説明

画像形成装置

【課題】複数のユーザがそれぞれをカスタマイズさせて所望の機能の設定値を登録保存でき、一旦装置にログインすれば、これらの設定値を有効な設定値として装置に展開できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】予め設定されたユーザアカウント毎に機能の実行に必要な設定値を、ユーザ識別情報、パスワードに対応付けて登録するユーザ別設定記憶手段6と、ユーザの操作に応じて、ユーザログイン画面を表示させ、更に、ユーザ識別情報、パスワードの入力によるログインを受付けた後は、受け付けたユーザの設定値をユーザ別設定記憶手段6から読出して、有効な設定値としてユーザアカウント実行モードを実行する制御手段1とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザアカウント設定機能を備えており、設定したユーザアカウント毎に機能の実行に必要な設定値を登録できる画像形成装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、ファクシミリ装置などの各種の画像形成装置において、コピー機能、集約コピー機能、ファクシミリ送受信機能、親展送受信機能などを実行できるようにしており、工場出荷時において、それぞれの機能の実行に必要な設定値がデフォルト設定値として予め登録保存されている(特許文献1)。
【0003】
例えば、コピー機能の実行のため必要な設定値としては、画像読取濃度、画像読取画質などの設定値があり、コピーモードを開始させると、予め登録されている設定値が画面に表示されて、スタートキーを操作すれば、その設定値でコピーが実行される。
【0004】
この種の画像形成装置では、設定値を変更すれば、ユーザの所望のコピー画像が形成されるが、機能が終了すれば元のデフォルト設定値に戻ってしまい、再度同一設定値でコピーをしたい場合には、設定値を変更する操作が必要となり面倒であった。
【特許文献1】特開平11−24511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上記した従来の画像形成装置では、各々にコピー機能の実行のための設定値を登録可能な複数のプログラムキーを設け、設定値の変更操作をする手間を省いている。
【0006】
しかしながら、この種の従来の画像形成装置では、コピー機能のみにつき、ユーザ好みの設定値をそれぞれ登録保存できるようにしたに過ぎず、複数のユーザが好みに応じて個別に登録保存した専用キーとして使用することができなかった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために提案され、複数のユーザがそれぞれをカスタマイズさせて所望の機能の設定値を登録保存でき、一旦装置にログインすれば、これらの設定値を有効な設定値として装置に展開できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1では、ユーザアカウント設定機能を備えた画像形成装置であって、予め設定されたユーザアカウント毎に機能の実行に必要な設定値を、ユーザ識別情報、パスワードに対応付けて登録するユーザ別設定記憶手段と、ユーザの操作に応じて、ユーザログイン画面を表示させ、更に、ユーザ識別情報、パスワードの入力によるログインを受付けた後は、受け付けたユーザの設定値をユーザ別設定記憶手段から読出して、有効な設定値としてユーザアカウント実行モードを実行する制御手段とを備える。
【0009】
請求項2では、制御手段は、ログインを受付けた後は、ユーザアカウント実行モードを所定時間の間だけ有効とし、その所定時間が経過するまでの間に、新たなジョブを受付けると、更に所定時間、ユーザアカウント実行モードを有効な状態に保持することを特徴とする。
【0010】
請求項3では、非ユーザアカウントモードの実行のために予め設定している設定値を登録保存したデフォルト設定記憶手段を備えており、制御手段は、予め設定されたユーザアカウントに対して、ユーザがユーザアカウント設定変更モードを選択したときには、選択されたユーザに対応する設定値をユーザ別設定記憶手段から読み出して更新登録可能とし、ついで、リセット指令をしたときには、非ユーザアカウントモードの実行のために予め設定している設定値をデフォルト設定記憶手段から読み出して、そのユーザに対する、デフォルト設定値として、上記ユーザ別記憶設定手段に展開することを特徴とする。
【0011】
請求項4では、予め設定されたユーザアカウント毎に機能の実行に必要な設定値として、発呼先番号を短縮コードに対応させて登録するようにしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1によれば、ユーザのログインを受け付けると、そのユーザに対応して登録保存されている機能の設定値を有効な設定値としてユーザアカウント実行モードを実行するので、セキュリティ保持を図りつつ、簡易な操作でユーザ別に好みの機能の設定値を装置に展開できる。
【0013】
請求項2によれば、ログインを受け付けてユーザアカウント実行モードを開始した後は、所定時間が経過するまでの間であることを条件として新たなジョブを受け付ける毎に更にユーザアカウント実行モードを有効な状態とするので、ユーザアカウント実行モードを再開させるため、ジョブが終了する毎にログインをやり直すといった面倒な操作が不要である。また、ログオフ操作をする必要もない。
【0014】
請求項3によれば、ユーザアカウント設定変更モードでは、まず、選択されたユーザ別の設定値が読み出されて更新登録可能となるので、任意の機能設定項目の設定値を適宜更新でき、利便である。
【0015】
また、リセット指令をすれば、デフォルト設定値がユーザ別設定記憶手段に展開されるため、再度ユーザ別設定値を登録し直すのに利便にできる。
【0016】
請求項4によれば、ユーザ別に発呼先番号を短縮ダイヤルコードに対応して登録できるので、利便である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。ここでは、本発明の原稿画像読取装置の一例としてファクシミリ装置を示しているが、これには限られず、コピー、プリンタ、スキャナ、それらの複合機にも対応できる。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の通信端末装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
通信端末装置の一例であるファクシミリ装置Fは、制御手段を構成し、このファクシミリ装置Fを制御するCPU1、電話回線Lに対する接続制御をなすNCU2、ファクシミリ通信に必要な各種信号を変復調するモデム3、管理者アカウント(管理者の識別情報、パスワード)を予め登録し、かつ、機能の実行のための設定値を有効な設定値として展開するRAM4、このファクシミリ装置Fが動作するために必要な各種プログラムなどを記憶したROM5、ユーザ別設定記憶手段を構成し、ユーザ毎の設定値を登録保存するユーザ別設定記憶部6、デフォルト設定記憶手段を構成し、非ユーザアカウントモードの実行のために予め設定された設定値を登録したデフォルト設定記憶部7、原稿を読み取り画像データを生成するスキャナ8、画像データを蓄積するための画像メモリ9、液晶画面などで構成される表示部10、各種操作キーなどで構成される操作部11、画像データを符号化、復号するコーデック12、画像データを記録紙にプリントするプリンタ13、人体センサ14を備える。
【0020】
このファクシミリ装置Fは、ユーザのログインを受け付けないときには、非ユーザアカウントモードを実行する。非ユーザアカウントモードでは、機能の設定値をデフォルト設定記憶部7から読み取り、有効な設定値としてRAM5に展開して機能を実行する。
【0021】
ユーザ別設定記憶部6は、ユーザアカウントテーブル60、ユーザ別設定値テーブル61を備えている。図2はユーザアカウントテーブルの構成の一例を示す図であり、図3はユーザ別設定値テーブルの構成の一例を示す図である。
【0022】
ユーザアカウントテーブル60は、ユーザ名60A毎に、ユーザ識別情報60B、パスワード60Cを順次登録保存できるようにしている。ユーザ名60Aはここではユーザの氏を登録保存しているが、氏名などユーザを特定できる情報であればよい。
【0023】
また、ユーザ識別情報60BはここではユーザIDを登録保存しているが、これには限定されず、各々他と識別可能な情報であればよい。
【0024】
このユーザアカウントテーブル60は、ユーザアカウント実行モードまたはユーザ別設定登録変更モードの実行のために設けられており、新規ユーザアカウント登録モードが実行されたときには、ユーザ名60A、ユーザ識別情報60B、パスワード60Cを順次登録可能とする。
【0025】
ユーザ別設定値テーブル61は、ユーザアカウントテーブル60に登録保存したユーザ名60A毎に1または複数設けており、それぞれのユーザ別設定値テーブル61には、新規ユーザアカウント登録モードの実行中において、機能設定項目61A毎に設定値61Bを登録可能としている。
【0026】
ここに、機能設定項目61Aには短縮ダイヤルの短縮コードを、設定値には発呼先番号を含む。これにより、ユーザ別に好みの短縮ダイヤル情報を設定でき、利便にできる。
【0027】
なお、ユーザ別設定値テーブル61の設定値は、図示したものに限定されず、集約コピー機能、ファクシミリ送受信機能、親展送受信機能などのために必要な設定値も含まれる。
【0028】
デフォルト設定記憶部7には、ユーザ別設定値テーブル61に登録保存すべき全機能項目毎に、非ユーザアカウントモードで使用すべき設定値が登録保存されている。
【0029】
次に、図4、図5とともに、ユーザアカウント実行モードの基本動作について説明する。図4はユーザログイン画面の構成の一例を示す図であり、図5はユーザアカウント実行モードの基本動作の一例を示すフローチャート(100〜110)である。
【0030】
このファクシミリ装置Fは、非ユーザアカウントモードを実行して、待機画面を表示させているときに、図示しないログインボタンが操作されたときには、ユーザアカウント実行モードを実行開始してユーザログイン画面80を表示する。
【0031】
このユーザログイン画面80では、ユーザ識別情報入力欄80Aにはユーザ識別情報60Bを、パスワード入力欄80Bにはパスワード60Cを順次入力させ、OKボタン80Cを操作すれば、ユーザの認証が行われる。ユーザ認証ができればユーザ認証後ログインが許可される一方、ユーザ認証ができない場合や、キャンセルボタン80Dを操作した場合にはログインが許可されず、ユーザアカウント実行モードを終了する。
【0032】
ログインを許可したときには、ユーザ別設定値テーブル61を参照し、入力されたユーザ識別情報60B、パスワード60Cに対応して登録保存されている設定値61Bを読み出し、RAM4に展開する。すると、RAM4に展開した設定値を有効な設定値として各機能設定項目が実行される。
【0033】
その後、図示しないタイマを起動させ、所定時間の間に新規ジョブを受け付けたときには、ユーザアカウント実行モードを実行したままジョブを実行しタイマを再起動させる。所定時間の間に新規ジョブを受け付けなかったときには、ユーザアカウント実行モードを終了して、非ユーザアカウントモードの待機状態に復帰する。
【0034】
なお、タイマの代わりに人体センサ14により人体を検知している間はユーザアカウント実行モードを有効な状態で保持するようにしてもよい。
【0035】
次に、図6、図7とともにユーザ別設定登録変更モードの基本動作について説明する。図6はユーザ別設定登録変更モードの基本動作説明図であり、図7はユーザ別設定登録変更モードの基本動作の一例を示すフローチャート(200〜217)である。
【0036】
ファクシミリ装置Fは、図示しないユーザ別設定登録変更モードの実行ボタンを操作すれば、ユーザ別設定登録変更画面81を表示し、「新規登録」ボタン81A、「変更」ボタン81B、「削除」ボタン81Cの選択操作を促す。
【0037】
「新規登録」ボタン81Aを操作したときには、新規ユーザアカウント登録モードが実行されて、ユーザ名60A、ユーザ識別情報60B、パスワード60Cを、ユーザアカウントテーブル60の空きブロックに登録させ、新規なユーザ別設定値テーブル61を作成させる。
【0038】
その後、所定操作によって機能設定項目毎に設定値を、新規に作成されたユーザ別設定値テーブル61に登録させる。
【0039】
「変更」ボタン81Bを操作したときには、ユーザアカウント設定変更モードを実行して、変更すべきユーザアカウントを選択させ、ログイン許可をする。
【0040】
このログイン許可は、例えば、図4に示すユーザログイン画面80を表示して、ユーザ識別情報、パスワードを入力させてこれらを照合することにより行う。ログイン許可ができなかったときには、ユーザアカウント設定変更モードを終了する。
【0041】
ログイン許可をした後、選択されたユーザアカウントに対応するユーザ別設定値テーブル61があれば、ユーザ別設定値テーブル61からユーザ別設定値を読み出し、RAM4に展開し、表示部10に表示させる。
【0042】
その後、ユーザ別設定値の更新に対して待機する。所定時間内にユーザ別設定値の入力がされた場合にはユーザ別設定値テーブル61で書き換え、所定時間設定値の入力がない場合、または、所定の終了指示操作がされたときには、ユーザアカウント設定変更モードを終了し、非ユーザアカウント実行モードの待機状態に復帰する。
【0043】
一方、ユーザ別設定値の更新に対して待機を始めてから、所定時間内にリセット指令を受け付けたときには、デフォルト設定記憶部7から非ユーザアカウントモードの実行のために予め設定された設定値(デフォルト設定値)をすべて読み出して、判定したユーザ別設定値テーブルに展開する。
【0044】
その後、設定値の更新に対して待機する。所定時間内にユーザ別設定値の入力がされた場合にはユーザ別設定値テーブル61で書き換え、所定時間設定値の入力がない場合、または、所定の終了指示操作がされたときには、ユーザアカウント設定変更モードを終了し、非ユーザアカウント実行モードの待機状態に復帰する。
【0045】
なお、ユーザ別設定値の更新に対して待機を始めてから所定時間内に何ら操作指令を受け付けなかったときには、ユーザアカウント設定変更モードを終了し、非ユーザアカウント実行モードの待機状態に復帰する。
【0046】
「削除」ボタン81Cを操作したときには、削除すべきユーザアカウントを選択させ、例えば図4に示すユーザログイン画面80を表示して、入力されたユーザ識別情報、パスワードの照合をしてログインを受け付けた後に、選択されたユーザに対応するユーザアカウント、ユーザ別設定値を削除する。
【0047】
ここで、ユーザアカウント設定変更モードと、ユーザアカウント削除処理とは、予めユーザアカウントを登録しておいたユーザ以外に、管理者によっても行うことができる。
【0048】
つまり、ファクシミリ装置Fは、「変更」ボタン81B、「削除」ボタン81Cを管理者が操作したときに、ユーザログイン画面80を表示させ、RAM4に予め登録されている管理者アカウント(管理者識別情報、パスワード)を入力させ、照合ができた場合に、任意のユーザを選択して、そのユーザ別設定値を変更したり(ステップ201〜211)、そのユーザのユーザアカウント、ユーザ別設定値を削除(ステップ217〜219)するようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の画像形成装置の要部構成の一例を示す図
【図2】ユーザアカウントテーブルの構成の一例を示す図
【図3】ユーザ別設定値テーブルの構成の一例を示す図
【図4】ユーザログイン画面の構成の一例を示す図
【図5】ユーザアカウント実行モードの基本動作の一例を示すフローチャート
【図6】ユーザ別設定登録変更モードの基本動作説明図
【図7】ユーザ別設定登録変更モードの基本動作について説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0050】
1 CPU
6 ユーザ別設定記憶部
60A ユーザアカウント
60B ユーザ識別情報
60C パスワード
61 ユーザ別設定値テーブル
7 デフォルト設定記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザアカウント設定機能を備えた画像形成装置であって、
予め設定されたユーザアカウント毎に機能の実行に必要な設定値を、ユーザ識別情報、パスワードに対応付けて登録するユーザ別設定記憶手段と、
ユーザの操作に応じて、ユーザログイン画面を表示させ、更に、上記ユーザ識別情報、上記パスワードの入力によるログインを受付けた後は、受け付けたユーザの設定値を上記ユーザ別設定記憶手段から読出して、有効な設定値としてユーザアカウント実行モードを実行する制御手段とを備える画像形成装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記制御手段は、ログインを受付けた後は、ユーザアカウント実行モードを所定時間の間だけ有効とし、その所定時間が経過するまでの間に、新たなジョブを受付けると、更に所定時間、ユーザアカウント実行モードを有効な状態に保持することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
非ユーザアカウントモードの実行のために予め設定している設定値を登録保存したデフォルト設定記憶手段を備えており、
上記制御手段は、予め設定されたユーザアカウントに対して、ユーザがユーザアカウント設定変更モードを選択したときには、選択されたユーザに対応する設定値をユーザ別設定記憶手段から読み出して更新登録可能とし、
ついで、リセット指令をしたときには、非ユーザアカウントモードの実行のために予め設定している設定値を上記デフォルト設定記憶手段から読み出して、そのユーザに対する、デフォルト設定値として、上記ユーザ別記憶設定手段に展開することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
予め設定されたユーザアカウント毎に機能の実行に必要な設定値として、発呼先番号を短縮コードに対応させて登録するようにしている画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−259278(P2007−259278A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83448(P2006−83448)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】