説明

画像形成装置

【課題】 リムーバブルメディアとの通信速度を把握することでシステム性能を最適化する。
【解決手段】 リムーバブルメディア13とのデータ通信を行う画像形成装置において、リムーバブルメディア13とのデータ通信を実現するための制御を司るメディア制御部15に、リムーバブルメディア13との通信速度を検出する通信速度検出部22を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、リムーバブルメディアとのデータ通信を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、基本動作として入力データを加工し出力するが、その際に装置内部のデータバッファメモリを介して画像処理や入出力制御を行っている。ここで、装備されている入出力手段の性能を効率よく引き出すためには、このバッファメモリの容量が重要であり、実際このバッファメモリの搭載容量によってシステム全般の機能・性能が制約されている例が多い。
従って、単にメモリ容量を入出力手段の性能を満たすだけ搭載すれば、その部品構成上、最高の機能・性能を提供することが可能となるが、メモリ容量増加は単純にコストアップにつながることは言うまでも無い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
磁気ディスクや光ディスクといった大容量外部記憶装置を画像バッファとして活用することが従来から提案されているが、着脱性を活かした新たな機能を提供するまでには至っていない。光ディスクの進化の一方、フラッシュメモリ等の半導体記憶デバイスの進化も著しい。これらはUSBなどのI/Fにより機器とのホットドッキングを可能としており、リムーバブル性と小型化によるモバイル性を有する。リムーバブルメディアにおいて、物理I/Fは同じでも、通信速度が改善された商品が次々に開発されている(当初2MB/s程度のものが10倍の速度が実現されている)。
このような背景の基に、取り込んだ画像をリムーバブルメディアに記録する技術は既に公知となっているが、さらにシステム性能を最適化するための改良技術が求められている。
そこで、本発明ではこのリムーバブルメディアの性能を利用し、本体内蔵メモリの代わりに画像メモリとして利用するにあたり、リムーバブルメディアとの通信速度を把握することでシステム性能を最適化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、リムーバブルメディアとのデータ通信を行う画像形成装置において、リムーバブルメディアとのデータ通信を実現するための制御を司るメディア制御部に、リムーバブルメディアとの通信速度を検出する通信速度検出部を備えた画像形成装置を最も主要な特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、メディア制御部は、検出したリムーバブルメディアとの通信速度をリムーバブルメディア内に保存する制御を行う画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、メディア制御部は、リムーバブルメディア内に保存する通信速度値を識別可能な通信速度情報として生成する制御を行う画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の画像形成装置において、メディア制御部は、挿入されたリムーバブルメディアの通信速度情報を検索する制御を行う画像形成装置を主要な特徴とする。
【0005】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか記載の画像形成装置において、メディア制御部は、挿入されたリムーバブルメディアの通信速度情報を検出した場合に通信速度検出動作を停止する制御を行う画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか記載の画像形成装置において、前記メディア制御部は、リムーバブルメディアとの通信速度に応じて画像データの保存先とするか否かを判定する制御を行うことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか記載の画像形成装置において、検出したリムーバブルメディアとの通信速度をリムーバブルメディア内に保存してよいかを確認する機能を有する操作部を備えた画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか記載の画像形成装置において、メディア制御部は、リムーバブルメディアに画像データを上書きする場合に、保存した通信速度情報の上書きを停止する制御を行う画像形成装置を主要な特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、メディア制御部は、リムーバブルメディアを画像メモリとして使用するにあたり、メモリ書き込みの前段処理速度、読み出しの後段処理速度をメディア通信速度に応じて変更する制御を行う画像形成装置を主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、リムーバブルメディアとの通信速度を検出するので、リムーバブルメディアを印刷用画像メモリとして使用する場合に、一定時間内に扱えるデータ量を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図1は本発明の画像形成装置の基本構成を示すブロック図である。基本機能としては、コピー機能、プリント機能、スキャナ機能、FAX機能を有する。
各ブロックへの指示や制御等を行うCPU1があり、ROM2に実行するプログラムが格納されており、システムによっては複数個搭載することで処理性能を向上させるシステムもある。RAM3はRAM制御部4を介してCPU1をはじめ、各ブロックの処理のデータ一時保存に活用される。
コピー、スキャナ機能における画像の入力手段としてスキャナエンジン5があり、その制御を司るスキャナ制御部6、スキャナエンジン5からの出力データを取り込む画像読み取り部7がある。画像読み取り部7に画像処理部10が接続されている。
【0008】
FAX受信時は一般公衆回線に接続されたNCU(ネットワークコントロールユニット)9を介してFAX制御部10により印刷データの復号化等が行われる。プリント機能における画像の入力手段として外部ホスト機器11からの印刷データを受信するホストI/F(インターフェース)制御部12がある。I/Fの種類としてはIEEE1284、USB等のローカル接続や有線、無線によるイーサネット(登録商標)等のネットワーク接続がある。
更に、外部ホスト機器11を必要としないリムーバブルメディア13によるダイレクトプリント機能を搭載している。リムーバブルメディア13の種類としては、CF(コンパクトフラッシュ(登録商標))、SDカード、MMC(マルチメディアカード)、メモリスティック、USBメモリ、CD、DVD等があるがこれらに限らない。
【0009】
メディアI/F14はサポートするメディアを物理的に接続する手段であり、電気的、光学的接続を含む。メディア制御部15は各種メディアとのデータ通信を実現するための制御を司る。FAX機能においてはFAX送信時の画像入力手段は前述のスキャナエンジン5の他、外部ホスト機器11からもデータ入力可能である。
操作部16は機器操作のためのボタンや機器状態表示のためのインジケーター(LEDやLCD等の表示器、スピーカー等)等、機器操作者とのマンマシンインターフェース部であり、操作部I/F制御部17は操作部17と情報入出力を行う。プリンタ制御部18は印刷出力手段としてのプリンタエンジン19の制御を司る。
プリンタエンジン19はレーザー方式、LED方式、インクジェット方式等の作像方式がある。プリンタエンジン19は画像書き込み部20から印刷データが入力される。NVRAM21は不揮発メモリであり、機器固有の情報(例えばコピー枚数のカウンタ値等)を保持させる用途に使われる。
【0010】
図2は本発明の実施形態に係る画像形成装置の要部詳細構成を示すブロック図、図3は図2に示す通信速度検出部のブロック図である。ここではコピー動作を説明する。
スキャナ制御部6により制御されたスキャナエンジン5から出力される原稿データは、画像読み取り部7でA/D変換等信号処理された後、画像処理部8に入力される。ここで印刷用データに画像処理され、RAM制御部4により本体RAM3に保存されるというのが一般的な処理の流れである。
ここでリムーバブルメディア13の制御を行うメディア制御部15に通信速度検出部22が設けられており、リムーバブルメディア13が挿入された場合に、メディア制御部15によりCPU1に割り込み等で通知され、CPU1からこの通信速度検出部22が起動され、通信速度が検出される。
【0011】
ここで、図3に示す通信速度検出部22の詳細動作を、図4に示す通信速度検出を検出して通信速度レジスタを更新するまでのフローを参照して説明する。本ブロック内では、速度検出シーケンス制御部31により速度検出動作全般が制御される。まずテストデータ生成部32が起動されると共にサイクルカウンタ33をスタートさせる(S1)。
テストデータ生成部32から生成されたテストデータはリムーバブルメディア13に書き込むために一旦データ送受信バッファ34に格納され、出力制御部23によりメモリ書き込みサイクルが発生され、データが出力される。書き込みに続き(S2)、読み出しサイクルを発生させ同データを読み出す(S3)。
このとき生成するテストデータは任意データで良いが、複数回読み書き動作をする場合には毎回インクリメントする等データを区別しても良い。読み出したデータがデータ送受信バッファ34に格納された時点で(S4)サイクルカウンタ33をストップさせる。
このカウンタ値が速度としてCPU1から読み出され、速度検出動作が完了し、図2の通信速度レジスタ24に一旦保存される(S6)と同時に、リムーバブルメディア13内にその情報を書き込んで良いかを操作部16の表示部を通してユーザーに確認を取る。書き込みOKかどうかを操作部16から入力してもらい、OKであればリムーバブルメディア13内に情報を書き込む。
【0012】
ここで、リムーバブルメディア13内に書き込む情報例を図5に示す。リムーバブルメディア13内の書き込み位置はあらかじめ決められたアドレスとし、書き込む情報としてはそのデータが速度情報であることが判別できる構成のデータとする。
図の例では「通信速度」情報の前後に「識別ID」、「登録日情報」を配置している。これら付帯情報を含めたデータはCPU1により管理、生成される。データサイズは例えば64bitで構成すると、「識別ID」は16bit、速度値は24bit、「登録日」は24bitである。
図2に戻り、通信速度レジスタ24に保存された速度情報からCPU1にてリムーバブルメディア13が画像メモリとして使用可能かどうかの判断をする。(この時の判断基準としては、さまざまな例が考えられるが、例えばプリンタエンジン19の持つ速度性能に対して、画像データ量の入出力が間に合うかどうか、どこまで印刷速度を上げることができるか等である。印刷速度を上げるためには、性能ボトルネックが本体メモリのスループットにある場合が考えられる。)
画像メモリとしてリムーバブルメディア13が使用可能と判断したら、保存先セレクタ25にて画像データ保存先をリムーバブルメディア13側に切り替えて、画像メモリとして利用する。
【0013】
次に図6のフロー図で制御を説明する。リムーバブルメディア13が挿入されると、まずリムーバブルメディア13内に通信速度情報が書き込まれていないかをチェックする(S1、S2)。チェックするエリアは前述の通信速度を検出した際にメディアに書き込むエリアである。
ここで通信速度情報を識別するために図5の例であれば識別IDにより認識することができるが、続くデータが通信速度情報であるかどうかもその値の範囲をあらかじめ決めておけばその識別の制度を上げることができる。
【0014】
図5の例では、通信速度は0x03d090(250μs)>通信速度>0x003d04(12.5μs)としており、この範囲は512バイトのデータを転送した際の通信速度が2MB/s〜40MB/sの範囲であることを示す値である。続く登録日情報もシステムが稼動したある時期から現在の日付の範囲でデータを検査すれば、その妥当性が判断できる。
ここで通信速度情報が見当たらなかった場合は前述の速度検出動作を行い(S3)、速度情報を得て、リムーバブルメディア13へ速度情報書き込みしてよいかを操作部表示経由でユーザーに確認する(S4)。
操作部16からの入力により書き込みOKであれば(S5)、図5の例のような速度情報としてリムーバブルメディア13内に書き込み制御を行い(S6)、前記通信速度レジスタ24にコピーする(S7)。通信速度情報が既にリムーバブルメディア13内に存在していた場合は、速度検出動作は行わずその情報を前記通信速度レジスタ24にコピーする。得た速度情報を元に前述のように画像メモリとして使用可能かを判断し(S8)、使用可能であれば保存先セレクタ25により画像の保存先をリムーバブルメディア13に切り替える。
【0015】
以上の通り本発明によれば、リムーバブルメディアとの通信速度を検出するので、リムーバブルメディアを印刷用画像メモリとして使用する場合に、一定時間内に扱えるデータ量を把握することができる。
また、検出したリムーバブルメディアとの通信速度をリムーバブルメディア内に保存するので、検出した通信速度を対象のリムーバブルメディアに対応させて記録できる。
また、リムーバブルメディア内に保存する通信速度値を識別可能な通信速度情報として生成するので、リムーバブルメディア挿抜後でも情報を検索、再利用することができる。
また、挿入されたリムーバブルメディアの通信速度情報を検索するので、以前通信速度を検出し、記録された情報を再取得することができる。
また、挿入されたリムーバブルメディアの通信速度情報を検出した場合に通信速度検出の動作をキャンセルし、以前通信速度検出を行ったリムーバブルメディアに対して再度速度検出動作を行わないので、余計な処理を省き高速化を図ることができる。
【0016】
また、リムーバブルメディアとの通信速度に応じて画像データの保存先とするかどうかを切り替えるようにしたので、一定時間内に扱えるデータ量が本体メモリのみの場合に比べて多い場合、画像データ保存先を本体メモリから切り替えることでより多くの画像データを扱えるようになる。
また、検出したリムーバブルメディアとの通信速度をリムーバブルメディア内に保存してよいかをユーザーに確認することで、リムーバブルメディアを画像メモリとして利用する意図が無い場合や、リムーバブルメディア上にユーザーデータ等消去されては困るデータがあった場合に、上書きによるデータ消滅を防止することができる。
また、リムーバブルメディアに画像データを上書きする場合に保存した通信速度情報は上書きしないので、記録した通信速度情報を再利用することができる。
また、リムーバブルメディアを画像メモリとして使用するにあたり、メモリ書き込みの前段処理速度、読み出しの後段処理速度をメディア通信速度に応じて変更するので、メモリ速度に応じてシステム動作を最適化することができるため、メモリ速度を活かしたシステム性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像形成装置の基本構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の要部詳細構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す通信速度検出部のブロック図である。
【図4】通信速度制御部の処理を示すフロー図である。
【図5】通信速度情報の番地とその内容を示す図である。
【図6】本発明の画像形成装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0018】
13 リムーバブルメディア
15 メディア制御部
22 通信速度検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リムーバブルメディアとのデータ通信を行う画像形成装置において、リムーバブルメディアとのデータ通信を実現するための制御を司るメディア制御部に、リムーバブルメディアとの通信速度を検出する通信速度検出部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、前記メディア制御部は、検出したリムーバブルメディアとの通信速度をリムーバブルメディア内に保存する制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、前記メディア制御部は、リムーバブルメディア内に保存する通信速度値を識別可能な通信速度情報として生成する制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか記載の画像形成装置において、前記メディア制御部は、挿入されたリムーバブルメディアの通信速度情報を検索する制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか記載の画像形成装置において、前記メディア制御部は、挿入されたリムーバブルメディアの通信速度情報を検出した場合に通信速度検出動作を停止する制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか記載の画像形成装置において、前記メディア制御部は、リムーバブルメディアとの通信速度に応じて画像データの保存先とするか否かを判定する制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか記載の画像形成装置において、検出したリムーバブルメディアとの通信速度をリムーバブルメディア内に保存してよいかを確認する機能を有する操作部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか記載の画像形成装置において、前記メディア制御部は、リムーバブルメディアに画像データを上書きする場合に、保存した通信速度情報の上書きは停止する制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項6記載の画像形成装置において、前記メディア制御部は、リムーバブルメディアを画像メモリとして使用するにあたり、メモリ書き込みの前段処理速度、読み出しの後段処理速度をメディア通信速度に応じて変更する制御を行うことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−180879(P2007−180879A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376703(P2005−376703)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】