説明

画像形成装置

【課題】 画像上で機械的衝撃に起因する2つのバンディングが重なり合うことによるモアレが発生しにくく、高画質な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 本体側現像駆動ギヤである現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数f1と、感光体クリーニングローラ62の毛が感光体ドラム1に接触するブラシ接触周波数f2との差が、周波数の値が小さい方に対して10[%]以上となるように噛み合い周波数f1とブラシ接触周波数f2との値を離している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、及びFAX等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置においては、例えば帯電手段により一様に帯電された像担持体上に露光手段により画像データに基づき光を照射して、像担持体上に静電潜像を形成する。そして、現像手段により像担持体上の静電潜像にトナーを供給してトナー画像を形成する。この像担持体上のトナー画像を転写手段により転写材に転写した後、定着装置で転写材上のトナーを加熱加圧して定着させる。転写後の像担持体表面は、クリーニング手段によって転写残トナーが除去され、除電装置によって除電される。このクリーニング手段としては、ブラシローラを備えたクリーニング装置が知られている。
従来、画像の網点パターンのドット周期またはその約数と画素クロックによる濃度変化の周期とが一致していない場合、二つの周期の最小公倍数の周期で濃度変化が強調される、いわゆるモアレが現れてしまうという不具合があった。
このような不具合に対して、特許文献1では網点パターンの種類に応じて、画素クロックの周期を変化させる制御を行うことでモアレの発生を防止している。
【0003】
【特許文献1】特開平6−278312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年の高画質化を求める傾向により、画像に要求される濃度ムラの許容範囲が厳しくなった結果、画像上に周期的な濃度変化が生じていることがわかった。この周期的な濃度変化について本発明者らが鋭意研究した結果、機械的な衝撃に起因する2つのバンディングが重なりあって、モアレが発生していることがわかった。
以下、モアレの原因となる2つのバンディングについて説明する。
【0005】
画像形成装置においては、現像剤担持体は、一般に装置本体側から入力される駆動力が複数のギヤを介して伝達されることにより回転駆動する。複数のギヤが噛み合いながら回転するとき、歯同士が次々に噛み合うことにより微小な衝撃が発生する。この周期的な衝撃は噛み合い衝撃と称せられ、かかる噛み合い衝撃が一秒間当りに発生する回数は噛み合い周波数と称せられる。この噛み合い衝撃は現像剤担持体を介して像担持体に伝えられ、像担持体表面の線速が微小ではあるが周期的に変動する。これによって転写材に転写された画像上に、トナー濃度と薄い部分と濃い部分が所定のピッチ幅で繰り返される、所謂バンディング(以下、第1のバンディングと称す)が生じてしまう。
【0006】
一方、毛が像担持体に接触して回転する像担持体クリーニングブラシローラ等のブラシローラは、毛が像担持体に接触する際の衝撃により像担持体体の線速が微小ではあるが周期的に変動する。これによって転写材に転写された画像上に、所謂バンディング(以下、第2のバンディングと称す)が生じてしまう。
【0007】
上述した第1のバンディングのピッチ幅と第2のバンディングのピッチ幅とが互いに近似すると、第1のバンディングと第2のバンディングとが重なって現れるいわゆるモアレによって周期的な濃度変化が目立ってしまう。
従来は、像担持体に伝わる衝撃に起因するバンディングについては検討がなされていたが、衝撃に起因するバンディングが重なり合うことで、濃度変化が強調されるモアレ画像については検討がなされていなかった。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、画像上でバンディングのモアレが発生しにくく、高画質な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体と、該像担持体上にトナー像を現像する現像剤担持体と入力される駆動力を該現像剤担持体に伝達する複数の現像駆動伝達ギヤとを備えた現像装置と、該像担持体に毛が接触して回転するブラシローラとを有する画像形成装置において、該現像駆動伝達ギヤのうち装置本体側から該現像装置に駆動を伝達する本体側該現像駆動伝達ギヤの噛み合い周波数と、該ブラシローラのローラの周方向に生えている毛の本数と該ブラシローラの回転数との積で求められるブラシ接触周波数とについて、周波数の値が大きい方から、小さい方の値を引いた差が、周波数の小さい方の値の10[%]以上であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、像担持体と、該像担持体上にトナー像を現像する現像剤担持体と入力される駆動力を該現像剤担持体に伝達する複数の現像駆動伝達ギヤとを備えた現像装置と、該像担持体に毛が接触して回転するブラシローラとを有する画像形成装置において、該現像駆動伝達ギヤのうち該現像剤担持体の回転軸上に設けられた最終現像駆動伝達ギヤの噛み合い周波数と、該ブラシローラのローラの周方向に生えている毛の本数に該ブラシローラの回転数をかけて求められるブラシ接触周波数とについて、周波数の値が大きい方から、小さい方の値を引いた差が、周波数の小さい方の値の10[%]以上であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記ブラシローラは上記像担持体上の残トナーをクリーニングする像担持体クリーニングブラシであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の画像形成装置において、上記本体側現像駆動ギヤ又は上記最終現像駆動伝達ギヤの噛み合い周波数による画像上のピッチが0.5[mm]より小さいことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2または3の画像形成装置において、上記本体側現像駆動ギヤ又は上記最終現像駆動伝達ギヤの噛み合い周波数による画像上のピッチが2.0[mm]より大きいことを特徴とするものである。
【0010】
上記請求項1乃至5の画像形成装置においては、このとき、本体側現像駆動ギヤまたは最終現像駆動伝達ギヤの噛み合い周波数と、ブラシ接触周波数とについて、周波数が小さい方の値の10%以上離れているので、第1のバンディングのピッチ幅と第2のバンディングのピッチ幅も小さい方の値の10%以上離れることになる。また、2つのバンディングの周波数の差が、小さい方の周波数の値に対して10[%]以上であれば、モレアが発生しにくいピッチ幅となる。よって、画像上で第1のバンディングと第2のバンディングとのモアレが発生しにくい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至5発明によれば、画像上でバンディングのモアレが発生しにくく、高画質な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供できるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を画像形成装置であるタンデム型カラープリンタ(以下、プリンタ200という)に適用した場合の実施形態について説明する。図1は、プリンタ200の内部構成を示す概略構成図である。
プリンタ200は、図1に示すように、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、黒(K)の各色のトナー画像が形成される像担持体である感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kを備えている。以下、各符号の添字Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンダ、黒用の部材であることを示す。感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kに形成されたトナー画像は、所定のタイミングで中間転写ベルト2に1次転写され、中間転写ベルト2上で4色重ね合わせのトナー画像が形成される。中間転写ベルト2上の4色重ね合わせのトナー画像は、中間転写ベルト2と転写ローラ3とのニップ部において、給紙カセット4からレジストローラ対7によって所定のタイミングで給紙される転写材8に転写される。トナー画像が転写された転写材8は、定着装置9でトナー画像が定着された後、排紙トレイ10上に排出される。
【0013】
感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kの周囲にはそれぞれ、各感光体ドラム1表面を帯電する図示しない帯電装置、各感光体ドラム1表面に形成される静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置5Y、5C、5M、5Kが備えられている。さらに、中間転写ベルト2にトナー画像が転写された後の各感光体ドラム1表面をクリーニングするクリーニング装置6Y、6C、6M、6K等を備えている。
例えば、イエロー用の感光体ドラム1Yは、帯電装置により一様に帯電され、図示しない露光装置により画像データに基づいて変調されたレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。感光体ドラム1Y上の静電潜像は、現像装置5Yの現像スリーブ51に担持されたトナーによって現像される。感光体ドラム1Y上に現像されたトナー画像は、中間転写ベルト2に転写される。トナー画像が転写された後の感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置6Yのクリーニングブラシローラ61によって転写残トナーがクリーニングされ、次の画像形成に備えられる。他の感光体ドラム1C、1M、1Kについても、同様にトナー画像が形成される。
【0014】
なお、感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kと、現像装置5Y、5C、5M、5Kと、クリーニング装置6Y、6C、6M、6Kとは、プロセスカートリッジ100Y、100C、100M、100Kとして一体的に構成される。装置本体からプロセスカートリッジ100Yを着脱する際は一つの動作で感光体ドラム1Yと現像装置5Yとクリーニング装置6Yの全てを着脱することが可能となっている。
【0015】
また、クリーニング装置6には、感光体ドラム1に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を設けてもよい。潤滑剤供給手段を設けることにより、感光体ドラム1表面の摩擦係数を低下させてトナーフィルミングの発生を防止し、転写効率向上や残留トナー等の付着物のクリーニング性向上を図ることができる。
【0016】
次に、本実施形態に係るプリンタの特徴部について説明する。図2は、プロセスカートリッジの内部構成を示す側面概略構成図である。図3は、プロセスカートリッジの内部構成を示す斜視概略構成図である。なお、プロセスカートリッジ100Y、100C、100M、100Kは、用いるトナー色が異なる以外は同一の構成をとるので、添字を省略してプロセスカートリッジ100について説明する。
【0017】
図2及び図3に示すように、現像装置5では、装置本体側に設けられた装置本体側現像駆動ギヤである現像駆動ギヤ52からの駆動力がアイドラギヤ53を介して最終現像駆動伝達ギヤである現像スリーブギヤ54に伝達される。そして、この現像スリーブギヤ54と同軸上に設けられた現像スリーブ51が回転し、感光体ドラム1への現像を行う。
クリーニング装置6では、装置本体側に設けられた感光体クリーニング駆動ジョイント63により駆動力が入力され、被駆動ジョイント64を介して感光体クリーニングブラシローラ62が回転し、感光体ドラム1のクリーニングが行われる。なお、クリーニング装置6では、感光体クリーニング駆動ジョイント63と感光体クリーニングブラシローラ62とが同軸上になるように配置し、感光体クリーニングブラシローラ62に直接駆動入力しているが、ギヤなどを介して間接的に駆動しても良い。
【0018】
なお、プロセスカートリッジ100は、感光体ドラムの軸1aとプロセスカートリッジ100の側板に設けられた従基準110を基に位置決めされた状態で装置本体内に搭載される。また、感光体ドラム1の軸1aと現像スリーブ51の軸はそれぞれ面板50に軸支され、感光体ドラム1と現像スリーブ51との軸間は、感光体ドラム1の軸1aと面板50に設けられた従基準55を基に決定される。
【0019】
図4は、現像装置内のギヤの構成を示す構成図である。図4に示すように、現像駆動ギヤ52の回転数をT1[rpm]、歯数をt1[歯]とすると、現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数f1[Hz]は、次式(1)のようになる。
f1=T1/60×t1(Hz)・・・(1)
ここで、現像駆動ギヤ52、アイドラギヤ53、現像スリーブギヤ54は直列のギヤ列であるためどのギヤも噛み合い周波数はf1となる。
また、現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数成分f1が振動源となって感光体ドラム1に伝播すると、感光体ドラム1の線速が周期的に変動し、画像上にピッチ幅x1[mm]の第1のバンディングとなって現れる。ピッチ幅x1は、感光体ドラム1の線速をV[mm/sec]とすると、次式(2)となる。
x1=V/f1=60×V/(t1×T1)[mm]・・・(2)
【0020】
図5は、感光体クリーニングブラシローラ62の概略図であり、図5(a)は斜視図、図5(b)は断面図である。
図5に示すように、感光体クリーニングブラシローラ62には、周方向に均一に毛61が植えられている。そして、感光体クリーニングブラシローラ62の回転数をT2[rpm]、周方向の毛の本数をn[本]とすると、毛が感光体に接触するブラシ接触周波数f2[Hz]は、次式(3)のようになる。
f2=T2/60×n[Hz]・・・(3)
【0021】
なお、図5に示す感光体クリーニングブラシローラ62では、軸線方向に毛61が一直線となっているが、感光体クリーニングブラシローラ62の軸線方向のパイル巻き境界66を境に段違いに毛61がずれていても構わない。
段違いに毛61のハイチがずれることにより、感光体に対して同時に接触する毛61の数は少ないためバンディングによる影響は、毛61の配置が軸方向に沿って直線になっているものより軽減する。毛61が段違いになっていても、周方向のある一列にづつについて着目すると、ローラの一周分にある毛61の並びの本数は同じであるので、感光体に接触するタイミングの位相は異なってくるが、周波数はどの列においても同じである。よって、毛61が軸方向に直線的に配置されていても、段違いに配置されていても、ブラシ接触周波数については同様に考えることができる。
【0022】
また、感光体クリーニングブラシローラ62の毛61が感光体ドラム1に接触することにより、感光体ドラム1の線速が周期的に変動し、画像上にピッチ幅x2[mm]のバンディングとなって現れる。ピッチ幅x2は、感光体ドラム1の線速をV[mm/sec]とすると、次式(4)となる。
x2=V/f2=60×V/(n×T2)[mm]・・・(4)
【0023】
ところで、プロセスカートリッジ100のように、感光体ドラム1と現像装置5とクリーニング装置6とが一体に構成されている場合には、互いに振動が伝播しやすく、同時に第1のバンディングと第2のバンディングが発生しやすくなる。一方、現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数f1と、感光体クリーニングブラシローラ62の毛61のブラシ接触周波数f2との差が小さいと、第1のバンディングのピッチ幅x1と第2のバンディングのピッチ幅x2との差が小さくなる。その結果、転写材8上に形成される画像でバンディングがモアレによって強調されてしまう。
そこで、本実施形態では、現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数f1と感光体クリーニングブラシローラ62の毛61のブラシ接触周波数f2との差が周波数の小さい方の値に対して10[%]以上となるようにする。
一般的にモアレが発生しにくくなるとされる±10[%]以上、二つの周波数を離すように現像装置5またはクリーニング装置6を構成し、モアレによって強調されたバンディングの発生を抑制することができる。
【0024】
図6は、噛み合い周波数f1とブラシ接触周波数f2との差とモアレの発生度との関係を示す特性図である。表1は、噛み合い周波数f1とブラシ接触周波数f2との差とモアレの状態の関係を示す表である。図6及び表1に示すように、噛み合い周波数f1とブラシ接触周波数f2との差が±10[%]未満となる場合には、モアレの発生度が高くなり、バンディングが目立ってしまうことがわかる。
【0025】
【表1】

【0026】
噛み合い周波数f1とブラシ接触周波数f2との差を±10[%]以上とするためには、例えば以下に示す方法により現像装置5及びクリーニング装置6を構成するとよい。
現像装置5の現像スリーブギヤ54の歯数を変更し、且つ現像駆動ギヤ52の回転数T1を変更することで、現像スリーブ51の回転数を一定に保ったまま現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数f1を変更する。
具体的には現像スリーブ51の回転数が一定で、現像スリーブギヤ54の歯数を多くすることで、現像スリーブギヤ54の噛み合い周波数が大きくなり、これと直列に噛み合う現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数f1も大きくなる。これに伴い現像駆動ギヤ52の歯数tが一定とすると現像駆動ギヤ52の回転数T1は大きくすることで現像スリーブ51の回転数を一定のまま噛み合い周波数f1を変更することができる。
なお、現像スリーブ51の回転数を変更可能な場合はこちらを変更してもよい。
【0027】
また、クリーニング装置6の感光体クリーニングブラシローラ62にある毛61の周方向の本数nを減らすことにより、感光体クリーニングブラシローラ62の回転数T2を一定のまま、毛61が感光体ドラム1に接触するブラシ接触周波数f2を低減させることができる。
なお、感光体クリーニングブラシローラ62の回転数を変更可能な場合はこちらを変更しても良い。
【0028】
バンディングによる影響を軽減するために振動を軽減すべく、ギヤそのもののモジュールを変えたり、ギヤの回転数を変えたりすることも考えられる。しかし、ギヤのモジュールの変更やギヤの回転数の変更は他の部材への影響もあり、大きな構成変更をする必要がある。
そこで、振動そのものを軽減させる以外で、バンディングが画像に与える影響を軽減するものについて検討する。
【0029】
次に、空間周波数とバンディングの見えやすさとの関係について説明する。
図7は、空間周波数とバンディングの見えやすさの関係を示す特性図である。図7に示すように、空間周波数とバンディングの見えやすさとの関係は、人間の視覚特性から、空間周波数がおよそ0.5〜2.0[本/mm]の範囲(図中NG領域)での変化が目に付きやすいと言われている。よって、人間の知覚特性として判断が難しくなる空間周波数2.0[本/mm]以上となるように、現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数によるバンディングピッチx1が0.5[mm]以下となるようにするとよい。
また、人間の知覚特性として判断が難しくなる空間周波数0.5[本/mm]以下となるように、現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数によるバンディングピッチx1が2.0[mm]以上となるようにするとよい。現像装置5において、現像スリーブ51の回転数は一定に保ったままでも、例えば現像駆動ギヤ52の回転数と現像スリーブギヤ54の歯数を変更することでバンディングピッチx1を変更することができる。これにより、振動を低減しなくてもバンディングを画像上目立たなくすることが可能となる。
【0030】
なお、上記実施形態に係る現像装置5では、現像駆動ギヤ52、アイドラギヤ53、現像スリーブギヤ54は、直列のギヤ列であるため、どのギヤも噛み合い周波数f1となる。しかし、噛み合い周波数が複数のギヤで互いに異なる場合がある。一般に、図4に示すように、駆動入力が本体側駆動伝達ギヤである現像駆動ギヤ52によるギヤ駆動である場合には、この現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数f1を主成分する振動が感光体ドラム1に伝播する振動の中で最大となりやすい。その理由としては本体側に保持されたギヤとユニット側に保持されたギヤの噛合い部分であり、ギヤピッチを固定することが難しくこの部分で振動が発生しやすい。よって、現像駆動ギヤ52で駆動入力され、且つ噛み合い周波数が複数のギヤで互いに異なる場合には、装置本体側に設けられた現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数を基準とするとよい。
また、現像装置5への駆動入力はカップリング結合によってもよい。その場合には、現像スリーブ51と同軸上に設けられた最終現像駆動伝達ギヤである現像スリーブギヤ54の噛み合い周波数を主成分とする振動が感光体ドラム1に伝播する振動の中で最大となりやすい。その理由としては最も感光体に近い現像スリーブを駆動するギヤであり、ドラム近傍にあるためによりドラムへの振動伝播の影響が強くなる。よって、ギヤによる駆動入力ではなく、且つ噛み合い周波数が複数のギヤで互いに異なる場合には、現像スリーブギヤ54の噛み合い周波数を基準とするとよい。
【0031】
像担持体としての感光体にブラシを接触させて回転するブラシローラでブラシ接触周波数を考慮するものとしては、上述の感光体クリーニングブラシローラに限るものではない。例えば、潤滑剤を塗布するブラシローラの場合においてもブラシ接触周波数を本体側現像駆動伝達ギヤ又は最終現像駆動伝達ギヤの噛み合い周波数に対して±10[%]以上離すように設定する。これにより、潤滑剤塗布ブラシローラが感光体に接触することで起こる衝撃によるバンディングと、本体側現像駆動伝達ギヤ又は最終現像駆動伝達ギヤの噛み合い周波数によるバンディングとによってモアレ画像が生じることを防止することができる。
【0032】
以上、本実施形態に係る画像形成装置によれば、本体側現像駆動ギヤである現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数f1と、感光体クリーニングブラシローラ62の毛61が感光体ドラム1に接触するブラシ接触周波数f2との差が、周波数の値が小さい方に対して10[%]以上となるように周波数を離している。そのため、現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数f1が振動源となって画像上に現れる第1のバンディングのピッチ幅と、感光体クリーニングブラシローラ62のブラシ接触周波数f2が振動源となって画像上に現れる第2のバンディングのピッチ幅とが離れている。よって、画像上で第1のバンディングと第2のバンディングとのモアレが発生しにくく、高画質な画像を得ることができる。
また、最終現像駆動伝達ギヤである現像スリーブギヤ54の噛み合い周波数f1と、感光体クリーニングブラシローラ62の毛61が感光体ドラム1に接触するブラシ接触周波数f2との差が、現像スリーブギヤ54の噛み合い周波数f1に対して±10[%]以上離れている。そのため、現像スリーブギヤ54の噛み合い周波数f1が振動源となって画像上に現れる第1のバンディングのピッチ幅と、感光体クリーニングブラシローラ62のブラシ接触周波数f2が振動源となって画像上に現れる第2のバンディングのピッチ幅とが離れている。よって、画像上で第1のバンディングと第2のバンディングとのモアレが発生しにくく、高画質な画像を得ることができる。
また、感光体ドラム1と現像装置5とクリーニング装置6とがプロセスカートリッジ100として一体に構成されている。そのため、現像装置5内のギヤの噛み合いによる振動とクリーニング装置6内のギヤの噛み合いによる振動が互いに伝播し、同時に第1のバンディングと第2のバンディングが発生しやすい。しかし、第1のバンディングのピッチ幅と第2のバンディングのピッチ幅とが離れているため、バンディングのモアレが発生しにくく、高画質な画像を得ることができる。
また、現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数によるバンディングピッチx1が0.5[mm]以下である。よって、人間の目でバンディングが見えにくくなり、振動を低減しなくてもバンディングを画像上目立たなくすることが可能となる。
また、本実施形態に係る画像形成装置によれば、現像駆動ギヤ52の噛み合い周波数によるバンディングピッチx1が2.0[mm]以上である。よって、人間の目でバンディングが見えにくくなり、振動を低減しなくてもバンディングを画像上目立たなくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係るプリンタの内部構成を示す概略構成図。
【図2】同プリンタのプロセスカートリッジの内部構成を示す側面構成図。
【図3】同プロセスカートリッジの内部構成を示す斜視構成図。
【図4】同プロセスカートリッジのクリーニング装置内のギヤの構成を示す構成図。
【図5】感光体クリーニングブラシローラの概略図、(a)は斜視図、(b)は断面図。
【図6】噛み合い周波数差とモアレの発生度との関係を示す特性図。
【図7】空間周波数とバンディングの見えやすさの関係を示す特性図。
【符号の説明】
【0034】
1 感光体ドラム
5 現像装置
6 クリーニング装置
51 現像スリーブ
52 現像駆動ギヤ
53 アイドラギヤ
54 現像スリーブギヤ
61 毛
62 感光体クリーニングブラシローラ
63 感光体クリーニング駆動ジョイント
64 被駆動ジョイント
66 パイル巻き境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
該像担持体上にトナー像を現像する現像剤担持体と入力される駆動力を該現像剤担持体に伝達する複数の現像駆動伝達ギヤとを備えた現像装置と、
該像担持体に毛が接触して回転するブラシローラとを有する画像形成装置において、
該現像駆動伝達ギヤのうち装置本体側から該現像装置に駆動を伝達する本体側該現像駆動伝達ギヤの噛み合い周波数と、該ブラシローラのローラの周方向に生えている毛の本数と該ブラシローラの回転数との積で求められるブラシ接触周波数とについて、周波数の値が大きい方から、小さい方の値を引いた差が、周波数の小さい方の値の10[%]以上であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
像担持体と、
該像担持体上にトナー像を現像する現像剤担持体と入力される駆動力を該現像剤担持体に伝達する複数の現像駆動伝達ギヤとを備えた現像装置と、
該像担持体に毛が接触して回転するブラシローラとを有する画像形成装置において、
該現像駆動伝達ギヤのうち該現像剤担持体の回転軸上に設けられた最終現像駆動伝達ギヤの噛み合い周波数と、該ブラシローラのローラの周方向に生えている毛の本数に該ブラシローラの回転数をかけて求められるブラシ接触周波数とについて、周波数の値が大きい方から、小さい方の値を引いた差が、周波数の小さい方の値の10[%]以上であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記ブラシローラは上記像担持体上の残トナーをクリーニングする像担持体クリーニングブラシであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の画像形成装置において、
上記本体側現像駆動ギヤ又は上記最終現像駆動伝達ギヤの噛み合い周波数による画像上のピッチが0.5[mm]より小さいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2または3の画像形成装置において、
上記本体側現像駆動ギヤ又は上記最終現像駆動伝達ギヤの噛み合い周波数による画像上のピッチが2.0[mm]より大きいことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−65052(P2007−65052A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247763(P2005−247763)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】