説明

画像形成装置

【課題】透明素材からなる像担持体表面に形成された画像パターンを反射型光センサによって検知能力を良好に維持可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間転写ベルト8を支持している支持部材である支持ローラ13は、その外周に中間転写ベルト8の裏面8bと接触して中間転写ベルト8を支持する支持面13aが形成されている。前記画像パターン81、82及び83に対応する位置の支持ローラ13の外周面には、支持ローラ13の回転方向全周に亘って、中間転写ベルト8の裏面8bと接触しないように溝状凹部13bが形成されている。従って、前記溝状凹部13bの形成によって、前記画像パターン81、82及び83に対応する位置の中間転写ベルト8の裏面8b及び支持ローラ13の溝状凹部13bの底面である反射面13bA、13bB、13bCのトナー固着による汚染を防止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ等の画像形成装置に係り、特に、透明素材からなる無端ベルト状像担持体を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、トナー画像を担持する像担持体として、例えば、感光体上に形成されたトナー画像が転写されてその表面に当該トナー画像を担持する中間転写体が使用され、この中間転写体として無端ベルト状の中間転写ベルトが使用されている。この中間転写ベルトとしては、電気抵抗を調節する関係からカーボンブラック等が混入された黒色素材が採用されている場合が多いが、中には透明素材が採用されている場合もある。
このような透明素材を用いた像担持体においては、像担持体上に形成されるトナー画像の画質調整のため、像担持体表面にプロセスコントロール用の画像パターンが形成され、この画像パターンを光センサで検知して画像形成時の供給トナー濃度を調整して画像の画質調整を行っている。この場合に使用される光センサとしては、一般的に、画像パターンに光を照射して、画像パターンで反射された反射光を受光して画像パターンのトナー濃度を検知する反射型光センサが使用されている。
そして、反射型光センサは、像担持体を挟んで光センサの対向位置にある反射部材からの反射光を利用している。この反射部材としては、像担持体の支持部材を利用したり、専用の部材を設置したりする場合があるが、どちらにおいても像担持体の裏面に接触する構成とした場合には、汚れが像担持体裏面と反射部材表面に擦りつけられ、こびり付き易いという欠点がある。この場合に、通常は像担持体裏面にはクリーニング部材は設置されていないため、汚れを除去する術がなく、光センサでプロセスコントロール用の画像パターンを検知する際の誤差要因となってしまう。
ベルト状像担持体の支持部材(主に支持ローラ)表面に溝状凹部を形成する発明としては、過去に種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、感光体ベルトを支持している複数のローラに関して、感光体ベルトの裏面に形成された感光体ベルトの継ぎ目を検知するためのマーカと対向する位置のローラ表面に溝状凹部を形成することが記載されている。この溝状凹部の形成によってマーカと支持ローラとの接触によるマーカの汚染、劣化を防止して、別途設置された光センサによるマーカ検知が正常に行えなくなることを防ぐことが提案されている。
【特許文献1】実開平7−10743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のものでは、感光体ベルトの裏面に形成されたマーカと接触する支持ローラの接触部分に溝状凹部を形成するものであり、当該マーカは、プロセスコントロール用の画像パターンと異なり一定形状で予め感光体の裏面に形成され、当該裏面側から光学センサで検知するものである。そのため、当該マーカは、感光体の表面や中間転写ベルトの表面に電子写真方式で所望の際に形成されるプロセスコントロール用の画像パターンとは相違し、透明素材からなる無端ベルト状の像担持体の表面上に形成された画像パターンを反射型光センサで検知して前記像担持体の表面上に形成される画像の画質を調整する画質調整手段を備えた画像形成装置には適用することができないという問題がある。
本発明者らは、透明素材からなる無端ベルト状の像担持体の表面上に形成された画像パターンを検知する反射型光センサを有し、当該画像パターンを当該光センサで検知して前記像担持体の表面上に形成される画像の画質を調整する画質調整手段を備えた画像形成装置において、反射型光センサを、像担持体を支持する支持ローラ等の支持部材上に配設した際に、当該光センサで検知される画像パターンの検知能力が、使用と共に低下するという問題があることに気がついた。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、透明素材からなる像担持体表面に形成された画像パターンを反射型光センサによって検知能力を良好に維持可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、透明素材からなる無端ベルト状の像担持体の表面上に形成された画像パターンを検知する光センサを有し、当該画像パターンを当該光センサで検知して前記像担持体の表面上に形成される画像の画質を調整する画質調整手段を備えた画像形成装置において、前記光センサは、前記画像パターンに光を照射して、当該画像パターンからの反射光を検知する反射型光センサであり、当該反射型光センサは、前記像担持体表面に対向して配設され、前記反射型光センサと前記像担持体を介して対向する位置に、当該像担持体を支持する支持部材を配設し、当該支持部材の前記像担持体の裏面と接触する支持面の前記画像パターンに対応する位置に、前記像担持体の前記画像パターンに対応する位置の裏面との接触を防止する凹部を形成したことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記支持部材は、円柱状の回転部材であり、前記支持面は、前記回転部材の外周面であり、前記凹部は、前記回転部材の外周面の回転方向全周に亘って形成されていることを特徴とする。
【0005】
また、請求項3の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記支持部材は、平面状の支持面を有する固定部材であり、前記凹部は、当該像担持体の移送方向全長に亘って前記固定部材の支持面に形成されていることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1項記載の画像形成装置において、
前記凹部の底面部は、前記支持部材の支持面の表面特性と異なる表面特性を有することを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、前記凹部の底面部の正反射率が、前記支持部材の支持面の正反射率よりも高く設定されていることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項記載の画像形成装置において、前記凹部の先端角部に面取り加工されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、反射型光センサは、像担持体表面に対向して配設され、前記反射型光センサと前記像担持体を介して対向する位置に、当該像担持体を支持する支持部材を配設し、当該支持部材の前記像担持体の裏面と接触する支持面の前記画像パターンに対応する位置に、前記像担持体の前記画像パターンに対応する位置の裏面との接触を防止する凹部を形成することによって、透明素材からなる像担持体表面に形成された画像パターンを反射型光センサによって検知能力を良好に維持可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明者らは、透明素材からなる無端ベルト状の像担持体を使用し、この像担持体の表面に画像パターンを形成し、この画像パターンを反射型光センサによって検知する際に、使用とともに、光センサの検知能力が低下することについて、検討の結果、反射型光センサを、像担持体を支持する支持部材上に配設したとき、使用と共に支持部材表面がトナー等によって汚染され、反射型光センサによって、画像パターンに光を照射した際に、透明な像担持体を透過した光が汚染された支持部材表面から反射光となって受光され、この反射光が影響していることを究明した。
この究明に基づいてさらに検討した結果、光センサの光が像担持体を透過する透明素材からなる像担持体の裏面及び光センサの光が像担持体を透過して反射する支持部材の表面の像担持体表面に形成される画像パターンに対応する位置に、溝状凹部を形成することによって、像担持体の裏面及び支持部材の表面の画像パターンに対応する部分でのトナー等による汚染を防止すれば良いことに気がついた。即ち、透明素材からなる像担持体の裏面及び支持部材の表面の像担持体表面に形成される画像パターンに対応する位置に、溝状凹部を形成することによって、使用に伴う支持体表面の画像パターンに対応する位置での汚染を防止して、反射型光センサによる画像パターンの検知能力を良好に維持することが可能となったものである。
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。本実施形態に係る画像形成装置としては、4連タンデム型中間転写方式のフルカラー複写機として示しているが、これは電子写真方式画像形成装置の代表例として描いているだけであり、4連タンデム型直接転写方式や1ドラム型中間転写方式などのフルカラー複写機でも良い。中間転写ベルト若しくは転写搬送ベルトを有してプロセスコントロール用の画像パターンを該ベルト上に形成して光センサで読み取るシステムであれば、本実施形態のもの構成に拘るものではない。
本実施形態に係るフルカラー複写機は、中央部に、無端状の透明な中間転写ベルト8が支持部材である支持ローラ10、11、12及び13に張架され、支持ローラ10の回転駆動によって、矢印A方向に移送されるようにして備えられている。そして、支持ローラ10と11との間には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー画像を形成する画像形成ユニット9Y、9M、9C、9Kを中間転写ベルト8の移送方向に沿って配列されている。
画像形成ユニット9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、ドラム状の感光体1Y、1M、1C、1Kの周囲に帯電チャージャ2、現像装置3Y、3M、3C、3K、クリーニングユニット4、除電装置6を一体構造として備えている。
【0009】
さらに、感光体1Y、1M、1C、1Kの上方には、各感光体1Y、1M、1C、1K上にイエロー画像に対応する書込光LY、マゼンタ画像に対応する書込光LM、シアン画像に対応する書込光LC及びブラック画像に対応する書込光LKを照射して感光体1Y、1M、1C、1K上に静電潜像を形成する書き込みユニット7が備えられている。また、感光体1Y、1M、1C、1Kの下方には、中間転写ベルト8を介して配置された1次転写ローラ5が配設されている。
また、中間転写ベルト8の下方には、転写紙等の転写材Pを収容した給紙トレイ14A、14Bが配設され、これらの給紙トレイ14A、14Bから転写材Pがピックアップローラ15A、15Bと給紙ローラ16A、16Bとによって一枚づつ繰り出され、搬送ローラ17によって搬送されて、レジストローラ18に送給される。
そして、レジストローラ18で一時停止された転写材Pは、所定のタイミングでレジストローラ18によって搬送され、後述する中間転写ベルト8上に転写されたフルカラーのトナー像が支持ローラ12と対接する2次転写ローラ19によって、転写材P上に転写される。このようにしてトナー像が転写された転写材Pは、加熱ローラ20aと加圧ローラ20bを備えた定着ユニット20に移送されてトナー像が加熱、加圧されて転写材P上に定着されて排紙トレイ23上に排出される。なお、図1中、符号26は原稿自動搬送装置(ADF)、符号27はスキャナ装置である。
【0010】
この図1に示す構成において、画像形成動作を説明する。プリント開始命令が入力されると、感光体1Y、1M、1C、1Kの周辺、中間転写ベルト8の周辺、給紙搬送経路等にある各ローラが既定のタイミングで回転し始め、下部の給紙トレイ14A又は14Bから転写材Pの給紙が開始される。
一方、各感光体1Y、1M、1C、1Kは、帯電チャージャ2によって表面を一様な電位に帯電され、書込ユニット7から照射される書込光LY、LM、LC、LKによってその表面を画像データに従って露光される。露光された後の電位パターンを静電潜像と呼ぶが、この静電潜像をその表面に担持した感光体1Y、1M、1C、1Kは、現像装置3Y、3M、3C、3Kからそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを供給されることにより、担持している静電潜像を特定色に現像される。図1においては、感光体1Y、1M、1C、1Kが四色分あるので、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(色順はシステムによって異なる)のトナー像が各感光体1Y、1M、1C、1K上に現像されることになる。
【0011】
感光体1Y、1M、1C、1K上に現像されたトナー像は、中間転写ベルト8との接点において、感光体1Y、1M、1C、1Kに対向して設置された1次転写ローラ5に印加される1次転写バイアス、及び押圧力によって中間転写ベルト8上に転写される。この1次転写動作をタイミングを合わせながら四色分繰り返すことにより、中間転写ベルト8上にフルカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト上に形成されたフルカラートナー像は、2次転写ローラ19において、レジストローラ18によってタイミングを合わせて搬送されてくる転写材Pに転写される。この時、2次転写ローラ19に印加される2次転写バイアス、及び押圧力によって2次転写が行われる。フルカラートナー像を転写された転写材Pは、定着ユニット20を通過することにより、表面に担持しているトナー像が加熱定着される。
片面プリントならばそのまま直線搬送されて排紙トレイ23へ、両面プリントならば搬送方向を下向きに変えられ、用紙反転部22へ搬送されていく。用紙反転部22へ到達した記録紙は、ここで搬送方向をスイッチバックローラ24によって逆転されて転写材Pの後端から用紙反転部22を出て行く。これをスイッチバック動作と呼び、この動作によって記録紙の表裏を反転させることができる。
表裏反転された転写材Pは、定着ユニット20方向には戻らず、再給紙搬送経路21を通過して本来の給紙経路に合流する。この後は転写材Pの表面への片面プリントの時と同じ様にトナー像が転写されて、定着ユニット20を通過して排紙される。これが両面プリント動作である。
【0012】
また、各部の動作について説明すると、1次転写ローラ5を通過した感光体1Y、1M、1C、1Kは、その表面に1次転写残トナーを担持しており、これをブレード及びブラシ等で構成された感光体クリーニングユニット4において除去される。その後、除電装置QL(クエンチングランプ)6によってその表面を一様に除電されて次の画像の為の帯電に備える。また、2次転写ローラ19を通過した中間転写ベルト8に関しても、その表面に2次転写残トナーを担持しているが、こちらもブレード及びブラシ等で構成された中間転写ベルトクリーニングユニット35によってこれが除去され、次のトナー像の転写に備える。この様な動作の繰り返しで、片面プリント若しくは両面プリントが行われる。
この図1に示す様な画像形成システム内においては、感光体1Y、1M、1C、1K上に形成されるトナー画像の画質を調整するために、感光体1Y、1M、1C、1Kに段階的にトナー濃度を異ならせた画像パターンを形成し、この画像パターンを像担持体としての中間転写ベルト8上に転写し、この中間転写ベルト8上の画像パターンを光センサで検知して画像の画質を調整する画質調整手段が備えられている。そして、中間転写ベルト8上の画像パターンを検知するための光センサを設置する位置としては、位置Aや位置Bが挙げられる。
これらの位置は、4色の画像形成ユニット9Y、9M、9C、9Kを通過した中間転写ベルト8が2次転写ローラ19の位置に向かう中間位置であり、中間転写ベルト8上には形成されたフルカラー像が載っている状態である。また、それぞれ支持ローラ10及び13が描かれているが、位置Aのローラ10は中間転写ユニットとしてベルトを支持するために不可欠な支持ローラ、位置Bのローラ13は安定した検知性能を得るために専用に設置したバックアップローラという位置付けである。位置Bのローラ13は、安定した検知性能を得るためにローラではなく板状の固定部材の場合もある。いずれの場合においても、中間転写ベルト8が透明素材である以上、ベルト裏側の部材からの反射光を利用する必要があり、位置A、Bにおける中間転写ベルトをバックアップする支持部材は必要不可欠である。
【0013】
図2は、図1の位置Aに反射型光センサを配置した場合のイメージ図である。反射型光センサ31としては、基板30の中央部と両端部の3個所にセンサヘッド31A、31B、31Cを有する3ヘッドのタイプのものを例示しており、例えば、図3に示すような画像パターンを測定するものである。図3の中間転写ベルト8の表面8a中央部に示している画像パターン81は、トナー付着量を測定するための階調パターンであり、中間転写ベルト8の表面8a両端部には、色ずれ検知用パターン82、83が形成され、これらの画像パターンを検知するためのセンサヘッド31A、31B、31Cがそれぞれ、画像パターン81、82、83に対向した位置に配設されている。
通常、図2、図3に示す様な3ヘッドセンサ31A、31B、31Cの場合には、中央のセンサヘッド31Bが各色の階調パターンを順番に検知することになるが、各色専用にセンサヘッドを複数個設置して、各色階調パターンを各専用センサヘッドで検知する構成とする場合もある。その場合は、センサ中央部付近に複数個のセンサヘッドが並ぶことになる。
【0014】
また、図3に示す中間転写ベルト8両端部の表面領域には、色ずれ検知用の画像パターン82、83が形成される。色ずれの検知は、通常、中間転写ベルト8の両端部の2箇所、若しくは中間転写ベルト8の両端部+中央部の3箇所で行われ、画像パターンとしては細線パターンが用いられる。細線パターンの形状は各社、各機種によって独特であり、図3においては例示しないが、各色細線パターンの組み合わせによって、主走査方向、副走査方向の色ずれ量を検知できるようにしている。
中央のセンサヘッドを色ずれ検知に用いない場合は、時間短縮のために階調パターンと並行して色ずれ検知用パターンが出力され、中央のセンサヘッドを色ずれ検知に用いる場合は、階調パターンとはタイミングをずらして中間転写ベルト8の中央部及び両端部に一遍に色ずれ検知用パターンを出力するのが通常である。
この様なセンサ構成、パターン構成により、トナー付着量及び色ずれ量を検知し、必要に応じてプロセス条件及び書込条件へフィードバック制御を実施している。
【0015】
本発明においては、中間転写ベルトとして透明素材からなる無端状ベルトを使用することを前提としているため、光センサヘッド31A、31B、31Cの対向位置に反射体が必要不可欠となる。特に、その中でも中間転写ベルト8の裏面8bに接触して中間転写ベルト8を支持している支持部材を反射体として利用する構成を対象としているが、この様な構成の画像形成装置における独特の問題点として、中間転写ベルト8の裏面8b及び支持部材表面の汚れがある。
通常、画像形成装置内で多く用いられている有色、不透明の中間転写ベルトであれば、中間転写ベルト8の表面8a及びその表面8aに載ったトナー像からの反射光を検知するため、ベルト裏面8bの状態を気にする必要はない。しかし、中間転写ベルト8として透明ベルトを使用する場合には、ベルト裏面8bの支持部材からの反射光、及びベルト表面8aに載ったトナー像からの反射光を利用するため、ベルト裏面8b及び支持部材(反射体)表面の状態の影響を受けることになる。よって、極力ベルト裏面8b及び支持部材表面が汚れない構成とする必要がある。
これらの面が汚れる原因としては、主に、画像形成装置内に僅かに浮遊するトナー粒子が挙げられ、乾式トナーを用いた画像形成装置においては、完全には避けられないものである。この浮遊トナーがベルト裏面8b若しくは支持部材表面に付着した場合には、両者の接触点においてトナーが擦りつけられ、どちらかの面にも固着していくことになる。この状態になると、光センサで検知している反射光量に影響を与えることになり、徐々に光センサの検知性能が劣化していくことになる。
【0016】
本発明においては、前記画像パターンに対応する位置の支持部材表面を凹形状とすることによって、反射型光センサ31の検知部付近における両者の接触を避け、支持部材側の反射面に汚れがこびり付くのを避けると共に、ベルト裏面8bへの汚れのこびりつきを軽減するものである。本発明による実施形態について、図4〜図6に基づいて、以下に説明する。
図4は、本発明による第1実施形態に係る図1の位置Bに反射型光センサ31を配設した場合の中間転写ベルト8を切断した側面図を示す。中間転写ベルト8を支持している支持部材である支持ローラ13は、図4で示すように、その外周に中間転写ベルト8の裏面8bと接触して中間転写ベルト8を支持する支持面13aが形成されている。そして、前記画像パターン81、82及び83に対応する位置の支持ローラ13の外周面には、支持ローラ13の回転方向全周に亘って、中間転写ベルト8の裏面8bと接触しないように溝状凹部13bが形成されている。
従って、中間転写ベルト8の周囲に浮遊するトナーが中間転写ベルト8の裏面8bに付着し、付着したトナーが中間転写ベルト8の裏面8bと支持ローラ13の支持面13aに固着して中間転写ベルト8の裏面8bや支持ローラ13の支持面13aを汚染したとしても、前記溝状凹部13bの形成によって、前記画像パターン81、82及び83に対応する位置の中間転写ベルト8の裏面8b及び支持ローラ13の溝状凹部13bの底面である反射面13bA、13bB、13bCのトナー固着による汚染を防止することが可能となる。このような支持ローラ13の溝状凹部13bは、センサ31の位置を図1で示す位置Aとした場合の図2及び図3で示すような支持ローラ10においても同様に採用することが可能である。
【0017】
また、図5は、本発明による第2実施形態に係る図1の位置Bに反射型光センサ31を配設した場合の中間転写ベルト8を切断した側面図を、図6は、図5の斜視図を示している。
この実施形態においては、図5及び図6に示すように、支持部材が平面状の支持面32aを有する固定部材32から構成されている。そして、支持面32aの前記画像パターン81、82、83に対応する位置で中間転写ベルト8の移送方向A全長に亘って溝状凹部32bが形成されている。従って、中間転写ベルト8の周囲に浮遊するトナーが中間転写ベルト8の裏面8bに付着し、付着したトナーが中間転写ベルト8の裏面8bと支持ローラ13の支持面13aに固着して中間転写ベルト8の裏面8bや支持ローラ13の支持面13aを汚染したとしても、前記溝状凹部32bの形成によって、前記画像パターン81、82及び83に対応する位置の中間転写ベルト8の裏面8b及び固定支持部材32の溝状凹部32bの底面である反射面32bA、32bB、32bCのトナー固着による汚染を防止することが可能となる。
前述の第1実施形態で示す図4においては、センサヘッド31A、31B、31Cに対向する部分の支持ローラ13の全周にわたって溝状凹部が形成されており、センサヘッド31A、31B、31Cは、支持ローラ13の回転と共に常に移動している溝状凹部13bの底面である反射面13bA、13bB、13bCからの反射光を利用して中間転写ベルト8上のトナー付着状態を検知することになる。
【0018】
一方、図5及び図6で示す第2実施形態においても、同様に、センサヘッド31A、31B、31Cとの対向部分の支持面32aが溝状凹部32bとなっており、センサヘッド31A、31B、31Cは、常に静止している溝状凹部32bの底面の反射面32bA、32bB、32bCからの反射光を利用して、中間転写ベルト8上のトナー付着量を検知することができる。
第1実施形態で示すように、支持部材が回転部材の場合には、主に第1図の位置Aの様な箇所への適用が考えられ、中間転写ユニットを構成するために必要不可欠なローラ部材を利用する構成とすることができる。これにより不要なコストアップを避けることができる。その反面、曲面状の反射面が常に移動しているため、その面に当たって跳ね返ってくる反射光の安定性が劣る問題点がある。
これに対し第2実施形態で示す支持部材が静止された固定部材である場合には、主に第1図の位置Bの様な中間転写ベルト8がほぼ直線搬送に近い位置への適用となる。もし位置Aの様な箇所に固定部材を設置する(この場合は略平面を有する固定部材ではなくなってしまうが)と、中間転写ベルト8との摩擦抵抗が非常に大きくなり、駆動力、ベルトの耐久性、騒音、という様々な面で障害が出てしまう。
【0019】
また、位置Bの支持部材は、中間転写ユニット構成上必要不可欠な支持部材という訳ではなく、検知専用に設置する部材であるためコストアップとなってしまう欠点がある。その反面、位置Bの様な場所に略平面を有する固定部材をベルト裏側から小さい力で押し当てることにより、騒音の問題を極力抑えつつ、安定した反射面を設置することができるため、回転するローラ表面からの反射光を用いて検知するよりも検知安定性に優れるという利点がある。
なお、略平面の意味としては、完全に平らな面をベルト裏側8bから押し当てると、両端部で中間転写ベルト8と固定支持部材32が強く接触し、逆に中央部では接触が弱くなってしまうために、中間転写ベルト8の端部が劣化しやすいことに加え、中間転写ベルト8の中央部の挙動安定性に劣る傾向が出ることが多い。その為に、固定支持部材32の中央部付近を僅かに膨らませ、中央部、端部を通じて均等に接触させることにより、中間転写ベルト8の端部付近でベルト劣化が進行するのを抑え、かつベルト中央部でのベルト挙動を安定させることを狙っている。
また、ベルト幅方向のみでなくベルト搬送方向についても、固定支持部材32の中央部を僅かに膨らませることによって、固定支持部材32に接触しながら搬送されていくベルト挙動安定性の確保、及びベルトへのダメージ軽減を実現できる可能性が高い。この様に、主走査方向、副走査方向共(若しくは片方)において固定支持部材32を僅かに膨らませることにより、極力騒音やベルトへのダメージを抑えつつ、安定した検知性能を実現できる。
【0020】
図6には、図5の略平面を有する固定支持部材32の斜視図を示している。見易くするために光センサ31を大きく離して描いているが、通常、光センサ31は矢印方向にもっと近接した位置に設置されている。溝状凹部32bの底部である反射面32bA、32bB、32bCは、それ以外の支持部材32の支持面32aの表面と異なる表面特性を有する。異なる反射特性を付与する手段としては、例えば表面を研磨する、表面に反射体を貼り付ける、等が考えられるが、特に方法としては限定しない。
支持部材32のベルト接触面となる支持面32aについては光学特性を考慮する必要は全くないが、光学特性を考慮する必要のある溝状凹部32bの底部については、設置される光センサの特性に合わせてその光学特性を考慮することにより、光センサ性能の検知安定性を向上することができることになる。溝状凹部32bの底部の反射面32bA、32bB、32bCが、それ以外の支持部材32の支持面32aの表面よりも正反射率が高くなるように加工されている場合には、図6に示す斜線部分の反射面32bA、32bB、32bCが、例えば研磨によって鏡面仕上げされているということである。
【0021】
画像形成装置内で、像担持体上に載った画像パターンを検知するための光センサとしては、(1)正反射光を利用するもの(2)拡散反射光を利用するもの(3)両方使用するものがある。トナー画像自体は微粉体の集合なので、中間転写ベルト8上に載ったトナー画像は光を散乱させる拡散反射面の特性を持つ。トナー付着量の検知は、主にこの『トナー画像面は光を散乱させる拡散面である』ということを利用して行っており、そのために比較対象となる下地面は正反射面であることが望まれる。
下地面とは、本発明で使用される透明な中間転写ベルト8であれば透明ベルト裏側8bを支持している支持部材32の表面であり、通常の有色ベルトであればベルト表面のことである。トナー画像と下地面の差が大きいほど出力のコントラストが取れるため、トナー画像が拡散面である以上、下地面は正反射面であることが最も望ましい。この様な反射特性を論ずる上では、ベルトが透明か否かによる検知機構の相違は本質的な差ではなく、下地面までの距離が異なるということ以外本質的に差はない。
【0022】
図7は、ベルト上に載ったトナー画像のトナー付着量と、光センサの正反射光出力、拡散反射光出力の典型的な関係を示した図である。通常、ブラックのトナー付着量測定には正反射光、カラーのトナー付着量測定には拡散反射光を用いるので、それぞれ、曲線1で示す正反射光出力はブラックパターン検知時のグラフ、曲線2で示す拡散反射光出力はカラーパターン検知時のグラフである。正反射面上にブラックトナーが載った場合、下地からの正反射光を阻害するため、付着量が増えるほど正反射光出力は減っていくことになる。また、正反射面上にカラートナーが載った場合、カラートナー画像が拡散反射光を返すため、付着量が増えるほど拡散反射光出力が増えることになる。
図7はこの様な状態を示すグラフであり、下地の正反射特性が強いほど、このグラフが綺麗に取れることになる。もし下地面が粗く拡散反射光の割合が多いと、トナー付着量=0における正反射光出力の値が小さくなってしまうので、検知結果のコントラストが悪くなってくる。また、拡散反射光出力はトナー付着量=0における値が大きくなっていくので、こちらも検知結果のコントラストが悪くなってくる。従って、反射面32bA、32bB、32bCの正反射率を高くすることにより、このコントラストを大きく保つことができ、検知結果の安定性・信頼性を増すことができる。
【0023】
また、ブラックパターン検知時の拡散反射光出力、カラーパターン検知時の正反射光出力を参考のために図8に示す。ここで示すグラフは典型的な傾向を説明するためのものであるので、光センサの構成や、トナー自体の光反射特性によっては少し違った形のグラフになる場合もある。通常、カラートナーは可視光領域において特定波長帯の光を反射する特性を持つ。これに対しブラックトナーは可視光領域の光を吸収するため、反射光はほとんど出さない。
現在、トナー付着量センサとして用いられている光センサの発光波長は、700nm〜1000nm程度の近赤外領域であることが多く、この波長帯域においては、イエロー、マゼンタ、シアンのカラートナーは反射特性を有している。これに対し、ブラックトナーはこの波長帯域においてもほぼ反射光を出さない。これらの反射特性の影響によって、典型的には図8の様なグラフが形成される。
まず、ブラックパターンの付着量を拡散反射光で測定しようとすると、ブラックトナーが光を吸収して反射しないため、トナー付着量が増えても拡散反射光出力値は一向に増えない。よって、図8のような出力変化なしのグラフ(曲線4)となり、拡散反射光出力ではブラックトナー付着量は測定できないことが分かる。一方、正反射光でカラートナー付着量を検知しようとした場合、ベルト面へのトナー付着量が増えるに従って下地面からの正反射光を阻害することになるので、付着量の少ないうちは正反射光出力が減っていく。この点はブラックトナーと同様である。
【0024】
しかし、カラートナー画像は光を拡散反射するため、トナー付着量が増えるに従って正反射方向の角度に跳ね返っていく拡散反射光が増えていくことになる。下地面からの正反射光は、図7のブラックトナー正反射光出力の様に付着量が増えると減っていくのだが、カラートナー画像の場合には、拡散反射光のうち正反射の角度に跳ね返って正反射側受光素子に受光される割合が増えていくため、この受光量が重畳されて図8の正反射光出力(曲線3)のような出力特性を示す。この様なグラフの形となるため、拡散反射光出力でブラックトナー付着量、正反射光出力でカラートナー付着量、は単純には測定できないのである。それ故、設置される光センサの特性に合わせてその光学特性を考慮するというのは、図6の斜線部分で示している反射面32bA、32bB、32bCの表面特性が、光検知センサに合わせた反射特性になっているということである。
なお、図6においては、略平面を有する固定支持部材32を図示しているが、第1実施形態で示す支持ローラ13においても同様であり、図4の溝状凹部13bの底面が円周全面に亘ってベルト接触面となる支持面13aと異なる反射特性を持たせることができる。
【0025】
次に、本発明による第3実施形態に係る支持部材の構造について、図9に基づいて説明する。図9は、本発明による第3実施形態に係る支持ローラの概略構成を示す一部を切り欠いた拡大側面図である。
この第3実施形態に係る中間転写ベルト8の支持部材としての支持ローラ13は、溝状凹部13bの先端角部13cに面取り加工されている。このような面取り加工を溝状凹部13bの先端角部13cに施すことによって、ベルトが凹形状の肩部分に食い込むことがないために、経時的に肩部分に当たるベルトにスジ状の劣化が発生することを回避できる。これにより、単純に凹形状を形成した場合よりもベルトへのダメージが減るため、ベルトの長寿命化に繋がる。
この図においては、分かり易くするために大きく面取りしているが、実際にはこれほど大きい必要はなく、触って角が尖ってない程度であれば機能的には問題ない。この実施形態においては、支持ローラ13の溝状凹部13bの先端角部13cに面取り加工を施した例を示しているが、前述の第2実施形態で示す固定支持部材32の溝状凹部32bの先端角部に面取り加工を施して良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の位置Aに反射型光センサを配置した場合のイメージ図である。
【図3】本発明による一実施形態に係る画像形成装置で使用される画像パターンを有する中間転写ベルトと反射型光センサとの関係を示す上面図である。
【図4】本発明による第1実施形態に係る図1の位置Bに反射型光センサ31を配設した場合の中間転写ベルト8を切断した側面図である。
【図5】本発明による第2実施形態に係る図1の位置Bに反射型光センサ31を配設した場合の中間転写ベルト8を切断した側面図である。
【図6】図5の斜視図である。
【図7】ベルト上に載ったトナー画像のトナー付着量と、光センサの正反射光出力、拡散反射光出力の典型的な関係を示した図である。
【図8】ブラックパターン検知時の拡散反射光出力、カラーパターン検知時の正反射光出力とトナー付着量の関係を示す図である。
【図9】本発明による第3実施形態に係る支持ローラの概略構成を示す一部を切り欠いた拡大側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1Y、1M、1C、1K 感光体、2 帯電チャージャ、3Y、3M、3C、3K 現像装置、4 クリーニングユニット、5 1次転写ローラ、6 除電装置、7 書込みユニット、8 中間転写ベルト、8a 表面、8b 裏面、9Y、9M、9C、9K 画像形成ユニット、10、11、12、13 支持ローラ、13a 支持面、13b 溝状凹部、13bA、13bB、13bC 反射面、13c 先端角部、14A、14B 給紙トレイ、18 レジストローラ、19 2次転写ローラ、20 定着ユニット、30 基板、31 反射型光センサ、31A、31B、31C センサヘッド、32 固定支持部材、32a 支持面、32b 溝状凹部、32bA、32bB、32bC 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明素材からなる無端ベルト状の像担持体の表面上に形成された画像パターンを検知する光センサを有し、当該画像パターンを当該光センサで検知して前記像担持体の表面上に形成される画像の画質を調整する画質調整手段を備えた画像形成装置において、
前記光センサは、前記画像パターンに光を照射して、当該画像パターンからの反射光を検知する反射型光センサであり、
当該反射型光センサは、前記像担持体表面に対向して配設され、
前記反射型光センサと前記像担持体を介して対向する位置に、当該像担持体を支持する支持部材を配設し、
当該支持部材の前記像担持体の裏面と接触する支持面の前記画像パターンに対応する位置に、前記像担持体の前記画像パターンに対応する位置の裏面との接触を防止する凹部を形成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記支持部材は、円柱状の回転部材であり、前記支持面は、前記回転部材の外周面であり、前記凹部は、前記回転部材の外周面の回転方向全周に亘って形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記支持部材は、平面状の支持面を有する固定部材であり、前記凹部は、当該像担持体の移送方向全長に亘って前記固定部材の支持面に形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の画像形成装置において、
前記凹部の底面部は、前記支持部材の支持面の表面特性と異なる表面特性を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記凹部の底面部の正反射率が、前記支持部材の支持面の正反射率よりも高く設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項記載の画像形成装置において、
前記凹部の先端角部に面取り加工されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−276686(P2009−276686A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129821(P2008−129821)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】