するタイマーと、前記湿度検知手段と前記タイマーと計測から、ロール紙の先端部の吸水状態を求める吸水状態計測手段と、を備え、この吸水状態計測手段による計測の結果、当該ロール紙が所定の吸水状態を上回っていたとき、前記カッターがロール紙の先端部を切断することにより、前記第2の目的を達成する。
【0006】
請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2記載の発明において、各ロール紙の外気に触れている部分である、巻かれていない部分と外周1周分を前記カッターで切断することにより、前記第3の目的を達成する。
請求項4記載の発明では、請求項1、請求項2または請求項3記載の発明において、画像形成装置の定着・加圧温度にかかわらず給紙を開始して、前記カッターがロール紙先端部を切断し、機外に排出することにより、前記第4の目的を達成する。
【0007】
請求項5記載の発明では、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の発明において、ユーザーに所定の情報を提示し、且つユーザーからの各種入力を受け付ける操作部を備え、前記カッターにてロール紙の先端部を切断するか否かの選択を受け付けること
により、前記第5の目的を達成する。
請求項6記載の発明では、請求項5記載の発明において、ロール紙の先端を切断して機外に排出するタイミングを、前記操作部にて、電源投入時か画像形成動作開始時かの設定を受け付けることにより、前記第6の目的を達成する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1から請求項4記載の発明によれば、長い間使用していなかったロール紙を使う場合、湿気を含んだ先端部を切断することで、しわや白抜け画像を防止することができる。
請求項5記載の発明では、白抜けやしわを気にしないユーザーにロール紙の無駄な消費を防止することができる。
請求項6記載の発明では、電源投入時にロール先端部を排出すると、画像形成開始を遅らせることがなくなり、また、画像形成前にロール紙先端部を排出すると、電源投入しても画像形成を行わなかった場合に無駄紙を出さなくてすむ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態を図1ないし図3を参照して、詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る用紙カッターを備えた画像形成装置の構成を示した図であり、図2は、電源投入時の処理手順を示したフローチャートであり、図3は、画像形成時の処理手順を示したフローチャートである。
図1に示す画像形成装置では、給紙ユニット20から画像形成を行うドラムユニット30、定着ユニット32へ用紙を給紙する際、その用紙を所定の長さ分カットするカッター22が設けられている。さらに、この画像形成装置には、給紙ユニット内の湿度を検知する湿度計および装置の使用間隔を計測するタイマーが設けられている。
【0010】
まず、電源投入時の処理手順を図2のフローチャートを参照して説明する。
画像形成装置の電源投入時に、まず電源投入後に用紙先端を排出する設定か否かを判断する(ステップ10)。用紙先端を排出する設定がされていた場合には(ステップ10;Y)、給紙ユニット内の湿度を湿度計を用いてチェックし(ステップ11)、前回そのロール紙で給紙動作が行われてからの経過時間のタイマーをチェックする(ステップ12)。
これらのチェックの結果、設定値(白抜け、しわの原因になる状態)を超えていた場合(ステップ11;Y、ステップ12;Y)、操作部に表示を出すことにより、用紙先端をカットし排出するか否かをユーザーに問いあわせる(ステップ13)。
その結果、ユーザーが排出を選択すると(ステップ13;Y)、画像形成装置は給紙を開始し、給紙ユニット内で外気に触れている用紙長分をカッター22でカットし、機外に排出する(ステップ14)。その後、給紙段が複数ある画像形成装置に関しては(ステップ15;Y)、給紙段毎に上記制御を繰り返す(ステップ16)。
【0011】
次に、画像形成時の処理手順を図3のフローチャートを参照して説明する。
まず、画像形成を行う際にも画像形成時に用紙先端を排出する設定か否かを判断する。(ステップ20)。その結果、用紙先端を排出する旨の設定がなされていた場合には、続けて給紙ユニット内の湿度と(ステップ21)、前回そのロール紙で給紙動作を行ってからの経過時間をチェックする(ステップ22)。そのチェックの結果、設定値(白抜け・しわの原因になる状態)を超えていた場合(ステップ21;Y、ステップ22Y)、操作部に表示を出すことにより、用紙先端をカットし排出するか否かをユーザーに問いあわせる(ステップ23)。
その結果、ユーザーが排出を選択すると(ステップ23;Y)、画像形成に使用する給紙段のみ給紙を始め、給紙ユニット内で外気に触れている用紙長分をカッター22でカットし、機外に排出する(ステップ24)。用紙排出後、画像形成制御が開始される(ステップ25)。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示した図である。
【図2】電源投入時の処理手順を示したフローチャートである。
【図3】画像形成時の処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0013】
20 給紙ユニット
22 カッター
30 ドラムユニット
32 定着ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙ユニット内のロール紙を所定のカッターでカットして給紙して、ここに画像を形成する画像形成装置であって、
給紙待機時に給紙ユニット内で水分を吸収したロール紙の先端部を、前記カッターにて切断し、機外に排出することを特徴とした画像形成装置。
【請求項2】
前記給紙ユニット内の湿度を検知する湿度検知手段と、
前回最後に行われた給紙動作からの時間を測定するタイマーと、
前記湿度検知手段と前記タイマーと計測から、ロール紙の先端部の吸水状態を求める吸水状態計測手段と、を備え、
この吸水状態計測手段による計測の結果、当該ロール紙が所定の吸水状態を上回っていたとき、前記カッターがロール紙の先端部を切断することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
各ロール紙の外気に触れている部分である、巻かれていない部分と外周1周分を前記カッターで切断することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置の定着・加圧温度にかかわらず給紙を開始して、前記カッターがロール紙先端部を切断し、機外に排出することを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
ユーザーに所定の情報を提示し、且つユーザーからの各種入力を受け付ける操作部を備え、
前記カッターにてロール紙の先端部を切断するか否かの選択を受け付けることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
ロール紙の先端を切断して機外に排出するタイミングを、前記操作部にて、電源投入時か画像形成動作開始時かの設定を受け付けることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−62093(P2006−62093A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243943(P2004−243943)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】