画像形成装置
【課題】セキュア印刷における印刷までのタイムラグによるデメリットを低減する。
【解決手段】セキュア印刷ジョブを登録するときに、セキュア印刷ジョブの印刷枚数が上限枚数から未印刷のセキュア印刷ジョブの枚数を減じた値である許容枚数を超えるか否かを判断する。許容枚数を越えないと判断された場合は、セキュア印刷ジョブの印刷を許可し、RAM67に記憶させる。印刷を許可された未印刷のセキュア印刷ジョブについては、許可された後に許容枚数が印刷枚数以下になっても認証時の印刷が可能である。
【解決手段】セキュア印刷ジョブを登録するときに、セキュア印刷ジョブの印刷枚数が上限枚数から未印刷のセキュア印刷ジョブの枚数を減じた値である許容枚数を超えるか否かを判断する。許容枚数を越えないと判断された場合は、セキュア印刷ジョブの印刷を許可し、RAM67に記憶させる。印刷を許可された未印刷のセキュア印刷ジョブについては、許可された後に許容枚数が印刷枚数以下になっても認証時の印刷が可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳しくはセキュア印刷を行う場合でも印刷までのタイムラグによるデメリットを低減できる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パソコンからプリンタに送信する印刷ジョブを、パスワードやIDなどの認証情報と対応付けてプリンタに登録し、ユーザがプリンタの入力部から認証情報を入力することで印刷を開始する機能が存在した。これはいわゆるセキュア印刷という機能である。セキュア印刷では、パソコンから印刷ジョブを送ってもユーザがプリンタの前まで行って認証情報を入力しなければ実際の印刷は行われない。そのため、他のユーザに印刷結果を持ち去られる心配がないというメリットがある。
【特許文献1】実開平1−164545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらセキュア印刷では、前述のようにユーザはプリンタに印刷ジョブを送ってからプリンタまで出向いて認証情報を入力する必要がある。つまり認証情報が入力されるまで、プリンタ内に印刷ジョブが登録された状態で印刷を待機することになる。そのため、プリンタに印刷ジョブが登録されてから印刷の実行が開始されるまでタイムラグが存在する。
【0004】
このとき、プリンタにて認証情報を入力するまでにタイムラグがあるとその間に他のユーザが印刷を行ってしまうことが考えられる。そのため、印刷の枚数制限など印刷制限がかけられたプリンタにおいては、例えば印刷ジョブを登録したときは印刷の上限枚数を超えていなかったのに、他のユーザの印刷によって上限枚数を越えてしまうときは、印刷が行われない。このように、印刷制限が設定されているとセキュア印刷を行うユーザにとっては不便な場合がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、セキュア印刷におけるセキュア印刷ジョブの登録から印刷までのタイムラグによるデメリットを低減し、ユーザの利便性を損なわない画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、印刷ジョブのうち、認証情報と対応付けられて記憶されたセキュア印刷ジョブを前記認証情報の認証結果に基づき、前記セキュア印刷ジョブの印刷を開始する画像形成装置において、前記印刷ジョブによる印刷枚数が、設定された上限枚数から未印刷の前記セキュア印刷ジョブと印刷済みの前記印刷ジョブの枚数とを減じることで導かれる許容枚数を越えるか否かに基づいて、前記印刷ジョブの印刷を前記許容枚数の範囲で許可する許可手段と、前記許可手段による許可に基づいて前記印刷ジョブを印刷する印刷手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、認証の前において前記許可手段により前記セキュア印刷ジョブの前記印刷枚数が前記許容枚数を越えたと判断された場合に、前記セキュア印刷ジョブを記憶しないことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、ジョブ消去条件に基づき未印刷の前記セキュア印刷ジョブを消去する消去手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記許容枚数が閾値より低くなったかを判断する判断手段をさらに有し、前記判断手段により前記許容枚数が前記閾値より低くなったと判断された場合、前記消去手段は前記ジョブ消去条件に基づき前記セキュア印刷ジョブを消去することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4いずれかに記載の発明において、前記上限枚数を変更する変更手段を有し、前記変更手段によって前記上限枚数が変更された場合、前記許可手段は認証時に印刷済みの前記印刷ジョブの枚数と印刷対象とされた未印刷の前記セキュア印刷ジョブの枚数の和が前記上限枚数を越えない範囲で前記未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷を許可することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6記載の発明は、請求項1から5いずれかに記載の発明において、前記許可手段によって前記許容枚数を越えたと判断された場合に、ユーザにエラーの旨と前記許容枚数を報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明は、設定された上限枚数から未印刷のセキュア印刷ジョブおよび印刷済みの印刷ジョブの枚数を減じることで導かれる印刷可能な許容枚数を越えるか否かに基づき、印刷ジョブに許容枚数の範囲で印刷を許可し、許可に基づいて印刷ジョブを印刷する。印刷が許可された印刷ジョブは、認証時の許容枚数に関わらず印刷を行うことができるので、少なくとも許可された分は印刷を保証される。したがって印刷に上限枚数が設定された画像形成装置は、セキュア印刷における登録から印刷までのタイムラグによるデメリットを低減することができる。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の効果に加え、セキュア印刷ジョブの印刷枚数が許容枚数を越えたと判断された場合に、セキュア印刷ジョブを記憶しないので、許容枚数を超えていなければセキュア印刷ジョブの印刷は保証され、途中までしか印刷されないという事態を回避できる。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の効果に加え、ジョブ消去条件に基づき未印刷のセキュア印刷ジョブを消去するので、印刷を許可されてからいつまでも印刷されないセキュア印刷ジョブによる許容枚数の圧迫を防ぐことが可能である。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項3に記載の効果に加え、許容枚数が閾値より低くなるとジョブ消去条件に基づきセキュア印刷ジョブを消去するので、許容枚数に余裕がある場合はセキュア印刷ジョブが消去されてしまうのを防ぐことが可能となる。
【0016】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の効果に加え、許容枚数が変更された場合は未印刷のセキュア印刷ジョブに対し、認証時に印刷する枚数と印刷済みの枚数の和が変更された上限枚数を越えない範囲で印刷を許可する。そのため、上限枚数の変更に対応した印刷が可能となる。
【0017】
また、請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の効果に加え、許容枚数を越えたと判断された場合に、ユーザにエラーの旨と許容枚数を報知するので、印刷ジョブを画像形成装置に送った段階で印刷可能か否かをユーザが知ることが可能となり、ユーザは認証時にはじめて印刷不可能であることを知るということがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[複合機の概略構成]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の画像形成装置を適用した複合機1の斜視図である。
【0019】
この複合機1は、フィーダ部3及び画像形成部5等(図2参照)を内蔵する画像形成ユニット7と、画像読取装置である自動搬送原稿読取ユニット(以下「読取ユニット9」という)とを備えている。
【0020】
読取ユニット9の一端側(図1で紙面右下方向)には、ユーザによる各種の操作が可能な操作部11が設けられている。
【0021】
操作部11は、モード選択スイッチ13、スタートキー15、各種の操作ボタン17、テンキー19、液晶表示の表示部21が設けられている。
【0022】
モード選択スイッチ13は、複合機1に搭載された機能モード(プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能などのそれぞれの動作を可能とするモード)のうちからいずれかのモードを選択可能となっている。また、各種の操作ボタン17は、各種の設定を選択するボタンである。例えばセキュア印刷モードを選択することができる。スタートキー15は、ユーザに要求されたに応じた動作を開始させるためのスイッチであり、例えばコピーモードのときに押される(オンされる)と原稿のコピーを開始する。
【0023】
テンキー19は、複合機1に文字列を入力するためのボタンである。また、表示部21は、各種の設定に関する表示がされるようになっており、テンキー19にて入力された数字もここに表示することができる。
[画像形成ユニットの構成]
図2は、複合機1を給紙ローラ23等の軸方向から見た要部側断面図であり、同図において紙面右側が複合機1の前方であり、紙面左側が複合機1の後方となる。
【0024】
画像形成ユニット7のケーシング25内には、用紙Pを給紙するためのフィーダ部3や、給紙された用紙Pに所定の画像を形成するための画像形成部5などが備えられている。また、画像形成部5の上部には、画像形成部5により画像形成され、排出された用紙Pを保持するために用いられる排紙トレイ27が配されている。
【0025】
フィーダ部は、給紙カセット29と、給紙カセット29内に設けられた揺動可能な用紙押圧板(図示略)と、給紙カセット29の前端側端部の上方に設けられる給紙ローラ23などによって構成されている。
【0026】
各給紙カセット9は、ケーシング25内の下方側においてそれぞれ着脱可能に装着されており、この中に用紙Pを積層して収納するために用いられる。給紙カセット29では、給紙ローラ23によって最上位の用紙Pが順次送られるようになっており、送られた用紙Pは搬送経路を介してレジストローラ31にてレジストされた後、画像形成部5に送られる。
【0027】
画像形成部5は、スキャナユニット33、プロセスユニット35、定着ユニット37などを備えている。
【0028】
図2に示すように、スキャナユニット33は、ケーシング25内の上部に設けられ、レーザ発光部から発光される所定の画像データに基づくレーザビームを、ポリゴンモータにより回転駆動されるポリゴンミラー39、レンズ41、反射鏡43に通過あるいは反射させて、後述するプロセスユニット35における感光体ドラム45の表面上に高速走査にて照射させている。
【0029】
複合機1には、画像形成ユニット7の本体部に対して着脱可能なプロセスユニット35が設けられている。プロセスユニット35は、感光体ドラム45、スコロトロン型帯電器47、転写ローラ49、現像ローラ51、現像ローラ51上に圧接される層厚規制ブレード53、トナー供給ローラ55およびトナー(現像剤)が充填されるトナーボックス57などを備えている。
【0030】
感光体ドラム45は、現像ローラ51の側方位置において、その現像ローラ51と対向するような状態で時計方向に回転可能に配設されている。
【0031】
スコロトロン型帯電器47は、正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム45に接触しないように、所定の間隔を隔てて配設されている。
【0032】
そして、感光体ドラム45の表面は、その感光体ドラム45の回転に伴って、まず、スコロトロン型帯電器47により一様に正帯電された後、スキャナユニット33からのレーザビームの高速走査により露光され、所定の画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0033】
次いで、現像ローラ51の回転により、現像ローラ51上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光体ドラム45に対向して接触する時に、感光体ドラム45の表面上に形成される静電潜像に供給される。
【0034】
転写ローラ49は、感光体ドラム45の下方において、この感光体ドラム45に対向するように配置され反時計方向に回転可能に支持されている。そして、感光体ドラム45の表面上に担持された可視像は、用紙Pが感光体ドラム45と転写ローラ49との間を通る間に用紙Pに転写される。
【0035】
定着ユニット37は、プロセスユニット35よりも用紙搬送方向下流側(後方側)に配設され、転写された用紙上のトナーを加熱溶融させるための加熱ローラ59と、加熱ローラ59に対向して配置され、給送される用紙を加熱ローラ59に向けて押圧する押圧ローラ61などを備えている。
【0036】
このような定着ユニット37において、加熱ローラ59は、プロセスユニット41において用紙P上に転写されたトナーを、用紙Pが加熱ローラ59と押圧ローラ61との間を通過する間に加熱および加圧することにより定着させる。
【0037】
さらに、加熱ローラ59は、画像定着後の用紙Pを、排出ローラ63まで搬送する。そして、排出ローラ63は、送られてきた用紙Pを排紙トレイ27上に排紙する。
【0038】
なお、図示しないが複合機は接続手段であるケーブルを介してパソコンの本体部に接続されている。複合機とパソコンとの接続手段はケーブルに限らず、LANなどのネットワークや、赤外線通信などの無線通信手段を介して接続されてもよい。また、本発明では画像形成ユニットに対し電子写真方式を用いたが、インクジェットプリンタなどで用いられる他の画像形成方式を用いても良い。
[複合機のハード構成]
次に、複合機1のハード構成についてブロック図を用いて説明する。図3は複合機のハード構成を簡略的に示したブロック図である。
【0039】
複合機1は、各種の入力操作を受け付ける操作部11と、画像データの読取や印刷及び定着ユニット37により加熱定着を行う画像形成部5と、設定などの表示が行われる表示部21と、記憶領域であるROM65およびRAM67と、CPU69と、パーソナルコンピュータ(パソコン)に接続されるプリンタポートI/F73とを備えており、それぞれがバス75を介して接続されている。
【0040】
ROM65は、複合機1を動作させるための実行プログラムが記憶されており、CPU69はROM65から読み込んだプログラムにしたがって、その処理結果をRAM67に記憶させながら図示しない制御回路を介して画像形成部5、表示部21、操作部11等への制御を実行する。
【0041】
プリンタポートI/F73は、複合機1とパソコンとを接続するためのインターフェイスである。パソコンから送信される印刷ジョブは、プリンタポートI/F73を介して複合機1に送られる。本実施例では、複合機1は複数のパソコン(パソコン71a,パソコン71b、パソコン71c、パソコン71d)と接続されている。
【0042】
なお、CPU69が本発明の許可手段、消去手段、判断手段、変更手段、報知手段、印刷手段に相当する。また、画像形成部5が印刷手段に補助的に働く。さらに、表示部21は報知手段に補助的に働く。
[セキュア印刷時の動作]
次に、セキュア印刷を行う場合の複合機1の処理動作について、フローチャートを用いて説明する。図4(a)は、セキュア印刷ジョブを登録する場合のCPU69の処理に関するフローチャートで、(b)はセキュア印刷ジョブを認証処理によって印刷する場合の処理に関するフローチャートである。セキュア印刷ジョブの登録処理は、ユーザによるパソコンの操作によって、パソコンからセキュア印刷用のユーザID、パスワードが送信されると開始される。
【0043】
S1において、ユーザの使用するパソコンからユーザID、パスワードを受信する。ID、パスワードは、複合機1にてユーザを特定する情報であり、後述する認証処理を行うために用いる情報である。なお、ユーザID、パスワードは本発明の認証情報に相当する。ユーザIDには個人もしくは部門ごとに付与される個人ID、部門IDなどが考えられ、管理者が複合機1に印刷処理を許可するユーザID、許可しないユーザIDを登録することで印刷制限をかけることができる。パスワードは、ユーザがセキュア印刷ジョブの登録時に設定する情報である。本実施例では、認証時に用いる認証情報としてユーザIDおよびパスワードを用いるが、どちらか一方を用いるにとどめてもよい。
【0044】
その後、S2においてパソコンから送られる印刷ジョブの印刷データを受信する。S3ではS1において受信したユーザIDおよびパスワードが対応付けられてRAM67に印刷ジョブが記憶され、セキュア印刷ジョブの登録が終了する。以後、本実施例ではセキュア印刷モードにおいてパスワードおよびユーザIDと対応付けられて記憶される印刷ジョブを、特にセキュア印刷ジョブと呼称する。
【0045】
次に、登録されたセキュア印刷ジョブの認証処理について説明する。(b)のS4において、セキュア印刷ジョブについて認証処理を行う。認証処理とは、具体的にはRAM67に記憶されたセキュア印刷ジョブに対応付けられている認証情報であるユーザIDおよびパスワードと、複合機1の操作部11から入力されたユーザIDおよびパスワードが一致するかを照合することを指す。認証処理は、複合機1の操作部11によってセキュア印刷モードを要求されると開始する。
【0046】
S4では、セキュア印刷ジョブの印刷のためにユーザによるテンキー19の操作によってユーザIDおよびパスワードが入力されたかを判断する。入力されたか否かは、ユーザがテンキーからユーザIDおよびパスワードを入力し、スタートキー15が押下されたか否かで判断すればよい。また、要求された桁数分の入力が行われたか否かで判断するようにしてもよい。
【0047】
さらに、テンキーからの入力ではなくカードなどに記憶されたユーザIDおよびパスワードを磁気的な手法などで読み取らせるようにしてもよい。ユーザIDおよびパスワードが入力されていないと判断される場合(S4:NO)は、入力待ち状態となる。入力されたと判断される場合(S4:YES)は、S5に進む。
【0048】
S5では、S4で入力されたパスワードおよびユーザIDと、セキュア印刷ジョブに対応付けられているパスワードおよびユーザIDとを比較し、一致したか否かを判断する。両者が一致していないと判断された場合(S5:NO)は、S6にて認証が正しく行われなかったことをユーザに通知する。具体的には、表示部21にエラーの旨を示すテキストを表示したり、または音声にて通知したりすることが考えられる。
【0049】
S5の認証結果が、一致するものであると判断された場合(S5:YES)、入力されたユーザIDおよびパスワードに対応するセキュア印刷ジョブの印刷が許可される。S7では、許可されたセキュア印刷ジョブを選択する。選択方法としては、表示部21に許可されたセキュア印刷ジョブの名前などをリストとして表示し、操作部11を操作することによって印刷したいセキュア印刷ジョブを選択してスタートキー15にて決定するなどの手法が考えられる。セキュア印刷ジョブが選択されていないと判断される場合(S7:NO)は、セキュア印刷ジョブが選択されるまで待ち状態となる。
【0050】
セキュア印刷ジョブが選択されたと判断された場合(S7:YES)、S8に移行する。S8では、選択されたセキュア印刷ジョブについて画像形成部5によって印刷処理を行う。印刷処理が終了すると、S9で印刷されたセキュア印刷ジョブをRAM67から消去して、処理を終了する。
【0051】
以上のように、セキュア印刷においては、パソコンから送信された印刷ジョブに認証情報が対応付けられ、印刷時には複合機にて認証を行うことで印刷が許可されるので、認証情報を知らないものは印刷を行うことができない。また、複合機の前まで行って認証を行うので、通常の印刷処理のように他のユーザに印刷結果を持ち去られる心配がない。
[印刷枚数が制限されている場合の印刷ジョブの印刷]
次に、複合機に対して印刷を許可できる枚数に制限がかけられた場合の印刷ジョブの印刷について、フローチャートを用いて説明する。ここで、印刷を許可できる枚数に制限がかけられるとは、管理者によって複合機1で印刷ができる枚数を設定された状態を示しており、印刷した枚数の合計が設定された枚数を超えると印刷が不可能になる。以後、管理者によって設定された印刷が可能な枚数を、上限枚数とよぶ。設定された上限枚数は、RAM67に記憶される。図5は印刷ジョブを複合機1に登録するときのフローチャートである。
【0052】
まず、S20にて複合機1に送信された印刷ジョブがセキュア印刷ジョブであるかを判断する。パスワードやユーザIDなどの認証情報とともに印刷ジョブが送信された場合(S20:YES)は、セキュア印刷ジョブであるとみなし、S21に移行する。印刷ジョブのみが送信された場合(S20:NO)は、通常の印刷ジョブであるとみなし、S31に移行して、印刷ジョブに基づいて印刷処理を行う。印刷ジョブに基づく印刷処理については図7にて詳述する。
【0053】
S21では、セキュア印刷ジョブが印刷可能な許容枚数を越えるか否かを判断する。ここで、印刷可能な許容枚数について説明する。図6は、上限枚数と許容枚数の関係を示した概念図である。本実施例では、設定された上限枚数が100枚で、複合機1に印刷を許可されたが印刷処理が行われずにRAM67に記憶されたままの状態であるセキュア印刷ジョブ(以後、未印刷のセキュア印刷ジョブと呼称する)が20枚であるとする。また、既に印刷された印刷ジョブの枚数が20枚であるとする。
【0054】
図6のように、許容枚数は、既に印刷されたジョブの枚数だけでなく未印刷のセキュア印刷ジョブの枚数もカウントして上限枚数から減じることで算出される。図6の場合、許容枚数は60枚となる。すなわち、S21ではこの手法で算出された許容枚数と、これから登録しようとするセキュア印刷ジョブによる印刷枚数とを比較して印刷枚数が許容枚数を越えなければ印刷を許可する。なお、既に印刷された印刷ジョブの枚数、未印刷のセキュア印刷ジョブの枚数はカウントされてRAM67に記憶される。
【0055】
印刷枚数が許容枚数を超えた場合、たとえば許容枚数60枚に対して登録しようとするセキュア印刷ジョブが80枚であった場合(S21:YES)は、S22に進んでパソコン71aに対してエラーの旨を通知する。具体的には、パソコン71aのディスプレイにポップアップで「登録できません」などのメッセージを表示させればよい。また、算出された許容枚数を表示するようにしても良い。その後、S23では登録しようとしたセキュア印刷ジョブをRAM67から消去する。
【0056】
S21で印刷枚数が許容枚数を越えないと判断された場合(S21:NO)、印刷を許可されてS24に移行する。S24では許容枚数の更新を行う。許容枚数の更新手法は様々であるが、ここでは予約カウンタにセキュア印刷ジョブの枚数を加算する。予約カウンタとはRAM67における未印刷のセキュア印刷ジョブの枚数の記憶領域である。
【0057】
ここでは、新たに登録されたセキュア印刷ジョブの20枚分が加算され、未印刷のセキュア印刷ジョブは40枚となる。この処理によって許容枚数は40枚に更新されたことになる。もちろん、許容枚数をRAM67に記憶させ、S21で印刷を許可された未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷枚数分をもとの許容枚数から減じて許容枚数を更新してもよい。
【0058】
なお、S21にてセキュア印刷ジョブの印刷枚数が許容枚数を超えた場合に、エラーを通知せずに許容枚数の範囲で印刷を許可するようにしてもよい。すなわち、許容枚数が40枚であるところに100枚のセキュア印刷ジョブが送られたとき、セキュア印刷ジョブを消去せずに40枚分だけ印刷を許可する。このときは、許容枚数は0枚となる。
【0059】
次に、図7を用いて複合機1の印刷に上限枚数が設定された場合の印刷ジョブの印刷処理について説明する。図7は印刷ジョブを複合機1に登録する場合のCPU69の処理を示したフローチャートである。
【0060】
まず、S30にて印刷しようとする印刷ジョブがセキュア印刷ジョブであるか否かを判断する。判断の方法としては、複合機1にて認証処理が行われたかで判断できる。セキュア印刷ジョブである場合、図4(b)のS4からS7に示したように操作部11にて入力されたユーザIDおよびパスワードとRAM67に記憶されたユーザIDおよびパスワードとが一致するかを判断する認証処理が行われる。通常の印刷ジョブであれば、認証処理は行われない。
【0061】
通常の印刷ジョブである場合(S30:NO)は、S31にて印刷ジョブを受信し、S32にて印刷ジョブの印刷枚数によって上限枚数を越えるか否かを判断する。具体的には、印刷枚数カウンタに記憶された印刷済みの印刷ジョブの印刷枚数と、上限枚数から予約カウンタの数値を減じた枚数を比較して、上限枚数から予約カウンタの枚数を減じた枚数の方が大きい場合に印刷を許可する。本実施例においては、通常の印刷ジョブの場合は一枚ずつ印刷データが送られてくるため、一枚分の印刷データが送られるごとにS32を行う。許容枚数を越えなかった場合(S32:NO)、S33に進んで一枚分を印刷する。
【0062】
なお、S31にて全ての印刷データをRAM67に一旦蓄積するようにしてもよい。その場合、印刷枚数が許容枚数を越えるか否かの判断は、S22と同様の処理を行えばよい。
【0063】
次にS34では許容枚数の更新を行う。具体的には、ここでは一枚分印刷枚数カウンタを加算する。これによって印刷済みの印刷ジョブの枚数が加算されるので、間接的に許容枚数が更新されたことになる。もちろん、許容枚数をRAM67に記憶し、そこから直接更新してもよい。
【0064】
次に、S35で全ての印刷が終了したか判断する。全ての印刷が終了していない場合(S35:NO)、S32に戻って再び同様の判断を繰り返す。全ての印刷が終了した場合(S35:YES)処理を終了する。
【0065】
S32からS35を繰り返し、印刷枚数カウンタの枚数が上限枚数から予約カウンタの数値を減じた枚数以下になった場合(S32:YES)は、S36に進んでパソコン71bにエラーの旨を通知する。
【0066】
S30において、セキュア印刷ジョブの場合(S30:YES)は、S37にてセキュア印刷ジョブの印刷枚数のうち1枚を印刷する。S38では、カウンタを更新する。ここでは、既に印刷された枚数を記憶する印刷枚数カウンタの値および予約カウンタの枚数を更新する。すなわち、一枚印刷が行われるたびに印刷枚数カウンタは一枚加算される。次にS39において、予約カウンタを1枚減算する。
【0067】
次に、S40に進んで印刷要求されたセキュア印刷ジョブの印刷が終了したかを判断する。まだ印刷すべきデータが残っている場合(S40:NO)は、S37に戻って印刷を行い、許容枚数の更新を繰り返す。全ての印刷が終了したと判断された場合(S40:YES)は、S41に進んで選択されたセキュア印刷ジョブをRAM67から消去し、処理を終了する。
【0068】
以上のように上限枚数を設定された複合機1においてセキュア印刷を行う場合、設定された上限枚数から未印刷のセキュア印刷ジョブおよび印刷済みの印刷ジョブの枚数を減じることで導かれる許容枚数とセキュア印刷による印刷枚数をもとに印刷を許可するか否か判断する。
【0069】
印刷が許可されたセキュア印刷ジョブは、認証時の許容枚数に関わらず印刷を行うことができるので、少なくとも許容枚数の範囲内では、登録された未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷は保証される。仮にセキュア印刷ジョブの登録後に通常の印刷ジョブの印刷によって許容枚数が減少しても登録された未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷の可否には影響しない。
[上限枚数が変更された場合のセキュア印刷]
次に、複合機1の管理者によって印刷制限として上限枚数が変更された場合のセキュア印刷動作について説明する。管理上の理由から、複合機の管理者は管理者権限によって印刷可能なユーザの制限や、最初に設定された上限枚数の値を変更することが考えられる。印刷の制限に変更を加えたのであるから、変更前に複合機に登録された未印刷のセキュア印刷ジョブについてもそれらの制限を反映させる必要がある。
【0070】
図8は、管理者によって使用を許可するユーザおよび上限枚数が変更された場合のセキュア印刷の認証時の動作を示すフローチャートである。本実施例では、図6に示したように最初に設定された上限枚数が100枚であったのに対し、管理者権限によって30枚に変更された場合を想定する。また、図6で示したように未印刷のセキュア印刷ジョブが20枚、既に印刷された印刷ジョブの枚数が20枚としてそれぞれ予約カウンタと印刷枚数カウンタに記憶されている。
【0071】
図8において、S50では複合機1の操作部11にて入力されたユーザIDおよびパスワードが、管理者によって禁止されたユーザに対応するものかを判断する。印刷が禁止されたユーザIDであると判断された場合(S50:YES)は、S51に進んで表示部21にエラーの旨を通知する。その後S52に進み、許容枚数の更新処理としてユーザの未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷枚数分を予約カウンタから減算する。その後S53に進んでユーザのセキュア印刷ジョブをRAM67から消去する。
【0072】
本実施例の場合、未印刷のセキュア印刷ジョブが20枚、既に印刷された印刷ジョブの印刷枚数が20枚あるので、合計枚数は40枚である。上限枚数が変更されて30枚になっている。したがってセキュア印刷ジョブは印刷されず、RAM67から消去されることになる。
【0073】
S50において印刷が禁止されたユーザではないと判断された場合(S50:NO)は、S54に進みユーザに対し印刷するセキュア印刷ジョブを選択させる。ユーザの操作部11の操作によって印刷するセキュア印刷ジョブが選択されるまで待機状態とし(S54:NO)、印刷するセキュア印刷ジョブが選択されたら(S54:YES)、S55に進み、印刷要求されたセキュア印刷ジョブについて印刷を許可するか否かを再び判定する。
【0074】
印刷を許可するか否かは、印刷済みの印刷ジョブの枚数と印刷を行う未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷枚数の合計枚数が、変更された上限枚数を超えるか否かで判断する。合計枚数が上限枚数を超える場合(S55:NO)は、上限枚数を変更したことにより印刷要求した未印刷のセキュア印刷ジョブは全て印刷できない状態であることを意味しているので、S56にて印刷不可の旨をユーザに通知する。
【0075】
合計枚数が上限枚数を越えないと判断される場合(S55:YES)は、印刷を許可してS57からS58にて許可されたセキュア印刷ジョブの印刷及びカウンタの更新を行う。ここでは、更新処理として予約カウンタと印刷枚数カウンタの更新を行う。S57およびS58の処理は、S59にて印刷が全て終了していないと判断される(S59:NO)限り行う。
【0076】
全ての印刷が終了したら(S59:YES)、S53に進みS54で選択されたセキュア印刷ジョブをRAM67から消去し、処理を終了する。以上の動作によって、印刷できる上限枚数が変更された場合、印刷の認証において再び印刷を許可するか否かを判定を行う。したがって、仮にセキュア印刷が不可能である状態にまで上限枚数が変更されても、上限枚数を変更した管理者の意思を無視することなくセキュア印刷に反映することができる。
[セキュア印刷ジョブの消去条件が設定された場合の処理]
次に、登録されたセキュア印刷ジョブに対し、一定の条件のもとでRAM67から消去するための消去条件が設定された場合の処理について説明する。この処理は、セキュア印刷ジョブが登録されてから、印刷されずにRAM67に記憶され続けることを防止するものである。
【0077】
図9は、消去条件が設定された場合の動作を示すフローチャートである。本実施例では、消去条件としてセキュア印刷ジョブが登録されてから一定時間が経過したらその未印刷のセキュア印刷ジョブを消去するとし、その時間をタイムアウト時間と呼称する。なお、この消去処理については登録されているセキュア印刷ジョブを処理対象としている。
【0078】
S61では、登録されたセキュア印刷ジョブについてタイムアウト時間が経過したか否かを判断する。具体的には、セキュア印刷ジョブが登録された時点からのカウントが設定されたタイムアウト時間に対応する値に達したかどうかをみればよい。
【0079】
タイムアウト時間を経過していないと判断された場合(S61:NO)は、セキュア印刷ジョブの登録を維持する。タイムアウト時間を経過したと判断された場合(S61:YES)は、S62に進みユーザに対しタイムアウトエラーを通知する。具体的には、複合機1の表示部にエラーの旨を表示するなどの処理を行えばよい。
【0080】
次に、S63に進み、許容枚数の更新処理としてタイムアウトと判断された未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷枚数分を予約カウンタから減算する。次に、S64にてタイムアウトと判断されたセキュア印刷ジョブについてRAM67から消去し、処理を終了する。
【0081】
以上の処理によって、設定された消去条件に基づいて未印刷のセキュア印刷ジョブを消去することが可能となり、未印刷のセキュア印刷ジョブがいつまでも登録されたままになることを防止できる。また、未印刷のセキュア印刷ジョブによって許容枚数が圧迫されることを防ぐこともできる。
【0082】
なお、消去条件としては、タイムアウト時間に限らず、一定数以上の未印刷のセキュア印刷ジョブが登録されたら古いものから順に消去していく等の条件であってもよい。
[セキュア印刷ジョブの消去条件を緩和する場合の処理]
先述のように未印刷のセキュア印刷ジョブに対して消去条件が課せられた場合、その消去条件に基づいてセキュア印刷ジョブを消去する。しかし、例えばタイムアウト時間を設定された場合において、仮に、まだ十分に印刷を許可できるような状態であっても、タイムアウト時間に達すると未印刷のセキュア印刷ジョブは消去される。ここでは残りの印刷枚数に余力があるときはセキュア印刷の消去条件を緩和する処理について説明する。
【0083】
図10は、セキュア印刷の消去条件を緩和する場合の処理について示したフローチャートである。S70において、セキュア印刷ジョブが登録される。具体的には、図5の処理が行われる。次にS71では許容枚数に余力があるか否かについて判断する。具体的には以下のようにする。
【0084】
まず、上限枚数より低い閾値として、余力枚数を設定する。例えば、上限枚数が100枚であった場合、その20%である20枚を余力枚数として設定する。さらに、先述した手法で許容枚数を算出し、許容枚数が余力枚数以下になった場合には、印刷を許可できる許容枚数に余裕がなくなってきたと判断して、未印刷のセキュア印刷ジョブに対して消去条件を課す。逆に、まだ許容枚数が余力枚数より大きい場合には、消去条件を課す必要は無い。
【0085】
S71にて、許容枚数に余力があると判断された場合(S71:YES)は、消去条件を課さずに現状を維持する。通常の印刷ジョブの印刷によって許容枚数が減少し、余力枚数以下になった場合(S71:NO)は、S72に進み、消去条件を未印刷のセキュア印刷ジョブに課す。具体的には、タイムアウト時間などを設定する。
【0086】
S72でジョブ登録後の時間がタイムアウト時間を経過していない場合(S72:NO)はS71に戻って再び許容枚数に余力があるか否かを判断する。タイムアウト時間を経過した場合(S72:YES)には、S73に進んでタイムアウトエラーをユーザに通知する。
【0087】
その後、S74にて許容枚数の更新処理としてタイムアウトした未印刷のセキュア印刷ジョブの枚数を予約カウンタから減算する。その後S75にてタイムアウトした未印刷のセキュア印刷ジョブをRAM67から消去して処理を終了する。
【0088】
以上の処理によって、許容枚数が余力枚数を設定することで、許容枚数に余力がある場合においては未印刷のセキュア印刷ジョブの消去条件が課されることなく結果として消去条件が緩和される。
【0089】
以上のように、本発明ではセキュア印刷が可能な複合機に対して印刷の上限枚数が設定された場合において、セキュア印刷による印刷枚数と設定された上限枚数から未印刷のセキュア印刷ジョブおよび印刷済みの印刷ジョブの枚数を減じることで導かれる許容枚数に基づいて印刷を許可する。したがって少なくとも許容枚数の範囲内では、登録された未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷は保証される。
【0090】
なお、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能である。例えば、本実施例では画像形成装置として複合機を適用したが、レーザプリンタやインクジェットプリンタ単体であっても良い。その場合、本実施例のようにプリンタに対してセキュア印刷可能な構成(テンキーなどの操作部を有する)である必要がある。
【0091】
また、本実施例ではパスワードやID、セキュア印刷ジョブ、上限枚数などをRAM67に記憶させたが、同じく記憶手段であるROM65や、図示しないHDDに記憶させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の画像形成装置を適用した複合機1の斜視図である。
【図2】複合機1を給紙ローラ23等の軸方向から見た要部側断面図である。
【図3】複合機のハード構成を簡略的に示したブロック図である。
【図4】(a)セキュア印刷ジョブを登録する場合の処理に関するフローチャートである。
【0093】
(b)セキュア印刷が行われる場合の処理に関するフローチャートである。
【図5】上限枚数が設定された場合のセキュア印刷ジョブを複合機に登録するときのフローチャートである。
【図6】上限枚数と許容枚数の関係を示した概念図である。
【図7】上限枚数を設定された場合の印刷ジョブを印刷処理する場合のフローチャートである。
【図8】管理者によって使用を許可するユーザおよび上限枚数が変更された場合のセキュア印刷の認証時の動作を示すフローチャートである。
【図9】消去条件が設定された場合の動作を示すフローチャートである。
【図10】セキュア印刷の消去条件を緩和する場合の処理について示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
1 複合機
5 画像形成部
11 操作部
21 表示部
67 RAM
69 CPU
71 パソコン
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳しくはセキュア印刷を行う場合でも印刷までのタイムラグによるデメリットを低減できる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パソコンからプリンタに送信する印刷ジョブを、パスワードやIDなどの認証情報と対応付けてプリンタに登録し、ユーザがプリンタの入力部から認証情報を入力することで印刷を開始する機能が存在した。これはいわゆるセキュア印刷という機能である。セキュア印刷では、パソコンから印刷ジョブを送ってもユーザがプリンタの前まで行って認証情報を入力しなければ実際の印刷は行われない。そのため、他のユーザに印刷結果を持ち去られる心配がないというメリットがある。
【特許文献1】実開平1−164545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらセキュア印刷では、前述のようにユーザはプリンタに印刷ジョブを送ってからプリンタまで出向いて認証情報を入力する必要がある。つまり認証情報が入力されるまで、プリンタ内に印刷ジョブが登録された状態で印刷を待機することになる。そのため、プリンタに印刷ジョブが登録されてから印刷の実行が開始されるまでタイムラグが存在する。
【0004】
このとき、プリンタにて認証情報を入力するまでにタイムラグがあるとその間に他のユーザが印刷を行ってしまうことが考えられる。そのため、印刷の枚数制限など印刷制限がかけられたプリンタにおいては、例えば印刷ジョブを登録したときは印刷の上限枚数を超えていなかったのに、他のユーザの印刷によって上限枚数を越えてしまうときは、印刷が行われない。このように、印刷制限が設定されているとセキュア印刷を行うユーザにとっては不便な場合がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、セキュア印刷におけるセキュア印刷ジョブの登録から印刷までのタイムラグによるデメリットを低減し、ユーザの利便性を損なわない画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、印刷ジョブのうち、認証情報と対応付けられて記憶されたセキュア印刷ジョブを前記認証情報の認証結果に基づき、前記セキュア印刷ジョブの印刷を開始する画像形成装置において、前記印刷ジョブによる印刷枚数が、設定された上限枚数から未印刷の前記セキュア印刷ジョブと印刷済みの前記印刷ジョブの枚数とを減じることで導かれる許容枚数を越えるか否かに基づいて、前記印刷ジョブの印刷を前記許容枚数の範囲で許可する許可手段と、前記許可手段による許可に基づいて前記印刷ジョブを印刷する印刷手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、認証の前において前記許可手段により前記セキュア印刷ジョブの前記印刷枚数が前記許容枚数を越えたと判断された場合に、前記セキュア印刷ジョブを記憶しないことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、ジョブ消去条件に基づき未印刷の前記セキュア印刷ジョブを消去する消去手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記許容枚数が閾値より低くなったかを判断する判断手段をさらに有し、前記判断手段により前記許容枚数が前記閾値より低くなったと判断された場合、前記消去手段は前記ジョブ消去条件に基づき前記セキュア印刷ジョブを消去することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4いずれかに記載の発明において、前記上限枚数を変更する変更手段を有し、前記変更手段によって前記上限枚数が変更された場合、前記許可手段は認証時に印刷済みの前記印刷ジョブの枚数と印刷対象とされた未印刷の前記セキュア印刷ジョブの枚数の和が前記上限枚数を越えない範囲で前記未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷を許可することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6記載の発明は、請求項1から5いずれかに記載の発明において、前記許可手段によって前記許容枚数を越えたと判断された場合に、ユーザにエラーの旨と前記許容枚数を報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明は、設定された上限枚数から未印刷のセキュア印刷ジョブおよび印刷済みの印刷ジョブの枚数を減じることで導かれる印刷可能な許容枚数を越えるか否かに基づき、印刷ジョブに許容枚数の範囲で印刷を許可し、許可に基づいて印刷ジョブを印刷する。印刷が許可された印刷ジョブは、認証時の許容枚数に関わらず印刷を行うことができるので、少なくとも許可された分は印刷を保証される。したがって印刷に上限枚数が設定された画像形成装置は、セキュア印刷における登録から印刷までのタイムラグによるデメリットを低減することができる。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の効果に加え、セキュア印刷ジョブの印刷枚数が許容枚数を越えたと判断された場合に、セキュア印刷ジョブを記憶しないので、許容枚数を超えていなければセキュア印刷ジョブの印刷は保証され、途中までしか印刷されないという事態を回避できる。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の効果に加え、ジョブ消去条件に基づき未印刷のセキュア印刷ジョブを消去するので、印刷を許可されてからいつまでも印刷されないセキュア印刷ジョブによる許容枚数の圧迫を防ぐことが可能である。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項3に記載の効果に加え、許容枚数が閾値より低くなるとジョブ消去条件に基づきセキュア印刷ジョブを消去するので、許容枚数に余裕がある場合はセキュア印刷ジョブが消去されてしまうのを防ぐことが可能となる。
【0016】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の効果に加え、許容枚数が変更された場合は未印刷のセキュア印刷ジョブに対し、認証時に印刷する枚数と印刷済みの枚数の和が変更された上限枚数を越えない範囲で印刷を許可する。そのため、上限枚数の変更に対応した印刷が可能となる。
【0017】
また、請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の効果に加え、許容枚数を越えたと判断された場合に、ユーザにエラーの旨と許容枚数を報知するので、印刷ジョブを画像形成装置に送った段階で印刷可能か否かをユーザが知ることが可能となり、ユーザは認証時にはじめて印刷不可能であることを知るということがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[複合機の概略構成]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の画像形成装置を適用した複合機1の斜視図である。
【0019】
この複合機1は、フィーダ部3及び画像形成部5等(図2参照)を内蔵する画像形成ユニット7と、画像読取装置である自動搬送原稿読取ユニット(以下「読取ユニット9」という)とを備えている。
【0020】
読取ユニット9の一端側(図1で紙面右下方向)には、ユーザによる各種の操作が可能な操作部11が設けられている。
【0021】
操作部11は、モード選択スイッチ13、スタートキー15、各種の操作ボタン17、テンキー19、液晶表示の表示部21が設けられている。
【0022】
モード選択スイッチ13は、複合機1に搭載された機能モード(プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能などのそれぞれの動作を可能とするモード)のうちからいずれかのモードを選択可能となっている。また、各種の操作ボタン17は、各種の設定を選択するボタンである。例えばセキュア印刷モードを選択することができる。スタートキー15は、ユーザに要求されたに応じた動作を開始させるためのスイッチであり、例えばコピーモードのときに押される(オンされる)と原稿のコピーを開始する。
【0023】
テンキー19は、複合機1に文字列を入力するためのボタンである。また、表示部21は、各種の設定に関する表示がされるようになっており、テンキー19にて入力された数字もここに表示することができる。
[画像形成ユニットの構成]
図2は、複合機1を給紙ローラ23等の軸方向から見た要部側断面図であり、同図において紙面右側が複合機1の前方であり、紙面左側が複合機1の後方となる。
【0024】
画像形成ユニット7のケーシング25内には、用紙Pを給紙するためのフィーダ部3や、給紙された用紙Pに所定の画像を形成するための画像形成部5などが備えられている。また、画像形成部5の上部には、画像形成部5により画像形成され、排出された用紙Pを保持するために用いられる排紙トレイ27が配されている。
【0025】
フィーダ部は、給紙カセット29と、給紙カセット29内に設けられた揺動可能な用紙押圧板(図示略)と、給紙カセット29の前端側端部の上方に設けられる給紙ローラ23などによって構成されている。
【0026】
各給紙カセット9は、ケーシング25内の下方側においてそれぞれ着脱可能に装着されており、この中に用紙Pを積層して収納するために用いられる。給紙カセット29では、給紙ローラ23によって最上位の用紙Pが順次送られるようになっており、送られた用紙Pは搬送経路を介してレジストローラ31にてレジストされた後、画像形成部5に送られる。
【0027】
画像形成部5は、スキャナユニット33、プロセスユニット35、定着ユニット37などを備えている。
【0028】
図2に示すように、スキャナユニット33は、ケーシング25内の上部に設けられ、レーザ発光部から発光される所定の画像データに基づくレーザビームを、ポリゴンモータにより回転駆動されるポリゴンミラー39、レンズ41、反射鏡43に通過あるいは反射させて、後述するプロセスユニット35における感光体ドラム45の表面上に高速走査にて照射させている。
【0029】
複合機1には、画像形成ユニット7の本体部に対して着脱可能なプロセスユニット35が設けられている。プロセスユニット35は、感光体ドラム45、スコロトロン型帯電器47、転写ローラ49、現像ローラ51、現像ローラ51上に圧接される層厚規制ブレード53、トナー供給ローラ55およびトナー(現像剤)が充填されるトナーボックス57などを備えている。
【0030】
感光体ドラム45は、現像ローラ51の側方位置において、その現像ローラ51と対向するような状態で時計方向に回転可能に配設されている。
【0031】
スコロトロン型帯電器47は、正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム45に接触しないように、所定の間隔を隔てて配設されている。
【0032】
そして、感光体ドラム45の表面は、その感光体ドラム45の回転に伴って、まず、スコロトロン型帯電器47により一様に正帯電された後、スキャナユニット33からのレーザビームの高速走査により露光され、所定の画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0033】
次いで、現像ローラ51の回転により、現像ローラ51上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光体ドラム45に対向して接触する時に、感光体ドラム45の表面上に形成される静電潜像に供給される。
【0034】
転写ローラ49は、感光体ドラム45の下方において、この感光体ドラム45に対向するように配置され反時計方向に回転可能に支持されている。そして、感光体ドラム45の表面上に担持された可視像は、用紙Pが感光体ドラム45と転写ローラ49との間を通る間に用紙Pに転写される。
【0035】
定着ユニット37は、プロセスユニット35よりも用紙搬送方向下流側(後方側)に配設され、転写された用紙上のトナーを加熱溶融させるための加熱ローラ59と、加熱ローラ59に対向して配置され、給送される用紙を加熱ローラ59に向けて押圧する押圧ローラ61などを備えている。
【0036】
このような定着ユニット37において、加熱ローラ59は、プロセスユニット41において用紙P上に転写されたトナーを、用紙Pが加熱ローラ59と押圧ローラ61との間を通過する間に加熱および加圧することにより定着させる。
【0037】
さらに、加熱ローラ59は、画像定着後の用紙Pを、排出ローラ63まで搬送する。そして、排出ローラ63は、送られてきた用紙Pを排紙トレイ27上に排紙する。
【0038】
なお、図示しないが複合機は接続手段であるケーブルを介してパソコンの本体部に接続されている。複合機とパソコンとの接続手段はケーブルに限らず、LANなどのネットワークや、赤外線通信などの無線通信手段を介して接続されてもよい。また、本発明では画像形成ユニットに対し電子写真方式を用いたが、インクジェットプリンタなどで用いられる他の画像形成方式を用いても良い。
[複合機のハード構成]
次に、複合機1のハード構成についてブロック図を用いて説明する。図3は複合機のハード構成を簡略的に示したブロック図である。
【0039】
複合機1は、各種の入力操作を受け付ける操作部11と、画像データの読取や印刷及び定着ユニット37により加熱定着を行う画像形成部5と、設定などの表示が行われる表示部21と、記憶領域であるROM65およびRAM67と、CPU69と、パーソナルコンピュータ(パソコン)に接続されるプリンタポートI/F73とを備えており、それぞれがバス75を介して接続されている。
【0040】
ROM65は、複合機1を動作させるための実行プログラムが記憶されており、CPU69はROM65から読み込んだプログラムにしたがって、その処理結果をRAM67に記憶させながら図示しない制御回路を介して画像形成部5、表示部21、操作部11等への制御を実行する。
【0041】
プリンタポートI/F73は、複合機1とパソコンとを接続するためのインターフェイスである。パソコンから送信される印刷ジョブは、プリンタポートI/F73を介して複合機1に送られる。本実施例では、複合機1は複数のパソコン(パソコン71a,パソコン71b、パソコン71c、パソコン71d)と接続されている。
【0042】
なお、CPU69が本発明の許可手段、消去手段、判断手段、変更手段、報知手段、印刷手段に相当する。また、画像形成部5が印刷手段に補助的に働く。さらに、表示部21は報知手段に補助的に働く。
[セキュア印刷時の動作]
次に、セキュア印刷を行う場合の複合機1の処理動作について、フローチャートを用いて説明する。図4(a)は、セキュア印刷ジョブを登録する場合のCPU69の処理に関するフローチャートで、(b)はセキュア印刷ジョブを認証処理によって印刷する場合の処理に関するフローチャートである。セキュア印刷ジョブの登録処理は、ユーザによるパソコンの操作によって、パソコンからセキュア印刷用のユーザID、パスワードが送信されると開始される。
【0043】
S1において、ユーザの使用するパソコンからユーザID、パスワードを受信する。ID、パスワードは、複合機1にてユーザを特定する情報であり、後述する認証処理を行うために用いる情報である。なお、ユーザID、パスワードは本発明の認証情報に相当する。ユーザIDには個人もしくは部門ごとに付与される個人ID、部門IDなどが考えられ、管理者が複合機1に印刷処理を許可するユーザID、許可しないユーザIDを登録することで印刷制限をかけることができる。パスワードは、ユーザがセキュア印刷ジョブの登録時に設定する情報である。本実施例では、認証時に用いる認証情報としてユーザIDおよびパスワードを用いるが、どちらか一方を用いるにとどめてもよい。
【0044】
その後、S2においてパソコンから送られる印刷ジョブの印刷データを受信する。S3ではS1において受信したユーザIDおよびパスワードが対応付けられてRAM67に印刷ジョブが記憶され、セキュア印刷ジョブの登録が終了する。以後、本実施例ではセキュア印刷モードにおいてパスワードおよびユーザIDと対応付けられて記憶される印刷ジョブを、特にセキュア印刷ジョブと呼称する。
【0045】
次に、登録されたセキュア印刷ジョブの認証処理について説明する。(b)のS4において、セキュア印刷ジョブについて認証処理を行う。認証処理とは、具体的にはRAM67に記憶されたセキュア印刷ジョブに対応付けられている認証情報であるユーザIDおよびパスワードと、複合機1の操作部11から入力されたユーザIDおよびパスワードが一致するかを照合することを指す。認証処理は、複合機1の操作部11によってセキュア印刷モードを要求されると開始する。
【0046】
S4では、セキュア印刷ジョブの印刷のためにユーザによるテンキー19の操作によってユーザIDおよびパスワードが入力されたかを判断する。入力されたか否かは、ユーザがテンキーからユーザIDおよびパスワードを入力し、スタートキー15が押下されたか否かで判断すればよい。また、要求された桁数分の入力が行われたか否かで判断するようにしてもよい。
【0047】
さらに、テンキーからの入力ではなくカードなどに記憶されたユーザIDおよびパスワードを磁気的な手法などで読み取らせるようにしてもよい。ユーザIDおよびパスワードが入力されていないと判断される場合(S4:NO)は、入力待ち状態となる。入力されたと判断される場合(S4:YES)は、S5に進む。
【0048】
S5では、S4で入力されたパスワードおよびユーザIDと、セキュア印刷ジョブに対応付けられているパスワードおよびユーザIDとを比較し、一致したか否かを判断する。両者が一致していないと判断された場合(S5:NO)は、S6にて認証が正しく行われなかったことをユーザに通知する。具体的には、表示部21にエラーの旨を示すテキストを表示したり、または音声にて通知したりすることが考えられる。
【0049】
S5の認証結果が、一致するものであると判断された場合(S5:YES)、入力されたユーザIDおよびパスワードに対応するセキュア印刷ジョブの印刷が許可される。S7では、許可されたセキュア印刷ジョブを選択する。選択方法としては、表示部21に許可されたセキュア印刷ジョブの名前などをリストとして表示し、操作部11を操作することによって印刷したいセキュア印刷ジョブを選択してスタートキー15にて決定するなどの手法が考えられる。セキュア印刷ジョブが選択されていないと判断される場合(S7:NO)は、セキュア印刷ジョブが選択されるまで待ち状態となる。
【0050】
セキュア印刷ジョブが選択されたと判断された場合(S7:YES)、S8に移行する。S8では、選択されたセキュア印刷ジョブについて画像形成部5によって印刷処理を行う。印刷処理が終了すると、S9で印刷されたセキュア印刷ジョブをRAM67から消去して、処理を終了する。
【0051】
以上のように、セキュア印刷においては、パソコンから送信された印刷ジョブに認証情報が対応付けられ、印刷時には複合機にて認証を行うことで印刷が許可されるので、認証情報を知らないものは印刷を行うことができない。また、複合機の前まで行って認証を行うので、通常の印刷処理のように他のユーザに印刷結果を持ち去られる心配がない。
[印刷枚数が制限されている場合の印刷ジョブの印刷]
次に、複合機に対して印刷を許可できる枚数に制限がかけられた場合の印刷ジョブの印刷について、フローチャートを用いて説明する。ここで、印刷を許可できる枚数に制限がかけられるとは、管理者によって複合機1で印刷ができる枚数を設定された状態を示しており、印刷した枚数の合計が設定された枚数を超えると印刷が不可能になる。以後、管理者によって設定された印刷が可能な枚数を、上限枚数とよぶ。設定された上限枚数は、RAM67に記憶される。図5は印刷ジョブを複合機1に登録するときのフローチャートである。
【0052】
まず、S20にて複合機1に送信された印刷ジョブがセキュア印刷ジョブであるかを判断する。パスワードやユーザIDなどの認証情報とともに印刷ジョブが送信された場合(S20:YES)は、セキュア印刷ジョブであるとみなし、S21に移行する。印刷ジョブのみが送信された場合(S20:NO)は、通常の印刷ジョブであるとみなし、S31に移行して、印刷ジョブに基づいて印刷処理を行う。印刷ジョブに基づく印刷処理については図7にて詳述する。
【0053】
S21では、セキュア印刷ジョブが印刷可能な許容枚数を越えるか否かを判断する。ここで、印刷可能な許容枚数について説明する。図6は、上限枚数と許容枚数の関係を示した概念図である。本実施例では、設定された上限枚数が100枚で、複合機1に印刷を許可されたが印刷処理が行われずにRAM67に記憶されたままの状態であるセキュア印刷ジョブ(以後、未印刷のセキュア印刷ジョブと呼称する)が20枚であるとする。また、既に印刷された印刷ジョブの枚数が20枚であるとする。
【0054】
図6のように、許容枚数は、既に印刷されたジョブの枚数だけでなく未印刷のセキュア印刷ジョブの枚数もカウントして上限枚数から減じることで算出される。図6の場合、許容枚数は60枚となる。すなわち、S21ではこの手法で算出された許容枚数と、これから登録しようとするセキュア印刷ジョブによる印刷枚数とを比較して印刷枚数が許容枚数を越えなければ印刷を許可する。なお、既に印刷された印刷ジョブの枚数、未印刷のセキュア印刷ジョブの枚数はカウントされてRAM67に記憶される。
【0055】
印刷枚数が許容枚数を超えた場合、たとえば許容枚数60枚に対して登録しようとするセキュア印刷ジョブが80枚であった場合(S21:YES)は、S22に進んでパソコン71aに対してエラーの旨を通知する。具体的には、パソコン71aのディスプレイにポップアップで「登録できません」などのメッセージを表示させればよい。また、算出された許容枚数を表示するようにしても良い。その後、S23では登録しようとしたセキュア印刷ジョブをRAM67から消去する。
【0056】
S21で印刷枚数が許容枚数を越えないと判断された場合(S21:NO)、印刷を許可されてS24に移行する。S24では許容枚数の更新を行う。許容枚数の更新手法は様々であるが、ここでは予約カウンタにセキュア印刷ジョブの枚数を加算する。予約カウンタとはRAM67における未印刷のセキュア印刷ジョブの枚数の記憶領域である。
【0057】
ここでは、新たに登録されたセキュア印刷ジョブの20枚分が加算され、未印刷のセキュア印刷ジョブは40枚となる。この処理によって許容枚数は40枚に更新されたことになる。もちろん、許容枚数をRAM67に記憶させ、S21で印刷を許可された未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷枚数分をもとの許容枚数から減じて許容枚数を更新してもよい。
【0058】
なお、S21にてセキュア印刷ジョブの印刷枚数が許容枚数を超えた場合に、エラーを通知せずに許容枚数の範囲で印刷を許可するようにしてもよい。すなわち、許容枚数が40枚であるところに100枚のセキュア印刷ジョブが送られたとき、セキュア印刷ジョブを消去せずに40枚分だけ印刷を許可する。このときは、許容枚数は0枚となる。
【0059】
次に、図7を用いて複合機1の印刷に上限枚数が設定された場合の印刷ジョブの印刷処理について説明する。図7は印刷ジョブを複合機1に登録する場合のCPU69の処理を示したフローチャートである。
【0060】
まず、S30にて印刷しようとする印刷ジョブがセキュア印刷ジョブであるか否かを判断する。判断の方法としては、複合機1にて認証処理が行われたかで判断できる。セキュア印刷ジョブである場合、図4(b)のS4からS7に示したように操作部11にて入力されたユーザIDおよびパスワードとRAM67に記憶されたユーザIDおよびパスワードとが一致するかを判断する認証処理が行われる。通常の印刷ジョブであれば、認証処理は行われない。
【0061】
通常の印刷ジョブである場合(S30:NO)は、S31にて印刷ジョブを受信し、S32にて印刷ジョブの印刷枚数によって上限枚数を越えるか否かを判断する。具体的には、印刷枚数カウンタに記憶された印刷済みの印刷ジョブの印刷枚数と、上限枚数から予約カウンタの数値を減じた枚数を比較して、上限枚数から予約カウンタの枚数を減じた枚数の方が大きい場合に印刷を許可する。本実施例においては、通常の印刷ジョブの場合は一枚ずつ印刷データが送られてくるため、一枚分の印刷データが送られるごとにS32を行う。許容枚数を越えなかった場合(S32:NO)、S33に進んで一枚分を印刷する。
【0062】
なお、S31にて全ての印刷データをRAM67に一旦蓄積するようにしてもよい。その場合、印刷枚数が許容枚数を越えるか否かの判断は、S22と同様の処理を行えばよい。
【0063】
次にS34では許容枚数の更新を行う。具体的には、ここでは一枚分印刷枚数カウンタを加算する。これによって印刷済みの印刷ジョブの枚数が加算されるので、間接的に許容枚数が更新されたことになる。もちろん、許容枚数をRAM67に記憶し、そこから直接更新してもよい。
【0064】
次に、S35で全ての印刷が終了したか判断する。全ての印刷が終了していない場合(S35:NO)、S32に戻って再び同様の判断を繰り返す。全ての印刷が終了した場合(S35:YES)処理を終了する。
【0065】
S32からS35を繰り返し、印刷枚数カウンタの枚数が上限枚数から予約カウンタの数値を減じた枚数以下になった場合(S32:YES)は、S36に進んでパソコン71bにエラーの旨を通知する。
【0066】
S30において、セキュア印刷ジョブの場合(S30:YES)は、S37にてセキュア印刷ジョブの印刷枚数のうち1枚を印刷する。S38では、カウンタを更新する。ここでは、既に印刷された枚数を記憶する印刷枚数カウンタの値および予約カウンタの枚数を更新する。すなわち、一枚印刷が行われるたびに印刷枚数カウンタは一枚加算される。次にS39において、予約カウンタを1枚減算する。
【0067】
次に、S40に進んで印刷要求されたセキュア印刷ジョブの印刷が終了したかを判断する。まだ印刷すべきデータが残っている場合(S40:NO)は、S37に戻って印刷を行い、許容枚数の更新を繰り返す。全ての印刷が終了したと判断された場合(S40:YES)は、S41に進んで選択されたセキュア印刷ジョブをRAM67から消去し、処理を終了する。
【0068】
以上のように上限枚数を設定された複合機1においてセキュア印刷を行う場合、設定された上限枚数から未印刷のセキュア印刷ジョブおよび印刷済みの印刷ジョブの枚数を減じることで導かれる許容枚数とセキュア印刷による印刷枚数をもとに印刷を許可するか否か判断する。
【0069】
印刷が許可されたセキュア印刷ジョブは、認証時の許容枚数に関わらず印刷を行うことができるので、少なくとも許容枚数の範囲内では、登録された未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷は保証される。仮にセキュア印刷ジョブの登録後に通常の印刷ジョブの印刷によって許容枚数が減少しても登録された未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷の可否には影響しない。
[上限枚数が変更された場合のセキュア印刷]
次に、複合機1の管理者によって印刷制限として上限枚数が変更された場合のセキュア印刷動作について説明する。管理上の理由から、複合機の管理者は管理者権限によって印刷可能なユーザの制限や、最初に設定された上限枚数の値を変更することが考えられる。印刷の制限に変更を加えたのであるから、変更前に複合機に登録された未印刷のセキュア印刷ジョブについてもそれらの制限を反映させる必要がある。
【0070】
図8は、管理者によって使用を許可するユーザおよび上限枚数が変更された場合のセキュア印刷の認証時の動作を示すフローチャートである。本実施例では、図6に示したように最初に設定された上限枚数が100枚であったのに対し、管理者権限によって30枚に変更された場合を想定する。また、図6で示したように未印刷のセキュア印刷ジョブが20枚、既に印刷された印刷ジョブの枚数が20枚としてそれぞれ予約カウンタと印刷枚数カウンタに記憶されている。
【0071】
図8において、S50では複合機1の操作部11にて入力されたユーザIDおよびパスワードが、管理者によって禁止されたユーザに対応するものかを判断する。印刷が禁止されたユーザIDであると判断された場合(S50:YES)は、S51に進んで表示部21にエラーの旨を通知する。その後S52に進み、許容枚数の更新処理としてユーザの未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷枚数分を予約カウンタから減算する。その後S53に進んでユーザのセキュア印刷ジョブをRAM67から消去する。
【0072】
本実施例の場合、未印刷のセキュア印刷ジョブが20枚、既に印刷された印刷ジョブの印刷枚数が20枚あるので、合計枚数は40枚である。上限枚数が変更されて30枚になっている。したがってセキュア印刷ジョブは印刷されず、RAM67から消去されることになる。
【0073】
S50において印刷が禁止されたユーザではないと判断された場合(S50:NO)は、S54に進みユーザに対し印刷するセキュア印刷ジョブを選択させる。ユーザの操作部11の操作によって印刷するセキュア印刷ジョブが選択されるまで待機状態とし(S54:NO)、印刷するセキュア印刷ジョブが選択されたら(S54:YES)、S55に進み、印刷要求されたセキュア印刷ジョブについて印刷を許可するか否かを再び判定する。
【0074】
印刷を許可するか否かは、印刷済みの印刷ジョブの枚数と印刷を行う未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷枚数の合計枚数が、変更された上限枚数を超えるか否かで判断する。合計枚数が上限枚数を超える場合(S55:NO)は、上限枚数を変更したことにより印刷要求した未印刷のセキュア印刷ジョブは全て印刷できない状態であることを意味しているので、S56にて印刷不可の旨をユーザに通知する。
【0075】
合計枚数が上限枚数を越えないと判断される場合(S55:YES)は、印刷を許可してS57からS58にて許可されたセキュア印刷ジョブの印刷及びカウンタの更新を行う。ここでは、更新処理として予約カウンタと印刷枚数カウンタの更新を行う。S57およびS58の処理は、S59にて印刷が全て終了していないと判断される(S59:NO)限り行う。
【0076】
全ての印刷が終了したら(S59:YES)、S53に進みS54で選択されたセキュア印刷ジョブをRAM67から消去し、処理を終了する。以上の動作によって、印刷できる上限枚数が変更された場合、印刷の認証において再び印刷を許可するか否かを判定を行う。したがって、仮にセキュア印刷が不可能である状態にまで上限枚数が変更されても、上限枚数を変更した管理者の意思を無視することなくセキュア印刷に反映することができる。
[セキュア印刷ジョブの消去条件が設定された場合の処理]
次に、登録されたセキュア印刷ジョブに対し、一定の条件のもとでRAM67から消去するための消去条件が設定された場合の処理について説明する。この処理は、セキュア印刷ジョブが登録されてから、印刷されずにRAM67に記憶され続けることを防止するものである。
【0077】
図9は、消去条件が設定された場合の動作を示すフローチャートである。本実施例では、消去条件としてセキュア印刷ジョブが登録されてから一定時間が経過したらその未印刷のセキュア印刷ジョブを消去するとし、その時間をタイムアウト時間と呼称する。なお、この消去処理については登録されているセキュア印刷ジョブを処理対象としている。
【0078】
S61では、登録されたセキュア印刷ジョブについてタイムアウト時間が経過したか否かを判断する。具体的には、セキュア印刷ジョブが登録された時点からのカウントが設定されたタイムアウト時間に対応する値に達したかどうかをみればよい。
【0079】
タイムアウト時間を経過していないと判断された場合(S61:NO)は、セキュア印刷ジョブの登録を維持する。タイムアウト時間を経過したと判断された場合(S61:YES)は、S62に進みユーザに対しタイムアウトエラーを通知する。具体的には、複合機1の表示部にエラーの旨を表示するなどの処理を行えばよい。
【0080】
次に、S63に進み、許容枚数の更新処理としてタイムアウトと判断された未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷枚数分を予約カウンタから減算する。次に、S64にてタイムアウトと判断されたセキュア印刷ジョブについてRAM67から消去し、処理を終了する。
【0081】
以上の処理によって、設定された消去条件に基づいて未印刷のセキュア印刷ジョブを消去することが可能となり、未印刷のセキュア印刷ジョブがいつまでも登録されたままになることを防止できる。また、未印刷のセキュア印刷ジョブによって許容枚数が圧迫されることを防ぐこともできる。
【0082】
なお、消去条件としては、タイムアウト時間に限らず、一定数以上の未印刷のセキュア印刷ジョブが登録されたら古いものから順に消去していく等の条件であってもよい。
[セキュア印刷ジョブの消去条件を緩和する場合の処理]
先述のように未印刷のセキュア印刷ジョブに対して消去条件が課せられた場合、その消去条件に基づいてセキュア印刷ジョブを消去する。しかし、例えばタイムアウト時間を設定された場合において、仮に、まだ十分に印刷を許可できるような状態であっても、タイムアウト時間に達すると未印刷のセキュア印刷ジョブは消去される。ここでは残りの印刷枚数に余力があるときはセキュア印刷の消去条件を緩和する処理について説明する。
【0083】
図10は、セキュア印刷の消去条件を緩和する場合の処理について示したフローチャートである。S70において、セキュア印刷ジョブが登録される。具体的には、図5の処理が行われる。次にS71では許容枚数に余力があるか否かについて判断する。具体的には以下のようにする。
【0084】
まず、上限枚数より低い閾値として、余力枚数を設定する。例えば、上限枚数が100枚であった場合、その20%である20枚を余力枚数として設定する。さらに、先述した手法で許容枚数を算出し、許容枚数が余力枚数以下になった場合には、印刷を許可できる許容枚数に余裕がなくなってきたと判断して、未印刷のセキュア印刷ジョブに対して消去条件を課す。逆に、まだ許容枚数が余力枚数より大きい場合には、消去条件を課す必要は無い。
【0085】
S71にて、許容枚数に余力があると判断された場合(S71:YES)は、消去条件を課さずに現状を維持する。通常の印刷ジョブの印刷によって許容枚数が減少し、余力枚数以下になった場合(S71:NO)は、S72に進み、消去条件を未印刷のセキュア印刷ジョブに課す。具体的には、タイムアウト時間などを設定する。
【0086】
S72でジョブ登録後の時間がタイムアウト時間を経過していない場合(S72:NO)はS71に戻って再び許容枚数に余力があるか否かを判断する。タイムアウト時間を経過した場合(S72:YES)には、S73に進んでタイムアウトエラーをユーザに通知する。
【0087】
その後、S74にて許容枚数の更新処理としてタイムアウトした未印刷のセキュア印刷ジョブの枚数を予約カウンタから減算する。その後S75にてタイムアウトした未印刷のセキュア印刷ジョブをRAM67から消去して処理を終了する。
【0088】
以上の処理によって、許容枚数が余力枚数を設定することで、許容枚数に余力がある場合においては未印刷のセキュア印刷ジョブの消去条件が課されることなく結果として消去条件が緩和される。
【0089】
以上のように、本発明ではセキュア印刷が可能な複合機に対して印刷の上限枚数が設定された場合において、セキュア印刷による印刷枚数と設定された上限枚数から未印刷のセキュア印刷ジョブおよび印刷済みの印刷ジョブの枚数を減じることで導かれる許容枚数に基づいて印刷を許可する。したがって少なくとも許容枚数の範囲内では、登録された未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷は保証される。
【0090】
なお、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能である。例えば、本実施例では画像形成装置として複合機を適用したが、レーザプリンタやインクジェットプリンタ単体であっても良い。その場合、本実施例のようにプリンタに対してセキュア印刷可能な構成(テンキーなどの操作部を有する)である必要がある。
【0091】
また、本実施例ではパスワードやID、セキュア印刷ジョブ、上限枚数などをRAM67に記憶させたが、同じく記憶手段であるROM65や、図示しないHDDに記憶させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の画像形成装置を適用した複合機1の斜視図である。
【図2】複合機1を給紙ローラ23等の軸方向から見た要部側断面図である。
【図3】複合機のハード構成を簡略的に示したブロック図である。
【図4】(a)セキュア印刷ジョブを登録する場合の処理に関するフローチャートである。
【0093】
(b)セキュア印刷が行われる場合の処理に関するフローチャートである。
【図5】上限枚数が設定された場合のセキュア印刷ジョブを複合機に登録するときのフローチャートである。
【図6】上限枚数と許容枚数の関係を示した概念図である。
【図7】上限枚数を設定された場合の印刷ジョブを印刷処理する場合のフローチャートである。
【図8】管理者によって使用を許可するユーザおよび上限枚数が変更された場合のセキュア印刷の認証時の動作を示すフローチャートである。
【図9】消去条件が設定された場合の動作を示すフローチャートである。
【図10】セキュア印刷の消去条件を緩和する場合の処理について示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
1 複合機
5 画像形成部
11 操作部
21 表示部
67 RAM
69 CPU
71 パソコン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブのうち、認証情報と対応付けられて記憶されたセキュア印刷ジョブを前記認証情報の認証結果に基づき、前記セキュア印刷ジョブの印刷を開始する画像形成装置において、
前記印刷ジョブによる印刷枚数が、設定された上限枚数から未印刷の前記セキュア印刷ジョブと印刷済みの前記印刷ジョブの枚数とを減じることで導かれる許容枚数を越えるか否かに基づいて、前記印刷ジョブの印刷を前記許容枚数の範囲で許可する許可手段と、
前記許可手段による許可に基づいて前記印刷ジョブを印刷する印刷手段とを備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
認証の前において前記許可手段により前記セキュア印刷ジョブの前記印刷枚数が前記許容枚数を越えたと判断された場合に、前記セキュア印刷ジョブを記憶しないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ジョブ消去条件に基づき未印刷の前記セキュア印刷ジョブを消去する消去手段
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記許容枚数が閾値より少なくなったかを判断する判断手段
をさらに有し、
前記判断手段により前記許容枚数が前記閾値より少なくなったと判断された場合、前記消去手段は前記ジョブ消去条件に基づき前記セキュア印刷ジョブを消去する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記上限枚数を変更する変更手段を有し、
前記変更手段によって前記上限枚数が変更された場合、前記許可手段は認証時に印刷済みの前記印刷ジョブの枚数と印刷対象とされた未印刷の前記セキュア印刷ジョブの枚数の和が前記上限枚数を越えない範囲で前記未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷を許可する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記許可手段によって前記許容枚数を越えたと判断された場合に、ユーザにエラーの旨と前記許容枚数とを報知する報知手段
を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
印刷ジョブのうち、認証情報と対応付けられて記憶されたセキュア印刷ジョブを前記認証情報の認証結果に基づき、前記セキュア印刷ジョブの印刷を開始する画像形成装置において、
前記印刷ジョブによる印刷枚数が、設定された上限枚数から未印刷の前記セキュア印刷ジョブと印刷済みの前記印刷ジョブの枚数とを減じることで導かれる許容枚数を越えるか否かに基づいて、前記印刷ジョブの印刷を前記許容枚数の範囲で許可する許可手段と、
前記許可手段による許可に基づいて前記印刷ジョブを印刷する印刷手段とを備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
認証の前において前記許可手段により前記セキュア印刷ジョブの前記印刷枚数が前記許容枚数を越えたと判断された場合に、前記セキュア印刷ジョブを記憶しないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ジョブ消去条件に基づき未印刷の前記セキュア印刷ジョブを消去する消去手段
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記許容枚数が閾値より少なくなったかを判断する判断手段
をさらに有し、
前記判断手段により前記許容枚数が前記閾値より少なくなったと判断された場合、前記消去手段は前記ジョブ消去条件に基づき前記セキュア印刷ジョブを消去する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記上限枚数を変更する変更手段を有し、
前記変更手段によって前記上限枚数が変更された場合、前記許可手段は認証時に印刷済みの前記印刷ジョブの枚数と印刷対象とされた未印刷の前記セキュア印刷ジョブの枚数の和が前記上限枚数を越えない範囲で前記未印刷のセキュア印刷ジョブの印刷を許可する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記許可手段によって前記許容枚数を越えたと判断された場合に、ユーザにエラーの旨と前記許容枚数とを報知する報知手段
を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−255405(P2009−255405A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107523(P2008−107523)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]