説明

画像形成装置

【課題】コストをかけることなく、プレニップ領域にて中間転写ベルト上のトナー像が、放電によって飛散してしまうことを防止する画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、絶縁性基材層と、この絶縁性基材層上に設けられる電極層と、この電極層上に設けられる半導電層とからなる中間転写ベルト40と、中間転写ベルト40の前記電極層に所定のバイアス電圧を印加する転写バイアス印加手段35と、前記中間転写ベルト40の外周に当接しニップ領域を形成すると共に、所定のバイアス電圧が印加される2次転写ローラ50と、を有し、前記2次転写ローラ50と対向して前記中間転写ベルトを挟持する部材を設けないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成した潜像をトナーによって現像し、さらにシート材などの記録媒体にこのトナーの現像像を転写し、最終的には定着装置において熱と圧力をかけてトナー現像像を記録媒体上に融着して永久可視像とする画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置にあっては、中間転写ベルト上に1次転写されたトナー像を、用紙などに2次転写する際の二次転写部においては、プレニップ領域でも電界が作用してしまう。このため、前記のような2次転写部のプレニップ領域にて例えば中間転写ベルト上のトナー像(可視像)が飛散してしまい所謂ブラー(画質欠陥)が発生したり、放電マークが発生したり、チリが発生したりし画質劣化が起こるという技術的な課題がある。
【0003】
また、二次転写部のポストニップ領域でも比較的大きい電界が作用するため、用紙剥離時に剥離放電に伴う筋状の所謂放電マーク(画質欠陥)が発生し易く、画質が劣化してしまう、という技術的課題も見られた。また、ポストニップ領域における電界の影響によって、2次転写後における用紙剥離性や分離性が悪くなるという課題もあった。
【0004】
上記のような課題を解決するためのものとしては、特許文献1(特開平11−65332号公報)に、中間転写ベルトと2次転写ローラ方式の2次転写部を有する画像形成装置が開示されている。特許文献1のものの場合、2次転写ニップに用紙が突入する前に中間転写ベルトに対して用紙を沿わせる構成がとられている。つまり、2次転写電界がかかり始めるプレニップより以前に紙をベルトに沿わせることで、2次転写前の放電マーク、チリの発生を低減させるようにしている。
【0005】
また、特許文献2(特開平10−288903号公報)には、中間転写体から用紙への転写を行う2次転写部において、2本の導電性部材(2次転写ローラ)を有する構成としている。そして、一方の2次転写ローラにバイアスが印加されている場合は、電流経路が一方の2次転写ローラ→2次転写バックアップ部材→他方の2次転写ローラ、となるようにしている。つまり、プレニップ側からバイアスを印加する場合とポストニップからバイアスを印加する場合とに切り替えが可能である構成としている。プレニップでのチリ、放電マークとポストニップでの放電マークの両課題をバイアス印加するローラを切り替えることで解決している。
【特許文献1】特開平11−65332号公報
【特許文献2】特開平10−288903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、2次転写のための電圧印加手段を設けたバックアップローラが必要であること、転写前(プレニップ)領域での放電はなくなったが、依然として転写後(ポストニップ)の紙剥離時に引き起こされる放電は低減できない。なお、これは、バックアップローラを必要とする2次転写では解決困難となる課題である。
【0007】
また、特許文献1に記載のものは、2次転写ローラの半分をベルトに対して腹当て気味(ラップ)に、半分はバックアップローラに突き当て気味に当接させることで、電流経路を確保しながら、プレニップでの電界を低減させているため、2次転写ローラの位置精度が高く要求され、コストアップ要因となりかねない。さらに、ある程度大径の2次転写ローラを用いなければ、結局プレニップでの2次転写電界領域と接してしまうため、2次転写ローラ径の制約をも発生させてしまうことなる。このように、特許文献1に記載のものは、2次転写のプレニップでの放電マーク、チリの低減には適した構成ではあるが、ポストニップ部での放電の低減に適しているとは言えず、またコスト面からも最適な構成とは言えない。
【0008】
また、特許文献2に記載のものでは、ローラが2本必要であり、周辺部材も含めるとコスト的に不利である、という問題がある。また、用紙搬送の安定性にも問題がある。最初のローラを通過した用紙は、2次転写バックアップ部材の円弧形状に沿って搬送され、2本目のローラに進入する必要があるため、用紙の保持が困難となるからである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、コストをかけることなく、プレニップ領域にて中間転写ベルト上のトナー像(可視像)が飛散してしまい所謂ブラー(画質欠陥)が発生したり、放電マークが発生したり、チリが発生したりし画質劣化が起こることを解決すると同時に、ポストニップ領域において、用紙剥離時に剥離放電に伴う筋状の所謂放電マーク(画質欠陥)が発生し、画質が劣化してしまう、という課題をも解決するものである。さらに、ポストニップ領域においては、2次転写後における用紙の剥離性や分離性が悪くなるという課題も解決するものである。このために、本発明の画像形成装置は、絶縁性基材層と、前記絶縁性基材層上に設けられる電極層と、前記電極層上に設けられる半導電層とからなる中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトの前記電極層に所定のバイアス電圧を印加する転写バイアス印加手段と、前記中間転写ベルトの外周に当接しニップ領域を形成すると共に、所定のバイアス電圧が印加される2次転写ローラと、を有し、前記2次転写ローラと対向して前記中間転写ベルトを挟持する部材を設けないことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、前記ニップ領域よりも上流側におけるプレニップ領域で、前記中間転写ベルトと沿うように用紙が搬送されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、前記ニップ領域よりも上流側に、コロナ帯電器が設けられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、前記ニップ領域よりも上流側に、前記中間転写ベルトに向けて用紙をガイドする用紙ガイド部材が設けられることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の画像形成装置は、前記ニップ領域における用紙のクセ付け方向が、前記中間転写ベルトから離れる方向であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、前記ニップ領域よりも下流側に、前記中間転写ベルトから用紙を剥離する剥離爪が設けられることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、前記中間転写ベルトを駆動する駆動ローラが設けられており、前記剥離爪は前記駆動ローラと共に前記中間転写ベルトを挟み込む位置に設けられることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の画像形成装置は、前記用紙ガイド部材よりも上流側で、前記中間転写ベルトに最終色のトナー像が形成される位置よりも下流側にテンションローラが設けられることを特徴とする。
【0017】
以上のような本発明の画像形成装置によれば、コストをかけることなく、プレニップ領域にて中間転写ベルト上のトナー像(可視像)が飛散してしまい所謂ブラー(画質欠陥)が発生したり、放電マークが発生したり、チリが発生したりし画質劣化が起こることを防止すると同時に、ポストニップ領域において、用紙剥離時に剥離放電に伴う筋状の所謂放電マーク(画質欠陥)が発生し、画質が劣化してしまうことを防止する。さらに、本発明の画像形成装置によれば、ポストニップ領域においては、2次転写後における用紙の剥離性や分離性を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。なお、図1はタンデムタイプを例とした画像形成装置の全体構成概略を示す断面図である。
【0019】
図1において、20Y、20M、20C、20Kは感光体ドラム(像担持体)、30Y、30M、30C、30Kはプロセスカートリッジ、31は駆動ローラ、32は従動ローラ、33は第1テンションローラ、35は転写バイアス印加手段、36はバックアップローラ、39は中間転写ベルトクリーニングブレード、40は中間転写ベルト、42は給紙ローラ対、43は第1用紙ガイド部材、45はコロナ帯電器、50は2次転写ローラ、53は第2用紙ガイド部材、60は定着ローラ対をそれぞれ示している。
【0020】
プロセスカートリッジ30Y(イエロー)、30M(マゼンタ)、30C(シアン)、30K(ブラック)は、それぞれ感光体ドラム(潜像担持体)20を有しており、その回転に伴いその表面に帯電装置などの周知の電子写真プロセスによって、画像情報に応じた静電潜像が形成される。また、この感光体ドラム20の周囲にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応した現像装置が配設されており、感光体ドラム20に形成された静電潜像はいずれかの現像装置で現像されてトナー像が形成されるようになっている。従って、感光体ドラム20に書き込まれた静電潜像がイエローの画情報に対応したものであれば、この静電潜像はイエロー(Y)のトナーを内包する現像装置で現像され、感光体ドラム上にはイエローのトナー像が形成される。
【0021】
プロセスカートリッジ30Y、30M、30C、30Kの各感光体ドラム20の表面に当接されるように、エンドレスベルト状の中間転写ベルト40が配設されている。
【0022】
中間転写ベルト40は、駆動ローラ31、中間転写ベルト40の張力を一定に制御するようにした第1テンションローラ33、従動ローラ32等の複数のローラに張架されている。不図示の駆動力源が配されている駆動ローラ31が回転することによって、中間転写ベルト40が図示矢印方向に回動する構成となっている。
【0023】
そして、プロセスカートリッジ30Y、30M、30C、30Kの感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kに形成されたトナー像は、感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kと中間転写ベルト40とが接する一次転写位置で感光体ドラムから中間転写ベルト40の表面に転写される。
【0024】
ここで、本実施形態の画像形成装置で用いられる中間転写ベルト40についてより詳しく説明する。図2は本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いる中間転写ベルトの断面構造を示す図である。図2に示すように、本実施形態の中間転写体ベルト40はポリエチレンテレフタラート(PET)からなる絶縁性の基材層400の上にアルミニウム等の電極層401が設けられ、その表面に半導電層(塗料)402が形成された3層構造であり、その幅方向の端部に一部半導電層402が塗布されない部分が帯状に形成され、電極層401の露出部が形成されている。また、電極層401の露出表面部は、エンドレスベルトである中間転写ベルト40の全周にわたって延在するように形成されている。この電極層401に対し、転写バイアス印加手段35が接触し、電極層401に対して所定の転写バイアス電圧V1が印加される。なお、半導電層402の体積抵抗率のオーダーは10〜1012Ω・cm程度である。
【0025】
転写バイアス印加手段35は、対向する従動ローラ32と共に、中間転写ベルト40を挟む位置に配置されており、中間転写ベルト40を押圧しつつ、電極層401に対して所定の転写バイアス電圧V1を印加するようになっている。
【0026】
転写バイアス印加手段は、中間転写ベルト40の電極層401に接して従動回転する導電性ローラやリジッドな接触子、あるいは板バネ等の導電性弾性部材、樹脂等の繊維群によって形成した導電性ブラシ等でも構成可能である。
【0027】
一次転写位置において、中間転写ベルト40の内周面側にはバックアップローラ36Y、36M、36C、36Kが配設されており、これらのバックアップローラ36Y、36M、36C、36Kがアース電位となるように接地されている。バックアップローラ36Y、36M、36C、36Kは、感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kと共に、中間転写ベルト40を挟むような配置となっている。
【0028】
中間転写ベルト40の電極層401に印加されている転写バイアス電圧V1の作用により、感光体ドラム20Y、20M、20C、20K上のトナー像は中間転写ベルト40側に引きつけられ、中間転写ベルト40の表面に静電転写される。各色のトナー像が順次中間転写ベルト40上に重ねて転写されることによって、中間転写ベルト40上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0029】
不図示の給紙カートリッジからピックアップされた用紙は、給紙ローラ対42の間を通りつつ搬送され、さらに図1に示すように2次転写ローラ50と中間転写ベルト40とが当接するニップ領域よりも上流側に設けられた第1用紙ガイド部材43を通って、プレニップ領域で中間転写ベルト40に沿うような状態で2次転写ローラ50側に向かうようになっている。図1における点線で示す矢印は用紙の搬送ルートを示すものである。
【0030】
コロナ帯電器45は、スコロトロン、コロトロンなどの帯電付与手段であり、図1に示すように2次転写ローラ50と中間転写ベルト40とが当接するニップ領域よりも上流側に設けられている。これによって正極性コロナ放電を発生し、2次転写の前段階において用紙を中間転写ベルト40に張り付かせ、その姿勢を維持したまま、2次転写ローラ50と中間転写ベルト40とが当接するニップ領域へと用紙を進入させるようにする。用紙は中間転写ベルト40上に転写されているトナー像とのタイミングをとって搬送される。
【0031】
なお、画像形成プロセスの始めから終わりまでで、より前段に配置されるローラなどの構成は、後段に配置されるローラなどの構成より上流にあるものと定義する。また、2次転写ローラ50と中間転写ベルト40とが当接するニップ領域の近傍でニップ領域よりも略上流側の部分を「プレニップ領域」、2次転写ローラ50と中間転写ベルト40とのニップ領域の近傍でニップ領域よりも略下流側の部分を「ポストニップ領域」として定義する。
【0032】
次に本発明の画像形成装置における2次転写について詳しく説明する。図3は本発明の実施形態に係る画像形成装置の2次転写部を示す図である。中間転写ベルト40上に転写されているトナー像と、これに張り付いた状態の用紙とは、2次転写ローラ50と中間転写ベルト40とが当接するニップ領域へと進入する。2次転写ローラ50は、中間転写ベルト40の外周を凹ませるように、中間転写ベルト40に対して当接している。ここで、本発明の画像形成装置においては、2次転写ローラ50が中間転写ベルト40に当接する位置で、2次転写ローラ50と対向して中間転写ベルト40を挟持するように配置される、所謂パックアップ部材の類が設けられていない。
【0033】
また、2次転写ローラ50には所定のバイアス電圧V2が印加されており、前述したように中間転写ベルト40の電極層401には転写バイアス印加手段35によって所定の転写バイアス電圧V1が印加され、これらバイアス電圧V2とバイアス電圧V1との電位差によって、中間転写ベルト40上のトナー像が用紙側へと引きつけられ転写されるようになっている。
【0034】
本発明の画像形成装置においては、2次転写ローラ50は、中間転写ベルト40の外周を凹ませるように中間転写ベルト40に対して当接しており、さらに2次転写ローラ50にはバイアス電圧V2が、中間転写ベルト40にはバイアス電圧V1が印加されており、これらの電位差による電界の電気力線は図3に示されるようになる。本発明のような配置関係及びバイアス電圧印加によると、2次転写ローラ50と中間転写ベルト40とで形成されるギャップを小さくすることができると共に、中間転写ベルト40と用紙とで形成されるギャップも小さくすることができるため、電界の用紙に対する影響度合いが低くなる。
【0035】
従来の画像形成装置の場合、2次転写部においては、2次転写ローラと2次転写バックアップローラとで中間転写ベルトを挟持するようにし、2次転写ローラと2次転写バックアップローラとの間にバイアス電圧を印加して、トナー像を用紙に転写するようにしていた。このような配置関係、バイアス電圧印加によると用紙に対する電界の影響が発生していたが、本発明の配置関係及びバイアス電圧印加によると、2次転写ローラ50と中間転写ベルト40とで形成される電界の用紙に対する影響度合いが低くなる。このため、本発明の画像形成装置の構成によれば、バックアップ部材などを設ける必要がなく、したがってコストをかけることなく、プレニップ領域にて中間転写ベルト40上のトナー像(可視像)が、放電によって飛散してしまい所謂ブラー(画質欠陥)が発生したり、放電マークが発生したり、チリが発生したりして画質劣化が起こることを防止することができる。
【0036】
本発明の画像形成装置において、電界の影響度合いが緩和されることは、プレニップ領域のみならず、ポストニップ領域についてもいえる。すなわち、本発明の構成によれば、ポストニップ領域において、用紙剥離時に剥離放電に伴う筋状の所謂放電マーク(画質欠陥)が発生し、画質が劣化してしまうことを防止することができる。
【0037】
さらに、本発明の配置関係及びバイアス電圧印加によると、ポストニップ領域においては、用紙の剥離性や分離性を向上することが可能となる。このことを図4を参照しつつ説明する。図4は本発明の実施形態に係る画像形成装置の2次転写部を示す図である。図4はポストニップ領域における用紙の状態を模式的に示すものである。図4に示すように、ポストニップ領域における用紙は、用紙の帯電に伴う吸着力によって中間転写ベルト40側に吸着している状態となっているが、用紙が2次転写ローラ50と中間転写ベルト40とが当接するニップ領域において2次転写ローラ50に巻き掛けられることによって、用紙についたクセの方向は、前記吸着とは反対の中間転写ベルトから離れる方向となる。このため、吸着の方向と用紙のくせの方向とのバランスによって、用紙の剥離性や分離性を向上する。
【0038】
従来の画像形成装置では、2次転写部において、2次転写ローラと2次転写バックアップローラとの間を通過する用紙は、帯電によって2次転写バックアップローラ側、すなわち中間転写ベルト側に吸着状態となると共に、さらに2次転写バックアップローラ側に中間転写ベルトが巻きかけられている配置のために、用紙につくクセの方向は、やはり中間転写ベルト側となってしまう。このように吸着の方向と用紙のくせの方向とが同方向となり、従来の装置では中間転写ベルトからの用紙の剥離性や分離性が良好ではなかった。これに対して、本発明の画像形成装置によれば、上述のようにポストニップ領域においては、中間転写ベルト40からの用紙の剥離性や分離性を向上することが可能となる。
【0039】
本発明の画像形成装置においては、中間転写ベルト40からの用紙の剥離性や分離性がよいので、ニップ領域よりも下流側に配置される駆動ローラ31と共に中間転写ベルト40を挟み込むような位置に設けられる比較的簡便な不図示の剥離爪などの剥離機構によって、用紙を中間転写ベルト40から剥離することができる。中間転写ベルト40から剥離された用紙は、第2用紙ガイド部材53に案内されつつ定着ローラ対60に向かい、定着ローラ対60のニップ領域を通過することで、トナー像の定着処理がなされ永久可視像となる。
【0040】
中間転写ベルトクリーニングブレード39は、対向する従動ローラ32と共に、中間転写ベルト40を挟む位置に配置されており、中間転写ベルト40を押圧しつつ、中間転写ベルト40上に残留したトナーをクリーニングする。クリーニングされた中間転写ベルト40は、再び1次転写によるトナー像を受けるべく、プロセスカートリッジ30Yの方に搬送される。
【0041】
以上のような本発明の画像形成装置によれば、コストをかけることなく、プレニップ領域にて中間転写ベルト上のトナー像(可視像)が飛散してしまい所謂ブラー(画質欠陥)が発生したり、放電マークが発生したり、チリが発生したりし画質劣化が起こることを防止すると同時に、ポストニップ領域において、用紙剥離時に剥離放電に伴う筋状の所謂放電マーク(画質欠陥)が発生し、画質が劣化してしまうことを防止する。さらに、本発明の画像形成装置によれば、ポストニップ領域においては、2次転写後における用紙の剥離性や分離性を向上することが可能となる。
【0042】
次に本発明の他の実施形態について説明する。図5は本発明の他の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。他の実施形態が先の実施形態と異なる点は、第1用紙ガイド部材43よりも上流側であって、中間転写ベルト40に最終色のトナー像を形成するプロセスカートリッジ30Kよりも下流側において、第2テンションローラ34が設けられている点である。その他の点においては、他の実施形態と先の実施形態とは同じである。
【0043】
本実施形態においては、上記のような第2テンションローラ34を設けることで、2次転写ローラ50が、中間転写ベルト40の外周を凹ませるときの凹ませ具合を調整することが可能となる。このため、2次転写ローラ50と中間転写ベルト40とを配置する際、よりレイアウト上の自由度を持たせることができると共に、本発明の配置関係及びバイアス電圧印加による電界の影響緩和効果をよりいっそう強調することが可能となると共に、用紙の剥離性や分離性をさらに向上することができる。
【0044】
本発明の他の実施形態によっても、先の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いる中間転写ベルトの断面構造を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の2次転写部を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置の2次転写部を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
20Y、20M、20C、20K・・・感光体ドラム(像担持体)、30Y、30M、30C、30K・・・プロセスカートリッジ、31・・・駆動ローラ、32・・・従動ローラ、33・・・第1テンションローラ、34・・・第2テンションローラ、35・・・転写バイアス印加手段、36・・・バックアップローラ、39・・・中間転写ベルトクリーニングブレード、40・・・中間転写ベルト、42・・・給紙ローラ対、43・・・第1用紙ガイド部材、45・・・コロナ帯電器、50・・・2次転写ローラ、53・・・第2用紙ガイド部材、60・・・定着ローラ対、400・・・基材層、401・・・電極層、402・・・半導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基材層と、前記絶縁性基材層上に設けられる電極層と、前記電極層に設けられる半導電層とからなる中間転写ベルトと、

前記中間転写ベルトの前記電極層に所定のバイアス電圧を印加する転写バイアス印加手段と、
前記中間転写ベルトの外周に当接しニップ領域を形成すると共に、所定のバイアス電圧が印加される2次転写ローラと、を有し、
前記2次転写ローラと対向して前記中間転写ベルトを挟持する部材を設けないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】

前記ニップ領域よりも上流側におけるプレニップ領域で、前記中間転写ベルトと沿うように用紙が搬送されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】

前記ニップ領域よりも上流側に、コロナ帯電器が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】

前記ニップ領域よりも上流側に、前記中間転写ベルトに向けて用紙をガイドする用紙ガイド部材が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ニップ領域における用紙のクセ付け方向が、前記中間転写ベルトから離れる方向であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ニップ領域よりも下流側に、前記中間転写ベルトから用紙を剥離する剥離爪が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記中間転写ベルトを駆動する駆動ローラが設けられており、前記剥離爪は前記駆動ローラと共に前記中間転写ベルトを挟み込む位置に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記用紙ガイド部材よりも上流側で、前記中間転写ベルトに最終色のトナー像が形成される位置よりも下流側にテンションローラが設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−204768(P2009−204768A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45574(P2008−45574)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】