説明

画像形成装置

【課題】タッチダウン現像方式の現像装置を具備する画像形成装置において、トナー飛散を抑制し、回収トナーのストレスを低減することで、トナーの劣化を抑制し、長期に亘って安定した現像特性を維持し、安定した画像を得ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー担持体2および二成分現像剤担持体1の近傍に浮遊する飛散トナーを回収する、周方向に回転するトナー回収ローラ14を、前記二成分現像剤担持体と前記トナー担持体の最近接位置よりも前記二成分現像剤担持体の回転方向下流側で且つ前記トナー担持体および前記二成分現像剤担持体に対向して配置し、前記トナー回収ローラ内部に前記二成分現像剤担持体の磁性部材と極性が異なる磁性部材を、前記二成分現像剤担持体の磁性部材に対向して配置し、前記トナー回収ローラと前記二成分現像剤担持体間の磁力が、前記トナー担持体と前記二成分現像剤担持体間の磁力より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機などの画像形成装置に関し、特に、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる二成分現像剤を使用し、磁気ブラシを形成し、磁気ブラシにより現像ローラ上にトナー薄層を形成させ、トナー薄層のトナーを静電潜像に飛翔させ、該潜像を現像するようにした画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、乾式トナーを用いる現像方式としては、一成分現像方式および二成分現像方式が知られている。
一成分現像方式は、キャリアを含まないため、キャリアおよびトナーから形成される磁気ブラシによって感光体の静電潜像が乱されることがなく、高画質化に適している。しかし、一成分現像方式は、トナーの帯電量を安定して維持することが難しい。また、カラートナーの場合、透過性が求められるため、非磁性トナーである必要がある。そのため、フルカラー画像形成装置においては、トナーを帯電および搬送する媒体としてキャリアを用いる二成分現像方式を採用する場合が多い。
【0003】
二成分現像方式を用いた画像形成方法として、二成分現像剤を担持する現像剤担持体上に形成された磁気ブラシで、トナー担持体上にトナー薄層を形成させ、トナー担持体上のトナー薄層により静電潜像担持体上の静電潜像を現像して可視化する、所謂タッチダウン現像(ハイブリッド現像ともいわれる。)による画像形成方法が知られている。しかし、この現像方式は二成分現像方式と一成分現像方式を組み合わせており、静電潜像を現像する時のトナーの適正帯電量とトナー薄層を形成する時のトナーの適正帯電量に差があるという問題があり、トナー薄層のトナー量が少なく画像濃度不良が発生したり、または現像に寄与しなかったトナー薄層の剥ぎ取り不良による現像ゴースト等の問題が発生することがあった。
【0004】
上記のような問題の発生する原因のひとつとして飛散トナーの影響が挙げられる。トナーの飛散は、ハウジング内でトナーを撹拌する際の飛散や、磁気ローラ近傍での飛散など現像装置が主たる発生箇所となる。そして、現像装置で発生した飛散トナーは、静電潜像担持体をはじめ光学系装置や帯電装置、転写装置等を配置した電子写真装置の内部に飛散し、上記したような問題を含め、各種の画像不良、動作不良等を引き起こす。
【0005】
このような問題を解決するために、特許文献1では、静電潜像担持体に対して離間対向する状態で回転自在に設けられ、現像剤の供給時に飛散する現像剤を表面に付着させて外部への飛散を防止する飛散防止部材と、前記飛散防止部材上に付着した現像剤を掻き落とす掻落手段とを用いてトナー飛散を防止することが提案されている。また、特許文献2では、二成分現像方式において、現像装置のハウジング開口部に回収ローラを設けて飛散トナーを回収し、該回収ローラからトナーを剥ぎ取って現像装置に戻す方式が提案されている。
【特許文献1】特開平8−137256号公報
【特許文献2】特開2005−242194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、掻落した現像剤はブレードとの接触によりストレスを受け、劣化が促進される。特にタッチダウン現像方式では、選択現像の影響を受けやすい。従って、ブレードで掻き落とすことによるストレスでトナーの外添剤の離脱や埋没などが発生し、帯電特性の変化したトナーが二成分現像剤収容部に戻ることにより、トナー飛散や選択現像の促進、更には画像濃度不良など長期に安定した画像形成が困難となる。また、タッチダウン現像方式では、二成分現像剤のトナー濃度が高く、現像剤の流動性が悪いため、磁気ブラシが二成分現像剤収容部に回収される際に、次々と現像剤が回収されてくるため、押し込まれ圧縮され、同時に空気が行き場を失い、空気と共にトナーが外部に放出されるので、よりトナー飛散が発生しやすい。また、特許文献2では、飛散トナーを回収した回収ローラからトナーを剥ぎ取って現像装置に戻す場合、トナーを戻す経路を別途設ける必要があり、装置が大きくなるデメリットがある他、そこではブレード等でトナーを剥ぎ取るため、トナーの劣化が促進される。
また、タッチダウン現像方式においては、ゴースト現象が最も問題となるが、この解消のためにはトナー担持体上に付着している未現像トナーを二成分現像剤担持体で引き剥がすことが重要である。しかしながら、プロセス線速が高速化すればするほど短時間で多くの静電潜像を現像するのに必要なトナーをトナー担持体に搬送する必要があるが、逆にトナー層を形成する時間が短くなるため、二成分現像剤中のトナー濃度を高くする等の対策が必要となる。すなわち、トナー層を形成した後、二成分現像剤収容部に回収されてくる二成分現像剤は低速時に比べ、トナー濃度が高くなってしまう。また、トナー担持体上の未現像トナーの引き剥がし時間も短くなり、且つ二成分現像剤収容部に回収されてくる二成分現像剤のトナー濃度が高いため、より引き剥がしが困難となってしまう。更にトナー飛散も発生しやすい状態となり、且つ飛散トナーがトナー担持体に付着してしまう場合があり、回収トナー量が増大し、トナー飛散が増加、引き剥がし不良によるゴースト現象が発生しやすくなる。
【0007】
また、特許文献2では、飛散トナーを回収した回収ローラからトナーを剥ぎ取って現像装置に戻す場合、トナーを戻す経路を別途設ける必要があり、装置が大きくなるデメリットがある他、そこではブレード等でトナーを剥ぎ取るため、トナーの劣化が促進される。特にタッチダウン現像方式において、ドラム線速が180mm/sec以上であるような高速機では飛散トナーの回収が一層困難となる。ちなみに、目安としてドラム線速180mm/secはA4横で約40枚/分、250mm/secで約50枚/分、340mm/secで約60枚/分である。
【0008】
本発明の課題は、タッチダウン現像方式の現像装置を具備する画像形成装置において、トナー飛散を抑制し、回収トナーのストレスを低減することで、トナーの劣化を抑制し、長期に亘って安定した現像特性を維持し、安定した画像を得ることのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記に示す構成の画像形成装置により、トナー飛散を抑制すると共に、トナーの劣化を抑制し、長期間安定した画像品質が得られることを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の画像形成装置は、以下の構成を有する。
【0010】
(1)内部に磁性部材を配置しキャリアとトナーからなる現像剤を磁気的に保持する二成分現像剤担持体と、該二成分現像剤担持体よりトナーを移送してその表面にトナー薄層を担持する、内部に磁性部材を配置したトナー担持体とをハウジング内に少なくとも備え、前記トナー担持体および/または前記二成分現像剤担持体に現像バイアスを印加して、静電潜像担持体表面に形成された静電潜像の現像を行う画像形成装置であって、前記トナー担持体および前記二成分現像剤担持体の近傍に浮遊する飛散トナーを回収する回収ローラを、前記二成分現像剤担持体と前記トナー担持体の最近接位置よりも前記二成分現像剤担持体の回転方向下流側で且つ前記トナー担持体および前記二成分現像剤担持体に対向して配置し、前記トナー回収ローラ内部に前記二成分現像剤担持体の磁性部材と極性が異なる磁性部材を、前記二成分現像剤担持体の磁性部材に対向して配置し、前記トナー回収ローラと前記二成分現像剤担持体間の磁力が、前記トナー担持体と前記二成分現像剤担持体間の磁力より大きいことを特徴とする画像形成装置。
(2)内部に設けられた磁性部材の半径方向における前記トナー回収ローラ表面での磁力は、内部に設けられた磁性部材の半径方向における前記トナー担持体表面での磁力よりも大きいことを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
(3)内部に設けられた磁性部材の半径方向における前記トナー回収ローラ表面での磁力は、内部に前記トナー回収ローラに対向して設けられた磁性部材の半径方向における前記二成分現像剤担持体表面での磁力よりも小さいことを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成装置。
(4)前記トナー回収ローラと前記二成分現像剤担持体間の磁力は、100〜160mTであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の画像形成装置。
(5)前記トナー回収ローラ表面の算術平均粗さRaは、前記トナー担持体表面の算術平均粗さRaより大きいことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
(6)前記トナー回収ローラ表面の算術平均粗さRaは、0.505〜3.0μmであることを特徴とする(5)に記載の画像形成装置。
画像形成装置。
(7)前記トナー回収ローラに、前記飛散トナーを回収するためのバイアス電圧を印加するバイアス手段を設けたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の画像形成装置。
(8)前記静電潜像担持体の周速が180mm/sec以上であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、飛散トナーを回収するトナー回収ローラを二成分現像剤担持体とトナー担持体の最近接位置よりも前記二成分現像剤担持体の回転方向下流側で、且つ前記二成分現像剤担持体とハウジング壁の間に配置するので、飛散トナーを前記トナー回収ローラに付着させて捕集することができる。
また、前記トナー回収ローラ内部に前記二成分現像剤担持体の磁性部材と極性が異なる磁性部材を、前記二成分現像剤担持体の磁性部材に対向して配置するので、トナー回収ローラと二成分現像剤担持体間に形成される磁気ブラシにて、トナー回収ローラ上に付着した飛散トナーにストレスを与えることなく二成分現像剤収容部に戻すことができる。さらに、前記トナー回収ローラと前記二成分現像剤担持体間の磁力を前記トナー担持体と前記二成分現像剤担持体間の磁力より大きくするので、前記トナー回収ローラと前記二成分現像剤担持体間の磁気拘束力が強まり、これにより磁気ブラシ層が前記二成分現像剤担持体とハウジング壁との隙間を飛散していく飛散トナーの流れを防ぐと共に、飛散トナーを確実に捕集し、この捕集したトナーを磁気ブラシにて回収し、二成分現像剤収容部に戻すことができる。その結果、トナー飛散を抑制すると共に、トナーの劣化を抑制し、長期間安定した画像品質が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るタッチダウン現像方式の画像形成装置の概略構成を示す説明図である。図2は本発明の一実施形態に係る磁性部材の配置を説明するためのトナー回収ローラおよび現像剤担持体の説明図である。図3は図1の現像手段の一部を示す概略構成図である。図4は、図1に示す現像手段を用いたタンデム式カラー画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0013】
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、磁性キャリア4とトナー5からなる二成分現像剤を用いて磁気ローラ1上に担持された二成分現像剤により現像ローラ2上にトナー薄層9を形成し、感光体3(静電潜像担持体)上に形成された静電潜像を現像する、所謂タッチダウン現像方式による画像形成装置である。図1に示すように、該画像形成装置は、前記感光体3を備え、この感光体3の周囲には帯電手段8、露光手段16、現像手段18、一次転写手段22、二次転写手段25、定着手段26およびクリーニング手段24等が配置されている。
【0014】
前記画像形成装置による画像形成は以下のようにして行われる。即ち、前記感光体3の表面が帯電手段8により均一に帯電され、この帯電された表面を露光手段16により露光して静電潜像が形成される。得られた静電潜像には現像手段18からトナー5を付着させることによりトナー像として現像される。このトナー像は一次転写手段としての一次転写ローラ22によって、中間転写ベルト20上に感光体3から転写される。そして、複数色のトナー像を中間転写ベルト20上に重ねて転写した後、二次転写手段としての二次転写ローラ25により、給紙カセット27から二次転写位置に搬送された被転写体にトナー像を転写する。この被転写体は定着手段としての定着ローラ26に搬送されて、ここでトナー像が被転写体上に定着された後、例えば、排紙トレー(不図示)に排紙される。転写後に感光体3表面に残った未現像のトナーはクリーニング手段24により除去される。
【0015】
感光体3としては、セレン、アモルファスシリコン等の無機感光体、導電性基体上に電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等を含有する単層または積層の感光層が形成された有機感光体(OPC)等が挙げられる。帯電手段8としては、スコロトロン方式、帯電ローラ、帯電ブラシ等が挙げられる。露光手段16は、露光光としてLEDまたは半導体レーザー等が挙げられる。また、クリーニング手段24としては例えばドクターブレード式等が挙げられ、それぞれ公知のものを用いることができる。
【0016】
現像手段18は、図2および図3に示すように、内部のローラ軸R1に複数の磁性部材M1,M11が固定して配設され、該磁性部材M1,M11の外周部を回転するスリーブ状の磁気ローラ1(二成分現像剤担持体)と、内部のローラ軸R2に前記磁気ローラ1とは異極の磁性部材M2が固定して配設され、該磁性部材M2の外周部を回転するスリーブ状の現像ローラ2(トナー担持体)と、前記磁気ローラ1と前記現像ローラ2の互いに異なる磁極の磁力により磁界が形成され、この磁界により磁気ローラ1上に形成された磁気ブラシ6の高さを一定に保つための規制ブレード7と、飛散トナーを回収するためのトナー回収ローラ14(以下、回収ローラともいう。)とから構成されている。さらに、磁気ローラ1に印加する交流(AC)バイアス電源11aおよび直流(DC:Vdc1)バイアス電源11bと、現像ローラ2に印加する交流(AC)バイアス電源12aおよび直流(DC:Vdc2)バイアス電源12bとを備えている。また、トナー回収ローラ14へ直流(DC:Vdc3)バイアスを印加する電源13を備えてもよい。そして、これらバイアス電源11a,11b,12a,12bおよび13を制御する制御手段(不図示)を備えている。
【0017】
また、本発明の画像形成装置は、トナー5が収納されたトナーコンテナ(不図示)と、該トナーコンテナから二成分現像剤を収容する二成分現像剤収容部45に供給されたトナー5を、キャリア4とともに攪拌し帯電させる攪拌スクリュー40と攪拌スクリュー44を有し、仕切板42の両端部で連通し、その一端側を通って攪拌スクリュー40から攪拌スクリュー44に供給された二成分現像剤を磁気ローラ1へ供給し、攪拌スクリュー44は前記一端とは他端側から攪拌スクリュー40側へと二成分現像剤を循環してなる、磁気ローラ1、現像ローラ2、攪拌スクリュー40および攪拌スクリュー44が収納されたハウジング46とを備えている。
【0018】
なお、本発明の画像形成装置は、図4に示すように、4つの感光体3A,3B,3C,3Dが中間転写ベルト20上に配列されたタンデム式(間接転写タンデム方式)のカラー画像形成装置に好適に用いることができる。そこでは、上記した現像手段18を用いて、マゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各トナーをそれぞれ収容した現像装置18A,18B,18C,18Dにより前記感光体3A,3B,3C,3D上の静電潜像が可視像化されトナー像がそれぞれ形成される。そして中間転写ベルト20の表面に、前記感光体3A,3B,3C,3D上に可視像化されたトナー像が、上流側の感光体3Aから順に転写される。この中間転写ベルト20上に転写されたフルカラー画像は、給紙カセット27から搬送されてきた被転写体に二次転写ローラ25により転写され、次いで定着ローラ26で定着された後、この被転写体が排出される。
【0019】
ここで、前記飛散トナーは、その発生源として、主として磁気ローラ1上の二成分現像剤が二成分現像剤収容部45に回収される際、磁気ブラシ6が圧縮されることにより、磁気ブラシ6間の空気が二成分現像剤収容部45に入りこめずにはね返されるため、二成分現像剤回収部45から空気と共にトナー5も噴出し発生する。タッチダウン現像方式では、磁気ローラ1が現像ローラ2との最近接位置付近で、現像ローラ2上にトナー5を供給してトナー薄層9を形成すると共に、静電潜像の現像に寄与しなかった現像ローラ2上の未現像トナーを引き剥がして回収しており、この未現像トナーはキャリア4との付着性が小さく(トナー薄層形成時の二成分現像剤中のトナーとキャリアの付着力に比べて)、またタッチダウン現像方式では二成分現像剤中のトナー濃度を通常の二成分現像方式に比べ高く保っているため、二成分現像剤の流動性が低く、磁気ブラシ6間の空気が二成分現像剤収容部45により入り込みにくい構成となっているので、トナー飛散が発生しやすい。そして、飛散トナーは各種の画像不良、動作不良等を引き起こし、特に現像ローラ2の表面に付着し、引き剥がし不良によるゴースト現象が発生しやすくなり、良好な画像形成を妨げる要因のひとつとなっていた。
【0020】
(トナー回収ローラ)
本発明に係るトナー回収ローラ14は、前記飛散トナーを捕集し、それを磁気ローラ1に戻すためのものであり、図1に示すように、感光体3、現像ローラ2、磁気ローラ1、および攪拌スクリュー40、44の配置構成において、前記磁気ローラ1と前記現像ローラ2の最近接位置よりも前記磁気ローラ1の回転方向下流側で、且つ前記磁気ローラ1とハウジング46壁との隙間を塞ぐようにして磁気ローラ1に対向して配設される。回収ローラ14を前記配置とすることにより、磁気ローラ1の下部側の隙間を通して図1中の矢印方向Aに移動して、前記画像形成装置内に飛散していく飛散トナーの流れを防ぐと共に、回収ローラ14表面に飛散トナーを付着させ、捕集することができる。
【0021】
前記回収ローラ14の周方向に回転し、その回転方向は、磁気ローラ1の回転方向とは、その対向位置で互いに同一の方向である。そして、前記回収ローラ14の周速は、10〜100mm/secがよく、好ましくは20〜70mm/secである。前記回収ローラ14の周速が10mm/sec未満であると、回転数が少なく飛散トナーの回収量が好ましくない。また、100mm/secを超えると飛散トナーの回収性が低下すると共に、磁気ブラシ6による付着トナーの剥離の際に再び飛散してしまうおそれがあるので好ましくない。更に、前記磁気ローラ1上に担持されている磁気ブラシ6からキャリア4を引いてしまうおそれがあるので好ましくない。
前記回収ローラ14が、上記範囲内で回転することにより飛散トナーを回収ローラ14表面に付着させ捕集することができると共に、回収ローラ14の表面に付着したトナーは、回収ローラ14と磁気ローラ1間に形成された磁気ブラシ6と接触してストレスを与えられることなく剥離され、磁気ローラ1側に戻すことができる。更に前記トナー回収ローラ側へのキャリア引きを防止することが出来る。
【0022】
前記トナー回収ローラは、内部に前記磁気ローラ1の磁性部材M1と極性が異なる磁性部材M3を、前記磁気ローラ1の磁性部材M1に対向して配置している。こうすることによりトナー回収ローラ14と磁気ローラ1間に磁気ブラシ6が形成され、この磁気ブラシ6にて、トナー回収ローラ14上に付着した飛散トナーをストレスを与えることなく前記磁気ローラ1に戻すことができる。
【0023】
さらに、前記トナー回収ローラ14と前記磁気ローラ1間の磁力は、前記現像ローラ2と前記磁気ローラ1間の磁力より大きくする。その理由は以下に示すとおりである。前記現像ローラ2と前記磁気ローラ1はその対向面においてカウンター回転であり、前記トナー回収ローラ14と前記磁気ローラ1はその対向面においてトレール回転となるように構成されている。すなわち、例えば前記現像ローラ2と前記トナー回収ローラ14の周速が同じで、表面粗さ等の表面状態が同じであるとすると、前記磁気ローラ1上に担持される前記磁気ブラシ6による各々の表面に付着しているトナー5の回収は前記現像ローラ2の方が容易であり、たとえ前記トナー回収ローラ14が停止していたとしても同じである。また、前記トナー回収ローラ14は飛散トナーの回収性を高めるために、算術表面粗さRaが前記現像ローラ2より高く構成されている。従って、前記磁気ローラ1上に担持される前記磁気ブラシ6による各々の表面に付着しているトナー5の回収は前記現像ローラ2の方が容易であり、前記トナー回収ローラ14からのトナー5の引き剥がしは困難となる。従って、前記トナー回収ローラ14と前記磁気ローラ1間の磁力を、前記現像ローラ2と前記磁気ローラ1間の磁力より大きくすることにより、前記トナー回収ローラ14と前記磁気ローラ1間の磁気拘束力が強まり、これにより磁気ブラシ6層が前記磁気ローラ1とハウジング46壁との隙間を飛散していく飛散トナーの流れ(図1に示す矢印A方向)を防ぐと共に、飛散トナーを確実に捕集し、この捕集したトナーを磁気ブラシ6にて回収し、二成分現像剤収容部45に戻すことができる。
【0024】
前記トナー回収ローラ14と前記磁気ローラ1間の磁力は、好ましくは100〜160mTとするのがよい。キャリアの飽和磁化が小さい場合に、100mT未満の場合はトナーの掻き取り効果が弱くなる恐れがあり、160mTを超えるとキャリア引きが発生する恐れがある。一方、キャリアの飽和磁化が大きい場合、160mTより大きい場合は現像剤ブリッジが強固になり、トナー劣化を促進するおそれがある。
【0025】
前記回収ローラ14の磁性部材M3の磁力は、前記現像ローラ2のS極M2の磁力よりも大きくするのがよい。これにより、前記トナー回収ローラ14と前記磁気ローラ1間の磁力を、前記現像ローラ2と前記磁気ローラ1間の磁力より大きくすることができる。また、前記回収ローラ14の磁性部材M3の磁力は、前記磁気ローラ1の引き込み極M1の磁力よりも小さくするのがよい。これにより、多くのキャリア4を磁気ローラ1側に引き込み、それに伴って回収ローラ14上のトナー5が磁気ローラ1に効率よく回収されると共に、磁気ローラ1上のキャリア4が回収ローラ14側に取られることもない。
前記回収ローラ14に配置される磁性部材M3の半径方向における回収ローラ14表面上での磁力(表面磁束密度)は30〜70mT、好ましくは40〜60mTである。このとき、現像ローラ2の磁性部材M2の半径方向における現像ローラ2表面上での磁力(表面磁束密度)は、前記回収ローラ14の磁性部材M3よりも小さく、且つ前記磁気ローラ1の主極M11より小さく、20〜60mT、好ましくは30〜50mTである。また、磁気ローラ1の主極M11は70〜100mT、好ましくは80〜100mTである。そして、引き込み極M1の半径方向における磁気ローラ1表面上での磁力(表面磁束密度)は、前記回収ローラ14の磁性部材M3よりも大きく、且つ前記磁気ローラ1の主極M11より小さく、60〜90mT、好ましくは70〜90mTである。
【0026】
前記トナー回収ローラ14は、図2に示すように、内部に磁性部材M3が配設され、該磁性部材M3の外周部を回転するスリーブからなる。前記磁性部材M3は、前記回収ローラ14内のローラ軸R3に設けられ、周方向の所定の角度で回転不能に固定して支持されている。回収ローラ14の磁性部材M3の位置は、磁気ローラ1の中心と回収ローラ14の中心を結んだ線Cに対し、回収ローラ14の回転方向の上流側に配置するのがよい。図2に示すように、その角度αは1〜6°、好ましくは5°程度上流側に配置する。一方、磁気ローラ1の引き込み極M1は前記中心を結んだ線Cに対して磁気ローラ1の回転方向の上流側に配置するのがよく、図2に示すように、その角度βは1〜6°、好ましくは5°程度上流側に配置する。角度αが1°未満であるとキャリアが回収ローラに引き付けられてしまう場合があり好ましくない。また、角度αが6°を超えると、回収ローラ上のトナーを磁気ローラ側へ戻す力が弱過ぎ、トナーを回収できない場合があり好ましくない。このとき、回収ローラ14の磁性部材M3と磁気ローラ1の引き込み極M1とは、それぞれの半径方向先端部の極性が互いに異なるように対向して配置する。例えば図2に示す例では、回収ローラ14の前記磁性部材M3はN極であり、磁気ローラ1の引き込み極M1はS極である。
【0027】
回収ローラ14に磁性部材M3を配置して磁気ローラ1の磁極M1との位置関係を上記のように設定することで、磁気ローラ1の引き込み極M1(S極)に対向して磁極の異なった回収ローラ14磁極M3(N極)が存在することになるので、回収ローラ14と磁気ローラ1が最近接する位置よりも上流側で、磁気ローラ1と回収ローラ14との間に磁界が形成され、磁気ブラシ6の層ができる。そして、この磁気ブラシ6は回収ローラ14と磁気ローラ1間で、前記α=β=0の時の場合に比べて、磁気ローラ1回転方向下流側に傾いて形成されるので、回収ローラ14上の付着トナーは前記磁気ブラシ6により機械的な力で剥がされた後、磁気ローラ1の回転方向下流側に搬送されやすくなる。その結果、回収トナーが滞留することなく、効率的に磁気ローラ1側に回収される。さらに、回収ローラ14と磁気ローラ1間に磁気ブラシ6の層ができることで、磁気ローラ1の前記攪拌スクリュー44側から現像ローラ2側へと飛散する飛散トナーの行き場を塞ぐ効果も果たし、この飛散トナーも同時に捕集して磁気ローラ1側に戻すことができる。
また、前記回収ローラ14と磁気ローラ1とがその対向位置で周方向の回転を互いに同一の方向にしたことで、回収トナーに加えられるストレスが低減し、回収されるトナーの劣化を防止できる。
【0028】
前記トナー回収ローラ14は、その表面の算術平均粗さRaが前記現像ローラ2より大きく、且つ0.505〜3.0μm、好ましくは0.75〜2.0μmである。前記トナー回収ローラ14表面の算術平均粗さRaが前記現像ローラ2より小さいと、飛散トナーの捕集力が現像ローラ2より小さくなるので、飛散トナーが現像ローラ2に捕集され回収ローラ14での捕集が悪くなる。また、前記トナー回収ローラ14表面の算術平均粗さRaが0.505μmより小さいと、飛散トナーの回収力および保持力が十分ではなく、3.0μmより大きくなると、磁気ブラシ6への回収性が不十分となり、トナー回収ローラ14上に回収トナーが蓄積してしまう。なお、現像ローラ2表面の算術平均粗さRaは0.5〜1.0μmが好ましい。
【0029】
また、前記トナー回収ローラ14表面の算術平均粗さRaは現像ローラ2表面の算術平均粗さRaに対して1.01〜3.0倍であるのが好ましい。前記トナー回収ローラ14表面の算術平均粗さRaが前記範囲内であれば、トナーとの付着力を強め、飛散したトナーの捕集能力が高まる。
【0030】
前記回収ローラ14の回転スリーブの材質は、アルミニウム、ステンレススチール等の金属を用いることができる。飛散トナーの付着性の観点から比表面積が大きいアルマイト処理をしたアルミニウム、または/更に静電的な付着性の観点からはフッ素系樹脂等で表面を被覆していることが好ましい(トナーの帯電特性が正帯電性の場合)。また、前記磁性部材M3としては、磁力を発生する材料であれば特に限定されるものでないが、好ましくは磁石であるのがよく、例えば加工が容易なラバーマグネットなどが好適である。
【0031】
前記トナー回収ローラ14は、前記飛散トナーを捕集するために、直流バイアス電圧(DC:Vdc3)を印加するバイアス手段が設けてもよい。該バイアス手段により、使用するトナーの帯電極性に応じて前記トナー回収ローラに印加するバイアス電圧Vdc3が、前記磁気ローラ1に印加する直流バイアス電圧Vdc1より低いか、または高い電圧で印加される。例えば、トナー5に正帯電トナーを用いた場合、前記直流バイアス電圧Vdc3は、回収ローラ14の電位を磁気ローラ1の電位よりも低くなるように印加する。これにより、磁気ローラ1近傍の正帯電した飛散トナーは磁気ローラ1より電位の低い回収ローラ14に静電気的に引かれ、該回収ローラ14の表面に付着し、捕集される。逆に、負帯電トナーを用いた場合は、回収ローラ14の電位が高くなるよう前記電圧を印加すればよい。
【0032】
(現像方法)
図3に本発明にかかる現像手段の一部を模式的に示す。以下に、現像方法について説明する。
磁気ローラ1に内包されている固定マグネットで磁気的に拘束されているキャリア4(磁性体粒子)と、その表面と帯電保持しているトナー5とからなる磁気ブラシ6が、磁気ローラ1表面を回動し現像ローラ2へ搬送される。磁気ローラ1の表面はブラスト処理や溝加工を施したものを用いることで磁気ブラシ6の搬送をよりスムーズに行える。
【0033】
図3に示すように、現像ローラ2には直流電圧(DC:Vdc2)12bに交流電圧(AC)12aを重畳させた現像バイアス電圧12が印加され、磁気ローラ1には直流電圧(DC:Vdc1)11bに交流電圧(AC)11aを重畳させた現像バイアス電圧11が印加される。そして、磁気ローラ1上には前記磁気ブラシ6が形成され、磁気ローラ1上の磁気ブラシ6は規制ブレード7によって層規制されて、磁気ローラ1と現像ローラ2との間の電位差によって、搬送された磁気ブラシ6の帯電しているトナー5のみが現像ローラ2に移動しトナー層9を形成する。そして、現像ローラ2上のトナー層9によって感光体3上の静電潜像が現像される。なお、前記直流電圧Vdcは、面積中心電圧であり、DUTY比を変化させた際変化する。本発明において、DUTY比は矩形波の交流電圧1周期分において、正極性側に印加される継続時間T1、負極性側に印加される継続時間T2とするとDUTY比(%)=[T1/(T1+T2)]×100で表される。このとき正極性側性に立ち上がる波形と負極性側に立ち上がる波形の面積が互いに等しくなる電圧を面積中心電圧と言う。必要に応じて直流電圧を重畳してもよく、直流電圧を重畳した場合はVdc=直流電圧+免疫中心電圧となる。交流を印加しない場合のVdcは単なる直流電圧である。
【0034】
感光体3上の前記静電潜像は、感光体3の表面に帯電手段8により+250〜800Vに帯電したところへ、露光手段16を用いて形成することができる。OPC感光体を用いると、全露光で+70〜220Vが得られ、アモルファスシリコン感光体では10〜50Vの露光後電位が得られる。露光には、半導体レーザーおよびLEDのどちらも用いることができる。
【0035】
上述のようにして現像が行われた後、残留トナー層を有する現像ローラ2はその対向位置において現像剤層を有する磁気ローラ1と最接近し、この対向位置で磁気ブラシ6による機械的な力によって、現像ローラ2上のトナー層9が掻き取られる。それと同時に、磁気ローラ1と現像ローラ2との間に形成される電位差(つまり、電界)に応じて磁気ローラ1上の現像剤層からトナー5が現像ローラ2側に供給されることになる。
【0036】
現像時、バイアス条件は、磁気ローラ1に+300〜500Vを、現像ローラ2に+100Vを印加するのがよい。薄層形成の電位差としては、200〜400Vが適正でトナー5の帯電量とのバランスで調整すればよい。フィードバック制御等を用いることで、トナー薄層9の層厚をある程度一定にすることが可能である。
【0037】
トナー回収ローラ14にバイアス電圧を印加するバイアス電源13を用いる場合、例えばプラス帯電したトナー5を用いた場合には、回収ローラの印加電圧は、磁気ローラ1の電位より低く、且つその電位差が+50〜150Vであるのがよい。この範囲であれば、前記磁気ローラ1近傍の正帯電した飛散トナーを回収ローラ14に静電的に吸引し、付着させることができると共に、該付着した飛散トナーを磁気ブラシ6により容易に剥がして磁気ローラ1に戻すことができる。
【0038】
交流条件は、磁気ローラ1に現像ローラ2と同周期で逆位相のVP-P(ピーク交流バイアス)=0.1〜2.0kV、周波数=2〜4kHz、DUTY比=60〜80%を、現像ローラ2にはVP-P=1.0〜2.0kV、周波数=2〜4kHz、DUTY比=20〜40%が好ましい。VP-Pを高めると薄層形成がより瞬時に行われるが、反面耐リーク性が弱くなりノイズの発生原因になる。これらの点については、磁気ローラ1や現像ローラ2の表面にアルマイト処理等で絶縁性を高めることはマージンが広がるので好ましい。周波数については、トナー5の帯電量で調整すればよい。
【0039】
トナー5は、プラスおよびマイナスに帯電したトナーのいずれも用いることができる。好ましくはプラス帯電を用いる。その体積平均粒子径は4.0〜7.5μmであるのがよい。4.0μm未満では非静電的な付着力の影響が大きくなり現像性、回収性が低下し、7.5μmより大きいと画質の滑らかさなど高画質な画像が得られにくい。また、トナー5の帯電量は6〜30μC/g程度が好ましい。これよりも低い帯電量では、磁気ブラシ6からトナー5が舞って周辺を汚してしまい、またこれよりも高いと薄層形成が弱くなる。
トナー体積平均粒子径はマルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)を用い、アパチャー径100μm(測定範囲2.0〜60μm)で測定することができる。
また、トナー帯電量は、QMメータ(TREK社製、MODEL 210HS)で測定することができる。
【0040】
キャリア4は、公知のものを用いることができるが、好ましくはフェライトのコアを用いて表面に樹脂のコーティングを施したものを用いるのがよい。また、キャリア粒径(重量平均粒径)は30〜60μmのものを用いるのが好ましい。30μm未満であると磁力による保持力が弱まるため、現像ローラ2、回収ローラ14へキャリア4が移行してしまうキャリア飛び等が発生し、60μmを超えると、磁気ブラシの密さが適度でなく、またトナー薄層の形成が滑らかではなく、比表面積が小さいためトナーの回収性も低下する。さらにキャリア4の飽和磁化は35〜90emu/gのものが好ましい。飽和磁化が35emu/gより低いと顕著にキャリア4飛びが悪くなり、90emu/gより高いと磁気ブラシ6が疎になり均一な薄層形成が出来なくなる。
キャリア4の飽和磁化は、TOEI社製「VSM−P7」を用いて、磁場79.6kA/m(1kOe)で測定することが出来る。
【0041】
磁気ローラ1と現像ローラ2のギャップは200〜600μm、好ましくは300〜400μmである。ギャップは薄層形成を瞬時に行うために最も効果的な因子である。その幅が広いとその効率が低下し、現像ゴースト等の問題が生じる。また狭いとブレードギャップを通過する磁気ブラシ6がギャップを通過できずにトナー薄層9を乱してしまう等の問題が生じる。
また、磁気ローラ1とトナー回収ローラ14のギャップは、磁気ブラシ6が回収ローラ14に接触する程度の間隔であり、磁気ローラ1と現像ローラ2のギャップと同じか、より小さくするのがよく、150〜500μm、好ましくは200〜300μmである。
【0042】
磁気ローラ1と回収ローラ14間との距離を磁気ローラ1と現像ローラ2の間の距離以下とすることで磁気ローラ1周辺から発生する飛散トナーが現像ローラ2側へ飛散していくのを防止することが可能となる。なお、磁気ローラ1と回収ローラ14とのギャップを狭めると、リークが発生するので、このリークを抑えるために回収ローラ14の表面にアルマイト処理等で絶縁性を高め、抵抗を持たせることが必要となる。その場合、回収ローラ14表面の電気抵抗率は、107〜1012Ω・mであるのがよい。
【0043】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0044】
[実施例1]
以下に示す仕様により、図1に示す本発明の画像形成装置を作製した。感光体3、現像ローラ2、磁気ローラ1および回収ローラ14の各スリーブの径は、それぞれ30mm、20mm、25mmおよび10mmで、それぞれアルミニウムを使用した。
また、各ドラムの周速は下記の通りである。
感光体3:300mm/sec
現像ローラ2:450mm/sec
磁気ローラ1:675mm/sec
回収ローラ14:30mm/sec
【0045】
回収ローラ14に磁性部材を配置する場合については、回収ローラ14の磁極位置をα=5°、磁気ローラ1の引き込み極M1の位置をβ=5°になるよう配置した。そして、各磁性部材の半径方向における各ローラ表面での磁力は下記に示すとおりである。
現像ローラ2のS極M2:40mT
磁気ローラ1の主極M11(N極):90mT
磁気ローラ1の引き込み極M1(S極):80mT
回収ローラ14のN極M3:55mT
【0046】
トナー回収ローラ14表面および現像ローラ2表面の算術平均粗さRaは、表1に示すように組合せ、実施例1〜6、比較例1〜4とした。
なお、磁力測定は、テスラメータGX-100(日本電磁測器(株)社製)を用いて、回収ローラ14および磁気ローラ1の表面上の磁力を測定した。
また、表面粗さRaの測定は、SURFCOM1500DX(東京精密(株)社製)を用いて、以下の条件にて行った。算出規格:JIS-1994規格、測定種別:粗さ測定、測定長さ:4.0mm、カットオフ波長:0.8mm、測定速度:0.3mm/s、評価長さ:4.0mm。
【0047】
上記で作製した画像形成装置を用いて下記に示す作像時の条件により、画像形成を実施した。
感光体表面電位:+310V
現像剤中のトナーのQ/m:18μC/g
トナー粒径(体積平均粒子径):6.5μm
キャリア粒径(重量平均粒子径):50μm
磁気ローラと現像ローラ間距離:350μm
磁気ローラと回収ローラ間距離:250μm
現像ローラ印加電圧:Vdc2=100V、VP-P=1.6kV,周波数f=2.7kHz、Duty比=27%
磁気ローラ印加電圧:Vdc1=300V、現像ローラと同周期で逆位相のVP-P=300V,周波数f=2.7kHz、Duty比=73%
回収ローラ印加電圧:Vdc3=200V
【0048】
[実施例2〜7、比較例1、2]
回収ローラ14のマグネットM3および表面粗さRa,並びに現像ローラ2の表面粗さRaを、表1に示すような組合せとした以外は、実施例1と同様にして実施例2〜7、比較例1,2の画像形成装置を作製した。
【0049】
(評価)
評価は、上記で作製した画像形成装置を用いて、捕集した飛散トナーの回収ローラ14による二成分現像剤収容部45への回収性およびトナー飛散を評価対象とし、以下に示すような評価方法および評価基準により行った。
回収ローラ14上に付着した飛散トナーの磁気ブラシ6による二成分現像剤収容部45への回収性については、キャリア4とトナー5からなる二成分現像剤におけるトナー濃度を略7%とし、印字濃度6%の原稿出力を50枚連続で出力後、回収ローラ14上のトナー付着量M(mg/cm2)を測定し、以下の基準により評価した。
なお、回収ローラ14上の回収トナーの付着量および後述する飛散トナーの部材47への付着量は、QMメータ MODEL 210PS(TREK社製)を用いて測定した。
◎:M≦0.01
○:0.01<M≦0.05
△:0.05<M≦0.1
×:0.1<M
トナー飛散は、図1に示した部材47(ハウジングと同じABS樹脂製)を現像装置18から脱着可能に改造し、印字率6%の原稿を1000枚出力した時の、部材47の内壁部に付着した単位面積あたりのトナー量を測定し、以下の基準により評価した。
◎:0.05mg/cm2未満
○:0.05〜0.1mg/cm2未満
△:0.1〜0.15mg/cm2未満
×:0.15mg/cm2以上
【表1】

【0050】
表1に示すように、本発明の範囲内の実施例1〜7では、磁気ブラシ6による回収ローラ14上のトナー5の二成分現像剤収容部45への回収性は良好であり、更に飛散トナーの回収性は良好であり、トナー飛散も抑制された。
これに対して、回収ローラ14と磁気ローラ1間の磁力が現像ローラ2と磁気ローラ1間の磁力より小さい比較例1では、磁気ブラシ6による回収ローラ14上のトナー5の二成分現像剤収容部45への回収性は実施例1〜7に比べ良好ではなく、トナー飛散の発生も顕著であり、更に磁性部材M3を設置しない比較例2では、磁気ブラシによる回収ローラ14上のトナー5の回収性は不良であり、回収ローラ14による飛散トナーの回収性も不良となった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るタッチダウン現像方式の画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る磁性部材の配置を説明するためのトナー回収ローラおよび二成分現像剤担持体の説明図である。
【図3】図1の現像手段の一部を示す概略構成図である。
【図4】図1に示す現像手段を用いたタンデム式カラー画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0052】
1 二成分現像剤担持体(磁気ローラ)
2 トナー担持体(現像ローラ)
3 静電潜像担持体(感光体)
4 キャリア
5 トナー
6 磁気ブラシ
7 規制ブレード
8 帯電手段
9 トナー薄層
11a 交流電源
11b 直流電源
12a 交流電源
12b 直流電源
13 直流電源
14 トナー回収ローラ
16 露光手段
22 一次転写手段
24 クリーニング手段
25 二次転写手段
26 定着手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に磁性部材を配置しキャリアとトナーからなる現像剤を磁気的に保持する二成分現像剤担持体と、該二成分現像剤担持体よりトナーを移送してその表面にトナー薄層を担持する、内部に磁性部材を配置したトナー担持体とをハウジング内に少なくとも備え、前記トナー担持体および/または前記二成分現像剤担持体に現像バイアスを印加して、静電潜像担持体表面に形成された静電潜像の現像を行う画像形成装置であって、
前記トナー担持体および前記二成分現像剤担持体の近傍に浮遊する飛散トナーを回収する回収ローラを、前記二成分現像剤担持体と前記トナー担持体の最近接位置よりも前記二成分現像剤担持体の回転方向下流側で且つ前記トナー担持体および前記二成分現像剤担持体に対向して配置し、
前記トナー回収ローラ内部に前記二成分現像剤担持体の磁性部材と極性が異なる磁性部材を、前記二成分現像剤担持体の磁性部材に対向して配置し、
前記トナー回収ローラと前記二成分現像剤担持体間の磁力が、前記トナー担持体と前記二成分現像剤担持体間の磁力より大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
内部に設けられた磁性部材の半径方向における前記トナー回収ローラ表面での磁力は、内部に設けられた磁性部材の半径方向における前記トナー担持体表面での磁力よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
内部に設けられた磁性部材の半径方向における前記トナー回収ローラ表面での磁力は、内部に前記トナー回収ローラに対向して設けられた磁性部材の半径方向における前記二成分現像剤担持体表面での磁力よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー回収ローラと前記二成分現像剤担持体間の磁力は、100〜160mTであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー回収ローラ表面の算術平均粗さRaは、前記トナー担持体表面の算術平均粗さRaより大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー回収ローラ表面の算術平均粗さRaは、0.505〜3.0μmであることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
画像形成装置。
【請求項7】
前記トナー回収ローラに、前記飛散トナーを回収するためのバイアス電圧を印加するバイアス手段を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記静電潜像担持体の周速が180mm/sec以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−185736(P2008−185736A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18547(P2007−18547)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】