説明

画像形成装置

【課題】 必要な機能を使用する際にのみウォームアップを可能にして省エネルギを図った画像形成装置を提供する。
【解決手段】 初期時に、電源投入時の表示する機能を設定するとともに、その機能を設定したときにウォームアップの必要性の有無をON,OFFで設定し、電源投入時に、設定されている機能を表示部4に表示するとともに、設定されている機能のウォームアップの有無にしたがってウォームアップを行うか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関し、例えば、1台の装置で複写機,スキャナ,ファクシミリ,プリンタなどの機能を有する複合機のような画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、画像形成装置として複写機,スキャナ,ファクシミリ,プリンタなどの機能を1つにまとめた複合機が一般的になりつつある。複合機では、複写機あるいはプリンタとして使用するときには定着装置などのヒータのような熱源などに予め電源を投入してウォームアップをしていなけば、利用者が使用する場合に直ちに動作を実行することができない。
【0003】
このような複合機を同じフロアーに設置した場合、同時に電源を投入してウォームアップすると、消費電力が一時的に大きくなってしまい、配電盤のブレーカが作動してしまったり、電源電圧の低下などにより他の電気機器が誤動作したりするおそれがある。複合機のみならず単機能の複写機を複数台設置する場合でも同じ問題を生じる。
【0004】
そこで、特開平11−17875号公報には、複数台の複写機をネットワーク回線を介して接続し、1台の複写機の電源を投入してウォームアップしてコピー可能な状態(レディ状態)になった後に、他の複写機の電源を順次投入してウォームアップを開始するようにした複写機のネットワークシステムについて記載されている。これにより、ウォームアップ状態が重なりあうことがなく、電源電圧に影響を最小限に抑えることができる。
【特許文献1】特開平11−17875号公報(段落番号0051、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このようなシステムを複合機に適用すると、各複合機をネットワークに接続して複数台の複合機間で通信が行える状態にしておく必要がある。また、各複合機は時間がずれても必ずウォームアップされることになる。しかし、複合機においてウォームアップが必要なのは、複写機あるいはFAXの受信機として使用する場合のようにプリンタ機能を動作させる場合であり、FAXの送信機として使用する場合やスキャナとして使用する場合は、ウォームアップが不要である。このため、全ての複合機に関してウォームアップを行うと、電力の無駄を生じるという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、必要な場合にのみウォームアップを行うことにより無駄な電力を消費することがない画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、複数の機能を含む画像形成装置であって、複数の機能のそれぞれに関して電源投入時のウォームアップを行うか否かを設定するための設定手段と、電源投入時に、複数の機能のうち、予め設定されている機能についてウォームアップを行うことが設定されていることに応じて、ウォームアップの制御を行う制御手段とを備える。
【0008】
好ましくは、予め設定されている機能は、設定手段で設定する。
【0009】
さらに、好ましくは、複数の機能のいずれかを選択する機能選択手段を含み、制御手段は、機能選択手段によってウォームアップの必要な機能が選択されたことに応じてウォームアップを行う。
【0010】
好ましくは、制御手段は、ウォームアップの必要な機能が使用された後、所定時間内に機能選択手段によっていずれの機能も選択されなかったときは予め設定されている機能に復帰する。
【0011】
この発明の他の局面は、ウォームアップを必要とする機能と、ウォームアップが不要な機能とを含む複数の機能を実行可能な画像形成装置であって、複数の機能のそれぞれに関して電源投入時のウォームアップを行うか否かを設定するための設定手段と、電源投入時にウォームアップが必要な機能が選択されかつ設定手段によってウォームアップすることが設定されているときにのみウォームアップを行う制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、電源投入時に、設定されている機能のウォームアップの有無にしたがってウォームアップをするか否かを制御するようにしたので、電源投入直後にプリンタ機能など使用する利用者以外にとっては、電源投入時のウォームアップ動作を不要にできる。この動作をなくすことで電力消費を抑えることができる。また、機械が動作するときの騒音なども無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1はこの発明の一実施形態における複合機の概略ブロック図である。図1において、画像形成装置としての複合機1は制御部2に接続された操作部3と、読取部4と、表示部5と、印字部6と、通信部7とを含む。操作部3は利用者が操作することでウォームアップの有無などの事前の設定などを行ったり、複写機として使用する際の複写枚数などを入力する。読取部4は複合機1をスキャナあるいはFAXの送信機として使用する際に原稿などを読取る。
【0014】
表示部5は複合機1を複写機として使用する際の枚数などを表示する。印字部6は複合機1を複写機あるいはFAXの受信機として使用する際にデータなどを印字する。通信部7は複合機1をスキャナあるいはFAXの送信機として使用する際に読取部4で読取ったデータなどを通信回線を介して外部に出力したり、FAXの受信時に外部からのデータを受信する。
【0015】
図2はこの発明の一実施形態における複合機の事前の設定動作を示すフローチャートであり、図3は設定動作における表示例を示す図である。
【0016】
まず、複合機1において、図2(a),(b)に示す事前の設定が行われる。すなわち、図2(a)に示すフローチャートにしたがって電源投入時の使用する機能の設定が行われる。制御部2はステップ(図示ではSPと略称する)SP1において、図3(a)に示すように表示部5に複合機1の機能として「コピー」,「プリンタ」,「FAX」,「スキャナ」の各機能を表示し、利用者はその表示を見て操作部3を操作して、電源投入時に複合機1をいずれの機能で動作させるかを入力する。
【0017】
制御部2はステップSP2においていずれかの機能が選択されたか否かを判別し、いずれかの機能が選択されていることを判別すると、ステップSP3において選択された機能として例えばプリンタが選択されたことを示すためにプリンタの文字を枠で囲んで表示するとともに、電源投入時はプリンタとして機能させるための設定を行う。
【0018】
続いて、図2(b)に示すように機能ごとのウォームアップのON,OFFを設定する。ステップSP11において、図3(b)に示すように表示部5に「コピー」,「プリンタ」,「FAX」,「スキャナ」の各機能のそれぞれに関して、ウォームアップが必要であるか否かに応じてON,OFFを表示する。利用者はその表示を見て各機能に対してウォームアップをONにするかOFFにするかを設定する。
【0019】
なお、コピーとプリンタとFAXの受信は使用に際してウォームアップが必要な機能であり、FAXの送信機能とスキャナはウォームアップが不要な機能として予め定めておいてもよい。
【0020】
制御部2はウォームアップのON,OFFが選択されたか否かを判別し、選択されていることを判別すると、ステップSP13において各機能についてウォームアップのON,OFFを設定する。図3(b)に示した例では、コピーとプリンタとに対してウォームアップがONとなるように設定したことを示すためにONの表示が枠で囲まれて表示され、FAXおよびスキャナに対してはウォームアップがOFFに設定されたこと示すためにOFFの文字が枠で囲まれて表示されている。
【0021】
このようにして事前の設定が行われた後、電源が投入されると図4または図5に示す動作が行われる。なお、事前の設定は、上述のごとく電源投入時に設定する機能を予め設定しておけば、図2(b)に示す設定のみ行うようにしてもよい。
【0022】
図4に示した例では、電源が投入されると、ステップSP21において、図3(a)に示す事前の設定1にしたがって画面に選択されている機能を表示部4に表示する。例えばコピーが選択されていると、制御部2はステップSP22において、図3(b)に示した事前の設定2でONに設定されているのでウォームアップを行う。そして、利用者の操作に応じて、ステップSP23において設定された機能を実行する。
【0023】
図5に示した例では、ステップSP31において、図3(a)の設定1にしたがって選択されている機能が表示される。ここでは、例えばFAXが選択される。そして、ステップSP32において、図3(b)に示した設定2にしたがってウォームアップを行う。FAXの送信が前提であればウォームアップする必要がないので、ウォームアップ動作を行わない。利用者が複合機の機能を切換えると、制御部2はステップSP33において、機能が切換えられたか否かを判別し、機能が切換えられていれば、ステップSP34において選択した機能についてウォームアップが既に終了しているか否かを判別する。ウォームアップが終了している場合には、ステップSP35においてウォームアップをすることなく選択された機能を実行し、ウォームアップが終了していなければステップSP36において、図3(b)の設定にしたがってウォームアップを行う。
【0024】
なお、コピー,プリンタ,FAXの受信時のようにウォームアップが必要な機能を実行した後、所定時間内にいずれの機能も選択されなかったときは予め設定されている機能に復帰させるようにしてもよい。
【0025】
上述のごとく、この実施形態によれば、電源投入時の表示する機能を設定するとともに、その機能を設定したときのウォームアップを行うか否かを設定し、電源投入時に、設定されている機能を表示部4に表示するとともに、設定されている機能のウォームアップの有無にしたがってウォームアップをするか否かを行うようにしたので、電源投入直後に例えばスキャナやFAXの受信としての機能を使用する場合には、電源投入時のウォームアップ動作を不要にできる。このウォームアップ動作をなくすことで電力消費を抑えて省エネルギを図ることができる。また、機械が動作するときの騒音なども無くすことができる。
【0026】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1に示した複合機の概略ブロック図である。
【図2】この発明の一実施形態における複合機の事前の設定動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の一実施形態における設定動作における表示例を示す図である。
【図4】この発明の一実施形態における複合機の電源投入時の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の他の実施形態における複合機の電源投入時の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1 複合機、2 制御部、3 操作部、4 読取部、5 表示部、6 印字部、7 通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能を含む画像形成装置であって、
前記複数の機能のそれぞれに関して電源投入時のウォームアップを行うか否かを設定するための設定手段と、
電源投入時に、前記複数の機能のうち、予め設定されている機能について前記ウォームアップを行うことが設定されていることに応じて、ウォームアップの制御を行う制御手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記予め設定されている機能は、前記設定手段で設定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
さらに、前記複数の機能のいずれかを選択する機能選択手段を含み、
前記制御手段は、前記機能選択手段によってウォームアップの必要な機能が選択されたことに応じてウォームアップを行う、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ウォームアップの必要な機能が使用された後、所定時間内に前記機能選択手段によっていずれの機能も選択されなかったときは前記予め設定されている機能に復帰する、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
ウォームアップを必要とする機能と、ウォームアップが不要な機能とを含む複数の機能を実行可能な画像形成装置であって、
前記複数の機能のそれぞれに関して電源投入時のウォームアップを行うか否かを設定するための設定手段と、
電源投入時に前記ウォームアップが必要な機能が選択されかつ前記設定手段によってウォームアップすることが設定されているときにのみ前記ウォームアップを行う制御手段と
を備える、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−7535(P2006−7535A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186747(P2004−186747)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】